JP3951355B2 - 耐熱性樹脂組成物及び塗料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性樹脂組成物及び塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドイミド樹脂は、耐熱性、耐薬品性及び耐溶剤性に優れているため、エナメル線用ワニスなど各種塗料の塗膜成分として、各種基材に保護塗膜を形成するために、特に、耐熱保護塗膜を形成するために広く使用されている。
ポリアミドイミド樹脂としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと無水トリメリット酸とを反応させて得られるものなどが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
自動車部品や調理器具においても耐熱保護塗膜を形成するニーズがある。かかる耐熱保護塗膜には、耐熱性に優れるばかりでなく、高温にさらされても密着性が低下しないことが要求される。
ところが、ポリアミドイミド樹脂を塗膜成分とする耐熱保護塗膜は、耐熱性に優れるものの、高温にさらされると密着性が低下し、特に被塗物がステンレス鋼板であるとその傾向が著しいという欠点があった。
本発明は、塗膜としたとき、高温にさらされても密着性が低下しない耐熱性樹脂組成物、及び、この耐熱性樹脂組成物を塗膜成分とする塗料を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、数平均分子量が10,000〜50,000のポリアミドイミド樹脂及び前記ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して0.01〜20重量部のクロムアセチルアセトナートからなるステンレス耐熱保護膜用樹脂組成物である。
【0005】
ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量が10,000未満であると、塗料としたときの造膜性が悪く、50,000を超えると、塗料として適正な濃度で溶媒に溶解したときに粘度が高くなり塗装時の作業性が劣る。このことから、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は10,000〜25,000とするのがより好ましい。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のステンレス耐熱保護膜用樹脂組成物を塗膜成分としてなるステンレス耐熱保護膜用塗料である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリアミドイミド樹脂は、一般式(I)で示される構造を有する。
【化1】
Figure 0003951355
(R1:3価の有機基 R2:2価の有機基 n:正の整数)
【0008】
ポリアミドイミド樹脂の代表的な合成方法としては、(1)ジイソシアネートと三塩基酸無水物を反応させる方法、(2)ジアミンと三塩基酸無水物を反応させる方法、及び、(3)ジアミンと三塩基酸無水物クロライドを反応させる方法などが挙げられる。ただし、本発明で用いられるポリアミドイミド樹脂の合成方法がこれらに制限されるものではない。
【0009】
これらの合成方法で用いられる代表的な化合物を挙げる。まず、イソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、キシリレンジアミン、フェニレンジアミンなどが挙げられる。また、三塩基酸無水物としては、トリメリット酸無水物などが挙げられる。また、三塩基酸無水物クロライドとしては、トリメリット酸クロライドなどが挙げられる。
【0010】
ポリアミドイミド樹脂を合成するとき、ジカルボン酸、テトラカルボン酸二無水物などをポリアミドイミド樹脂の特性を損なわない範囲で同時に反応させることができる。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸などが挙げられ、テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。これらは、全酸成分中50当量%以下で使用されることが好ましい。
【0011】
ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、合成時に、サンプリングしてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定し、目的の数平均分子量になるまで合成を継続することにより所望の数平均分子量のポリアミドイミド樹脂を得ることができる。
【0012】
クロムアセチルアセトナートの配合量は、ポリアミドイミド樹脂100重量部に対し、0.01〜20重量部とすることが好ましい。0.01重量部未満となると、密着性向上効果が小さくなり、20重量部を超えると塗膜の耐熱性が漸次低下する傾向を示す。このことから、クロムアセチルアセトナートの配合量は、ポリアミドイミド樹脂100重量部に対し、0.05〜10重量部とすることがより好ましく、0.1〜8重量部とすることが特に好ましい。
クロムアセチルアセトナートは、塩基性極性溶媒に溶解した溶液としてポリアミドイミド樹脂と混合することができる。塩基性極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドなどを用いることができる。溶液の濃度については、特に制限はないが、例えば、クロムアセチルアセトナート100重量部を塩基性極性溶媒900〜4000重量部に溶解される。
クロムアセチルアセトナートの配合方法についてはこれに限られるものではなく、他の適宜の方法によってもよい。
【0013】
本発明になる耐熱性樹脂組成物は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルホルムアミド等の極性溶媒、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの溶媒に溶解され、適当な粘度に調整して塗料とされ、被塗物に塗布、硬化させて、被塗物表面に塗膜を形成する。
ステンレス鋼板を被塗物としたとき、特に著しい効果を挙げることができる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0015】
実施例1
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート257.5g(1.03モル)、無水トリメリット酸192.0g(1.00モル)及びN−メチル−2−ピロリドン660gを2リットルのフラスコに仕込み、撹拌しながら約3時間で温度を130℃に上昇し、この温度で6時間保温して数平均分子量20,000のポリアミドイミド樹脂溶液を得た。
得られたポリアミドイミド樹脂溶液100重量部(樹脂分濃度30重量%)にクロムアセチルアセトナートのN−メチル−2−ピロリドン溶液(固形分濃度10重量%)0.06重量部を加えて塗料を得た。
【0016】
実施例2
ジアミノジフェニルエーテル200.0g(1.00モル)、無水トリメリット酸192.0g(1.00モル)、N−メチル−2−ピロリドン904g及びホウ酸4.0gを2リットルのフラスコに仕込み、撹拌しながら約3時間で温度を200〜205℃に上昇し、この温度で12時間保温してポリアミドイミド樹脂溶液を得た。得られたポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は23,000であった。
得られたポリアミドイミド樹脂溶液100重量部、(樹脂分濃度25重量%)にクロムアセチルアセトナートのN,N−ジメチルホルムアミド溶液(固形分濃度5重量%)25重量部を加えて塗料を得た。
【0017】
比較例
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート257.5g(1.03モル)、無水トリメリット酸192.0g(1.00モル)及びN−メチル−2−ピロリドン660gを2リットルのフラスコに仕込み、撹拌しながら約3時間で温度を130℃に上昇し、この温度で4時間保温してポリアミドイミド樹脂溶液を得た。得られたポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は18,000であった。この溶液をそのまま塗料とした。
【0018】
実施例1、2及び比較例で得られた塗料をステンレス鋼板(SUS304)に塗布した後、300℃で30分間焼付けて膜厚10μmの塗膜を形成した。
塗膜を形成したステンレス鋼板について、初期及び300℃に所定の時間さらした後の密着性をJIS K 5400に準じて測定した。その結果を表1に示す。表1の数値は、クロスカット残率を示し、単位は%である。
【0019】
【表1】
Figure 0003951355
注)初期において、比較例の数値に幅があるのは初期接着性にロット間のばらつきがあるためであり、実施例1及び実施例2の数値に幅がないのはロット間のばらつきがないことを示す。
表1から、実施例1、2で得られた塗膜は、比較例の塗膜に比較して、高温にさらされても密着性の低下がなく優れていることが示される。
【0020】
【発明の効果】
本発明になる耐熱性樹脂組成物は、高温にさらされても密着性が低下しない塗膜を形成でき、各種耐熱塗料用途の中でも特に高耐熱用途に有用である。

Claims (2)

  1. 数平均分子量が10,000〜50,000のポリアミドイミド樹脂及び前記ポリアミドイミド樹脂100重量部に対して0.01〜20重量部のクロムアセチルアセトナートからなるステンレス耐熱保護膜用樹脂組成物
  2. 請求項1に記載のステンレス耐熱保護膜用樹脂組成物を塗膜成分としてなるステンレス耐熱保護膜用塗料。
JP13265597A 1997-05-22 1997-05-22 耐熱性樹脂組成物及び塗料 Expired - Lifetime JP3951355B2 (ja)

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