JPH10294130A - 非水系電池用ハイブリッド電解質及び非水系電池 - Google Patents

非水系電池用ハイブリッド電解質及び非水系電池

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JPH10294130A
JPH10294130A JP9101384A JP10138497A JPH10294130A JP H10294130 A JPH10294130 A JP H10294130A JP 9101384 A JP9101384 A JP 9101384A JP 10138497 A JP10138497 A JP 10138497A JP H10294130 A JPH10294130 A JP H10294130A
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electrolyte
battery
sheet
polymer
aqueous
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JP9101384A
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Nobuhito Hoshi
星  信人
Masakatsu Kuroki
正勝 黒木
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いイオン伝導度を有し、電解液の保持性に
優れ、且つ大きな電流密度でも高い電池性能を示す電解
質シート及びこれを用いた電池を提供する。 【解決手段】 貫通孔を有する高分子多孔膜に、常圧で
含浸可能な電解液が、実質的に膨潤することなく充填さ
れてなるハイブリッド電解質シートであって、(A)該
電解質シートを濾紙で挟み、0.25kg/cm2 の荷
重を2時間かけたときの該電解液の保持率が、荷重をか
ける前の50%以上、(B)25℃で1atm の静水圧を
かけたときの該電解液の透液量が50kg/hr・m2
・atm以上、の要件を満たす非水系電池用ハイブリッ
ド電解質シート、および該電解質シートを介して電極が
接合されてなる電池である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水系電池用ハイ
ブリッド電解質シート及び該電解質シートを用いた非水
系電池に関する。さらに詳しくは電解液の保持性に優
れ、かつ大きな電流密度でも高い電池性能を示す非水系
電池用ハイブリッド電解質シート及び該電解質シートを
用いた非水系電池に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、携帯電話やパソコン等の小型化、
軽量化のために高エネルギー密度の電池が要求され、こ
れに対応する電池として非水系のリチウムイオン電池が
開発されている。この電池の正極および負極の電極間に
は電解液に膨潤することのない、多孔質のセパレーター
が配置されているが、セパレーターに含浸させた電解液
の漏出を防ぐため、電池構造体全体を重厚な金属容器で
パッケージされたものが製品化されている。
【0003】一方、多孔質セパレーターの代わりに固体
電解質を用いた固体電池は、液漏れがないため電池の信
頼性、安全性が向上するとともに、薄膜化や積層体形
成、パッケージの簡略化、軽量化が期待されている。特
にイオン伝導性高分子を用いた高分子固体電解質は、加
工柔軟性を有するため電極との積層構造体形成、電極の
イオン吸蔵放出による体積変化に追随した界面保持がで
きるなど好ましい性質を有すると期待されている。
【0004】このような高分子固体電解質の試みとして
は、Wrightによりポリエチレンオキサイドのアル
カリ金属塩複合体が、British Polymer
Journal,7卷 p.319(1975)に報
告されて以来、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレ
ンオキサイドなどのポリエーテル系材料をはじめ、ポリ
ホスファゼン、ポリシロキサンなどを骨格とした高分子
固体電解質材料が活発に研究されている。このような高
分子固体電解質は、通常は高分子中に電解質が均一固溶
した形態をとり、ドライ系高分子固体電解質として知ら
れているが、そのイオン伝導度は電解液に比較して著し
く低く、これを用いて構成した電池は充放電電流密度が
限定され、電池抵抗が高いなどの問題を有していた。
【0005】そのためより電解液に近い状態を形成させ
ることでイオン伝導度を向上させようとする試みが種々
提案されている。例えば、電解質の解離度を向上した
り、高分子の分子運動を促進してイオン伝導度を向上さ
せる目的で電解質溶媒等の可塑剤を添加したゲル電解質
が知られているが(特開昭57−143356号公報
等)、それでもそれほど大きな充放電電流密度は得られ
ず、電池に用いたときの性能は充分なものではなかっ
た。
【0006】これに対して、従来のセパレーターのよう
に高分子多孔質膜に電解液を充填したものであっても、
多孔質膜の孔径と電解液の組み合わせによっては、電解
液が不動化され、固体電解質として機能することも知ら
れている(特開平1−158051号公報等)。しか
し、この場合には本質的にポリオレフィンが電解液との
親和性に乏しいため、液の保持性を高めるためには、孔
径は極めて小さなものとする必要があり、その中に電解
液を充填するのは減圧にする必要があるなど、著しく困
難なものであった。また、報告されているイオン伝導度
も低いものであった。
【0007】もちろんその他の従来の電池用セパレータ
ーも高分子多孔質膜に電解液を充填した形態で用いられ
るものであるが、液系電池として金属缶中に封入された
状態で使われるため、漏液性は全く考慮されていなかっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電解液の保
持性に優れ、かつ大きな電流密度でも高い電池性能を示
す非水系電池用ハイブリッド電解質シート及び該電解質
シートを用いた電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の従来
技術の問題点に鑑み、検討を重ね本発明に至った。すな
わち、本発明は、(1) 貫通孔を有する高分子多孔膜
に、常圧で含浸可能な非水系電解液が、実質的に膨潤す
ることなく充填されてなるハイブリッド電解質シートで
あって、且つ下記(A)及び(B)の要件を満たす非水
系電池用ハイブリッド電解質シート、 (A) 該ハイブリッド電解質シートを濾紙で挟み、
0.25kg/cm2 の荷重を2時間かけたときの該非
水系電解液の保持率が、荷重をかける前の50%以上。 (B) 25℃で1atmの静水圧をかけたときの該非
水系電解液の透液量が50kg/hr・m2 ・atm以
上。
【0010】(2) ハイブリッド電解質シートに充填
された非水系電解液を構成する非水系溶媒の1種又は2
種以上の成分の各々の沸点が160℃以上である上記
(1)の非水系電池用ハイブリッド電解質シート、
(3) 上記(1)又は(2)の非水系電池用ハイブリ
ッド電解質シートを介して電極が接合されてなる非水系
電池、である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
いうハイブリッド電解質とは、液を含まないドライ系固
体電解質と、従来からの液系電解質の中間的な性質を有
する電解質で、電解液を含みながらもその保持性を高め
ることで固体電解質様の特性を持たせたものである。そ
の中で本発明のハイブリッド電解質は、貫通孔を有する
高分子多孔膜に非水系電解液が実質的に膨潤することな
く充填されてなるものであり、実質的に膨潤することな
く充填されていながら、下記(A)及び(B)の要件を
満たすことで、電解液の保持性の高い、且つ大きな電流
密度でも高い電池性能を示すことを可能とするものであ
る。 (A) 該ハイブリッド電解質シートを濾紙で挟み、
0.25kg/cm2 の荷重を2時間かけたときの該非
水系電解液の保持率が、荷重をかける前の50%以上。 (B) 25℃で1atmの静水圧をかけたときの該非
水系電解液の透液量が50kg/hr・m2 ・atm以
上。
【0012】本発明のハイブリッド電解質は電解液の保
持性が高いことが特徴である。ドライ系固体電解質を用
いた電池はもちろん、ハイブリッド電解質を用いたポリ
マー電池においても液漏れしないことが期待されている
が、実際には電解液を多量に含むゲル電解質や、従来の
多孔膜に電解液を充填させた電解質では滲み出しや流れ
出しによる漏液性が懸念されている。
【0013】従来のセパレーターのようにポリオレフィ
ン等の多孔膜に電解液を充填させただけの電解質では、
機械的強度は高いものの、一般には電解液を積極的に保
持させておく機能を有さないため、容易に液は流出しう
るものであった。しかしながら、本発明は、上記(A)
ハイブリッド電解質シートを濾紙で挟み、0.25kg
/cm2 の荷重を2時間かけたときの該非水系電解液の
保持率が、荷重をかける前の50%以上と、電解液の保
持性の高い、耐漏液性のハイブリッド電解質である。
【0014】電解液の保持性は以下の方法で規定するこ
とができる。即ち、電解液で膨潤した電解質シートを2
枚の濾紙で挟み、一定荷重を一定時間かけたときの該電
解液の保持率として求めるというものである。ここでは
荷重は2cm×2cmのサンプルに対して1kg、即ち
0.25kg/cm2 とし、荷重をかける時間は2時間
とした。漏液性の荷重への依存性はそれほど大きなもの
ではなく、また2時間でほぼ定常状態に達するからであ
る。用いられる濾紙は例えばセルロース製の一般的な濾
紙でよく、このようなものとしては東洋濾紙製のNo.
5B濾紙(JIS規格P3801に規定される5種B)
が挙げられる。濾紙のサイズは、効率よく液を吸い取る
ため、サンプルサイズよりもわずかに大きなものとす
る。本発明において用いられる高分子多孔膜の膜厚は、
一般的には1〜500μm程度のものが用いられるが、
この膜厚範囲においては電解質シートにかける荷重は一
定の0.25kg/cm2 でかまわない。
【0015】電解液の保持率は、荷重をかける前に含ま
れていた電解液のうち、荷重を2時間かけた後に残った
電解液量として表される。この方法で規定すると、従来
のセパレーターに電解液を充填させた場合は電解液をほ
とんど保持させることはできない。そこでより電解液の
保持性に優れたハイブリッド電解質を追求したところ、
本発明のような電解液の保持率が50%以上、特に優れ
た材料では保持率が60%以上のハイブリッド電解質材
料を得ることができた。実際の電池には濾紙のような、
積極的に液を吸い取る材料は入っていないので、この方
法で示されるほど液が漏出するものではないが、相対的
には漏液性の高さを表すものである。
【0016】本発明のハイブリッド電解質に充填される
非水系電解液は、本発明で用いられる高分子多孔膜に常
圧で含浸可能なものである。即ち、常圧で電解液に浸漬
しただけで含浸できるものである。含浸されているかど
うかは、一般に白色の多孔膜全体が透明になったことで
判断することができる。液系の非水系電池に用いられて
いるポリオレフィン系セパレーターでは電解液が含浸し
にくいため、一般に減圧下で含浸されるが、ここでは常
圧で24時間以上要するものは本発明における含浸可能
とはいえない。
【0017】常圧で含浸可能かどうかは電解液組成や多
孔膜構造、材質に依存するが、一方でこれらの要因は電
池性能や安全性に強くかかわるので、これらの性能を損
なわない条件を設定する必要がある。例えば多孔膜構造
においては孔径を大きくすることで含浸性を高めること
ができるが、漏液性を低く抑えるためには孔径は小さく
する必要がある。また、電解液として粘度の低いものを
用いれば含浸しやすくできるが、あまり低沸点の溶媒を
用いると安全上好ましくない。
【0018】ところで、一般に電池では出力の電流密度
を大きくすると、内部抵抗や濃度過電圧等が原因で容量
が低下することがある。特に内部抵抗の大きなハイブリ
ッド電解質を用いた非水系電池においてはその傾向が著
しい。本発明のハイブリッド電解質は、これを非水系電
池に用いたときに大きな電流密度でも容量が低下しにく
いことが特長である。例えば充放電可能な2次電池にお
いて、1mA/cm2のような低い電流密度と、3mA
/cm2 のような高い電流密度とで放電容量に大きな差
がないことを意味する。
【0019】本発明者らは、この特性が単にハイブリッ
ド電解質のイオン伝導度を高めたり抵抗を低くするだけ
では得られず、該電解質中に用いられる電解液の透液量
を高めることではじめて達成できることを見いだした。
即ち、25℃で1atmの静水圧をかけたときの電解液
の透液量が50kg/hr・m2 ・atm以上であるこ
とが要件である。好ましくは75kg/hr・m2 ・a
tm以上、さらに好ましくは100kg/hr・m2
atm以上である。一方、高い電池性能を得る上では透
液量に上限はないが、透液量が大きすぎると漏液性が大
きくなったり、デンドライトと呼ばれる樹枝状の金属の
電析物による短絡の恐れがあるので、10000kg/
hr・m2 ・atm以下が好ましく、5000kg/h
r・m2・atm以下がさらに好ましく、2000kg
/hr・m2 ・atm以下がさらに好ましい。
【0020】ここで透液量の測定は次のような方法で行
われる。即ち、直径25mmに打ち抜いたハイブリッド
電解質膜を、有効面積3.5cm2 のメンブランフィル
ターホルダーに組み込み、該ハイブリッド電解質中に含
まれる電解液と同じ電解液を充たし、25℃で1atm
の静水圧をかけたときの該電解液の透過量を測定する。
【0021】尚、ウルトラフィルターのような多孔膜に
ついては一般に透水量によりその特性が評価されるが、
本発明において用いられる高分子多孔膜は電解液との親
和性に富むため、ハイブリッド電解質シートにおいて
は、一般に水と接した場合とはその多孔構造が異なって
おり、上記透液量は原反の透水量とは相関せず、もはや
全く異なる概念である。
【0022】本発明のハイブリッド電解質シートは、多
孔膜に非水系電解液が実質的に膨潤することなく充填さ
れてなるものである。ここで本発明でいう膨潤について
説明すると、一般にポリマーが多量の溶媒や溶液で自由
に膨潤した場合大幅な体積増加を伴い、サイズが変化す
る。多くの場合は全ての方向に膨張するが、延伸などで
応力がかかっていた場合には応力が緩和され、方向によ
っては縮小することもあるが、いずれにしても膨潤した
場合には大きな変形が起こる。逆にポリマーを多量の電
解液に浸漬して電解液が含浸してもポリマーが膨潤して
いなければ変形はほとんど起こらない。実際上、本発明
においては高分子多孔膜を電解液中で自由に含浸させた
ときに、変形が長さ方向で10%以内、好ましくは5%
以内であれば、該条件下において該高分子多孔膜は実質
的に電解液で膨潤しないものとみなす。逆に本発明にお
いては高分子多孔膜を電解液中で自由に含浸させたとき
に、変形が長さ方向で10%を越えれば、該条件下にお
いて該高分子多孔膜は実質的に電解液で膨潤するものと
みなす。尚、膨潤するかしないかはポリマーと電解液が
接触している時間にも左右されるが、ここでは1時間程
度の接触でほとんど変形しなければ実質的に膨潤してい
ないものとみなす。
【0023】尚、膨潤した場合に変形が起こるのは、高
分子多孔膜を充分な液量の電解液中で自由に含浸させ、
膨潤が自由に行い得る場合であって、限られた液量の電
解液の存在下においては、膨潤していても長さ方向の変
形が起こらない場合も存在する。このことから、膨潤す
るような温度、圧力等の条件で、限られた液量の電解液
の存在下に高分子多孔膜を置いた場合には、長さ方向で
10%を越える変形がない場合でも、該高分子多孔膜は
該電解液で膨潤しているものとする。事実、環境型SE
Mでの観測から膨潤していることが確認されている。
【0024】本発明のハイブリッド電解質シートは、高
分子多孔膜に電解液が、実質的に膨潤することなく充填
されてなるものである。該高分子多孔膜をなすポリマー
種は非水系電池で用いられる電解液に実質的に膨潤しな
いものであれば差し支えないが、電解液との親和性が高
く、電気化学的に安定なものが好ましく、またイオン伝
導性を有するポリマー種が好ましい。このようなポリマ
ー種として具体的には、ポリフッ化ビニリデン系重合
体、ポリアクリロニトリル系重合体等を挙げることがで
きる。またこれらを主として含む共重合体、例えばフッ
化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フ
ッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、アク
リロニトリル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等
もまた用いることができる。
【0025】これらの高分子多孔膜は架橋された状態で
用いることもできる。架橋構造を有することで高い高温
安定性が得られる。この架橋構造は重合時、多孔膜の形
成前、形成後のどの段階でも導入することができる。架
橋の方法としては重合時に多官能のモノマーを用いる方
法、重合後に電子線、γ線、X線、紫外線等の輻射エネ
ルギーを照射する方法、やはり重合後にラジカル開始剤
を含有させて熱や輻射エネルギー照射により反応させる
方法等を用いることができる。重合後に架橋構造を導入
する場合、新たに単官能または/および多官能のモノマ
ー成分を共存させておくこともできる。これらの方法の
中でも、夾雑物や未反応官能基が残存しにくいので、重
合後に電子線、γ線、X線、紫外線等の輻射エネルギー
を照射する方法が好ましい。
【0026】本発明のハイブリッド電解質の素材として
は貫通孔を有する多孔質材料が用いられるが、これは電
解質にしたときのイオン伝導度が高いこと、電解液の含
浸性が高いことによる。本発明のハイブリッド電解質の
素材である高分子多孔膜の空隙率は10〜95%の範囲
にあることが好ましく、さらに好ましくは20〜90
%、さらに好ましくは40〜85%である。10%未満
では電解質を形成したときのイオン伝導度が充分に高く
なく、また95%を越えると充分な強度が得られにく
い。
【0027】高分子多孔膜の膜厚は、一般的には1〜5
00μm程度のものが用いられ、好ましくは5〜300
μm、さらに好ましくは10〜150μmがよい。1μ
m未満では強度が不足し、電極間でショートしやすくな
り、500μmを越える膜厚では膜全体の実効電気抵抗
が高くなりすぎるうえ、電池に用いたときの体積当たり
のエネルギー密度が低くなりすぎる。
【0028】本発明で用いられる、貫通孔を有する高分
子多孔膜の製造法は、電解液の保持性を高めるものであ
れば特に限定されないが、例えば一般にマイクロフィル
ターやウルトラフィルターを製造する方法を利用するこ
とができ、例として特開平3−215535号公報に記
載の方法や特公昭61−38207号公報に記載の方
法、特開昭54−16382号公報に記載の方法を利用
することができる。具体的には溶融法や湿式法が挙げら
れ、溶融法は重合体を可塑剤や無機粉体等と共に溶融
後、平膜状に成形し、その後に可塑剤や無機粉体等を抽
出除去するものである。また湿式法は重合体を界面活性
剤や添加剤等と共に溶媒に溶解しておき、これを液膜状
で非溶媒中に浸漬することで凝固させ、溶媒や界面活性
剤や添加剤等は洗浄除去するものである。本発明のハイ
ブリッド電解質に用いうる貫通孔構造の高分子多孔膜
は、非水系電解液と親和性の高いポリマーを用い、この
ような方法の中で適当な条件を選択することで得ること
ができる。この場合、片面あるいは両面にスキン層を有
する構造、孔の構造としてスポンジ構造やフィンガーボ
イド構造を有するものなど多彩なデザインが可能である
が、少なくともセルサイズが巨大なボイド構造を有する
ものは、電解液の保持性を損なうので好ましくない。一
方、孔径の小さなスポンジ構造からなる多孔膜は好まし
い構造の1例である。
【0029】ポリマー種として例えばポリフッ化ビニリ
デン系重合体を用い、湿式法で製造する場合を例に説明
すると、具体的には溶媒としてジメチルアセトアミド、
ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、アセト
ン等を用い、さらに一般的にはポリエチレングリコール
やポリビニルピロリドン等の両親媒性の添加剤を適量加
え、必要によりさらにポリエチレングリコール誘導体等
の界面活性剤を加えてポリマーとともに溶液とする。ポ
リマー濃度は10〜30重量%の範囲が好ましい。また
添加剤の量は25重量%以内が好ましい。非溶媒として
は一般に水が用いられるが、充分な量の透液量が得にく
い場合には上記ポリマーの溶媒を混合しておくこともで
きる。用いるポリマーの分子量が大きくなるほど添加剤
の量は多い方が好ましく、ポリマー溶液や非溶媒の温度
は低い方が好ましく、非溶媒に加える溶媒は多い方が好
ましい。膜厚は薄い方が大きな透液量が得られる。
【0030】上記高分子多孔膜に非水系電解液を充填し
てハイブリッド電解質とするには、該高分子多孔膜を膨
潤しないような条件下で非水系電解液に浸漬して含浸さ
せるだけでよい。本発明のハイブリッド電解質シートに
含まれる電解液としては一般には以下のようなものが用
いられる。まず、溶液中に含まれる電解質化合物として
は無機塩、有機塩、無機酸、有機酸のいずれも使用可能
である。この例として、たとえばテトラフルオロホウ
酸、ヘキサフルオロリン酸、過塩素酸、ヘキサフルオロ
砒素酸、リン酸などの無機酸、トリフルオロメタンスル
ホン酸、ヘプタフルオロプロピルスルホン酸、ビス(ト
リフルオロメタンスルホニル)イミド酸、酢酸、トリフ
ルオロ酢酸、プロピオン酸などの有機酸、およびこれら
有機酸、無機酸の塩が挙げられる。これらは単独で用い
ることもできるし、複数の電解質化合物を混合して用い
ることも可能である。この塩型の電解質化合物のカチオ
ンとしてアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、
希土類金属などの単独または混合状態で用いることがで
きる。
【0031】このカチオン種は使用する用途によって好
ましい種が異なる。たとえば、本発明の電解質シートを
用いてリチウム電池を構成する場合は、添加する電解質
化合物としてリチウム塩を用いることが好ましい。特
に、リチウム2次電池の場合、広い電位領域を使用する
ため、電解質化合物として電気化学的に安定なリチウム
塩が好ましく、この例として、CF3 SO3 Li、C4
9 SO3 Liなどのフルオロアルキルスルホン酸リチ
ウム塩、(CF3 SO2 2 NLi等のスルホニルイミ
ドリチウム塩、LiBF4 、LiPF6 、LiCl
4 、LiAsF6 を挙げることができる。
【0032】次にこれらの電解質化合物を溶解する非水
系溶媒としては、化学的に安定で電解質化合物を溶解す
るものであればよいが、特にリチウム電池として使用す
る場合には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボ
ネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、メチルエチルカーボネート等のカーボネート化合
物、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジグライ
ム、トリグライム、テトラグライム、オリゴエチレンオ
キシド等のエーテル化合物、ブチロラクトン、プロピオ
ラクトン等のラクトン化合物、アセトニトリル、プロピ
オニトリル等のニトリル化合物等を挙げることができ、
これらは単独で用いることもできるし、混合して用いる
こともできる。これらの溶媒の中で、粘度の低い溶媒の
方が高分子多孔膜への含浸性が高く、電解液にしたとき
にも本発明で規定する透液量が大きくなるので好ましい
が、一方ではポリマー電池のような軽量、簡易なパッケ
ージで用いるためには沸点は高い方が好ましい。具体的
には電解液を構成する非水系溶媒の各成分の沸点は16
0℃以上であることが好ましく、200℃以上であるこ
とがさらに好ましい。一方、沸点の上限は特に限定され
ないが、沸点が高すぎると一般に高粘度である場合が多
いので、概ね350℃以下の溶媒が好ましい。尚、ここ
では非水系溶媒の1種または2種以上の成分とは、非水
系溶媒を構成する成分であって5体積%以上程度を占め
る成分であり、不純物や微量の添加剤成分等は含めな
い。
【0033】次に、本発明のハイブリッド電解質を用い
た電池について説明する。本発明の電池において、用い
られる電極材料は電池の種類により異なるが、例えばリ
チウム電池の場合、正極および負極としてリチウムの吸
蔵放出が可能な物質が用いられる。この正極物質とし
て、負極に対し高い電位を有する材料を選ぶ。この例と
して、Li1-x CoO2 、Li1-x NiO2 、Li1-x
Mn2 4 、Li1-x MO2 (0<x<1)(MはC
o、Ni、Mn、Feの混合体)、Li 2-y Mn2 4
(0<y<2)、Li1-x 2 5 、Li2-y 2 5
(0<y<2)、Li1.2-x'Nb2 5 (0<x’<
1.2)、などの酸化物、Li1-xTiS2 、Li1-x
MoS2 、Li3-z NbSe3 (0<z<3)、などの
金属カルコゲナイド、ポリピロール、ポリチオフェン、
ポリアニリン、ポリアセン誘導体、ポリアセチレン、ポ
リチエニレンビニレン、ポリアリレンビニレン、ジチオ
ール誘導体、ジスルフィド誘導体などの有機化合物を挙
げることができる。
【0034】また負極として、上記正極に対して低い電
位を有する材料を用いる。この例として、金属リチウ
ム、アルミニウム・リチウム合金、マグネシウム・アル
ミニウム・リチウム合金などの金属リチウム、グラファ
イト、コークス、低温焼成高分子などの炭素系材料、酸
化チタン、酸化鉄などの金属酸化物にリチウム固溶体な
どのセラミックス等が挙げられる。ただし、リチウムイ
オンを負極で還元して金属リチウムとして利用する場合
は、導電性を有する材料であればよいので上記に限定さ
れない。
【0035】このような正極及び負極は上記の材料を所
定の形状に成形加工する。電極の形態として、連続体ま
たは粉末材料のバインダー分散体のいずれも使用可能で
ある。前者の連続体の成形方法として、電解、蒸着、ス
パッタリング、CVD、溶融加工、焼結、圧縮などが用
いられる。また、後者の方法は、粉末状の電極材料をバ
インダーとともに混合して成形する。このバインダー材
料としてポリフッ化ビニリデン等のイオン伝導性高分
子、スチレン・ブタジエン系ラテックス、テフロン系ラ
テックス等の非イオン伝導性高分子、金属などが用いら
れる。また、重合性モノマーや架橋剤を添加しておき、
成形後に重合、架橋させることもできる。さらにバイン
ダーの強度向上、変性等の目的で電子線、γ線、紫外線
等の輻射エネルギーを照射することもできる。また、正
極または負極材料の電子移動を行うために電極に電気抵
抗の低い材料で集電体を設けることができ、集電体を基
板に上記の方法で形成した電極とすることができる。
【0036】本発明のハイブリッド電解質に上記電極を
接合させる方法としては、もちろん別途作製したハイブ
リッド電解質シートと電極を張り合わせればよい。また
電極積層体の形状としてはシート状やロール状、折りた
たみ構造やシートの積層体とすることができる。電極を
積層する場合には、電極に電解液や電解質を含むポリマ
ー等をあらかじめ含ませておいてもよい。
【0037】本発明のハイブリッド電解質を用いた電池
としては、リチウム電池をはじめとする1次電池や2次
電池を挙げることができる。以上のように、本発明のハ
イプリッド電解質は、電解液の保持性に優れ、かつ非水
系電池に用いたときに大きな電流密度でも高い電池性能
を示す。従って、この電解質シートを用いた非水系電池
は安全性が高く、ポリマー電池として有用なものであ
る。
【0038】
【発明の実施の形態】以下実施例によって本発明をさら
に詳細に説明する。尚、測定は下記の通り行った。 ・漏液性は、2cm×2cmの大きさの電解液シート
を、それよりわずかに大きいサイズの2枚の濾紙(東洋
濾紙製No.5B(JIS規格P3801、5種B))
で挟み、さらにスライドガラスで挟んで1kgの重りを
載せ、室温で2時間保持し、前後の重量変化から求め
た。 ・透液量は、直径25mmに打ち抜いた電解質膜を、有
効面積3.5cm2 のメンブランフィルターホルダーに
組み込み、電解質中に含まれる電解液と同じ電解液を充
たし、25℃で1atmの静水圧をかけたときの5分間
の該電解液の透過量から計算した。 ・イオン伝導度は、電解液シートを金属電極で挟み込む
ことで電気化学セルを構成し、電極間に交流を印可して
抵抗成分を測定する交流インピーダンス法を用いて行
い、コールコールプロットの実数インピーダンス切片か
ら計算した。 ・電池性能の電流密度依存性(レート特性)は、リチウ
ムイオン電池用の電極を用いた2次電池を構成し、充電
は定電流充電後4.2V定電位充電で行い、放電はカッ
トオフ電圧2.7V定電流放電で充放電を行ったときの
充放電特性から評価した。まず1mA/cm2 の電流密
度で10回の充放電を行い、続いて3mA/cm2 の電
流密度で充放電を10回繰り返し、レート特性は10回
目(1mA/cm2 )の放電容量に対する20回目(3
mA/cm2 )の放電容量の比として求めた。
【0039】
【実施例1】ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業
(株)製 KF1100)17.3重量部、平均分子量
200のポリエチレングリコール11.5重量部、ジメ
チルアセトアミド71.2重量部からなる溶液を作り、
この溶液100gに対してポリオキシエチレンソルビタ
ンモノオレエート(花王アトラス(株)製、商品名Tw
een80)を0.8ml加え、均一な溶液とした。そ
の後に該溶液を室温で、ガラス板上に液膜が100μm
となるようにキャストした。直ちに室温で水中に浸漬
し、水、アルコールで洗浄後乾燥して膜厚59μm、空
隙率85%の多孔質シートを作成した。さらに該多孔質
シートに電子線照射(照射量30Mrad)し、架橋し
た高分子多孔膜を作成した。
【0040】上記架橋高分子多孔膜を、エチレンカーボ
ネート/プロピレンカーボネート/γ−ブチロラクトン
の1:1:2混合溶媒にLiBF4 を1.5mol/リ
ットルの濃度で溶かした溶液を電解液として室温で浸漬
したところ、直ちに溶液が含浸し、透明なハイブリッド
電解質シートが得られた。このとき含浸によるサイズの
変化は長さ方向で5%であり、実質的に膨潤していない
ことが確認できた。
【0041】該電解質シートについて、上記方法で測定
した電解液の保持率は77%、透液量は622kg/h
r・m2 ・atmであった。また上記電解液シートを2
枚のステンレスシートで挟み込み、ステンレスシートを
電極としてインピーダンス測定(EG&G社、389型
インピーダンスメーター)を行った結果、室温における
イオン伝導度は1.6mS/cmであった。
【0042】レート特性は、以下のような電極を用いた
2次電池を構成し、その充放電特性から評価した。ま
ず、平均粒径10μmのLiCoO2 粉末とカーボンブ
ラックを、ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業製、K
F1100)のN−メチルピロリドン溶液(5重量%)
に混合分散してスラリーを作製した。尚、スラリー中の
固形分重量組成は、LiCoO2 (89%)、カーボン
ブラック(8%)、ポリマー(3%)とした。このスラ
リーをアルミ箔上にドクターブレード法で塗布、乾燥し
て膜厚110μmのシートを作製した。
【0043】次に平均粒径10μmのニードルコークス
粉末をカルボキシメチルセルロース溶液とスチレンブタ
ジエンラテックス(旭化成工業製、L1571)分散液
混合体に分散してスラリーを作製した。尚、スラリー中
の固形分重量組成は、ニードルコークス/カルボキシメ
チルセルロース/スチレンブタジエン=100/0.8
/2とした。該スラリーを金属銅シートにドクターブレ
ード法で塗布、乾燥して膜厚120μmでフィルム(電
極層)を形成した。
【0044】LiCoO2 電極シート、ニードルコーク
ス電極シートをそれぞれ2cm角に切断し、作製した電
解質シートを2.3cm角に切断して、2枚の電極シー
トが該シートを挟むように積層してニードルコークス
(負極)/電解質シート/LiCoO2 (正極)で接合
した電池を形成した。ついで該電池の正極、負極にステ
ンレス端子を取り付け、ガラスセルの端子にそれぞれ接
続してアルゴン雰囲気中で封入した。
【0045】該電池について充放電機(北斗電工製 1
01SM6)を用い、充放電を行ってレート特性を評価
したところ、10回目(1mA/cm2 )の放電容量に
対する20回目(3mA/cm2 )の放電容量の比は9
7%であった。
【0046】
【実施例2】市販のポリフッ化ビニリデン系多孔膜(ミ
リポア社製、デュラポアVVLP、孔径0.1μm、膜
厚125μm、空隙率70%)に実施例1と同じ電解液
を室温で浸漬したところ、直ちに溶液が含浸した、透明
な電解質シートが得られた。このとき含浸によるサイズ
の変化はみとめられず、実質的に膨潤していないことが
確認できた。
【0047】該電解質シートについて、上記方法で測定
した電解液の保持率は78%、透液量は421kg/h
r・m2 ・atmであった。また上記電解液シートの室
温におけるイオン伝導度は1.1mS/cmであった。
実施例1と同様の電池を構成して充放電を行ったとこ
ろ、10回目(1mA/cm2 )の放電容量に対する2
0回目(3mA/cm2 )の放電容量の比は92%であ
った。
【0048】
【実施例3】フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(エルフアトケム製、Kynar285
0)17重量部、ポリビニルピロリドン(K−30)1
5重量部、N−メチルピロリドン68重量部からなる溶
液を作り、該溶液を50℃で、ガラス板上に液膜が10
0μmとなるようにキャストした。直ちにN−メチルピ
ロリドン/水の混合溶媒(重量比82/18)中に室温
で浸漬し、水、アルコールで洗浄後乾燥して膜厚45μ
m、空隙率80%の多孔質シートを作成した。さらに該
多孔質シートに電子線照射(照射量10Mrad)し、
架橋した高分子多孔膜を作成した。
【0049】該高分子多孔膜を実施例1と同じ電解液に
室温で浸漬したところ、直ちに溶液が含浸し、透明なハ
イブリッド電解質シートが得られた。このとき含浸によ
るサイズの変化は長さ方向で5%であり、実質的に膨潤
していないことが確認できた。該電解質シートについ
て、上記方法で測定した電解液の保持率は72%、透液
量は187kg/hr・m2 ・atmであった。また上
記電解液シートの室温におけるイオン伝導度は1.3m
S/cmであった。実施例1と同様の電池を構成して充
放電を行ったところ、10回目(1mA/cm2 )の放
電容量に対する20回目(3mA/cm2 )の放電容量
の比は92%であった。
【0050】
【比較例1】実施例1で調製した溶液を室温で、ガラス
板上に液膜が250μmとなるようにキャストした。直
ちに70℃の水中に浸漬し、水、アルコールで洗浄後乾
燥して膜厚137μm、空隙率81%の多孔質シートを
作成した。さらに該多孔質シートに電子線照射(照射量
30Mrad)し、架橋した高分子多孔膜を作成した。
【0051】該高分子多孔膜を実施例1と同じ電解液に
室温で浸漬したところ、直ちに溶液が含浸し、透明な電
解質シートが得られた。このとき含浸によるサイズの変
化は長さ方向で5%であり、実質的に膨潤していないこ
とが確認できた。該電解質シートについて、上記方法で
測定した電解液の保持率は74%、透液量は19kg/
hr・m2 ・atmであった。また上記電解液シートの
室温におけるイオン伝導度は2.2mS/cmであっ
た。実施例1と同様の電池を構成して充放電を行ったと
ころ、10回目(1mA/cm2 )の放電容量に対する
20回目(3mA/cm2 )の放電容量の比は54%で
あった。
【0052】
【比較例2】ポリフッ化ビニリデン(KF1100)2
2.5重量部、ジメチルアセトアミド77.5重量部か
らなる溶液を作り、該溶液を室温で、ガラス板上に液膜
が200μmとなるようにキャストした。直ちに室温で
水中に浸漬し、水、アルコールで洗浄後乾燥して膜厚5
0μm、空隙率50%の多孔質シートを作成した。さら
に該多孔質シートに電子線照射(照射量30Mrad)
し、架橋した高分子多孔膜を作成した。
【0053】該高分子多孔膜を実施例1と同じ電解液に
室温で浸漬したところ、溶液が含浸し、透明な電解質シ
ートが得られた。このとき含浸によるサイズの変化は長
さ方向で5%であり、実質的に膨潤していないことが確
認できた。該電解質シートについて、上記方法で測定し
た電解液の保持率は81%、透液量は0kg/hr・m
2 ・atmであった。また上記電解液シートの室温にお
けるイオン伝導度は0.3mS/cmであった。実施例
1と同様の電池を構成して充放電を行ったところ、10
回目(1mA/cm2 )の放電容量に対する20回目
(3mA/cm2 )の放電容量の比は24%であった。
【0054】
【比較例3】市販のポリプロピレン製リチウムイオン2
次電池用セパレーターであるセルガード2500(セラ
ニーズ製)に、実施例1と同じ電解液を含浸させようと
したが、真空にしても含浸できなかった。そこで、γ−
ブチロラクトンにLiBF4を1mol/リットル溶解
した溶液に真空で浸漬したところ、溶液が含浸したシー
トが得られた。該含浸シートについて、上記方法で測定
した電解液の保持率は5%であった。
【0055】
【発明の効果】本発明のハイブリッド電解質は、高いイ
オン伝導度を示し、電解液の保持性に優れ、かつ非水系
電池に用いたときに大きな電流密度でも高い電池性能を
示す。従って、この電解質シートを用いた非水系電池は
安全性が高く、ポリマー電池として有用なものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貫通孔を有する高分子多孔膜に、常圧で
    含浸可能な非水系電解液が、実質的に膨潤することなく
    充填されてなるハイブリッド電解質シートであって、且
    つ下記(A)及び(B)の要件を満たす非水系電池用ハ
    イブリッド電解質シート。 (A) 該ハイブリッド電解質シートを濾紙で挟み、
    0.25kg/cm2 の荷重を2時間かけたときの該非
    水系電解液の保持率が、荷重をかける前の50%以上。 (B) 25℃で1atmの静水圧をかけたときの該非
    水系電解液の透液量が50kg/hr・m2 ・atm以
    上。
  2. 【請求項2】 ハイブリッド電解質シートに充填された
    非水系電解液を構成する非水系溶媒の1種又は2種以上
    の成分の各々の沸点が160℃以上である請求項1記載
    の非水系電池用ハイブリッド電解質シート。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の非水系電池用ハイ
    ブリッド電解質シートを介して電極が接合されてなる非
    水系電池。
JP9101384A 1997-04-18 1997-04-18 非水系電池用ハイブリッド電解質及び非水系電池 Withdrawn JPH10294130A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001043899A (ja) * 1999-07-29 2001-02-16 Toshiba Corp 非水電解液二次電池
KR20010103648A (ko) * 2000-05-08 2001-11-23 모리시타 요이찌 리튬폴리머 2차전지
JP2004079515A (ja) * 2002-06-19 2004-03-11 Sharp Corp リチウムポリマー二次電池とその製造方法

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