JP2012241080A - 接着剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】全分子末端基の50%未満が加水分解性珪素基である重合体(I)100重量部と、全分子末端基の50%以上が加水分解性珪素基である重合体(II)5〜200重量部とを含む湿気硬化型樹脂組成物を含有し、凝集破壊を起こすことなく界面剥離が可能な接着剤を用いる。上記重合体(II)の加水分解性珪素基はトリアルコキシル基であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明の接着剤は、全分子末端基の50%未満が加水分解性珪素基である重合体(I)100重量部と、全分子末端基の50%以上が加水分解性珪素基である重合体(II)5〜200重量部とを含む湿気硬化型樹脂組成物を含有する。
本発明に用いる重合体(I)と(II)の主鎖には、ポリオキシアルキレン重合体又はビニル系重合体を用いる。ポリオキシアルキレン重合体には、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(C2H5)O−、−CH(CH3)CH2O−、−CH(C2H5)CH2O−、−CH2CH2CH2O−、及び−CH2CH2CH2CH2O−から選択された1種以上の繰り返し単位からなるものを用いることができる。好ましくは、−CH2CH(CH3)O−である。また、ビニル系重合体には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、及びこれら重合体のいずれか2種以上を成分として含む共重合体等を挙げることができる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートである。
ここで、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率は、末端基が水酸基である重合体の場合、加水分解性ケイ素基導入後の未反応の水酸基を水酸基価分析法を用いて算出することができる。また、末端基の種類に限定されない方法として、IR法やNMR法を用いて加水分解性ケイ素基導入後の末端基を定量することにより算出する方法を用いることもできる。
本発明の接着剤には、硬化反応を促進させるために硬化触媒を用いる。具体例としては、アルキルチタン酸塩、有機ケイ素チタン酸塩、ビスマストリス−2−エチルヘキサノエート等の金属塩、リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸等の酸性化合物、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン等の脂肪族モノアミン、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン等の脂肪族ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン類、ピペリジン、ピペラジン等の複素環式アミン類、メタフェニレンジアミン等の芳香族アミン類、エタノールアミン類、トリエチルアミン、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン等のアミン化合物を挙げることができる。また、ジオクチル酸錫、ジナフテン酸錫、ジステアリン酸錫等の2価の錫と上記アミン類の混合物を挙げることもできる。
(n−C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2
(n−C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOO−(n−C4H9))2
(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2
(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOO−(n−C4H9))2
(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOO−(iso−C8H17))2
(n−C4H9)2Sn(SCH2COO)
(n−C8H17)2Sn(SCH2COO)
(n−C8H17)2Sn(SCH2CH2COO)
(n−C8H17)2Sn(SCH2COOCH2CH2OCOCH2S)
(n−C4H9)2Sn(SCH2COO−(iso−C8H17))2
(n−C8H17)2Sn(SCH2COO−(iso−C8H17))2
(n−C8H17)2Sn(SCH2COO−(n−C8H17))2
(n−C4H9)2SnS
(n−C4H9)2SnO
(n−C8H17)2SnO
(n−C4H9)2Sn(acac)2
(n−C8H17)2Sn(acac)2
(n−C4H9)2(C8H17O)Sn(acac)
(n−C4H9)2(CH3COO)SnOSn(OCOCH3)(n−C4H9)2
(n−C4H9)2(CH3O)SnOSn(OCH3)(n−C4H9)2
充填剤としては、公知の充填剤を使用することができる。具体例としては、表面を脂肪酸または樹脂酸系有機物で表面処理した炭酸カルシウム、さらにこれを微粉末化した平均粒径1μm以下の膠質炭酸カルシウム、沈降法により製造した平均粒径1〜3μmの軽質炭酸カルシウム、平均粒径1〜20μmの重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、およびカーボンブラック、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等の粉体状充填剤、ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤等を挙げることができる。これらの充填剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の接着剤には、硬度調整のために可塑剤を使用することもできる。可塑剤としては公知の可塑剤を使用することができる。具体例としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸アルキルエステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸アルキルエステル類;ペンタエリスリトールエステル等;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤;ポリプロピレングリコール;ポリエチレングリコール;塩素化パラフィン;等を挙げることができる。これらの可塑剤を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の接着剤には、硬化物の物性や硬化性及び貯蔵安定性を調節する目的で加水分解性ケイ素化合物を任意に添加できる。具体例としては、テトラメチルシリケート、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシランなどやこれらのメトキシ基がエトキシ基に置換された化合物などを挙げることができるが、これらに限定されない。添加量は重合体(I)及び重合体(II)の合計量100重量部に対し、0.5〜5重量部である。0.5重量よりも少ないと貯蔵安定性が悪くなる。また5重量部よりも多いと剥離性が低下するからである。
なお、上記の用途は例示であり、本発明の用途は上記の用途に限定されるものではない。
(製造方法)
重合体(I)としてエクセスターS1000(旭硝子社製)およびアルフォンUS6110(東亜合成社製)、重合体(II)としてエクセスターS2420、エクセスターA2551を用いた。エクセスターS2420は加水分解性珪素基が基本的にジアルコキシアルキルシラン基で、エクセスターA2551はトリアルコキシシラン基である。これら重合体と、可塑剤としてポリプロピレングリコール、充填剤として加熱乾燥により水分を除去したシリカを加え、遊星式攪拌器(クラボウ社製)を使用して攪拌・混合した。得られた混合物を室温まで温度を下げてから、脱水剤としてシラン化合物と硬化触媒としてジブチルスズビス(アセチルアセトネート)を加えて攪拌・混合して、実施例1〜5および比較例1〜4の樹脂組成物を得た。表1に作製した樹脂組成物の組成を示す。また、比較例5として、市販の両面接着テープ(大創産業社製No.A−13)を用いた。
(1)硬化性評価
温度23℃、湿度55%雰囲気下で製造した樹脂組成物を10mm幅で10mmの高さのアルミチャネルに打設し、24時間後切り出し、厚み(単位:mm)を測定した。厚みが0.5mm以上であれば実用上問題のない硬化速度を有する。
製造した樹脂組成物をカートリッジ容器に充填し、温度50℃、湿度80%のオーブンに7日間に保存した後、押し出して外観の変化の有無、タックフリー時間を確認した。外観の変化が無くタックフリー時間が2倍以上変化しない場合を合格(○)とし、タックフリー時間が2倍を越えて変化した場合を不合格(×)とした。ただし、硬化性試験において厚みが0.5mmより小さい場合には硬化性不良として、貯蔵安定性の評価は行わなかった。
粘度測定は東京計器株式会社製のB型粘度計を用いて室温(20〜25℃)で行った。回転数が2rpmと10rpmでの粘度を測定し、チキソ比を算出した。
JIS K6850の引張せん断接着強さ試験法に基づき、幅15mm、長さ150mm、厚み2mmのSUS板同士を接着部幅15mm、長さ10mmで厚み1mm以下で接着させ、23℃、50%雰囲気下で7日間静置した。次に引張試験機にセットして、引張速度5mm/分で引張ったときの最大接着強度を測定した。
JIS K6854−2のはく離接着強さ試験法に基づき、幅15mm、長さ100mm、厚み0.3mmのアルミシート2枚を40mmの位置で90度に折り曲げる。その状態で接着部幅15mm、長さ60mmでT字型となるように、厚み1mm以下で接着させ、23℃、50%雰囲気下で7日間静置した。次に引張試験機にセットして引張速度100mm/分で引張ったときの最大接着強度を測定した。
上記のはく離接着強さ試験において、試験終了後のアルミシートについて、接着剤が凝集破壊を起こしていないかどうか、また界面剥離を起こしていないかどうかを目視で観察した。
実施例1から5は、硬化性、貯蔵安定性のいずれも優れた特性を有していた。また、チキソ比は、2.5以上であり、かつV10rpmも100Pa・s以上であった。また、実施例1から5は、0.15N/mm2以上のせん断接着強度を有していながら、はく離接着強度は5N/15mm以下であり、接着剤が凝集破壊することなく、容易に界面剥離することができた。
市販のフック(キャンドゥ社製、耐荷重1kg、接着面積12×60mm)の粘着剤層を基材から除去し、実施例1で用いた樹脂組成物を基材に塗布し、モルタル壁面に接着した。3日間放置後、フックに重量1kgから1kgずつ重量を増やした袋を吊し、24時間後フックが外れてしまう重量を測定したところ、7kgであった。また、試験後のフックおよび接着剤をモルタル面からきれいに剥がすことができた。
市販のフック(キャンドゥ社製、耐荷重3kg、ピン3本で固定するタイプ)をピンではなく、実施例1で用いた樹脂組成物をフック裏面に塗布し、壁紙を施工した石膏板に接着した。3日間放置後、フックに重量3kgの袋を吊るし、7日間放置したところフックはずれていなかった。また、7日後にフックおよび接着剤を壁紙からきれいに剥がすことができた。
実施例6で用いた市販のフックをそのまま、モルタル壁面に貼り付けた。なお、市販のフックの粘着剤層は、発泡体テープに粘着剤層を貼り付けた両面テープからなる。実施例6の場合と同様に、フックに重量1kgから1kgずつ重量を増やした袋を吊し、24時間後フックが外れてしまう重量を測定したところ、1kgであった。耐荷重1kgのフックだが、モルタルという粗面に対して粘着力が発揮されにくいことが確認できた。
実施例7で使用した市販のフックを仕様どおり、ピン3本で壁紙を施工した石膏板に固定した。フックに重量3kgの袋を吊るし、7日間放置したところフックはずれていなかった。また、7日後にフックを壁紙から剥がそうとしたところ、ピンの穴が広がり見栄えが良くなかった。
Claims (4)
- 全分子末端基の50%未満が加水分解性珪素基である重合体(I)100重量部と、全分子末端基の50%以上が加水分解性珪素基である重合体(II)5〜200重量部とを含む湿気硬化型樹脂組成物を含有し、凝集破壊を起こすことなく界面剥離が可能な接着剤。
- 上記重合体(II)の加水分解性珪素基がトリアルコキシル基である請求項1記載の接着剤。
- B型回転粘度計による回転数が2rpmと10rpmでの粘度の比V2rpm/V10rpmで規定される上記湿気硬化型樹脂組成物のチキソ比が2.5以上であり、かつ10rpmでの粘度が100Pa・s以上である請求項1記載の接着剤。
- せん断接着強度が0.1N/mm2以上、はく離接着強度が5.0N/15mm以下である請求項1記載の接着剤。
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