JP6977379B2 - ポリアミドイミド樹脂組成物、フッ素塗料、及び導電性組成物 - Google Patents

ポリアミドイミド樹脂組成物、フッ素塗料、及び導電性組成物 Download PDF

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Description

本開示の一実施形態は、ポリアミドイミド樹脂組成物に関する。本開示の他の実施形態は、上記ポリアミドイミド樹脂組成物の利用に関し、より詳細にはポリアミドイミド樹脂組成物を含むフッ素塗料、及び導電性組成物に関する。
ポリアミドイミド樹脂は、耐熱性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れているため、各種基材のコート剤等の様々な用途で広く用いられる。例えば、ポリアミドイミド樹脂は、エナメル線用ワニス、耐熱塗料などの材料として好適に使用されている。
各種用途において、ポリアミドイミド樹脂の溶解及び希釈に用いる溶媒として、また合成時に用いる溶媒として、一般に、N−メチル−2−ピロリドン等の極性溶媒が知られている。なかでも、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)は、ポリアミドイミド樹脂に対して優れた溶解性を付与できることから、好適な溶媒として汎用されている。
しかし、近年、環境保全及び安全衛生の観点から、有機溶媒の使用に関する規制が厳しくなっている。これに対し、環境保全及び安全衛生に加えて、経済性及び塗装作業性等の観点から、有機溶媒に代わり媒体に水を使用する水系樹脂溶液が注目されている。例えば、樹脂末端に残存するカルボキシル基に塩基性化合物を作用させる、ポリアミドイミド樹脂の水溶化方法が報告されており(特許文献1)、様々な用途に適用されている。
特許第3491624号公報
特許文献1では、ポリアミドイミド樹脂を水溶化することによって、樹脂溶液中のNMPの使用量を低減できることを明らかにしている。しかし、NMPの人体への有害性を考慮し、産業界ではNMP使用時の作業環境での安全衛生が問題視されていることから、NMP以外の有機溶媒を含む水系ポリアミドイミド樹脂組成物の開発が求められている。すなわち、NMPと同等にポリアミドイミド樹脂を溶解可能でありながら、人体への影響が少なく作業環境面での改善が可能な有機溶媒を用いた水系ポリアミドイミド樹脂組成物が望まれている。
しかし、NMP以外の有機溶媒中で合成して得られたポリアミドイミドの水系樹脂組成物は、貯蔵安定性に乏しいという問題がある。そのため、貯蔵中、ポリアミドイミド樹脂組成物が濁ったり、上記樹脂組成物の特性が低下して、所望とする金属基材への密着性や機械強度等の特性を得ることが困難となりやすい。
したがって、本発明の実施形態は、ポリアミドイミド樹脂を溶解でき、作業環境面での改善が可能な有機溶媒を含み、かつ貯蔵安定性に優れ、特性低下が少ない水系のポリアミドイミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、種々の検討のなかで、NMP以外の有機溶媒を使用して得られるポリアミドイミド樹脂は、NMPを使用して得られるポリアミドイミド樹脂と比較して、副反応が生じやすく、得られるポリアミドイミド樹脂の特性が低下しやすいことを見出した。特に、ポリアミドイミド樹脂の製造時にN−エチル−2−ピロリドンを使用した場合、この反応で得られたポリアミドイミド樹脂を含む水系組成物は、保管中に粘度が低下しやすいことがわかった。保管中の粘度低下の一因として、樹脂の製造時に、イソシアネート基同士の反応が進行しやすくなり、ポリアミドイミド樹脂におけるイソシアネート基同士の結合部が多くなり、これら結合部が組成物に含まれる水分によって加水分解されることが考えられる。これらのことから、本発明者らは、NMP以外の有機溶媒を使用した場合でも、保管前後の粘度変化率を一定範囲内にすることで、貯蔵安定性、及び密着性等の特性低下の改善が可能となることを見出し、本願発明を完成するに至った。すなわち、本発明の実施形態は以下に関するが、以下に限定されるものではない。
一実施形態は、(A)ポリアミドイミド樹脂、(B)N−エチル−2−ピロリドン、(C)水、及び(D)塩基性化合物を含み、60℃で7日間保管した前後での粘度変化率が−30%以内である、ポリアミドイミド樹脂組成物に関する。
他の実施形態は、上記実施形態のポリアミドイミド樹脂組成物と、フッ素樹脂とを含むフッ素塗料に関する。
更に他の実施形態は、上記実施形態のフッ素塗料により形成された塗膜を、少なくとも一部の表面に有する基材又は物品に関する。
更に他の実施形態は、上記実施形態のポリアミドイミド樹脂組成物と、導電性材料とを含む導電性組成物に関する。
本実施形態によれば、含有する溶媒の作業環境面での問題が低減され、且つ、貯蔵安定性に優れ、特性低下が少ない水系のポリアミドイミド樹脂組成物を提供することができる。この水系のポリアミドイミド樹脂組成物は、密着性に優れた塗膜を形成することができ、フッ素塗料又は導電性組成物のバインダーとして好適である。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
1.ポリアミドイミド樹脂組成物
ポリアミドイミド樹脂組成物は、水系であり、ポリアミドイミド樹脂と、N−エチル−2−ピロリドンと、水と、塩基性化合物とを少なくとも含む。上記樹脂組成物は、耐熱性樹脂組成物でもある。なお、本明細書において、水系のポリアミドイミド樹脂組成物を「ポリアミドイミド樹脂組成物」、又は「樹脂組成物」と称すことがある。また、「樹脂組成物」、「ワニス」、及び「塗料」は、等価の意味で用いられることがある。
ポリアミドイミド樹脂組成物は、60℃で7日間の保管前後での粘度変化率が−30%以内であることが好ましい。上記粘度変化率が−30%以内である場合、保管後の特性低下が抑制され、例えば、優れた密着性を得ることが容易である。粘度変化率は、−25%以内であることがより好ましい。粘度変化率が上記範囲内であれば樹脂組成物の濁りなど、外観の変化も起こり難い。
上記粘度変化率(%)は、より具体的には、下記(式1)から算出される値を表す。
(式1)
粘度変化率(%)=(V2−V1)/V1×100
式1において、「V1」は、保管前に測定した樹脂組成物の粘度を表す。「V2」は、上記樹脂組成物を密閉容器内に入れ、この容器を60℃に設定した乾燥器内で7日間にわたって保管した後に測定した粘度を表す。
粘度の測定は、JIS C 2103に準拠し、B型回転粘度計を用い、25℃、ローター3号、回転数12rpmの条件下で実施される。
<ポリアミドイミド樹脂>
成分(A)のポリアミドイミド樹脂は、ジイソシアネート化合物と、酸成分としての三塩基酸無水物又は三塩基酸ハライドとを反応させて得られる樹脂である。ここで、各原料化合物は、各々、任意に複数種を組み合わせて使用してもよい。
ジイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアレート等が挙げられる。反応性の観点からは、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを用いることが好ましい。
一実施形態においてポリアミドイミド樹脂は、ジイソシアネートに加えてジアミン化合物を一部に使用してもよい。ジアミン化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
三塩基酸無水物としては、特に限定されないが、好ましくは芳香族三塩基酸無水物が用いられ、なかでもトリメリット酸無水物が好ましい。三塩基酸ハライドも特に限定はされないが、三塩基酸クロライド、さらには芳香族三塩基酸クロライドが好ましく、トリメリット酸無水物クロライド(無水トリメリット酸クロリド)等が挙げられる。環境への負荷を軽減させる観点から、トリメリット酸無水物等を用いることが好ましい。
酸成分としては、上記の三塩基酸無水物(又は三塩基酸ハライド)の他に、ジカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物等の飽和又は不飽和多塩基酸を、ポリアミドイミド樹脂の特性を損なわない範囲で用いることができる。
ジカルボン酸としては、特に限定されないが、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、及びセバシン酸等が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは、単独で用いられるほか、複数種を任意の組み合わせで使用してもよい。
三塩基酸以外のカルボン酸(ジカルボン酸とテトラカルボン酸)の総量は、ポリアミドイミド樹脂の特性を保つ観点から、全カルボン酸中に0〜50モル%の範囲で使用されるのが好ましく、0〜30モル%の範囲であることがより好ましい。
ジイソシアネート(及びジアミン)と、酸成分(三塩基酸無水物又は三塩基酸無水物ハライドと必要に応じて使用するジカルボン酸及びテトラカルボン酸二無水物の合計量)との使用比率は、生成されるポリアミドイミド樹脂の分子量及び架橋度の観点から、酸成分の総量1.0モルに対してジイソシアネート化合物(及びジアミン化合物)を0.8〜1.1モルとすることが好ましく、0.95〜1.08モルとすることがより好ましく、特に、1.0〜1.08モルとすることが一層好ましい。
一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂は、末端イソシアネート基がブロック剤(末端ブロック剤)で処理されたブロック化ポリアミドイミド樹脂であってもよい。使用可能な末端ブロック剤の一例として、アルコール、オキシム、及びラクタムが挙げられる。より具体的には、アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜6の低級アルコールが挙げられる。オキシムとしては、アルドキシム、ケトキシムのどちらでもよく、例えば2−ブタノンオキシム等を好ましく使用できる。ラクタムとしては、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム等が挙げられる。末端ブロック剤は、上記例示化合物に限定されることはなく、また、複数種ないし複数化合物を組み合わせて使用してもよい。水系ポリアミドイミド樹脂組成物において、ブロック化ポリアミド樹脂を使用した場合、加水分解による分解が抑制され、貯蔵安定性を高めることが容易となる。
ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、塗膜の強度を確保する観点から5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、15,000以上であることがさらに好ましい。一方、水への溶解性を確保する観点からは、数平均分子量は50,000以下であることが好ましく、30,000以下であることがより好ましく、25,000以下がさらに好ましい。一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、15,000〜25,000の範囲であることが好ましい。上記範囲内の数平均分子量を有するポリアミドイミド樹脂を使用した場合、樹脂組成物の粘度変化を抑制し、良好な貯蔵安定性を得ることが容易である。
ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、樹脂合成時にサンプルリングして、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定し、目的とする数平均分子量になるまで合成を継続することにより、上記好ましい範囲に管理することができる。GPCの測定条件については後述する。
ポリアミドイミド樹脂は、樹脂中のカルボキシル基と酸無水物基を開環させたカルボキシル基とを合わせた酸価が10〜80mgKOH/gであることが好ましい。この酸価が10mgKOH/g以上であると、溶媒への樹脂の溶解又は分散が容易になり、また、塩基性化合物と反応するカルボキシル基が十分となって、水溶化が容易になる傾向にある。一方、酸価が80mgKOH/g以下であると、最終的に得られるポリアミドイミド樹脂組成物が、経日によりゲル化しにくくなる傾向にある。これらの観点から、酸価は25mgKOH/g以上であることがより好ましく、60mgKOH/g以下、更には50mgKOH/g以下であることがより好ましい。一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂の酸価は、35〜50mgKOH/gの範囲であることが好ましい。上記範囲内の酸価を有するポリアミドイミド樹脂を使用した場合、樹脂組成物の粘度変化を抑制し、貯蔵安定性を高めることが容易である。
上記酸価は、以下の方法で得ることができる。まず、ポリアミドイミド樹脂組成物を約0.5g採取し、これに1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンを約0.15g加え、さらにN−メチル−2−ピロリドン約60gとイオン交換水約1mLを加え、ポリアミドイミド樹脂が完全に溶解するまで攪拌する。これを、0.05モル/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液を使用して電位差滴定装置で滴定し、ポリアミドイミド樹脂中の、カルボキシル基及び酸無水物基を開環させたカルボキシル基を合わせた酸価を得る。
ポリアミドイミド樹脂の組成物中における量は、その用途に応じて適宜設定することができ、特に限定はされないが、他の成分とのバランスの観点から、好ましい一実施形態においては、組成物中に、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましく、一方、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。
<N−エチル−2−ピロリドン>
ポリアミドイミド樹脂組成物は、有機溶媒として成分(B)のN−エチル−2−ピロリドンを含む。
ポリアミドイミド樹脂組成物は、本発明による効果を低下させない範囲で、N−エチル−2−ピロリドン以外の有機溶媒を含んでいてもよい。
その他の有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、及びN−アセチルモルホリン等から選ばれる一種以上の極性溶媒を用いることができる。さらに、助溶媒として、アニソール、ジエチルエーテル、エチレングリコール等のエーテル化合物;アセトフェノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンノン、シクロペンタノン等のケトン化合物;キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒;エタノール、2−プロパノール等のアルコールを任意に用いても良い。
N−エチル−2−ピロリドン、又は、N−エチル−2−ピロリドンを含む有機混合溶媒の含有量は、水との混和性の観点から、水との合計量中(すなわち全溶媒中)に90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。有機混合溶媒である場合の、該有機混合溶媒中のN−エチル−2−ピロリドンの含有量は、好ましい実施形態の効果を充分に発揮させるために、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
<水>
ポリアミドイミド樹脂組成物は、さらに成分(C)の水を含む。水としては、イオン交換水が好ましく用いられる。
水の含有量は、ポリアミドイミド樹脂の水への溶解性を向上させる観点から、組成物中に10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがさらに好ましく、一方、水は組成物中に80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。また、N−エチル−2−ピロリドンを含む有機溶媒と水の合計量、すなわち組成物中の全溶媒中に、水が10質量%以上(対溶媒比10質量%以上)であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがさらに好ましく、一方、水の対溶媒比は、90質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
<塩基性化合物>
一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂組成物は上記成分(A)、(B)及び(C)から構成することもできる。しかし、ポリアミドイミド樹脂の水への溶解性を高めるために、さらに塩基性化合物を含むことが好ましい。したがって、好ましい実施形態において、ポリアミド樹脂組成物は、成分(D)として塩基性化合物を含む。塩基性化合物は、ポリアミドイミド樹脂に含まれるカルボキシル基と反応して塩を形成することで、樹脂の水への溶解性を高めることができる。
塩基性化合物としては、
トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’,N’−トリメチルアミノエチルピペラジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、シクロヘキサノールアミン、N−メチルシクロヘキサノールアミン、N−ベンジルエタノールアミン等のアルカノールアミン類;
が適している。
上記の塩基性化合物以外に、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の苛性アルカリ、又はアンモニア水等を併用してもよい。
一実施形態において、塩基性化合物として、アルカノールアミン類を使用することが好ましく、なかでもN,N−ジメチルエタノールアミンを使用することがより好ましい。
塩基性化合物は、ポリアミドイミド樹脂中に含まれるカルボキシル基及び開環させた酸無水物基を合わせた酸価に対して、樹脂の水溶化を容易とし、かつ、塗膜の強度を向上させる観点から、2.5〜10当量用いることが好ましく、4当量以上用いることがより好ましく、8当量以下であることがより好ましい。
一実施形態において、塩基性化合物の配合量は、ポリアミドイミド樹脂中に含まれるカルボキシル基及び開環させた酸無水物基を合わせた酸価に対して、4.5〜6.5当量、より好ましくは5〜6当量となる割合で使用することが望ましい。
ポリアミドイミド樹脂と塩基性化合物との塩形成は、水を含むポリアミドイミド樹脂組成物に塩基性化合物を添加してもよいし、水を含まない、ポリアミドイミド樹脂の有機溶媒溶液に塩基性化合物を添加した後に、水を加えてもよい。塩を形成させる温度は、0℃〜200℃であることが好ましく、40℃〜130℃の範囲であることが一層好ましい。
<その他の成分>
一実施形態のポリアミドイミド樹脂組成物は、上記成分(A)〜(D)に加え、その使用目的に応じて任意の成分を含むことができる。この組成物は、上記ポリアミドイミド樹脂以外のポリアミドイミド樹脂を、一部に含むこともできる。
ポリアミドイミド樹脂組成物は、塗料として好ましく使用することができる。ポリアミドイミド樹脂組成物を塗料として使用するときには、必要に応じて、顔料、充填材、消泡剤、防腐剤、界面活性剤等の任意成分を添加してもよい。また、ポリアミドイミド樹脂以外の樹脂を含んでいてもよく、詳細は塗料の項において記載する。
2.ポリアミドイミド樹脂の製造方法
ポリアミドイミド樹脂の製造方法は、ジイソシアネート化合物と、三塩基酸無水物及び/又は三塩基酸ハライドとを、有機溶媒中で反応させる重合工程を含む。好ましい実施形態において、有機溶媒は、N−エチル−2−ピロリドンを含む。使用する原料化合物については、上記ポリアミドイミド樹脂組成物の項において説明したとおりである。
ブロック化ポリアミドイミド樹脂を製造する場合、上記重合工程に加えて、ポリアミドイミド樹脂末端イソシアネート基をアルコール等のブロック剤でブロックする工程をさらに含む。後述するが、重合工程とブロック化工程は、別工程で行ってもよいが、両工程を同時に、つまり重合とブロック化を同時に行ってもよい。
重合工程においては、N−エチル−2−ピロリドン、又はN−エチル−2−ピロリドンを含む有機溶媒を重合溶媒(合成溶媒)として用いることができ、その場合は、得られた重合溶液をそのままポリアミドイミド樹脂組成物として、塗料等に用いることができる。すなわち、N−エチル−2−ピロリドンは、合成溶媒及び後述する塗料溶媒の双方に使用される。N−エチル−2−ピロリドン以外の有機溶媒については、上記ポリアミドイミド樹脂組成物の項において説明したとおりである。
重合時に用いる溶媒の使用量には、特に制限はないが、ジイソシアネート成分(及びジアミン成分)と酸成分の総量100質量部に対して50〜500質量部とすることが、樹脂の溶解性の観点から好ましい。
反応温度は、特に限定されず、一般に80〜180℃の温度であることが好ましい。
重合反応は、空気中の水分の影響を低減するため、窒素等の雰囲気下で行うことが好ましい。
ポリアミドイミド樹脂は、例えば、次の手順で製造することができる。
(1)酸成分、及びジイソシアネート成分(及びジアミン成分)を一度に使用し、反応させてポリアミドイミド樹脂を合成する方法。
(2)酸成分と、ジイソシアネート成分(及びジアミン成分)の過剰量とを反応させて、末端にイソシアネート基又はアミノ基を有するアミドイミドオリゴマーを合成した後、酸成分を追加して末端のイソシアネート基(及びアミノ基)と反応させてポリアミドイミド樹脂を合成する方法。
(3)酸成分の過剰量と、ジイソシアネート成分(及びジアミン成分)を反応させて、末端に酸又は酸無水物基を有するアミドイミドオリゴマーを合成した後、ジイソシアネート成分及び/又はジアミン成分を追加して末端の酸又は酸無水物基と反応させてポリアミドイミド樹脂を合成する方法。
ブロック化ポリアミドイミド樹脂を合成する場合、ブロック化工程は、ブロック剤(末端ブロック剤)を樹脂の合成中に反応させて、上記重合工程とブロック化工程とを同時に行うようにしてもよいし、重合工程後の樹脂にブロック剤を反応させてもよい。前者の場合は、重合溶媒中にブロック剤を添加しておけばよい。
ブロック化における末端ブロック剤の配合量は、樹脂製造時に使用する全ジイソシアネート配合量を100質量部としたときに、1.0〜10.0質量部であることが好ましく、得られる樹脂組成物の貯蔵安定性の観点から2.5〜5.0質量部であることがより好ましい。
3.ポリアミドイミド樹脂組成物の製造方法
上述した(A)ポリアミドイミド樹脂、(B)N−エチル−2−ピロリドン、(C)水、及び(D)塩基性化合物を含む、好ましい実施形態のポリアミドイミド樹脂組成物は、上記ポリアミドイミド樹脂の製造方法により得られたポリアミドイミド樹脂を含む反応溶液に水を添加することにより、好ましく製造することができる。
すなわち、一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂組成物の製造方法は、
ジイソシアネート化合物と、三塩基酸無水物及び/又は三塩基酸ハライドとを、N−エチル−2−ピロリドンを含む有機溶媒中で反応させる重合工程、及び
得られた樹脂溶液に塩基性化合物を添加した後に、水を添加する工程、を含む。
他の実施形態において、上記製造方法は、
ジイソシアネート化合物と、三塩基酸無水物及び/又は三塩基酸ハライドとを、含む有機溶媒中で反応させる重合工程、及び
得られた樹脂溶液に塩基性化合物を添加した後に、水及び希釈用有機溶媒を添加する工程、を含む。この実施形態において、重合工程時に使用する有機溶媒、及び/又は希釈用有機溶媒は、少なくともN−エチル−2−ピロリドンを含む。
ポリアミドイミド樹脂としてブロック化ポリアミドイミド樹脂を使用する場合、重合工程と同時にブロック工程を実施しても、又はブロック工程を別途追加してもよい。
4.塗料
ポリアミドイミド樹脂組成物は、水により任意の濃度への希釈が可能であり、高温焼成後も基材への密着性に優れた塗膜を形成できるので、各種用途に向けた塗料として用いることが好ましい。すなわち、塗料は、ポリアミドイミド樹脂組成物を含み、必要に応じて、顔料、充填材、消泡剤、防腐剤、界面活性剤等の任意成分を添加したものであってよい。また、ポリアミドイミド樹脂以外の樹脂をさらに含んでいてもよい。
ポリアミドイミド樹脂組成物を塗料用とする際に、塗膜形成方法等に応じた適切な粘度とするために、水又は有機溶媒により任意に希釈することが好ましい。
一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂組成物は、フッ素樹脂水分散液との混合性にも優れるため、フッ素樹脂のバインダーとして好適に使用される。すなわち、一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂組成物と、フッ素樹脂とを含むフッ素塗料を構成することができる。以下、塗料の一例としてフッ素塗料の実施形態について説明する。
(フッ素塗料)
フッ素塗料は、ポリアミドイミド樹脂組成物、又は、上記ポリアミドイミド樹脂の製造方法により得られたポリアミドイミド樹脂と、フッ素樹脂とを含む。フッ素塗料は、塗膜の密着性、耐熱性及び硬度に優れるため、家電又は厨房器具用の塗料として好適である。
この家電又は厨房器具向けのフッ素塗料は、非粘着性を発現するフッ素樹脂と基材への密着性を発現するポリアミドイミド樹脂の混合系という塗料構成であり、塗膜の焼成時にはフッ素樹脂を塗膜表面に配向させるために、フッ素が溶融する400℃近辺での高温焼成を行う。
上述のポリアミドイミド樹脂は、その機能を十分に発揮させるために、塗料中に1〜50質量%含まれることが好ましい。複数種のポリアミドイミド樹脂を組み合わせて使用してもよく、ブロック化ポリアミドイミド樹脂を一部に含んでいてもよい。
<フッ素樹脂>
フッ素塗料に混合されるフッ素樹脂には、非粘着性、耐食性、耐熱性及び耐薬品性等の特性が求められる。好ましいフッ素樹脂として、代表的に、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、又は四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体が挙げられる。これらを単独で、又は複数種を組み合わせて使用してもよい。
フッ素樹脂の形状は、水分散液又は粉体のどちらでも使用可能であり、特に形状に制約はない。フッ素樹脂の混合量には特に制限はないが、高密着性及び非粘着性等のバランスの良い塗膜を得るためには、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して50〜800質量部とすることが好ましく、100〜500質量部とすることがより好ましい。
<その他の成分>
上記フッ素塗料、又はその他の塗料には、必要に応じて、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミド樹脂、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物等を、単独で又は混合して用いることができる。
好ましい一実施形態において、塗料はエポキシ化合物(エポキシ樹脂)を含むことができる。エポキシ化合物を配合することにより、ポリアミドイミド樹脂の熱的、機械的、電気的特性をより向上させることができる。また、エポキシ化合物(エポキシ樹脂)、メラミン化合物(メラミン樹脂)、及びイソシアネート化合物は、塗膜の密着性をより向上させることができるために好ましい。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等)、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ビキシレノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ化合物を、単独で使用しても、複数種を組み合わせて使用してもよい。
なお、エポキシ化合物は単独で添加してポリアミドイミド樹脂と反応させてもよいが、硬化後にエポキシ化合物の未反応物が残留しにくいように、硬化剤又は硬化促進剤等と共に添加してもよい。
イソシアネート化合物としては、デュラネート等のヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートから合成されるポリイソシアネートなどが挙げられる。このポリイソシアネートの質量平均分子量は500〜9000であることが好ましく、より好ましくは1000〜5000である。
メラミン化合物としては、特に制限はないが、例えば、メラミンにホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等を反応させたメチロール基含有化合物が挙げられる。このメチロール基は、炭素原子数1〜6個のアルコールによりエーテル化されているものが好ましい。
塗料に含まれるエポキシ化合物、イソシアネート化合物、及びメラミン化合物の各配合量は、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、密着性向上効果を発揮させるためそれぞれ、例えば1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、一方で、ポリアミドイミド樹脂組成物の耐熱性と強度を保持する観点から、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。
塗料は、必要に応じて界面活性剤を含有していることが好ましい。界面活性剤としては、特に制限されるものではないが、塗料組成物が均一に混合して塗膜が乾燥するまで分層又は分相を起こさず、かつ、塗膜の焼付け後に多くの残留物が残らないものが好ましい。
界面活性剤の含有量は、特に制限されるのもではないが、塗料組成物の均一な混合状態を保ち、かつ、焼付け後に多くが残留せず成膜性に悪影響を与えないようにするために、塗料中に0.01〜10質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
塗料は、塗膜の耐水性等を向上させるために充填材を含んでいてもよい。充填材の種類は、その耐水性や耐薬品性等を考慮し、塗膜の用途に応じて選択することができ、水に溶解しないものであることが好ましい。具体的には、充填材としては、金属粉、金属酸化物(酸化アルミ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン等)、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粒子、セラミックス、炭化珪素、酸化珪素、弗化カルシウム、カーボンブラック、グラフアイト、マイカ、及び硫酸バリウム等を挙げることができる。これらは、各々が単独で用いられるほか、複数種を組み合わせて使用してもよい。
塗料の他の実施形態として、ポリアミドイミド樹脂組成物と、導電性材料とを含む、導電性塗料(導電性組成物)を構成することができる。ポリアミドイミド樹脂組成物が、基材及び導電性材料との優れた密着性を発現できることから、例えば、回路形成、又は電極形成等の用途に導電性組成物を好適に使用することができる。なお、導電性塗料は、溶媒の量を適宜調節することにより、ペーストの形状にしてもよい。
導電性材料は、例えば、導電性を有する無機材料、又はカーボン材料であってよい。特に限定するものではないが、電極形成用に使用する場合、導電性塗料は、ポリアミドイミド樹脂組成物と、正極活物質又は負極活物質とを含み、導電助剤をさらに含むことが好ましい。活物質、及び導電助剤は、各種電池の形態に応じて適切に選択することが好ましく、例えば、リチウム電池の負極を形成する場合、カーボン材料やシリコン材料を使用することができる。リチウム電池の電極では、耐溶剤性も要求されるため、導電性塗料は、上記フッ素塗料で説明したフッ素樹脂をさらに含んでもよい。また、必要に応じて、さらに分散剤等のその他の成分を含んでもよい。
以上、代表的な用途に沿って塗料について説明したが、塗料の塗装方法は特に限定されず、公知の塗装方法を適用することができる。代表的な塗装方法として、例えばディッピング塗装、スプレー塗装、及び刷毛塗り等が挙げられる。塗装方法に応じて、溶媒の量を適宜調節して、適切な濃度に希釈することが好ましい。
塗料を塗布した後は、乾燥(予備乾燥)及び硬化(焼成)させて塗膜を形成する。乾燥及び硬化の条件は、特に限定されず、使用する基材の耐熱特性に応じて適宜設定することが好ましい。塗膜の密着性と靱性を確保するためには、250℃以上の加熱を行うことが好ましい。フッ素塗料の場合は、塗膜の焼成時にフッ素樹脂を塗膜表面に配向させるために、フッ素樹脂が溶融する400℃近辺での高温焼成を行うことが好ましく、温度は330℃〜420℃、時間は10分〜30分程度で行うことが好ましい。焼成により、塗膜表面にフッ素樹脂が移動し、溶融して膜を形成する。
5.基材又は物品
本実施形態の基材又は物品は、上記塗料により形成された塗膜を、その基材又は物品の少なくとも一部の表面に有するものである。したがって、例えば、基材又は物品は、上記フッ素塗料又は導電性塗料から形成された塗膜を有する。
一実施形態において、塗膜は、塗膜に安全性及び耐煮沸性等が求められる様々な基材又は物品の表面に形成することができ、この実施形態に対して、フッ素塗料を好適に使用することができる。塗膜が形成される表面は、水蒸気に曝される表面及び/又は高温に曝される表面であることが好ましい。
上記実施形態において、物品の具体例として、調理家電、又は厨房器具等が挙げられる。厨房器具としては、鍋、圧力鍋、及びフライパン等の、沸騰水又は蒸気と接触する可能性のある器具が挙げられ、より詳細には、上記塗膜が内表面に形成された鍋、圧力鍋又はフライパン及びそれらの蓋等である。また、調理家電(キッチン家電)としては、炊飯器、ホットプレート、電気ケトル、電子レンジ、オーブンレンジ、及びガスレンジ等が挙げられ、より詳細には、上記塗膜が内表面に形成された炊飯器の内釜及び蓋、上記塗膜が庫内表面に形成された電子レンジ、上記塗膜が表面に形成されたガスレンジの天板等が挙げられる。
基材は、これらの調理家電又は厨房器具に用いられるものであることが好ましい。
ポリアミドイミド樹脂組成物、及び、このポリアミドイミド樹脂を塗膜成分としてなる塗料(フッ素塗料、導電性塗料を含む)は、低毒性であるため作業環境の改善が可能であり、水系の樹脂組成物であるため環境への負荷を減らし、VOC削減に貢献できる。また、貯蔵安定性に優れるため、保存後の特性低下が抑制され、所望とする好ましい特性を得ることが容易である。
なかでも、フッ素塗料の実施形態では、被塗物に塗布し硬化させることにより、従来に比べ、高温焼成後にも、基材への密着性及び耐スチーム性に優れる塗膜を形成することができる。従って、家電又は厨房器具のように、表面の塗膜に安全性、耐煮沸性又は耐スチーム性、及び耐熱性が要求される様々な用途向けに、多大な有益性を有している。
次に、様々な実施例について説明するが、好ましい実施形態はこれらの実施例に限定されるものではなく、発明の主旨に基づいたこれら以外の多くの実施態様を含むことは言うまでもない。
なお、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量、及び酸価は以下のようにして測定した。
<数平均分子量>
GPC機種:東ソー株式会社製のHLC−8320GPC
検出器:東ソー株式会社製のRI
波長:270nm
データ処理機:ATT 8
カラム:Gelpack GL−S300MDT−5×2
カラムサイズ:8mmφ×300mm
カラム温度 :40℃
溶媒:DMF/THF=1/1(リットル)+リン酸0.06M+臭化リチウム0.06M 試料濃度:5mg/1mL
注入量:5μL
圧力:49kgf/cm(4.8×106Pa)
流量:1.0mL/min
<酸価>
ポリアミドイミド樹脂組成物を0.5g採取し、これに1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンを0.15g加え、さらにN−メチル−2−ピロリドン約60gとイオン交換水約1mLを加え、ポリアミドイミド樹脂が完全に溶解するまで攪拌した。これを、0.05モル/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液を使用して電位差滴定装置で滴定し、ポリアミドイミド樹脂中の、カルボキシル基及び酸無水物基を開環させたカルボキシル基を合わせた酸価を得た。
<実施例1>
無水トリメリット酸304.1g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート396.2g、及びN−エチル−2−ピロリドン700.3gを、温度計、攪拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら1時間かけて徐々に昇温して90℃まで上げた。このまま2時間加熱を続けた後、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら徐々に昇温して120℃まで上げ、加熱開始から5時間加熱を続けた後、反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃/2時間)は、48質量%であった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は15,000で、カルボキシル基及び酸無水物基を開環させたカルボキシル基を合わせた酸価は45mgKOH/gであった。
得られたポリアミドイミド樹脂溶液1200gを、温度計、攪拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら徐々に昇温して70℃まで上げた。70℃に達したところで、N,N−ジメチルエタノールアミンを205.9g(5当量)添加し、70℃に保ちながら十分に攪拌した後、攪拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が624.0g(対溶媒比50質量%)となるまで加えて、透明で均一なポリアミドイミド樹脂組成物(水系耐熱性樹脂組成物)を得た。
<実施例2>
無水トリメリット酸467.0g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート608.4g、及びN−エチル−2−ピロリドン1165.0gを、温度計、攪拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら1時間かけて徐々に昇温して100℃まで上げた。このまま2時間加熱を続けた後、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら徐々に昇温して140℃まで上げ、加熱開始から4時間加熱を続けた後、反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃/2時間)は、45質量%であった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は20,000で、カルボキシル基及び酸無水物基を開環させたカルボキシル基を合わせた酸価は35mgKOH/gであった。
得られたポリアミドイミド樹脂溶液1850gを、温度計、攪拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら徐々に昇温して、80℃まで上げた。80℃に達したところで、N,N−ジメチルエタノールアミンを76.9g(6当量)添加し、80℃に保ちながら十分に攪拌した後、攪拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が832.7g(対溶媒比45質量%)となるまで加えて、透明で均一なポリアミドイミド樹脂組成物(水系耐熱性樹脂組成物)を得た。
<実施例3>
無水トリメリット酸162.3g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート152.3g、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート62.5g、及びN−エチル−2−ピロリドン460.9gを、温度計、攪拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら2時間かけて徐々に昇温して100℃まで上げた。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら100℃を保持し、このまま7時間加熱を続けた後、反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃/2時間)は、42質量%であった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は15,000で、カルボキシル基及び酸無水物基を開環させたカルボキシル基を合わせた酸価は45mgKOH/gであった。
得られたポリアミドイミド樹脂溶液600gを、温度計、攪拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら徐々に昇温して60℃まで上げた。60℃に達したところで、N,N−ジメチルエタノールアミンを90.1g(5当量)添加し、60℃に保ちながら十分に攪拌した後、攪拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が232.0g(対溶媒比40質量%)となるまで加えて、透明で均一なポリアミドイミド樹脂組成物(水系耐熱性樹脂組成物)を得た。
<比較例1>
無水トリメリット酸196.7g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート256.3g、及びN−エチル−2−ピロリドン553.7gを、温度計、攪拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら1時間かけて徐々に昇温して100℃まで上げた。このまま1時間加熱を続けた後、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら徐々に昇温して130℃まで上げ、加熱開始から6時間加熱を続けた後、反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液の不揮発分(200℃/2時間)は、42質量%であった。また、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は30,000で、カルボキシル基及び酸無水物基を開環させたカルボキシル基を合わせた酸価は25mgKOH/gであった。
このポリアミドイミド樹脂溶液650gを、温度計、攪拌機、及び冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら徐々に昇温して70℃まで上げた。70℃に達したところでN,N−ジメチルエタノールアミンを86.8g(8当量)添加し、70℃に保ちながら十分に攪拌した後、攪拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が251.3g(対溶媒比40質量%)となるまで加えて、透明で均一なポリアミドイミド樹脂組成物(水系耐熱性樹脂組成物)を得た。
<粘度変化率(%)>
上記実施例、及び比較例で得られたポリアミドイミド樹脂組成物(ワニス)について、以下の手順に従い、それぞれ60℃で7日間保管した前後での粘度変化率(%)を算出した。
先ず、ポリアミドイミド樹脂組成物(ワニス)を保管前にその粘度を測定した。次に、上記樹脂組成物(ワニス)の一定量を密閉容器に入れ、この密閉容器を60℃に設定した乾燥器内で7日間にわたって保管した後に粘度を測定した。それぞれの測定値から、下記(式1)に従い、粘度変化率を算出した。
(式1)
粘度変化率(%)=(V2−V1)/V1×100
式1において、「V1」は、保管前に測定した粘度を表す。「V2」は、60℃で7日間保管後に測定した粘度を表す。
なお、それぞれの粘度測定は、JIS C 2103に準拠し、B型回転粘度計を用い、25℃、ローター3号、回転数12rpmの条件下で実施した。
<評価>
(ワニス外観)
上記実施例、及び比較例で得られたポリアミドイミド樹脂組成物(ワニス)を、それぞれ密閉容器に入れて60℃の環境下で保管し、7日間経過した後のワニス外観を目視で観察した。
(密着性低下率)
上記実施例、及び比較例で得られたポリアミドイミド樹脂組成物(試験用塗料)を、アルミ基板(1×50×150mm、(株)パルテック製)の上に塗布した。次いで、以下の手順に従い密着性試験を行った。
すなわち、各試験用塗料を塗布した上記基板を、80℃で10分間予備乾燥させた後、400℃で10分間焼成し、塗膜厚が、5ヶ所の平均値で10μmの塗膜を得た。この塗膜に切り込みを入れて、1mm四方のマスを10×10マス作製し、粘着テープ(ニチバン(株)製)を用いて5回剥離を行い、残ったマス目の数を数えた。
上記密着性試験は、加熱保存前の樹脂組成物と、60℃で7日間にわたって保存した後の樹脂組成物との双方について実施し、下記(式2)に従い、密着性低下率(%)を算出した。
(式2)
密着性低下率(%)=(A2−A1)/A1×100
式2において、「A1」は、保管前の樹脂組成物を用いて実施した密着性の評価結果を表す。「A2」は、60℃で7日間の保管後の樹脂組成物を用いて実施した密着性の評価結果を表す。
それぞれの評価結果を表1に示す。
Figure 0006977379
表1に示されるとおり、各実施例で得られたポリアミドイミド樹脂組成物は、いずれも粘度変化率が−30%以内であり、60℃で7日間の保管後の密着性の低下がなく、特性を維持している。一方、比較例1で得られた上記樹脂組成物は粘度変化率が−30%を超えており、60℃で7日間の保管後の密着性が著しく低下する結果となった。なお、60℃で7日間保管した後の各実施例及び比較例1のポリアミドイミド樹脂組成物の外観は、いずれも透明であった。これは、保管後の樹脂組成物の粘度がいずれも減少していることに関係していると推測される。実際のところ、実施例と比較例とでは、保管後の密着性の低下率に明らかな違いがあることから、実施例によれば、特性面からみた貯蔵安定性の向上が可能であることがわかる。
以上のことから、NMP以外の溶媒を使用した樹脂組成物において、60℃で7日間保管前後での粘度減少を一定範囲内とすることにより、優れた貯蔵安定性が得られ、また特性低下を抑制できることがわかる。

Claims (8)

  1. (A)ポリアミドイミド樹脂、(B)N−エチル−2−ピロリドン、(C)水、及び(D)塩基性化合物を含み、前記(A)ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量が15,000〜25,000であり、60℃で7日間保管した前後での粘度変化率が−30%以内であるポリアミドイミド樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリアミドイミド樹脂のカルボキシル基と酸無水物基を開環させたカルボキシル基とを合わせた酸価が10〜80mgKOH/gである、請求項に記載のポリアミドイミド樹脂組成物。
  3. 前記(A)ポリアミドイミド樹脂のカルボキシル基と酸無水物基を開環させたカルボキシル基とを合わせた酸価が35〜50mgKOH/gである、請求項1又は2に記載のポリアミドイミド樹脂組成物。
  4. 前記(C)水の含有量が、樹脂組成物の全質量を基準として10質量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミドイミド樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミドイミド樹脂組成物と、フッ素樹脂とを含むフッ素塗料。
  6. 請求項5に記載のフッ素塗料により形成された塗膜を、少なくとも一部の表面に有する基材。
  7. 請求項5に記載のフッ素塗料により形成された塗膜を、少なくとも一部の表面に有する物品。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミドイミド樹脂組成物と、導電性材料とを含む、導電性組成物。
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