JP6959816B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

床材および幅木材等の樹脂製シート材料を床面および壁面に接着するエポキシ樹脂に関する。
一般住宅、共同住宅、事務所、商業施設、医療、福祉施設等の建造物の内装仕上げに於いて、木製壁および床、コンクリート製壁および床、石膏ボード製壁および床等に、樹脂製シートを貼って、床および幅木仕上げを行う場合がある。
樹脂製シートの材質としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
一般的な施工方法として、床材および幅木材等の樹脂製材料を床面および壁面に接着する場合、床面、壁面若しくは樹脂製材料、どちらか片方或いは両方に接着剤を塗布し、既定位置に設置した後、その日の作業を終了する。従って、この作業終了後に、ズレないだけの初期固着力が要求される。
また、その他全ての工程が終了した後施主に引き渡されるが、引渡した後、床、壁から樹脂製シートが剥がれないだけの接着強度が要求される。
特開平8-326288 特開平3-111464
特許文献1では、床材および幅木の端末仕上げ工法に関する公報である。端末仕上げにエポキシ系またはウレタン系のシーリング材を使用する旨の記載は有るものの、組成については言及されておらず、改善の余地があった。
尚本発明は、床材および幅木樹脂性シートの接着を対象としているが、これら端末仕上げにも対応できる。
特許文献2は、プリント基板積層板に導電体層を接着する公報であり、本発明とは市場が異なる。また、接着剤として使用するエポキシ樹脂に、NBRを添加する旨の記載は有るものの、分離に関する液の安定性については、不安の残るものであった。
床材および幅木材等の樹脂性材料を床面および壁面に接着する場合、床面、壁面若しくは樹脂性材料、どちらか片方或いは両方に接着剤を塗布し、溶剤が揮発した後に既定位置に設置されるが、その時にズレないだけの初期固着力を有し、一定時間経過した後は、床、壁から樹脂製シートが剥がれないだけの接着強度を有するエポキシ樹脂組成物を提供することである。
床材および幅木材等の樹脂性材料を床面および壁面に接着するエポキシ樹脂に於いて、主剤は、ビスフェノール系エポキシ樹脂、無変性ニトリル−ブタジエンゴム(:NBR)、希釈剤、溶剤からなり、硬化剤はアミン系硬化剤、カルボキシ変性ニトリル−ブタジエンゴム(:NBR-COOH)、溶剤としてメタノールを含む樹脂組成物の提供。
即ち、主剤にNBR、硬化剤にNBR−COOHのゴム成分を添加することで、溶剤乾燥後の初期固着力が確保された。更に、エポキシ樹脂が持つ本来の接着強度を阻害する事無く、安定した接着強度を得ることが出来た。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、樹脂製シートに対し安定した初期固着力、安定した接着強度を示すので、樹脂シート貼り合わせに関し最適であり、端末仕上げにも対応できる。
床材および幅木材等の樹脂性材料を床面および壁面に接着するエポキシ樹脂に於いて、主剤は、ビスフェノール系エポキシ樹脂、NBR、希釈剤、溶剤からなり、硬化剤はアミン系硬化剤、NBR-COOH、溶剤としてメタノールを含む樹脂組成物の提供である。
主剤に含まれるビスフェノール系エポキシ樹脂は、ビスフェノールAジグリシジレート、ビスフェノールFジグリシジレート、ビスフェノールEジグリシジレート、ビスフェノールSジグリシジレート等が挙げられ、水素添加(水添)タイプで有っても良い。分子量については、エポキシ基本構造式を式(1)に示すが、n=0体を必ずしも使用する必要は無い。n=0体以外を使用した場合で粘度が高く、作業性に不具合が生じる場合は、溶剤希釈率を上げればよい。


Figure 0006959816
・・・(1)
主剤に含まれるゴム成分は、NBRが良い。添加するNBRは、溶剤に溶解させる必要が有るが、溶剤に溶解するならばニトリル化率は任意である。溶剤に溶け易いNBRは低分子量で、ムーニー粘度で言うと低ムーニー粘度となる。具体的に製品名を挙げると、日本ゼオン社製、商品名NipolDN4050、製品名Nipol1052J、商品名NipolDN219、商品名NipolDN3335、商品名NipolDN3350、商品名NipolDN2850、商品名NipolDN401LL、商品名NipolDN10201Lが挙げられる。
主剤に含まれる希釈剤は、グリシジル化された脂肪族化合物、グリシジル化されたエーテル化合物が上げられ、グリシジル化された数は任意である。代表例としては、四日市合成社製、商品名:DY−BP(ブチルグリシジルエーテル)、商品名:CY−BP(ブチルグリシジルエーテル)、商品名:エポゴーセーEN(C12〜13混合アルコールグリシジルエーテル)、商品名:エポゴーセーAN(C12〜13混合アルコールグリシジルエーテル)、商品名:エポゴーセー2EH(2−エチルヘキシルグリシジルエーテル)、商品名:エポゴーセーHD(M)(1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)等が挙げられる。
主剤に含まれる溶剤は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレンカーボネートなど有機溶剤が挙げられる。ただし、これら以外の溶媒を使用しても何ら差し支えなく、また、2種以上の溶媒を併用してもよい。
主剤は必要に応じ、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、焼成カオリン、クレー、珪酸
カルシウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、珪酸
アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、タルク、ゼオライト、ガラスビーズ、シラスバルーン等の無機系充填材を添加する事が出来る。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリカーボネート等の有機系充填材を添加する事が出来る。
硬化剤に含まれるエポキシ硬化剤は、アミン系、酸無水物系、チオール系の硬化剤を選択できる。反応性の観点からはアミン系が好ましく、アミン系硬化剤としては、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン、ケチミン、イミダゾール、三級アミン等から選択することが出来る。
アミン系硬化剤を、具体的に製品名を挙げると、エボニック・ジャパン社製、商品名:アンカマイド375A、商品名:アンカマイド2050、商品名:アンカマイド2137、商品名:アンカマイド2353、商品名:アンカマイド2396、商品名:アンカマイド2426、商品名:アンカマイド2445、商品名:アンカマイド910、商品名:アンカミン1561、商品名:アンカミン1618、商品名:アンカミン1618F、商品名:アンカミン1693、商品名:アンカミン1704、商品名:アンカミン1884、商品名:アンカミン1895、商品名:アンカミン1934、商品名:アンカミン2071、商品名:アンカミン2072、商品名:アンカミン2074、商品名:アンカミン2075、商品名:アンカミン2143、商品名:アンカミン2280、商品名:アンカミン2199、商品名:アンカミン2205、商品名:アンカミン2228、商品名:アンカミン2368、商品名:アンカミン2405、商品名:アンカミン2432、商品名:アンカミン2502、商品名:アンカミン2505、T&K TOKA社製、商品名:トーマイド241、商品名:トーマイド245、商品名:トーマイド252A、商品名:トーマイド255A、商品名:トーマイド280−C、商品名:トーマイド2151、商品名:トーマイド2400、商品名:トーマイド2500、商品名:トーマイド2602、商品名:トーマイドHR11、商品名:トーマイドTXS−435、商品名:トーマイドTXH−447−B、商品名:トーマイドTXE−524、商品名:トーマイドTXE−529、商品名:トーマイドRS−640、商品名:トーマイド292、商品名:トーマイドTXA−445等が挙げられる。
硬化剤に含まれるゴム成分は、硬化剤との相溶性の観点より、NBR-COOHを用いた方が良い。NBR−COOHの具体的に製品名を挙げると、日本ゼオン社製、商品名Nipol 1571H、商品名Nipol1571C2、商品名Nipol1571CL、商品名NipolLX517B、商品名NipolLX511A、商品名NipolLX513、商品名Nipol1072、商品名Nipol1072J、商品名Nipol1072X、商品名Nipol1072CG、1072EPが挙げられる。
硬化剤に含まれる溶剤は、メタノールを含む必要が有る。メタノールを含んでいれば他の溶剤と組み合わせることが出来る。
具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレンカーボネートなど有機溶剤が挙げられる。メタノールを含んでいれば、これら以外の溶媒を使用しても何ら差し支えなく、2種以上の溶媒を併用してもよい。
硬化剤は必要に応じ、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、焼成カオリン、クレー、珪酸
カルシウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、タルク、ゼオライト、ガラスビーズ、シラスバルーン等の無機系充填材を添加する事が出来る。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリカーボネート等の有機系充填材を添加する事が出来る。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお、部数は全て重量部である。
主剤1の作製
NipolDN219:8.2重量部を、MEK24.6重量部に添加し攪拌溶解させた。これとは別に、ビスフェノールAジグリシジレートを14.8重量部、エポゴーセー2ENを14.7重量部、炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:ライトンA)を37.7重量部を秤取り、MEKに溶解させたNipolDN219を添加し、均一になるまで攪拌し、主剤1を得た。
主剤2〜9の作製
表1に示した配合割合で、主剤1の作製と同様の手順で、主剤2〜9を作製した。
但し、主剤9はゴム成分を添加していないので、材料全種類を規定割合で秤取り、均一に成るまで攪拌した。
硬化剤1の作製
Nipol1072X:10.1重量部を、メタノール9.1重量部およびMEK30.3重量部の混合溶媒に添加し溶解させた。
これとは別に、アンカマイド375Aを12.1重量部、ライトンAを38.4重量部を秤取り、メタノール、MEK混合溶媒に溶解させたNipol1072Xを添加し、均一になるまで攪拌し、硬化剤1を得た。
硬化剤2〜8の作製
表2に示した配合比割合で、硬化剤1の作製と同様の手順で、硬化剤2〜8を作製した。
但し、硬化剤8はゴム成分を添加していないので、材料全種類を規定割合で秤取り、均一に成るまで攪拌した。
液の保存性確認
ガラス瓶に試料を入れ、23℃恒温機中に静置し、2週間後に目視にて液の状態を確認した。
分離していない場合(○)、分離している場合(×)とした。
初期固着力の確認
23℃雰囲気下にて主剤:硬化剤を1:1の重量比で秤取り、十分に混合し、くし型の塗布治具を用い、フレキシブルボード(70mm×150mm)に塗布した(塗布量:250〜300g/cm)。
15分間静置し、塩化ビニル系防水シート(25mm×200mm)を、フレキシブルボードの上に張り付け、シート上を5kgローラーにて2往復しシートを圧着した(但し次工程で、塩化ビニル系防水シートにクリップを装着するので、25mmの短辺側の一部は、接着しないようにした)。
両者を重ね合わせた後15分静置し、10gの重りを紐で縛りつけたクリップを塩化ビニル系防水シートの短辺の接着していない部分の中央に取り付けた。
重り取り付け直後に試験片を静かに反転させ、塩化ビニル系防水シートが10gのおもりの自重で引っ張られる様な状態にした。
塩化ビニル系防水シートが、フレキシブルボードから剥離するまでの時間が30秒以上を(○)、30秒より短い場合を(×)とした。
接着強度確認
23℃雰囲気下にて2液を十分に混合し、くし型の塗布治具を用い、フレキシブルボード(70mm×150mm)に塗布した。15分間静置し、塩化ビニル系防水シート(25mm×200mm)を張り付けシート上を5kgローラーにて2往復しシートを圧着した。
23℃雰囲気下にて48時間静置養生後、引張速度200mm/minにて90°剥離試験を行った。20N/25mm以上を(○)、20N/25mmに満たない場合を(×)とした。
初期固着力確認、接着強度確認結果を表3、表4に示す。
主剤が、ビスフェノール系エポキシ樹脂、NBR、希釈剤、溶剤からなる主剤1〜7およびNBRを含まない主剤9は、液の分離は起こらなかった。
主剤に、NBR−COOHであるNipol1072Xを添加した主剤8は、液の分離が起こった。
硬化剤が、アミン系硬化剤、NBR-COOH、溶剤としてメタノールを含む硬化剤1〜3、硬化剤5およびNBR−COOHを含まない硬化剤8は液の分離は起こらなかった。
硬化剤に、メタノールを含まない硬化剤4は、液の分離が起こった。また、硬化剤にNBRであるNipolDN219を添加した硬化剤6も液の分離が起こった。
主剤は、ビスフェノール系エポキシ樹脂、NBR、希釈剤、溶剤からなり、硬化剤はアミン系硬化剤、NBR-COOH、溶剤としてメタノールを使用している実施例1〜8は、初期固着力、接着強度共に十分に発現した。
硬化剤に、NBR−COOHを含まない比較例1は、接着強度が十分でなかった。主剤にNBRを含まない比較例2は、十分な初期固着力が得られなかった。主剤に、NBRを含まず、硬化剤にNBR−COOHを含まない比較例3は、初期固着力、接着強度共に十分に発現しなかった。
Figure 0006959816

Figure 0006959816

Figure 0006959816

Figure 0006959816

















Claims (1)

  1. 床材および幅木材等の樹脂性材料を床面および壁面に接着するエポキシ樹脂であって、主剤は、ビスフェノール系エポキシ樹脂、無変性ニトリル−ブタジエンゴム(:NBR)、グリシジル化された脂肪族化合物またはグリシジル化されたエーテル化合物から選択される希釈剤、溶剤からなり、
    硬化剤はアミン系硬化剤、カルボキシ変性ニトリル−ブタジエンゴム(:NBR-COO
    H)、溶剤としてメタノールを含む樹脂組成物。
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