JP6941729B2 - 鋳造装置、鋳物の製造方法およびシール構造 - Google Patents

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Description

本発明は鋳造装置、鋳物の製造方法およびシール構造に関するものである。
金型のキャビティ減圧時に、チップとスリーブとの隙間から大気がリークして溶湯内へ吹き込むことが原因で生じる鋳巣や融合不良の発生を防ぐ技術として、非特許文献1には、チップと一体的にピストンを設け、射出時には、ピストンが一定位置に停止する技術が開示されている。これにより、射出時にチップとピストンとの間に減圧空間を形成し、チップとスリーブとの隙間からのリークを防止する。
発明協会公開技報公技番号2006−504829号
特開2011−206827号公報
しかし、非特許文献1に開示される技術では、ピストンは、チップとピストンとの間に形成される減圧空間の真空度を確保するための気密性と、スリーブ内の滑り易さ(摺動性)と、が要求される。気密性および摺動性は一方を追求すると他方が犠牲になるトレードオフの関係にあり、両者は微妙なバランスの上に成り立っているので、両者のバランスの調整が難しく、さらに装置を稼働するとそのバランスが崩れて各特性が損なわれ易い。さらに、注湯時に溶湯が溜まるスリーブの底部と空間ができるスリーブの上部との温度差によって、スリーブの長手方向の両端が反り上がる熱変形が生じるので(特許文献1)、早期にリークが生じたりピストンの動きが悪くなったりして、安定に稼働できないという問題点がある。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、チップとスリーブとの隙間からのリークを抑制しつつ安定稼働できる鋳造装置、鋳物の製造方法、及びそれらに適したシール構造を提供することを目的としている。
この目的を達成するために本発明の鋳造装置は、減圧される金型のキャビティに連通し注湯口が形成されるスリーブと、スリーブに挿入されるチップと、チップに取り付けられるロッドと、ロッドを介してチップに力を加える射出装置と、ロッドが中央を摺動しスリーブとの間に隙間が形成される摺動部材と、摺動部材の外周に配置されたシール部材と、スリーブ内の空気を吸引する吸引装置と、を備え、注湯口よりもキャビティ側のスリーブの中間部にシール部材が位置しつつスリーブ内の摺動部材とチップとの間の空間の空気が吸引されると、シール部材は中間部に密着する第1状態となり、中間部にシール部材が位置しつつ空間の空気が吸引される前は、第1状態において中間部からシール部材が受ける力よりも弱い力を中間部からシール部材が受ける第2状態となり、第1状態においてキャビティ側へチップが前進する。
本発明の鋳物の製造方法は、金型のキャビティに連通するスリーブの注湯口からスリーブに溶湯を供給する注湯工程と、ロッドが取り付けられたチップ及びロッドが中央を摺動する摺動部材を、注湯口よりもキャビティ側の中間部に摺動部材が位置し、且つ、中間部よりもキャビティ側にチップが位置するまで前進させる前進工程と、前進工程により前進させた摺動部材のキャビティ側への前進を規制した状態で、スリーブ内の摺動部材とチップとの間の空間の空気を吸引し、摺動部材の外周に配置されたシール部材が中間部に密着する第1状態とする吸引工程と、キャビティ内を減圧し、且つ、第1状態のときに、ロッドを介してチップをキャビティ側へ前進させ、スリーブ内の溶湯をキャビティ内へ射出する射出工程と、を備え、前進工程では、第1状態において中間部からシール部材が受ける力よりも弱い力を中間部からシール部材が受ける第2状態となる。
本発明のシール構造は、鋳造装置に用いられるものであり、中心線に直交する断面が円形状の外周面をもつ第1部材と、中心線に直交する断面が円形状の内周面をもち、その内周面が第1部材の外周面と径方向に隙間をあけて配置される第2部材と、第1部材および第2部材の一方に配置されるシール部材と、を備える。隙間の空気が吸引されると、シール部材は第1部材および第2部材の他方に密着して隙間を塞ぐ第1状態となり、隙間の空気が吸引される前は、第1状態において第1部材および第2部材の他方からシール部材が受ける力よりも弱い力を第1部材および第2部材の他方からシール部材が受ける第2状態となる。第1部材および第2部材は第2状態のときに中心線の方向へ相対移動する。
請求項1記載の鋳造装置によれば、摺動部材とスリーブとの間に隙間が形成される。注湯口よりもキャビティ側のスリーブの中間部にシール部材が位置しつつスリーブ内の摺動部材とチップとの間の空間の空気が吸引されると、シール部材は中間部に密着する第1状態となる。一方、中間部にシール部材が位置しつつ空間の空気が吸引される前は気密性を要しないので、第1状態において中間部からシール部材が受ける力よりも弱い力を中間部からシール部材が受ける第2状態となる。これにより、摺動部材がスリーブ内を移動するときのシール部材の摩擦を抑制できるので、スリーブが長手方向に反る熱変形が生じても摺動部材はスリーブ内をスムーズに移動できる。その結果、中間部にシール部材を位置させ、第1状態においてキャビティ側へチップを前進させることができるので、チップとスリーブとの隙間からキャビティへの大気のリークを抑制しつつ安定稼働できる。
なお、第2状態においてシール部材が中間部に接触していないときは、シール部材が中間部から受ける力はゼロである。一方、第1状態において中間部からシール部材が受ける力はゼロより大きいので、シール部材が中間部から受ける力がゼロのときも第2状態に該当する。
請求項2記載の鋳造装置によれば、第2状態ではシール部材と中間部との間に隙間があるので、請求項1の効果に加え、シール部材の摩耗をさらに抑制できる。また、中間部からシール部材への熱伝導による影響をシール部材に与え難くできる。よって、シール部材の熱による劣化を抑制できる。
請求項3記載の鋳造装置によれば、シール部材は第1縁および第2縁を備える帯状の部材であり、第1縁側は摺動部材の全周に密着する。第2縁は第1縁よりも射出装置側に配置されると共に解放されているので、空間の空気が吸引されるとスリーブと摺動部材との隙間に気流が生じ、その気流にシール部材の第2縁側が吸引されてスリーブに密着する。よって、請求項1又は2の効果に加え、スリーブへのシール部材の密着の度合いを容易に変えられる。
請求項4記載の鋳造装置によれば、シール部材の端部は、周方向の端へ向かうにつれて厚さが次第に薄くなり、互いに突き合わされる。これにより、シール部材の第2縁側が吸引されてスリーブに密着したときに、端部の第2端側の間に隙間を生じ難くできる。その結果、請求項3の効果に加え、気密性を向上できる。
請求項5記載の鋳造装置によれば、摺動部材は、シール部材の第2縁の内側に凹部が形成され、第2状態において第2縁の少なくとも一部と凹部との間に隙間がある。よって、スリーブと摺動部材との隙間に生じた気流の一部が凹部に進入し、シール部材の第2縁側をスリーブ側に押し出す。その結果、請求項3又は4の効果に加え、シール部材の気密信頼性を向上できる。
請求項6記載の鋳造装置によれば、摺動部材はシール部材よりも射出装置側の外周に凸部を備え、凸部の外縁は、第1状態におけるシール部材の外縁よりも径方向の内側に位置する。凸部の外縁は、第2状態におけるシール部材の外縁よりも径方向の外側に位置するので、注湯時にスリーブの外で溶湯が凝固した金属片や鋳バリ等(以下「異物」と称す)を、摺動部材がスリーブを後退するとき等にシール部材へ到達し難くできる。よって、請求項1から5のいずれかの効果に加え、異物によるシール部材の損傷を抑制できる。
請求項7記載の鋳造装置によれば、注湯口へ空気を噴射する第1ブロー装置により、注湯口やその周辺に存在する異物を除去できる。その結果、摺動部材が注湯口を前進するとき等に、摺動部材とスリーブとの間に異物をかみ込み難くできる。よって、請求項1から6のいずれかの効果に加え、摺動部材とスリーブとの間に異物がかみ込むことによる動作不良の発生を抑制できる。
請求項8記載の鋳造装置によれば、注湯口に隣接するスリーブの射出装置側の後端部の内周面は、第1部が、スリーブの中心軸の方向に注湯口と重なり、第1部のスリーブの周方向に第2部が隣接し、第2部にチップの外周面が接する。第1部とスリーブの中心線との距離は、第2部と中心線との距離よりも長い。そのため、注湯口の中のチップの上に異物が残っても、第1ブロー装置が噴射する空気によって、第1部から異物を除去し易くできる。よって、請求項7の効果に加え、摺動部材とスリーブとの間に異物がかみ込むことによる動作不良の発生をさらに抑制できる。
請求項9記載の鋳造装置によれば、スリーブの射出装置側の端部に端部材が配置され、スリーブの中心線の方を向く端部材の内面は、注湯口を中心線に沿って射出装置側に延長した範囲の一部に第3部が重なり、第3部のスリーブの周方向に第4部が隣接する。第3部と中心線との距離は、第4部と中心線との距離よりも長い。そのため、第1ブロー装置が噴射する空気によって、第3部から異物を除去し易くできる。よって、請求項8の効果に加え、摺動部材とスリーブとの間に異物がかみ込むことによる動作不良の発生をさらに抑制できる。
請求項10記載の鋳造装置によれば、第2ブロー装置は、スリーブの射出装置側の端部から突出した摺動部材に空気を噴射する。よって、請求項1から9のいずれかの効果に加え、摺動部材に付着した異物の除去や摺動部材の冷却ができる。
請求項11記載の鋳造装置によれば、端部材には、第2ブロー装置から噴射された空気が通じる溝が形成されている。溝は少なくとも一部がスリーブの周方向に沿って延びているので、チップや摺動部材のうちスリーブの外にある部分に、周方向に広く空気を噴射できる。よって、請求項9の効果に加え、さらに異物の除去や摺動部材の冷却ができる。
請求項12記載の鋳造装置によれば、吸引装置に接続された配管にエアフィルタが配置されている。よって、請求項1から11のいずれかの効果に加え、吸引された空気に異物が混ざっていても、吸引装置に異物が到達しないようにできる。
請求項13記載の鋳造装置によれば、摺動部材よりも射出装置側にストッパが配置され、ストッパと摺動部材とが連結部材に連結される。ストッパは、第1ストッパに接触して中間部よりもキャビティ側への摺動部材の前進を規制する。第1ストッパよりも射出装置側に第2ストッパが配置され、ストッパは、第2ストッパに接触して射出装置側への摺動部材の後退を規制する。これにより、摺動部材の前進・後退の位置を機械的に規制できる。摺動部材は、ロッドの外周面と摺動部材との摩擦によってロッドと共に移動し、チップは、注湯口よりも射出装置側へ後退するときに、第2ストッパにストッパが接触して停止した摺動部材とチップの摺動部材側の面との間に隙間がある位置で停止するので、請求項1から12のいずれかの効果に加え、摺動部材とチップとの間に異物をかみ込み難くできる。
請求項14記載の鋳造装置によれば、スリーブは注湯口よりもキャビティ側に吸引口が形成され、吸引口に吸引装置が接続される。中間部は注湯口と吸引口との間に位置するので、請求項1から13のいずれかの効果に加え、空間の空気を吸引するための機構を簡素化できる。
請求項15記載の鋳物の製造方法によれば、注湯工程において、金型のキャビティに連通するスリーブの注湯口からスリーブに溶湯が供給される。前進工程において、ロッドが取り付けられたチップ及びロッドが中央を摺動する摺動部材は、注湯口よりもキャビティ側に位置する中間部に摺動部材が位置し、且つ、吸引口よりもキャビティ側にチップが位置するまで前進する。吸引工程において、摺動部材のキャビティ側への前進が規制された状態で、スリーブ内の摺動部材とチップとの間の空間の空気が吸引され、摺動部材の外周に配置されたシール部材が中間部に密着する第1状態となる。よって、空間の圧力を低くできる。射出工程において、キャビティ内が減圧された状態で第1状態のときに、ロッドを介してチップがキャビティ側へ前進し、スリーブ内の溶湯がキャビティ内へ射出されるので、チップとスリーブとの隙間からキャビティへの大気のリークを抑制できる。
前進工程では、第1状態において中間部からシール部材が受ける力よりも弱い力を中間部からシール部材が受ける第2状態となるので、スリーブが長手方向に反る熱変形が生じても、摺動部材はスリーブ内をスムーズに移動できる。よって、安定稼働ができる。
請求項16記載の鋳物の製造方法によれば、前進工程において、摺動部材が注湯口へ到達する前に、第1噴射工程では注湯口の内側へ空気が噴射されるので、注湯口やその周辺に存在する異物を除去できる。その結果、摺動部材が注湯口を前進するとき等に、摺動部材とスリーブとの間に異物をかみ込み難くできる。よって、請求項15の効果に加え、摺動部材とスリーブとの間に異物がかみ込むことによる動作不良の発生を抑制できる。
請求項17記載の鋳物の製造方法によれば、射出工程の後、後退工程によりチップ及び摺動部材が後退する。後退工程において第2噴射工程では、チップ及び摺動部材の少なくとも一方のスリーブの外の部分に空気が噴射されるので、請求項15又は16の効果に加え、異物の除去や摺動部材の冷却ができる。
請求項18記載の鋳物の製造方法によれば、後退工程では第2状態となる。よって、請求項15又は16の効果に加え、スリーブが長手方向に反る熱変形が生じても、摺動部材を後退させることができる。
請求項19記載のシール構造によれば、第1部材の外周面と第2部材の内周面との間に隙間が形成される。シール部材は第1部材および第2部材の一方に配置される。隙間の空気が吸引されると、シール部材は第1部材および第2部材の他方に密着する第1状態となり、隙間を塞ぐ。一方、隙間の空間の空気が吸引される前は、第1状態において第1部材および第2部材の他方からシール部材が受ける力よりも弱い力を第1部材および第2部材の他方からシール部材が受ける第2状態となる。第1部材および第2部材は第2状態のときに中心線の方向へ相対移動するので、第1状態における気密性を確保しつつ、第1部材および第2部材が相対移動するときのシール部材の摩擦を抑制できる。
なお、第2状態においてシール部材が第1部材および第2部材の他方に接触していないときは、シール部材が第1部材および第2部材の他方から受ける力はゼロである。一方、第1状態において第1部材および第2部材の他方からシール部材が受ける力はゼロより大きいので、シール部材が第1部材および第2部材の他方から受ける力がゼロのときも第2状態に該当する。
第1実施の形態における鋳造装置の断面図である。 (a)は図1のIIa−IIa線における鋳造装置の断面図であり、(b)は図1のIIb−IIb線における鋳造装置の断面図である。 鋳造装置の斜視図である。 (a)は前進工程後の鋳造装置の断面図であり、(b)は射出工程における鋳造装置の断面図である。 図4(a)のVで示す部分を拡大した鋳造装置の断面図である。 シール部材の斜視図である。 (a)は摺動部材とチップとの間の空間の圧力およびキャビティの圧力の測定結果であり、(b)はキャビティ及び空間の圧力差とキャビティ内へ引き込まれた溶湯の質量との相関図である。 第2実施の形態における鋳造装置の断面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず図1を参照して第1実施の形態における鋳造装置10について説明する。図1はスリーブ20の中心線Oを含む鋳造装置10の断面図である。鋳造装置10は、金型11に取り付けられたスリーブ20(第2部材)、スリーブ20に挿入されるチップ30及び摺動部材50(第1部材)を備えている。鋳造装置10は、スリーブ20内のチップ30を前進させて金型11に溶湯(アルミニウム合金等)を射出し鋳造する装置である。
金型11は固定型12と可動型13とを備え、固定型12及び可動型13によって鋳物(ダイカスト製品)を成形するためのキャビティ14が形成される。金型11のキャビティ14に連通する流路に止め弁15が接続される。止め弁15に第1配管16が接続されている。第1配管16は第1弁17が配置され、キャビティ14内を減圧するため、第1弁17の下流に減圧タンク18を介して真空ポンプ19が接続されている。第1配管16は、第1弁17と減圧タンク18との間にエアフィルタ36が配置されている。
スリーブ20(第2部材)は、固定型12に先端が固定されキャビティ14に連通する円筒状の部材であり、中心線Oに直交する断面が円形状の内周面をもつ。スリーブ20は、スリーブ20に溶湯が供給される注湯口21が設けられている。チップ30はスリーブ20に挿入される円柱状の部材である。チップ30は継手30aを介してロッド31が同軸上に取り付けられている。ロッド31はチップ30に押側または引側の力を伝達する部材であり、油圧シリンダやアキュムレータ等を備える射出装置32により操作される。継手30aを介してロッド31の先端に取り付けられたチップ30は、射出装置32によりスリーブ20内を中心線Oに沿って前進(キャビティ14側へ移動)・後退(射出装置32側へ移動)する。継手30aの直径は、チップ30の直径よりも小さく、ロッド31の直径よりも大きい。
スリーブ20は、注湯口21よりもキャビティ14側の中間部23に、注湯口21と中心線Oの方向に間隔をあけて吸引口22が形成されている。吸引口22はスリーブ20内の大気を吸引するための開口である。吸引口22には、第2弁34が配置された第2配管33が接続されている。第2配管33は、第2弁34よりも下流で減圧タンク18に接続する。
第2弁34は三方弁であり、吸引口22と減圧タンク18との遮断、吸引口22と減圧タンク18との連通、吸引口22と減圧タンク18とを遮断し吸引口22の大気開放のいずれかに切り換えられる。第2配管33は、吸引口22と第2弁34との間にエアフィルタ35が配置されている。第1弁17及び第2弁34の動作は制御装置80(後述する)によって制御される。
図2(a)は図1のIIa−IIa線における鋳造装置10の断面図である。注湯口21に隣接するスリーブ20の射出装置32側の後端部24の内周面25は、注湯口21と中心線Oの方向に重なる第1部26と、第1部26のスリーブ20の周方向の両側に隣接する第2部27と、を備えている。第2部27にはチップ30の外周面が接触する。第1部26と中心線Oとの距離は、第2部27と中心線Oとの距離よりも長い。即ち、第1部26は第2部27に対して径方向に凹んでいる。従って、チップ30が第2部27に接触しているときに、第1部26はチップ30と離間する。
図2(b)は図1のIIb−IIb線における鋳造装置10の断面図である。スリーブ20の後端面20aには、端部材40が配置されている。本実施形態では、端部材40は円環状の内面41を有している。端部材40の内面41は、注湯口21と中心線Oの方向に一部が重なり注湯口21よりも幅(周方向の長さ)が大きい第3部42と、第3部42の周方向の両側に隣接する第4部43と、を備えている。第3部42とスリーブ20の中心線Oとの距離は、第4部43と中心線Oとの距離よりも長い。即ち、第3部42は第4部43に対して径方向に凹んでいる。なお、端部材40の外径は、スリーブ20の外径と同一またはスリーブ20の外径よりも小さい値に設定されている。ラドル(図示せず)等と端部材40との干渉を防ぐためである。
端部材40の第3部42と中心軸Oとの距離は、スリーブ20の第1部26と中心軸Oとの距離よりも長い。即ち、中心軸O方向から見て、第3部42は第1部26に対して径方向に凹んでいる。端部材40では、中心線Oを挟んで第3部42の反対側に位置する第5部44は、端部材40の材料が径方向の全長に亘って取り除かれている。端部材40は、周方向に延びる溝45が形成されている。本実施形態では溝45は第3部42と第5部44との間にそれぞれ形成され、端部材40の後端面40aに開口している。溝45は、端部材40の外周面40bに開口する穴46に接続されている。溝45は、端部材40の内周面に開口しつつ周方向へ延びる溝47に連なる。
図1に戻って説明する。端部材40は、第1ストッパ47が固定されている。第1ストッパ47は、ロッド31が中央を貫通しロッド31が摺動する摺動部材50の前進を規制するための部材である。第1ストッパ47には、射出装置32へ向けて直線状に延びる棒状のアーム48が固定されている。アーム48の後端には第2ストッパ49が固定されている。第2ストッパ49は摺動部材50の後退を規制するための部材である。
摺動部材50(第1部材)は、外周にシール部材60が固定される円筒状の金属製の第1筒体51と、第1筒体51の内側に配置されると共にロッド31が中央を摺動する金属製の第2筒体52と、を備えている。ロッド31と第2筒体52との間は気密が確保されている。
第1筒体51は、中心線Oに直交する断面が円形状の外周面をもつ。第1筒体51の外径はスリーブ20の内径よりも小さく、第1筒体51に固定されたシール部材60の外径もスリーブ20の内径より小さい。従って、摺動部材50がスリーブ20内を移動するときの摺動部材50及びシール部材60とスリーブ20との摩擦は無視できる。よって、摺動部材50は、第2筒体52とロッド31との摩擦により、ロッド31の前進・後退に伴いロッド31と共に移動する。
摺動部材50は、シール部材60が固定される第1筒体51に、ロッド31と摩擦を生じる第2筒体52が嵌め込まれているので、一方の部材が消耗したときに、その部材だけを交換して摺動部材50を組み立てられる。よって、摺動部材50のメンテナンス性を向上できる。さらに、スリーブ20を内径の異なるものに交換するときに、摺動部材50の全てを交換しなくても、第1筒体51だけを交換して済むようにできる。
図3は鋳造装置10の斜視図である。図3ではロッド31の後端側の図示およびスリーブ20の図示が省略されている。摺動部材50は、ロッド31に沿って延びる連結部材74によってストッパ70を固定している。連結部材74は、第2筒体52の後端面に設けられている。本実施形態では、ストッパ70は、ロッド31の外周に対向する第1面71が凹状に形成され、第1面71の反対側の第2面72が凸状に形成された板状の部材である。第1面71は、ロッド31の外周の半分に面している。これにより、ロッド31の全周をストッパが取り囲むものに比べて、ストッパ70を交換し易くできる。
ストッパ70には、厚さ方向に貫通する穴(図示せず)が形成されており、その穴をアーム48が貫通する。ストッパ70が第2ストッパ49に当たると、摺動部材50の後退が規制される。ストッパ70が第1ストッパ47に当たると、摺動部材50の前進が規制される。
連結部材74は、ロッド31の周方向に互いに間隔をあけてロッド31に沿って設けられる複数の棒状の第1部材75を備えている。これにより、ロッド31の全周を連結部材が取り囲むものに比べて、連結部材74をロッド31の周りに取り付けやすくできる。連結部材74は、隣り合う第1部材75同士を連結する板状の第2部材76を備えている。第2部材76によって、複数の第1部材75を中心線Oの回りにねじれ難くできるので、連結部材74の破損を防止できる。
図1に戻って説明する。鋳造装置10は型締装置、押出装置(いずれも図示せず)、射出装置32、第1ブロー装置82及び第2ブロー装置83(後述する)の動作を制御する制御装置80を備えている。鋳造装置10は、ストッパ70の変位量(即ち摺動部材50の変位量)を検出し、その検出結果を制御装置80へ出力する変位センサ81が配置されている。本実施形態では、変位センサ81はストッパ70へ照射したレーザ光の反射光を利用する非接触式のセンサであるが、これに限られるものではない。接触式の変位センサ81を用いることは当然可能である。
第1ブロー装置82は、注湯口21へ空気を噴射する装置である。第1ブロー装置82は、コンプレッサやエアタンク等のエア源84に接続された第3配管85と、第3配管85の端部に接続されたノズル87と、ノズル87の上流の第3配管85に配置された第3弁86と、を備えている。第3弁86は第3配管85の開閉を行う。ノズル87は、注湯口21へ向けて射出装置32側へ空気を噴射するように、スリーブ20の中間部23の外周に配置されている。
第2ブロー装置83は、スリーブ20の後端面20aから突出した摺動部材50に空気を噴射する装置である。第2ブロー装置83は、エア源84に接続された第4配管88と、第4配管88に配置された第4弁89と、を備えている。第4弁89は第4配管88の開閉を行う。本実施形態では、第4配管88は端部材40に形成された穴46(図2(b)参照)に接続されており、端部材40の後端面40aに開口する溝45から空気が噴射する。制御装置80は第3弁86や第4弁89の動作を制御する。
図1及び図4(a)から図5を参照して鋳物を製造するときの鋳造装置10の動作、並びに、摺動部材50及びシール部材60の構造について説明する。鋳物(ダイカスト製品)は、鋳造装置10により、型締め、射出、製品押出を経て製造される。射出は順に、注湯工程、前進工程、吸引工程、射出工程および後退工程がある。図4(a)は前進工程後の鋳造装置10の断面図であり、図4(b)は射出工程における鋳造装置10の断面図である。
図1に示すように注湯工程では、チップ30はスリーブ20の後端部24の内側に位置し、注湯口21を開放する。摺動部材50はスリーブ20の外に現れている。第1弁17、第2弁34、第3弁86及び第4弁89は閉じている。この状態で注湯口21からスリーブ20に溶湯が供給される。
前進工程では、射出装置32によりロッド31が押し出されてチップ30が前進する。ロッド31と摺動部材50との摩擦によって、チップ30と一緒に摺動部材50も前進する。前進したチップ30が注湯口21の内側に来てチップ30の先端が注湯口21を超えてチップ30が注湯口21を塞いだときに、第3弁86を開いてノズル87(第1ブロー装置82)から注湯口21へ空気を噴射する(第1噴射工程)。
第1噴射工程により、溶湯が凝固した金属片(例えばラドルからチップ30の上に垂れた溶湯が凝固したもの)等の異物を吹き飛ばすことができる。その結果、チップ30に続いてスリーブ20に進入する摺動部材50とスリーブ20との間に異物をかみ込み難くできる。注湯口21に繋がる第1部26が、スリーブ20の後端部24の内周面25に形成されているので、第1部26により、ノズル87から注湯口21へ噴射された空気による異物の除去効果を向上できる。
また、注湯口21よりも幅(周方向の長さ)の大きい第3部42が端部材40の内面41に形成されており、第1部26に繋がる第3部42の幅は第1部26の幅より大きいので、ノズル87から噴射された空気により第1部26を通過した異物を、端部材40に遮られることなく吹き飛ばして除去できる。また、第3部42と中心軸Oとの距離は、第1部26と中心軸Oとの距離よりも長いので、第1部26を通過した異物を第3部42から除去し易くできる。なお、第3部42と中心軸Oとの距離は、第1部26と中心軸Oとの距離と同一であっても構わない。この場合も、第1部26を通過した異物の移動を第3部42が妨げ難くできるからである。
図4(a)に示すように、摺動部材50と一緒に前進するストッパ70が第1ストッパ47に当たると、摺動部材50は前進を停止する。摺動部材50が前進を停止する位置は、チップ30が吸引口22を超えて前進し、摺動部材50に固定されたシール部材60が中間部23の内側に来たときである。摺動部材50が前進を停止する位置は、連結部材74によって連結されるストッパ70と摺動部材50との距離によって機械的に調整される。
摺動部材50が前進を停止すると、制御装置80は第2弁34を開く。減圧タンク18と吸引口22とが連通するので、吸引口22からスリーブ20内の大気が吸引される。第2弁34が配置された第2配管33にエアフィルタ35が配置されているので、吸引口22から吸引された空気に異物が混ざっていても、第2弁34や減圧タンク18に異物が到達しないようにできる。
図5は図4(a)のVで示す部分を拡大した鋳造装置10の断面図である。摺動部材50は、外周面にシール部材60が固定される円筒部53と、円筒部53の先端側(図5左側)から径方向の外側へ向けて鍔状に張り出す鍔部54と、円筒部53の後端側(図5右側)から径方向の内側へ向けて凹む凹部55と、凹部55の後端側から径方向の外側へ向けて突出する凸部58と、を備えている。
凹部55は、中心線Oに沿って外径が同一の円筒面56と、後端側へ向かうにつれて拡径する円錐面57と、を備えている。凸部58は、摺動部材50の全周に亘って設けられている。凸部58の直径はスリーブ20の内径よりも小さいので、凸部58の外縁58a(外周面)と中間部23との間に隙間59ができる。なお、鍔部54の直径もスリーブ20の内径より小さいので、鍔部54とスリーブ20との間にも隙間ができる。
シール部材60は、第1縁61と第2縁62とを備える帯状の弾性を有する部材である。本実施形態ではシール部材60はフッ素ゴム等のゴム製である。シール部材60は、円筒部53と鍔部54との隅に第1縁61を突き当て、シール部材60の帯の両端を突き合わせて円筒部53の全周に巻かれる。シール部材60は、金属製のバンド63によって円筒部53に第1縁61側が締め付けられることにより、第1縁61側が円筒部53の全周に亘って密着し、第2縁62は開放される。シール部材60は、第2縁62の少なくとも一部と凹部55(円筒面56及び円錐面57)との間に隙間がある状態で、円筒部53に取り付けられる。本実施形態では、シール部材60の第2縁62は、円筒面56と円錐面57との境界よりも後端側(図5右側)に位置する。
図6はシール部材60の模式的な斜視図である。図6では摺動部材50の外周に巻かれたシール部材60が図示されている。図6では、シール部材60の内周面60bに密着する摺動部材50(第1筒体51)、及び、シール部材60の外周面60aに密着するバンド63(いずれも図5参照)の図示は省略されている。本実施形態では、シール部材60は第1シール64及び第2シール65の2部材からなり、第1シール64及び第2シール65の周方向の端部66が、互いに突き合わされている。
第1シール64及び第2シール65の端部66(切り口の部分)は、周方向の端へ向かうにつれて厚さが次第に薄くなっている。そのため、端部66が互いに突き合わされた部分は、第1シール64及び第2シール65の2部材が、第1縁61から第2縁62まで、周方向に延びる所定の範囲で重なっている。
図5に戻って説明する。凸部58の外縁58aは、スリーブ20内の大気が吸引されていないとき(後述する第2状態)のシール部材60の第2縁62の外縁よりも径方向の外側に位置する。凸部58の外縁58aと中間部23(スリーブ20)との間に隙間59があるので、摺動部材50及びシール部材60はスリーブ20に擦れずにスリーブ20内を前進できる。
これにより、摺動部材50を滑らかに前進させることができ、スリーブ20による摺動部材50及びシール部材60の摩耗を防止できる。また、スリーブ20が長手方向に反る熱変形が生じても、特別な駆動装置を追加することなく、摺動部材50を安定して前進させることができる。さらに、スリーブ20の内面に異物が付着していても、シール部材60がスリーブ20から離れているので、異物にシール部材60が干渉し難くでき、シール部材60を破損させ難くできる。
なお、変位センサ81によって摺動部材50の変位(前進)の異常が検出されると、制御装置80は、警報を発すると共に射出装置32を停止させる。これにより、異常や破損が進行する前の初期段階で異常に対応できる。その結果、原因の調査や復旧作業に要する時間を短縮できる。
吸引工程では、チップ30が吸引口22よりもキャビティ14側に位置し、且つ、摺動部材50が中間部23に位置しているので、中間部23と摺動部材50及びシール部材60との隙間59の第2縁62側から第1縁61を経て吸引口22へ大気が流れ込む。その気流により隙間59の圧力が低下し、シール部材60の第2縁62側が吸引され、第2縁62が中間部23に密着する(図5の二点鎖線で示すシール部材60)。チップ30と摺動部材50との間の空間59aとシール部材60よりも射出装置32側の隙間59との圧力差によって、シール部材60は中間部23に押し付けられる。シール部材60は、その反力として中間部23から力を受ける第1状態となる。
また、摺動部材50はシール部材60の内側に凹部55が設けられているので、隙間59から吸引口22へ流れる大気の一部が凹部55へ進入して、シール部材60の第2縁62側を径方向の内側から外側へ押す。これにより、シール部材60の第2縁62をさらに中間部23に密着させ易くできる。さらに、凹部55は後端側(図5右側)に円錐面57が形成されているので、大気の一部を凹部55へ進入させ易くできる。その結果、シール部材60の第2縁62をますます中間部23に密着させ易くできる。これにより、シール部材60による気密信頼性を向上できる。
シール部材60は端部66(切り口の部分)が、周方向の端へ向かうにつれて厚さが次第に薄くなり、互いに突き合わされているので、シール部材60の第2縁62側が吸引されてスリーブ20に密着したときに、端部66の第2縁62側の間に隙間を生じ難くできる。よって、気密性を向上できる。
シール部材60が中間部23に密着する第1状態では、チップ30とシール部材60とによって囲まれた空間59aの圧力が、減圧タンク18(図1参照)の圧力付近まで低下する。次いで、第1弁17を開いてキャビティ14を減圧する。これによりキャビティ14の圧力が、減圧タンク18の圧力付近まで低下する。第1配管16にエアフィルタ36が配置されているので、第1配管16を流れる空気に異物が混ざっていても、減圧タンク18に異物が到達しないようにできる。
図4(b)に示すように、射出工程では、キャビティ14が減圧された状態で射出装置32によりチップ30を速度V1で前進させ、溶湯をキャビティ14へ射出する(第1工程)。溶湯を射出するときのキャビティ14の真空度とチップ30と摺動部材50との間の空間59aの真空度とが同程度なので、チップ30とスリーブ20との間からキャビティ14への大気のリークを抑制できる。これにより、溶湯内へ空気が吹き込まれることによる鋳巣の発生を抑制できる。
また、チップ30と摺動部材50との間の空間59aが減圧されるので、溶湯中へ引き込まれる空気が減り、その空気で押し出され難くなるので、チップ30で溶湯をキャビティ14へ押し出すよりも先に溶湯をキャビティ14へ引き込み難くできる。これにより、先にキャビティ14に引き込まれた溶湯とチップ30で押し込まれた溶湯との融合不良の発生や鋳巣の発生を抑制できる。なお、スリーブ20内の空間59aやキャビティ14を減圧する順序は必ずしもこれに限られるものではない。順序を入れ替え、キャビティ14を減圧した後に空間59aを減圧することは当然可能である。
次に、射出装置32によりチップ30を速度V2(V2>V1)でさらに前進させ、溶湯をキャビティ14へ射出する(第2工程)。第2工程においてキャビティ14に加えられる圧力は第1工程における空間59aの圧力(約0.1MPa)よりも非常に大きく、さらに第2工程の時間は第1工程の時間に比べて非常に短い。
図7を参照して、鋳造装置10の圧力やキャビティ14へ引き込まれた溶湯の質量を測定した結果について説明する。図7(a)は鋳造装置10の空間59aの圧力およびキャビティ14の圧力の測定結果であり、図7(b)はキャビティ14及び空間59aの圧力差とキャビティ14内へ引き込まれた溶湯の質量との相関図である。
図7(a)において、第1縦軸はキャビティ14及び空間59aの圧力であり、第2縦軸はスリーブ20内の溶湯の充填率であり、横軸は工程である。横軸の点Aは注湯口21からスリーブ20への注湯時、点Bはキャビティ14の減圧開始時、点Cは空間59aの吸引開始時、点Dは第1工程の終了時(充填率98%の時)を示す。点Dから第2工程が始まる。鋳造装置10は、点Dにおいて、空間59aとキャビティ14との圧力差はほぼゼロ(1kPa程度)であることが確認された。
図7(b)に示す相関図は、試験的に第1工程の終了時(図7(a)の点D)に射出を止め、その時にキャビティ14へ引き込まれた溶湯の質量を測定した結果から求めたものである。図7(b)において、横軸は第1工程の終了時(図7(a)の点D)における空間59aとキャビティ14との圧力差である。縦軸は、スリーブ20からキャビティ14へ引き込まれた溶湯の質量である。
図7(b)に示すように鋳造装置10では、空間59aとキャビティ14との圧力差とキャビティ14へ引き込まれた溶湯の質量との間に、高い正の相関が認められた。鋳造装置10は、第1工程終了時の空間59aとキャビティ14との圧力差をほぼゼロにできるので(図7(a)参照)、キャビティ14へ引き込まれる溶湯を極めて少なくできることが確認された。よって、鋳造装置10は、キャビティ14に引き込まれた溶湯とチップ30で押し込まれた溶湯との融合不良や鋳巣の発生が少ない鋳物を製造できる。
図7(b)に示す比較例は、摺動部材50を省略する代わりに、スリーブ内を摺動するリングが外周に配置されたチップがロッドに取り付けられた鋳造装置の結果である。比較例では、充填率98%の時の、チップに配置されたリングよりも射出装置側のスリーブ内の空間とキャビティとの圧力差と、キャビティへ引き込まれた溶湯の質量と、を測定した。比較例における鋳造装置は、充填率98%の時の圧力差が鋳造装置10に比べて大きく、キャビティへ引き込まれた溶湯の質量が大きいことがわかった。鋳造装置10は、比較例における鋳造装置に比べ、空間59aとキャビティ14との圧力差を小さくできるので、高品質の鋳物の製造に適している。
図1に戻って説明する。溶湯を射出した後、第2弁34を操作して、吸引口22と減圧タンク18とを遮断し吸引口22を大気開放する。これにより、チップ30と摺動部材50との間の空間59a(図5参照)が大気圧に戻る。シール部材60よりも前方の空間59aの圧力とシール部材60よりも後方の空間の圧力とが同じになるので、シール部材60を中間部23に押し付ける力が無くなり、シール部材60は自身の弾性力によって、第2縁62が中間部23から離れた第2状態(図5の実線で示すシール部材60)に復元する。
その結果、キュアリングの間、シール部材60が中間部23に接触しないようにできる。この間はスリーブ20からシール部材60へ熱伝達や熱放射は生じるが、スリーブ20からシール部材60へ熱伝導は生じないようにできる。製品を鋳造する全ての時間においてシール部材60がスリーブ20に接触する場合に比べて、スリーブ20からシール部材60へ熱伝導が生じる時間を短くできるので、熱によるシール部材60の劣化を抑制できる。
なお、射出工程の第1工程の後、第2工程の前に、第2弁34を操作して吸引口22を大気開放することは可能である。チップ30の速度V2等の条件次第で、空間59aが減圧されていなくてもチップ30とスリーブ20との間のリークを生じないようにできるからである。
キャビティ14内の溶湯が凝固した後、金型11を開いて押出装置(図示せず)により製品(鋳物)が取り出される。次の成型に備えて、射出装置32によりロッド31が引き戻され、チップ30は後退する(後退工程)。摺動部材50の直径および第2状態におけるシール部材60の直径はスリーブ20の直径よりも小さいので、シール部材60や摺動部材50とスリーブ20との摩擦は無視できる。よって、後退工程において、摺動部材50は摩擦によりロッド31に固定された状態で、ロッド31の引き戻しに伴い、チップ30と間隔をあけたまま後退する。
なお、注湯口21の付近に異物(金属片など)が残留している場合があるが、シール部材60よりも後端側(図5右側)に凸部58が配置されているので、凸部58はシール部材60よりも先に注湯口21に到達する。凸部58の外縁58aは、第2状態におけるシール部材60の外縁よりも径方向の外側に位置するので、注湯口21の付近に残留した異物をかき出してシール部材60に異物をかみ込み難くできる。よって、シール部材60の破損を抑制できる。スリーブ20の中から凸部58(摺動部材50)がかき出した異物は、端部材40の第5部44からスリーブ20の外に排出される。なお、摺動部材50が後退を開始するときに、ノズル87から空気を噴射して、摺動部材50が通過する前に、注湯口21の付近に残留した異物をスリーブ20の外に排出するのが好ましい。
鋳造装置10は、摺動部材50がスリーブ20の外に退出し始める少し前から、第4弁89(第2ブロー装置83)を開いて摺動部材50に空気を噴射する(第2噴射工程)。第2噴射工程により、摺動部材50やシール部材60に付着した異物を除去できる。これにより、次の成型のときに摺動部材50やシール部材60に付着した異物がスリーブ20に持ち込まれないようにできるので、摺動部材50やシール部材60とスリーブ20との間の異物のかみ込みを抑制できる。
また、第2噴射工程によってシール部材60が空冷されるので、シール部材60の熱による劣化を抑制できる。空気は第4配管88から端部材40の溝45,47へと流れ、溝45,47は周方向に延びているので、摺動部材50やシール部材60の周方向に広く空気を噴射できる。よって、さらなる摺動部材50やシール部材60の異物の除去やシール部材60の冷却ができる。
ストッパ70の後退が第2ストッパ49に規制されると、摺動部材50の後退は停止する。摺動部材50の後退が停止してもロッド31は継続して引き戻されるので、チップ30は、注湯口21の後方に位置するまで後退を続ける。後退して停止したチップ30(継手30a)の摺動部材50側の面と摺動部材50との間には隙間がある。これにより、摺動部材50と継手30aとの間に異物をかみ込み難くできる。摺動部材50と継手30aとの間に異物がかみ込まれると、摺動部材50や継手30aに異物が食い込み、次の成型のときにスリーブ20内に異物が持ち込まれてしまうので、それを防ぐためである。さらに、摺動部材50と継手30aとの間に異物がかみ込まれると、異物の大きさにもよるが、異物を介してチップ30(継手30a)が摺動部材50を後退させ、連結部材74を介して第2ストッパ49にストッパ70を押し付け、ストッパ70や第2ストッパ49等が破損するおそれがあるので、それを防ぐためである。
次に図8を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施形態では、スリーブ20に吸引口22が形成される場合について説明した。これに対し第2実施形態では、摺動部材50に吸引口91が形成される場合について説明する。なお、第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図8は第2実施の形態における鋳造装置90の断面図である。
鋳造装置90は、摺動部材50を軸方向に貫通する吸引口91が摺動部材50に形成されている。吸引口91はスリーブ20内の大気を吸引するための開口である。吸引口91には、第2弁34及びエアフィルタ35が配置された第2配管92が接続されている。第2配管92は、第2弁34よりも下流で減圧タンク18に接続する。第2配管92は、少なくとも一部がフレキシブルチューブで形成されているので、摺動部材50の移動を妨げない。第2実施形態における鋳造装置90によれば、第1実施形態における鋳造装置10と同様の作用効果を実現できる。
さらに、第1ストッパ47には、射出装置32へ向けてストッパ70よりも長く直線状に延びるアーム93が固定されている。アーム93の後端に固定された第2ストッパ49とストッパ70との間に、ばね94が配置されている。本実施形態では、ばね94は金属製の圧縮ばねである。ストッパ70と第2ストッパ49とを遠ざけようとするばね94の弾性力は、ロッド31と摺動部材50との摩擦力よりも大きく、射出装置32がロッド31を介してチップ30を後退させる力よりも小さい。
これにより後退工程において、ロッド31と摺動部材50との摩擦力によってストッパ70が後退すると、ばね94の弾性力はロッド31と摺動部材50との摩擦力よりも大きいので、ばね94は第2ストッパ49と共にストッパ70の後退を規制する。よって、摺動部材50の後退は停止する。
ロッド31と摺動部材50との摩擦力は射出装置32がロッド31を介してチップ30を後退させる力よりも小さいので、摺動部材50の後退が停止してもロッド31は継続して引き戻される。摺動部材50と継手30aとの間に大きな異物がかみ込まれて、異物を介してチップ30(継手30a)が摺動部材50を後退させても、ばね94が変形して、連結部材74を介して第2ストッパ49にストッパ70が押し付けられるのを防止できる。よって、ストッパ70や第2ストッパ49等の破損を防止できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
実施形態では、摺動部材50が第1筒体51に第2筒体52が嵌め込まれる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1筒体51及び第2筒体52の複数の部材に分けないで、摺動部材50を形成することは当然可能である。
実施形態では、摺動部材50(第2筒体52)の内周面の全体がロッド31に接触して摺動部材50とロッド31との摩擦が生じ、摺動部材50とロッド31との気密が確保される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、摺動部材50とロッド31との間にOリング等のパッキンを介在させて気密性を確保すると共に、ばねの先端にボールが取り付けられたチェックボールを摺動部材50とロッド31との間に配置し、ボールの係合によって摺動部材50とロッド31とを連結することは当然可能である。チェックボールはロッド31の前進によって摺動部材50との係合が解除され、ロッド31の後退によって摺動部材50と係合する。
実施形態では、キャビティ14を減圧する減圧タンク18を、スリーブ20の吸引口22から大気を吸引する吸引装置として用いる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。スリーブ20の吸引口22から大気を吸引する吸引装置(真空ポンプや減圧タンク等)を、減圧タンク18とは別に設けることは当然可能である。
実施形態では、減圧タンク等の吸引装置をスリーブ20の外に設ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、吸引口22を省略したスリーブ20の注湯口21よりもキャビティ14側に進入した摺動部材50に対してチップ30をさらに前進させると、摺動部材50とチップ30との間の空間59aが減圧され、その空間59aにスリーブ20と摺動部材50との隙間59から大気が流れ込む。その気流により隙間59の圧力を低下させ、シール部材60の第2縁62側を吸引し、第2縁62を中間部23に密着させることができる。この場合は、チップ30が吸引装置を兼ねるので、減圧タンク等の吸引装置をスリーブ20の外に設けなくても良い。
実施形態では、第2ブロー装置83の第4配管88が端部材40の溝45に接続される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1ブロー装置82と同様にノズルを設け、スリーブ20から退出した摺動部材50に噴射した空気が当たるような位置に、そのノズルを配置することは当然可能である。ノズルは、第1ストッパ47に取り付けたり、別途配置したブラケットに取り付けたりできる。
実施形態では、第1ブロー装置82のノズル87が中間部23の外周に配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、注湯口21へ向けて射出装置32側へ空気を噴射するノズル87をスリーブ20の後端部24の外周に配置することは当然可能である。また、別途ブラケットを配置し、そのブラケットにノズル87を取り付けることは当然可能である。
実施形態では、ゴム製の帯状のシール部材60を摺動部材50に配置する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。吸引口22から大気を吸引することにより中間部23にシール部材が密着する第1状態と、第1状態において中間部23からシール部材が受ける力よりも弱い力を中間部23からシール部材が受ける第2状態と、を切り換えることができれば、種々のシール部材を適宜採用できる。このような条件を満たすならば、例えばリップパッキンをシール部材に用いたり、熱可塑性エラストマ等の他の材質を採用したりすることは当然可能である。
実施形態では、シール部材60が第1シール64及び第2シール65の2部材に分割された場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。シール部材60を分割する数は、シール部材60の厚さ、摺動部材50とスリーブ20との隙間の大きさ等により適宜設定される。例えば、摺動部材50とスリーブ20との隙間が小さい場合には、互いに突き合わされる端部66の周方向の長さはそれほど必要ないので、シール部材60を分割しなくても良い。その場合、シール部材60の切り口の部分(端部66)は、周方向の両方の端へ向かうにつれてシール部材60の厚さを次第に薄くし、両方の端部66同士を突き合わせてシール部材60を摺動部材50に巻き付ける。
実施形態では、中間部23にシール部材が密着する第1状態において中間部23からシール部材が受ける力よりも弱い力を中間部23からシール部材が受ける第2状態として、シール部材60が中間部23から離れている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第2状態においてシール部材が中間部23に接触していても、吸引口22から大気を吸引することにより中間部23にシール部材が密着する第1状態になったときに、第2状態において中間部23からシール部材が受ける力よりも強い力を中間部23からシール部材が受けるならば、射出時の第1状態において気密性を確保しつつ、移動時の第2状態においてシール部材の摩耗を抑制できるからである。
実施形態では、複数の棒状の第1部材75によって連結部材74が形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。筒状の部材や板状の部材を用いて連結部材を形成することは当然可能である。
実施形態では、横型締横射出コールドチャンバーダイカストマシンを例示して、それに適用されるシール構造を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。横型締縦射出ダイカストマシン、縦型締縦射出ダイカストマシン、ホットチャンバーダイカストマシン等の他の鋳造装置にシール構造を適用することは当然可能である。
実施形態では、摺動部材50を第1部材、スリーブ20を第2部材とするシール構造について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。断面が円形状の外周面をもつ部材、断面が円形状の内周面をもつ部材をそれぞれ第1部材、第2部材とすることは当然可能である。
実施形態では、摺動部材50(第1部材)の外周面に配置されたシール部材60がスリーブ20(第2部材)の内周面に密着して隙間を塞ぐシール構造について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2部材の内周面や端面に帯状のシール部材を配置し、第1部材と第2部材との隙間の空気を吸引して、そのシール部材を第1部材の端面に密着させて隙間を塞ぐシール構造とすることは当然可能である。同様に、第1部材の外周面や端面に帯状のシール部材を配置し、第1部材と第2部材との隙間の空気を吸引して、そのシール部材を第2部材の端面に密着させて隙間を塞ぐシール構造とすることは当然可能である。
第2実施形態では、ストッパ70と第2ストッパ49とを遠ざけようとするばね94が金属製の圧縮ばね(コイルばね)の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。コイルばね以外の圧縮ばねを用いたり、ばね94を配置する位置を変えて引張ばねを用いたりすることは当然可能である。また、金属製のばねに代えて、空気ばねやゴム弾性体、合成樹脂製のばねを用いることは当然可能である。
なお、各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部または複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部または複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。例えば、第1実施形態で説明したアーム48及び第2ストッパ49の部分を、第2実施形態で説明したアーム93、ばね94及び第2ストッパ49に交換することは当然可能である。
10,90 鋳造装置
11 金型
14 キャビティ
18 減圧タンク(吸引装置の一部)
20 スリーブ(第2部材)
21 注湯口
22 吸引口
23 中間部
24 後端部
25 内周面
26 第1部
27 第2部
30 チップ
31 ロッド
32 射出装置
33,92 第2配管(配管)
35 エアフィルタ
40 端部材
41 内面
42 第3部
43 第4部
45 溝
47 第1ストッパ
49 第2ストッパ
50 摺動部材(第1部材)
55 凹部
58 凸部
58a 外縁
59 隙間
59a 空間
60 シール部材
61 第1縁
62 第2縁
66 端部
70 ストッパ
74 連結部材
82 第1ブロー装置
83 第2ブロー装置
O 中心線

Claims (19)

  1. 減圧される金型のキャビティに連通し注湯口が形成されるスリーブと、
    前記スリーブに挿入されるチップと、
    前記チップに取り付けられるロッドと、
    前記ロッドを介して前記チップに力を加える射出装置と、
    前記ロッドが中央を摺動し前記スリーブとの間に隙間が形成される摺動部材と、
    前記摺動部材の外周に配置されたシール部材と、
    前記スリーブ内の空気を吸引する吸引装置と、を備え、
    前記注湯口よりもキャビティ側の前記スリーブの中間部に前記シール部材が位置しつつ前記スリーブ内の前記摺動部材と前記チップとの間の空間の空気が吸引されると、前記シール部材は前記中間部に密着する第1状態となり、
    前記中間部に前記シール部材が位置しつつ前記空間の空気が吸引される前は、前記第1状態において前記中間部から前記シール部材が受ける力よりも弱い力を前記中間部から前記シール部材が受ける第2状態となり、
    前記第1状態において前記キャビティ側へ前記チップが前進する鋳造装置。
  2. 前記第2状態では、前記シール部材と前記中間部との間に隙間がある請求項1記載の鋳造装置。
  3. 前記シール部材は、第1縁および第2縁を備える帯状の部材であり、
    前記第1縁側は前記摺動部材の全周に密着し、
    前記第2縁は、前記第1縁よりも前記射出装置側に配置されると共に解放されている請求項1又は2に記載の鋳造装置。
  4. 前記シール部材の端部は、周方向の端へ向かうにつれて厚さが次第に薄くなり、前記端部が互いに突き合わされる請求項3記載の鋳造装置。
  5. 前記摺動部材は、前記シール部材の前記第2縁の内側に凹部が形成され、
    前記第2状態において前記第2縁の少なくとも一部と前記凹部との間に隙間がある請求項3又は4に記載の鋳造装置。
  6. 前記摺動部材は、前記シール部材よりも前記射出装置側の前記外周に凸部を備え、
    前記凸部の外縁は、前記第1状態における前記シール部材の外縁よりも径方向の内側に位置し、前記第2状態における前記シール部材の外縁よりも径方向の外側に位置する請求項1から5のいずれかに記載の鋳造装置。
  7. 前記注湯口へ空気を噴射する第1ブロー装置を備える請求項1から6のいずれかに記載の鋳造装置。
  8. 前記注湯口に隣接する前記スリーブの前記射出装置側の後端部の内周面は、前記注湯口と前記スリーブの中心軸の方向に重なる第1部と、前記第1部の前記スリーブの周方向に隣接し前記チップの外周面が接する第2部と、を備え、
    前記第1部と前記スリーブの中心線との距離は、前記第2部と前記中心線との距離よりも長い請求項7記載の鋳造装置。
  9. 前記スリーブの前記射出装置側の端部に配置される端部材を備え、
    前記スリーブの中心線の方を向く前記端部材の内面は、前記注湯口を前記中心線に沿って前記射出装置側に延長した範囲に一部が重なる第3部と、前記第3部の前記スリーブの周方向に隣接する第4部と、を備え、
    前記第3部と前記中心線との距離は、前記第4部と前記中心線との距離よりも長い請求項8記載の鋳造装置。
  10. 前記スリーブの前記射出装置側の端部から突出した前記摺動部材に空気を噴射する第2ブロー装置を備える請求項1から9のいずれかに記載の鋳造装置。
  11. 空気を噴射する第2ブロー装置を備え、
    前記端部材には、前記第2ブロー装置から噴射された空気が通じる溝が形成され、
    前記溝は、少なくとも一部が、前記スリーブの周方向に沿って延びる請求項9記載の鋳造装置。
  12. 前記吸引装置に接続された配管に配置されたエアフィルタを備える請求項1から11のいずれかに記載の鋳造装置。
  13. 前記摺動部材よりも前記射出装置側に配置されるストッパと、
    前記ストッパと前記摺動部材とを連結する連結部材と、
    前記ストッパが接触して前記中間部よりも前記キャビティ側への前記摺動部材の前進を規制する第1ストッパと、
    前記第1ストッパよりも前記射出装置側に配置された第2ストッパと、を備え、
    前記ストッパは、前記第2ストッパに接触して前記射出装置側への前記摺動部材の後退を規制し、
    前記摺動部材は、前記ロッドの外周面と前記摺動部材との摩擦によって前記ロッドと共に移動し、
    前記チップは、前記注湯口よりも前記射出装置側へ後退するときに、前記第2ストッパに前記ストッパが接触して停止した前記摺動部材と前記チップの前記摺動部材側の面との間に隙間がある位置で停止する請求項1から12のいずれかに記載の鋳造装置。
  14. 前記スリーブは、前記注湯口よりも前記キャビティ側に吸引口が形成され、
    前記吸引口は前記吸引装置が接続され、
    前記中間部は、前記注湯口と前記吸引口との間に位置する請求項1から13のいずれかに記載の鋳造装置。
  15. 金型のキャビティに連通するスリーブの注湯口から前記スリーブに溶湯を供給する注湯工程と、
    ロッドが取り付けられたチップ及び前記ロッドが中央を摺動する摺動部材を、前記注湯口よりも前記キャビティ側の中間部に前記摺動部材が位置し、且つ、前記中間部よりも前記キャビティ側に前記チップが位置するまで前進させる前進工程と、
    前記前進工程により前進させた前記摺動部材の前記キャビティ側への前進を規制した状態で、前記スリーブ内の前記摺動部材と前記チップとの間の空間の空気を吸引し、前記摺動部材の外周に配置されたシール部材が前記中間部に密着する第1状態とする吸引工程と、
    前記キャビティ内を減圧し、且つ、前記第1状態のときに、前記ロッドを介して前記チップを前記キャビティ側へ前進させ、前記スリーブ内の溶湯を前記キャビティ内へ射出する射出工程と、を備え、
    前記前進工程では、前記第1状態において前記中間部から前記シール部材が受ける力よりも弱い力を前記中間部から前記シール部材が受ける第2状態となる鋳物の製造方法。
  16. 前記前進工程において、前記摺動部材が前記注湯口へ到達する前に、前記注湯口の内側へ空気を噴射する第1噴射工程を備える請求項15記載の鋳物の製造方法。
  17. 前記射出工程の後、前記チップ及び前記摺動部材を後退させる後退工程を備え、
    前記後退工程において、前記チップ及び前記摺動部材の少なくとも一方の前記スリーブの外の部分に空気を噴射する第2噴射工程を備える請求項15又は16に記載の鋳物の製造方法。
  18. 前記射出工程の後、前記チップ及び前記摺動部材を後退させる後退工程を備え、
    前記後退工程では前記第2状態となる請求項15又は16に記載の鋳物の製造方法。
  19. 鋳造装置に用いられるシール構造であって、
    中心線に直交する断面が円形状の外周面をもつ第1部材と、
    中心線に直交する断面が円形状の内周面をもち、前記内周面が前記第1部材の前記外周面と径方向に隙間をあけて配置される第2部材と、
    前記第1部材および前記第2部材の一方に配置されるシール部材と、を備え、
    前記隙間の空気が吸引されると、前記シール部材は前記第1部材および前記第2部材の他方に密着して前記隙間を塞ぐ第1状態となり、
    前記隙間の空気が吸引される前は、前記第1状態において前記第1部材および前記第2部材の他方から前記シール部材が受ける力よりも弱い力を前記第1部材および前記第2部材の他方から前記シール部材が受ける第2状態となり、
    前記第1部材および前記第2部材は、前記第2状態のときに前記中心線の方向へ相対移動するシール構造。
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