JP7349381B2 - 接着剤組成物 - Google Patents

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本発明は、難接着材料への接着性に優れ、特に緩衝材付きフロア材の貼り付けに適し、十分な接着強度を示し、且つ破壊モードが凝集破壊、若しくは材料破壊と成る様な接着剤組成物に関する。
建物のフロアは、建物の種類によって違い、戸建の場合は大引き上に根太が設けられ、その上に合板を設ける場合と設けない場合があるが、これらの上にフロア材が設けられる。これらの接合は、大よそ接着剤にて行われる。
これに対しマンションは、コンクリートスラブ上に緩衝剤、フロア材が設けられるが、この様な構造は一般的に直貼り工法と呼ばれている。
最近では、緩衝材とフロア材が一体化した緩衝材付きフロア材が市販されていて、その種類も多様である。
さまざまな種類の緩衝材付きフロア材の中で、緩衝材として炭酸カルシウム配合発泡オレフィンシートを使用した緩衝材付きフロア材がある。炭酸カルシウム配合発泡オレフィンシートは極性が低く、非常に接着し難い緩衝材付きフロア材であると言える。
一方、特許文献1は、接着剤を用いてフローリング材をコンクリートに直貼りする方法であって、接着剤として変成シリコーン系接着剤を用い、好ましくは、接着剤を、一定間隔を置いてコンクリートにビード状に塗布する、フローリング材の直貼り施工方法、及び、このフローリング材の直貼り施工方法に用いられる接着剤に関する公報である。
接着し易いフロア材に関しては接着性能を満たすことが出来ていたが、前述の緩衝材として炭酸カルシウム配合発泡オレフィンシートを使用したフロア材に対する接着性能は改善の余地があった。
特開2003-105956 特開2014-001319
特許文献2は、100℃を超える高温下であっても接着性が低下することがなく、また温水中であっても、十分な接着性を有する透明性接着剤組成物に関する公報である。SUS304ステンレス鋼板に対する接着性能に関しては接着性能を満たすことが出来ていたが、前述の緩衝材として炭酸カルシウム配合発泡オレフィンシートを使用した緩衝材付きフロア材に対する接着性能は改善の余地があった。
緩衝材付きフロア材の貼り付けに於いて、緩衝材の材質を問わず十分な接着強度を示し、且つ破壊モードが凝集破壊、若しくは材料破壊と成る様な、緩衝材付きフロア材用接着剤組成物を得ることである。
本発明者らは、変成シリコーン(A)100重量部に対し、常温(23℃)で液状のポリスチレン(B)を1~120重量部含む接着剤組成物を得ることに成功した。
本発明の接着剤組成物は、材質を問わず十分な接着強度を示し、且つ破壊モードが凝集破壊、若しくは材料破壊と成る様な緩衝材付きフロア材用接着剤組成物であるので、どの様な場合の組み合わせでも使用することが出来る。
緩衝材付きフロア材の貼り付け用接着剤組成物の一例を示す。
本願に使用される変成シリコーン(A)は、主骨格にポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール等の構造をもち、末端に加水分解性シリル基を持つ化合物である。空気中の水分により加水分解性シリル基のアルコキシ基が加水分解し、生成したシラノール基が縮合することによって重合は進行する。
変成シリコーン(A)は市販されており、具体的に製品名を挙げると、カネカ社製、商品名:EST-280、商品名:OR110S、商品名:MA440、商品名:MA480、MA451、商品名:MA904、MAX602、商品名:MAX923、商品名:MAX951、商品名:S203H、商品名:S227、商品名:S303H、商品名:S327、商品名:SA100S、商品名:SA310S、商品名:SA410S、商品名:SAT010、商品名:SAT145、商品名:SAX015、商品名:SAX260、商品名:SAX350、商品名:SAX400が販売され、ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト社から、商品名:STP-E10、商品名:STP-E15、商品名:STP-E30、商品名:STP-E35等が販売されている。尚、ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト社品は、主骨格と加水分解性シリル基がウレタン結合を介して結ばれているので、シリル化ウレタンと表現される場合がある。
本願に使用される液状のポリスチレン(B)は、被着体に対する接着剤組成物のヌレ広がりを向上させる効果が有り、炭酸カルシウム配合発泡オレフィンシートを使用した緩衝材付きフロア材の難接着材料に対しても効果が発揮される。
液状のポリスチレン(B)は市販されており、具体的に製品名を挙げると、EASTMAN社製、製品名:Piccolastic A5が販売されている。添加量としては、変成シリコーン(A)100重量部に対し、1~120重量部、より好適には5~100重量部である。
本願の接着剤組成物は、粘度調整、硬さ調整の為に充填材を添加することが出来る。充填材は無機系、有機系どちらでもよく、無機材としては、炭酸カルシウム、シリカ、酸化カルシウム、カオリン、焼成カオリン、クレー、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、タルク、ゼオライト、ガラスビーズ、シラスバルーン等が挙げられる。
有機材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリカーボネート等が挙げられる。
より好適な材料としては炭酸カルシウムで、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、何れを用いても構わない。具体的に製品名を上げると、軽質炭酸カルシウムは、丸尾カルシウム社製、製品名:カルファイン200M、製品名:カルファイン500、製品名:カルファイン20S等が挙げられる。重質炭酸カルシウムは、丸尾カルシウム社製、製品名:M-300J、製品名:スーパーSS、製品名:スーパー#2300等が販売されている。添加量としては、変成シリコーン(A)100重量部に対し、200~500重量部、より好適には250~350重量部である。
本願の接着剤組成物は、変成シリコーン(A)の加水分解性シリル基のアルコキシ基の加水分解反応を促進させる為、反応触媒を添加することが出来る。
反応触媒としては、錫系、ビスマス系、アミン系の触媒を用いる事も出来る。
具体的に製品名を挙げると、錫触媒としては、日東化成社製、商品名:ネオスタンU-100、商品名:ネオスタンU-130、商品名:ネオスタンU-200、商品名:ネオスタンU-220H、商品名:ネオスタンU-303等が販売されている。
ビスマス触媒としては、日東化成社製、商品名:ネオスタンU-600が販売され、松尾産業社からは、商品名:Borchi Kat24、商品名:Borchi Kat315等が販売されている。
アミン系触媒としては、サンアプロ社製、商品名:U-CAT SA-1、U-CAT SA-102、U-CAT SA-106、U-CAT SA-112、U-CAT SA-506等が販売されている。
より好適な反応触媒は錫系触媒で、その中でもネオスタンU-220Hを用いるのが好適で、添加量としては変成シリコーン(A)100重量部に対し、0.01~5重量部、より好適には0.05~1重量部である。
本願の接着剤組成物は、粘度調整、硬さ調整の為に、可塑剤を添加することが出来る。可塑剤としては、ポリプロピレングリコールが挙げられ、市販品としては、三洋化成工業社製、製品名:サンニックスPP-2000、製品名:サンニックスGH?5000、AGC社製、製品名:EL?2020、製品名:エクセノールEL3020等が販売されている。添加量としては変成シリコーン(A)100重量部に対し、0~150重量部、より好適には1~100重量部である。
本願の接着剤組成物は、密着性向上の為にシランカップリング剤を添加することが出来る。具体的に製品名を挙げると、信越化学工業社製、製品名:KBM-1003(ビニルトリメトキシシラン)、製品名:KBM-403(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、製品名:KBM-503(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、製品名:KBM-903(3-アミノプロピルトリメトキシシラン)等が市販されている。添加量としては変成シリコーン(A)100重量部に対し、0~10重量部、より好適には0.5~5重量部である。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお、部数は全て重量部である。
実施例1の接着剤組成物の作製
井上製作所社製プラネタリーミキサー、商品名:PLM-2の釜の中に、STP-E15を100重量部、Piccolastic A5を30重量部、M-300Jを360重量部、EL-3020を93重量部、KBM-1003を3重量部秤取り、プラネタリーミキサーの撹拌目盛り5にて均一に成るまで撹拌した。
その後、100℃、30分間、撹拌目盛り5にて、減圧脱水を行い、23℃まで冷却した。
U220Hを0.1重量部添加し、撹拌目盛り3にて、均一に成るまで減圧撹拌した。
実施例2~4、比較例1~3の接着剤組成物の作製
表1、表2に示した配合割合で、実施例1の樹脂組成物の作製と同様の手順で、実施例2~4、比較例1~3の接着剤組成物を作製した。
尚、FTR6100、FTR8100は、三菱化学社製の常温(23℃)で固形のポリスチレンである。
接着強度測定
建研式引張試験機を用いて、接着強度測定を行った。下地材として、JIS A 5430に準拠した、70mm×70mm×8mm厚のフレキシブル板を準備した。
フロア材としては、何れも市販品である緩衝材がPE、PPアロイ発泡体、PET系フィルム、紙であるフロア材、およびJIS A 5536:2007の表8に示してある炭酸カルシウム配合発泡オレフィンシートを使用したフロア材を準備した。試験片のサイズは、40mm×40mmである。尚、厚みについては種類によって違いがあった。
下地材に、約550g/m2と成る様、JIS A5536に規定された、くし目ゴテにて接着剤組成物を塗布し、フロア材を載せた後、フロア材の上に1kgのおもりを5秒間載せた。その後、23℃/50%RHにて7日間養生後したものを接着強度測定試験片とした。
建研式引張試験機を用いて接着強度を測定した。結果を表3、表4に示す。尚、接着強度欄、左側は接着強度、右側は破壊モードである。接着強度に関しては、n=10平均値である。接着強度は、0.1MPa以上は合格、0.1MPa未満は不合格である。破壊モードについては、10個の試験片中、全て凝集破壊、若しくは材料破壊の場合を(○)、一つでも界面破壊が発現した場合は(×)とした。
変成シリコーン(A)100重量部に対し、常温(23℃)で液状のポリスチレン(B)を1~120重量部含む接着剤組成物である実施例1~4は、接着強度は0.1MPa以上で全て合格、破壊モードも凝集破壊、若しくは材料破壊で合格と成った。
常温(23℃)で液状のポリスチレン(B)ではなく、常温(23℃)で固形のポリスチレンであるFTR6100、FTR8100を使用した比較例1、比較例2、および常温(23℃)で液状のポリスチレン(B)を添加していない比較例3は、接着強度こそ全て合格であったが、破壊モードが、炭酸カルシウム配合発泡オレフィンシートに対しては全て凝集破壊にならず、他の被着体に関しても、凝集破壊若しくは材料破壊に成るものもあれば、成らない場合も有り、バラツキが観測された。
安定した接着強度、破壊モードを得る為には、変成シリコーン(A)100重量部に対し、常温(23℃)で液状のポリスチレン(B)を1~120重量部含む接着剤組成物であることが証明された。































Claims (2)

  1. 末端に加水分解性シリル基を持つ変成シリコーン(A)100重量部に対し、常温(23℃)で液状のポリスチレン(B) を1~120重量部、炭酸カルシウムを200~500重量部、とを含む接着剤組成物。
  2. 変成シリコーン(A)100重量部に対し、反応触媒を0.01~10重量部含む請求項1に記載の接着剤組成物。
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