JP6953204B2 - 透明導電性フィルム及びタッチパネル - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電性フィルム及びタッチパネルに関する。
近年、可撓性、加工性に加えて、耐衝撃性に優れ、軽量である等の利点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムをはじめとする各種の高分子基材フィルム上にITO膜(インジウム−スズ複合酸化物膜)を形成した透明導電性フィルムが提案されている。
タッチパネルに代表される透明導電材料には高透明、高透過、高耐久性といった特性が要望されている。高温高湿耐久性の向上のための取り組みとして、透明プラスチック基材に透明導電膜を配置し、表層側の透明導電膜に含まれる酸化スズの含有量が0.5〜8質量%であり、かつ、透明プラスチック基材側の透明導電膜に含まれる酸化スズの含有量が表層側の含有量より20〜60質量%多い構成等が知られている(特許文献1参照)。
加えて、タッチパネルの大画面化に対応すべく、高感度(操作性向上)、ディスプレイからのノイズの除去及び低消費電力に向けて、高分子基材フィルム上に形成したITO膜には比抵抗値及び表面抵抗値の低減の要求が高まっている。
抵抗値の低いITO膜を得るために、ITO膜の膜厚を厚く設計する技術やITO膜中のSn比率を上げることで比抵抗を下げる技術が検討されている。しかし、前者では光学特性の低下、後者では結晶化速度が遅いこと等の不具合が見られる。これに対し、結晶化速度の低下を抑制し、低抵抗の透明導電性フィルムを与える方策として、透明基材の少なくとも一方の面に透明導電膜を形成し、Snの含有量が1重量%以上4重量%以下であるインジウム・スズ複合酸化物からなる第一透明導電膜と、Snの含有量が4重量%超え、10重量%以下であるインジウム・スズ複合酸化物からなる第二透明導電膜で形成する技術が提案されている(特許文献2参照)。
特開2013−84542号公報 特開2013−73851号公報
上記技術でも用途によっては抵抗値として十分に低くなっているものの、本発明者らは次世代の透明導電性フィルムの開発の観点からさらなる低比抵抗化の検討を進めてきている。
本発明は、透明導電層の低抵抗特性及び結晶化速度の改善の両立を実現する透明導電性フィルム及び当該透明導電性フィルムを備えるタッチパネルを提供することを目的とする。
本願発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、Sn含有量の異なるITO膜を採用して低比抵抗を達成しつつ、結晶化を阻害する要因が基材フィルムから発生するガスではないかとの知見を得た。本願発明者らは、さらに検討したところ、下記の構成を採用することにより前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
本発明は、一実施形態において、基材フィルムと、
前記基材フィルムの少なくとも一方の面側に形成された透明導電層と
を備え、
前記基材フィルムは、極性基を含まないポリマーを主成分とし、
前記透明導電層は、前記基材フィルム側から、第一インジウム−スズ複合酸化物膜及び第二インジウム−スズ複合酸化物膜をこの順で有し、
前記第一インジウム−スズ複合酸化物膜における酸化スズの含有量が、酸化スズ及び酸化インジウムの合計量に対し9重量%を超え20重量%以下であり、
前記第二インジウム−スズ複合酸化物膜における酸化スズの含有量が、酸化スズ及び酸化インジウムの合計量に対し7重量%以上9重量%以下である透明導電性フィルムに関する。
当該透明導電性フィルムによれば、透明導電層の低抵抗特性及び結晶化速度の改善の両立を実現することができる。この理由は定かではないものの、以下のように推察される。比抵抗を下げるためにはインジウム−スズ複合酸化物膜(ITO膜)中のSn含有率を高めることが有効である。これは結晶膜中のITOの一部がSn元素に置換されることで、キャリアが生成されるためである。当該透明導電性フィルムでは、従来品より高いSn含有量とすることで、低比抵抗化を図っている。
一方でSnの含有量の増加により、In結晶の配向性を乱すことになったり、ドープしたSn原子によるIn結晶中のIn原子の置換に時間を要したりして、アニール時(結晶化時)の結晶化速度が低下する傾向にある。当該透明導電性フィルムでは、透明導電層の厚み方向でSnO比率の異なるITO膜を積層することで、比抵抗の改善と結晶化速度の維持を機能分離させている。すなわち、透明導電層はSnO比率の異なる2層のITO膜から構成され、表面側の第二インジウム−スズ複合酸化物膜(第二ITO膜)のSnO比率を基材側の第一インジウム−スズ複合酸化物膜(第一ITO膜)のSnO比率よりも低くしている。これはITO膜を結晶化させる際に表面側の第二ITO膜から結晶が成長するためであり、結晶化しやすい低SnO比率の第二ITO膜を表面側に積層することで結晶化が有利に進むようにしている。一方で基材フィルム側の第一ITO膜におけるSnOの含有量を高くすることにより、透明導電層の低比抵抗化を図っている。
さらに本発明者らは、ITO膜をスパッタ成膜する際に基材フィルムから発生するガスなどが結晶化に影響することに着目した。基材フィルムから発生するガスの主成分は水である。こうした水分の存在は、スパッタ成膜中に発生するダングリングボンドを終結させてITO等の導電性酸化物の結晶成長を妨げるとともに、透明導電層中のキャリア散乱を惹起して移動度を低下させることがある。当該透明導電性フィルムでは、極性基を含まないポリマーを主成分とする基材フィルムを採用することにより、ITO膜をスパッタ成膜する際に基材フィルムから発生するガスなどの影響を極力排除し、結晶化速度の向上を達成している。なお、「極性基を含まない」とは、ポリマーの主鎖末端を除く主鎖骨格及び側鎖骨格に極性基を含まないことを意味する。ポリマーの主鎖末端には、開始剤又はクエンチャーに由来する極性基を有していてもよい。
前記第一インジウム−スズ複合酸化物膜は、前記第二インジウム−スズ複合酸化物膜より厚いことが好ましい。低比抵抗化と結晶促進の機能分離させた2層のITO膜のうち、基材フィルム側の高Sn含有量の第一ITO膜が占める体積又は厚みの割合が高いほど透明導電層の低比抵抗化には有利となるので、基材フィルム側の第一ITO膜の膜厚が厚い方が望ましい。
前記第一インジウム−スズ複合酸化物膜の厚みの前記第二インジウム−スズ複合酸化物膜の厚みに対する比が1.5以上9以下であることが好ましい。厚み比率を前記下限値以上とすることで透明導電層の低比抵抗化を好適に図ることができ、前記上限値以下とすることでさらなる結晶化促進を図ることができる。
前記透明導電層の厚みが70nm以下であることが好ましい。これにより光学特性を向上させることができる。
前記極性基を含まないポリマーがシクロオレフィン系ポリマーであることが好ましい。これにより、高透明性による優れた光学特性及び低含水率による結晶化促進を達成することができる。
前記透明導電層を形成する前の前記基材フィルムを含む層構造の含水量の含水量が10μg/cm以下であることが好ましい。層構造由来のガス(水分等)の発生を低減し、ITO膜の結晶化をさらに促進させることができる。
当該透明導電性フィルムは、前記基材フィルムと前記透明導電層との間、及び前記基材フィルムの他方の面側の少なくとも一方にハードコート層を備えていてもよい。ハードコート層を備えることにより、耐擦傷性の向上や、シクロオレフィン系樹脂フィルム等に代表される柔軟な基材フィルムのハンドリング性の向上等を図ることができる。
前記ハードコート層の厚みが3μm以下であることが好ましい。ITO膜のスパッタ成膜時には、ITO膜と基材フィルムとの間に任意に設けられる塗工層から発生するガスも影響を受ける。塗工層として形成されることの多いハードコート層の膜厚を一定値以下に設定することで、ガスの発生を抑えることが可能となり、ITO膜の結晶化を促進させることができる。
当該透明導電性フィルムは、前記基材フィルムと前記透明導電層との間に光学調整層を備えていてもよい。光学調整層を設けることで透明導電性フィルムの反射率を制御することができ、光学特性を向上させることができる。
前光学調整層の厚みが200nm以下であることが好ましい。ハードコート層の場合と同様、塗工層として形成される場合の光学調整層の膜厚を一定値以下に設定することで、ガスの発生を抑えることが可能となり、ITO膜の結晶化を促進させることができる。
本発明の一実施形態において、当該透明導電性フィルムは、
前記基材フィルムと、
ハードコート層と
光学調整層と
前記透明導電層と
をこの順で備える。
本発明は、一実施形態において、当該透明導電性フィルムを備えるタッチパネルに関する。当該透明導電性フィルムは、高感度タッチパネルやノイズカット機能付きタッチパネル等のITO膜の低比抵抗化が求められるタッチパネル用途に好適である。
本発明の一実施形態に係る透明導電性フィルムの模式的断面図である。
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。なお、図面に示した形態は実寸比ではなく、説明の便宜上、部分的に拡大又は縮小して示している箇所がある。また、本明細書における上下左右、表裏等の位置関係を示す用語は、単なる説明を容易にするための用語であり、実際の具体的構成の位置関係を特定する意図は一切ない。
《透明導電性フィルム》
図1は、本発明の一実施形態に係る透明導電性フィルムの模式的断面図である。透明導電性フィルム10では、基材フィルム1の一方の面(以下、「第一主面」ともいう。)S1側に、ハードコート層2、光学調整層3、及び透明導電層4がこの順で形成されている。また、本実施形態では、基材フィルム1の他方の面(以下、「第二主面」ともいう。)S2側にもハードコート層2’が設けられている。ハードコート層及び光学調整層は任意の構成であり、基材フィルム1の第一主面S1及び第二主面S2の一方又は両方に形成されていてもよく、あるいは形成されていなくてもよい。図1に示した形態以外に、基材フィルム1の第二主面S2側においても、ハードコート層2’に加え、光学調整層及び透明導電層をさらに備えていてもよい。透明導電層4は、基材フィルム1側から第一インジウム−スズ複合酸化物膜41及び第二インジウム−スズ複合酸化物膜42を有している。
<基材フィルム>
基材フィルム1の形成材料としては、透明性を有するとともに、極性基を含まないポリマー(以下、「非極性ポリマー」ともいう。)を主成分とする限り特に制限されない。非極性ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、ポリノルボルネン系ポリマーなどのポリシクロオレフィン系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー等が挙げられる。これらの中で好ましいのは、シクロオレフィン系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマーであり、特に好ましいのはシクロオレフィン系ポリマーである。非極性ポリマーがシクロオレフィン系ポリマーであると、高透明性による優れた光学特性及び低含水率による結晶化促進を達成することができる。
シクロオレフィン系ポリマーとしては、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有するポリマーであれば特に限定されるものではない。シクロオレフィン系ポリマーフィルムに用いられるシクロオレフィン系ポリマーとしては、シクロオレフィンポリマー(COP)又はシクロオレフィンコポリマー(COC)のいずれであってもよい。シクロオレフィンコポリマーとは、環状オレフィンとエチレン等のオレフィンとの共重合体である非結晶性の環状オレフィン系ポリマーのことをいう。
上記環状オレフィンとしては、多環式の環状オレフィンと単環式の環状オレフィンとが存在している。かかる多環式の環状オレフィンとしては、ノルボルネン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブチルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセン、ジメチルシクロテトラドデセン、トリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエンなどが挙げられる。また、単環式の環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロドデカトリエンなどが挙げられる。
上記シクロオレフィン系ポリマーからなる光学フィルムは市販品としても入手可能であり、例えば、日本ゼオン社製のZEONOR、ZEONEX等が挙げられる。
基材フィルム1の形成材料としては、主成分である非極性ポリマー以外のポリマーを含んでいてもよく、例えば、ポリエステル系ポリマー、アセテート系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリアリレート系ポリマー、ポリフェニレンサルファイド系ポリマー等が挙げられる。これらの中で特に好ましいのは、ポリエステル系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーである。
本明細書において、「極性基を含まないポリマーを主成分とする」とは、基材フィルムの形成材料全体の重量中、非極性ポリマーの含有量が50重量%以上、好ましくは80重量%以上であることをいう。
基材フィルム1の厚みは、2〜200μmの範囲内であることが好ましく、20〜180μmの範囲内であることがより好ましい。基材フィルム1の厚みが2μm未満であると、基材フィルム1の機械的強度が不足し、基材フィルムをロール状にして任意構成であるハードコート層2や光学調整層3、必須構成である透明導電層4を連続的に形成する操作が困難になる場合がある。一方、厚みが200μmを超えると、タッチパネル全体の総厚みが厚くなり、デバイス筐体の薄型化の妨げとなったり、透明導電層4の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性の向上が図れなかったりする場合がある。
基材フィルム1には、表面に予めスパッタリング、プラズマ処理、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、基材フィルム上に形成されるハードコート層や光学調整層等との密着性を向上させるようにしてもよい。また、ハードコート層や光学調整層を形成する前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などにより、基材フィルム表面を除塵、清浄化してもよい。
<ハードコート層>
透明導電性フィルム10では、基材フィルム1と透明導電層4との間、及び基材フィルムの第二主面S2側にハードコート層2、2’を設けることができる。ハードコート層2、2’を設けることにより、耐擦傷性の向上やシクロオレフィン系ポリマーフィルム等の柔軟な基材フィルム1のハンドリング性の向上等を図ることができる。
(樹脂組成物)
ハードコート層は、樹脂組成物の硬化物層である。樹脂組成物としては、ハードコート層形成後の皮膜として十分な強度を持ち、透明性のあるものを特に制限なく使用できる。樹脂組成物に用いる樹脂としては、熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂などがあげられるが、これらのなかでも紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よくハードコート層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。
紫外線硬化型樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種のものがあげられ、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えばアクリロイル基等の紫外線重合性官能基を有するもの、なかでも当該重合性官能基を分子内に2個以上、特に2〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマーレベルの成分、及びポリマーレベルの成分を含むものがあげられる。また、紫外線硬化型樹脂には、紫外線重合開始剤が配合されている。
本実施形態において、紫外線硬化型樹脂としてはウレタン(メタ)アクリレートを好適に用いることができる。前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール、ジイソシアネートを構成成分として含有するものが用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方のモノマーと、ポリオールとを用いて、水酸基を1個以上有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを作製し、これをジイソシアネートと反応させることによりウレタン(メタ)アクリレートを製造することができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、一種類を単独で使用でもよく、二種類以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリオールは、水酸基を少なくとも2つ有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、トリシクロデカンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,2−ブチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール、脂肪族または環式ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族、脂肪族又は脂環族の各種のジイソシアネート類を使用することができ、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等、さらにはこれらの水添物等が挙げられる。
樹脂組成物中のウレタン(メタ)アクリレートの配合割合は、特に制限されない。ハードコート層の柔軟性や硬度、基材フィルムに対する密着性等の観点から、ウレタン(メタ)アクリレートの配合割合は、樹脂組成物の合計重量に対し、例えば、10〜90重量%の範囲であり、好ましくは、20〜80重量%の範囲である。
ハードコート層を形成する樹脂組成物に用いられる硬化型樹脂として、上記各成分に加えて反応性希釈剤を有していてもよい。反応性希釈剤としては、比較的低粘度である1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上のモノマーおよびオリゴマー並びに単官能モノマー、例えばN−ビニルピロリドン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、そのカプロラクトン変成物などの誘導体、スチレン、q−メチルスチレン、アクリル酸等、またはそれらの混合物などを使用することができる。
樹脂組成物には、前記材料に加えて、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤、光重合開始剤等の常用の添加剤を用いることができる。チクソトロピー剤を用いると、ハードコート層が粒子を含む場合に、微細凹凸形状表面における突出粒子の形成に有利である。チクソトロピー剤としては、0.1μm以下のシリカ、マイカ等があげられる。これら添加剤の含有量は、通常、紫外線硬化型樹脂100重量部に対して、15重量部以下程度、好ましくは0.01〜15重量部、とするのが好適である。
(粒子)
各ハードコート層は粒子を含んでいてもよい。高硬度化の観点および耐ブロッキング性付与の観点から、粒子を含有することが好ましい。
上記粒子としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスチックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えば、酸化ケイ素(シリカ)粒子、中空ナノシリカ粒子、酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化亜鉛粒子、酸化錫粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化カルシウム粒子等の無機系粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系粒子やシリコーン系粒子などがあげられる。前記粒子は、1種または2種以上を適宜に選択して用いることができるが、屈折率の観点から、無機系粒子、有機系粒子が好ましい。
(コーティング組成物)
ハードコート層を形成するのに用いられるコーティング組成物は、上記の樹脂、粒子、及び溶媒を含む。
コーティング組成物は、上記の樹脂及び粒子を、必要に応じて溶媒、添加剤、触媒等と混合することにより調製することができる。コーティング組成物中の溶媒は、特に限定されるものではなく、用いる樹脂や塗装の下地となる部分の材質及び組成物の塗装方法などを考慮して適時選択される。溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;などが挙げられる。これらの溶媒を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。これらの溶媒のうち、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒が好ましく使用される。
コーティング組成物において、粒子は溶液中に分散されていることが好ましい。溶液中に粒子を分散させる方法としては、樹脂組成物溶液に粒子を添加して混合する方法や、予め溶媒中に分散させた粒子を樹脂組成物溶液に添加する方法等、各種公知の方法を採用することができる。
コーティング組成物の固形分濃度は、1重量%〜70重量%が好ましく、2重量%〜50重量%がより好ましく、5重量%〜40重量%が最も好ましい。固形分濃度が低くなりすぎると、塗布後の乾燥工程でハードコート層表面の隆起のばらつきが大きくなり、ヘイズが上昇する場合がある。一方、固形分濃度が大きくなりすぎると、含有成分が凝集しやすくなり、その結果、凝集部分が顕在化して透明導電性フィルムの外観を損ねる場合がある。
(塗布及び硬化)
ハードコート層2、2’は、基材フィルム1上に、上記のコーティング組成物を塗布することにより形成することができる。なお、コーティング組成物は、基材フィルム1上に直接行ってもよく、基材フィルム1上に形成されたアンダーコート層等の上に行うこともできる。
ハードコート層は、コーティング組成物を基材フィルム上に塗布し、溶媒の乾燥を行い、熱、活性エネルギー線またはその両方のいずれかの適用により硬化させることにより得られる。熱は空気循環式オーブンやIRヒーターなど公知の手段を用いることができるがこれらの方法に限定されない。活性エネルギー線の例としては紫外線、電子線、ガンマ線などがあるが特に限定されない。
コーティング組成物の塗布方法は、コーティング組成物及び塗装工程の状況に応じて適時選択することができ、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法やエクストルージョンコート法などにより塗布することができる。
コーティング組成物を塗布後、塗膜を硬化させることによって、ハードコート層を形成することができる。樹脂組成物が光硬化性である場合は、必要に応じた波長の光を発する光源を用いて光を照射することによって、硬化させることができる。照射する光として、例えば、露光量150mJ/cm以上の光、好ましくは150mJ/cm〜1000mJ/cmの光を用いることができる。またこの照射光の波長は特に限定されるものではないが、例えば380nm以下の波長を有する照射光などを用いることができる。なお、光硬化処理の際に加熱を行ってもよい。
ハードコート層2、2’には、表面に予めスパッタリング、プラズマ処理、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、ハードコート層上に形成される光学調整層等との密着性を向上させるようにしてもよい。また、光学調整層を形成する前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などにより、ハードコート層表面を除塵、清浄化してもよい。
ハードコート層2、2’の厚みは3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましく、1.5μm以下であることがさらに好ましい。一方、ハードコート層2、2’の厚みは0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。ITO膜のスパッタ成膜時には、ITO膜と基材フィルムとの間に任意に設けられる塗工層から発生するガスも影響を受ける。塗工層として形成されることの多いハードコート層の膜厚を上記範囲に設定することで、ガスの発生を抑えることが可能となり、ITO膜の結晶化を促進させることができる。また、透明導電性フィルムの耐擦傷性を向上させることができる。
<光学調整層>
本実施形態に係る透明導電性フィルム10においては、透明導電層の密着性や反射特性の制御等を目的として、ハードコート層2と透明導電層4との間に塗工膜である光学調整層3が設けられている。また、光学調整層は、透明導電層4をパターン化した場合に、透明導電層が形成されているパターン形成部と透明導電層が除去されたパターン開口部との光路差を調整することによって、両者間の反射率差を低減し、パターンが視認され難くすることを目的として設けることができる。光学調整層3の層構造は1層構造に限定されず、2層でもよく、3層以上の層構造を有していてもよい。光学調整層が2層以上形成されている場合、少なくとも1層が塗工膜であればよく、残りの層は乾式法(例えば、スパッタリング等)により形成されたスパッタ膜等であってもよい。
光学調整層が2層構造を有する場合、2層の光学調整層は互いに異なる屈折率を有することが好ましい。反射特性をより高いレベルで制御して反射率を低減させる観点では、基材フィルム1に近い光学調整層の屈折率が基材フィルム1から遠い光学調整層の屈折率より高いことが好ましい。この場合、基材フィルムに近い光学調整層の屈折率は、1.60以上1.90以下が好ましく、1.70以上1.80以下がより好ましい。また、基材フィルムから遠い光学調整層の屈折率は、1.35以上1.60以下が好ましく、1.45以上1.55以下がより好ましい。
光学調整層3の厚み(複数層の場合は、各層の厚み)は、200nm以下であることが好ましく、10nm以上200nm以下であることがより好ましく、20nm以上150nm以下であることがさらに好ましく、20nm以上130nm以下が特に好ましい。光学調整層の厚みが過度に小さいと連続被膜となりにくい。また、光学調整層の厚みが過度に大きいと、光学調整層から発生するガスの量が増加し透明導電層の結晶化の妨げとなったり、透明導電性フィルムの透明性が低下したり、また、光学調整層にクラックが生じ易くなったりする傾向がある。
光学調整層は、有機成分、無機成分、及び有機成分と無機成分とを含む有機無機複合材料のいずれによって形成されていてもよい。中でも、少なくとも1層の光学調整層は有機成分と無機成分とを含む有機無機複合材料で形成されていることが好ましい。有機成分に加えて無機成分を複合的に用いることにより、光学調整層の膜強度のさらなる向上を図ることができ、耐湿熱性をより高めることができる。また、無機成分の添加により光学調整層の光学特性の調整が容易となり、透明導電性フィルムの反射率をより低減させることができる。
(有機成分)
有機成分としては特に限定されず、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等が用いられる。加工速度の早さや基材フィルム1への熱ダメージを抑制する観点からは、紫外線硬化型樹脂を用いることが特に好ましい。
このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、光(紫外線)により硬化するアクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物を用いることができる。硬化型化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物のアクリレートやメタクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機無機複合材料の有機成分に用いられる紫外線硬化型樹脂として、上記各成分に加えて反応性希釈剤を有していてもよい。反応性希釈剤としては、例えば、アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する反応性希釈剤を用いることができる。反応性希釈剤の具体例としては、例えば特開2008−88309号公報に記載の反応性希釈剤を用いることができ、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能アクリレート、多官能メタクリレート等を含む。反応性希釈剤としては、3官能以上のアクリレート、3官能以上のメタクリレートが好ましい。これは、ハードコート層の硬度を優れたものにすることができるからである。他の反応性希釈剤としては、例えば、ブタンジオールグリセリンエーテルジアクリレート、イソシアヌル酸のアクリレート、イソシアヌル酸のメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(無機成分)
有機無機複合材料は、電離放射線硬化型樹脂等の有機成分に加えて、無機成分を含有するものである。無機成分としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機酸化物の微粒子ないし微粉末があげられる。これらの中でも、ハードコート層の屈折率制御の観点から、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウムの微粒子が好ましく、特に酸化ケイ素が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機成分のメジアン径の値は光学調整層の厚みの値より小さいことが好ましい。有機無機複合材料により光学調整層を形成すると、比較的サイズの小さい突起状の外観不良が生じる場合がある。これは、無機成分により形成された光学調整層の表面凹凸が引き起こしていると考えられる。従って、無機成分のメジアン径の値を前記光学調整層の厚みの値より小さくし、無機成分に起因する表面凹凸を抑制して光散乱を抑制することが好ましい。
無機成分の具体的なメジアン径としては、50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。このように、ナノ粒子の最頻粒子径が小さければ、上述のような可視光の散乱が生じ難くなるとともに、有機無機複合材料中の有機成分とナノ粒子の屈折率が異なる場合であっても、光学調整層のヘイズが大幅に増大することが抑制される。なお、無機成分のメジアン径の下限は小さいほど好ましいが、凝集を防止して分散性を良好にする観点から、5nm以上であることが好ましい。
なお、本明細書において、「メジアン径」とは、粒子分布の累積度数が50%を示す粒径(d50)をいい、無機成分のメジアン径は、試料を希釈液で固形分濃度1%まで希釈し、動的光散乱式粒径分布測定装置(堀場製作所製、「LB−500」)で粒度分布を測定することによって求める。希釈液は無機成分の種類や、無機成分の表面修飾の種類により適宜選択される。
無機酸化物ナノ粒子は、重合性不飽和基を含む有機化合物により表面修飾されていることが好ましい。この不飽和基が、有機無機複合材料中の有機成分と反応硬化することで、ハードコート層の硬度を向上させることができる。無機酸化物ナノ粒子を表面修飾する有機化合物中の重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基が好ましい。また、前記重合性不飽和基を含む有機化合物は、分子内にシラノール基を有する化合物あるいは加水分解によってシラノール基を生成する化合物であってもよい。また、重合性不飽和基を含む有機化合物は、光感応性基を有するものであることも好ましい。
有機無機複合材料中の無機酸化物ナノ粒子の配合量は、電離放射線硬化型樹脂等の有機成分固形分100重量部に対し、50重量部〜300重量部の範囲であることが好ましく、100重量部〜200重量部の範囲であることがより好ましい。有機無機複合材料中の無機酸化物ナノ粒子の配合量を上記範囲とすることで、光学調整層形成用の塗布液の隆起部周辺への流延を抑制して光の散乱を防止することができる。また、例えば光学調整層の屈折率を調整することも可能である。
(添加剤)
光学調整層3の形成材料には、さらに各種の添加剤を加えることもできる。添加剤としては、例えば有機無機複合材料を硬化して光学調整層を形成するための重合開始剤や、レベリング剤、顔料、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤、チクソトロピー化剤等を使用することができる。
重合開始剤としては、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N,N−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、その他、チオキサント系化合物等が使用できる。
レベリング剤としては、フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤を適宜使用することができるが、より好ましくはシリコーン系のレベリング剤であり。シリコーン系レベリング剤としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等が挙げられる。フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤の添加量は、有機無機複合材料中の有機成分の固形分と無機成分との合計100重量部に対し0.01〜5重量部の範囲内で添加することが好ましい。
透明導電層4を形成する前の基材フィルム1を含む層構造(すなわち、基材フィルム1とハードコート層2と光学調整層3とを備える層構造)の含水量は、10μg/cm以下であることが好ましく、8μg/cm以下であることがより好ましい。透明導電層4を形成する前の上記層構造の含水量を上記範囲とすることで、当該層構造に由来する水分の発生を低減し、ITO膜の結晶化をさらに促進させることができる。なお、本実施形態の層構造は、基材フィルム1とハードコート層2と光学調整層3とを含むものの、これに限定されない。例えば、透明導電性フィルム10が基材フィルム1と透明導電層4とを備える場合は、透明導電層4を形成する前の層構造は基材フィルム1単独となる。また、透明導電性フィルム10が基材フィルム1とハードコート層2と透明導電層4とを備える場合は、透明導電層4を形成する前の層構造は基材フィルム1とハードコート層3とを備える。同様に、透明導電性フィルム10が基材フィルム1と光学調整層3と透明導電層4とを備える場合は、透明導電層4を形成する前の層構造は基材フィルム1と光学調整層とを備える。層構造は、上記に列挙した層以外の他の層(易接着層等)を含んでいてもよい。言い換えると、透明導電性フィルム10から透明導電層4を除いた層構造の含水量を低減することが好ましい。
<透明導電層>
透明導電層4は、基材フィルム1の第一主面S1側に形成されている。透明導電層4は、基材フィルム1側から、第一インジウム−スズ複合酸化物膜41及び第二インジウム−スズ複合酸化物膜42をこの順で有する。インジウム−スズ複合酸化物(ITO)は、低抵抗かつ高透明性の透明導電層を形成する観点において好適に用いられる。また、インジウム−スズ複合酸化物は、可視光領域(380nm〜780nm)で透過率が高く、且つ単位面積当りの表面抵抗値が低いという特徴を有している。
本明細書中における「ITO」とは、少なくともインジウム(In)とスズ(Sn)とを含む複合酸化物であればよく、これら以外の追加成分を含んでもよい。追加成分としては、例えば、In、Sn以外の金属元素が挙げられ、具体的には、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、W、Fe、Pb、Ni、Nb、Cr、Ga、及び、これらの組み合わせが挙げられる。追加成分の含有量は特に制限されないが、3重量%以下としてよく、2重量%以下としてもよく、1重量%以下としてもよい。
第一インジウム−スズ複合酸化物膜41における酸化スズ(SnO)の含有量は、酸化スズ及び酸化インジウム(In)の合計量に対し9重量%を超え20重量%以下である。上記酸化スズの含有量は、9.5重量%以上が好ましく、10重量以上がより好ましい。一方、上記酸化スズの含有量は、19重量%以下が好ましく、18重量%以下がより好ましく、17重量%以下がさらに好ましい。
第二インジウム−スズ複合酸化物膜42における酸化スズの含有量は、酸化スズ及び酸化インジウムの合計量に対し7重量%以上9重量%以下である。上記酸化スズの含有量は、7.2重量%以上が好ましく、7.5重量以上がより好ましい。一方、上記酸化スズの含有量は、8.5重量%以下が好ましく、8重量%以下がより好ましい。
第一ITO膜41及び第二ITO膜42の酸化スズの含有量をそれぞれ上記範囲内とすることにより、主に、第一ITO膜41は低比抵抗化に寄与し、第二ITO膜42は結晶化促進に寄与することになり、2層の積層構造全体で比抵抗が小さく、加熱による結晶転化時間が短い透明導電層を形成することができる。
第一インジウム−スズ複合酸化物膜41は、前記第二インジウム−スズ複合酸化物膜42より厚いことが好ましい。低比抵抗化と結晶促進の機能分離させた2層のITO膜のうち、基材フィルム1側の高Sn含有量の第一ITO膜41が占める体積又は厚みの割合が高いほど透明導電層4の低比抵抗化には有利となるので、基材フィルム1側の第一ITO膜41の膜厚が厚い方が望ましい。
第一インジウム−スズ複合酸化物膜41の厚みの第二インジウム−スズ複合酸化物膜42の厚みに対する比が1.5以上9以下であることが好ましく、2以上6以下であることがより好ましい。厚み比率を前記下限値以上とすることで透明導電層の低比抵抗化を好適に図ることができ、前記上限値以下とすることでさらなる結晶化促進を図ることができる。
第一インジウム−スズ複合酸化物膜41の厚み及び第二インジウム−スズ複合酸化物膜42の厚みはそれぞれ上述の厚みの関係を満たすように設定することが好ましい。具体的には、第一インジウム−スズ複合酸化物膜41の厚みとしては、10nm以上45nm以下が好ましく、15nm以上40以下がより好ましい。第二インジウム−スズ複合酸化物膜42の厚みとしては、2nm以上30nm以下が好ましく、3nm以上20以下がより好ましい。
透明導電層の厚みは70μm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、20nm以上45nm以下がさらに好ましく、30nm以上40nm以下が特に好ましい。これにより低比抵抗化とともに光学特性を向上させることができる。
透明導電層4は、上述のように、互いに酸化スズの含有量が異なる2層のインジウム−スズ複合酸化物膜が積層された構造を有しているものの、さらなるITO膜を形成して3層構造としてもよい。
透明導電層4は結晶質であってもよく、非晶質であってもよい。例えば、透明導電層としてスパッタリング法によってITO膜が形成される場合、基材フィルムの耐熱性による制約があるため、高い温度でスパッタ成膜を行うことができない。そのため、成膜直後の透明導電層は非晶質膜(一部が結晶化している場合もある)となっている場合が多い。このような非晶質の透明導電層は結晶質のもの比して透過率が低く、加湿熱試験後の抵抗変化が大きい等の問題を生じる場合がある。かかる観点からは、一旦非晶質の透明導電層を形成した後、大気中の酸素存在下で加熱処理(アニール処理)することにより、結晶膜へ転換させてもよい。透明導電層を結晶化することにより、透明性が向上し、低抵抗化が図られ、加湿熱信頼性が向上するなどの利点がもたらされる。
「結晶質」の定義については、透明樹脂フィルム上に透明導電層が形成された透明導電性フィルムを、20℃、濃度5重量%の塩酸に15分間浸漬した後、水洗・乾燥し、15mm間の端子間抵抗をテスタにて測定を行い、端子間抵抗が10kΩを超えない場合、ITO膜の結晶質への転化が完了したものとする。
非晶質の透明導電層の結晶化のための加熱時間は適宜設定できるが、産業用途での生産性を考慮する場合、実質的に10分以上150分以下であることが好ましく、10分以上90分以下が好ましく、10分以上60分以下がより好ましく、10分以上30分以下がさらに好ましい。本実施形態に係る透明導電性フィルム10では、水分等のガス発生量が抑制された基材フィルム1を採用しつつ、酸化スズ量が異なる2層のITO膜を形成することで、生産性を担保しつつ結晶化を短時間で完了させることができる。
非晶質の透明導電層の結晶化のための加熱温度は110℃以上180℃以下が好ましいく、110℃以上150℃以下がより好ましく、110℃以上140℃以下がさらに好ましい。基材の形成材料がシクロオレフィン系ポリマーである場合、上記加熱温度はシクロオレフィン系ポリマーのガラス転移温度以下であって、かつ上記温度範囲内の温度が好ましい。該範囲に設定することで,基材フィルムの耐熱性に起因する不具合を抑制しつつ透明導電層の結晶化を完了させることができる。
透明導電層4の表面抵抗値は、好ましくは100Ω/□以下であり、より好ましくは90Ω/□以下であり、さらに好ましくは80Ω/□以下である。このような表面抵抗値の小さい透明導電性フィルムは、例えば、スパッタリング法又は真空蒸着法により、インジウム−スズ系複合酸化物の非晶質層を基材フィルム1上に形成した後、上記加熱時間及び加熱温度にて加熱処理して、非晶質の透明導電層を結晶質に転化させることにより得られる。この転化させる手段は、特に限定されないが空気循環式オーブンやIRヒーターなどが用いられる。
また、透明導電層4は、エッチング等によりパターン化してもよい。例えば、静電容量方式のタッチパネルやマトリックス式の抵抗膜方式のタッチパネルに用いられる透明導電性フィルムにおいては、透明導電層がストライプ状にパターン化されることが好ましい。なお、エッチングにより透明導電層をパターン化する場合、先に透明導電層の結晶化を行うと、エッチングによるパターン化が困難となる場合がある。そのため、透明導電層のアニール処理は、透明導電層をパターン化した後に行うことが好ましい。
透明導電性フィルム10の透過率は、表示モジュールに要求される光学特性を考慮して適宜設定可能であるものの、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
透明導電性フィルムのヘイズは、要求される透明性を確保可能であれば特に限定されないものの、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましい。なお、ヘイズの下限は0%が好ましいものの、0.3%以上であってもよい。
<透明導電性フィルムの用途>
透明導電性フィルムの用途は特に限定されず、大型ディスプレイや高感度タッチパネル、ノイズカット機能付きタッチパネルに対応可能な低比抵抗で、かつ量産性に優れた透明導電性フィルムとして用いることができる。以下、透明導電性フィルムをタッチパネルに組み込む場合について説明する。
(タッチパネル)
透明導電性フィルム10は、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式などのタッチパネルに好適に適用できる。光学調整層の形成等による光学設計を行うことにより、投影型静電容量方式のタッチパネルや、多点入力が可能な抵抗膜方式のタッチパネルのように、所定形状にパターン化された透明導電層を備えるタッチパネルに好適に用いられる。
タッチパネルの形成に際しては、透明導電性フィルムの一方又は両方の主面に透明な粘着剤層を介して、ガラスや高分子フィルム等の透明基体を貼り合わせることができる。透明基体は、1枚の基体フィルムからなっていてもよく、2枚以上の基体フィルムの積層体(例えば透明な粘着剤層を介して積層したもの)であってもよい。また、透明導電性フィルムに貼り合わせる透明基体の外表面にハードコート層を設けることもできる。
透明導電性フィルムと基材との貼り合わせに用いられる粘着剤層としては、透明性を有するものであれば特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性及び接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点からは、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
上記の本発明にかかる透明導電性フィルムを、タッチパネルの形成に用いた場合、タッチパネル形成時のハンドリング性に優れる。そのため、透明性及び視認性に優れたタッチパネルを生産性高く製造することが可能である。
以下、本発明に関して実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例中、特に示さない限り「部」とあるのは「重量部」を意味する。
<実施例1>
以下の手順にて、実施例1の透明導電性フィルムを作製した。
(透明導電性フィルムの作製)
シクロオレフィン系ポリマーを主成分とする厚さ100μmの長尺基材フィルム(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノアZF−16」、含水量0.2μg/cm)の両面に、紫外線硬化性樹脂(DIC社製、「ユニディックRS29−120」)を酢酸エチルで希釈した樹脂組成物をグラビアコーターを用いて乾燥後の厚みが1.0μm(1000nm)となるように塗布し、80℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて、積算光量250mJ/cmの紫外線を照射することで、ハードコート層を形成した。
次に、一方のハードコート層の表面に、光学調整層形成のために紫外線硬化性樹脂47質量部、酸化ジルコニア粒子(メジアン径40nm)57質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を含有した光学調整組成物(JSR社製、「オプスターZ7414」、固形分12質量%)をグラビアコーターを用いて塗布し、60℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて、積算光量250mJ/cmの紫外線を照射して硬化処理を施すことで屈折率1.70、厚さ80nmの光学調整層を形成した。
その後、上記ハードコート層及び光学調整層が形成された基材フィルムをスパッタ装置に投入し、光学調整層の表面に透明導電層として2層のインジウム−スズ複合酸化物膜を形成した。スパッタはアルゴンガス98%と酸素2%とからなる0.4Paの雰囲気中で行った。ターゲットとして酸化インジウム90重量%−酸化スズ10重量%からなる焼結体を用いて第一インジウム−スズ複合酸化物膜をスパッタ成膜し、続いて、酸化インジウム92.5重量%−酸化スズ7.5重量%からなる焼結体を用いて第二インジウム−スズ複合酸化物膜をスパッタ成膜した。これにより、SnO比率の異なる2つのインジウム−スズ複合酸化物膜を形成した。第一インジウム−スズ複合酸化物膜の厚みを30nm、第二インジウム−スズ複合酸化物膜の厚みを8nm、全体膜厚を38nmとした。非晶質の透明導電層を積層したフィルムを140℃のオーブン中で30分加熱して、透明導電層を結晶化させることで透明導電性フィルムを作製した。
<実施例2及び比較例1〜5>
第一インジウム−スズ複合酸化物膜及び第二インジウム−スズ複合酸化物膜における酸化スズ含有量及び厚み、基材フィルムの形成材料、ハードコート層及び光学調整層の各厚みを表1に示す内容としたこと以外は、実施例1と同様に透明導電性フィルムを作製した。なお、比較例4では、基材フィルムとして、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂社製、品名「ダイアホイル」)を用いた。
[評価]
実施例1〜2及び比較例1〜5で得られたそれぞれの透明導電性フィルムについて、下記の評価を行った。各評価結果を表1に示す。
(各層の厚み)
ハードコート層、光学調整層の厚みは、大塚電子(株)製の瞬間マルチ測光システムであるMCPD2000(大塚電子社製)を用い、干渉スペクトルよりの波形を基礎に算出した。インジウム−スズ複合酸化物膜(ITO膜)の厚みは、断面切削した成膜面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し(1,000,000倍)、ITO膜を測長することで求めた。
(透明導電層を形成する前の層構造の含水量)
透明導電層を形成する前の層構造(基材フィルム、ハードコート層及び光学調整層の積層体)の含水量は、カールフィッシャー法(三菱ケミカルアナリテック社製の水分計「CA−200」)により測定した。加熱温度は150℃とした。
(表面抵抗及び比抵抗)
透明導電層の表面抵抗(Ω/□)をJIS K7194(1994年)に準じて四端子法により測定した。上記各層の厚みの測定にて求めた透明導電層の厚みと前記表面抵抗から比抵抗を算出した。
(結晶化の評価(結晶化時間))
結晶化処理前の透明導電性フィルムを、140℃の熱風オーブンで加熱して結晶化処理を行い、20℃、濃度5重量%の塩酸に15分間浸漬した後、水洗・乾燥し、15mm間の端子間抵抗をテスタにて測定した。塩酸への浸漬・水洗・乾燥後に、15mm間の端子間抵抗が10kΩを超えない場合、ITO膜の結晶化が完了したものとした。また、加熱時間15分ごとに上記測定を実施し、結晶化完了が確認できた時間を結晶化時間として評価した。
(透過率)
作製した透明導電性フィルムの両面に厚み25μmの透明粘着剤(日東電工製、型番No.7)を介して透明フィルム(日本ゼオン製、「ゼオノアZF−14」)を貼り合せた。この貼合フィルムを分光光度計(村上色彩製、型番Dot−3)で測定し、透過率を測定した。
Figure 0006953204
実施例1〜2の透明導電性フィルムでは、比抵抗及び表面抵抗が低減されており、かつ結晶化時間が短くなっていた。また、透過率も高く光学特性にも優れていた。比較例1、2では、第一ITO膜の酸化スズ量が多かったことから、結晶化が進行しなかった。それに伴い、比抵抗及び表面抵抗ともに高い値となった。比較例3では、第二ITO膜の酸化スズ量が少なかったことから、比抵抗及び表面抵抗が高い値となった。なお、実施例1,2と実施例3とを比較すると、実施例3では比抵抗及び表面抵抗がわずかに高い値となり、また結晶化時間も若干長くなっていた。これはハードコート層及び光学調整層の厚みが大きくなり、これらから発生したガス(水分等)がITO膜の結晶化に影響したことが原因と推察される。従って、透明導電層を形成する前の層構造の含水量は10μm/cm以下が好ましいといえる。
1 基材フィルム
2、2’ ハードコート層
3 光学調整層
4 透明導電層
41 第一インジウム−スズ複合酸化物膜
42 第二インジウム−スズ複合酸化物膜

Claims (10)

  1. 基材フィルムと、
    前記基材フィルムの少なくとも一方の面側に形成された透明導電層と
    を備え、
    前記基材フィルムは、極性基を含まないポリマーを主成分とし、
    前記極性基を含まないポリマーがシクロオレフィン系ポリマーであり、
    前記透明導電層を形成する前の前記基材フィルムを含む層構造の含水量が10μg/cm 以下であり、
    前記透明導電層は、前記基材フィルム側から、第一インジウム−スズ複合酸化物膜及び第二インジウム−スズ複合酸化物膜をこの順で有し、
    前記第一インジウム−スズ複合酸化物膜における酸化スズの含有量が、酸化スズ及び酸化インジウムの合計量に対し9重量%を超え20重量%以下であり、
    前記第二インジウム−スズ複合酸化物膜における酸化スズの含有量が、酸化スズ及び酸化インジウムの合計量に対し7重量%以上9重量%以下である透明導電性フィルム。
  2. 前記第一インジウム−スズ複合酸化物膜は、前記第二インジウム−スズ複合酸化物膜より厚い請求項1に記載の透明導電性フィルム。
  3. 前記第一インジウム−スズ複合酸化物膜の厚みの前記第二インジウム−スズ複合酸化物膜の厚みに対する比が1.5以上9以下である請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム。
  4. 前記透明導電層の厚みが70nm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
  5. 前記基材フィルムと前記透明導電層との間、及び前記基材フィルムの他方の面側の少なくとも一方にハードコート層を備える請求項1〜のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
  6. 前記ハードコート層の厚みが3μm以下である請求項に記載の透明導電性フィルム。
  7. 前記基材フィルムと前記透明導電層との間に光学調整層を備える請求項1〜のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
  8. 前光学調整層の厚みが200nm以下である請求項に記載の透明導電性フィルム。
  9. 前記基材フィルムと、
    ハードコート層と
    光学調整層と
    前記透明導電層と
    をこの順で備える請求項1〜のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムを備えるタッチパネル。
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