JP2011000859A - 湿気硬化型樹脂組成物及びそれを用いた立体装飾品と立体装飾方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材を立体的に装飾するのに使用する湿気硬化型樹脂組成物及びそれを用いた立体装飾品と立体装飾方法を提供する。樹脂組成物に、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%未満である重合体(I)と分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上である重合体(II)とを含み、重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜200重量部を含む湿気硬化型樹脂組成物を用いる。
【選択図】図1
Description
本発明の湿気硬化型樹脂組成物は、基材を立体的に装飾するのに使用する樹脂組成物であって、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%未満である重合体(I)と分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上である重合体(II)とを含み、重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜200重量部を含むことを特徴とするものである。
本発明に用いる重合体(I)と(II)の主鎖には、ポリオキシアルキレン重合体又はビニル系重合体を用いる。ポリオキシアルキレン重合体には、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(C2H5)O−、−CH(CH3)CH2O−、−CH(C2H5)CH2O−、−CH2CH2CH2O−、及び−CH2CH2CH2CH2O−から選択された1種以上の繰り返し単位からなるものを用いることができる。好ましくは、−CH2CH(CH3)O−である。また、ビニル系重合体には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、及びこれら重合体のいずれか2種以上を成分として含む共重合体等を挙げることができる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリレートである。
ここで、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率は、末端基が水酸基である重合体の場合、加水分解性ケイ素基導入後の未反応の水酸基を水酸基価分析法を用いて算出することができる。また、末端基の種類に限定されない方法として、IR法やNMR法を用いて加水分解性ケイ素基導入後の末端基を定量することにより算出する方法を用いることもできる。
本発明に用いる湿気硬化型樹脂組成物には、硬化反応を促進させるために硬化触媒を用いる。具体例としては、アルキルチタン酸塩、有機ケイ素チタン酸塩、ビスマストリス−2−エチルヘキサノエート等の金属塩、リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸等の酸性化合物、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン等の脂肪族モノアミン、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン等の脂肪族ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン類、ピペリジン、ピペラジン等の複素環式アミン類、メタフェニレンジアミン等の芳香族アミン類、エタノールアミン類、トリエチルアミン、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン等のアミン化合物を挙げることができる。また、ジオクチル酸錫、ジナフテン酸錫、ジステアリン酸錫等の2価の錫と上記アミン類の混合物を挙げることもできる。
(n−C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2
(n−C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOO−(n−C4H9))2
(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2
(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOO−(n−C4H9))2
(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOO−(iso−C8H17))2
(n−C4H9)2Sn(SCH2COO)
(n−C8H17)2Sn(SCH2COO)
(n−C8H17)2Sn(SCH2CH2COO)
(n−C8H17)2Sn(SCH2COOCH2CH2OCOCH2S)
(n−C4H9)2Sn(SCH2COO−(iso−C8H17))2
(n−C8H17)2Sn(SCH2COO−(iso−C8H17))2
(n−C8H17)2Sn(SCH2COO−(n−C8H17))2
(n−C4H9)2SnS
(n−C4H9)2SnO
(n−C8H17)2SnO
(n−C4H9)2Sn(acac)2
(n−C8H17)2Sn(acac)2
(n−C4H9)2(C8H17O)Sn(acac)
(n−C4H9)2(CH3COO)SnOSn(OCOCH3)(n−C4H9)2
(n−C4H9)2(CH3O)SnOSn(OCH3)(n−C4H9)2
充填剤としては、公知の充填剤を使用することができる。具体例としては、表面を脂肪酸または樹脂酸系有機物で表面処理した炭酸カルシウム、さらにこれを微粉末化した平均粒径1μm以下の膠質炭酸カルシウム、沈降法により製造した平均粒径1〜3μmの軽質炭酸カルシウム、平均粒径1〜20μmの重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、およびカーボンブラック、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等の粉体状充填剤。ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤等を挙げることができる。これらの充填剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明に用いる湿気硬化型樹脂組成物には、硬度調整のために可塑剤を使用することもできる。可塑剤としては公知の可塑剤を使用することができる。具体例としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸アルキルエステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸アルキルエステル類;ペンタエリスリトールエステル等;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤;ポリプロピレングリコール;ポリエチレングリコール;塩素化パラフィン;等を挙げることができる。これらの可塑剤を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明に用いる湿気硬化型樹脂組成物には、硬化物の物性や硬化性及び貯蔵安定性を調節する目的で加水分解性ケイ素化合物を任意に添加できる。具体例としては、テトラメチルシリケート、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシランなどやこれらのメトキシ基がエトキシ基に置換された化合物などを挙げることができるが、これらに限定されない。添加量は重合体(I)及び重合体(II)の合計量100重量部に対し、0.5〜5重量部である。0.5重量よりも少ないと貯蔵安定性が悪くなる。また5重量部よりも多いとガラスに接着し易くなるからである。
蓄光性顔料は特に限定されないが、ZnS:Cu系化合物(根本特殊化学社製蓄光性顔料)やSrAl2O4系化合物(イージーブライト社製蓄光性顔料)などを挙げることができる。また、光輝性無機顔料は特に限定されないが、薄板状雲母粒子の表面に、各種金属酸化物を被覆した所謂パール顔料や、ガラスフレークの表面に、各種金属酸化物を被覆した商品名メタシャイン(日本板硝子社製)などを挙げることができる。また、香料は芳香成分であれが特に限定されない。
本発明の立体装飾品は、基材に付着させ、基材に美的外観や表示機能を付与するものであれば特に限定されない。本発明の立体装飾品には、予め型等を利用して基材に付着させる前に所望の形状に作製したもの、そして基材に直接塗布して形成したものが含まれる。また、本発明の立体装飾品は、本発明の湿気硬化型樹脂組成物を用いて作製したものであれば、形状、色彩、模様、大きさ、厚さ、数量は特に限定されない。
本発明の立体装飾方法は、本発明の湿気硬化型樹脂組成物を用いて基材を装飾する方法であれば特に限定されない。例えば、湿気硬化型樹脂組成物を直接、基材に所望の形状又は模様に塗布しても良く、あるいは型等を利用して所望の形状の立体装飾品を作製し、その立体装飾品を基材に貼り付けることもできる。湿気硬化型樹脂組成物を直接、基材に塗布することが好ましい。より短時間で、装飾を行うことができるからである。
また、図1は、本発明の立体装飾方法の一例であり、手持ち式のガンタイプの塗布装置を用い、カートリッジに収容した湿気硬化型樹脂組成物を塗布ノズルから吐き出して、直接、窓ガラスに塗布して立体装飾品を作製する例を示している。使用する塗布ノズルの形状を工夫することで、様々な表面模様を作り出すことが可能となる。しかし、本発明はこの方法に限定されるものではない。
合成例1.
グリセリンを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒の存在下プロピレンオキシドを反応させて得られたポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基をアリルオキシ基に変換した後精製した。さらに塩化白金酸を触媒としてメチルジメトキシシランと反応させ、分子鎖末端の35%にメチルジメトキシシリルプロピル基を導入した重合体Aを合成した。
ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤とし、アクリル酸エステル単量体としてアクリル酸ブチル、加水分解性シリル基含有単量体としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランからなる単量体混合物を、一定の供給速度で反応温度を250℃に制御しながら25分反応した結果、分子鎖末端の15%にシラン基を導入した重合体Bを合成した。
エチレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒の存在下プロピレンオキシドを反応させて得られたポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基をアリルオキシ基に変換した後精製した。さらに塩化白金酸を触媒としてメチルジメトキシシランと反応させ、分子鎖末端の60% にメチルジメトキシシリルプロピル基を導入した重合体Cを合成した。
亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、ポリオキシプロピレンジオールにプロピレンオキシドを開環重合させてポリオキシプロピレンジオール(重合体P)を得た。耐圧反応器に重合体Pを入れ、内温を110℃に保持しながら減圧脱水した。つぎに、反応器内雰囲気を窒素ガスに置換し、内温を50℃に保持しながら、NCO/OHが0.97となるように、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(純度95%)を投入した。つづいて、内温を80℃に8時間保持して、重合体(P)と3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランをウレタン化反応させて、分子鎖末端の90%にトリメトキシシリル基を導入した重合体Dを得た。
重合体(I)として重合体A及びB、重合体(II)として重合体C及びDを用いた。これら重合体に、可塑剤としてポリプロピレングリコール、充填剤として加熱乾燥により水分を除去したシリカを加え、遊星式攪拌器(クラボウ社製)を使用して攪拌・混合した。得られた混合物を室温まで温度を下げてから、脱水剤としてシラン化合物と硬化触媒としてジブチルスズビス(アセチルアセトネート)[(n−C4H9)2Sn(acac)2]を加えて攪拌・混合して湿気硬化型樹脂組成物を得た。表1に実施例1〜5および比較例1〜4の配合を示す。
(1)対ガラス剥離性試験
温度23℃湿度55%雰囲気下で、JIS R 3202に規定されるガラス板に湿気硬化型樹脂組成物を打設した後3日間養生した。簡易接着性試験(日本シーリング材工業会発刊建築用シーリング材ハンドブック記載方法に準拠)を行い、以下の評価基準を用いてガラスからの剥離性を評価した。
○:樹脂組成物をガラスから容易に剥がすことができる。
×:樹脂組成物の一部がガラスに付着して残る。
温度23℃湿度55%雰囲気下で湿気硬化型樹脂組成物を10mm幅で10mmの高さのアルミチャネルに打設し24時間後切り出した厚み(単位:mm)を測定した。硬化反応は、樹脂組成物の表面から進むため、表面に形成される皮膜の厚さ(以下、硬化厚みという。)が大きい方が、硬化速度が大きいことを示す。
カートリッジ容器に充填した湿気硬化型樹脂組成物を温度50℃湿度80%のオーブンに7日間に保存した後押し出して外観の変化の有無、タックフリー時間(指蝕乾燥時間)を確認した。以下の評価基準を用いた。
○:外観の変化が無くタックフリー時間が2倍以上変化しない。
×:タックフリー時間が2倍を超える。
なお、比較例3は、硬化性が悪いため、貯蔵安定性の試験は行わなかった。
表2に実施例1〜6および比較例1〜5の評価結果を示す。
実施例1で作製した湿気硬化型樹脂組成物にイージーブライト社製蓄光顔料Sr4Al14025を樹脂組成物100部に対し10部添加し打設用組成物を作製し、図1のように窓ガラスに打設した。夜間に室内の灯りを消すと打設した組成物が光って浮かび上がり装飾効果が確認できた。14日後、打設した組成物をガラスから剥がしたところ、跡も残さずきれいに取ることができた。
実施例7で作製した蓄光剤入りの打設用組成物をコンクリートの廊下の両端に打設した。電灯を消した後見ると電灯をつけなくとも廊下の方向が確認できた。また、交換のため剥がしたところ、跡も残さずきれいに取ることができた。
実施例1で作製した湿気硬化型樹脂組成物に日本板硝子社製の金属コートマイクロガラス「メタシャイン MC5480PS」を樹脂組成物100部に対し0.5部添加して打設用組成物を作製し実施例7と同様に窓ガラスに打設した。見る方向によりきらきらと光り、装飾効果が得られた。14日後、打設した組成物をガラスから剥がしたところ、跡も残さずきれいに取ることができた。
実施例1で作製した湿気硬化型樹脂組成物に株式会社松井色素化学工業所の感温色素「Chromicolor PVC Spray Lacquer Type45,BLUE−PINK」を樹脂組成物100部に対し1部添加して打設用組成物を作成し、実施例7のようにガラス製のコップに打設した。常温室温で青色の組成物がコップに熱いお茶を注ぐと直ぐにピンク色に変化した。そのままお茶が常温まで冷えると組成物が再び青色に変化した。このように温度で色調が繰り返し変化するという装飾効果が得られた。14日後、打設した組成物をコップから剥がしたところ、跡も残さずきれいに取ることができた。
実施例1で作製した湿気硬化型樹脂組成物に曽田香料社製の香料「MASKING MO−712」を、樹脂組成物100部に対し0.3部添加して打設用組成物を作製し車のダッシュボードに少量塗りつけたところ、車内にストロベリーの匂いが一週間持続した。一週間後ダッシュボードから剥がしたところ跡も残らずきれいに取れた。
Claims (10)
- 基材を立体的に装飾するのに使用する樹脂組成物であって、
分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%未満である重合体(I)と分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上である重合体(II)とを含み、重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜200重量部を含む湿気硬化型樹脂組成物。 - 上記重合体(I)と上記重合体(II)の加水分解性基が、アルキルジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基である請求項1記載の湿気硬化型樹脂組成物。
- さらに蓄光性顔料、光輝性無機顔料及び香料からなる群から選択された少なくとも1種
を含む請求項1記載の湿気硬化型樹脂組成物。 - 基材を立体的に装飾するのに使用する立体装飾品であって、
該立体装飾品が、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%未満である重合体(I)と分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上である重合体(II)とを含み、重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜200重量部を含む湿気硬化型樹脂組成物からなる立体装飾品。 - 上記重合体(I)と上記重合体(II)の加水分解性基が、アルキルジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基である請求項4記載の立体装飾品。
- 上記湿気硬化型樹脂組成物が、さらに蓄光性顔料、光輝性無機顔料及び香料からなる群から選択された少なくとも1種を含む請求項4記載の立体装飾品。
- 基材を樹脂組成物を用いて立体的に装飾する立体装飾方法であって、
該樹脂組成物に、分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%未満である重合体(I)と分子鎖末端に対する加水分解性ケイ素基の導入率が50%以上である重合体(II)とを含み、重合体(I)100重量部に対し、重合体(II)を5〜200重量部を含む湿気硬化型樹脂組成物を用いる、立体装飾方法。 - 上記重合体(I)と上記重合体(II)の加水分解性基が、アルキルジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基である請求項1記載の立体装飾方法。
- 上記湿気硬化型樹脂組成物が、さらに蓄光性顔料、光輝性無機顔料及び香料からなる群から選択された少なくとも1種を含む請求項1記載の立体装飾方法。
- 上記湿気硬化型樹脂組成物を、基材に直接塗布した後で硬化させる、請求項7記載の立体装飾方法。
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