JP6953685B2 - ポリアミドイミド樹脂組成物及び塗料 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、ポリアミドイミド樹脂組成物、塗料、塗膜付き基材、物品、及び成形品に関する。
ポリアミドイミド樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性等に優れているため、ポリアミドイミド樹脂を含有するポリアミドイミド樹脂組成物は、各種の基材のコート剤として広く用いられる。例えば、エナメル線用ワニス、耐熱塗料等として使用されている。
ポリアミドイミド樹脂を、溶解、希釈、又は合成する際に使用される溶媒として、一般に、N−メチル−2−ピロリドンが知られている。ポリアミドイミド樹脂は、N−メチル−2−ピロリドンに対して優れた溶解性を示すことから、これまで多く使用されている(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、環境保全面、安全衛生面、経済性、塗装作業性等の面から、有機溶媒に代わり媒体に水を使用する水系樹脂溶液が注目されている。末端に残存するカルボキシル基に塩基性化合物を作用させる、ポリアミドイミド樹脂の水溶化方法が報告されており(例えば、特許文献2参照)、様々な用途に適用されている。
特開2012−197339号公報 特開2002−284993号公報
ポリアミドイミド樹脂組成物を用いた塗膜の形成は、通常、組成物を塗布し、高温で焼付けることによって行われる。従来のポリアミドイミド樹脂組成物では、塗膜の形成工程において、変色が生じ、得られる塗膜は色が着いたものとなっていた。そのため、ポリアミドイミド樹脂組成物の用途は、黒等の濃い色の塗膜用に限られていた。
そこで、本発明の実施形態は、白色又は薄い色の塗膜を得ることができるポリアミドイミド樹脂組成物及び塗料を提供することを目的とする。また、本発明の他の実施形態は、白色又は薄い色の塗膜を有する塗膜付き基材及び物品、並びに白色又は薄い色の成形品を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、鋭意検討の結果、塗膜への着色の原因がN−メチル−2−ピロリドンにあると考え、さらに、N−メチル−2−ピロリドンに代わる溶媒として使用可能であり、かつ、高温加熱した場合であっても、ポリアミドイミド樹脂組成物の変色を抑えることができる溶媒を見出し、種々の実施形態を含む本発明を完成させるに至った。
本発明の実施形態は、(A)ポリアミドイミド樹脂、(B)N−ホルミルモルホリン、(C)水、及び(D)白色顔料を含有する、ポリアミドイミド樹脂組成物に関する。
前記(A)ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、好ましくは5,000〜50,000である。
前記(C)水の含有量は、好ましくは10質量%以上である。
前記ポリアミドイミド樹脂組成物は、更にフッ素樹脂を含有してもよい。
本発明の他の実施形態は、前記ポリアミドイミド樹脂組成物を含有する、塗料に関する。
本発明の更に他の実施形態は、基材と、前記塗料により前記基材の表面の少なくとも一部に形成された塗膜とを有する、塗膜付き基材に関する。
また、本発明の更に他の実施形態は、前記塗料により形成された塗膜を表面の少なくとも一部に有する、物品に関する。
また、本発明の更に他の実施形態は、前記ポリアミドイミド樹脂組成物を成形してなる、成形品に関する。
本発明の実施形態によれば、白色又は薄い色の塗膜を得ることができるポリアミドイミド樹脂組成物及び塗料を提供できる。また、本発明の他の実施形態によれば、白色又は薄い色の塗膜を有する塗膜付き基材及び物品、並びに白色又は薄い色の成形品を提供できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
1.ポリアミドイミド樹脂組成物
本実施形態のポリアミドイミド樹脂組成物は、(A)ポリアミドイミド樹脂、(B)N−ホルミルモルホリン、(C)水、及び(D)白色顔料を含有する。ポリアミドイミド樹脂組成物は、各成分を、それぞれ1種のみ含有しても、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
<(A)ポリアミドイミド樹脂>
(A)ポリアミドイミド樹脂は、アミド結合とイミド結合とを持つ樹脂である。(A)ポリアミドイミド樹脂は、例えば、ジイソシアネート化合物及び/又はジアミン化合物と、酸成分としての三塩基酸無水物及び/又は三塩基酸ハライドとを反応させて得ることができる。反応には、各原料化合物を、それぞれ1種のみ使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ジイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(1)で表されるジイソシアネート化合物が挙げられる。式(1)中、Xは2価の有機基を示す。
Figure 0006953685
Xで示される2価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキレン基;未置換、メチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基、又はメトキシ基等の炭素数1〜5の低級アルコキシ基で置換されているフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基;単結合、炭素数1〜5の低級アルキレン基、オキシ基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、又はスルホニル基(−SO−)を介して前記アリーレン基が2つ結合してなる2価の有機基;前記アリーレン基を介して炭素数1〜5の低級アルキレン基が2つ結合してなる2価の有機基などが挙げられる。アルキレン基の炭素数は、より好ましくは1〜18であり、より好ましくは1〜12であり、更に好ましくは1〜6であり、特に好ましくは1〜4である。
Xで示される2価の有機基は、反応性、塗膜の密着性向上等の観点から、好ましくは、単結合、炭素数1〜5の低級アルキレン基、オキシ基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、又はスルホニル基(−SO−)を介して前記アリーレン基が2つ結合してなる2価の有機基であり、より好ましくは単結合又は炭素数1〜5の低級アルキレン基を介して前記アリーレン基が2つ結合してなる2価の有機基であり、更に好ましくは単結合又は炭素数1〜5の低級アルキレン基を介してフェニレン基が2つ結合してなる2価の有機基である。ジイソシアネート化合物を2種以上組み合わせて用いる場合も、これらの好ましい態様の中から2種以上を選択して使用することが好ましい。また、アリーレン基は、反応性の観点からは、未置換であることが好ましく、塗膜の密着性向上の観点からは、メチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基、又はメトキシ基等の炭素数1〜5の低級アルコキシ基で置換されていることが好ましい。
ジイソシアネート化合物として、具体的には、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアレート等が挙げられる。反応性の観点からは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを用いることが好ましい。また、塗膜の密着性向上の観点からは、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネートを用いることが好ましい。4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネートとを併用することも可能である。
ジアミン化合物としては、特に限定されないが、上記式(1)において、イソシアネート基をアミノ基に置き換えた化合物が挙げられる。ジアミン化合物として、具体的には、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
反応には、ジイソシアネート化合物を単独で用いても、ジアミン化合物を単独で用いても、ジイソシアネート化合物とジアミン化合物を併用してもよい。反応を容易に行う観点から、ジイソシアネート化合物が好ましく使用される。
三塩基酸無水物としては、トリカルボン酸無水物が挙げられる。特に限定されないが、好ましくは芳香族三塩基酸無水物であり、より好ましくは芳香族トリカルボン酸無水物であり、更に好ましくは下記式(I)又は式(II)で表される化合物である。耐熱性、コスト等の観点からトリメリット酸無水物が特に好ましい。
Figure 0006953685
Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、又はフェニル基を示し、Yは、−CH−、−CO−、−SO−、又は−O−を示す。
三塩基酸ハライドとしては、三塩基酸無水物ハライドが好ましく使用され、例えば、トリカルボン酸無水物ハライドが挙げられる。三塩基酸無水物ハライドは、三塩基酸無水物クロライドであることが好ましい。特に限定されないが、好ましくは芳香族三塩基酸無水物クロライドであり、より好ましくは芳香族トリカルボン酸無水物クロライドであり、更に好ましくは下記式(I)又は(II)において−COOR基を−COCl基に置き換えた化合物である。耐熱性、コスト等の観点から、トリメリット酸無水物クロライド(無水トリメリット酸クロライド)が特に好ましい。
環境への負荷を軽減させる観点から、トリカルボン酸無水物が好ましく使用され、トリメリット酸無水物が特に好ましい。
酸成分としては、三塩基酸無水物及び三塩基酸ハライドの他に、ジカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物等の多塩基酸又は多塩基酸無水物を、(A)ポリアミドイミド樹脂の耐熱性等の特性を損なわない範囲で用いることができる。
ジカルボン酸としては、特に限定されないが、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。多塩基酸及び多塩基酸無水物は、それぞれ1種のみ使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
三塩基酸無水物及び三塩基酸ハライド以外の多塩基酸及び多塩基酸無水物(例えば、ジカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物)の使用量は、(A)ポリアミドイミド樹脂の耐熱性等の特性を保つ観点から、全酸成分中に0〜50モル%が好ましく、0〜30モル%がより好ましく、0〜15モル%が更に好ましい。
ジイソシアネート化合物及び/又はジアミン化合物と、酸成分(三塩基酸無水物及び/又は三塩基酸ハライド、並びに、必要に応じて用いられるジカルボン酸及び/又はテトラカルボン酸二無水物等)の使用比率は、生成させる(A)ポリアミドイミド樹脂の分子量及び架橋度の観点から、酸成分の総量1.0モルに対してジイソシアネート化合物及び/又はジアミン化合物の総量が0.8〜1.1モルであることが好ましく、0.95〜1.08モルであることがより好ましく、1.0〜1.08モルであることが更に好ましい。
(A)ポリアミドイミド樹脂として、ジイソシアネート化合物及び/又はジアミン化合物と、酸成分とを反応させて得られるポリアミドイミド樹脂をそのまま使用することができる。また、ブロック剤で保護した後に使用することも可能である。
原料化合物としてジイソシアネート化合物を使用する場合、(A)ポリアミドイミド樹脂を安定化させる目的で、末端イソシアネート基のブロック剤(末端ブロック剤)を任意で使用してもよい。ブロック剤で保護することにより、(A)ポリアミドイミド樹脂は、イソシアネート基(−NCO基)を有しないか、又は、イソシアネート化合物と酸成分とを反応させて得られるポリアミドイミド樹脂と比べ、イソシアネート基(−NCO基)の量が低減されたものとなる。
ブロック剤としてアルコールが挙げられ、アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜6の低級アルコールが挙げられる。また、ブロック剤として、2−ブタノンオキシム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム等が挙げられる。ブロック剤は、これらの例示化合物に限定されることはない。ブロック剤を、1種を単独で、又は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、塗膜の強度を確保する観点から、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、13,000以上が更に好ましく、15,000以上が特に好ましい。また、数平均分子量は、水への溶解性を確保する観点から、50,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、25,000以下が更に好ましく、20,000以下が特に好ましい。
(A)ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、合成時にポリアミドイミド樹脂をサンプルリングして、数平均分子量を測定し、目的とする数平均分子量が得られるまで合成を継続することによって管理できる。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定することができる。GPCの測定条件については後述する。
(A)ポリアミドイミド樹脂は、樹脂中のカルボキシル基と酸無水物基を開環させたカルボキシル基とを合わせた酸価が、10mgKOH/g以上であることが好ましい。より好ましくは25mgKOH/g以上、更に好ましくは35mgKOH/g以上である。これらの範囲は、(A)ポリアミドイミド樹脂の溶解又は分散を容易にする観点から、好ましい範囲である。また、ポリアミドイミド樹脂組成物が後述する塩基性化合物を含有する場合に、塩基性化合物と反応するカルボキシル基の量が十分となり、水溶化が容易になることからも好ましい範囲である。
また、酸価は、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂組成物について、経日によりゲル化を防止する観点から、80mgKOH/g以下が好ましい。より好ましくは60mgKOH/g以下、更には50mgKOH/g以下である。
酸価は、以下の方法で得ることができる。まず、ポリアミドイミド樹脂を0.5g採取し、これに1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンを0.15g加え、更にN−メチル−2−ピロリドン60gとイオン交換水1mLを加え、ポリアミドイミド樹脂が完全に溶解するまで撹拌し、評価用溶液を調製する。評価用溶液を用いて、電位差滴定法により、0.05mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、酸価を得る。酸価は、樹脂中のカルボキシル基と酸無水物基を開環させたカルボキシル基とを合わせた酸価である。
ポリアミドイミド樹脂組成物における(A)ポリアミドイミド樹脂の含有量は、その用途に応じて適宜設定することができ、特に限定はされない。(A)ポリアミドイミド樹脂の含有量は、他の成分とのバランスの観点から、ポリアミドイミド樹脂組成物中に5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましい。また、(A)ポリアミドイミド樹脂の含有量は、ポリアミドイミド樹脂組成物中に50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
<(B)N−ホルミルモルホリン>
ポリアミドイミド樹脂組成物は、溶媒を含有し、溶媒は、(B)N−ホルミルモルホリンを含む。溶媒は、本実施形態による効果を損なわない範囲で、(B)N−ホルミルモルホリン以外の有機溶媒を含んでもよい。
有機溶媒としては、N−エチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、及びN−アセチルモルホリン等から選ばれる1種以上の極性溶媒が挙げられる。更に、助溶媒として、アニソール、ジエチルエーテル、エチレングリコール等のエーテル;アセトフェノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンノン、シクロペンタノン等のケトン;キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素;エタノール、2−プロパノール等のアルコールなどを必要に応じて用いてもよい。
(B)N−ホルミルモルホリン及び必要に応じて使用される有機溶媒の総含有量は、ポリアミドイミド樹脂の溶解性の観点から、全溶媒中(N−ホルミルモルホリンと、後述する水と、任意の有機溶媒との総量中)に20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。また、総含有量は、水との混和性の観点から、全溶媒中に90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。
(B)N−ホルミルモルホリン及び有機溶媒(すなわち有機混合溶媒)を用いる場合、本実施形態の効果を充分に得る観点から、(B)N−ホルミルモルホリンの含有量は、有機混合溶媒中に50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましい。上限は特に限定されず、100質量%とすることができる。
<(C)水>
ポリアミドイミド樹脂組成物は、溶媒として、更に(C)水を含む。(C)水としては、イオン交換水が好ましく用いられる。
ポリアミドイミド樹脂組成物中の(C)水の含有量は、(A)ポリアミドイミド樹脂の水への溶解性を向上させる観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましい。また、ポリアミドイミド樹脂組成物中の(C)水の含有量は、ポリアミドイミド樹脂の溶解性の観点から、ポリアミドイミド樹脂組成物中に80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましい。
全溶媒中(N−ホルミルモルホリンと、水と、任意の有機溶媒との総量中)の(C)水の含有量は、ポリアミドイミド樹脂の溶解性の観点から、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。また、全溶媒中の(C)水含有量は、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。
<(D)白色顔料>
ポリアミドイミド樹脂組成物は、(D)白色顔料を含有する。(D)白色顔料としては、特に限定されず、例えば、塗料の分野で通常使用されている白色顔料を使用することができる。具体的には、酸化アルミニウム(アルミナ)粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、無機中空粒子等が挙げられる。これらの粒子は、耐候性の向上等のために表面処理されていてもよい。粒子(無機中空粒子を除く)の形状としては、球状粒子、針状粒子等が挙げられる。また、無機中空粒子を構成する無機材料としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、ガラス等が挙げられる。
(D)白色顔料の平均粒子径は、特に限定されないが、塗膜の平滑性を保つ観点から5.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。白色顔料として使用できれば、平均粒子径の下限も特に限定されない。
(D)白色顔料の含有量は、塗膜の色相の観点から、ポリアミドイミド樹脂組成物中の白色顔料以外の固形分に対し、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましい。また、(D)白色顔料の含有量は、塗膜のクラック防止の観点から、ポリアミドイミド樹脂組成物中の白色顔料以外の固形分に対し60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
<他の任意成分>
ポリアミドイミド樹脂組成物は、上記成分(A)〜(D)に加え、使用目的に応じて任意成分を含むことができる。
好ましい実施形態において、ポリアミドイミド樹脂組成物は、(A)ポリアミドイミド樹脂の水への溶解性を高めるために、塩基性化合物を含有してもよい。ポリアミドイミド樹脂組成物において、塩基性化合物は、(A)ポリアミドイミド樹脂に含まれるカルボキシル基と反応し、塩基性化合物と(A)ポリアミドイミド樹脂とによる塩が形成される。塩基性化合物の作用により、(A)ポリアミドイミド樹脂の水への溶解性を高めることができる。
塩基性化合物としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’,N’−トリメチルアミノエチルピペラジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、シクロヘキサノールアミン、N−メチルシクロヘキサノールアミン、N−ベンジルエタノールアミン等のアルカノールアミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の苛性アルカリ;又はアンモニア等が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の水への溶解性を高める観点から、アルキルアミン類及び/又はアルカノールアミン類が適している。
塩基性化合物は、ポリアミドイミド樹脂の水溶化を容易とし、かつ、塗膜の強度を向上させる観点から、樹脂中に含まれるカルボキシル基及び開環させた酸無水物基に対して、2.5当量以上となる量で使用されることが好ましく、より好ましくは3.5当量以上、更に好ましくは4当量以上である。また、塩基性化合物の含有量は、強度を維持する観点から、10当量以下となる量で使用されることが好ましく、より好ましくは8当量以下、更に好ましくは6当量以下である。
塩基性化合物は、成分(A)〜(D)を含有する組成物に添加することができる。また、成分(A)、(B)及び(D)を含有する組成物に塩基性化合物を添加し、その後、水(成分(C))を加えてもよい。いずれの方法においても、塩基性化合物を添加した後は、十分な撹拌を行う。撹拌時の温度は、0〜200℃が好ましく、(A)ポリアミドイミド樹脂の溶解を促進するために、40〜130℃がより好ましい。
ポリアミドイミド樹脂組成物は、水により任意の濃度への希釈が可能であり、高温焼成後に基材等への密着性に優れた塗膜を形成できるので、塗料として好ましく使用できる。ポリアミドイミド樹脂組成物を塗料として使用するときには、必要に応じて、充填材、消泡剤、防腐剤、界面活性剤等の任意成分を添加してもよい。また、ポリアミドイミド樹脂組成物は、(A)ポリアミドイミド樹脂以外の樹脂を含有してもよい。詳細は塗料の項において記載する。
<(A)ポリアミドイミド樹脂の製造方法>
ポリアミドイミド樹脂は、例えば、次の方法で製造することができる。
(1)酸成分及びジイソシアネート化合物及び/又はジアミン化合物を一度に使用し、反応させてポリアミドイミド樹脂を合成する方法。
(2)酸成分と、ジイソシアネート化合物及び/又はジアミン化合物の過剰量とを反応させて、末端にイソシアネート基及び/又はアミノ基を有するアミドイミドオリゴマーを合成した後、酸成分を追加して末端のイソシアネート基及び/又はアミノ基と反応させてポリアミドイミド樹脂を合成する方法。
(3)酸成分の過剰量と、ジイソシアネート化合物及び/又はジアミン化合物を反応させて、末端に酸及び/又は酸無水物基を有するアミドイミドオリゴマーを合成した後、ジイソシアネート化合物及びジアミン化合物を追加して末端の酸及び/又は酸無水物基と反応させてポリアミドイミド樹脂を合成する方法。
重合反応においては、N−ホルミルモルホリン、又はN−ホルミルモルホリンと他の有機溶媒を含む有機混合溶媒を、重合溶媒(合成溶媒)として用いることができる。この場合は、得られた重合溶液に(C)水、(D)白色顔料、及び任意成分を加え、そのままポリアミドイミド樹脂組成物として、塗料等に使用できる。得られた重合溶液にブロック剤を加え、イソシアネート基をブロックした後に、(C)水、(D)白色顔料、及び任意成分を加えてもよい。すなわち、N−ホルミルモルホリン及び有機混合溶媒は、ポリアミドイミド樹脂の合成溶媒及びポリアミドイミド樹脂組成物に含有される溶媒の両方に使用される。N−ホルミルモルホリン以外の有機溶媒については、ポリアミドイミド樹脂組成物の項において説明したとおりである。
重合溶媒の使用量には、特に制限はないが、ジイソシアネート化合物及び/又はジアミン化合物と酸成分との総量100質量部に対して50〜500質量部とすることが、ポリアミドイミド樹脂の溶解性の観点から好ましい。反応温度は、特に限定されず、一般に80〜180℃の温度が好ましい。重合反応は、空気中の水分の影響を低減するため、窒素等の雰囲気下で行うことが好ましい。
2.塗料
本実施形態の塗料は、前記実施形態のポリアミドイミド樹脂組成物を利用した塗料であり、少なくとも前記実施形態のポリアミドイミド樹脂組成物を含有する。ポリアミドイミド樹脂組成物を塗料として使用する際に、塗膜形成方法等に応じた適切な粘度とするために、ポリアミドイミド樹脂組成物を水、N−ホルミルモルホリン、又は有機溶媒により任意に希釈してもよい。本実施形態の塗料は、白色又は薄い色の塗膜が要求される基材又は物品用の塗料として好適である。
(A)ポリアミドイミド樹脂は、その機能を十分に発揮させるために、塗料中に1〜50質量%含まれることが好ましい。塗料は、必要に応じて、(A)ポリアミドイミド樹脂以外の樹脂、充填材、消泡剤、防腐剤、界面活性剤等の任意成分を含有してもよい。
<フッ素樹脂>
塗料は、フッ素樹脂を含有するフッ素塗料として好ましく使用できる。前記実施形態のポリアミドイミド樹脂組成物は、フッ素樹脂水分散液との混合性に優れるため、フッ素樹脂のバインダーとして好適である。
フッ素樹脂に求められる特性は、非粘着性、耐食性、耐熱性、耐薬品性等である。フッ素樹脂として、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体等が好ましく使用される。複数種を組み合わせて使用してもよい。
フッ素樹脂は、水分散液としても、又は、粉体としても、ポリアミドイミド樹脂組成物に混合可能である。フッ素樹脂の形状に特に制約はない。フッ素樹脂の含有量にも特に制限はないが、高密着性、非粘着性等のバランスの良い塗膜を得るためには、(A)ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して50〜800質量部が好ましく、100〜500質量部がより好ましい。
フッ素塗料は、塗膜の密着性、耐熱性、硬度、着色性等に優れるため、白色又は薄い色の塗膜が要求される家電又は厨房器具用の塗料として好適である。
フッ素塗料は、非粘着性を発現するフッ素樹脂と密着性を発現するポリアミドイミド樹脂との混合系の塗料である。そのため、塗膜の焼成時には、フッ素樹脂を塗膜表面に偏在させるために、フッ素樹脂が溶融する400℃近辺での高温焼成を行うことが好ましい。
<他の任意成分>
塗料には、必要に応じて、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミド樹脂、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物等を、単独で又は混合して用いることができる。
好ましい一実施形態において、塗料はエポキシ化合物(エポキシ樹脂)を含有することができる。エポキシ化合物を含有することにより、ポリアミドイミド樹脂組成物の熱的、機械的、電気的特性等をより向上させることができる。また、エポキシ化合物(エポキシ樹脂)、メラミン化合物(メラミン樹脂)、及びイソシアネート化合物は、塗膜の密着性をより向上させることができるために好ましい。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等)、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ビキシレノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ化合物を、単独で使用しても、複数種を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ化合物は単独で添加してポリアミドイミド樹脂と反応させてもよいが、硬化後にエポキシ化合物の未反応物が残留しにくいように、硬化剤又は硬化促進剤等と共に添加してもよい。
イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(例えば、旭化成株式会社製「デュラネート」)等のポリイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートから合成されるポリイソシアネートなどが挙げられる。ポリイソシアネートの質量平均分子量は500〜9,000が好ましく、より好ましくは1,000〜5,000である。質量平均分子量は、(A)ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量と同じ方法により測定できる。
メラミン化合物としては、例えば、メラミンにホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等を反応させたメチロール基含有化合物が挙げられる。このメチロール基は、炭素原子数1〜6個のアルコールによりエーテル化されているものが好ましい。
エポキシ化合物、イソシアネート化合物、及びメラミン化合物の各含有量は、(A)ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、密着性の向上効果を発揮させるため、それぞれ、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。一方で、ポリアミドイミド樹脂組成物の耐熱性と強度とを保持する観点から、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
塗料は、必要に応じて界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、特に制限されるものではないが、各成分を均一に混合することができ、塗料が乾燥するまで分層又は分相を起こさず、かつ、塗膜の焼付け後に多くの残留物が残らないものが好ましい。
界面活性剤の含有量は、特に制限されるのもではないが、塗料の均一な混合状態を保ち、かつ、焼付け後の残留物が少なく、成膜性に悪影響を与えないという観点から、塗料中に0.01〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
塗料は、塗膜の耐水性等を向上させるために充填材を含んでいてもよい。充填材の例には、白色顔料に該当するものも含まれる。充填材の種類は、耐水性や耐薬品性等を考慮し、塗膜の用途に応じて選択することができる。好ましくは水に溶解しない充填材である。具体的には、充填材としては、金属粉、金属酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粒子、炭化珪素粒子、酸化珪素粒子、弗化カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、カーボンブラック、グラフアイト、マイカ等が挙げられる。充填材は、1種を単独で、又は、複数種を組み合わせて使用できる。
<塗膜の製造方法>
塗料を塗布し、焼成させることによって、塗膜を形成できる。得られる塗膜は、白色又は薄い色である。
塗料の塗布方法は特に限定されず、公知の塗布方法、例えば、ディッピング、スプレー、刷毛塗り等を採用できる。塗布方法に応じて、溶媒の量を適宜調節して、適切な濃度に希釈することが好ましい。
塗料を塗布した後は、焼成(硬化)させて塗膜を形成する。焼成させる前に乾燥(予備乾燥)させてもよい。乾燥及び焼成の条件は、特に限定されず、基材等の塗膜が形成される対象物の耐熱特性に応じて適宜設定することが好ましい。塗膜の密着性と靱性とを確保する観点からは、加熱温度は250℃以上が好ましい。また、フッ素塗料の場合は、塗膜の焼成時にフッ素樹脂を塗膜表面に偏在させるために、フッ素樹脂が溶融する400℃近辺での高温焼成を行うことが好ましい。例えば、加熱温度は330〜430℃が好ましく、加熱時間は10〜30分が好ましい。焼成により、塗膜表面にフッ素樹脂が移動し、溶融し、表面にフッ素樹脂が偏在した塗膜が形成される。
3.基材又は物品
本実施形態の塗膜付き基材は、基材と、基材表面の少なくとも一部に、前記実施形態の塗料により形成された塗膜とを有する。また、本実施形態の物品は、表面の少なくとも一部に、前記実施形態の塗料により形成された塗膜を有する。
塗膜は、安全性、耐熱性等が求められる様々な基材又は物品の表面に形成することができる。塗膜が形成される表面は、例えば、水蒸気に曝される表面及び/又は高温に曝される表面である。
基材は、調理家電又は厨房器具に用いられるものであることが好ましい。基材の材質としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、鉄、銅等の金属、セラミックス、樹脂等が挙げられる。基材の形状は、用途に応じ、適切な形状とすればよい。
物品としては、厨房器具、調理家電(キッチン家電)等が挙げられる。厨房器具としては、鍋、圧力鍋、及びフライパン等の、沸騰水又は蒸気と接触する可能性のある器具が挙げられる。厨房器具として、より詳細には、塗膜が内表面に形成された鍋、圧力鍋、フライパン、及びそれらの蓋等が挙げられる。また、調理家電としては、炊飯器、ホットプレート、電気ケトル、電子レンジ、オーブンレンジ、ガスレンジ等が挙げられる。調理家電として、より詳細には、塗膜が内表面に形成された炊飯器の内釜及び蓋、塗膜が庫内表面に形成された電子レンジ、塗膜が表面に形成されたガスレンジの天板等が挙げられる。塗膜は、耐煮沸性に優れているために、これらの物品の耐久性を高めることができる。
4.成形品
本実施形態の成形品は、前記実施形態のポリアミドイミド樹脂組成物を成形して得られる。ポリアミドイミド樹脂組成物は、他の樹脂材料等と混合し、押出成型などの成型技術により成形品とすることができる。本実施形態の成形品は、耐熱性、耐溶剤性等に加え、白色又は薄い色の外観が求められる用途に好適である。
本発明の実施形態であるポリアミドイミド樹脂組成物、及び、ポリアミドイミド樹脂組成物を用いた塗料は、白色、薄い色等の着色性に優れ、被塗物に塗布し焼成させることにより、高温焼成後にも、従来に比べ着色の少ない塗膜を形成することができる。したがって、家電又は厨房器具のような、表面の塗膜に意匠性が要求される様々な用途向けに、多大な有益性を有している。加えて、本発明の実施形態であるポリアミドイミド樹脂組成物及び塗料は、水系の樹脂組成物及び塗料であるため、環境への負荷を減らし、VOC削減にも貢献できる。
次に、本発明の実施例について説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、発明の主旨に基づいた多くの実施態様を含むことは言うまでもない。
[ポリアミドイミド樹脂溶液の調製及び評価]
<合成例1>
無水トリメリット酸322.8g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート423.5g、及びN−ホルミルモルホリン829.8gを、温度計、撹拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で撹拌しながら2時間かけて徐々に120℃まで昇温した。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら120℃を保持し、加熱開始から6時間経過後、反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
ポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2時間)は45質量%であった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は15,000であり、カルボキシル基及び酸無水物基を開環させたカルボキシル基を合わせた酸価は45mgKOH/gであった。
不揮発分の濃度は、ポリアミドイミド樹脂溶液を200℃で2時間加熱し、加熱前後の質量から算出した。
ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、次の条件で測定した。
GPC機種:日立 L6000
検出器:日立 L4000型UV
波長:270nm
データ処理機:ATT 8
カラム:Gelpack GL−S300MDT−5×2
カラムサイズ:8mmφ×300mm
溶媒:DMF/THF=1/1(リットル)+リン酸0.06M+臭化リチウム0.06M
試料濃度:5mg/1mL
注入量:5μL
圧力:49kgf/cm(4.8×10Pa)
流量:1.0mL/min
ポリアミドイミド樹脂の酸価は、次の方法で測定した。滴定には、電位差滴定装置(平沼産業株式会社製「COM−900」)を使用した。
ポリアミドイミド樹脂溶液1,200gを、温度計、撹拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で撹拌しながら徐々に70℃まで昇温した。70℃に達したところで、N,N−ジメチルエタノールアミン154.4g(4当量)を添加し、70℃に保ちながら十分に撹拌した後、撹拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が660.0g(溶媒中に50重量%)となるまで加え、黄色のポリアミドイミド樹脂溶液1を得た。
<合成例2>
無水トリメリット酸480.3g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート250.3g、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート396.4g、及びN−ホルミルモルホリン1377.4gを、温度計、撹拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で撹拌しながら1時間かけて徐々に120℃まで昇温した。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら徐々に昇温して140℃まで上げ、加熱開始から4時間経過後、反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
ポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2時間)は43質量%であった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は15,000であり、カルボキシル基及び酸無水物基を開環させたカルボキシル基を合わせた酸価は40mgKOH/gであった。
ポリアミドイミド樹脂溶液2,000gを、温度計、撹拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で撹拌しながら徐々に60℃まで昇温した。60℃に達したところで、N,N−ジメチルエタノールアミン246.0g(4当量)を添加し、60℃に保ちながら十分に撹拌した後、撹拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が760.0g(溶媒中に40重量%)となるまで加え、黄色のポリアミドイミド樹脂溶液2を得た。
<合成例3>
無水トリメリット酸322.8g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート423.5g及びN−ホルミルモルホリン829.8gを、温度計、撹拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で撹拌しながら2時間かけて徐々に120℃まで昇温した。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら120℃を保持し、加熱開始から6時間経過後、反応を停止させ、末端ブロック剤としてメタノール14.8g(ジイソシアネート100質量部に対し3.5質量部)を混合し、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
ポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2時間)は45質量%であった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は15,000であり、カルボキシル基及び酸無水物基を開環させたカルボキシル基を合わせた酸価は40mgKOH/gであった。
ポリアミドイミド樹脂溶液2,000gを、温度計、撹拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で撹拌しながら徐々に60℃まで昇温した。60℃に達したところで、N,N−ジメチルエタノールアミン257.4g(4当量)を添加し、60℃に保ちながら十分に撹拌した後、撹拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が471.4g(溶媒中に30重量%)となるまで加え、黄色のポリアミドイミド樹脂溶液3を得た。
<合成例4>
無水トリメリット酸1106.2g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート1455.8g、及びN−メチル−2−ピロリドン2562.0gを、温度計、撹拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で撹拌しながら2時間かけて徐々に130℃まで昇温した。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら130℃を保持し、加熱開始から4時間経過後、反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
ポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃−2時間)は50質量%であった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は15,000であり、カルボキシル基及び酸無水物基を開環させたカルボキシル基を合わせた酸価は40mgKOH/gであった。
ポリアミドイミド樹脂溶液2,700gを、温度計、撹拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で撹拌しながら徐々に50℃まで昇温した。50℃に達したところで、N,N−ジメチルエタノールアミン343.2g(4当量)を添加し、50℃に保ちながら十分に撹拌した後、撹拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が1350.0g(溶媒中に50重量%)となるまで加え、黒褐色のポリアミドイミド樹脂溶液4を得た。
<密着性評価>
ポリアミドイミド樹脂溶液1〜4(試験用塗料)を、それぞれ、アルミニウム基板(1×50×150mm、株式会社パルテック製)の表面に塗布して、焼成させ、密着性試験を行った。
具体的には、アルミニウム基板上に、ポリアミドイミド樹脂溶液1を、バーコート法により塗布した。次いで、塗布されたポリアミドイミド樹脂溶液1を、80℃で10分間予備乾燥させた後、400℃で10分間焼成させ、淡黄色の塗膜を形成した。塗膜厚は、5箇所の平均値で10μmであった。塗膜にクロスカットガイドを用いて切り込みを入れて、1mm四方のマスを10×10マス作製し、粘着テープ(型番CT1535、ニチバン株式会社製)を貼り付けた後に剥がすことを5回繰り返し、残ったマスの数を数えた。ポリアミドイミド樹脂溶液2〜4についても同様に評価した。
評価結果を表1に示す。
Figure 0006953685
表1に示されるとおり、N−ホルミルモルホリンを含有するポリアミドイミド樹脂溶液1〜3は、N−メチル−2−ピロリドンを含有するポリアミドイミド樹脂溶液4と比較して、着色性に優れていた。また、N−ホルミルモルホリンを塗料溶媒として、密着性に優れたポリアミドイミド樹脂塗膜を形成することができた。
[実施例1〜3及び比較例1]
ポリアミドイミド樹脂溶液1に、ポリアミドイミド樹脂溶液1の固形分100gに対し30gになる量の酸化チタン(品番PFC−105、平均粒径0.3μm、石原産業株式会社製)を加え、ポリアミドイミド樹脂組成物1を得た。ポリアミドイミド樹脂組成物1を塗料として使用し、アルミニウム基板(1×50×150mm、株式会社パルテック製)の表面に、バーコート法により塗布した。塗布されたポリアミドイミド樹脂組成物1を、80℃で10分間予備乾燥させた後、400℃で10分間焼成させ、塗膜を形成した。塗膜厚は、5箇所の平均値で10μmであった。
同様に、ポリアミドイミド樹脂溶液2〜4を使用してポリアミドイミド樹脂組成物2〜4を調製し、更に塗膜を形成した。
得られた塗膜を観察したところ、ポリアミドイミド樹脂組成物4(比較例1)を用いて形成した塗膜は茶褐色に変色したのに対し、ポリアミドイミド樹脂組成物1〜3(実施例1〜3)を用いて形成した塗膜は変色しなかった。

Claims (7)

  1. (A)ポリアミドイミド樹脂、(B)N−ホルミルモルホリン、(C)水、及び(D)白色顔料を含有し、前記(A)ポリアミドイミド樹脂が、下記式(1)で表されるジイソシアネート化合物、及び/又は、下記式(1)においてイソシアネート基をアミノ基に置き換えた式で表されるジアミン化合物と、酸成分とを反応させて得られ、前記(D)白色顔料が、球状の酸化チタン顔料粒子を含むポリアミドイミド樹脂組成物を用意すること、及び、
    前記ポリアミドイミド樹脂組成物を330〜430℃で加熱すること
    を含む、塗膜の製造方法
    Figure 0006953685
    (Xは、炭素数1〜20のアルキレン基;非置換、炭素数1〜5の低級アルキル基、又は
    炭素数1〜5の低級アルコキシ基で置換されているアリーレン基;単結合、炭素数1〜5
    の低級アルキレン基、オキシ基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、又はスルホニル
    基(−SO−)を介して前記アリーレン基が2つ結合してなる2価の有機基;又は、前
    記アリーレン基を介して炭素数1〜5の低級アルキレン基が2つ結合してなる2価の有機
    基を表す。)
  2. 前記(A)ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量が、5,000〜50,000である
    、請求項1に記載の塗膜の製造方法
  3. 前記ポリアミドイミド樹脂組成物中の前記(C)水の含有量が、10質量%以上である、請求項1又は2に記載の塗膜の製造方法
  4. 前記ポリアミドイミド樹脂組成物が、更にフッ素樹脂を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の塗膜の製造方法
  5. 前記ポリアミドイミド樹脂組成物が塗料である、請求項1〜4のいずれかに記載の塗膜の製造方法。
  6. 基材を用意すること、及び、
    請求項1〜5のいずれかに記載の塗膜の製造方法により前記基材の表面の少なくとも一部に塗膜を形成すること
    を含む、塗膜付き基材の製造方法。
  7. 物品を用意すること、及び、
    請求項1〜5のいずれかに記載の塗膜の製造方法により前記物品の表面の少なくとも一部に塗膜を形成すること
    を含む、物品の製造方法。
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