JP5351708B2 - 害虫忌避用湿気硬化型樹脂組成物およびそれを用いた害虫忌避用物品並びに害虫忌避方法 - Google Patents

害虫忌避用湿気硬化型樹脂組成物およびそれを用いた害虫忌避用物品並びに害虫忌避方法 Download PDF

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Description

本発明は、害虫忌避用湿気硬化型樹脂組成物およびそれを用いた害虫忌避用物品並びに害虫忌避方法に関する。
従来から、ゴキブリ、アリ、クモ等の害虫が住宅やオフィスビル等の建物内や電気機器やOA機器等の各種機器内に侵入することを防止するために、害虫忌避剤を含む害虫忌避用物品が広く使用されている。害虫忌避用物品としては、粘着シートタイプ、ケース入りタイプおよびスプレータイプ等の種々の形態のものが使用されている。粘着シートタイプは、スプレータイプのように薬剤と機器との接触により機器を構成する樹脂や塗料が溶解して機器に悪影響を与えることがなく、さらに忌避効果の持続性も有するという利点を有する。またケース入りタイプのように嵩張らないので、狭い場所でも取付けが容易であるという利点も有する。
粘着シートタイプは、支持体の片面又は両面に害虫忌避剤を含む粘着剤層を形成し、粘着剤層を被着体に貼り付けて使用するものであり、粘着剤としてアクリル系粘着剤、ビニル系粘着剤あるいはゴム系粘着剤を用いたものが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2)。
特開平9−67210号公報 特開平9−163909号公報
しかしながら、害虫忌避用物品を交換しようとする場合、粘着シートが被着体から容易に剥がれにくいという問題がある。自動販売機のディスプレイやショーウィンドウ等のように、被着体がガラスの場合には特に剥がれにくい。
また、密閉化や暖房の完備等による建物内の温度の上昇によりゴキブリの棲息場所が広がった結果、玄関先、レストラン、ショーウィンドウ等の人目につきやすい場所では、害虫忌避用物品にもその場所に合わせた意匠性が要求されている。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、交換持には容易に剥離することができ、かつ貼付場所に合わせた意匠性を有する、害虫忌避用湿気硬化型樹脂組成物およびそれを用いた害虫忌避用物品並びに害虫忌避方法を提供することを目的とした。
上記課題を解決するため、本発明の害虫忌避用湿気硬化型樹脂組成物は、少なくとも、害虫忌避剤と、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が25%以上50%未満であり、分子量が1,000〜20,000であるポリオキシアルキレン重合体(I)および分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上であり、分子量が5,000〜20,000であるポリオキシアルキレン重合体(II)とを含み、重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜200重量部を含むことを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、重合体(I)と重合体(II)の加水分解性基が、アルキルジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基であることが好ましい。
本発明の害虫忌避用物品は、害虫を忌避するのに使用する物品であって、少なくとも、害虫忌避剤と、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が25%以上50%未満であり、分子量が1,000〜20,000であるポリオキシアルキレン重合体(I)および分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上であり、分子量が5,000〜20,000であるポリオキシアルキレン重合体(II)とを含み、重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜200重量部を含む湿気硬化型樹脂組成物からなることを特徴とする。
本発明の害虫忌避用物品は、重合体(I)と重合体(II)の加水分解性基が、アルキルジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基であることが好ましい。
本発明の害虫忌避方法は、基材に害虫忌避用樹脂組成物を貼り付ける害虫忌避方法であって、該害虫忌避用樹脂組成物に、害虫忌避剤と、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が25%以上50%未満であり、分子量が1,000〜20,000であるポリオキシアルキレン重合体(I)および分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上であり、分子量が5,000〜20,000であるポリオキシアルキレン重合体(II)とを含み、重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜200重量部を含む湿気硬化型樹脂組成物を用いることを特徴とする。
本発明の害虫忌避方法は、重合体(I)と重合体(II)の加水分解性基が、アルキルジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基であることが好ましい。
また、本発明の害虫忌避方法は、上記湿気硬化型樹脂組成物を基材に直接塗布した後で硬化させることが好ましい。
本発明によれば、害虫忌避用物品を交換しようとする場合、基材から容易に剥離することができる。特に、従来剥離が困難であったガラスからも容易に剥離することができる。これにより、交換を容易に行うことができる害虫忌避用物品を提供することができる。また、本発明の樹脂組成物は、自由形状に造形することが可能であり、害虫を近付けたくない場所に所望の形状で貼り付けることができるので、害虫忌避用物品に意匠性を付与することもできる。
本発明の害虫忌避方法の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の害虫忌避用湿気硬化型樹脂組成物は、少なくとも、害虫忌避剤と、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%未満である重合体(I)および分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上である重合体(II)とを含み、重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜200重量部を含むことを特徴とするものである。
本発明の対象とする基材は、固体材料であれば特に限定されず、例えば、金属、ガラス、プラスチック、セラミックス、コンクリート、木質材料、布等の各種の材料が含まれる。具体例としては、住宅やオフィスビルの窓ガラスや壁面等の住宅・オフィスの内装材、食器棚や本棚等の家具、パソコン、ファクシミリ、電話機、プリンター等のOA機器、電子レンジ、テレビ、電気冷蔵庫等の家庭用電気機器、自動販売機のディスプレイ、ショーウィンドウ、商品陳列レース等の展示器材を挙げることができる。
(重合体)
本発明に用いる重合体(I)と(II)の主鎖には、ポリオキシアルキレン重合体又はビニル系重合体を用いる。ポリオキシアルキレン重合体には、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CHCH(C)O−、−CH(CH)CHO−、−CH(C)CHO−、−CHCHCHO−、及び−CHCHCHCHO−から選択された1種以上の繰り返し単位からなるものを用いることができる。好ましくは、−CHCH(CH)O−である。また、ビニル系重合体には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、及びこれら重合体のいずれか2種以上を成分として含む共重合体等を挙げることができる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートである。
主鎖にポリオキシアルキレン重合体を用いた場合、重合体(I)の分子量は500〜30000、好ましくは1000〜20000である。また、重合体(II)の分子量は500〜30000、好ましくは5000〜20000である。ここで、重合体(I)及び(II)の分子量は、原料である水酸基末端ポリオキシアルキレン重合体の水酸基価換算価分子量に基づいて算出した値である。
また、主鎖にビニル系重合体を用いた場合、重合体(I)の数平均分子量は500〜30000、好ましくは1500〜15000である。また、重合体(II)の数平均分子量は500〜30000、好ましくは2000〜15000である。
また、重合体(I)の加水分解性ケイ素基は分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%未満であり、25%以上50%未満が好ましい。また、重合体(II)の加水分解性ケイ素基は分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上100%以下であり、60%以上100%以下が好ましい。
ここで、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率は、末端基が水酸基である重合体の場合、加水分解性ケイ素基導入後の未反応の水酸基を水酸基価分析法を用いて算出することができる。また、末端基の種類に限定されない方法として、IR法やNMR法を用いて加水分解性ケイ素基導入後の末端基を定量することにより算出する方法を用いることもできる。
また、重合体(I)及び(II)の加水分解性ケイ素基は、アルキルジアルコキシシリル基やトリアルコキシシリル基を用いることができる。アルキルジアルコキシシリル基は、アルキル基が炭素数1から6のアルキル基が好ましく、アルコキシ基が炭素数1から6のアルコキシ基、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基又はn−ヘキシルオキシ基が好ましく、より好ましくはメチルジメトキシシリル基又はメチルジエトキシシリル基、さらに好ましくはメチルジメトキシシリル基である。また、トリアルコキシシリル基は、アルコキシ基が炭素数1から6のアルコキシ基、すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基が好ましく、より好ましくはトリメトキシシリル基である。重合体(I)及び(II)の加水分解性ケイ素基の組み合わせは特に限定されない。
重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜250重量部、好ましくは5〜200重量部使用する。5重量部より少ないとガラスに付着し易くなり、250重量部より多いと、ガラスに接着し易くなるからである。
ポリオキシアルキレン重合体に加水分解性ケイ素基を導入する方法としては、2官能の開始剤の存在下、環状エーテルを開環重合させてポリオキシアルキレンジオールを製造し、このジオールの水酸基に加水分解性ケイ素基を導入する方法等の公知の方法を用いることができる。また、ビニル系重合体に加水分解性ケイ素基を導入する方法としては、ビニル系モノマーと、加水分解性ケイ素基含有モノマーとを共重合する方法を用いることができる。加水分解性ケイ素基の導入率を変化させる方法としては、ポリオキシアルキレン重合体の場合、ジオールの水酸基に対する加水分解性ケイ素基のモル数を変化させることに行うことができる。また、ビニル系重合体の場合、共重合させる加水分解性ケイ素基含有モノマーの配合比を変化させることにより加水分解性ケイ素基の導入率を変化させることができる。
(硬化触媒)
本発明の樹脂組成物には、硬化反応を促進させるために硬化触媒を用いる。具体例としては、アルキルチタン酸塩、有機ケイ素チタン酸塩、ビスマストリス−2−エチルヘキサノエート等の金属塩、リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸等の酸性化合物、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン等の脂肪族モノアミン、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン等の脂肪族ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン類、ピペリジン、ピペラジン等の複素環式アミン類、メタフェニレンジアミン等の芳香族アミン類、エタノールアミン類、トリエチルアミン、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン等のアミン化合物を挙げることができる。また、ジオクチル酸錫、ジナフテン酸錫、ジステアリン酸錫等の2価の錫と上記アミン類の混合物を挙げることもできる。
また、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート及び以下のカルボン酸型有機錫化合物並びにこれらのカルボン酸型有機錫化合物と上記のアミン類との混合物を挙げることもできる。
(n−CSn(OCOCH=CHCOOCH
(n−CSn(OCOCH=CHCOO−(n−C))
(n−C17Sn(OCOCH=CHCOOCH
(n−C17Sn(OCOCH=CHCOO−(n−C))
(n−C17Sn(OCOCH=CHCOO−(iso−C17))
また、以下の含硫黄型有機錫化合物を挙げることもできる。
(n−CSn(SCHCOO)
(n−C17Sn(SCHCOO)
(n−C17Sn(SCHCHCOO)
(n−C17Sn(SCHCOOCHCHOCOCHS)
(n−CSn(SCHCOO−(iso−C17))
(n−C17Sn(SCHCOO−(iso−C17))
(n−C17Sn(SCHCOO−(n−C17))
(n−CSnS
また、以下の有機錫オキシドを挙げることもできる。
(n−CSnO
(n−C17SnO
また、上記の有機錫オキシドとエチルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル等のエステル化合物との反応生成物を挙げることもできる。
また、以下のキレート錫化合物およびこれらのキレート錫化合物とアルコキシシランとの反応生成物(但し、acacはアセチルアセトナト配位子を表す。)を挙げることもできる。
(n−CSn(acac)
(n−C17Sn(acac)
(n−C(C17O)Sn(acac)
また、以下の−SnOSn−結合含有有機錫化合物を挙げることもできる。
(n−C(CHCOO)SnOSn(OCOCH)(n−C
(n−C(CHO)SnOSn(OCH)(n−C
硬化触媒は、重合体(I)及び(II)の合計量100重量部に対し、0.01〜10重量部使用する。0.01重量部より少ないと効果が十分でなく、10重量部より多いとい硬化物に耐久性が低下するので好ましくない。
(害虫忌避剤)
本発明には、エムペントリン、シフルトリン、ピレトリン等のピレスロイド系化合物、カルバリル、プロポキスル、フェノブカーブ等のカーバメイト化合物、パラチオン、ジクロルボス、マラソン、フェニトロチオン等の有機リン系化合物等の公知の害虫忌避剤を用いる。害虫忌避剤の配合量は、重合体(I)および(II)の合計100重量部当たりに10〜90重量部、より好ましくは10〜70重量部である。10重量部より少ないと害虫忌避効果が不十分であり、90重量部を超えると剥離性が低下するからである。
本発明に用いる湿気硬化型樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、脱水剤、可塑剤等の添加剤を添加することができる。
(充填剤)
充填剤としては、公知の充填剤を使用することができる。具体例としては、表面を脂肪酸または樹脂酸系有機物で表面処理した炭酸カルシウム、さらにこれを微粉末化した平均粒径1μm以下の膠質炭酸カルシウム、沈降法により製造した平均粒径1〜3μmの軽質炭酸カルシウム、平均粒径1〜20μmの重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、およびカーボンブラック、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等の粉体状充填剤。ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤等を挙げることができる。これらの充填剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
充填剤の使用量は重合体(I)及び(II)の合計量に対して1〜1000重量%であり、好ましくは10〜300重量%である。
(可塑剤)
本発明の樹脂組成物には、硬度調整のために可塑剤を使用することもできる。可塑剤としては公知の可塑剤を使用することができる。具体例としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸アルキルエステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸アルキルエステル類;ペンタエリスリトールエステル等;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤;ポリプロピレングリコール;ポリエチレングリコール;塩素化パラフィン;等を挙げることができる。これらの可塑剤を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
(脱水剤)
本発明の樹脂組成物には、硬化物の物性や硬化性及び貯蔵安定性を調節する目的で加水分解性ケイ素化合物を任意に添加できる。具体例としては、テトラメチルシリケート、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシランなどやこれらのメトキシ基がエトキシ基に置換された化合物などを挙げることができるが、これらに限定されない。添加量は重合体(I)及び重合体(II)の合計量100重量部に対し、0.5〜5重量部である。0.5重量よりも少ないと貯蔵安定性が悪くなる。また5重量部よりも多いとガラスに接着し易くなるからである。
その他の添加剤として、チキソ性付与剤、フェノール樹脂やエポキシ樹脂、顔料、各種の安定剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、オリゴエステルアクリレートのような表面改質を目的とした光硬化性化合物、粘度調整のための溶剤等を添加することもできる。しかし、湿気硬化性樹脂組成物に一般的に使用される各種のシランカップリング剤といった粘着付与剤は添加しない。粘着付与剤を用いると、被着体に対し強力に接着するようになるからである。
本発明の樹脂組成物は、環境条件下で硬化可能であり、加熱することにより又は水分を添加することにより硬化を促進させることができる。
本発明の樹脂組成物には、さらに、視覚的な効果を付与する成分を添加することもできる。視覚的な効果を付与することにより、形状のみの場合に比べ、装飾の自由度をさらに大きくすることができる。視覚的な効果を付与する成分としては、着色剤、蓄光剤、光輝性無機顔料、蛍光顔料、色の変わるコレステリック液晶顔料等を挙げることができる。これらの視覚効果付与成分を単独で用いることもでき、あるいは複数種を用いることもできる。本発明の樹脂組成物は、硬化が早く且つ貯蔵安定性がよいので、これら成分を長期に亘り保持することが可能であり、これら成分の効果を十分に発揮させることが可能である。
なお、本発明の脂組成物は、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムを支持体とし、その片面または両面に本発明の樹脂組成物を塗布した粘着シートあるいは粘着テープとしても用いることができる。
(害虫忌避用物品)
本発明の害虫忌避用物品は、基材に付着させて基材を装飾するものであり、基材に害虫忌避機能と、美的外観および/または表示機能とを付与するものであれば特に限定されない。本発明の害虫忌避物品には、予め型等を利用して基材に付着させる前に所望の形状に作製したもの、そして基材に直接塗布して所望の形状に作製したものが含まれる。また、本発明の害虫忌避物品は、本発明の樹脂組成物を用いて作製したものであれば、形状、色彩、模様、大きさ、厚さ、数量は特に限定されない。
なお、本発明においては、「装飾する」とは、文字、記号、図形、模様又はそれらの2種以上の組み合わせを形成することを意味するものである。
(害虫忌避方法)
本発明の害虫忌避方法は、本発明の樹脂組成物を、害虫忌避機能を発現させたい場所に貼り付ける方法であれば特に限定されない。例えば、本発明の樹脂組成物を、害虫を近付けたくない場所に所望の形状又は模様に直接塗布しても良く、あるいは型等を利用して所望の形状の害虫忌避用物品を作製し、その物品を害虫を近付けたくない場所に貼り付けることもできる。
図1は、本発明の害虫忌避方法の一例であり、手持ち式のガンタイプの塗布装置を用い、カートリッジに収容した本発明の樹脂組成物を塗布ノズルから吐き出して、直接、窓ガラスに塗布して害虫忌避用物品を作製する例を示している。しかし、本発明はこの方法に限定されるものではない。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における「部」は、特に断らない限り「重量部」を表す。
(重合体の合成)
合成例1.
グリセリンを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒の存在下プロピレンオキシドを反応させて得られたポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基をアリルオキシ基に変換した後精製した。さらに塩化白金酸を触媒としてメチルジメトキシシランと反応させ、分子鎖末端の35%にメチルジメトキシシリルプロピル基を導入した重合体Aを合成した。
合成例2.
エチレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒の存在下プロピレンオキシドを反応させて得られたポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基をアリルオキシ基に変換した後精製した。さらに塩化白金酸を触媒としてメチルジメトキシシランと反応させ、分子鎖末端の60% にメチルジメトキシシリルプロピル基を導入した重合体Bを合成した。
合成例3.
亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、ポリオキシプロピレンジオールにプロピレンオキシドを開環重合させてポリオキシプロピレンジオール(重合体P)を得た。耐圧反応器に重合体Pを入れ、内温を110℃に保持しながら減圧脱水した。つぎに、反応器内雰囲気を窒素ガスに置換し、内温を50℃に保持しながら、NCO/OHが0.97となるように、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(純度95%)を投入した。つづいて、内温を80℃に8時間保持して、重合体(P)と3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランをウレタン化反応させて、分子鎖末端の90%にトリメトキシシリル基を導入した重合体Cを得た。
ここで、重合体中の加水分解性ケイ素の導入率は、1H−NMR分析から求めた。
実施例1〜4及び比較例1〜4.
重合体(I)として重合体A、重合体(II)として重合体B及びCを用いた。これら重合体に、可塑剤としてポリプロピレングリコール、充填剤として加熱乾燥により水分を除去したシリカを加え、遊星式攪拌器(クラボウ社製)を使用して攪拌・混合した。得られた混合物を室温まで温度を下げてから、害虫忌避剤としてピレトリン、脱水剤としてシラン化合物と硬化触媒としてジブチルスズビス(アセチルアセトネート)[(n−CSn(acac)]を加えて攪拌・混合して湿気硬化型樹脂組成物を得た。表1に実施例1〜4および比較例1〜4の樹脂組成物の組成を示す。
Figure 0005351708
(評価)
(1)対ガラス剥離性試験
温度23℃、湿度55%雰囲気下で、JIS R 3202に規定されるガラス板に湿気硬化型樹脂組成物を打設した後3日間養生した。簡易接着性試験(日本シーリング材工業会発刊建築用シーリング材ハンドブック記載方法に準拠)を行い、以下の評価基準を用いてガラスからの剥離性を評価した。
○:樹脂組成物をガラスから容易に剥がすことができる。
×:樹脂組成物の一部がガラスに付着して残る。
(2)貯蔵安定性試験
カートリッジ容器に充填した湿気硬化型樹脂組成物を温度50℃、湿度80%のオーブンに7日間に保存した後押し出して外観の変化の有無、タックフリー時間(指蝕乾燥時間)を確認した。以下の評価基準を用いた。
○:外観の変化が無くタックフリー時間が2倍以上変化しない。
×:タックフリー時間が2倍を超える。
(3)忌避性試験
忌避性は濾紙接触忌避試験法により評価した。すなわち、直径9cmの東洋濾紙No.5Aに、湿気硬化型樹脂組成物を2mm厚になるように打設し24時間風乾した。これを半円状に2枚に切断し、その1枚を、同様に半円形に切った無処理の濾紙とならべてガラス板上に置き、その上に内壁に粉末タルクを塗布した内径7cmのガラスリングを置いた。その中に供試虫としてアミメアリ10個体を放飼し、180分後に無処理区(無処理濾紙)および処理区(処理濾紙)に存在する個体数を数えて、下記の式によって忌避率を算出した。
忌避率(%)=(無処理区個体数−処理区個体数)/無処理区個体数×100
なお、忌避性の評価基準は以下の通りである。
○:忌避率が50%以上。
×:忌避率が50%未満
(評価結果)
表2に実施例1〜4および比較例1〜4の評価結果を示す。
Figure 0005351708
実施例1〜4は、対ガラス剥離性、貯蔵安定性および忌避効能のいずれも良好であっつた。これに対し、比較例1は重合体(I)が配合されていないため、硬化性は良好だが、対ガラス剥離性が不十分であった。また、比較例2は害虫忌避剤量が多いため、貯蔵安定性が悪くなった。また、比較例3は、重合体(I)100部に対して、重合体(II)が300部と多いために、ガラスから完全に剥離せず対ガラス剥離性が不十分であった。また、害虫忌避剤の配合量としては、重合体(I)および(II)の合計100重量部当たり2.4重量部と少ないため害虫忌避効果が不十分であった。また、比較例4は、重合体(II)が配合されておらず、硬化性が不十分であり、またガラスから剥離できなかった。
以上の通り、本発明の樹脂組成物は、従来剥離するのが困難であったガラスからも容易に剥離することができる。これにより、ショーウィンドウ等のガラスからなる被着体であっても、害虫忌避剤の交換が必要な場合には簡単に被着体から剥離することができる。また、本発明の樹脂組成物は、自由形状に造形することが可能であり、害虫を近付けたくない場所に所望の形状で貼り付けることができるので、装飾品として用いることもできる。また、本発明の樹脂組成物は、硬化が速く、かつ化学的に安定であるので、着色剤、蓄光剤、蛍光顔料等の種々の視覚効果付与成分を配合することが可能であり、人目に付きやすい場所に貼り付けた場合でも、視覚効果を利用してより自由度の大きい装飾も可能となる。

Claims (7)

  1. 少なくとも、害虫忌避剤と、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が25%以上50%未満であり、分子量が1,000〜20,000であるポリオキシアルキレン重合体(I)および分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上であり、分子量が5,000〜20,000であるポリオキシアルキレン重合体(II)とを含み、重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜200重量部を含む害虫忌避用湿気硬化型樹脂組成物。
  2. 上記重合体(I)と上記重合体(II)の加水分解性基が、アルキルジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基である請求項1記載の害虫忌避用湿気硬化型樹脂組成物。
  3. 少なくとも、害虫忌避剤と、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が25%以上50%未満であり、分子量が1,000〜20,000であるポリオキシアルキレン重合体(I)および分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上であり、分子量が5,000〜20,000であるポリオキシアルキレン重合体(II)とを含み、重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜200重量部を含む湿気硬化型樹脂組成物からなる害虫忌避用物品。
  4. 上記重合体(I)と上記重合体(II)の加水分解性基が、アルキルジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基である請求項3記載の害虫忌避用物品。
  5. 基材に害虫忌避用樹脂組成物を貼り付ける害虫忌避方法であって、
    該害虫忌避用樹脂組成物に、害虫忌避剤と、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が25%以上50%未満であり、分子量が1,000〜20,000であるポリオキシアルキレン重合体(I)および分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上であり、分子量が5,000〜20,000であるポリオキシアルキレン重合体(II)とを含み、重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜200重量部を含む湿気硬化型樹脂組成物を用いる、害虫忌避方法。
  6. 上記重合体(I)と上記重合体(II)の加水分解性基が、アルキルジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基である請求項5記載の害虫忌避方法。
  7. 上記湿気硬化型樹脂組成物を基材に直接塗布した後で硬化させる、請求項5記載の害虫忌避方法。
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