JP6858503B2 - 透明導電性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、透明導電性フィルムに関する。
基材フィルム上に透明導電性薄膜が形成された透明導電性フィルムは、近年、携帯電話や携帯ゲーム機器、タブレットPCと呼ばれる電子機器等へのタッチパネルの搭載率が上昇しており透明導電性フィルムの需要が急速に拡大している。
透明導電性フィルムの生産や加工を行う際には、生産性やハンドリング性の観点から長尺シートをロール状に巻回した巻回体を用いるロール・トゥ・ロール方式が採用されることが多い。しかしながら、ロール・トゥ・ロール方式では重なり合うフィルム同士が密着して剥がれにくくなり(いわゆるブロッキング)、場合によってはフィルムに破断やキズが発生して生産性が低下するおそれがある。
これに対し、フィルムを構成する層中への粒子の添加により凹凸を形成してブロッキング防止性を確保しようとする技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許第4673488号
ところで、近年、タッチパネル付きディスプレイ製品の市場が拡大されている中で、従来の平板状のディスプレイから曲面状や折り畳み可能なディスプレイへと用途展開が進められている。例えば、折り畳み可能なディスプレイでは、折り畳んだ際のコンパクトさと、開いた際の見開きでの大画面化との両方を追求することができるとして技術開発が行われている。
しかしながら、ブロッキング防止性を付与した透明導電性フィルムを折り畳み用途に適用することを想定し繰り返し屈曲試験(例えば、1000回以上の屈曲)を行うと、透明導電層にクラックが生じて透明導電層の抵抗値が上昇し、透明導電性フィルムの機能障害に繋がる場合があることが判明している。
上記観点に鑑み、本発明は、ブロッキング防止性及び耐屈曲性を有する透明導電性フィルムを提供することを目的とする。
本願発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、透明導電層のクラックは、ブロッキング防止性を付与するために形成した凹凸が起点となって微細な傷からクラックへと進展しているのではないかとの知見を得た。この知見に基づき本願発明者らがさらに検討した結果、下記構成を採用することにより、前記目的が達成されることを見出し、本発明にいたった。
すなわち、本発明は、可撓性基材フィルムと、
塗工膜であるハードコート層と、
透明導電層と
をこの順で備える透明導電性フィルムであって、
前記可撓性基材フィルムの厚みは0.1μm以上40μm以下であり、
前記透明導電層の表面の最大断面高さRt(μm)が以下の関係を満たす透明導電性フィルムに関する。
0.01≦|Rt(5)−Rt(50)|≦0.35
(式中、Rt(5)は倍率5倍で測定した際の最大断面高さであり、Rt(50)は倍率50倍で測定した際の最大断面高さである。)
当該透明導電性フィルムでは、透明導電層の表面を倍率5倍で測定した際の最大断面高さRt(5)と、倍率50倍で測定した際の最大断面高さRt(50)との差の絶対値を所定範囲としているので、ブロッキング防止性と耐屈曲性とを発揮することができる。この理由はいかなる理論にも束縛されないものの、以下のように推察される。Rt(5)は、ブロッキング防止性を付与するための粒子等に起因する比較的広視野での凹凸に相関し、Rt(50)は、透明導電層の結晶転化等に影響する比較的挟視野での凹凸に相関する。広視野でのRt(5)と挟視野でのRt(50)との差の絶対値が小さいということは、広視野でも挟視野でも両者が同程度の値を有することを意味する。言い換えると、透明導電層の表面は概して一様な凹凸状態を有しており、局所的に過大な凹凸が存在しないこと、さらにいうと表面一様性の高いことを表わしている。当該透明導電性フィルムでは、Rt(5)とRt(50)との差の絶対値を小さくし、繰り返し屈曲試験における透明導電層のクラックの起点となり得る過大な凹凸がない状態(表面一様性の高い状態)としているので、優れた耐屈曲性を発揮することができる。
一方で、広視野でのRt(5)と挟視野でのRt(50)との差の絶対値を所定値以上とし、すなわち広視野及び挟視野において両者が完全に一致せずにある程度の差を有するようにしているので、透明導電層の表面は緩やかな凹凸状態を有することになり、その結果、透明導電性フィルムは良好なブロッキング防止性を発揮することができる。
Rt(5)とRt(50)との差の絶対値が上記上限値を超えると、局所的に過大な凹凸が存在することになり、この凹凸が繰り返し屈曲試験において透明導電層のクラックの起点となって透明導電層にクラックを生じさせ、抵抗値の増大を招来することになる。これに対し、Rt(5)とRt(50)との差の絶対値が上記下限値を下回ると、透明導電層の表面が起伏の乏しい状態となり、ブロッキング防止性が低下するおそれがある。
当該透明導電性フィルムでは、塗工膜であるハードコート層を採用しているので、塗工形成の際に局所的に過大な凹凸を埋めて表面一様性を高めることができ、透明導電性フィルムの耐屈曲性を高めることができる。
当該透明導電性フィルムでは、前記可撓性基材フィルムの厚みを40μm以下として十分な柔軟性及び可撓性を付与しているので、優れた耐屈曲性を発揮することができる。また、可撓性基材フィルムの厚みを0.1μm以上としているのでハンドリング性を確保することができる。
前記ハードコート層の厚みが、0.5μm以上3μm以下であることが好ましい。塗工膜であるハードコート層の厚みを上記範囲内とすることで、透明導電層の表面一様性をより高めることができ、透明導電性フィルムの耐屈曲性をより高めることができる。
前記Rt(5)が0.3μm以上1μm以下であることが好ましい。Rt(5)が当該範囲内にあることで、ブロッキング防止性及び耐屈曲性をより高いレベルで発揮することができる。
当該透明導電性フィルムは、透明導電層の表面一様性や密着性、フィルム全体での反射特性等の向上を目的として、前記ハードコート層と前記透明導電層との間に光学調整層を備えていてもよい。
前記光学調整層は、ナノ微粒子を含むことが好ましい。これにより、光学調整層の光学特性の制御が容易となる。また、光学調整層の形成材料が適度な粘度を有するようになり、光学調整層の下地層(主にハードコート層)の表面凹凸を広視野及び挟視野でも均すことができ、Rt(5)とRt(50)との差の絶対値を好適に制御することができる。
前記ナノ微粒子の配合量は、前記光学調整層を形成する有機樹脂成分100重量部に対し25〜80重量部であることが好ましい。これにより、下地層の表面凹凸の均し作用をより好適に発揮することができ、透明導電層の表面一様性をより向上させることができる。
前記可撓性基材フィルムは、フィラーを含んでいてもよい。このようにして可撓性基材フィルムに表面凹凸を付与することでも、透明導電性フィルムのブロッキング防止性を発揮させることができる。
当該透明導電性フィルムは、折り畳み可能なタッチパネルに好適に用いられる。
本発明の一実施形態に係る透明導電性フィルムの模式的断面図である。 耐屈曲性試験の手順を模式的に示す説明図である。 耐屈曲性試験の手順を模式的に示す説明図である。 耐屈曲性試験の手順を模式的に示す説明図である。
本発明の実施の形態について、図を参照しながら以下に説明する。なお、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にする為に拡大又は縮小等して図示した部分がある。
《第1実施形態》
(透明導電性フィルム)
図1は、本発明の一実施形態に係る透明導電性フィルムを示す断面模式図である。透明導電性フィルム10は、可撓性基材フィルム1と、ハードコート層2と、透明導電層4とをこの順で備える。本実施形態では、透明導電性フィルム10は、ハードコート層2と透明導電層4との間に光学調整層3をさらに備える。
<可撓性基材フィルム>
可撓性基材フィルム1としては、特に制限されないが、透明性を有する各種のプラスチックフィルムが用いられる。たとえば、その材料として、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂などのポリシクロオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂等があげられる。この中で特に好ましいのは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂である。
可撓性基材フィルム1の厚みは0.1μm以上であり、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。一方、可撓性基材フィルム1の厚みは40μm以下であり、35μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。可撓性基材フィルム1の厚みが上記下限値未満であると、可撓性基材フィルム1の機械的強度が不足し、基材フィルムをロール状にして透明導電層4を連続的に形成する操作が困難になる場合がある。一方、厚みが上記上限値を超えると、透明導電性フィルム10の耐屈曲性の向上を図れない場合がある。
可撓性基材フィルム1は、フィラーを含んでいてもよい。可撓性基材フィルム1にフィラーを配合することにより、可撓性基材フィルム1の表面に凹凸を形成することができ、この凹凸に倣って透明導電性層4の表面にも凹凸が形成されることになり、透明導電性フィルム10にブロッキング防止性を好適に付与することができる。
上記フィラーとしては、各種金属酸化物、ガラス、プラスチックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム等の無機系粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系粒子やシリコーン系粒子などがあげられる。前記粒子は、1種または2種以上を適宜に選択して用いることができるが、有機系粒子が好ましい。有機系粒子としては、屈折率の観点から、アクリル系樹脂が好ましい。
可撓性基材フィルム中でのフィラーの配合量は、40重量%以下が好ましい。また、フィラーの最頻粒子径は、2.0μm以下が好ましい。このような配合量や平均粒径により、透明導電層の表面一様性を制御してブロッキング防止性及び耐屈曲性を効率的に発揮させることができる。なお、本明細書において、「最頻粒子径」とは、粒子分布の極大値を示す粒径をいう。フィラーの最頻粒子径は、フロー式粒子像分析装置(Sysmex社製、製品名「FPTA−3000S」)を用いて、所定条件下(Sheath液:酢酸エチル、測定モード:HPF測定、測定方式:トータルカウント)で測定することによって求められる。
可撓性基材フィルムは、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、この上に設けられるハードコート層2の可撓性基材フィルム1に対する密着性を向上させるようにしてもよい。また、ハードコート層を設ける前に、必要に応じて、可撓性基材フィルム表面を溶剤洗浄や超音波洗浄などにより除塵、清浄化してもよい。
(ハードコート層)
可撓性基材フィルム1上には、塗工膜であるハードコート層2が設けられる。有機成分等を含む塗工液を塗布してハードコート層を形成する際に局所的に過大な凹凸が埋められ、これにより透明導電層の表面一様性を高めることができ、透明導電性フィルムの耐屈曲性を高めることができる。
前記ハードコート層の厚みは特に限定されないものの、0.5μm以上3μm以下であることが好ましく、0.8μm以上2μm以下であることがより好ましい。塗工膜であるハードコート層の厚みを上記範囲内とすることで、透明導電層の表面一様性をより高めることができ、透明導電性フィルムの耐屈曲性をより高めることができる。ハードコート層が厚過ぎると、ハードコート層形成後の可撓性基材フィルムにカールが生じたり、ヘイズが大きくなったりする傾向がある。一方、ハードコート層が薄過ぎると、表面凹凸の均し作用が低減して表面一様性が低下したり、ハードコート層が十分な硬度を有さず、ハードコート層に傷がつきやすくなったりする場合がある。
ハードコート層の形成材料は、有機成分を含むことが好ましい。また、形成材料として無機材料を含むことが好ましい。
(有機成分)
有機成分としては特に限定されず、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等が用いられる。加工速度の早さや可撓性基材フィルム1への熱ダメージを抑制する観点からは、紫外線硬化型樹脂を用いることが特に好ましい。
このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、光(紫外線)により硬化するアクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物を用いることができる。硬化型化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物のアクリレートやメタクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機成分に用いられる紫外線硬化型樹脂として、上記各成分に加えて反応性希釈剤を有していてもよい。反応性希釈剤としては、例えば、アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する反応性希釈剤を用いることができる。反応性希釈剤の具体例としては、例えば特開2008−88309号公報に記載の反応性希釈剤を用いることができ、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能アクリレート、多官能メタクリレート等を含む。反応性希釈剤としては、3官能以上のアクリレート、3官能以上のメタクリレートが好ましい。これは、ハードコート層の硬度を優れたものにすることができるからである。他の反応性希釈剤としては、例えば、ブタンジオールグリセリンエーテルジアクリレート、イソシアヌル酸のアクリレート、イソシアヌル酸のメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(無機成分)
ハードコート層の形成材料は、電離放射線硬化型樹脂等の有機成分に加えて、無機成分を含有することが好ましい。無機成分としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機酸化物の微粒子ないし微粉末があげられる。これらの中でも、ハードコート層の屈折率制御の観点から、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウムの微粒子が好ましく、特に酸化ケイ素が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機成分は、ハードコート層の着色防止及び透明性の点等から、最頻粒子径が1nm〜100nmのナノ粒子であることが好ましく、5nm〜80nmの範囲のナノ粒子であることがより好ましく、10nm〜60nmの範囲のナノ粒子であることがさらに好ましい。このように、ナノ粒子の最頻粒子径が小さければ、可視光の散乱が生じ難く、有機成分とナノ粒子の屈折率が異なる場合であっても、ハードコート層のヘイズが大幅に増大することが抑制される。
上記ナノ粒子は、重合性不飽和基を含む有機化合物により表面修飾されていることが好ましい。この不飽和基が、上記有機成分と反応硬化することで、ハードコート層の硬度を向上させることができる。ナノ粒子を表面修飾する有機化合物中の重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基が好ましい。また、前記重合性不飽和基を含む有機化合物は、分子内にシラノール基を有する化合物あるいは加水分解によってシラノール基を生成する化合物であってもよい。また、重合性不飽和基を含む有機化合物は、光感応性基を有するものであることも好ましい。
ナノ粒子の配合量は、電離放射線硬化型樹脂等の有機成分固形分100重量部に対し、50重量部〜300重量部の範囲であることが好ましく、100重量部〜200重量部の範囲であることがより好ましい。ナノ粒子の配合量を上記範囲とすることで、表面凹凸の均し作用を好適に発揮することができる。また、例えばハードコート層の屈折率を調整することも可能である。
ハードコート層2は、上記ナノ粒子に加え、又はナノ粒子に代えて、表面凹凸や光学特性の制御等を目的として、ナノ粒子より粒径の大きい粗粒子を含んでいてもよい。粗粒子としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスチックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム等の無機系粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系粒子やシリコーン系粒子などがあげられる。前記粗粒子は、1種または2種以上を適宜に選択して用いることができる。
粗粒子の最頻粒子径は、ハードコート層の厚みとの関係を考慮する必要があるものの、0.5μm〜3.0μmの範囲であることが好ましく、1.0μm〜2.5μmであることがより好ましく、1.5μm〜2.0μmであることがさらに好ましい。ハードコート層の粗粒子の最頻粒子径が前記範囲より大きくなると、ハードコート層にカールが生じる傾向がある。一方、粗粒子の最頻粒子径が前記範囲より小さいと、ハードコート層に十分な硬度を付与することができないことがある。
粗粒子3の形状は特に制限されず、例えば、ビーズ状の略球形であってもよく、粉末等の不定形のものであってもよいが、略球形のものが好ましく、より好ましくは、アスペクト比が1.5以下の略球形の粒子であり、最も好ましくは球形の粒子である。アスペクト比が1.5を超える粒子や多角形の粒子を用いた場合、ハードコートフィルム表面に粗大な凹凸が形成され易くなり、耐屈曲性の向上が図れなくなる場合がある。
また、本実施形態において、粗粒子は、単一の粒径分布を有する単分散微粒子であることが好ましい。粗粒子の粒径分布を単一とする観点においては、粗粒子を1種類のみ用いることが好ましい。粗粒子が単一の粒径分布を有することによって、ハードコート層の表面形状を所定形状となるように制御することが容易となる。なお、粗粒子が単分散微粒子である場合、粗粒子の粒径をそのまま最頻粒子径とみなすことができる。
ハードコート層2中の粗粒子の配合割合は特に限定されず、有機成分の比重やハードコート層の厚み等の点を考慮しつつ、有機成分100重量部に対して、0.01重量部〜3重量部の範囲から適宜設定することができる。
なお、上記のナノ粒子は、粒径が小さいために、ハードコート層2の表面凹凸の形成に直接的に寄与するものではなく、ハードコート層形成用組成物として作用する。そのため、ハードコート層2におけるナノ粒子は、粗粒子には含まれない。
(添加剤)
ハードコート層2の形成材料には、有機成分、無機成分及び粗粒子に加えて、さらに各種の添加剤を加えることもできる。添加剤としては、例えば有機成分を硬化してハードコート層を形成するための重合開始剤や、レベリング剤、顔料、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤、チクソトロピー化剤等を使用することができる。
重合開始剤としては、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N,N−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、その他、チオキサント系化合物等が使用できる。
レベリング剤としては、フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤を適宜使用することができるが、より好ましくはシリコーン系のレベリング剤であり。シリコーン系レベリング剤としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン等が挙げられる。フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤の添加量は、有機成分の固形分と無機成分との合計100重量部に対し0.01〜5重量部の範囲内で添加することが好ましい。
各成分を分散させる溶媒としては、分散状態に影響を与えず、有機成分が溶解するものであれば特に制限はない。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類やトルエン等が挙げられる。これらの溶媒は単独でも、又任意の割合で混合して用いても良い。
ハードコート層2の形成には、有機成分や無機成分等を配合した塗工液を可撓性基材フィルム1上に塗工し、乾燥、硬化処理を行う方法を好適に採用することができる。塗工方法としては特に限定されず、例えば、公知のファンテンコート、ダイコート、スピンコート、スプレーコート、グラビアコート、ロールコート、バーコート等が例示できる。
硬化処理としては、例えば、エネルギー線の照射による方法等が例示できる。エネルギー線源としては、例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、窒素レーザー、電子線加速装置、放射性元素などの線源が使用される。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mJ/cmが好ましい。照射量が50mJ/cm未満の場合は、硬化が不十分となるため、ハードコート層2の硬度が低下する。また、5000mJ/cmを超えると、ハードコート層2が着色して透明性が低下する。
(光学調整層)
本実施形態の透明導電性フィルム10においては、ハードコート層2と透明導電層4との間に、透明導電層の表面一様性や密着性の向上、反射特性の制御等を目的として光学調整層3が設けられている。光学調整層は1層でもよく、2層あるいはそれ以上設けてもよい。光学調整層は、無機物、有機物、あるいは無機物と有機物との混合物により形成される。光学調整層を形成する材料としては、NaF、NaAlF、LiF、MgF、CaF2、SiO、LaF、CeF、Al、TiO、Ta、ZrO、ZnO、ZnS、SiO(xは1.5以上2未満)などの無機物や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマーなどの有機樹脂成分、その他の有機物が挙げられる。特に、有機物として、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用することが好ましい。光学調整層は、上記の材料を用いて、グラビアコート法やバーコート法などの塗工法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などにより形成できる。
光学調整層3の厚みは、10nm〜200nmであることが好ましく、20nm〜150nmであることがより好ましく、20nm〜130nmであることがさらに好ましい。光学調整層の厚みが過度に小さいと透明導電層の表面一様性の向上に寄与することができなかったり、連続被膜となりにくかったりする。また、光学調整層の厚みが過度に大きいと、透明導電性フィルムの透明性が低下したり、光学調整層にクラックが生じ易くなったりする傾向がある。
光学調整層3の形成材料が上記有機樹脂成分を含む場合、平均粒径が1nm〜500nmのナノ微粒子を有していてもよい。光学調整層に用いられるナノ微粒子の平均粒径は、上述のように1nm〜500nmの範囲であることが好ましく、5nm〜300nmであることがより好ましい。
光学調整層の形成材料中のナノ微粒子の含有量は、特に限定されないものの、有機樹脂成分100重量部に対し25〜80重量部であることが好ましく、30〜70重量部であることがより好ましい。これにより、下地層の表面凹凸の均し作用をより好適に発揮することができ、透明導電層の表面一様性をより向上させることができる。また、光学調整層中にナノ微粒子を含有することによって、光学調整層自体の屈折率の調整を容易に行うことができる。
ナノ微粒子を形成する無機酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、中空ナノシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム等の微粒子があげられる。これらの中でも、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウムの微粒子が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光学調整層3の形成材料として、上述の成分のほか、ハードコート層2の形成材料を好適に用いることができる。
(透明導電層)
ハードコート層2上には、透明導電層4が形成される。なお、図1に示すようにハードコート層2上に光学調整層3が形成されている場合は、光学調整層3上に透明導電層4が形成される。
透明導電層4の表面の最大断面高さRt(μm)は以下の関係を満たす。
0.01≦|Rt(5)−Rt(50)|≦0.35
(式中、Rt(5)は倍率5倍で測定した際の最大断面高さであり、Rt(50)は倍率50倍で測定した際の最大断面高さである。)
透明導電性フィルム10では、Rt(5)とRt(50)との差の絶対値を小さくし、繰り返し屈曲試験における透明導電層のクラックの起点となり得る過大な凹凸がない状態、言い換えると表面一様性の高い状態としているので、優れた耐屈曲性を発揮することができる。一方で、広視野でのRt(5)と挟視野でのRt(50)との差の絶対値を所定値以上とし、すなわち広視野及び挟視野において両者が完全に一致せずにある程度の差を有するようにしているので、透明導電層4の表面は緩やかな凹凸状態を有することになり、その結果、透明導電性フィルム10は良好なブロッキング防止性を発揮することができる。
好ましくは、透明導電層4の表面の最大断面高さRt(μm)は以下の関係を満たす(式中の定義は上述のとおりである。)。
0.05≦|Rt(5)−Rt(50)|≦0.25
透明導電層4の表面凹凸を上記範囲内とすることで、ブロッキング防止性と耐屈曲性とをより高いレベルで発揮することができる。
広視野でのRt(5)は0.3μm以上1μm以下であることが好ましく、0.4μm以上0.8μm以下であることが好ましい。Rt(5)が当該範囲内にあることで、ブロッキング防止性及び耐屈曲性をより高いレベルで発揮することができる。
なお、透明導電層の表面の最大断面高さRtの制御は、可撓性基材フィルム1の表面処理、可撓性基材フィルム1へのフィラーの添加、ハードコート層2の形成材料の粘度調整、塗工膜の乾燥条件、ハードコート層2へのナノ粒子や粗粒子の添加、光学調整層へのナノ微粒子の添加、透明導電層の形成条件の調整等により適宜行うことができる。
透明導電層4の構成材料は特に限定されず、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、タングステンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の金属酸化物が好適に用いられる。当該金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子を含んでいてもよい。例えば酸化スズを含有する酸化インジウム(ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ(ATO)などが好ましく用いられる。
透明導電層4の厚み(積層構造の場合は総厚)は特に制限されないが、その表面抵抗を1×10Ω/□以下の良好な導電性を有する連続被膜とするには、厚みを10nm以上とするのが好ましい。厚みが、厚くなりすぎると透明性の低下などをきたすため、15〜35nmであることが好ましく、より好ましくは20〜30nmの範囲内である。透明導電層の厚みが15nm未満であると膜表面の電気抵抗が高くなり、かつ連続被膜になり難くなる。また、透明導電層の厚みが35nmを超えると透明性の低下などをきたす場合がある。
透明導電層4の形成方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセスを例示できる。また、必要とする厚みに応じて適宜の方法を採用することもできる。なお、透明導電層4がスパッタリング法等のドライプロセスによって形成されれば、透明導電層4の表面は、その下地層であるハードコート層2や光学調整層3の表面の凹凸の形状をほぼ維持する。そのため、透明導電層4の表面凹凸を制御するには、下地層であるハードコート層2や光学調整層3の表面凹凸の制御が有効である。
透明導電層4は、必要に応じて、加熱アニール処理を施して結晶化することができる。透明導電層を結晶化することで、透明導電層が低抵抗化されることに加えて、透明性及び耐久性が向上する。結晶質の透明導電層の表面抵抗値は、40Ω/□〜200Ω/□が好ましく、40Ω/□〜150Ω/□がより好ましく、40Ω/□〜140Ω/□であることがさらに好ましい。
透明導電層4の構成材料としてITO(インジウム−スズ複合酸化物)が用いられる場合、該金属酸化物中の酸化スズ(SnO)含有量が、酸化スズ及び酸化インジウム(In)の合計量に対して、0.5重量%〜15重量%であることが好ましく、3〜15重量%であることが好ましく、5〜12重量%であることがより好ましく、6〜12重量%であることがさらに好ましい。酸化スズの量が少なすぎると、ITO膜の耐久性に劣る場合がある。また、酸化スズの量が多すぎると、ITO膜が結晶化され難くなり、透明性や抵抗値の安定性が十分でない場合がある。
本明細書中における“ITO”とは、少なくともインジウム(In)とスズ(Sn)とを含む複合酸化物であればよく、これら以外の追加成分を含んでもよい。追加成分としては、例えば、In、Sn以外の金属元素が挙げられ、具体的には、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、W、Fe、Pb、Ni、Nb、Cr、Ga、及び、これらの組み合わせが挙げられる。追加成分の含有量は特に制限されないが、3重量%以下としてよい。
透明導電層4は、互いにスズの存在量が異なる複数のインジウム−スズ複合酸化物層が積層された構造を有していてもよい。この場合、ITO膜は2層でも3層以上であってもよい。
透明導電層4が、可撓性基材フィルム1側から、第1のインジウム−スズ複合酸化物層及び第2のインジウム−スズ複合酸化物層がこの順で積層された2層構造を有する場合、第1のインジウム−スズ複合酸化物層における酸化スズ含有量は、酸化スズ及び酸化インジウムの合計量に対し6重量%〜15重量%であることが好ましく、6〜12重量%であることがより好ましく、6.5〜10.5重量%であることがさらに好ましい。また、第2のインジウム−スズ複合酸化物層における酸化スズ含有量は、酸化スズ及び酸化インジウムの合計量に対し0.5重量%〜5.5重量%であることが好ましく、1〜5.5重量%であることがより好ましく、1〜5重量%であることがさらに好ましい。各ITO膜のスズの量を上記範囲内とすることにより、加熱による結晶転化時間が短く、比抵抗の低い透明導電膜を作成することができる。
[他の実施形態]
上記のようにして得られた透明導電性フィルムは、そのままタッチパネルの形成に用いてもよいし、可撓性基材フィルム1の透明導電層4形成面側と反対側の面(図1中、下面)に、視認性の向上を目的とした反射防止層を設けたり、外表面の保護を目的とした背面ハードコート層を設けたりしてもよい。なお、可撓性基材フィルム上への背面ハードコート層や反射防止層等は、透明導電層の形成前、形成後のいずれにおこなうこともできる。反射防止層は、背面ハードコート層上に設けることもできる。
本実施形態の透明導電性フィルムは、各種装置の透明電極や、タッチパネルの形成に好適に用いられる。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、各例中、含有量や比率は、特記がない限りいずれも重量基準である。
<実施例1>
(ハードコート層の形成)
厚み23μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)からなる可撓性基材フィルムの片面に、ハードコート層形成用塗布液として紫外線硬化型アクリル樹脂(JSR社製、品名「KZ7503」、屈折率1.52)を乾燥後の厚さが1.0μmとなるように塗布し、80℃で3分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて、積算光量200mJ/cmの紫外線を照射することで、ハードコート層を形成した。
(光学調整層の形成)
紫外線硬化型アクリル樹脂(JSR社製、商品名「KZ7503」、屈折率1.52)100重量部に、シリカ粒子(日産化学社製、品名「PGM−ST」、平均粒径15nm)20重量部を配合し、光学調整層形成用塗布液を調製した。
可撓性基材フィルム上に形成したハードコート層の表面に光学調整層形成用塗布液を乾燥後の厚さが40nmとなるように塗布し、80℃で3分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて、積算光量200mJ/cmの紫外線を照射することで、光学調整層を形成した。
(透明導電膜の形成)
次に、Arガス80体積%およびOガス20体積%とからなる4×10−3Torrの雰囲気中で、酸化インジウムと酸化スズを90:10の重量比で有する焼結体のターゲット材料を用いて、DCマグネトロンスパッタ法により、光学調整層上に第1透明導電層を20nmの厚みで形成した(光の屈折率2.00)。この第1透明導電層上に、酸化インジウムと酸化スズを97:3の重量比で有する焼結体のターゲット材料を用いて、DCマグネトロンスパッタ法により、第2透明導電層を4nmの厚みで形成した。このようにして、インジウム−スズ複合酸化物からなる透明導電性薄膜を形成した。
その後、上記インジウム−スズ酸化物の非晶質層が形成されたPETフィルムを、ロールtoロール方式で空気循環式オーブンに投入し、150℃で90分間の加熱処理を行い、透明導電性薄膜を非晶質から結晶質に転化させ、透明導電層(ITO膜)の表面抵抗値が150Ω/□の透明導電性フィルムを作製した。
<実施例2>
実施例1において、前記光学調整層中のシリカ粒子の配合量を30重量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法で透明導電性フィルムを作製した。
<実施例3>
実施例1において、可撓性基材フィルムとして、最頻粒子径2.0μmのフィラーを25重量%含むPETフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で透明導電性フィルムを作製した。
<実施例4>
実施例1において、前記光学調整層中にシリカ粒子を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で透明導電性フィルムを作製した。
<比較例1>
実施例3において、ハードコート層を形成しなかったこと以外は、実施例3と同様の方法で透明導電性フィルムを作製した。
<比較例2>
実施例1において、PETフィルムの厚みを50μmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で透明導電性フィルムを作製した。
<比較例3>
実施例1において、PETフィルムの厚みを50μmとし、かつハードコート層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で透明導電性フィルムを作製した。
<比較例4>
実施例3において、PETフィルムの厚みを50μmとし、かつハードコート層を形成しなかったこと以外は、実施例3と同様の方法で透明導電性フィルムを作製した。
《評価》
実施例及び比較例で得られた透明導電性フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(透明導電層表面の最大断面高さRtの測定)
作製した透明導電性フィルムの透明導電層の表面について、光学式3次元表面形状測定器(Bruker社製、「Wyko−NT1100」)を用い、内部レンズ:1倍、外部(対物)レンズ:5倍の条件にて広視野形状測定(倍率5倍)を行った。同様に、内部レンズ:1倍、外部(対物)レンズ:50倍の条件にて挟視野形状測定(倍率50倍)を行った。得られた2次元プロファイル曲線から、最大断面高さRt(5)及びRt(50)を読み取った。また、これらの差の絶対値をΔRtとして求めた。
(耐屈曲性の評価)
実施例及び比較例で作製した透明導電性フィルムを10mm×150mmの大きさにカットした。次に、図2A及び2Bに示すように、カットした透明導電性フィルム10の長尺方向の両端部で、かつITO膜表面側に導通をとるための銀ペースト11(商品名:Dotite FA301C、フジクラ化成(株)製)を8μmの厚みで塗布し、室温で1日間乾燥させた。この銀ペーストは端部から5mmまでの範囲に塗布した。
このサンプル片について、屈曲試験機としてESPEC社製、「PL−1J」を用い屈曲試験(マンドレル試験)を実施した。具体的には、図2Cに示すように、まずサンプル固定板12側とITO膜とが対向するようにサンプル片をサンプル固定板12上に銀ペースト11を介して配置した。このとき透明導電性フィルム10には重さ100gの重り14により引張り荷重100gを負荷した。次に、PETフィルム表面側に直径5mmの金属棒13を沿わせ、金属棒13を屈曲中心として0°〜175°の範囲で繰り返し屈曲させた。屈曲条件は、室温環境下、屈曲直径5mm、屈曲角度が175°、屈曲速度を1回/sec、引張り荷重100gであった。
別途、サンプル片の銀ペースト11部分に導線を取り付けておき、一定電流を流すことで屈曲試験中の抵抗値変化をテスター(抵抗値測定装置)により測定した。屈曲試験の開始前の抵抗値Rと試験後(屈曲回数5000回)の抵抗値R5000とを測定した。これらより抵抗変化率としてR5000/Rを求めた。抵抗変化率(R5000/R)が1.2以下の場合を「○」、1.2を超え2以下の場合を「△」、2を超えた場合を「×」として評価した。
(ブロッキング防止性の評価)
作製した透明導電性フィルムについて透明導電層の表面に、表面が平滑なフィルム((株)日本ゼオン製、商品名「ZEONOR フィルム ZF−16」)をそれぞれ指圧にて圧着させ、その際のフィルム同士の貼り付き具合を以下の基準で目視にて確認した(検体数N=10)。
<評価基準>
○:貼りつきが起こらない。
△:一旦貼りつくが、時間が経過するとフィルムが離れる。
×:貼りついたフィルムが、元に戻らない。
Figure 0006858503
表1に示したように、実施例1〜4に係る透明導電性フィルムでは、ブロッキング防止性に優れるとともに、ΔRtが小さく、耐屈曲性にも優れる結果となった。一方、比較例1〜4では、ブロッキング防止性は良好であったものの、ΔRtが大き過ぎるか、基材フィルムの厚みが大き過ぎて、耐屈曲性が劣る結果となった。
1 可撓性基材フィルム
2 ハードコート層
3 光学調整層
4 透明導電層
10 透明導電性フィルム

Claims (6)

  1. 可撓性基材フィルムと、
    塗工膜であるハードコート層と、
    透明導電層と
    をこの順で備える透明導電性フィルムであって、
    前記可撓性基材フィルムの厚みは0.1μm以上40μm以下であり、
    前記ハードコート層の厚みが、0.5μm以上μm以下(ただし、2μmは除く。)であり、
    前記透明導電層の表面の最大断面高さRt(μm)が以下の関係
    0.01≦|Rt(5)−Rt(50)|≦0.35
    (式中、Rt(5)は倍率5倍で測定した際の最大断面高さであり、Rt(50)は倍率50倍で測定した際の最大断面高さである。)
    を満たし、
    前記Rt(5)が0.3μm以上1μm以下である透明導電性フィルム。
  2. 前記ハードコート層と前記透明導電層との間に光学調整層を備える請求項1に記載の透明導電性フィルム。
  3. 前記光学調整層は、ナノ微粒子を含む請求項2に記載の透明導電性フィルム。
  4. 前記ナノ微粒子の配合量は、前記光学調整層を形成する有機樹脂成分100重量部に対し25〜80重量部である請求項3に記載の透明導電性フィルム。
  5. 前記可撓性基材フィルムは、フィラーを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
  6. 折り畳み可能なタッチパネルに用いられる請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
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