JP2021014486A - 水系耐熱性樹脂組成物、塗料及び該塗料を用いた家電と厨房器具 - Google Patents

水系耐熱性樹脂組成物、塗料及び該塗料を用いた家電と厨房器具 Download PDF

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Abstract

【課題】家電又は厨房器具向けに、アルミ基材への密着性に優れる塗膜を形成することのできるN-メチル-2-ピロリドン不使用水系耐熱性樹脂組成物、この水系耐熱性樹脂組成物を塗膜成分としてなる塗料、及びこの塗料を用いた家電と厨房器具を提供する。【解決手段】(A)ポリアミドイミド樹脂と、(B)塩基性化合物と、(C)水、及びN-メチル-2-ピロリドンを除く有機溶媒とを含み、(B)成分の含有量が、(A)成分及び(B)成分の合計量に対して、23.3〜25.1質量%である水系耐熱性樹脂組成物である。(B)成分としてN,N-ジメチルエタノールアミンを、又は(C)成分に含まれる有機溶媒として3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドを、使用することが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は水系耐熱性樹脂組成物、塗料及び該塗料を用いた家電と厨房器具に関する。
近年、環境保全面、安全衛生面、経済性及び塗装作業性等の面から、媒体として有機溶剤の代わりに、水を使用する水性樹脂溶液が注目され、樹脂末端に残存するカルボキシル基と塩基性化合物を作用させるポリアミドイミド樹脂の水溶化方法が報告されており(例えば特許文献1公報等)、様々な用途に適用されている。
この水溶性ポリアミドイミド樹脂は水により任意の濃度への希釈が可能であり、フッ素樹脂水分散液との混合性に優れ、また塗膜が耐熱性及び硬度に優れるという特徴から、特に家電又は厨房器具向け塗料におけるフッ素樹脂バインダーとして有益であり、大きな需要を有している。この家電又は厨房器具向けの塗料は、非粘着性を発現するフッ素樹脂と基材への密着性を発現するポリアミドイミド樹脂の混合系という塗料構成であり、塗膜の焼成時にはフッ素樹脂を塗膜表面に配向させるために、フッ素が溶融する400℃近辺での高温焼成が必要となる。そのため、高温焼成後にアルミ基材への密着性が高いことが必要である。
ポリアミドイミド樹脂の合成溶媒として、溶解性の高いN-メチル-2-ピロリドンが一般的に用いられる。しかし、N-メチル-2-ピロリドンは、化学物質の登録、評価、認可、制限に関するEU法であるREACH規則の高懸念物質に該当することから、近年、N-メチル-2-ピロリドン不使用のポリアミドイミド樹脂が求められている。
これらのことから、アルミ基材への密着性に優れ、N-メチル-2-ピロリドンを使用しない水溶性ポリアミドイミド樹脂の開発が強く望まれている。
特許第3491624号公報
本発明の目的は、家電又は厨房器具向けに、アルミ基材への密着性に優れる塗膜を形成することのできるN-メチル-2-ピロリドン不使用の水系耐熱性樹脂組成物、この水系耐熱性樹脂組成物を塗膜成分としてなる塗料、及びこの塗料を用いた家電と厨房器具を提供することにある。
上記のアルミ基材への密着性に優れる塗膜を形成することのできるN-メチル-2-ピロリドン不使用の水系耐熱性樹脂組成物に関して検討した結果、ポリアミドイミド樹脂を水溶化する際に用いる塩基性化合物、例えば、N,N-ジメチルエタノールアミンの量を最適化することによって、N-メチル-2-ピロリドン不使用の水系ポリアミドイミド樹脂から得られた塗膜の密着性を大きく向上させ、N-メチル-2-ピロリドン含有の水系ポリアミドイミド樹脂から得られた塗膜と同等の密着性にすることが可能であることを見出して本発明に至った。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1](A)ポリアミドイミド樹脂と、(B)塩基性化合物と、(C)水、及びN-メチル-2-ピロリドンを除く有機溶媒とを含有し、(B)成分の含有量が、(A)成分及び(B)成分の合計量に対して、23.3〜25.1質量%である水系耐熱性樹脂組成物。
[2]前記(B)成分の塩基性化合物が、N,N-ジメチルエタノールアミンを成分とすることを特徴とする項1に記載の水系耐熱性樹脂組成物。
[3]前記(C)成分に含まれる有機溶媒が、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水系耐熱性樹脂組成物。
[4]前記(A)成分のポリアミドイミド樹脂が、アミン成分として芳香族のジアミン化合物及び/又はジイソシアネート化合物と酸成分として芳香族のジカルボン酸化合物、ジオール化合物、三塩基酸無水物、三塩基酸無水物モノクロライド及び/又は四塩基酸無水物とを共重合させて得られてなるポリアミドイミド樹脂である、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の水系耐熱性樹脂組成物。
[5]前記(A)成分のポリアミドイミド樹脂の数平均分子量が、10,000〜50,000である前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の水系耐熱性樹脂組成物。
[6]前記(C)成分に含まれる水が、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量に対して、5〜99質量%配合されてなる項1〜4いずれかに記載の水系耐熱性樹脂組成物。
[7]前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の水系耐熱性樹脂組成物を塗膜成分としてなる塗料。
[8]前記[7]に記載の塗料と、フッ素樹脂が混合されてなる家電用塗料。
[9]前記[7]に記載の塗料と、フッ素樹脂が混合されてなる厨房器具用塗料。
[10]前記[8]に記載の家電用塗料を用いた家電。
[11]前記[9]に記載の厨房器具用塗料を用いた厨房器具。
本発明の水系耐熱性樹脂組成物を用いることで、REACH規則の高懸念物質に該当するN-メチル-2-ピロリドンを使用せず、アルミ基材への密着性に優れる塗膜を得ることが可能となる。これらは、家電又は厨房器具をはじめアルミ基材への高密着性を要求される様々な用途向けに、REACH規則等による化学品規制の点から多大な有益性を有している。
本発明で用いるポリアミドイミド樹脂は、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド等の有機溶媒の中で、アミン成分として芳香族のジアミン化合物及び/又はジイソシアネート化合物と酸成分として芳香族のジカルボン酸化合物、ジオール化合物、三塩基酸無水物、三塩基酸無水物モノクロライド及び/又は四塩基酸無水物とを共重合させて得られるものである。上記製造法に用いられる代表的な化合物を次に列挙する。
まず、ジアミン化合物及びジイソシアネート化合物としては、トリジン、ジヒドロキシベンジジン、ジアニシジン、ジアミノジフェニルメタン、ジメチルジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、トルエンジアミン、ビス(トリフルオロメチル)ジアミノジフェニル、トリジンスルホン、ジアミノベンゾフェノン、チオジアニリン、スルホニルジアニリン、ジアミノベンズアニリド、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス[(アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[(アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ジアミノベンジジン、ヘキサメチレンジアミン、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、ジカルボン酸化合物、ジオール化合物、三塩基酸無水物、三塩基酸無水物モノクロライド及び四塩基酸無水物としては、ナフタレンジカルボン酸、ヒドロキシナフトエ酸、オキシナフトエ酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、無水トリメリット酸、無水トリメリット酸クロライド、セバシン酸、アジピン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヒドロキシビフェニルカルボン酸、エチレングリコール、1,4‐ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、ポリカーボネートジオール、ドデカン二酸、12‐アミノドデカン酸、ブラシル酸、シュウ酸(無水物)、イタコン酸、3,3′‐ジチオジプロピオン酸、3,3′‐チオジプロピオン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、無水クエン酸、グルコン酸、乳酸、フマル酸、DL‐リンゴ酸、キシリトール、D‐ソルビトール、DL‐アラニン、無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、ターフェニルテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
なお、本発明で用いるポリアミドイミド樹脂の製造に使用されるジアミン化合物、ジイソシアネート化合物、ジカルボン酸化合物、ジオール化合物、三塩基酸無水物、三塩基酸無水物モノクロライド及び四塩基酸無水物は上記の化合物に限定されるものではなく多種多様な化合物を使用出来ることは言うまでもない。前記アミン成分と酸成分の配合量は、生成されるポリアミドイミド樹脂の分子量、架橋度の観点から酸成分の総量1.0モルに対してアミン成分を0.8〜1.2モルとすることが好ましく、0.95〜1.1モルとすることがより好ましい。
本発明で用いるポリアミドイミド樹脂の重合に使用される有機溶媒としては、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドの他にも、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-ホルミルモルフォリン、N-アセチルモルフォリン、N,N′-ジメチルエチレンウレア、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、γ-ブチロラクトンが挙げられる。前記有機溶媒の中では、安全性や溶解性の観点から、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドを用いることが望ましい。なお、N-メチル-2-ピロリドンは、REACH規則の対象物質であり、ポリアミドイミド樹脂の重合用有機溶媒として使用する場合であっても、水系耐熱性樹脂組成物に残存することを避けるため使用を制限するのが好ましい。
3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド等の有機溶媒の使用量には特に制限はないが、イソシアネート成分又はアミン成分と酸成分の総量100質量部に対して50〜500質量部とすることが好ましい。ポリアミドイミド樹脂の合成条件は多様であり、一概に特定できないが、通常、80〜170℃の温度で行われ、空気中の水分の影響を低減するため、窒素などの雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明で用いるポリアミドイミド樹脂は、数平均分子量が10,000から50,000の範囲に含まれるものが好ましい。数平均分子量が10,000未満では高温焼成後に塗膜の耐熱性や機械的特性等の諸特性が低下する傾向があり、50,000を超えると水への溶解性が低下する。さらに、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は11,000から40,000の範囲とすることがより好ましい。
なお、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、樹脂合成時にサンプルリングしてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を用いて測定し、目的の数平均分子量になるまで合成を継続することにより上記範囲に管理される。
本発明において、ポリアミドイミド樹脂の水溶化のために使用される塩基性化合物の量は、(A)成分及び(B)成分の合計量に対して、23.3〜25.1質量%であり、23.4〜25.0質量%が好ましく、23.7〜24.9質量%が特に好ましい。23.3質量%未満では密着性が低下し、25.1質量%を超えると密着性が低下する。
本発明において、(A)ポリアミドイミド樹脂を水溶化処理するために使用する(B)塩基性化合物としては、例えば、N,N-ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルフォリン、N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N″,N″-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N′,N′-トリメチルアミノエチルピペラジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、シクロヘキサノールアミン、N-メチルシクロヘキサノールアミン、N-ベンジルエタノールアミン等のアルカノールアミン類、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物(苛性アルカリ)、アンモニア水等が挙げられる。これらの塩基性化合物は、ポリアミドイミド樹脂の末端にあるカルボキシル基と塩を形成して親水性基となる。これら塩基性化合物の中で、(A)ポリアミドイミド樹脂の水溶化処理を容易に行うことができ、且つ、得られた反応物がアルミ基材に対して優れた接着性を有することから、N,N-ジメチルエタノールアミンを用いることが好ましい。
N,N-ジメチルエタノールアミン等の塩基性化合物(B)は、カルボキシル基との塩形成に際して水の共存下に行ってもよいし、塩基性化合物を添加した後、水を加えてもよい。塩を形成させる温度は0〜150℃、好ましくは10〜100℃の範囲で行われる。
水としてはイオン交換水が好ましく用いられ、(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計量に対して好ましくは5〜99質量%配合される。この配合量が5質量%未満では含有する水が少ないことから一般に水溶性ポリマーとして称されず、99質量%を超えると塗料として機能しなくなる傾向がある。さらに、水の配合量は、10〜60質量%とすることがより好ましい。このようにして得られた水系耐熱性樹脂組成物は使用する際に必要に応じて適当な濃度に希釈される。希釈溶媒としては、水、又は3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド、γ‐ブチロラクトン等の極性溶媒が主として使用されるが、水系ポリアミドイミドに要求される環境保全面及び安全衛生面の点から、水を使用することが好ましい。
本発明による水系耐熱性樹脂組成物は、高温焼成後もアルミ基材への密着性に優れ、またフッ素樹脂水分散液との混合性、塗膜の耐熱性及び硬度に優れるという特徴から、家電又は厨房器具用塗料におけるフッ素樹脂バインダーとして好適であり、フッ素樹脂が混合された塗料として使用される。混合されるフッ素樹脂に求められる特性は非粘着性、耐食性、耐熱性及び耐薬品性等であり、主に四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン-パーフルオロビニルエーテル共重合体又は四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体が使用される。フッ素樹脂の形状は水分散液又は粉体のどちらでも使用可能であり、特に形状に制約はない。フッ素樹脂の混合量には特に制限はないが、高密着性及び非粘着性等のバランスの良い塗膜を得るためにはポリアミドイミド樹脂の100質量部に対して50〜800質量部とすることが好ましく、100〜500質量部とすることがより好ましい。
本発明による水系耐熱性樹脂組成物、この水系耐熱性樹脂組成物を塗膜成分としてなる塗料又はこの水系耐熱性樹脂組成物にフッ素樹脂を混合してなる家電又は厨房器具用塗料は、被塗物に塗布し硬化させて被塗物表面に塗膜を形成する。特に本発明によるN-メチル-2-ピロリドン不使用の水系耐熱性樹脂組成物は、高温焼成後もアルミ基材への密着性に優れる塗膜を形成可能であることから、家電又は厨房器具のように塗膜に耐煮沸性が要求される様々な用途向けに、多大な有益性を有している。
次に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、発明の主旨に基づいたこれら以外の多くの実施態様を含むことは言うまでもない。
<実施例1>
アミン成分として4,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネート1.01モル、酸成分として無水トリメリット酸1.0モル、合成溶媒として3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドの使用量はアミン成分及び酸成分の総量100質量部に対して92質量部とした)を、温度計、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら90℃を保持し、このまま約7時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。このポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は約18,000であった。なお、数平均分子量は次の条件にて測定した。
機種:日立 L6000
検出器:日立 L4000型UV
波長:270nm
データ処理機:ATT 8
カラム:Gelpack GL−S300MDT−5×2
カラムサイズ:8mmφ×300mm
溶媒:DMF/THF=1/1(リットル)+リン酸0.06M+臭化リチウム0.06M
試料濃度:5mg/1ml
注入量:5μl
圧力:49kgf/cm(4.8×10Pa)
流量:1.0ml/min
このポリアミドイミド樹脂溶液を温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら徐々に昇温して70℃まで上げた。70℃に達したところでN,N-ジメチルエタノールアミンを、ポリアミドイミド樹脂及びN,N-ジメチルエタノールアミンの合計量に対して23.7質量%になるよう添加し、70℃に保ちながら十分に攪拌した後、攪拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が、(A)ポリアミド樹脂と、(B)N,N-ジメチルエタノールアミンと、(C)イオン交換水及び3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドとの合計量に対して31.3質量%となるまで加えて、透明で均一な水系耐熱性樹脂組成物を得た。
<実施例2>
実施例1のポリアミドイミド樹脂溶液を温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら徐々に昇温して70℃まで上げた。70℃に達したところでN,N-ジメチルエタノールアミンを、ポリアミドイミド樹脂及びN,N-ジメチルエタノールアミンの合計量に対して24.9質量%になるよう添加し、70℃に保ちながら十分に攪拌した後、攪拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が、(A)ポリアミド樹脂と、(B)N,N-ジメチルエタノールアミンと、(C)イオン交換水及び3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドとの合計量に対して31.0質量%となるまで加えて、透明で均一な水系耐熱性樹脂組成物を得た。
<比較例1>
アミン成分として4,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネート1.01モル、酸成分として無水トリメリット酸1.0モル、合成溶媒として3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドの使用量はアミン成分及び酸成分の総量100質量部に対して92質量部とした)を、温度計、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら、反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら90℃を保持し、このまま約7時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。このポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は約18,000であった。なお、数平均分子量は次の条件にて測定した。
このポリアミドイミド樹脂溶液を温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら徐々に昇温して70℃まで上げた。70℃に達したところでN,N-ジメチルエタノールアミンを、ポリアミドイミド樹脂及びN,N-ジメチルエタノールアミンの合計量に対して22.5質量%になるよう添加し、70℃に保ちながら十分に攪拌した後、攪拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が、(A)ポリアミド樹脂と、(B)N,N-ジメチルエタノールアミンと、(C)イオン交換水及び3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドとの合計量に対して31.6質量%となるまで加えて、透明で均一な水系耐熱性樹脂組成物を得た。
<比較例2>
比較例1のポリアミドイミド樹脂溶液を温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら徐々に昇温して70℃まで上げた。70℃に達したところでN,N-ジメチルエタノールアミンを、ポリアミドイミド樹脂及びN,N-ジメチルエタノールアミンの合計量に対して25.3質量%になるよう添加し、70℃に保ちながら十分に攪拌した後、攪拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が、(A)ポリアミド樹脂と、(B)N,N-ジメチルエタノールアミンと、(C)イオン交換水及び3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドとの合計量に対して30.9質量%となるまで加えて、透明で均一な水系耐熱性樹脂組成物を得た。
<参考例>
アミン成分として4,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネート1.01モル、酸成分として無水トリメリット酸1.0モル、合成溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(N-メチル-2-ピロリドンの使用量はアミン成分及び酸成分の総量100質量部に対して89質量部とした)を、温度計、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら徐々に昇温して100℃まで上げた。反応により生ずる炭酸ガスの急激な発泡に注意しながら100℃を3.5時間保持し、その後115℃で1時間、120℃で1時間加熱を続けた後反応を停止させ、ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
このポリアミドイミド樹脂溶液を温度計、攪拌機、冷却管を備えたフラスコに入れ、乾燥させた窒素気流中で攪拌しながら徐々に昇温して70℃まで上げた。70℃に達したところでN,N-ジメチルエタノールアミンを、ポリアミドイミド樹脂及びN,N-ジメチルエタノールアミンの合計量に対して25.3質量%になるよう添加し、70℃に保ちながら十分に攪拌した後、攪拌しながら徐々にイオン交換水を加えた。最終的にイオン交換水が、(A)ポリアミド樹脂と、(B)N,N-ジメチルエタノールアミンと、(C)イオン交換水及びN-メチル-2-ピロリドンとの合計量に対して30.9質量%となるまで加えて、透明で均一な水系耐熱性樹脂組成物を得た。
<試験例>
実施例1、2及び比較例1、2、及び参考例で得られた水系耐熱性樹脂組成物に四フッ化エチレン樹脂の水分散液を混合して塗膜を作成し、この外観を確認した。試験結果を表1に示す。表1に示すN,N-ジメチルエタノールアミンの比率は、ポリアミド樹脂及びN,N-ジメチルエタノールアミンの合計量に対する比率を質量%で表したものである。
Figure 2021014486
1)外観の評価は、目視で行った。
水系耐熱性樹脂組成物及び四フッ化エチレン樹脂の混合条件を表2に示す。
Figure 2021014486
水系耐熱性樹脂組成物及び四フッ化エチレン樹脂の混合塗料における塗膜の作製条件を表3に示す。
Figure 2021014486
水系耐熱性樹脂組成物及び四フッ化エチレン樹脂の混合塗料における塗膜の密着性を試験した。試験結果を表4に示す。
Figure 2021014486
2)密着性の評価は、JIS K5400-1990に記載の付着性、基盤目テープ法に準拠して100マスに切り傷を付け、これにテープ剥離を5回行い、残ったマス目の数を数えることにより行った。密着性は、残ったマス目の数が多いものほど高いことを意味する。
本発明は、ポリアミドイミド樹脂の合成に一般的に使用され、REACH規則の高懸念物質に該当するN-メチル-2-ピロリドンを含有していないことが特徴である。また、水溶化で添加するN,N-ジメチルエタノールアミンの量を、ポリイミド樹脂との合計量に対して23.3〜25.1質量%に最適化することにより、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド含有ポリアミドイミド樹脂から作製された塗膜は、N-メチル-2-ピロリドン含有のポリアミドイミド樹脂から作製された塗膜と同等の密着性を示す。本発明の水系耐熱性樹脂組成物を用いることで、N-メチル-2-ピロリドンを使用せず、高温焼成後もアルミ基材への密着性に優れる塗膜を得ることが可能となることが分かる。
以上のように、本発明の水系耐熱性樹脂組成物は、REACH規則の高懸念物質に該当するN-メチル-2-ピロリドンを使用しないでも、アルミ基材への密着性に優れる塗膜が得られることから、家電又は厨房器具は言うまでもなく、高温で焼成されアルミ基材への高密着性を要求される様々な用途向けに、多大な有益性を有している。

Claims (11)

  1. (A)ポリアミドイミド樹脂と、(B)塩基性化合物と、(C)水、及びN-メチル-2-ピロリドンを除く有機溶媒とを含有し、(B)成分の含有量が、(A)成分及び(B)成分の合計量に対して、23.3〜25.1質量%である水系耐熱性樹脂組成物。
  2. 前記(B)成分の塩基性化合物が、N,N-ジメチルエタノールアミンを成分とすることを特徴とする請求項1に記載の水系耐熱性樹脂組成物。
  3. 前記(C)成分に含まれる有機溶媒が、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水系耐熱性樹脂組成物。
  4. 前記(A)成分のポリアミドイミド樹脂が、アミン成分として芳香族のジアミン化合物及び/又はジイソシアネート化合物と、酸成分として芳香族のジカルボン酸化合物、ジオール化合物、三塩基酸無水物、三塩基酸無水物モノクロライド及び/又は四塩基酸無水物とを共重合させて得られてなるポリアミドイミド樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水系耐熱性樹脂組成物。
  5. 前記(A)成分のポリアミドイミド樹脂の数平均分子量が、10,000〜50,000である請求項1〜4のいずれか一項に記載の水系耐熱性樹脂組成物。
  6. 前記(C)成分に含まれる水が、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量に対して、5〜99質量%配合されてなる請求項1〜4いずれか一項に記載の水系耐熱性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の水系耐熱性樹脂組成物を塗膜成分としてなる塗料。
  8. 請求項7に記載の塗料と、フッ素樹脂が混合されてなる家電用塗料。
  9. 請求項7に記載の塗料と、フッ素樹脂が混合されてなる厨房器具用塗料。
  10. 請求項8に記載の家電用塗料を用いた家電。
  11. 請求項9に記載の厨房器具用塗料を用いた厨房器具。
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