JPH113717A - ハイブリッド電解質および電池 - Google Patents

ハイブリッド電解質および電池

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JPH113717A
JPH113717A JP9112427A JP11242797A JPH113717A JP H113717 A JPH113717 A JP H113717A JP 9112427 A JP9112427 A JP 9112427A JP 11242797 A JP11242797 A JP 11242797A JP H113717 A JPH113717 A JP H113717A
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electrolyte
battery
sheet
polymer
electrode
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JP9112427A
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English (en)
Inventor
Nobuhito Hoshi
星  信人
Takashi Namikata
尚 南方
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いイオン伝導度を有し、高温安定性に優
れ、且つ電極との接着性にも優れたハイブリッド電解質
およびこれを用いた電池を提供する。 【解決手段】 架橋された高分子多孔質成形体が電解液
で膨潤されてなるハイブリッド電解質において、該ハイ
ブリッド電解質中の該高分子成分のゲル分率が20〜7
5%の範囲にあるハイブリッド電解質である。また、該
ハイブリッド電解質シートを介して電極が接合されてな
る電池である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハイブリッド電解質
及び該電解質を用いた電池に関する。さらに詳しくは電
極との接着性に優れたハイブリッド電解質及び該電解質
を用いた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、携帯電話やパソコン等の小型化、
軽量化のために高エネルギー密度の電池が要求され、こ
れに対応する電池としてリチウムイオン電池が開発され
ている。この電池の正極および負極の電極間には電解液
に膨潤することのない、多孔質のセパレーターが配置さ
れているが、セパレーターに含浸させた電解液の漏出を
防ぐため、電池構造体全体を重厚な金属容器でパッケー
ジされたものが製品化されている。
【0003】一方、多孔質セパレーターの代わりに固体
電解質を用いた固体電池は、液漏れがないため電池の信
頼性、安全性が向上するとともに、薄膜化や積層体形
成、パッケージの簡略化、軽量化が期待されている。特
にイオン伝導性高分子を用いた高分子固体電解質は、加
工柔軟性を有するため電極との積層構造体形成ができ
る、電極のイオン吸蔵放出による体積変化に追随した界
面保持ができるなど好ましい性質を有すると期待されて
いる。
【0004】このような高分子固体電解質の試みとして
は、Wrightによりポリエチレンオキサイドのアル
カリ金属塩複合体が、British Polymer
Journal,7巻,p319(1975年)に報
告されて以来、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレ
ンオキサイドなどのポリエーテル系材料をはじめ、ポリ
ホスファゼン、ポリシロキサンなどを骨格とした高分子
固体電解質材料が活発に研究されている。このような高
分子固体電解質は、通常は高分子中に電解質が均一固溶
した形態をとり、ドライ系高分子固体電解質として知ら
れているが、そのイオン伝導度は電解液に比較して著し
く低く、これを用いて構成した電池は充放電電流密度が
限定され、電池抵抗が高いなどの問題を有していた。
【0005】そのため、より電解液に近い状態を形成さ
せることでイオン伝導度を向上させようとする試みが種
々提案されている。例えば、電解質の解離度を向上した
り、高分子の分子運動を促進してイオン伝導度を向上さ
せる目的で電解質溶媒等の可塑剤を添加したゲル電解質
が知られている(特開昭57−143356号公報
等)。米国特許第5296318号明細書にはこの種の
材料としてポリフッ化ビニリデン系重合体を用いた固体
電解質が示されている。さらに米国特許第542989
1号明細書には架橋されたポリフッ化ビニリデン系重合
体を用いた固体電解質が示されている。これらの材料は
電気化学的に安定な上、従来のドライ系固体電解質をは
るかにしのぐイオン伝導度を有していたが、それでも電
解液に比べれば充分なものではなかった。特に後者の電
解質は空孔をもたないため電池にしたときの容量は高い
ものではなかった。
【0006】さらにイオン伝導度の高いハイブリッド電
解質として、ゲル相の他に液相部分を有する材料が提案
されている。例えば特開平8−250127号公報には
ポリフッ化ビニリデン系多孔膜を固体電解質として用い
ることが記載されている。ここでは多孔膜を高温で含浸
させる方法が示されており、本発明でいう電解液で膨潤
されてなるハイブリッド電解質を与えるものである。ま
た、特開平6−150939号公報には、架橋した極性
単位含有ポリマー多孔質を電解質ベースとすることが記
載されている。しかしながら、これらの方法では電解液
を保持させるため、多孔膜を構成するポリマーが電解液
に溶解する条件下、架橋された多孔膜を大過剰の電解液
中に浸漬させる方法がとられており、電極との接着性を
付与すべき未架橋成分が電解液中に溶出してしまうた
め、得られた電解質は電極との接着強度が極めて低いも
のであった。
【0007】また特開平8−195220号公報にはポ
リアクリロニトリルを用いたゲル電解質に、電解質溶液
中ステンレス細針で穴をあけ、多孔質にする方法が記載
されているが、記載された方法ではこのゲル電解質を架
橋構造とすることは困難で、実際未架橋であるために高
温にさらされると溶解して変形してしまい、穴がつぶれ
たりさらには短絡のおそれがあるという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高いイオン
伝導度を有し、高温安定性に優れ、そのうえ電極との接
着性に優れたハイブリッド電解質およびこれを用いた電
池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の従来
技術の問題点に鑑み、検討を重ね本発明に至った。すな
わち、本発明は下記のとおりである。 (1) 架橋された高分子多孔質成形体が電解液で膨潤
されてなるハイブリッド電解質において、該ハイブリッ
ド電解質中の該高分子成分のゲル分率が20〜75%の
範囲にあるハイブリッド電解質。 (2) 高分子多孔質成形体がポリフッ化ビニリデン系
多孔質成形体である上記1のハイブリッド電解質。 (3) 上記1または2のハイブリッド電解質を介して
電極が接合されてなる電池。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
いうハイブリッド電解質とは、液を含まないドライ系固
体電解質と、従来からの液系電解質の中間的な性質を有
する電解質で、電解液を含みながらもゲル状の様相を示
すことで、電解液の保持性を高めたものである。その中
で本発明のハイブリッド電解質は、架橋高分子多孔質成
形体が電解液で膨潤されてなるものである。
【0011】尚、本発明でいう膨潤について説明する
と、一般にポリマーを大過剰の溶媒や溶液で膨潤した場
合大幅な体積増加を伴い、サイズが変化する。多くの場
合は全ての方向に膨張するが、延伸などで応力がかかっ
ていた場合には応力が緩和され、方向によっては縮小す
ることもあるが、いずれにしても大過剰の溶媒や溶液で
膨潤した場合には大きな変形が起こる。本発明におい
て、大過剰の電解液中に高分子多孔質成形体を浸漬した
際に大きな変形を起こせば、実際上は長さ方向で10%
を越える変形を起こせば、該高分子多孔質成形体は該圧
力、温度条件下で膨潤しうるものとする。
【0012】本発明のハイブリッド電解質は、高分子多
孔質成形体が電解液で膨潤されることでなるものであ
る。本発明において、高分子多孔質成形体が電解液で膨
潤されるとは、少なくとも含浸された電解液存在下に、
高分子多孔質成形体を上記膨潤しうる圧力、温度条件下
に1時間程度保持することで得られる状態をいい、外見
の変形を伴うものは勿論、必ずしも外見の変形を伴わな
いものも含める。このとき、該高分子多孔質成形体が膨
潤されているかどうかは該ハイブリッド電解質から電解
液を抽出して除去し、室温で乾燥したときの収縮率から
確認することもできる。即ち、該ハイブリッド電解質か
ら、高分子成分を溶かさず電解液のみを溶解する溶媒で
電解液を抽出し、室温で、必要により真空で乾燥したと
きの元のハイブリッド電解質に対する長さ方向の変化と
して求められる収縮率が10%を越えるものは、本発明
においては膨潤されていることを意味する。
【0013】一般にハイブリッド電解質はポリマー電池
として、シート状等の形状で用いられるため、機械的に
電極と接触させておくことができず、従って電極とは接
着させておく必要がある。このとき、電極と電解質を接
着させる方法として、熱および/または圧力をかける方
法が一般的であるが、熱をかける場合には電解質を構成
するポリマーを一部溶解させることで、接着剤的な役割
を担わせることができる。
【0014】本発明のハイブリッド電解質は架橋された
高分子多孔質成形体が電解液で膨潤されてなるものであ
るが、該ハイブリッド電解質中の該高分子成分のゲル分
率は20〜75%の範囲であることが必要である。ここ
で上限は好ましく70%であり、さらに好ましくは65
%である。また下限は好ましくは30%であり、さらに
好ましくは35%である。ゲル分率が75%を越えると
加熱により電極と接着する際に接着しにくくなり、電極
との接着強度が低下する。またゲル分率が20%よりも
低いと加熱時に変形し易くなり、高温安定性が乏しくな
る。
【0015】本発明のハイブリッド電解質は、高分子多
孔質成形体が電解液で膨潤されることでなるものであ
る。該高分子多孔質成形体をなすポリマー種は用いる電
解液に膨潤可能なものであれば差し支えないが、電気化
学的に安定なものが好ましく、また高いイオン伝導性を
有するポリマー種が好ましい。このようなポリマー種と
して具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピ
レンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロ
ニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸オリゴエチレンオキ
サイド、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンスルフィ
ド、オリゴエチレンオキサイドを側鎖に有するポリホス
ファゼンやポリシロキサン、ナフィオンやフレミオン等
の分子内にイオン性基を有する高分子等を挙げることが
できる。またこれらを主として含む共重合体、例えばフ
ッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、ア
クリロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル共重合
体、アクリロニトリル−スチレン共重合体等もまた用い
ることができる。分子内にイオン性基を有する高分子を
利用してリチウム電池に利用する場合にはイオン性基は
リチウム塩であることが望ましい。これらのポリマー種
の中で、高いイオン伝導度と強度を合わせ持つことから
ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフル
オロプロピレン共重合体等のポリフッ化ビニリデン系重
合体や、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリ
ル−スチレン共重合体等のポリアクリロニトリル系重合
体が好ましく、ポリフッ化ビニリデン系重合体がさらに
好ましい。
【0016】これらの高分子多孔質成形体は架橋された
状態で用いられる。架橋構造を有することで高い高温安
定性が得られる。架橋していないと高温にさらされたと
きに電池性能が不可逆的に変化したり、場合によっては
ポリマーの溶解による短絡が起こる。この架橋構造は重
合時、多孔質成形体の形成前、形成後のどの段階でも導
入することができる。架橋の方法としては重合時に多官
能のモノマーを用いる方法、重合後に電子線、γ線、X
線、紫外線等の輻射エネルギーを照射する方法、やはり
重合後にラジカル開始剤を含有させて熱や輻射エネルギ
ー照射により反応させる方法等を用いることができる。
重合後に架橋構造を導入する場合、新たに単官能または
/および多官能のモノマー成分を共存させておくことも
できる。これらの方法の中でも、夾雑物や未反応官能基
が残存しにくいので、重合後に電子線、γ線、X線、紫
外線等の輻射エネルギーを照射する方法が好ましい。
【0017】この架橋構造形成によりポリマーは溶媒に
不溶となり、本質的に高分子多孔質成形体を構成するポ
リマーが電解液に溶解してしまう条件下であっても、大
過剰の電解液中に浸漬させたときに電解液で膨潤される
のみで、膜全体が溶解することはない。このときの架橋
の程度はゲル分率で表され、溶媒抽出による重量変化か
ら求めることができる。このとき、ハイブリッド電解質
中の高分子多孔質成形体をなす高分子成分のゲル分率
は、膨潤条件によってはもとの高分子多孔質成形体のゲ
ル分率とは異なってくるので、直接ハイブリッド電解質
のゲル分率を測定する必要がある。
【0018】ゲル分率の測定方法を例示すれば以下のよ
うになる。即ち、まず電解液で膨潤されたハイブリッド
電解質から、高分子成分を溶かさず電解液のみを溶解す
る溶媒で電解液を抽出し、乾燥して高分子成分の乾燥重
量(W1 )を求める。次に該乾燥高分子成分を150メ
ッシュのステンレス製金網に包み、溶媒中で所定時間加
熱還流した後、洗浄し、真空乾燥後、抽出残留物の重量
(W2 )を求める。このときW2 /W1 をゲル分率とす
る。溶媒量はポリマーの約100倍以上が用いられる。
用いる溶媒はポリマーの良溶媒から選ばれるが、例えば
ポリマーがポリフッ化ビニリデン系重合体の場合、N,
N−ジメチルアセトアミドとアセトンの混合溶媒(容積
比7:3)が適当である。この場合、加熱還流は2時間
以上、真空乾燥は70℃で4時間以上がよい。
【0019】本発明のハイブリッド電解質の素材として
は高分子多孔質成形体が用いられるが、これは電解質に
したときのイオン伝導度が高いこと、電解液の含浸性が
高いことによる。該高分子多孔質成形体の空隙率は30
〜95%の範囲にあることが好ましい。30%未満の空
隙率では電解質を形成したときのイオン伝導度が充分に
高くなく、好ましくは40%以上、さらに好ましくは5
0%以上、さらに好ましくは55%以上である。また9
5%を越えると膨潤後に充分な強度が得られにくく、好
ましくは90%以下、さらに好ましくは85%以下、特
に好ましくは80%以下である。
【0020】本発明のハイブリッド電解質の形状は使用
する目的により異なるので一概には限定されないが、例
えば電池の電極間の電解質として用いる場合にはシート
状、織布状、不織布状といった薄膜状が好ましい。この
場合の膜厚は、一般的には1〜500μm程度のものが
用いられ、好ましくは10〜300μm、さらに好まし
くは20〜150μmがよい。用いられる高分子多孔質
成形体の厚み範囲としても同様である。1μm未満では
強度が不足し、電極間でショートしやすくなり、500
μmを越える成形体厚みでは成形体全体の実効電気抵抗
が高くなりすぎるうえ、電池に用いたときの体積当たり
のエネルギー密度が低くなりすぎる。
【0021】本発明で用いられる、高分子多孔質成形体
の製造法は特に限定されないが、シート状の多孔質成形
体の場合には、例えば一般にマイクロフィルターやウル
トラフィルターを製造する方法を利用することができ、
例として特開平3−215535号公報に記載の方法や
特公昭61−38207号公報に記載の方法、特開昭5
4−16382号公報に記載の方法を利用することがで
きる。具体的には溶融法や湿式法が挙げられ、溶融法は
重合体を可塑剤や無機粉体等と共に溶融後、平膜状に成
形し、その後に可塑剤や無機粉体等を抽出除去するもの
である。また湿式法は重合体を界面活性剤や添加剤等と
共に溶媒に溶解しておき、これを液膜状で非溶媒中に浸
漬することで凝固させ、溶媒や界面活性剤や添加剤等は
洗浄除去するものである。
【0022】本発明のようなゲル分率の限定されたハイ
ブリッド電解質の製造法には特に制限はないが、例えば
以下の方法により製造することができる。即ち、まず高
分子多孔質成形体に、実質的に該電解液に膨潤しない温
度で電解液を含浸させ、この状態で成形体の周囲から余
分な電解液を除去する。必要により表面を拭き取るなど
してさらに余分な液を除去する。その後にこのままの状
態で該含浸成形体を膨潤する温度に加熱し、ポリマー相
を電解液で膨潤させる方法である。
【0023】先に示したように、高分子成分が電解液で
膨潤していることは、所定の温度で該電解液に浸漬した
ときの変形から確認することができるが、上記製造方法
では膨潤前後でサイズが変わらないので直接確認するこ
とはできない。そこで膨潤する温度条件を別途確認して
おく必要がある。逆に実質的に該電解液に膨潤しない温
度とは、本発明においては該高分子多孔質成形体を電解
液中で自由に含浸させたときに、変形が長さ方向で10
%以内である温度のことをいい、また含浸後の成形体か
ら電解液を除去し室温で乾燥したときの長さ方向の収縮
率が10%以内となるときの含浸温度のことをいう。
【0024】このほかに、自由には膨潤し得ない量の電
解液で膨潤させる、膨潤させる温度と時間をコントロー
ルする等の方法で高分子成分の溶出を抑えることも可能
で、このような方法で本発明のハイブリッド電解質を製
造することができる。本発明のハイブリッド電解質に含
まれる電解液としては一般には以下のようなものが用い
られる。まず、溶液中に含まれる電解質化合物としては
無機塩、有機塩、無機酸、有機酸のいずれも使用可能で
ある。この例として、たとえばテトラフルオロホウ酸、
ヘキサフルオロリン酸、過塩素酸、ヘキサフルオロ砒素
酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、
ヨウ化水素酸素などの無機酸、トリフルオロメタンスル
ホン酸、ヘプタフルオロプロピルスルホン酸、ビス(ト
リフルオロメタンスルホニル)イミド酸、酢酸、トリフ
ルオロ酢酸、プロピオン酸などの有機酸、およびこれら
無機酸、有機酸の塩が挙げられる。さらにこれらの無機
酸、有機酸およびこれらの塩の混合物も使用可能であ
る。この塩型の電解質化合物のカチオンとしてアルカリ
金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属などの
単独または混合状態で用いることができる。このカチオ
ン種は使用する用途によって好ましい種が異なる。たと
えば、本発明の電解質シートを用いてリチウム電池を構
成する場合は、添加する電解質化合物としてリチウム塩
を用いることが好ましい。特に、リチウム二次電池の場
合、広い電位領域を使用するため、電解質化合物として
電気化学的に安定なリチウム塩が好ましく、この例とし
て、CF3 SO3 Li、C4 9 SO3 Liなどのフル
オロアルキルスルホン酸リチウム塩、(CF3 SO2
2 NLi等のスルホニルイミドリチウム塩、LiB
4 、LiPF6 、LiClO4 、LiAsF6 を挙げ
ることができる。
【0025】次にこれらの電解質化合物を溶解する溶媒
としては、水、アルコール等、化学的に安定で電解質化
合物を溶解するものであればよいが、特にリチウム電池
のように非水系電解液として使用する場合には、エチレ
ンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカ
ーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカー
ボネート等のカーボネート化合物、テトラヒドロフラ
ン、ジメトキシエタン、ジグライム、テトラグライム、
オリゴエチレンオキシド等のエーテル化合物、ブチロラ
クトン、プロピロラクトン等のラクトン化合物、アセト
ニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物等を挙
げることができる。
【0026】以上挙げた中で、用いるポリマー種と電解
液の組み合わせはポリマー種が電解液で膨潤する組み合
わせであればよいが、前記ハイブリッド電解質の製造方
法として挙げた2つの方法のうち前者の方法を採用する
場合には、電解質化合物を溶解する溶媒の沸点以下で膨
潤する組み合わせ、即ち常圧で膨潤する組み合わせが好
ましく、電解質化合物を溶解する溶媒の沸点以下で膨潤
し、室温では実質的に膨潤しない組み合わせが特に好ま
しい。実際このような組み合わせの一例としては、エチ
レンカーボネートやプロピレンカーボネート等のカーボ
ネート系の溶剤を電解質化合物の溶媒として用い、ポリ
マー種としてポリフッ化ビニリデンやフッ化ビニリデン
を含む共重合体、ポリアクリロニトリル等を用いる組み
合わせを挙げることができる。
【0027】次に、本発明のハイブリッド電解質を用い
た電池について説明する。本発明の電池において、用い
られる電極材料は電池の種類により異なるが、例えばリ
チウム電池の場合、正極および負極としてリチウムの吸
蔵放出が可能な物質が用いられる。この正極物質とし
て、負極に対し高い電位を有する材料を選ぶ。この例と
して、Li1-x CoO2 、Li1-x NiO2 、Li1-x
Mn2 4 、Li1-x MO2 (0<x<1)(MはC
o、Ni、Mn、Feの混合体)、Li 2-y Mn2 4
(0<y<2)、Li1-x 2 5 、Li2-y 2 5
(0<y<2)、Li1.2-x'Nb2 5 (0<x’<
1.2)などの酸化物、Li1-x TiS2 、Li1-x
oS2 、Li3-z NbSe3 (0<z<3)などの金属
カルコゲナイド、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ
アニリン、ポリアセン誘導体、ポリアセチレン、ポリチ
エニレンビニレン、ポリアリレンビニレン、ジチオール
誘導体、ジスルフィド誘導体などの有機化合物を挙げる
ことができる。
【0028】また負極として、上記正極に対して低い電
位を有する材料を用いる。この例として、金属リチウ
ム、アルミニウム・リチウム合金、マグネシウム・アル
ミニウム・リチウム合金などの金属リチウム、グラファ
イト、コークス、低温焼成高分子などの炭素系材料、酸
化チタン、酸化鉄などの金属酸化物にリチウム固溶体な
どのセラミックス等が挙げられる。ただし、リチウムイ
オンを負極で還元して金属リチウムとして利用する場合
は、導電性を有する材料であればよいので上記に限定さ
れない。
【0029】このような正極及び負極は上記の材料を所
定の形状に成形加工する。電極の形態として、連続体ま
たは粉末材料のバインダー分散体のいずれも使用可能で
ある。前者の連続体の成形方法として、電解、蒸着、ス
パッタリング、CVD、溶融加工、焼結、圧縮などが用
いられる。また、後者の方法は、粉末状の電極材料をバ
インダーとともに混合して成形する。このバインダー材
料としてポリフッ化ビニリデン等のイオン伝導性高分
子、スチレン・ブタジエン系ラテックス、テフロン系ラ
テックス等の非イオン伝導性高分子、金属などが用いら
れる。また、重合性モノマーや架橋剤を添加しておき、
成形後に重合、架橋させることもできる。さらにバイン
ダーの強度向上、変性等の目的で電子線、γ線、紫外線
等の輻射エネルギーを照射することもできる。また、正
極または負極材料の電子移動を行うために電極に電気抵
抗の低い材料で集電体を設けることができ、集電体を基
板に上記の方法で形成した電極とすることができる。
【0030】本発明のハイブリッド電解質に上記電極を
接合させる方法としては、もちろん別途作製したハイブ
リッド電解質と電極を張り合わせればよいが、その他に
まず高分子多孔質成形体に電解液を含浸させ、その後に
電極を積層してから加熱する方法、高分子多孔質成形体
に電極を積層してから電解液を含浸させ、その後に加熱
する方法があり、そのどちらも採用することができる。
特に後者の場合は集電体にメッシュ状のものを用いるこ
とにより効率よく液を含浸させることもできる。また電
極積層体の形状としてはシート状やロール状、折りたた
み構造やシートの積層体とすることができる。電極を積
層する場合には、電極に電解液をあらかじめ含ませてお
いてもよい。このとき電解液の存在下、電解液を含浸し
た高分子多孔質成形体またはハイブリッド電解質と電極
との積層体を加熱することで両者の接着性を格段に高め
ることができる。
【0031】本発明のハイブリッド電解質を用いた電池
としては、リチウム電池をはじめとする1次電池や2次
電池を挙げることができる。以上のように、本発明のハ
イブリッド電解質は、高いイオン伝導度を有し、高温安
定性に優れ、そのうえ電極との接着性に優れた特徴を有
する。従って、この電解質シートを用いた電池はポリマ
ー電池としたときに極めて有用なものである。
【0032】
【発明の実施の形態】以下実施例によって本発明をさら
に詳細に説明する。測定は以下の方法で行った。 ・空隙率は、まず成形体の乾燥重量(A)を測定してお
き、次にこのサンプルをエタノールに浸漬して親水化し
た後、水中に浸漬して充分に水置換し、表面を拭き取っ
た後の重量(B)を測定した。これらの重量と成形体の
材質の真比重(d)から計算した。 空隙率=(B−A)/(A/d+B−A) ・ゲル分率および収縮率の測定は、以下のように行っ
た。まず作製したハイブリッド電解質の一部を切り出
し、エタノールで洗浄し、電解液を抽出して除き、室温
で真空乾燥して高分子成分の乾燥重量を求めた。このと
きの元のハイブリッド電解質に対する長さ方向の変化か
ら収縮率を求めた。次に該乾燥高分子成分を150メッ
シュのステンレス製金網に包み、該乾燥高分子成分の1
000倍以上の量のN,N−ジメチルアセトアミドとア
セトンの混合溶媒(容積比7:3)中で4時間加熱還流
した後、アセトンに5分間浸漬して洗浄し、70℃で6
時間真空乾燥後、抽出残留物の重量を求めた。このとき
の重量を、電解液を抽出した後の高分子成分の乾燥重量
で割った値をゲル分率とした。 ・イオン伝導度は、ハイブリッド電解質を金属電極で挟
み込むことで、電気化学セルを構成し、電極間に交流を
印可して抵抗成分を測定する交流インピーダンス法を用
いて行い、コールコールプロットの実数インピーダンス
切片から計算した
【0033】。
【実施例1】 <ハイブリッド電解質の作製>フッ化ビニリデン−ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体(ヘキサフルオロプロピ
レン5重量%)17.3重量部、平均分子量200のポ
リエチレングリコール11.5重量部、ジメチルアセト
アミド71.2重量部からなる溶液を作り、この溶液1
00gに対してポリオキシエチレンソルビタンモノオレ
エート(花王アトラス(株)製、商品名Tween8
0)を0.8ml加え、均一な溶液とした。その後に該
溶液を室温で、ガラス板上に液膜が200μmとなるよ
うにキャストした。直ちに70℃の水中に浸漬し、水、
アルコールで洗浄後乾燥して、膜厚52μm、空隙率7
6%の高分子多孔質薄膜を作成した。さらに該多孔質薄
膜に電子線照射(照射量15Mrad)し、架橋された
高分子多孔質薄膜を作成した。
【0034】エチレンカーボネート/プロピレンカーボ
ネートの1:1混合溶媒にLiBF 4 を1mol/リッ
トルの濃度で溶かした溶液を電解液として、上記架橋高
分子多孔質薄膜を室温で浸漬したところ、直ちに容易に
溶液が含浸した透明多孔質薄膜が得られた。含浸されな
かった過剰の溶液は拭き取って除去した。このとき含浸
によるサイズの変化は長さ方向で5%であった。該多孔
質薄膜を2枚のガラス板で挟み、100℃のオーブンで
2時間保持し、ハイブリッド電解質シートを作製した。
このとき、加熱によるサイズの変化は認められなかっ
た。該電解質シートの一部を切り出し、電解液を抽出
し、乾燥したときの収縮率は16%、得られた高分子成
分のゲル分率は62%であった。一方、上記架橋高分子
多孔質薄膜を同じ電解液に100℃で1時間浸漬したと
ころ、長さ方向で36%増加しており、膨潤する条件で
あることが確認できた。
【0035】上記ハイブリッド電解質シートを2枚のス
テンレスシートで挟み込み、ステンレスシートを電極と
してインピーダンス測定(EG&G社、389型インピ
ーダンスメーター)を行った結果、室温におけるイオン
伝導度は1.3mS/cmであった。 <電池の作製>水酸化リチウム、酸化コバルトを所定量
混合した後、750℃で5時間加熱して平均粒径10μ
mのLiCoO2 粉末を合成した。該粉末とカーボンブ
ラックを、ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業(株)
製、KF1100)のN−メチルピロリドン溶液(5重
量%)に混合分散してスラリーを作製した。尚、スラリ
ー中の固形分重量組成は、LiCoO2 (85%)、カ
ーボンブラック(8%)、ポリマー(7%)とした。こ
のスラリーをアルミ箔上にドクターブレード法で塗布乾
燥して膜厚110μmのシートを作製した。
【0036】次に平均粒径10μmのニードルコークス
粉末に、上記と同じポリフッ化ビニリデンのN−メチル
ピロリドン溶液(5重量%)を混合してスラリーを作製
した(乾燥重量混合比:ニードルコークス(92%)、
ポリマー(8%))。該スラリーを金属銅シートにドク
ターブレード法で塗布して乾燥膜厚120μmでフィル
ム(電極層)を形成した。LiCoO2 電極シート、ニ
ードルコークス電極シートをそれぞれ4cm角に切断
し、上記電解液を含浸した。上記架橋高分子多孔質薄膜
に室温で電解液を含浸して得られたシートを4.5cm
角に切断して、2枚の電極シートが該シートを挟むよう
に積層してニードルコークス(負極)/含浸シート/L
iCoO2 (正極)で接合した電池を形成した。該電池
を2枚のガラス板に挟んでクリップで止め、100℃で
2時間保持した後室温まで放冷し、ガラス板からはず
し、該電池の正極、負極にステンレス端子を取り付け、
端子の先が外に出るようにPET/Al/PEフィルム
に挟み、ラミネーターでラミネートしたシート電池を作
製した。
【0037】該電池を、充放電機(北斗電工製 101
SM6)を用い電流密度1mA/cm2 の電流密度で充
放電を行った。充電後の電極間電位は4.2V(定電流
後4.2V定電位充電)であり充電が確認できた。また
放電はカットオフ電圧2.7V定電流放電で行った結
果、初回充放電効率80%以上、2回目以降の充放電効
率は99%以上で繰り返し充放電が可能であり、2次電
池として作動することが確認できた。
【0038】該シート電池の充放電を10回繰り返した
後、ラミネートフィルムをはがし、取り出した電池から
電極をはがそうとしたが、集電体(金属シート)のみが
はがれ、電解質と電極をはがすことはできなかった。そ
こで、集電体をはがした状態で電極ごとエタノールで洗
浄し、電解液を抽出して除いた後、表面の大半の電極は
削って除去した。これを乾燥したときの収縮率は12
%、さらに残った電極層を削り落として得られたシート
について上記方法で求めたゲル分率は64%であった。
【0039】
【比較例1】実施例1で作製した高分子多孔質薄膜を4
cm角に切断し、電子線を照射することなく電解液を含
浸し、100℃に加熱したところ、円形に変形したシー
トが得られた。尚、該シートの高分子成分のゲル分率は
0%であった。また、加熱前の電解液含浸シートを用い
て実施例1と同様に電池を作製し、100℃に加熱した
ところ、短絡していて充電できなかった。
【0040】
【実施例2】フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体の代わりにポリフッ化ビニリデンホモポリ
マー(エルフアトケム製 Kynar460)を用いた
以外、実施例1と同様の方法で架橋した高分子多孔質薄
膜を作製した。膜厚は45μm、空隙率は71%であっ
た。該高分子多孔質薄膜を実施例1と同様に電解液に浸
漬したところ溶液が含浸した透明シートが得られ、この
ときのサイズの変化は長さ方向で3%であった。該シー
トを2枚のガラス板で挟み、120℃のオーブンで2時
間保持し、ハイブリッド電解質シートを作製した。この
とき、加熱によるサイズの変化は認められなかった。該
電解質シートの一部を切り出し、電解液を抽出し、乾燥
したときの収縮率は24%、得られた高分子成分のゲル
分率は69%であった。一方、該架橋高分子多孔質薄膜
を同じ電解液に120℃で1時間浸漬したところ、長さ
方向で40%増加しており、膨潤する条件であることが
確認できた。得られたハイブリッド電解質シートの室温
におけるイオン伝導度は1.1mS/cmであった。
【0041】実施例1で作製したLiCoO2 電極シー
ト、ニードルコークス電極シートをそれぞれ4cm角に
切断し、実施例1と同じ電解液を含浸した。上記電解質
シートを4.5cm角に切断して、2枚の電極シートが
該シートを挟むように積層してニードルコークス(負
極)/電解質シート/LiCoO2 (正極)で接合した
電池を形成した。該電池を120℃で1分間加熱プレス
し、該電池の正極、負極にステンレス端子を取り付け、
端子の先が外に出るようにPET/Al/PEフィルム
に挟み、ラミネーターでラミネートしたシート電池を作
製した。
【0042】該電池を実施例1と同様に充放電を行った
ところ、初回充放電効率80%以上、2回目以降の充放
電効率は99%以上で繰り返し充放電が可能であり、2
次電池として作動することが確認できた。該シート電池
の充放電を10回繰り返した後、ラミネートフィルムを
はがし、取り出した電池から電極をはがそうとしたが、
集電体(金属シート)のみがはがれ、電解質と電極をは
がすことはできなかった。
【0043】
【実施例3】フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体の代わりにポリフッ化ビニリデンホモポリ
マー(エルフアトケム製 Kynar740)を用いた
以外、実施例1と同様の方法で架橋した高分子多孔質薄
膜を作製した。膜厚は60μm、空隙率は77%であっ
た。該多孔質薄膜を実施例1と同様に電解液に浸漬した
ところ溶液が含浸した透明シートが得られ、このときの
サイズの変化は長さ方向で3%であった。該シートを2
枚のガラス板で挟み、120℃のオーブンで2時間保持
し、ハイブリッド電解質シートを作製した。このとき、
加熱によるサイズの変化は認められなかった。該電解質
シートの一部を切り出し、電解液を抽出し、乾燥したと
きの収縮率は24%、得られた高分子成分のゲル分率は
40%であった。一方、該架橋高分子多孔質薄膜を同じ
電解液に120℃で1時間浸漬したところ、長さ方向で
38%増加しており、膨潤する条件であることが確認で
きた。該ハイブリッド電解質シートの室温におけるイオ
ン伝導度は1.4mS/cmであった。
【0044】該電解質シートを用い、実施例2と同様に
シート電池を作製して充放電を行ったところ、初回充放
電効率80%以上、2回目以降の充放電効率は99%以
上で繰り返し充放電が可能であり、2次電池として作動
することが確認できた。該シート電池の充放電を10回
繰り返した後、ラミネートフィルムをはがし、取り出し
た電池から電極をはがそうとしたが、集電体(金属シー
ト)のみがはがれ、電解質と電極をはがすことはできな
かった。
【0045】
【比較例2】実施例2で膨潤条件の確認に用いたシー
ト、即ち同じ架橋高分子多孔質薄膜を用い、同じ電解液
に120℃で1時間浸漬して作製した電解質シートにつ
いて、その一部を切り出し、電解液を抽出し、乾燥した
ときの収縮率は36%、また得られた高分子成分のゲル
分率を測定したところ、86%であった。この電解質シ
ートの室温におけるイオン伝導度は1.8mS/cmで
あった。該電解質シートを用い、実施例2と同様にシー
ト電池を作製して充放電を10回繰り返したところ、各
回の充放電効率は不安定で一定しなかった。充放電を1
0回繰り返した後、ラミネートフィルムをはがし、取り
出した電池から電極をはがしたところ、部分的にLiC
oO2 やニードルコークス粒子は残るものの、電解質と
電極をほぼはがすことができた。
【0046】
【実施例4】市販のポリフッ化ビニリデン製多孔膜であ
るデュラポアGVHP(孔径0.22μm,膜厚125
μm、空隙率75% ミリポア製)に電子線照射(照射
量30Mrad)し、架橋した高分子多孔質薄膜を作製
した。該高分子多孔質薄膜を実施例1と同様に電解液に
浸漬したところ直ちに溶液が含浸した透明シートが得ら
れ、このときサイズは変化しなかった。該シートを2枚
のガラス板で挟み、120℃のオーブンで2時間保持
し、ハイブリッド電解質シートを作製した。このとき、
加熱によるサイズの変化は認められなかった。該ハイブ
リッド電解質シートの一部を切り出し、電解液を抽出
し、乾燥したときの収縮率は20%、得られた高分子成
分のゲル分率は72%であった。一方、該架橋高分子多
孔質薄膜を同じ電解液に120℃で1時間浸漬したとこ
ろ、長さ方向で40%増加しており、この温度が膨潤す
る条件であることが確認できた。得られたハイブリッド
電解質シートの室温におけるイオン伝導度は1.2mS
/cmであった。
【0047】該電解質シートを用い、実施例2と同様に
シート電池を作製して充放電を行ったところ、初回充放
電効率80%以上、2回目以降の充放電効率は99%以
上で繰り返し充放電が可能であり、2次電池として作動
することが確認できた。該シート電池の充放電を10回
繰り返した後、ラミネートフィルムをはがし、取り出し
た電池から電極をはがそうとしたが、集電体(金属シー
ト)のみがはがれ、電解質と電極をはがすことはできな
かった。
【0048】
【比較例3】フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(Kynar2801)2重量部、ジブチ
ルフタレート2重量部、アセトン10重量部を50℃で
溶解し、0.5mm厚にキャストしたものを風乾して膜
厚90μmのシートを作製した。該シートからジブチル
フタレートをエーテルで抽出して除き、乾燥して無孔質
のシートを作製した。該シートに電子線照射(照射量1
5Mrad)し、架橋したシートとした。該シートを実
施例1と同じ電解液に50℃で浸漬したところ、電解液
が含浸した電解質シートが得られた。このとき、含浸に
よるサイズの変化は長さ方向で25%の増加であった。
該電解質シートの一部を切り出し、電解液を抽出し、乾
燥したときの収縮率は25%、得られた高分子成分のゲ
ル分率は55%であった。また該電解質シートの室温に
おけるイオン伝導度は0.3mS/cmであった。該電
解質シートを用い、プレス温度を100℃とした以外、
実施例2と同様にシート電池を作製して充放電を10回
繰り返したところ、各回の充放電効率が低く、10回目
の放電容量は初回の40%まで低下していて2次電池と
しては極めて不充分なものであった。
【0049】
【実施例5】実施例1で作製した架橋高分子多孔質薄膜
を100℃に予熱したシャーレ上に置き、やはり100
℃に加熱した実施例1と同じ電解液を膜全体にまんべん
なく少量ずつ滴下した。滴下は白色部分がなくなった時
点で止めた。室温まで放冷後の含浸シートは長さ方向で
30%増加しており、膨潤していることが確認できた。
このようにして作製したハイブリッド電解質シートの一
部を切り出し、電解液を抽出し、乾燥したときの収縮率
は36%、得られた高分子成分のゲル分率は70%であ
った。また該電解質シートの室温におけるイオン伝導度
は1.6mS/cmであった。
【0050】該電解質シートを用い、プレス温度を10
0℃とした以外、実施例2と同様にシート電池を作製し
て充放電を行ったところ、初回充放電効率80%以上、
2回目以降の充放電効率は99%以上で繰り返し充放電
が可能であり、2次電池として作動することが確認でき
た。該シート電池の充放電を10回繰り返した後、ラミ
ネートフィルムをはがし、取り出した電池から電極をは
がそうとしたが、集電体(金属シート)のみがはがれ、
電解質と電極をはがすことはできなかった。
【0051】
【実施例6】実施例1で作製したLiCoO2 電極シー
ト、ニードルコークス電極シートをそれぞれ4cm角に
切断し、やはり実施例1で作製した架橋高分子多孔質薄
膜を4.5cm角に切断して、2枚の電極シートが該高
分子多孔質薄膜を挟むように積層してニードルコークス
(負極)/高分子多孔質薄膜/LiCoO2 (正極)で
接合した積層体を作製した。該積層体を2枚のガラス板
に挟んでクリップで止め、100℃に予熱して立ててお
き、やはり100℃に加熱した実施例1と同じ電解液を
ガラス板の間に少量ずつ滴下した。滴下は余分な液が下
に流れ出したところで止めた。室温まで放冷後、ガラス
板からはずし、該電池の正極、負極にステンレス端子を
取り付け、端子の先が外に出るようにPET/Al/P
Eフィルムに挟み、ラミネーターでラミネートしたシー
ト電池を作製した。
【0052】該電池を用い、実施例1と同様に充放電を
行ったところ、初回充放電効率80%以上、2回目以降
の充放電効率は99%以上で繰り返し充放電が可能であ
り、2次電池として作動することが確認できた。該シー
ト電池の充放電を10回繰り返した後、ラミネートフィ
ルムをはがし、取り出した電池から電極をはがそうとし
たが、集電体(金属シート)のみがはがれ、電解質と電
極をはがすことはできなかった。そこで、集電体をはが
した状態で電極ごとエタノールで洗浄し、電解液を抽出
して除いた後、表面の大半の電極は削って除去した。こ
れを乾燥したときの収縮率は14%、さらに残った電極
層を削り落として得られたシートについて上記方法で求
めたゲル分率は65%であった。
【0053】
【発明の効果】本発明のハイブリッド電解質は、高いイ
オン伝導度を有し、高温安定性に優れ、そのうえ電極と
の接着性にも優れた特徴を有する材料であり、これを用
いた電池は電極とハイブリッド電解質の密着性が高いこ
とから優れた電池特性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08J 9/28 101 C08J 9/28 101

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋された高分子多孔質成形体が電解液
    で膨潤されてなるハイブリッド電解質において、該ハイ
    ブリッド電解質中の該高分子成分のゲル分率が20〜7
    5%の範囲にあるハイブリッド電解質。
  2. 【請求項2】 高分子多孔質成形体がポリフッ化ビニリ
    デン系多孔質成形体である請求項1記載のハイブリッド
    電解質。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のハイブリッド電
    解質を介して電極が接合されてなる電池。
JP9112427A 1997-04-17 1997-04-30 ハイブリッド電解質および電池 Withdrawn JPH113717A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010282976A (ja) * 1998-01-30 2010-12-16 Celgard Inc ゲル電解質電池の分離器
KR101025394B1 (ko) 2004-10-28 2011-03-28 닛토덴코 가부시키가이샤 다공질 필름
WO2019176223A1 (ja) 2018-03-14 2019-09-19 株式会社クレハ 非水電解質二次電池用のポリマーゲル電解質および非水電解質二次電池

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