JP6689174B2 - 透明導電性フィルム及びそれを用いたタッチパネル - Google Patents

透明導電性フィルム及びそれを用いたタッチパネル Download PDF

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Description

本発明は、第2の硬化樹脂層と、透明樹脂フィルムと、第1の硬化樹脂層と、透明導電層とをこの順に有する透明導電性フィルム及びそれを用いたタッチパネルに関する。
従来、透明導電性部材としてはガラス上に酸化インジウム薄膜を形成した、いわゆる導電性ガラスがよく知られている。しかしながら、導電性ガラスは基材がガラスであるために可撓性、加工性に劣り、用途によっては適用が困難な場合がある。そのため近年では可撓性、加工性に加えて、耐衝撃性に優れ、軽量であることなどの利点から、ポリエチレンテレフタレートをはじめとするプラスチックフィルム基材を用いる透明導電性フィルムが普及している。
しかし、液晶表示素子の上に透明なタッチパネルを搭載したディスプレイがモバイルサイズから中型〜大型サイズへと普及していくなかで、液晶表示素子の特性の高度化のみならず、タッチパネル用透明導電性フィルムの光学特性の向上に対する要求も高まっており、特に従来のポリエチレンテレフタレートを用いる透明導電性フィルムは厚さにもよるが数千nmという位相差を有するために、偏光板の下では使用できない場合がある。
そこで、位相差をコントロールした透明導電性フィルム用の基材として、例えば、シクロオレフィン系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム等が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、シクロオレフィン系樹脂フィルムのような基材は柔らかく、基材両面に硬化樹脂層(ハードコート層)を形成してロールtoロール製法で搬送することが提案されている(例えば、特許文献2)。
一方、プラスチックフィルム基材上にITO(インジウム・スズ複合酸化物)膜等の透明導電層をロールtoロール製法で成膜する場合、基材の耐熱性による制約があるため、高い温度でスパッタ成膜を行うことができない。そのため、成膜直後のITOはアモルファス膜(成膜温度によっては、一部が結晶化している場合もある)となっている。このようなアモルファスのITO膜は黄ばみが強く透明性に劣り、抵抗変化が大きい等の問題がある。そのため、一般的には、アモルファスのITO膜を成膜した後、大気中の酸素雰囲気下でロールtoロール製法にて加熱処理することにより、アモルファスITO膜を結晶性ITO膜へ転化させることが行われている(結晶化アニール処理)。
特開2010−162746号公報 特開2016−081733号公報
しかしながら、透明導電層を成膜後すぐに結晶化アニール処理を行う場合(前者)もあるが、製造上等の都合により、成膜後すぐに結晶化アニール処理せずに、ロール状態で使用時まで保管した後、必要時に結晶化アニール処理を行う場合(後者)もある。本発明者らの検討によると、前者の場合(即ち、アモルファス膜を結晶化アニール処理する場合)、特に問題が生じなかったものの、後者の場合(即ち、保管により、一部が自然に結晶化された透明導電層を結晶化アニール処理する場合)、透明導電層にクラックが生じることが判明した。特に、特許文献2のように、線膨張係数が高い基材に比較的柔らかい硬化樹脂層を形成している場合、前記のようなクラックの問題が生じることが判明した。
そこで、本発明の目的は、線膨張係数が高い基材を用いた場合であっても、かつ、透明導電層を成膜後すぐに結晶化アニール処理しないで保管後に結晶化アニール処理する場合であっても、透明導電層にクラックが発生しない透明導電性フィルム及びこれを用いたタッチパネルを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、一部が自然に結晶化された透明導電層は、アモルファス膜に比べて柔軟性に乏しく、結晶化アニール処理時に基材等の熱膨張に追随していくことができず、透明導電層にクラックが生じるのではないかと考えた。つまり、アモルファス膜の透明導電層であれば、結晶化アニール処理時の基材や硬化樹脂層の熱変形に対して、追随していくことができるのに対して、一部結晶化された透明導電層は硬く、基材や硬化樹脂層の熱変形に追随していくことができず、透明導電層の表面にクラックが発生し易くなってしまうのではないかと考えた。そこで、透明樹脂フィルムの線膨張係数が高い基材を用いたとしても、さらに、透明導電層が一部結晶化されていたとしても、熱変形を抑制する硬い第1の硬化樹脂層を構成させることにより、前記下課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、第2の硬化樹脂層と、透明樹脂フィルムと、第1の硬化樹脂層と、透明導電層とをこの順に有する透明導電性フィルムであって、前記透明樹脂フィルムは、線膨張係数が5.0×10-5cm/cm・℃以上であり、前記第1の硬化樹脂層の押し込み試験による硬度が、0.29GPa以上である透明導電性フィルムであることを特徴とする。なお、本発明における各種の物性値は、特に断りのない限り実施例等において採用する方法により測定される値である。
これにより、線膨張係数が高い基材を用いた場合であっても、かつ、透明導電層を成膜後すぐに結晶化アニール処理しないで保管後に結晶化アニール処理する場合であっても、透明導電層にクラックが発生することを防止することができる。
本発明では、前記第1の硬化樹脂層の押し込み試験による塑性変形量が、50nm以下であることが好ましい。これにより、第1の硬化樹脂層をより硬く形成することができ、透明樹脂フィルムの熱膨張等に起因する熱変形を防止できるため、上記作用効果を実現する上でより有利となる。
本発明における透明樹脂フィルムは、シクロオレフィン系樹脂フィルム又はポリカーボネート系樹脂フィルムであることが好ましい。シクロオレフィン系樹脂フィルム又はポリカーボネート系樹脂フィルムは、一般的に、低位相差の基材であるため、偏光板の下であっても用いることができ、透明導電性フィルムとしての用途を大幅に広げることができる。
本発明では、前記第1の硬化樹脂層と前記透明導電層との間に1層以上の光学調整層をさらに備えることが好ましい。光学調整層により、屈折率を制御できるため、透明導電層をパターン化した場合には、パターン形成部とパターン開口部との反射率差を低減することができ、透明導電層パターンが見えにくく、タッチパネル等の表示装置において視認性を良好にすることができる。
本発明のタッチパネルは、前記透明導電性フィルムを含むことが好ましい。前記透明導電性フィルムを用いることによって、線膨張係数が高い基材を用いた場合であっても、かつ、透明導電層を成膜後すぐに結晶化アニール処理しないで保管後に結晶化アニール処理する場合であっても、透明導電層にクラックが発生することを防止することができ、タッチパネルの品質を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る透明導電性フィルムの模式的断面図である。 本発明の他の実施形態に係る透明導電性フィルムの模式的断面図である。 比較例1でクラック確認試験後のレーザー顕微鏡(×50倍)の写真である。 比較例1でクラック確認試験後の非接触3次元表面計測の写真である。 実施例1でクラック確認試験後のレーザー顕微鏡(×50倍)の写真である。
本発明の透明導電性フィルムの実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。ただし、図の一部又は全部において、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にするために拡大または縮小等して図示した部分がある。上下等の位置関係を示す用語は、単に説明を容易にするために用いられており、本発明の構成を限定する意図は一切ない。
<透明導電性フィルム>
本発明の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本発明の透明導電性フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。透明導電性フィルム10は、第2の硬化樹脂層2´と、透明樹脂フィルム1と、第1の硬化樹脂層2と、透明導電層3とをこの順に有する。なお、第1の硬化樹脂層2は、透明樹脂フィルム1の第1主面S1側に形成され、第2の硬化樹脂層2´は、透明樹脂フィルム1の第1主面S1と反対側の第2主面S2側に形成されている。即ち、透明樹脂フィルム1の両面に、第1の硬化樹脂層2及び第2の硬化樹脂層2´が形成されている。第1の硬化樹脂層2及び第2の硬化樹脂層2´は、アンチブロッキング層やハードコート層として機能するものを含む。図1には図示していないが、必要に応じて、第2の硬化樹脂層2´の透明樹脂フィルム1側の面とは反対側にも、1層又は2層以上の透明導電層を設けることができる。
図2に示す透明導電性フィルム11では、図1で示す透明導電性フィルム10の層構成に加え、第1の硬化樹脂層2と透明導電層3との間に1層の光学調整層4がさらに設けられている。1層の光学調整層4は、2層以上の光学調整層4とすることもできる。図2には図示していないが、必要に応じて、第2の硬化樹脂層2´の透明樹脂フィルム1側の面とは反対側に、1層又は2層以上の光学調整層を設けることができる。なお、前記光学調整層上に透明導電層をさらに設けることができる。
図1〜2には図示していないが、ロールtoロール搬送を容易にする観点から、保護フィルムの一方の面側に粘着剤層を有するキャリアフィルムを、粘着剤層を介して、透明導電性フィルム10,11を積層することができる。この場合、透明導電性フィルム10,11の第2の硬化樹脂層2´が形成されている面側を粘着剤層と貼りあわせて、透明導電性フィルム積層体を形成することができる。
(透明樹脂フィルム)
透明樹脂フィルムとしては、透明導電性フィルムの基材として用いられるものを使用できる。透明樹脂フィルムの線膨張係数が5.0×10−5cm/cm・℃以上のときに、当該樹脂フィルム上に形成された透明導電膜に前記クラックが生じやすくなる傾向があり、本発明の効果が顕著に認められるようになる。透明樹脂フィルムの線膨張係数が大きくなりすぎると、前記クラックを抑制するには前記第1の硬化樹脂層の押し込み試験による硬度が高くなりすぎて透明導電性フィルムの柔軟性が損なわれることから、透明樹脂フィルムの線膨張係数は1.0×10−4cm/cm・℃以下であることが好ましい。透明樹脂フィルムの線膨張係数は、6.0×10−5cm/cm・℃〜9.0×10−5cm/cm・℃であることが好ましい。
透明樹脂フィルムとしては、透明性を有する各種のプラスチックフィルムが用いられる。例えば、透明樹脂フィルムとして、ポリエステル系樹脂フィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アセテート系樹脂フィルム、ポリエーテルスルホン系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリイミド系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム、(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルム、ポリスチレン系樹脂フィルム、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、ポリアリレート系樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイド系樹脂フィルム等が挙げられる。線膨張係数、引張り破断強度、高透明性及び低吸水性の観点から、これらの中で好ましいのは、シクロオレフィン系樹脂フィルム、又は、ポリカーボネート系樹脂フィルムである。また、偏光板の下で使用する観点から、これらの中で特に好ましいのは、シクロオレフィン系樹脂フィルムである。
シクロオレフィン系樹脂フィルムは、シクロオレフィン系樹脂により形成されており、線膨張係数が高く、高透明性、低位相差、低吸水性等の特性を有するが、引張り破断強度が低く、ロールtoロールのような搬送工程中に割れやすく、傷付き易いという特性も有する。シクロオレフィン系樹脂フィルムの採用により透明導電性フィルムの光学特性の制御が可能となる。
シクロオレフィン系樹脂フィルムを形成するシクロオレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する樹脂であれば特に限定されるものではない。シクロオレフィン系樹脂フィルムに用いられるシクロオレフィン系樹脂としては、シクロオレフィンポリマー(COP)又はシクロオレフィンコポリマー(COC)のいずれであってもよい。シクロオレフィンコポリマーとは、環状オレフィンとエチレン等のオレフィンとの共重合体である非結晶性の環状オレフィン系樹脂のことをいう。
上記環状オレフィンとしては、多環式の環状オレフィンと単環式の環状オレフィンとが存在している。かかる多環式の環状オレフィンとしては、ノルボルネン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブチルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセン、ジメチルシクロテトラドデセン、トリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエンなどが挙げられる。また、単環式の環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロドデカトリエンなどが挙げられる。
上記シクロオレフィン系樹脂からなる光学フィルムは市販品としても入手可能であり、例えば、ポリプラスチック社製のTopas、JSR社製のアートン、日本ゼオン社製のZEONOR、ZEONEX、三井化学社製のアペル等が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂は、線膨張係数が高く、低位相差等の特性を有する。ポリカーボネート系樹脂は、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリカーボネート、芳香族ポリカーボネート、脂肪族−芳香族ポリカーボネートなどが挙げられる。具体的には、例えば、ビスフェノール類を用いたポリカーボネート(PC)としてビスフェノールAポリカーボネート、分岐ビスフェノールAポリカーボネート、発砲ポリカーボネート、コポリカーボネート、ブロックコポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリホスホネートカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)などが挙げられる。ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノールAポリカーボネートブレンド、ポリエステルブレンド、ABSブレンド、ポリオレフィンブレンド、スチレン―無水マレイン酸共重合体ブレンドのような他成分とブレンドしたものも含まれる。ポリカーボネート樹脂の市販品としては、恵和社製「オプコン」、帝人社製「パンライト」、三菱ガス化学製「ユーピロン(紫外線吸収剤含有ポリカーボネート)」等が挙げられる。
透明樹脂フィルムには、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、透明樹脂フィルム上に形成される硬化樹脂層や透明導電層等との密着性を向上させるようにしてもよい。また、硬化樹脂層や透明導電層を形成する前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などにより、透明樹脂フィルム表面を除塵、清浄化してもよい。
透明樹脂フィルムの厚みは、20〜150μmの範囲内であることが好ましく、25〜100μmの範囲内であることがより好ましく、30〜80μmの範囲内であることが更に好ましい。透明樹脂フィルムの厚みが上記範囲の下限未満であると、透明樹脂フィルムの機械的強度が不足し、フィルム基材をロール状にして透明導電層を連続的に形成する操作が困難になる場合がある。一方、厚みが上記範囲の上限を超えると、透明導電層の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性の向上が図れない場合がある。
(硬化樹脂層)
硬化樹脂層は、透明樹脂フィルムの一方面側に設けられた第1の硬化樹脂層と、他方の面側に設けられた第2の硬化樹脂層とを含む。透明樹脂フィルムは、透明導電層の形成や透明導電層のパターン化または電子機器への搭載などの各工程で傷が入りやすいので、上記のように、透明樹脂フィルムの両面に第1の硬化樹脂層と第2の硬化樹脂層とを形成する。
本発明では、第1の硬化樹脂層の押し込み試験による硬度は、0.29GPa以上であれば、特に制限がないものの、クラック発生防止及びロールtoロール搬送での傷防止の観点の観点から、0.30GPa以上であることが好ましく、0.31GPa以上であることがより好ましく、0.32GPa以上であることが更に好ましい。第1の硬化樹脂層の押し込み試験による硬度の上限は、特に制限がないものの、ロールtoロール搬送でのフィルム破断防止の観点から、1.0GPa以下であることが好ましく、0.9GPa以下であることがより好ましく、0.8GPa以下であることが更に好ましい。
一方、前記第2の硬化樹脂層の押し込み試験による硬度の上限は、特に制限がないものの、ロールtoロール搬送でのフィルム破断防止の観点から、0.40GPa以下であることが好ましく、0.30GPa未満であることがより好ましく、0.29GPa以下であることが更に好ましい。第2の硬化樹脂層の押し込み試験による硬度の下限は、特に制限がないものの、ロールtoロール搬送でのフィルム傷付き防止の観点から、0.10GPa以上であることが好ましく、0.15GPa以上であることがより好ましい。
また、ロールtoロール搬送でのフィルム破断防止及びフィルム傷付き防止を両立する観点から、前記第1の硬化樹脂層の押し込み試験による硬度から、前記第2の硬化樹脂層の押し込み試験による硬度を引いた値(硬度の差=第1の硬化樹脂層の押し込み試験による硬度−第2の硬化樹脂層の押し込み試験による硬度)が、0GPaより大きく1.0GPa以下であることが好ましく、0.01GPa以上0.5GPa以下がより好ましく、0.02GPa以上0.4GPa以下が更に好ましい。
第1の硬化樹脂層の押し込み試験による塑性変形量の上限は、特に制限がないものの、クラック発生防止及びロールtoロール搬送での傷防止の観点の観点から、50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることが更に好ましい。第1の硬化樹脂層の押し込み試験による塑性変形量の下限は、特に制限がないものの、ロールtoロール搬送でのフィルム破断防止及びフィルム傷付き防止を両立する観点から、さらにクラック発生防止の観点から、1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましい。
一方、第2の硬化樹脂層の押し込み試験による塑性変形量の下限は、特に制限がないものの、ロールtoロール搬送でのフィルム破断防止の観点から、40nm以上であることが好ましく、45nmより大きいことがより好ましく、50nm以上であることが更に好ましい。第2の硬化樹脂層の押し込み試験による塑性変形量の上限は、特に制限がないものの、フィルム破断防止及びフィルム傷付き防止を両立する観点から、150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
また、フィルム破断防止及びフィルム傷付き防止を両立する観点から、前記第1の硬化樹脂層の押し込み試験による塑性変形量から、前記第2の硬化樹脂層の押し込み試験による塑性変形量を引いた値(塑性変形量の差=第1の硬化樹脂層の押し込み試験による塑性変形量−第2の硬化樹脂層の押し込み試験による塑性変形量)が、−100nm〜0nmであることが好ましく、−50nm〜−5nmがより好ましく、−40nm〜−10nmが更に好ましい。
第1の硬化樹脂層及び第2の硬化樹脂層の厚みは、それぞれ独立して0.5μm〜5μmであれば好ましく、0.7μm〜3μmがより好ましく、0.8μm〜2μmが更に好ましい。各硬化樹脂層の厚みは、それぞれ同じであっても、異なっていても良いが、作業効率の観点から、同じであることが好ましい。各硬化樹脂層の厚みを上記範囲とすることにより、硬化樹脂層の耐擦傷性と耐割れ性とを好適にバランスさせることができる。硬化樹脂層が薄すぎると、ハードコート層としての機能を発揮し得なくなり、耐擦傷性及び耐割れ性を得ることができない。一方、硬化樹脂層が厚すぎると、硬化樹脂層全体としての柔軟性が低下して、十分な耐割れ性が得られなくなる。
(樹脂組成物)
硬化樹脂層は、樹脂組成物を硬化させることにより得られる層である。ここで、硬化樹脂層は、例えば、分子内に重合性官能基を3個以上有し、重量平均分子量が200以上1000以下である成分Aと、分子内における単位分子量当たりの重合性官能基の数が成分Aより少なく、かつ重量平均分子量が1000より大きく100000以下である成分Bとを含む樹脂組成物が硬化された層とすることができる。硬化樹脂層では、重量平均分子量が200以上1000以下である成分Aに由来する構造がハードセグメントとして作用することで耐擦傷性やクラック防止に寄与し、同時に、重量平均分子量が1000より大きく100000以下である成分Bに由来する構造がソフトセグメントとして作用することで耐割れ性に寄与することができる。
各硬化樹脂層を形成する樹脂組成物としては、上記特定成分A及びBを含むものが好ましく、硬化樹脂層形成後の皮膜として十分な強度を持ち、透明性のあるものを特に制限なく使用できる。硬化樹脂層を形成する樹脂組成物は、硬度を高めてフィルムの傷付きを防止する観点及び透明導電層のクラック防止の観点からは、成分Aの固形分の量を増やせばよい。こうすることでモノマー反応点を増やすことができ、硬化樹脂層の硬度を十分に高めることができる。第2の硬化樹脂層の組成物との関係で、第1の硬化樹脂層の組成は、第2の硬化樹脂層よりも成分Aを多くすることが好ましい。
第2の硬化樹脂層を形成する樹脂組成物は、柔軟性を付与してフィルム破断を防止する観点から、成分Bの固形分の量は、成分Aの固形分の量よりも多いことが好ましい。第2の硬化樹脂層を形成する樹脂組成物は、成分Aの固形分及び成分Bの固形分の合計量に対し、成分Bの固形分の量は、70重量%〜90重量%であることが好ましく、75重量%〜85重量%であることがより好ましく、成分Aの固形分の量は、10重量%〜30重量%であることが好ましく、15重量%〜25重量%であることがより好ましい。第2の硬化樹脂層を形成する樹脂組成物中の成分A及び成分Bの量を上記範囲とすることにより、適度な柔軟性を付与することができ、ロールtoロール製法による搬送工程中でのフィルム破断を防止することができる。
樹脂組成物に用いる樹脂としては、熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂などがあげられるが、これらのなかでも紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく各硬化樹脂層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。
紫外線硬化型樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種のものがあげられ、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えばアクリロイル基等の紫外線重合性官能基を有するもの、なかでも当該重合性官能基を分子内に2個以上、特に2〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマーレベルの成分、及びポリマーレベルの成分を成分A及び成分Bとして含むものがあげられる。また、紫外線硬化型樹脂には、紫外線重合開始剤が配合されている。このような多官能の高分子量成分及び多官能の低分子量成分により樹脂組成物の硬化後には三次元架橋構造が形成されるとともに、多官能低分子量成分が架橋構造の架橋の起点となって主として硬度に寄与し、これより単位分子量当たりの重合性官能基数の少ない多官能高分子量成分がソフトセグメントとして主に柔軟性に寄与する。
本実施形態において、紫外線硬化型樹脂としてはウレタン(メタ)アクリレートを好適に用いることができる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ポリオール、ジイソシアネートを構成成分として含有するものが用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方のモノマーと、ポリオールとを用いて、水酸基を1個以上有するヒドロキシ(メタ)アクリレートを作製し、これをジイソシアネートと反応させることによりウレタン(メタ)アクリレートを製造することができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、一種類を単独で使用でもよく、二種類以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アルキルアクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリオールは、水酸基を少なくとも2つ有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、トリシクロデカンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、1,2−ブチレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドとの共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のジオール、脂肪族または環式ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられる。
ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族、脂肪族又は脂環族の各種のジイソシアネート類を使用することができ、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等、さらにはこれらの水添物等が挙げられる。
樹脂組成物中のウレタン(メタ)アクリレートの配合割合は、特に制限されない。各硬化樹脂層の柔軟性、各硬化樹脂層の硬度、透明樹脂フィルムに対する密着性等の観点から、ウレタン(メタ)アクリレートの配合割合は、樹脂組成物の合計重量に対し、例えば、10〜90重量%の範囲であり、好ましくは、20〜80重量%の範囲である。
硬化樹脂層を形成する樹脂組成物に用いられる硬化型樹脂として、上記各成分に加えて反応性希釈剤を有していてもよい。反応性希釈剤としては、比較的低粘度である1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上のモノマーおよびオリゴマー並びに単官能モノマー、例えばN−ビニルピロリドン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、そのカプロラクトン変成物などの誘導体、スチレン、q−メチルスチレン、アクリル酸等、またはそれらの混合物などを使用することができる。
樹脂組成物には、前記材料に加えて、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤、光重合開始剤等の常用の添加剤を用いることができる。チクソトロピー剤を用いると、硬化樹脂層が粒子を含む場合に、微細凹凸形状表面における突出粒子の形成に有利である。チクソトロピー剤としては、0.1μm以下のシリカ、マイカ等があげられる。これら添加剤の含有量は、通常、紫外線硬化型樹脂100重量部に対して、15重量部以下程度、好ましくは0.01〜15重量部、とするのが好適である。
(粒子)
各硬化樹脂層は独立して粒子を含んでいてもよい。クラック発生防止、高硬度化および耐ブロッキング性付与等の観点から、粒子を含有することが好ましい。
上記粒子としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスチックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えば、酸化ケイ素(シリカ粒子)粒子、中空ナノシリカ粒子、酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化亜鉛粒子、酸化錫粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化カルシウム粒子等の無機系粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系粒子やシリコーン系粒子などがあげられる。前記粒子は、1種または2種以上を適宜に選択して用いることができるが、屈折率の観点から、無機系粒子、有機系粒子が好ましい。
第1の硬化樹脂層が粒子を含む場合、第1の硬化樹脂層に含まれる粒子は、硬度を付与しクラックの発生を防止する観点から、無機系粒子が好ましく、具体的には、高硬度化の観点から、シリカ粒子が好ましい。第2の硬化樹脂層に含まれる粒子は、第1の硬化樹脂層に含まれる粒子と同じ粒子とすることもできるが、異なる粒子であっても良い。第2の硬化樹脂層に含まれる粒子は、耐ブロッキング性及び柔軟性付与の観点から、有機系粒子が好ましく、具体的には屈折率の観点から、アクリル系樹脂粒子が好ましい。
第1の硬化樹脂層中の粒子の含有量は、特に限定されないものの、クラックの発生を防止する観点から、好ましくは第2の硬化樹脂層中の粒子の含有量よりも多く、第1の硬化樹脂層中に、10〜70重量%であることが好ましく、20〜60重量%であることがより好ましい。
(コーティング組成物)
硬化樹脂層を形成するのに用いられるコーティング組成物は、上記の樹脂、粒子、及び溶媒を含む。
コーティング組成物は、上記の樹脂及び粒子を、必要に応じて溶媒、添加剤、触媒等と混合することにより調製することができる。コーティング組成物中の溶媒は、特に限定されるものではなく、用いる樹脂や塗装の下地となる部分の材質及び組成物の塗装方法などを考慮して適時選択される。溶媒の具体例としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;などが挙げられる。これらの溶媒を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。これらの溶媒のうち、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒が好ましく使用される。
コーティング組成物において、粒子は溶液中に分散されていることが好ましい。溶液中に粒子を分散させる方法としては、樹脂組成物溶液に粒子を添加して混合する方法や、予め溶媒中に分散させた粒子を樹脂組成物溶液に添加する方法等、各種公知の方法を採用することができる。
コーティング組成物の固形分濃度は、1重量%〜70重量%が好ましく、2重量%〜50重量%がより好ましく、5重量%〜40重量%が最も好ましい。固形分濃度が低くなりすぎると、塗布後の乾燥工程で硬化樹脂層表面の隆起のばらつきが大きくなり、ヘイズが上昇する場合がある。一方、固形分濃度が大きくなりすぎると、含有成分が凝集しやすくなり、その結果、凝集部分が顕在化して透明導電性フィルムの外観を損ねる場合がある。
(塗布及び硬化)
各硬化樹脂層は、透明樹脂フィルム上に、上記のコーティング組成物を塗布することにより形成することができる。なお、コーティング組成物は、透明樹脂フィルム上に直接行ってもよく、透明樹脂フィルム上に形成されたアンダーコート層等の上に行うこともできる。
各硬化樹脂層は、コーティング組成物を透明樹脂フィルム上に塗布し、コーティング組成物が溶剤を含む場合には、溶剤の乾燥を行い、熱、活性エネルギー線またはその両方のいずれかの適用により硬化させることにより得られる。熱は空気循環式オーブンやIRヒーターなど公知の手段を用いることができるがこれらの方法に限定されない。活性エネルギー線の例としては紫外線、電子線、ガンマ線などがあるが特に限定されない。
コーティング組成物の塗布方法は、コーティング組成物及び塗装工程の状況に応じて適時選択することができ、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法やエクストルージョンコート法などにより塗布することができる。
コーティング組成物を塗布後、塗膜を硬化させることによって、硬化樹脂層を形成することができる。樹脂組成物が光硬化性である場合は、必要に応じた波長の光を発する光源を用いて光を照射することによって、硬化させることができる。照射する光として、例えば、露光量150mJ/cm以上の光、好ましくは150mJ/cm〜1000mJ/cmの光を用いることができる。またこの照射光の波長は特に限定されるものではないが、例えば380nm以下の波長を有する照射光などを用いることができる。なお、光硬化処理の際に加熱を行ってもよい。
(光学調整層)
第1の硬化樹脂層と透明導電層との間に、透明導電層の密着性や反射特性の制御等を目的として光学調整層を設けることができる。光学調整層は、透明導電層が形成されているパターン形成部と透明導電層が除去されたパターン開口部との光学厚み差を調整することによって、両者間の反射率差を低減し、パターンが視認され難くすることを目的として設けることができる。
光学調整層は1層でもよく、2層あるいはそれ以上設けてもよい。光学調整層は、無機物、有機物、あるいは無機物と有機物との混合物により形成される。光学調整層を形成する材料としては、NaF、NaAlF、LiF、MgF、CaF2、SiO、LaF、CeF、Al、TiO、Ta、ZrO、ZnO、ZnS、SiO(xは1.5以上2未満)などの無機物や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマーなどの有機物が挙げられる。特に、有機物として、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用することが好ましい。光学調整層は、上記の材料を用いて、グラビアコート法やバーコート法などの塗工法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などにより形成できる。
光学調整層の厚みは、10nm〜200nmであることが好ましく、20nm〜150nmであることがより好ましく、20nm〜130nmであることがさらに好ましい。光学調整層の厚みが過度に小さいと連続被膜となりにくい。また、光学調整層の厚みが過度に大きいと、透明導電性フィルムの透明性が低下したり、光学調整層にクラックが生じ易くなったりする傾向がある。
光学調整層は、平均粒径が1nm〜500nmのナノ微粒子を有していてもよい。光学調整層中のナノ微粒子の含有量は0.1重量%〜90重量%であることが好ましい。光学調整層に用いられるナノ微粒子の平均粒径は、上述のように1nm〜500nmの範囲であることが好ましく、5nm〜300nmであることがより好ましい。また、光学調整層中のナノ微粒子の含有量は10重量%〜80重量%であることがより好ましく、20重量%〜70重量%であることがさらに好ましい。光学調整層中にナノ微粒子を含有することによって、光学調整層自体の屈折率の調整を容易に行うことができる。
ナノ微粒子を形成する無機酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、中空ナノシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム等の微粒子があげられる。これらの中でも、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウムの微粒子が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(透明導電層)
透明導電層は、透明樹脂フィルムの一方の面側に設けられた第1の硬化樹脂層上に設けることができる。また、透明導電層は、光学調整層を介して設けることもできる。透明導電層は、少なくとも1層の透明導電層が形成されたものであり、2層以上の透明導電層を有していてもよい。透明導電層は、金属の導電性酸化物を主成分とする薄膜、または主金属と1種以上の不純物金属を含有する複合金属酸化物を主成分とする薄膜である。これらの導電性薄膜は、透明でありかつ導電性を有するものであれば、その構成材料は特に限定されず、Sc,Y,Si,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Tc,Re,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Au,Zn,Cd,Al,Mg,Ga,Ti,Ge,In,Sn,Pb,As,Sb,Bi,Se,Te,Iからなる群より選択される1種の金属を主成分とする金属酸化物が好適に用いられる。透明導電層の透明性や導電性の観点からは、主金属元素はIn,Zn,Snのいずれかであることが好ましく、インジウム系複合酸化物が最も好ましい。透明導電層が、主金属と不純物金属を含有する複合金属酸化物である場合、不純物金属としても、上記群より選択される1種以上の金属が好適に用いられる。
透明導電層を低抵抗化する観点においては、複合金属酸化物における不純物金属は、主金属よりも価電子数の多いものが好適に用いられる。このような複合金属酸化物としては、インジウム・スズ複合酸化物(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)等が挙げられる。中でも低抵抗かつ高透明性の透明導電層を形成する観点において、インジウム・スズ複合酸化物が最も好適に用いられる。このようなインジウム・スズ複合酸化物は、可視光領域(380nm〜780nm)で透過率が高く、且つ単位面積当りの表面抵抗値が低いという特徴を有している。
透明導電層として、インジウム・スズ複合酸化物を用いる場合、SnOの量が、InとSnOとを加えた重さに対し、0.5重量%〜15重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましく、2〜6重量%であることがさらに好ましい。SnOの量が少なすぎると、ITO膜の耐久性に劣る場合がある。また、SnOの量が多すぎると、結晶化に要する時間が長くなる傾向がある。
透明導電層は結晶質であってもよく、非晶質であってもよい。例えば、基材として透明樹脂フィルムが用いられ、透明導電層としてスパッタリング法によってITO膜が形成される場合、基材の耐熱性による制約があるため、高い温度でスパッタ成膜を行うことができない。そのため、成膜直後の透明導電層は非晶質膜(成膜温度によっては、一部が結晶化している場合もある)となっている場合が多い。このような非晶質の透明導電層は結晶質のもの比して透過率が低く、加湿熱試験後の抵抗変化が大きい等の問題を生じる場合がある。かかる観点からは、一旦非晶質の透明導電層を形成した後、大気中の酸素存在下で加熱することにより、結晶膜へ転換させてもよい(結晶化アニール処理)。透明導電層を結晶化することにより、透明性が向上し、低抵抗化が図られ、加湿熱信頼性が向上するなどの利点がもたらされる。
透明導電層を成膜後すぐに結晶化アニール処理をしない場合(即ち、保管後に結晶化アニール処理する場合)、時間の経過とともに、保管条件(温度、湿度等)等が影響して、アモルファス膜の一部が自然に結晶化していくことがある。アモルファス膜の一部が自然に結晶化している状態は、後述の実施例で記載の通り、アモルファス膜の透明導電層を50℃条件下で5日間加熱することで模倣することができる。このような一部が自然に結晶化した透明導電層を用いて、結晶化アニール処理する場合、透明導電層の表面にクラックが生じることが多い。所定の硬度の第1の硬化樹脂層を用いることで、結晶化アニール処理時等に負荷される熱に起因する前記のようなクラックの発生を抑制することができる。
透明導電層の表面抵抗値は、好ましくは400Ω/□以下であり、より好ましくは350Ω/□以下であり、さらに好ましくは300Ω/□以下である。このような表面抵抗値の小さい透明導電性フィルムは、例えば、スパッタリング法又は真空蒸着法により、インジウム・スズ系複合酸化物の非晶質層を硬化樹脂層上に形成した後、80℃〜200℃で30〜90分間程度加熱処理して、非晶質の透明導電層を結晶質に変化させることにより得られる(結晶化アニール処理)。この転化させる手段は、特に限定されないが空気循環式オーブンやIRヒーターなどが用いられる。
「結晶質」の定義については、透明樹脂フィルム上に透明導電層が形成された透明導電性フィルムを、20℃、濃度5重量%の塩酸に15分間浸漬した後、水洗・乾燥し、15mm間の端子間抵抗をテスタにて測定を行い、端子間抵抗が10kΩを超えない場合、ITO膜の結晶質への転化が完了したものとする。
透明導電層の厚みは、特に制限されないが、その表面抵抗を1×10Ω/□以下の良好な導電性を有する連続被膜とするには、厚みを10nm以上とするのが好ましい。膜厚が、厚くなりすぎると透明性の低下などをきたすため、15〜35nmであることが好ましく、より好ましくは20〜30nmの範囲内である。透明導電層の厚みが15nm未満であると膜表面の電気抵抗が高くなり、かつ連続被膜になり難くなる。また、透明導電層の厚みが35nmを超えると透明性の低下などをきたす場合がある。
透明導電層の形成方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセスを例示できる。また、必要とする膜厚に応じて適宜の方法を採用することもできる。
例えば、透明導電層をスパッタリング法により形成する場合、透明樹脂フィルムの温度は、80〜180℃であることが好ましい。成膜温度によっては、アモルファス膜の一部が結晶化する場合もある。なお、本明細書において、「透明樹脂フィルムの温度」とは、スパッタ成膜時の透明樹脂フィルムの下地の設定温度である。例えば、ロールスパッタ装置により連続的にスパッタ成膜を行う場合の透明樹脂フィルムの温度とは、スパッタ成膜が行われるキャンロールの温度である。また、枚葉式(バッチ式)でスパッタ成膜を行う場合の基材温度とは、基材を載置するための基板ホルダーの温度である。
また、透明導電層は、エッチング等によりパターン化してもよい。例えば、静電容量方式のタッチパネルやマトリックス式の抵抗膜方式のタッチパネルに用いられる透明導電性フィルムにおいては、透明導電層がストライプ状にパターン化されることが好ましい。なお、エッチングにより透明導電層をパターン化する場合、先に透明導電層の結晶化を行うと、エッチングによるパターン化が困難となる場合がある。そのため、透明導電層のアニール処理は、透明導電層をパターン化した後に行うことが好ましい。
<透明導電性フィルム>
本実施形態の透明導電性フィルムは、長尺状の透明導電性フィルムがロール状に巻回された透明導電性フィルム巻回体とすることができる。長尺状の透明導電性フィルムの巻回体は、長尺状の透明樹脂フィルムのロール状巻回体を用い、前述の硬化樹脂層、光学調整層、透明導電層等の付加的な層を、いずれもロールtoロール製法により形成することによって形成し得る。このような巻回体の形成にあたっては、透明導電性フィルムの表面に、滑り性や耐ブロッキング性を考慮して、弱粘着層を備える保護フィルム(セパレータ)を貼り合わせた上で、ロール状に巻回してもよい。
<タッチパネル>
透明導電性フィルムは、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式などのタッチパネルに好適に適用できる。
タッチパネルの形成に際しては、透明導電性フィルムの一方または両方の主面に透明な粘着剤層を介して、ガラスや高分子フィルム等の他の基材等を貼り合わせることができる。例えば、透明導電性フィルムの透明導電層が形成されていない側の面に透明な粘着剤層を介して透明基体が貼り合わせられた積層体を形成してもよい。透明基体は、1枚の基体フィルムからなっていてもよく、2枚以上の基体フィルムの積層体(例えば透明な粘着剤層を介して積層したもの)であってもよい。また、透明導電性フィルムに貼り合わせる透明基体の外表面にハードコート層を設けることもできる。
透明導電性フィルムと基材との貼り合わせに用いられる粘着剤層としては、透明性を有するものであれば特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性及び接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点からは、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
上記の本発明にかかる透明導電性フィルムを、タッチパネルの形成に用いた場合、タッチパネル形成時のハンドリング性に優れる。そのため、透明性及び視認性に優れたタッチパネルを生産性高く製造することが可能である。
<画像表示装置>
本実施形態の透明導電性フィルムは画像表示装置に組み込むことができる。画像表示装置は、画像表示素子及び上述のタッチパネルを有する。画像表示素子は、一般的に画像表示セルの視認側にカラーフィルタを備え、視認側と反対側に偏光板を備える。画像表示セルとしては、液晶セルや有機ELセル等を用いることができる。
以下、本発明に関して実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(1)押し込み試験(硬度、塑性変形量)
以下の条件で押し込み試験を行い、第1の硬化樹脂層及び第2の硬化樹脂層の硬度[GPa]、塑性変形量[nm]を測定した。なお、試料は、下記のようにして作製した透明導電性フィルムを10wt%塩酸に5min浸漬し、透明導電層をエッチング処理した上で測定した。
装置:Hysitron Inc.製ナノインデンター
使用圧子:Berkovich(三角錐型)
測定方法:単一押し込み測定
測定温度:25℃
押し込み深さ設定:200nm
押込み速度:10nm/sec
測定雰囲気:空気中
試料サイズ:1cm×1cm
(測定方法)
上記の装置を使用し、室温(25℃)で1時間保持後、バーコビッチ型ダイヤモンド製圧子を試料中心部分の表面から深さ200nmまで垂直に押し込んで、第1の硬化樹脂層及び第2の硬化樹脂層の硬度[GPa]、塑性変形量[nm]を測定した。解析ソフト「Triboscan Ver.9.2.12.0」を用いて、圧子を押し込んだときの得られた変位、荷重と理論的に算出された圧痕面積から、表面の押し込み深さ(塑性変形量)及び硬度を求めた。ここで、押し込み深さは、圧子の荷重が0になっても、変形した試料表面が初期状態に戻らない(弾性回復しない)度合い、すなわち負荷過程における試料の塑性変形量を示す指標である。測定した結果を表1に示す。なお、硬度の差及び塑性変形量の差の算出式を以下に示す。
硬度の差=第1の硬化樹脂層の硬度−第2の硬化樹脂層の硬度
塑性変形量の差=第1の硬化樹脂層の塑性変形量−第2の硬化樹脂層の塑性変形量
(2)クラック確認試験
下記のようにして作製した成膜直後の透明導電性フィルム(初期抵抗値340Ω/□)を50℃条件下で5日間加熱し、アモルファス膜の一部を結晶化させた(抵抗値130Ω/□)。さらに、130℃で90分間加熱(結晶化アニール処理)して完全に結晶化させたサンプル(抵抗値100Ω/□)を形状解析レーザ顕微鏡(キーエンス、VK-X200、形状解析アプリケーション「VK-H1XA」、視野1μm×1μm)にてクラック観察を行った。測定した結果を図3〜5に示す。クラックが生じた場合を「〇」、クラックが発生しなかった場合を「×」として評価した。
(3)耐擦傷性の評価
スチールウール(φ25mm)を100gで荷重をかけながら、作成した第1の硬化樹脂層表面を10cmの長さで10回摺動させた後、第1の硬化樹脂層表面の状態を目視観察でキズ付き具合を評価した。傷が生じなかった場合を「〇」、全面に薄い傷が確認できた場合を「△」、全面に著しい傷が確認できた場合を「×」として評価した。測定した結果を表1に示す。
(4)厚みの測定
厚みは、1μm以上の厚みを有するものに関しては、マイクロゲージ式厚み計(ミツトヨ社製)にて測定を行った。また、1μm未満の厚みを有するものに関しては、瞬間マルチ測光システム(大塚電子社製 MCPD2000)を用い、干渉スペクトルの波形を基礎に算出した。
(5)線膨張係数
ASTM E831に準じて、25℃〜150℃の測定条件にて、熱機械分析により測定した。
(6)表面抵抗値の測定
JIS K7194に準じて、4端子法により測定した。
(7)重量平均分子量の測定
調製した樹脂組成物溶液中の成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定を行った。GPCの測定条件は、下記のとおりである。
測定機器:東ソー製の商品名HLC−8120
GPCカラム:東ソー製の商品名G4000HXL+商品名G2000HXL+商品名G1000HXL(各7.8mmφ×30cm、計90cm)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.8ml/分
入り口圧:6.6MPa
標準試料:ポリスチレン
<実施例1>
(第2の硬化樹脂層の形成)
第2の硬化樹脂層の形成材料として、DIC(株)製、商品名「ユニディックELS−888」を80重量部と、DIC(株)製、商品名「ユニディックRS28−605」を20重量部とを混合した樹脂組成物溶液を調製した。調製した樹脂組成物溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて重量平均分子量を確認したところ、樹脂組成物溶液には全樹脂成分に対して、重量平均分子量が200以上1000以下である成分Aが20重量%、重量平均分子量が10000〜10万の成分Bが80重量%含まれていた。
調製した樹脂組成物溶液を、基材フィルムとして厚み40μmのノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオノアフィルム」、以下、「COPフィルム」という。線膨張係数:7.0×10−5cm/cm・℃)の一方の面に塗布し、80℃で、1分間乾燥したのち、直ちにオゾンタイプ高圧水銀灯(UV強度180mW/cm、積算光量:230mJ/cm)で紫外線照射を行い、厚み1.0μmの第2の硬化樹脂層を形成した。
(第1の硬化樹脂層の形成)
COPフィルムの前記第2の硬化樹脂層を形成した面とは他方の面に紫外線硬化性を有する樹脂組成物(アイカ工業(株)製、「Z−850−6L」)を塗布し、80℃で1分間乾燥したのち、直ちにオゾンタイプ高圧水銀灯(UV強度160mW/cm、積算光量:230mJ/cm)で紫外線照射を行い、厚み1.0μmの第1の硬化樹脂層を形成した。
(透明導電層の成膜)
前記両面に硬化樹脂層が形成されたCOPフィルムを、巻き取り式スパッタ装置に投入し、酸化インジウムと酸化スズとを90:10重量比で含有する焼結体ターゲットを装着して、第1の硬化樹脂層の表面に、厚みが25nmの非晶質のインジウム・スズ酸化物からなる透明導電層を反応性スパッタリングにより成膜し、透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムは、透明導電層の表面抵抗値が340Ω/□であった。
<実施例2>
実施例1において、第1の硬化樹脂層の樹脂組成物として、表1に記載の樹脂組成物(JSR(株)製、「KZ6506」(成分:SiO2 粒子、粒子径:20nm、含有量:40%))を用いたこと以外は、実施例1と同様に透明導電性フィルムを作製した。
<実施例3>
実施例1において、第1の硬化樹脂層の樹脂組成物として、表1に記載の樹脂組成物(JSR(株)製、「Z7503」)を用いたこと以外は、実施例1と同様に透明導電性フィルムを作製した。
<実施例4>
実施例1において、第1の硬化樹脂層及び第2の硬化樹脂層の樹脂組成物として、表1に記載の樹脂組成物(JSR(株)製、「Z7503」(SiO2 粒子、粒子径:10〜15nm、含有量:40%))を用いたこと以外は、実施例1と同様に透明導電性フィルムを作製した。
<比較例1>
実施例1において、第2の硬化樹脂層の樹脂組成物して、表1の通り、第1の硬化樹脂層の樹脂組成物と同じ樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に透明導電性フィルムを作製した。
(結果及び考察)
まず、透明樹脂フィルム基材と線膨張係数との関係について、検討した。その結果、各基材での線膨張係数は、シクロオレフィン系樹脂フィルム(COPフィルム)が7.0×10-5cm/cm・℃、ポリカーボネート系樹脂フィルム(PCフィルム)が6.6×10-5cm/cm・℃、ポリエステル系樹脂フィルム(PETフィルム)が2.0×10-5cm/cm・℃であった。PETフィルムのような線膨張係数が低い基材を用いた場合には、熱膨張によるクラック発生への影響が少ない。一方、COPフィルム、PCフィルムのような線膨張係数が高く熱膨張しやすい基材を用いた場合に、クラックが発生しやすい。本発明では特に、COPフィルム、PCフィルムのような線膨張係数が高い基材を用いた場合であっても、ある程度の硬さを有する第1の硬化樹脂層を形成することで、熱変形を防止し、クラック発生を防止できると考えられる。
次に、得られた評価結果を表1に示す。表1に示す通り、実施例1〜4のように、第1の硬化樹脂層の硬度が、0.29GPa以上であると、COPフィルムのような線膨張係数が高い基材を用いた場合であって、かつ、50℃で5日間加熱保管した後(即ち、アモルファス膜の一部が結晶化したITO膜を用いて)結晶化アニール処理した場合であっても、ITO膜の表面にクラックを発生させることを防ぐことができた。さらに、第1の硬化樹脂層上での耐擦傷性の評価においても傷が生じず、良好な結果が得られた。なお、実施例1のように無機粒子を添加せずに、樹脂組成物のハードセグメント部分を多くすることで、硬い硬化樹脂層を形成できた。また、実施例2〜4のように樹脂組成物のハードセグメント部分を多くしなくても、無機粒子を添加することで、硬い硬化樹脂層を形成できた。
一方、比較例1のように、第1の硬化樹脂層の硬度が、0.29GPa未満であると、COPフィルムのような線膨張係数が高い基材を用いて、50℃で5日間加熱保管した後(即ち、アモルファス膜の一部が結晶化したITO膜を用いて)結晶化アニール処理した場合は、ITO膜の表面にクラックが発生した。さらに、第1の硬化樹脂層の耐擦傷性の評価においても傷が生じ、良好な結果が得られなかった。
次に、クラック発生時の写真を図3〜5に示す。図3は、比較例1でクラック確認試験後のレーザー顕微鏡(×50倍)の写真である。ITO膜の表面にクラックが生じていることが視覚的に確認できた。また、図4は、比較例1でクラック確認試験後の光学顕微鏡の写真である。さらに、図示はしていないが、クラックは、結晶化アニール処理時に付加される熱によって、基材や第1の硬化樹脂層が熱膨張するのに対して、透明導電層は熱膨張しにくく、この熱膨張の相違を起因として形成されていることが分かった。一方、図5は、実施例1でのクラック確認試験後のレーザー顕微鏡(×50倍)の写真である。ITO膜の表面にクラックが生じていないことが視覚的に確認できた。
1 透明樹脂フィルム
2 第1の硬化樹脂層
2´ 第2の硬化樹脂層
3 透明導電層
4 光学調整層
10、11 透明導電性フィルム

Claims (5)

  1. 第2の硬化樹脂層と、透明樹脂フィルムと、第1の硬化樹脂層と、透明導電層とをこの順に有する透明導電性フィルムであって、
    前記透明樹脂フィルムは、線膨張係数が5.0×10-5cm/cm・℃以上であり、
    前記第1の硬化樹脂層の押し込み試験による硬度が、0.29GPa以上である透明導電性フィルム。
  2. 前記第1の硬化樹脂層の押し込み試験による塑性変形量が、50nm以下である請求項1に記載の透明導電性フィルム。
  3. 前記透明樹脂フィルムは、シクロオレフィン系樹脂フィルム又はポリカーボネート系樹脂フィルムである請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム。
  4. 前記第1の硬化樹脂層と前記透明導電層との間に1層以上の光学調整層をさらに備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムを含むタッチパネル。
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