JP4328603B2 - 電極付き樹脂基板および表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は電極付き樹脂基板およびそれを用いた表示装置に関する。
液晶表示素子の基板としては主にガラスが用いられているが、近年では、ガラス基板に代わってプラスチック基板が多用されてきている。その理由は、ガラス基板に比べて、プラスチック基板のほうが軽く、柔軟性があり割れ難く、基板の薄型化が可能であるなどの利点があるためである。しかし、プラスチック基板は、ガラス基板に比べて耐熱温度や耐溶剤性、ガスバリヤー性が劣ることに加えて、表面硬度の低下、基板の膨張・収縮等の問題がある。こういった一連の問題を解決するために、例えば特許文献1には、無機微粒子を含む硬化皮膜でプラスチック基板をカバーすることが開示されている。
図5は、特許文献1開示された液晶表示装置を模式的に示す断面図である。図5を参照しながら、特許文献1に開示された液晶表示装置用電極基板および液晶表示装置の製造工程を説明する。なお、液晶表示装置に含まれる一対の電極基板はそれぞれ同様の工程を経て製造されるので、一方の基板についてのみ説明し、他方の基板については説明を省く。また、図5中の「a」を含む参照符号が付された構成要素は、「a」を含まない参照符号が付された構成要素と実質的に同じ機能を有する。
まず、架橋構造の樹脂からなる透明な基板3の両面に、無機微粒子を含む硬化皮膜2,2’を形成する。一方の硬化皮膜2’上に、下地膜としての金属窒化物膜4、金属酸化物膜5、ITO(インジウム錫酸化物) 膜6をスパッタリングにて形成する。次いでフォトリソ工程にて、ITO膜6を各液晶表示素子単位にパターニングし、個々の液晶表示素子に対応させて、ITO膜6上に配向膜7を形成する。なお、基板によっては配向膜7を形成する前にトップコート膜(不図示)を形成する場合がある。
配向膜7に配向処理を施した後、一対の基板のうちいずれか一方の基板上にセルギャップ保持用のプラスチックビーズ8を散布する。他方の基板上には、配向膜7を囲うように形成されたシール樹脂9を印刷にて形成する。
シール樹脂9を介して2枚の電極基板を配向膜7が相対向するように貼り合せ、液晶表示用基板を作成する。この液晶表示用基板を所定の分断ラインに沿って個々の液晶表示素子単位に切り離し、シール樹脂9にて形成されたセルギャップ内に液晶材料を注入して、液晶層10を形成する。液晶注入口を封止した後、一対の偏光板1,1aを液晶表示素子の両面に貼り付ける。液晶表示素子の端子部にTAB(Tape Automated Bonding)またはFPC(Flexible Printed Circuit) 等を圧着した後、ユニットに組み込むことによって、液晶表示装置が製造される。
特開平5−323303号公報(特に請求項1、11を参照)
プラスチック基板は割れない反面、柔らかくて簡単に変位が起こるので、液晶表示装置用電極基板および液晶表示装置を製造する工程において、基板または表示装置には様々な熱履歴(基板の収縮等)や力学的変位(圧着、検査、組込み等)がかかる。したがって、従来の膜構成では、ITO配線にクラックが発生して、断線や半断線等の不良が高率で発生する等の問題があった。一方、硬化皮膜2とITO膜6との密着性を向上させるために、金属酸化物膜および金属窒化物膜を介在させることもできるが、液晶表示部の色調変化の観点から、これらの膜を十分な膜厚に形成することができない。
本発明の目的の一つは、ITO配線などの透明電極にクラックが発生するのを大幅に抑制することができる電極付き樹脂基板の提供である。
本発明の電極付き樹脂基板は、樹脂基板と、前記樹脂基板の一方面側に形成され、層内で粗密分布を有する、つまり、圧縮弾性率の分布を有する金属酸化物膜と、前記金属酸化物膜上に形成された透明電極とを有する。金属酸化物膜はSi、Al、Ti、Ta、Znから選ばれる少なくとも一種を含有していても良い。透明電極は透光性を有する導電性材料を含有する。導電性材料としては、ITO、ZnO、In−ZnOなどの様々な導電性材料が用いられ得る。
本発明の電極付き樹脂基板によれば、層内で粗密分布を有する金属酸化物膜が透明電極の下地膜となっているので、層内の粗密分布による応力緩和が可能となり、透明導電膜の成膜時や基板流動時(基板を移動または搬送する時)の印加応力を緩和することが可能となる。これにより、透明電極への印加応力が軽減され、透明電極のクラックの大幅な抑制が可能となる。
金属酸化物膜における層内での粗密分布の有無は、微小圧縮による膜面内の弾性率分布を測定することによって調べることができる。好ましい粗密分布は、最大弾性率Emaxと最小弾性率Eminとの面内弾性率比(Emax/Emin)が1.5以上2.5以下である。なお、膜面内の弾性率は、例えば島津製作所製の微小圧縮試験機を用いて測定することができる。
金属酸化物膜は表面に凹凸を有することが好ましい。表面に凹凸を有することによって、金属酸化物膜の表面積が大きくなるので、透明導電膜の密着力が大きくなり、印加応力(変移)に対する膜はがれおよびこれに伴う透明電極のクラックの抑制が可能となる。図1は、表面に凹凸を有する金属酸化物膜を模式的に示す断面図である。図1に示すように、表面の凹凸は、面内の凸部の高さと凹部の深さとの距離(表面粗さ)をtとし、凸部とこれに隣接する凸部との間隔をSとしたとき、t≧3×10-4Sが好ましく、t≧3×10-3Sがより好ましい。
金属酸化物膜は10nm以上200nm以下の厚みを有する。ITO膜を透明電極に用いる場合、一般にはITO膜の膜厚を100nm以上300nmに設定する。この範囲の膜厚を有するITO膜に対して、その屈曲または収縮による応力を緩和するのに、応力緩和層として機能する金属酸化物膜の膜厚が小さすぎると、十分な応力緩和ができずにITOクラックが発生するおそれがある。一方、金属酸化物膜の膜厚が大きすぎると、金属酸化物膜自身の屈曲性がなくなり、金属酸化物膜自身の亀裂発生および膜剥れが発生して、ITO膜についてもクラックが発生するおそれがある。
本発明の電極付き樹脂基板は、前記樹脂基板上に形成された硬化皮膜と、前記硬化皮膜および前記金属酸化物膜に挟まれ、有機物と無機物の配合比が膜厚方向に変化する成分傾斜膜とをさらに有し、前記成分傾斜膜は、前記無機物に対する前記有機物の混合比が前記硬化皮膜に近づく程に高くなる。
成分傾斜膜は、金属酸化物と有機高分子が化学的に結合し、金属酸化物と有機高分子との混合比が膜厚方向に連続的に変化したものである。成分傾斜膜は、金属酸化物が分子レベルで分散され、かつ有機高分子が溶媒に溶かされた塗液を基板上に塗布し、溶媒を乾燥させることによって形成することができる。溶媒の乾燥にともなって、有機高分子鎖の立体的配置が決定する。乾燥時の高分子鎖の運動により、有機成分が基板側(成分傾斜膜の下面側)に密集し、金属成分が金属酸化物膜側(成分傾斜膜の上面側)に密集する。
成分傾斜膜の役割は、金属酸化物膜としてTiO2 膜を用いた場合の下地膜(硬化皮膜)の分解防止である。詳細に述べると、TiO2 はその結晶構造により光触媒として作用し、有機物を分解する働きを有しているので、成分傾斜膜の無い状態では下地膜の硬化被膜が分解し、この層で膜剥離が発生するおそれがある。したがって、金属酸化物膜の作用を発揮させることができず、ITO膜にクラックが発生するおそれがある。
しかし成分傾斜膜がある場合には、TiO2 膜が成分傾斜膜の上層(無機層)の表面に接するので、金属酸化物膜としてTiO2 膜を用いた場合でも、有機物の分解は発生しない。したがって、硬化被膜の膜剥離を防ぐことができ、金属酸化物膜の作用を発揮させることができる。すなわち、ITOのクラック発生を抑制することが可能となる。
成分傾斜膜は、Si、Al、Ti、Ta、Znから選ばれる少なくとも一種を含有する金属酸化物と有機高分子化合物とが化学的に結合した複合体を有していても良い。また成分傾斜膜は50nm以上1000nm以下の厚みを有することが好ましい。ITO膜の膜厚を100nm以上300nmに設定した場合、成分傾斜膜自身はITO膜の下地膜(金属酸化物膜)のさらに下地膜であるので、成分傾斜膜の膜厚の影響はあまりない。しかし、成分傾斜膜の膜厚が1000nmを超えると、成分傾斜膜自身の剛性により、密着している金属酸化物膜の屈曲性を減少させるおそれがある。一方、成分傾斜膜中の金属酸化物と有機高分子との配合比を膜厚方向に連続的に変化させるためには、高分子鎖の立体配置が必要であるが、膜厚50nm未満では十分な成分傾斜ができなくなるおそれがある。したがって、成分傾斜膜は50nm以上1000nmの膜厚範囲が好ましい。
本発明の表示装置は、一対の電極付き基板と、前記一対の電極付き基板間に介在する表示媒体層とを有する表示装置であって、前記一対の電極付き基板のうち少なくとも一方の基板は本発明の電極付き樹脂基板である。「表示媒体層」とは、互いに対向する電極間の電位差により光透過率が変調される層、または互いに対向する電極間を流れる電流により自発光する層である。表示媒体層は、例えば液晶層、無機または有機エレクトロルミネッセンス(EL)層、発光ガス層、電気泳動層、エレクトロクロミック層などである。
本発明によれば、プラスチック基板の変位に伴うITO配線などの透明電極の変位ストレスを金属酸化物膜が緩和するので、透明電極のクラックを大幅に抑制することが可能となる。また、金属酸化物膜が酸化チタンなどの光触媒を含有する場合には、金属酸化物膜の下地に成分傾斜膜を形成することにより、下地膜の分解なしに金属酸化物膜を形成することが可能となる。したがって、下地膜の分解に起因する透明電極のクラックを大幅に抑制することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態では、表示装置として液晶表示装置を例に説明するが、本発明の表示装置は液晶表示装置に限定されず、例えばPDP(Plasma Display Panel)、有機または無機EL表示装置、エレクトロクロミック表示装置などにも適用することができる。また、以下の液晶表示装置は透過型であるが、反射型または透過反射両用型の液晶表示装置にも適用することができる。さらに、以下の実施形態では、駆動素子を用いないパッシブ(マルチプレックス)駆動型の液晶表示装置について説明するが、TFT(Thin Film Transistor)やMIM(Metal Insulator Metal) などのアクティブ駆動型の液晶表示装置でも良い。
(実施形態1)
図2は、実施形態1の液晶表示装置を模式的に示す断面図である。本実施形態の液晶表示装置は、一対の電極付き樹脂基板と、一対の電極付き樹脂基板間に介在する液晶層10とを有する。以下、本実施形態の液晶表示装置に含まれる一対の電極付き樹脂基板の製造工程について説明する。なお、一対の電極付き樹脂基板はそれぞれ同様の工程を経て製造されるので、一方の基板についてのみ説明し、他方の基板については説明を省く。また、図2中の「a」を含む参照符号が付された構成要素は、「a」を含まない参照符号が付された構成要素と実質的に同じ機能を有する。
図3は、本実施形態の液晶表示装置に用いられる電極付き樹脂基板を模式的に示す断面図である。この電極付き樹脂基板は、複数の液晶表示素子を形成するための、いわゆるマザー基板である。
まず、架橋構造の樹脂からなる透明な基板3を用意する。架橋構造の樹脂としては、特に限定されないが、耐熱性が良好なものが好ましい。例えば特許文献1に開示された架橋樹脂(特に特許文献1の段落0008〜0028を参照)を用いることができる。基板3の厚みは、機械的特性を考慮して、0.1mm以上5mm以下が好ましく、0.1mm以上0.8mm以下がより好ましい。
この透明基板3の少なくとも一方面に硬化皮膜を形成する。本実施形態では、透明基板3の両面に硬化皮膜2,2’を形成する。硬化皮膜2,2’は、硬化剤を含有するコーティング組成物を透明基板3の両面に塗布した後、加熱処理などにより硬化させることによって形成される。硬化皮膜2,2’は、酸化珪素粒子や酸化アンチモン粒子などの無機粒子を含んでいても良い。無機粒子を含む硬化皮膜2,2’は、例えば特許文献1の記載に準じて形成することができる(特に特許文献1の段落0029〜0041を参照)。硬化皮膜の膜厚は、とくに限定されるものではないが、接着強度の保持や硬度などの点から、0.1μm以上50μm以下が好ましく、0.3μm以上10μm以下がより好ましい。
硬化皮膜2’が形成された透明基板3の一方面上に、層内で粗密分布を有しており、かつ表面に凹凸を有する金属酸化物膜11を形成する。金属酸化物膜11は、印刷法、ラミネート法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップ法などにより、金属酸化物を含有する溶液やペーストを硬化皮膜2’上に塗布し、焼成して形成することができる。特に印刷法が好ましい。金属酸化物膜11はSi、Al、Ti、Ta、Znから選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有する。金属酸化物膜11は、好ましくは10nm以上200nm以下、より好ましくは30nm以上100nm以下の厚みを有する。
金属酸化物膜11上に、金属窒化物膜4、第2の金属酸化物膜5およびITO膜6を順次形成する。これらの膜4,5,6は、スパッタリング装置を用いて連続して成膜することができる。金属窒化物膜4はシリコンナイトライドやシリコンオキシナイトライドを含有していても良い。また第2の金属酸化物膜5はSi、Al、Ti、Ta、Znから選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有していても良い。なお、ITO膜6は真空蒸着法、イオンプレーティング法などにより形成しても良い。
金属窒化物膜4の膜厚は、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは5nm以上20nm以下である。第2の金属酸化物膜5の膜厚は、好ましくは10nm以上200nm以下、より好ましくは30nm以上120nm以下である。ITO膜6の膜厚は、好ましくは70nm以上500nm以下、より好ましくは100nm以上300nm以下である。
以上の工程を経て、図2に示す電極付き樹脂基板が得られる。但し、本実施形態の電極付き樹脂基板は、いわゆるマザー基板であるので、液晶表示素子単位にITO膜6をパターニングする。またマザー基板でない場合でも、ストライプ状またはマトリクス状にITO膜6をパターニングすることがある。
次に、図2に示す電極付き樹脂基板を用いて、本実施形態の液晶表示装置を製造する工程について説明する。フォトリソ工程にてITO膜6を液晶表示素子単位にパターニングし、個々の液晶表示素子に対応させて、ITO膜6上に配向膜7を形成する。なお、ITO膜6をパターニングした後であって、配向膜7を形成する前に、トップコート膜を形成しても良い。トップコート膜は、ITO膜6上にシリカコーティング材を膜厚50nm以上150nm以下でオフセット印刷し、焼成を行うことにより形成される。
配向膜7に配向処理を施した後、いずれか一方の基板上にセルギャップ保持用のプラスチックビーズ8を散布する。他方の基板面に、配向膜7を囲うように形成されたシール樹脂9を印刷にて形成する。シール樹脂9を介して、それぞれの配向膜7,7aが相対向するように2枚の樹脂基板を貼り合せて、液晶表示素子用貼り合わせ基板を作成する。この貼り合わせ基板を所定の分断ラインに沿って個々の液晶表示素子単位に切り離す。シール樹脂9にて形成されたセルギャップ内に液晶材料を注入して、液晶層10を形成する。
液晶注入口を封止樹脂にて塞ぎ、UV照射により硬化させた後、熱処理して液晶表示素子(液晶パネル)を作成する。ITO膜6の蒸着を完了した後、液晶パネルを作成するまでの工程を以下「パネル化工程」ともいう。
パネル化工程の後、一対の偏光板1,1aを液晶表示素子の両面に貼り付ける。液晶表示素子のパネル端子部にFPCを圧着する(以下、この工程を「圧着工程」ともいう)。バックライトや導光板等を有するユニット(不図示)に、液晶表示素子を組み込むことによって、本実施形態の液晶表示装置が製造される。液晶表示素子をユニットに組み込む工程を以下「ユニット組込み工程」ともいう。
(実施形態2)
図4は、実施形態2の電極付き樹脂基板を模式的に示す断面図である。本実施形態の電極付き樹脂基板は、硬化皮膜2’および金属酸化物膜11に挟まれ、有機物と無機物の配合比が膜厚方向に変化する成分傾斜膜12をさらに有する点が実施形態1の電極付き樹脂基板と異なる。
成分傾斜膜12は、金属酸化物と有機高分子化合物とが化学的に結合した複合体を有しており、有機成分が硬化皮膜2’側(成分傾斜膜12の下面側)に密集し、金属成分が金属酸化物膜11側(成分傾斜膜12の上面側)に密集した成分傾斜構造を有する。
成分傾斜膜12に含まれる金属酸化物としては、特に限定されないが、成分傾斜膜12上に積層される金属酸化物膜11の金属酸化物が好ましい。具体的には、Si、Al、Ti、Ta、Znから選ばれる少なくとも一種の酸化物が好ましい。成分傾斜膜12における金属酸化物の含有量は、重量換算で20重量%〜95重量%、好ましくは50重量%〜90重量%の範囲である。有機高分子化合物の重合度や分子量は、製膜化しうるものであれば特に制限されず、高分子化合物の種類や所望の塗膜物性などに応じて適宜選定すればよい。
成分傾斜膜12は、既知の方法により形成することができる。例えば、特開2003-192329 号公報、特開2003-054951 号公報、特開2003-054950 号公報、特開2002-226588 号公報、特開2002-206059 号公報、特開2001-335737 号公報、特開2001-329018 号公報、特開2001-316430 号公報、特開2001-310943 号公報、特開2001-261972 号公報、特開2001-261970 号公報、特開2001-240796 号公報、特開2001-089679 号公報、特開2001-089669 号公報、特開2000-336281 号公報などに開示された方法により形成することができる。具体的な一例を次に挙げる。メタクリル酸メチルと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとを2,2′−アゾビスイソブチロニトリルの存在下で反応させて重合物を得る。反応終了後、アセトン中に重合物を溶解させ、さらにエタノールを加えて、有機高分子化合物の溶液を調製する。一方、テトラエトキシシラン中に塩酸・イソプロパノール溶液を滴下し、撹拌して無機成分溶液を得る。この無機成分溶液を、上記で得た高分子溶液中に静かに滴下し、撹拌した後、アセトンで希釈し、よく撹拌する。さらにエタノールで希釈して塗布液を調製する。この塗布液をスピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などの公知の方法により硬化皮膜2’上に塗布する。公知の乾燥処理、例えば40℃〜150℃程度の温度で加熱乾燥処理することにより、成分傾斜膜12が形成される。
成分傾斜膜12の膜厚は、膜中の金属酸化物と有機高分子との配合比が膜厚方向に連続的に変化する限り特に限定されないが、好ましくは50nm以上1000nm以下、より好ましくは70nm以上500nm以下である。
実施形態1および2の電極付き樹脂基板は、カラーフィルタを有するカラーフィルタ基板やTFTなどのアクティブ素子が形成された素子基板であっても良い。
(製造例1)
実施形態1に記載された電極付き樹脂基板を用いて液晶表示装置を製造したときのITO蒸着時のクラックやその他の工程(パネル化工程、圧着工程およびユニット組込み工程)での断線(以下、クラック等という。)の発生率を表1に示す。本製造例の金属酸化物膜11はSiOx を含有する。金属酸化物膜11の粗密分布を示すパラメータである面内弾性率比は1.5であり、表面凹凸を示すパラメータである表面粗さtは3.0×10-4Sである。
Figure 0004328603
表1中、「ITO蒸着完」はITO膜6の蒸着が完了した時を、「パネル完」はパネル化工程が完了した時を、「圧着完」は圧着工程が完了した時を、「ユニット完」は組込み工程が完了した時を、それぞれ示す。また、クラック等の発生率(%)は、ITO膜6の表面積におけるクラック等の占有面積比である。
製造例1では、金属酸化物膜11がない場合(後述する製造例3)と比較して、各工程でクラック等の発生している割合が大きく減少している。このことから、熱や基板流動による変位や圧力に対して、金属酸化物膜11が応力の緩衝の役割を果たすと考えられる。また、金属酸化物膜11は層内で粗密分布があり、表面に凹凸を有するので、これをITO膜6の下地膜とすることにより、層内の粗密分布による応力緩和だけでなく、表面凹凸によりITO膜6との密着力が増加されると考えられる。これらの作用により、ITO膜6のクラック等の発生を抑制することができるものと考えられる。
(製造例2)
製造例1において、金属酸化物膜11の膜厚を種々変更して、液晶表示装置を製造したときのクラック等の発生率を評価する。膜厚が200nmまではクラック等の発生は抑えられているのに対し、膜厚が250nmのときには、表1に示すように、クラック等の発生が増加する。このことから、金属酸化物膜11の厚膜化に伴う剛体化により、金属酸化物膜11がITO膜6の変位を吸収できなくなると考えられる。
(製造例3)
製造例1において、金属酸化物膜11がない場合には、ITO膜6にクラック等が発生する(表1を参照)。ITO膜6の下地膜(硬化皮膜2’)の面内弾性率比は1.15であり、表面粗さtは9.0×10-4Sである。このことから、面内弾性率比の低下がITO断線の増加と関係し、粗密分布の低下により応力を十分に緩和できないと考えられる。
(製造例4)
実施形態2に記載された電極付き樹脂基板を用いて液晶表示装置を製造したときのクラック等の発生率を表1に示す。本製造例の成分傾斜膜12はSiOx と有機高分子化合物とを1:2の重量割合で含有し、金属酸化物膜11はSiOx を含有する。金属酸化物膜11の面内弾性率比は1.5であり、表面粗さtは3.0×10-4Sである。なお、有機高分子化合物は、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートとポリエチルメタクリレートとの共重合体)である。
本製造例では、表1に示すように、製造例1の場合とクラック等の発生率が同じである。すなわち、金属酸化物膜11の下地膜である成分傾斜膜12を形成することによる影響はなく、製造例1と同様に、クラックの発生率は製造例3と比べて低い。
(製造例5)
製造例4において、成分傾斜膜12の膜厚を種々変更して、液晶表示装置を製造したときのクラック等の発生率を評価する。膜厚が1000nmまではクラック等の発生は抑えられているのに対し、膜厚が1200nmのときには、表1に示すように、クラック等の発生が増加する。このことから、成分傾斜膜12の厚膜化に伴う剛体化および熱収縮量の変化により、基板流動時だけでなく、分断後のパネル流動時(圧着や組込み等の工程へ移動または搬送する時)において、金属酸化物膜11がITO膜6の変位を吸収できなくなると考えられる。
(製造例6)
製造例4において、成分傾斜膜12および金属酸化物膜11中のSiOx をTiOx に変更して、液晶表示装置を製造したときのクラック等の発生率を評価する。金属酸化物膜11の面内弾性率比は1.7であり、表面粗さtは4.5×10-4Sである。表1に示すように、製造例1および4の場合よりも、クラック等の発生はさらに抑えられ、全工程において良好な結果が得られる。このことから、面内弾性率比が高いことおよび表面粗さが大きいことがITO断線の大幅な抑制と関係すると考えられる。言い換えれば、粗密分布による応力緩和および表面凹凸による密着力向上がITOクラックの抑制に寄与すると考えられる。
(製造例7)
製造例6において、成分傾斜膜12がない場合には、下地膜の硬化皮膜2’にクラックが発生し、ITO膜6についても前面に同様のクラックが発生する(表1を参照)。このことから、金属酸化物膜11中に含まれるTiOx が光触媒として作用し、下地である硬化皮膜2’中の有機物を分解すると考えられる。したがって、金属酸化物膜11がTiOx を含む場合には、有機層(下層)から無機層(上層)へ有機物と無機物の配合比が連続的に変化する成分傾斜膜12が下地として必要であると考えられる。
本発明の電極付き樹脂基板は、液晶表示装置、PDP、有機または無機EL表示装置、エレクトロクロミック表示装置に利用することができる。
表面に凹凸を有する金属酸化物膜を模式的に示す断面図である。 実施形態1の液晶表示装置を模式的に示す断面図である。 実施形態1の液晶表示装置に用いられる電極付き樹脂基板を模式的に示す断面図である。 実施形態2の電極付き樹脂基板を模式的に示す断面図である。 特許文献1に開示された液晶表示装置を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1,1a 偏光板
2,2’,2a,2’a 硬化皮膜
3,3a 樹脂基板
4,4a 金属窒化物膜
5,5a 第2の金属酸化物膜
6,6a ITO膜
7,7a 配向膜
8 プラスチックビーズ
9 シール樹脂
10 液晶層
11,11a 金属酸化物膜
12,12a 成分傾斜膜

Claims (9)

  1. 樹脂基板と、前記樹脂基板の一方面側に形成され、圧縮弾性率の分布を有する厚みが10nm以上200nm以下の金属酸化物膜と、前記金属酸化物膜上に形成された透明電極と、前記樹脂基板上に形成された硬化皮膜と、前記硬化皮膜および前記金属酸化物膜に挟まれ、有機物と無機物の配合比が膜厚方向に変化する成分傾斜膜と、を有する電極付き樹脂基板であって、
    前記成分傾斜膜は、前記無機物に対する前記有機物の混合比が前記硬化皮膜に近づく程に高い電極付き樹脂基板。
  2. 前記成分傾斜膜は、Si、Al、Ti、Ta、Znから選ばれる少なくとも一種を含有する金属酸化物と有機高分子化合物とが化学的に結合した複合体を有する、請求項に記載の電極付き樹脂基板。
  3. 前記成分傾斜膜は50nm以上1000nm以下の厚みを有する、請求項またはに記載の電極付き樹脂基板。
  4. 前記金属酸化物膜は表面に凹凸を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の電極付き樹脂基板。
  5. 前記透明電極はインジウム錫酸化物を含有する、請求項1からのいずれか1項に記載の電極付き樹脂基板。
  6. 前記金属酸化物膜はSi、Al、Ti、Ta、Znから選ばれる少なくとも一種を含有する、請求項1からのいずれか1項に記載の電極付き樹脂基板。
  7. 前記金属酸化物膜は10nm以上200nm以下の厚みを有する、請求項1からのいずれか1項に記載の電極付き樹脂基板。
  8. 一対の電極付き基板と、前記一対の電極付き基板間に介在する表示媒体層とを有する表示装置であって、前記一対の電極付き基板のうち少なくとも一方の基板は請求項1からのいずれか1項に記載の電極付き樹脂基板である表示装置。
  9. 前記表示媒体層は液晶層である、請求項に記載の表示装置。
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