JP7127526B2 - ダイカストマシンの射出装置および鋳造方法 - Google Patents

ダイカストマシンの射出装置および鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スリーブの内側で進退可能なプランジャによりダイカストマシンのキャビティに向けて溶湯を射出する射出装置、およびその射出装置を用いた鋳造方法に関する。
溶湯が供給されるスリーブ内や、スリーブ内からプランジャにより溶湯が射出されるキャビティの真空度を効率よく高めてダイカスト製品における巻き込み巣の発生を抑えるため、スリーブの内側を吸引する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、真空ポンプを用いてスリーブの内側を吸引するダイカストマシンが記載されている。
かかるダイカストマシンは、スリーブの内側および金型のキャビティを吸引するために第1~第4の吸引装置を備えている。スリーブの内側の吸引には第1吸引装置および第2吸引装置が用いられる。第1吸引装置は、アルミニウム合金等の溶湯が注入される注湯口の近傍でかつ注湯口よりも前方に位置する孔を通じてスリーブ内を吸引する。第2吸引装置は、プランジャのチップとプランジャロッドのフランジとの間のくびれ部とスリーブの内周面との間に形成される閉空間を吸引することにより、チップのくびれ部とスリーブの内周面との間の隙間を介してスリーブ内を吸引する。くびれ部により形成された閉空間の吸引は、プランジャロッドのフランジに軸方向に沿って形成された貫通孔を通じて行われる。
特許文献1では、スリーブ内に溶湯を注入した後、プランジャのチップにより注湯口が閉鎖される位置までプランジャが前進すると、先ず、注湯口の近傍の孔を通じて第1吸引装置によりスリーブ内におけるチップよりも前方の空間の気体を吸引する。このときスリーブ内の前方の空間を介してキャビティの気体も吸引される。
次いで、注湯口の近傍の孔がチップにより閉鎖される位置までプランジャが前進すると、第2吸引装置による吸引に移行する。第2吸引装置は、プランジャのくびれ部とスリーブの内周面との間に区画された閉空間をプランジャロッドのフランジの軸方向の貫通孔を通じて吸引することで、スリーブ内のチップよりも前方の空間を吸引する。
第2吸引装置による吸引を開始した後、第3吸引装置によりキャビティ内の吸引を開始する。
特許文献1の記載によれば、第1吸引装置によりキャビティ内がスリーブを介して吸引されるため、キャビティ内の真空度がスリーブ内の真空度よりも高くなることが防止され、これにより先湯の発生が抑制される。
特開2014-117741号公報
吸引により大気圧に対して負圧となるスリーブ内に外気が流入することでスリーブ内の溶湯が暴れると、溶湯の飛沫の付着により吸引用の孔が閉塞したり、真空ラインへの溶湯成分(溶湯カス)の堆積により吸引効率の低下を招いたりする場合がある。
「溶湯が暴れる」は、例えばスリーブの後端からプランジャとスリーブとの径方向の隙間を通じてチップよりも前方に外気が吹き込むことで、溶湯が泡立ち飛散したり、湯面が激しく揺れ動いたりすることを言う。こうした溶湯の暴れに起因して吸引用の経路が閉塞したり、吸引効率が低下したりすることなく、スリーブ内の気体を安定して吸引したい。
特許文献1に記載されたダイカストマシンについても、スリーブ内の吸引時に溶湯が暴れることで吸引用の孔や配管が閉塞するリスクがある。
以上より、本発明は、吸引されたスリーブ内への外気の流入を防いで溶湯の暴れを抑制することにより、スリーブ内の安定した吸引を実現することを目的とする。
本発明は、溶湯が内側に供給されるスリーブと、スリーブの内側で進退可能なプランジャと、を備え、プランジャによりダイカストマシンのキャビティに向けて溶湯を射出する射出装置であって、プランジャのチップには、スリーブの内周部に対して径方向の内側に退避し、周方向に連続する吸引用凹部が区画され、チップの前端よりも前方の空間と、吸引用凹部の内側とを吸引可能に構成され、スリーブには、スリーブを内側と外側とに亘り貫通し、スリーブの内側を吸引可能な2以上の吸引口がプランジャの進退方向に並んで形成され、スリーブに対して前進するプランジャの位置に応じて、2以上の吸引口のうちから選択的に少なくとも1つが前方の空間と連通し、2以上の吸引口のうちから選択的に少なくとも1つが吸引用凹部の内側と連通することを特徴とする。
「吸引用凹部の内側」は、チップとスリーブとの間に区画された空間を意味するものとする。
「吸引可能に構成」は、射出装置が、スリーブやプランジャチップ等に形成された吸引用の孔や経路を備えており、射出装置に、吸引用の孔や経路を通じて吸引する真空吸引系統が与えられていることで、スリーブの内側が吸引可能に構成されていることを言うものとする。真空吸引系統は、例えば、配管やバルブ、真空ポンプ、真空タンク等を含むものとする。
本発明のダイカストマシンの射出装置において、2以上の吸引口は、進退方向に所定間隔に配置され、チップは、進退方向の前側に位置する第1大径部と、進退方向の後側に位置し、第1大径部との間に吸引用凹部を区画する第2大径部と、を備え、吸引口の数をn、吸引口の進退方向の寸法をLs2、進退方向に隣り合う吸引口の間隔をLs3、吸引用凹部の進退方向の寸法をLp0、第1大径部の進退方向の寸法をLp1、第2大径部の進退方向の寸法をLp2、とした場合に、Lp1<n×Ls2+(n-1)×Ls3 であることが好ましい。
さらに、以下の式のいずれかに示す要件を備えることが好ましい。
Lp0<Ls1+n×Ls2+(n-1)×Ls3-Lp1
Lp2≧Ls2
Lp0>Ls3
本発明のダイカストマシンの射出装置は、プランジャのチップの外周部に沿って周方向に連続し、プランジャの前進および後退に伴いスリーブの内周部を摺動する摺動シールを備え、摺動シールは、チップにおける吸引用凹部以外の部位に位置していることが好ましい。
さらに、摺動シールの径方向の内側に配置され、摺動シールとチップとの間の隙間を封止するシール部材を備えることが好ましい。
上記構成において、摺動シールは、金属材料を用いて構成され、シール部材は、ゴム系材料を用いて構成されていることが好ましい。
そして、本発明のダイカストマシンの射出装置は、プランジャの進退方向に並ぶ2以上の摺動シールを備え、少なくとも1つの摺動シールとチップとの間にシール部材が配置されていることが好ましい。
本発明のダイカストマシンの射出装置において、摺動シールは、周方向の一部における不連続な箇所である不連続部を含んで環状に形成され、径方向の外側に向けてスリーブの内周部を押圧する状態にチップおよびスリーブに装着され、シール部材は、環状に形成され、摺動シールとチップとの間で撓んで隙間を封止することが好ましい。
本発明のダイカストマシンの射出装置において、摺動シールの不連続部は、周方向かつプランジャの進退方向に互いにシフトしている第1空隙および第2空隙と、第1空隙および第2空隙を接続する分割部と、を含み、分割部は、シール部材により径方向の内側から封止されていることが好ましい。
本発明のダイカストマシンの射出装置は、プランジャの進退方向に隣り合う2以上の摺動シールを備え、プランジャの進退方向に隣り合う摺動シールのそれぞれの不連続部は、周方向に互いにシフトし、隣り合う摺動シールの境界は、シール部材により径方向の内側から封止されていることが好ましい。
本発明のダイカストマシンの射出装置は、プランジャの進退方向に並ぶ2以上の摺動シールを備え、プランジャの進退方向に隣り合う摺動シールのそれぞれの不連続部は、周方向に互いに離れていることが好ましい。
本発明のダイカストマシンの射出装置は、チップにおいて、進退方向の前側に位置する第1大径部の外周部と、進退方向の後側に位置し、第1大径部との間に吸引用凹部を区画する第2大径部の外周部とにシール剤を供給可能なシール剤供給装置を備え、スリーブの内周部と、第1大径部および第2大径部のそれぞれの外周部との間の隙間がシール剤により封止されることが好ましい。
また、本発明は、溶湯が内側に供給されるスリーブの内側で進退可能なプランジャによりダイカストマシンのキャビティに向けて溶湯を射出する射出装置を用いた鋳造方法であって、プランジャのチップには、スリーブの内周部に対して径方向の内側に退避し、周方向に連続する吸引用凹部が区画され、スリーブには、スリーブを内側と外側とに亘り貫通し、スリーブの内側を吸引可能な2以上の吸引口がプランジャの進退方向に並んで形成され、チップの前端よりも前方の空間と連通する少なくとも1つの吸引口を通じてチップの前端よりも前方の空間を吸引により減圧させながら、吸引用凹部の内側と連通する少なくとも1つの吸引口を通じて吸引用凹部の内側を吸引により減圧させることを特徴とする。
本発明の鋳造方法においては、プランジャのチップの外周部に沿って周方向に連続し、プランジャの前進および後退に伴いスリーブの内周部を摺動する摺動シールの径方向の内側に、摺動シールとチップとの間の隙間を封止するシール部材が配置された状態に、摺動シールおよびシール部材をプランジャとスリーブとに装着し、前方の空間と、吸引用凹部の内側とを吸引することが好ましい。
上記構成において、スリーブおよび摺動シールの熱膨張に伴い拡がる隙間をシール部材により封止した状態に維持することが好ましい。
本発明の鋳造方法においては、吸引口を通じたスリーブ内の吸引を終えた後、加圧タンクを使用し、吸引口を通じてスリーブの内側にエアを噴出させることが好ましい。
本発明のダイカストマシンの射出装置およびそれを用いた鋳造方法によれば、後述するように、吸引されたスリーブ内への外気の流入を防いで溶湯の暴れを抑制することにより、スリーブ内の安定した吸引を実現することができる。
本発明の第1実施形態に係るダイカストマシンの一部が破断された側面図である。 図1に示すダイカストマシンに備わる射出装置のスリーブ内を吸引する系統を模式的に示す図である。 (a)~(d)は、スリーブ内への給湯から、プランジャの前進により溶湯が射出されて金型のキャビティに充填されるまでの過程の一例を示す図である。 (a)は、図1に示すダイカストマシンの射出装置のプランジャおよびスリーブの部分拡大図である。プランジャとスリーブに摺動シールおよびシール部材が装着されている。(b)は、(a)のIVb-IVb線断面図である。 (a)は、図4(a)に示すプランジャ単体を模式的に示す図である。(b)は、(a)に示す摺動シールの不連続部の拡大図である。(c)は、不連続部における空隙の位置が(b)とは異なる例を示す図である。(b)および(c)では、シール部材の図示が省略されている。 プランジャから取り外された状態の摺動シールおよびシール部材を示す斜視図である。 (a)は、図4のVIIa-VIIa線に相当する位置におけるスリーブ、プランジャ、摺動シール、およびシール部材を模式的に示す断面図である。(b)は、(a)に示すVIIb部の拡大図である。 (a)~(d)はそれぞれ、摺動シールおよびシール部材に係る変形例を示す図である。 ダイカストによる鋳造方法のフローチャートである。 図9に示す回路Aによる処理の内容(スリーブ真空およびエアブロウ)を示すフロ-チャートである。 (a)~(f)は、図1に示すダイカストマシンによるスリーブ真空吸引の一連のステップを示す図である。 (a)~(e)は、スリーブに設けられた複数の吸引口とプランジャの各部との進退方向の寸法関係を説明するための図である。 (a)は、本発明の第2実施形態に係るダイカストマシンの射出装置の要部を示す一部破断側面図である。(b)は、(a)のXIIIb-XIIIb線断面図である。 (a)~(c)は、図13に示すダイカストマシンによるスリーブ真空吸引の一連のステップを示す図である。 本発明の一実施形態に係るシール剤供給装置を備えた射出装置を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る吸引経路の第1の閉塞対策を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る吸引経路の第2の閉塞対策を説明する図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図1~図12を参照し、第1実施形態に係るダイカストマシン100について説明する。
(ダイカストマシンの概略構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る射出装置1を備えたダイカストマシン100の概略側面図(一部に断面図を含む)である。
ダイカストマシン100は、可動金型22が設置された可動盤4と、固定金型21が設置された固定盤5と、可動盤4および固定盤5を支持するマシンベース8と、キャビティ23に向けて溶湯18を射出する射出装置1と、ダイカストマシン100の各部の動作を制御する制御装置3とを備えている。
ダイカストマシン100は、溶湯18への気体の巻き込みに起因する鋳巣(巻き込み巣)の発生を抑えるため、キャビティ23と、射出装置1のスリーブ11の内側との真空引きを行う。
ダイカストマシン100は、スリーブ11内を安定して吸引するため、後述するようにスリーブ11内への外気の流入を十分に抑制可能な構造を射出装置1に備えていることを主な特徴とする。
可動盤4は、トグルリンク機構やボールねじ機構などの型開閉・型締め機構(図示せず)によって、マシンベース8上を固定盤5側に移動する。これによって、可動金型22と固定金型21が係合して、型締め(die clamping)されることにより、キャビティ23が形成される。
可動盤4と固定盤5の挿通孔には、4本のタイバー7が挿通されている。可動盤4はタイバー7に沿って固定盤5に対して進退自在に移動する。固定金型21と可動金型22が、図1に示す様に係合することによって、それらの間にキャビティ(製品部)23が形成される。アルミニウムやアルミニウム合金等の溶湯18がキャビティ23に射出・充填されることで、鋳造成形品が製造される。
固定盤5には、射出装置1が設けられている。射出装置1は、溶湯18が内側に供給されるスリーブ11と、スリーブ11の内側でスリーブ11に対して進退可能なプランジャ12とを備えている。射出装置1は、プランジャ12によりキャビティ23に向けて溶湯18を射出する。
射出装置1に関し、溶湯18を射出する際のプランジャ12の移動方向の前方、つまり、キャビティ23に近い側を「前」と定義し、キャビティ23から遠い側を「後」と定義するものとする。
プランジャ12は、大略、プランジャロッド19と、プランジャロッド19の前側に設けられるプランジャチップ20とを備えている。プランジャチップ20は、単にチップ20とも称する。また、プランジャロッド19は、単にロッド19とも称する。
プランジャ12を前後方向に駆動するために、プランジャロッド19には油圧シリンダ(図示せず)が設けられている。プランジャロッド19は、カップリング(図示せず)を介して、同油圧シリンダのピストンロッドに連結されている。
溶湯18を射出する際にプランジャ12は前方に向けて移動し、射出後は、後方に向けて移動する。プランジャ12が前進および後退する方向(前後方向)のことを「進退方向」と定義するものとする。
スリーブ11は、直線的に延びた円筒状の筒体である。プランジャ12が挿入されるスリーブ11の後端部11Bには、図4(a)に示すように、後方に向けて拡径したテーパ面11Cが形成されている。スリーブ11の軸方向は、プランジャ12の進退方向D1に一致している。後述するように、射出装置1は、真空吸引系統2(図2)が与えられていることで、スリーブ11の内側を吸引可能に構成されている。
スリーブ11は、注湯口13から供給された溶湯18をスリーブ11の内側に貯めることができる。スリーブ11の前端部は、固定盤5を貫通し、固定金型21に設けられた孔10と嵌合している。スリーブ11の後端側は、固定盤5の外側に突出し、後方に向けて水平方向に延びている。スリーブ11の後端側には、溶湯18が注入される注湯口13が設けられている。
スリーブ11の内側と、固定金型21の孔10とを含んで貯湯室が形成されている。この貯湯室は、ランナー24およびゲート25を介してキャビティ23に連通している。
制御装置3は、進退方向D1におけるプランジャ12の位置をセンサ等により検知しつつ、プランジャ12を進退させる油圧シリンダの駆動を制御する。
プランジャ12の位置の検知は、一例として、油圧シリンダのストロークに対応してピストンロッドに設けられたマークを、非接触センサで検知することで行われる。その他の例として、プランジャロッド19に設けたスイッチレバーと、複数の固定リミットスイッチ等とを用いることもできる。
図2に示すように、射出装置1には、スリーブ11内を吸引する真空吸引系統2が設けられる。真空吸引系統2は、真空ポンプ37および真空タンク36を用いて吸引することでスリーブ11の内側を減圧させる。真空吸引系統2の具体的な構成については後述する。
本実施形態のスリーブ11には、真空吸引系統2によりスリーブ11の内側の気体を吸引可能とするため、スリーブ11の内側と外側とに亘り貫通した複数の吸引口14~17(ここでは4つ)がスリーブ11の軸方向(D1)に並んで配置されている。これらの吸引口14~17は、スリーブ11の内側に供給される溶湯18の湯面18A(図4(a))よりも上方に位置するように、スリーブ11の上部に形成されている。
スリーブ11の周壁を厚さ方向に貫通する各吸引口14~17を設けることは、スリーブ11内の真空吸引のためプランジャチップ20に軸方向に孔あけする場合と比べて、開口面積の制約が小さい。そのため、吸引口14~17によれば開口面積を大きく確保することができる。また、後者は、プランジャチップ20に軸方向に形成された孔と、この孔に接続されるロッド19の軸方向孔あるいはロッド19に沿った配管とからなる細くて長い経路がスリーブ11内に形成されるのに対し、前者である吸引口14~17によれば、スリーブ11の周壁にスリーブ11の肉厚に対応した長さの経路が形成される。そのため、溶湯カスにより経路が閉塞したとしても清掃作業に要する手間の観点から有利である。
本実施形態では、後述するように、スリーブ11に対してプランジャ12が前進する際に、進退方向D1に分布した位置から、前端20Aよりも前方の(キャビティ23側の)空間75と、それよりも後方の吸引用凹部120の内側とから継続的に吸引する。
なお、プランジャ12の前進を一旦停止した状態で前方空間75および吸引用凹部120の内側の双方を真空吸引することも想定するものとする。
スリーブ11の内部に臨む吸引用の開口の面積を大きく確保して吸引の効率を向上させるため、また、吸引用の開口や経路の閉塞に対する通気確保の冗長性の観点からも、スリーブ11内の真空吸引に複数の吸引口14~17が使用されることが好ましい。
ここで、前方空間75から吸引する目的だけであれば、スリーブ11の前端側に、吸引口が1つあれば足りる。しかし、本実施形態では、後述するように、前方空間75から吸引する間に吸引用凹部120(図4(a))からも吸引することで、前方空間75への外気の流入抑止を図りたいため、進退方向D1に分布する複数の吸引口14~17をスリーブ11に与えている。
そうすると、吸引に用いる開口の面積を十分に確保しつつ、プランジャ12の前進時に吸引用凹部120を複数の吸引口14~17に順次連通させて前方空間75と吸引用凹部120の内側との双方から継続的に吸引することができるので、前方空間75への外気流入による溶湯18の暴れを抑制することができる。
進退方向D1に分布している複数の吸引口14~17によれば、後述するように、スリーブ11内の真空吸引を開始した後、スリーブ11内の真空吸引を終了するまでの間の常時、少なくとも1つの吸引口を通じて前方空間75を吸引するとともに、少なくとも1つの吸引口を通じて吸引用凹部120の内側を吸引することができる。
但し、スリーブ11が1つの吸引口のみを備えていたり、複数の吸引口のうち1つの吸引口のみが使用されたりすることも許容される。吸引口の数は、スリーブ11の長さや、吸引口の寸法、プランジャチップ20の長さ等をも考慮して、適宜な数に定めることができる。
スリーブ11に、軸方向や周方向に長い1つの吸引口を形成し、その吸引口に真空吸引用のラインが接続されるようにしてもよい。但し、典型的には、円形の吸引口に、断面円形の吸引用配管が接続される。
スリーブ11の内側を吸引するために使用される経路は、吸引口14~17のようにスリーブ11の周壁を貫通する孔には限らず、プランジャ12の外周部とスリーブ11の内周部との間の間隙であったり、プランジャチップ20の内部に軸方向に形成された孔であったりしてもよい。
各吸引口14~17は、スリーブ11の周壁を厚さ方向に貫通している。これらの吸引口14~17は、プランジャ12の進退方向D1に間隔をおいて並んでおり、スリーブ11の後側から前側に向けて、吸引口14,15,16,17の順に配置されている。以下では、これらの吸引口14~17のことをそれぞれ、第1吸引口14、第2吸引口15、第3吸引口16、第4吸引口17と称する場合がある。
第1吸引口14が最も後方に位置し、第4吸引口17が最も前方に位置している。
真空吸引系統2は、吸引口14~17を通じてスリーブ11内の気体を抜くことで、スリーブ11内を所定の真空度に減圧させる。真空吸引系統2によりスリーブ11内が減圧されることによりスリーブ11内を通じてキャビティ23も吸引されるため、真空吸引系統2は、スリーブ11内およびキャビティ23を減圧させることができる。
ダイカストマシン100は、典型的には、金型に設けられた吸引用経路を通じてキャビティ23を直接的に減圧させる別の真空吸引系統(図示しない)を備えている。
かかる真空吸引系統は、例えば、固定金型21と可動金型22との境界部に備えられたチルベント27(Chill‐Vent)に設けられている1以上の連結口28を通じて、キャビティ23から空気等の気体を直接的に吸引する。吸引される気体には、空気の他、溶湯や金型離型剤の蒸気等が含まれうる。
熱伝導率が高い金属材料から形成されたチルベント27は、連結口28を通じてキャビティ23から排気させる、つまりガス抜きを行うことでキャビティ23への溶湯18の充填を促進するとともに、溶湯18を冷やすことで、排気に伴い溶湯18が連結口28から流出することを防止する。チルベント27は、固定金型21に設置されるブロックと、可動金型22に設置されるブロックとに分割されている。
チルベント27の代わりに、図示しない真空バルブが固定金型21と可動金型22との境界部に設置される場合もある。その場合は、真空バルブを通じてキャビティ23から直接的に気体を吸引することができる。
制御装置3(図1)は、真空吸引系統2を含め、ダイカストマシン100の真空吸引系統に備わる種々のバルブを適宜なタイミングで開閉することにより、それぞれの系統によるスリーブ11内およびキャビティ23の吸引状態を制御することができる。
スリーブ11に複数の吸引口14~17が形成されていると、吸引口14~17の全体として、金型に設けられている図示しない真空吸引系統に与えられている吸引用の開口の全体の面積よりも大きい開口面積を真空吸引系統2に与えることができる。そのため、真空引きによる先湯(preceding molten metal)を防止する効果が期待できる。
また、金型に設けられている図示しない真空吸引系統による吸引開始に先行して、スリーブ11の吸引口14~17を用いる真空吸引系統2による吸引開始を開始することによっても、先湯を防止することができる。
先湯の防止により、欠け(chipping)、剥離(peeling)、めくれ(Stripping for shot blast)等の不良の低減に寄与できる。
(給湯および射出の基本的な動作の説明)
図3(a)~(d)は、給湯工程から射出充填工程までの一例を説明する図である。図3(a)~(d)では、吸引口14~17に接続されている真空吸引系統2の図示が省略されている。
図3(a)に示すように、図示しない給湯機のラドル43により、スリーブ11の注湯口13に溶湯18を注入することで、スリーブ11内に溶湯18を供給する(給湯工程)。
この後、プランジャ12の前進により、スリーブ11の内側においてプランジャ12のチップ20よりも前方に区画された空間を真空吸引系統2により吸引することが可能となる。
次いで、図3(b)に示すように、前進するプランジャ12のチップ20によりスリーブ11内の溶湯18をスリーブ11の外側へと押し出すことにより溶湯18を射出し、図3(c)に示すように、ランナー24およびゲート25を通じてキャビティ23に溶湯18を充填する(射出充填工程)。
プランジャ12が前進する速度は、プランジャ12を駆動する油圧シリンダに制御指令を与えることで可変に制御される。プランジャ12の前進速度は、プランジャ12が前進を開始してから所定の時点までの間は低く抑えられ、それ以降に増加する。
具体的には、プランジャ12がスリーブ11の後端近傍における待機位置において前進を開始してから、スリーブ11の前端近傍における作動位置に移動するまでの過程において、プランジャ12の前進開始から、押し出された溶湯18がランナー24を経由してゲート25に到達するまでの間が低速領域に相当する。それ以降、キャビティ23が溶湯18で満たされるまでの間が高速領域に相当する。
プランジャ12の前進速度の制御は、上記に限られない。例えば、低速、中速、高速というように、前進速度を段階的に増加させるようにしてもよい。
プランジャ12の前進動作の制御は、キャビティ23が溶湯18で満たされたタイミング(速度・圧力切換点/VP(Velocity Pressure)切換点)において、上記の速度制御から、キャビティ23における溶湯18の圧力に基づく圧力制御(保圧制御/増圧制御)に切り換えられる。
その後、プランジャ12によって保圧力(増圧力)が付与された状態で、キャビティ23の溶湯18が冷却され十分に固化されたならば、可動盤4が移動することで金型21,22が開く。金型21,22が開くと、押出板41(図1)に取り付けられた複数の押出ピン42が駆動されることによって製品が押し出されるので、金型21,22から製品を取り出すことができる。
(真空吸引系統)
図2を参照し、スリーブ11の内側を吸引可能な真空吸引系統2の一例を説明する。真空吸引系統2は、真空ポンプ37と、真空タンク36と、合流・分配部34と、スリーブ11の吸引口14~17に個別に対応する吸引経路51とを備えている。
各吸引経路51は、スリーブ11内から吸引される気体の流れの上流から下流に向けて、真空引き用の真空フィルタ31と、吸引経路51内の圧力を検出する圧力計、連成計、圧力センサ等である圧力検出部32と、吸引口14~17を選択的に真空タンク36に連通させる選択バルブ33とをこの順序で備えている。
選択バルブ33の開閉により、吸引口14~17のそれぞれを適時に、真空タンク36に連通させることができる。また、スリーブ11への溶湯の充填率等に応じて、全数あるいは一部の吸引口のみを真空タンク36に連通させることもできる。
真空フィルタ31は、吸引した気体に混入しうる溶湯成分の微細な液滴や凝固片、あるいは塵埃等の異物等が吸引経路51に入ることを抑制する。溶湯成分の液滴や凝固片である溶湯カス等の通過を規制しつつ、真空吸引時における排気抵抗が小さいこと、および、高温の溶湯カスと接触したとしても燃焼しないこと等を考慮して、公知の種々の真空フィルタ31を適宜に選定することができる。例えば、パンチングメタル、メッシュ状やブラシ状の金属部材等を真空フィルタ31に採用することができる。
吸引経路51には、溶湯カスを捕集する捕集器を設置することもできる。
真空タンク36の内部は、真空ポンプ37を作動させて行う真空引きによって減圧される。真空タンク36を使用すると、真空ポンプ37を連続して作動させながら、真空タンク36との圧力差によりスリーブ11内の気体を真空タンク36へと適時に、間欠的に吸引することができる。
吸引口14~17は、プランジャ12の進退方向D1における位置や、吸引口14~17からの吸引の状態等に応じて、真空タンク36と選択的に連通されることが好ましい。圧力検出部32により検出された吸引経路51内の圧力等に基づいて、所定の選択バルブ33を開閉させることができる。圧力検出部32が、圧力検出信号の出力が可能な圧力センサであり、選択バルブ33が電磁弁である場合は、制御装置3により、圧力検出部32による圧力検出信号に基づいて選択バルブ33に制御指令を送り、選択バルブ33の開閉を制御することができる。
真空吸引系統2により真空引きを行う際は、吸引口14~17のうち、対応する選択バルブ33が開かれた状態にある吸引口を通じて、真空タンク36内とスリーブ11内との圧力差に基づき、スリーブ11の内側の気体が吸引経路51に流入する。吸引経路51に流入した気体は、真空フィルタ31、圧力検出部32、選択バルブ33を経て合流・分配部34において他の吸引経路51からの流れと合流し、さらに真空/エアブロウ切換弁35および配管55を経て、真空タンク36に流入する。
真空吸引時には、圧力検出部32により検出される吸引経路51の圧力(真空度)を監視して、正常に真空引きが行われていることを確認することが好ましい。検出された圧力が正常な範囲を逸脱したならば、異常を音や光等により報知することができる。例えば、溶湯カスに起因して一部の吸引口や吸引経路51が閉塞したり、閉塞しないまでも、溶湯カスの堆積により開口が狭められたり、あるいは真空フィルタ31が目詰まりしたりするならば、圧力検出部32により検出される圧力が正常範囲を高い側に逸脱する。この場合は、異常の起きた吸引口や吸引経路51の清掃、真空フィルタ31の清掃または交換等を行うとよい。
吸引効率の低下を予防する観点からは、検出された圧力に基づいて、詰まりつつある、あるいは、事前試験等により詰まり易い傾向のある吸引口や吸引経路51に対応する選択バルブ33を閉めることで該当の吸引口や吸引経路51の使用を停止したり、使用を完全に停止しないまでも、間欠的な使用に限る等の使用制限を該当の吸引口や吸引経路51に課したりしてもよい。その場合は、残りの吸引口および吸引経路51のみを使用して、スリーブ11内部の真空引きを効率的に行うことができる。したがって、詰まりの進行を抑えて吸引効率の低下を予防しつつ、継続的に吸引してスリーブ11内の真空度を高めることができる。
なお、選択バルブ33は、上述のように検出圧力の逸脱時や、詰まりを抑えたい場合に閉められるばかりでなく、後述するように進退方向D1におけるプランジャ12の位置等に応じて開閉されるように、制御することができる。
また、金型や製品に適合するように、各吸引口14~17の使用/不用を選択バルブ33により選択することで、同一のスリーブ11にて種々の製造条件に対応することができる。製造条件毎にスリーブ11を用意する必要がないため、経済的である。
(エアブロウ)
本実施形態では、吸引口14~17と、吸引口14~17のそれぞれの吸引経路51を、加圧された空気をスリーブ11の内側に噴出させるエアブロウを実施するための経路としても使用する。エアブロウにより、吸引経路51や吸引口から溶湯カスを除去することができる。
エアブロウを行う加圧空気供給系統9(図2)は、加圧空気の供給源である圧縮空気源39と、圧縮空気源39により空気が送り込まれることで内部に圧力を蓄える加圧タンク38とを備えている。
本実施形態の真空吸引系統2および加圧空気供給系統9は、合流・分配部34よりも下流(真空吸引時の下流)に設置される真空/エアブロウ切換弁35を含んで構成されている。真空/エアブロウ切換弁35は、合流・分配部34の接続先を真空引きの配管55とエアブロウの配管56とに切り換えることで、真空吸引の実施とエアブロウの実施とを切り換える。
合流・分配部34よりも上流(真空吸引時の上流)の吸引経路51は、真空引き時とエアブロウ時とにおいて共通である。したがって、吸引口14~17への配管の付け替えにより鋳造品の生産が中断することなく、エアブロウと真空引きとを連続して行うことができる。
圧力検出部32は、真空引き時の圧力に加え、エアブロウ時の圧力をも検出可能であることが好ましい。真空引き時に検出される圧力は大気圧よりも低い。エアブロウ時に検出される圧力は大気圧よりも高い。
真空/エアブロウ切換弁35がエアブロウに切り換えられると、加圧タンク38から配管56および合流・分配部34を介して各吸引経路51へと空気が放出されて、各吸引口14~17からスリーブ11内に噴出する。エアブロウ時は、合流・分配部34に流入した空気が各吸引経路51へと分配されることとなる。一部の選択バルブ33を閉めると、開いている選択バルブ33に対応する吸引口や吸引経路51におけるエアの流量が増加するので清掃効果が高まる。
そこで、吸引口14~17のうち詰まり易い吸引口についてのみエアブロウを行ったり、吸引口14~17の全数のエアブロウを行った後、さらに、検出された圧力に基づき、一部の吸引口のみについて重点的にエアブロウを行ったりすることもできる。
エアブロウ時においても、圧力検出部32により吸引経路51内の圧力を監視することが好ましい。そうすると、検出された圧力がエアブロウ時の正常範囲から外れていたならばエアブロウを継続し、正常範囲に収まったならばエアブロウを終了する、といった処理が可能である。また、検出された圧力がエアブロウ時の閾値に対して過大である場合に、音や光等により報知することができる。
吸引口14~17を通じたエアブロウは、エアブロウにより溶湯18が暴れたり、給湯に支障が出たりしないように、給湯の直前を避け、スリーブ11内に溶湯18が貯留されていない状態において行うことができる。
例えば、図3(d)に示すようにキャビティ23が溶湯18で満たされたタイミング(速度・圧力切換点/VP(Velocity Pressure)切換点)において、吸引口14~17のいずれについても、エアブロウを実施することが好ましい。このときエアの噴流により各吸引口14~17からスリーブ11内に溶湯カスが落下したとしても、その後、プランジャ12が後退して図3(a)に示すように原位置まで戻る際に、プランジャチップ20の後端20Bにより機械的に、溶湯カスをスリーブ11の外に確実に掻き出すことができるためである。つまり、スリーブ11内に溶湯カスが無い状態で、次の射出サイクルを開始することができる。
上述のように吸引口14~17を通じたエアブロウを行う他、プランジャチップ20の外周部、特に、後述する吸引用凹部120を清掃する目的において、例えばプランジャ12が原位置に戻った際に、スリーブ11の後端部の近傍に設けられた配管(図示しない)を通じてチップ20の小径部203(図15)にエアを噴出させるようにしてもよい。そうすると、チップの潤滑に用いられる潤滑剤や溶湯カス等がチップ20の外周部から除去されるので、真空吸引系統2により吸引されるチップ潤滑剤等の異物や溶湯カスの量を抑えることができ、吸引経路51等の閉塞抑止に寄与できる。
(外気流入防止による課題解決)
真空吸引系統2(図2)により吸引されたスリーブ11内は、大気圧に対して負圧となる。そのため、スリーブ11の外側の大気である外気とスリーブ11内の気体との圧力差に基づいて、スリーブ11の後端のプランジャロッド19の周りの空間88の外気が、プランジャチップ20とスリーブ11との間の隙間を通じて、スリーブ11内の溶湯18が貯留された空間75に流入したならば、溶湯18が泡立ち飛散したり、湯面18Aが激しく揺れ動いたりする。このように溶湯18が暴れたならば、それに伴い、スリーブ11内の溶湯18に由来する溶湯カスの量が増大する。また、溶湯18が暴れると、溶湯18に気体が巻き込まれ易い。
本実施形態では、吸引されたスリーブ11内の溶湯18が貯留される空間75への外気の流入を防いで溶湯18の暴れを抑制することで、溶湯カスに起因する吸引口14~17および吸引経路51の詰まりや吸引効率の低下を避けてスリーブ11内を安定して吸引する。
そして、溶湯18の暴れを抑えることで溶湯18への気体の巻き込みが抑えられるため、巻き込み巣の発生を防ぐことができる。
以下、複数の観点から、射出装置1の好ましい構成要件を説明する。
まず、図4~図8および図13を参照し、プランジャチップ20の外周部とスリーブ11の内周部との間を封止するための部材(摺動シール70およびシール部材79)について説明する。摺動シール70等の部材の熱膨張に対応して外気の流入をより十分に防止するため、摺動シール70にシール部材79を組み合わせた構成を以下に説明する。但し、摺動シール70単体のみによっても、スリーブ11内の前方の空間75への外気の流入を防いで溶湯暴れの抑制に寄与することができる。そのため、射出装置1が、摺動シール70およびシール部材79のうちの摺動シール70のみを備えていれば足りる。
次に、スリーブ11内の前方の空間75に外気が流入するのを抑えるため、前方空間75と、プランジャチップ20の吸引用凹部120の内側との双方を真空吸引することについて説明する。スリーブ11の複数の吸引口14~17を用いて、前方空間75と吸引用凹部120の内側とを吸引しつつ行われるスリーブ真空吸引の手順(図11、図14)についても、制御例(図9および図10)を含め、説明する。
また、前方空間75と吸引用凹部120の内側との双方を吸引することに関し、スリーブ11の各部の寸法とプランジャチップ20の各部の寸法とに係る要件についても、主に図12を参照して説明する。
さらに、プランジャチップ20の外周部へのシール剤の供給についても、図15を参照して説明する。
なお、射出装置1が摺動シール70を備えているか、あるいは摺動シール70およびシール部材79を備えているならば、必ずしもシール剤を用いる必要がない。
図4~図7を参照し、スリーブ11内への外気の流入防止に関して説明する。
(プランジャの構成)
まず、プランジャ12(図4(a)、(b)、および図5(a))の構成を説明する。プランジャ12は、上述したように、プランジャロッド19と、その前側に設けられるプランジャチップ20とを備えている。
以下では、プランジャ12やスリーブ11の径方向のことを径方向D2と称する。径方向D2は、進退方向D1に対して直交する。
また、プランジャ12やスリーブ11の周方向のことを周方向D3と称するものとする。図4(b)に示すプランジャ12の横断面の円周方向は、周方向D3に相当する。
プランジャロッド19は、チップジョイント20Dによりプランジャチップ20と接合されている。チップジョイント20Dの後端側に設けられている図示しない雄ねじがロッド19の雌ねじ部と締結される。チップジョイント20Dの前端側に設けられている図示しない雄ねじがチップ20の雌ねじ部と締結される。チップ20の小径部203の外周部203Aには、締結作業用の工具と係合する二面幅203B(図4(b))が形成されている。
プランジャロッド19が軸方向に駆動されると、プランジャロッド19およびプランジャチップ20の全体が一体に進退方向D1に沿って前進、あるいは後退する。
プランジャチップ20は、プランジャロッド19の径と比べて径が大きく、プランジャ12の前進時にスリーブ11内に貯留されている溶湯18を前方に向けて押し出す。
プランジャチップ20の熱膨張を抑えるため、プランジャチップ20の内部には、水等の冷却媒体を循環させる機構(図示しない)が設けられている。プランジャチップ20の内部に形成された図示しない流路を冷却媒体が流れることで、プランジャチップ20が冷却される。
プランジャチップ20は、スリーブ11の内径に対応した外径を有しており、プランジャ12の進退に伴い、スリーブ11の内周部11Aを摺動する。このとき、詳しくは、プランジャチップ20に備わる摺動シール70がスリーブ11の内周部11Aを摺動する。射出装置1の長期的な使用を経てプランジャチップ20が摩耗したならば、摩耗したプランジャチップ20を新しいものと交換可能である。本実施形態においてロッド19はスリーブ11の内周部11Aに摺動しない。そのため、プランジャチップ20を交換しても、ロッド19は継続して使用することができるため、経済的である。
プランジャチップ20は、図5(a)に示すように、進退方向D1の前側に位置する第1大径部201と、進退方向D1の後側に位置し、第1大径部201との間に吸引用凹部120を区画する第2大径部202とを備えている。吸引用凹部120の位置におけるプランジャチップ20の径は、第1大径部201および第2大径部202の径と比べて小さい。そのため、プランジャチップ20の軸方向(D1)において第1大径部201と第2大径部202との間の区間のことを、小径部203と称する。
プランジャチップ20は、適宜に複数の部材に分割して構成することができる。
第1大径部201の径と、第2大径部202の径とは、同一に定めることができるが、これに限られない。第1大径部201の径と、第2大径部202の径とが若干異なり、スリーブ11の内周部11Aと、第1大径部201の外周部および第2大径部202の外周部とのそれぞれの間に、異なるクリアランスが設定されていてもよい。
吸引用凹部120は、スリーブ11の内周部11Aに対して径方向D2の内側に退避しており、周方向D3に連続している。
この吸引用凹部120は、プランジャチップ20の全周に亘り連続しているため、スリーブ11の内周部11Aと、吸引用凹部120に対応する小径部203の外周部203Aとの間には、環状の横断面を呈する空隙が形成される。
射出装置1は、図4(a)、(b)、および図5(a)に示すように、プランジャチップ20に摺動シール70およびシール部材79を備えていることを主な特徴とする。これら摺動シール70およびシール部材79によってプランジャチップ20の外周部20Cとスリーブ11の内周部11Aとの間の間隙を封止することにより、溶湯18が貯留されている前方空間75への外気の流入を防止する。
本実施形態の射出装置1は、進退方向D1に並ぶ2つの摺動シール70と、同じく進退方向D1に並ぶ2つのシール部材79とを備えている。
摺動シール70の数は、1でも3以上であってもよい。シール部材79の数も同様である。
本実施形態では、2つの摺動シール70および2つのシール部材79のいずれも、吸引用凹部120よりも後方の第2大径部202に設けられている。
摺動シール70およびシール部材79は、第1大径部201および第2大径部202のいずれか一方あるいは両方に設けることができる。
(摺動シール)
摺動シール70(図4(a)、(b)、および図5(a))は、プランジャチップ20の第2大径部202の外周部に沿って周方向D3に連続している。摺動シール70は、周方向D3の一部における不連続な箇所である不連続部71を含んで環状に形成されている。摺動シール70は、図4(b)および図6に示すように、略円環のリング状に形成された部材である。
図6に示す摺動シール70は、スリーブ11の外部にあり、外力が作用していない。このように無負荷の状態にある摺動シール70の外径は、スリーブ11の内径と比べて大きい。この摺動シール70がプランジャチップ20の第2大径部202の軸周りに設けられて図4(a)、(b)に示すようにスリーブ11に挿入されると、摺動シール70は、不連続部71の空隙の寸法を狭めて、摺動シール70の径が縮小するように弾性変形する。
このとき、摺動シール70は、弾性力により径方向D2の外側に向けてスリーブ11の内周部11Aを押圧している。この摺動シール70の弾性力により、摺動シール70の外周部70Bとスリーブ11の内周部11Aとの間が封止される。
摺動シール70は、射出装置1の使用時に必要な耐熱性や耐摩耗性を有した炭素工具鋼、熱間工具鋼(JIS G4404 SKD61)、銅合金(例えばベリリウム銅)等の金属材料を用いて構成されている。
摺動シール70の製造は、例えば、上記の金属材料のブロックからの削り出しにより行うことができる。あるいは、上記の金属材料を用いた板材から、打ち抜き等の加工を行うことで、摺動シール70が板状に展開された形態の部材を得て、当該部材に曲げ加工を施すことにより、円環状に成形された摺動シール70を得ることができる。
摺動シール70の径、板厚(径方向D2の寸法)、幅(進退方向D1の寸法)、および不連続部71の空隙の寸法は、封止に必要な弾性や剛性等を考慮して適宜に定めることができる。
複数の摺動シール70のそれぞれの径は、典型的には同一である。但し、プランジャチップ20における各摺動シール70の取付位置とスリーブ11の内周部11Aとの間の間隙の寸法が相違している場合は、その限りではない。
摺動シール70は、適宜な方法でプランジャチップ20に設けることができる。本実施形態では、摺動シール70を第2大径部202に保持する円環状のシール保持部材72を用いて、摺動シール70をプランジャチップ20に設けている。シール保持部材72は、摺動シール70を後側から支持する状態にプランジャチップ20に固定されている。
シール保持部材72は、摺動シール70に使用可能な金属材料と同様の金属材料から構成することができる。このシール保持部材72は、全周に亘り連続した環状の部材であってもよいし、周方向D3に分割された複数の部材から構成されていてもよい。
シール保持部材72には、摺動シール70を保持できるように適宜な径を与えることができる。
シール保持部材72の外周部72Aとスリーブ11の内周部11Aとの間には、所定のクリアランスを与えることができる。このクリアランスを小さくすると、前方空間75への外気流入を抑制することに寄与する。なお、シール保持部材72が、スリーブ11の内周部11Aに接触することも許容される。
摺動シール70およびシール保持部材72を含む複数の部材からプランジャチップ20が組み立てられると、摺動シール70は、軸方向(D1)の両側から部材により挟んだ状態に支持される。例えば、図4(a)において、右側の摺動シール70は2つのシール保持部材72の間に挟持され、左側の摺動シール70はシール保持部材72と、第2大径部202の前端の部位202Aとの間に挟持される。そのため、プランジャ12が進退する際に摺動シール70の軸方向の位置がずれることが規制される。
本実施形態の不連続部71の詳細な具体例を説明する。
不連続部71は、外気の吹き抜けを防止するため、図5(a)、(b)、および図6に示すように、第1空隙711と、第2空隙712と、第1空隙711および第2空隙712を接続する分割部715とを含んでいることが好ましい。
第1空隙711および第2空隙712は、周方向D3に互いにシフトしているとともに、進退方向D1にも互いにシフトしている。
摺動シール70は、第1空隙711、第2空隙712、および分割部715により、幅方向(D1)の全体に亘り一端部701と他端部702とに分離可能に分割される。
第1空隙711および第2空隙712は、図5(c)に示すように配置されていてもよい。第1空隙711および第2空隙712のそれぞれの周方向D3における位置は、図5(b)と図5(c)とで入れ替わっている。
以下、図5(b)に示す例に基づいて説明する。
図5(b)に示すように、第1空隙711および第2空隙712を挟んで、摺動シール70の一端部701と他端部702とが周方向D3に対向している。
一端部701および他端部702はいずれも鉤状に形成されている。
一端部701における前側には、他端部702に向けて突出する前側凸部701Aが形成されている。他端部702における後側には、一端部701に向けて突出する後側凸部702Aが形成されている。
なお、摺動シール70の一端部701および他端部702は、必ずしも鉤状に形成されていなくてもよく、単純には、軸方向(D1)に沿って直線的に形成されていてもよい。一端部701および他端部702が直線的に形成される場合に好適な構成例(図13(a)および(b))については後述する。
第1空隙711は、後側凸部702Aの前側に隣接して、前側凸部701Aの先端と他端部702との間に区画されている。
第2空隙712は、前側凸部701Aの後側に隣接して、後側凸部702Aの先端と一端部701との間に区画されている。
第1空隙711の周方向D3の寸法と、第2空隙712の周方向D3の寸法とは同等に設定されているが、異なっていてもよい。
分割部715は、第1空隙711の後側に隣接する領域(702A)の端縁と、第2空隙712の前側に隣接する領域(701A)の端縁とからなる。この分割部715は、後側凸部702Aの前方の端面702Bと、前側凸部701Aの後方の端面701Bとに沿って形成されている。
一端部701の前側凸部701Aと、他端部702の後側凸部702Aとは、第1空隙711および第2空隙712を残しつつ、幅方向(D1)内側の端面701B,702B同士が突き当てられるように配置される。端面701Bと端面702Bとの間には隙間がないことが好ましい。
摺動シール70の径方向D2の変形量に応じて、前側凸部701Aと後側凸部702Aとの周方向D3における相対位置が変化することに伴い、第1空隙711および第2空隙712の寸法が変化する。
前側凸部701Aおよび後側凸部702Aの周方向D3の長さや、第1、第2空隙711,712の周方向D3の寸法は、射出装置1の使用時におけるスリーブ11や摺動シール70等の熱膨張により第1、第2空隙711,712の寸法が拡大したとしても端面701B,702B同士が突き当てられた状態に維持されるように適切に定められることが好ましい。
本実施形態の分割部715は、摺動シール70の幅方向の中心を幅方向(D1)に対して直交する方向に沿って延びている。
なお、分割部715が、摺動シール70の幅方向の中心よりも前方あるいは後方にシフトしていてもよい。
不連続部71を通じて外気が前方空間75に流入することを抑えるため、2つの摺動シール70のそれぞれの不連続部71が、図4(a)および図6に示すように、周方向D3に互いに離れていることが好ましい。それらの不連続部71の周方向D3の位置が相違していると、同一である場合とは異なり、不連続部71,71間を外気が直進できないため、外気に与えられる抵抗が大きいからである。
本実施形態では、2つの摺動シール70のそれぞれの不連続部71が互いに180°離れている。
2つの摺動シール70の不連続部71の相対的な位置関係が維持されるように、2つの摺動シール70の相対回転がピン等を用いて規制されていることが好ましい。2つの摺動シール70の回転規制のために、例えば、2つの摺動シール70の間に位置するシール保持部材72を用いることができる。この場合に、2つの摺動シール70とシール保持部材72とが軸周りに一体に回転したとしても、2つの摺動シール70の不連続部71の相対位置関係は変わらず、不連続部71が180°シフトした状態を維持することができる。
2つの摺動シール70の間に位置するシール保持部材72を省略したとしても、2つの摺動シール70間への廻り止め等の設置や、他のシール保持部材72および第2大径部202の前端の部位202Aを用いることにより、2つの摺動シール70の回転を規制することができる。
2つの摺動シール70の間に位置するシール保持部材72を省略した場合は、図13に示す摺動シール81,82と同様に、2つの摺動シール70を互いに近接して配置し、それらの摺動シール70の境界をシール部材79により径方向内側から封止するとよい。
(シール部材)
次に、シール部材79(図4(a)、図5(a)、および図6)は、摺動シール70の径方向D2の内側に配置されている。シール部材79は、ゴム系材料を用いて、連続した円環状に構成された、所謂Oリングである。
シール部材79は、摺動シール70とプランジャチップ20の第2大径部202との間で径方向D2に撓んで、図4(b)、図7(a)および(b)に示すように、それらの間の隙間Gpを封止する。シール部材79は、径方向D2の弾性力により、摺動シール70の内周部70Aと第2大径部202の外周部20Cとに押圧されることで、隙間Gpを封止する。
シール部材79は、摺動シール70と比べて弾性率が十分に小さい。そのため、スリーブ11および摺動シール70の熱膨張に伴い隙間Gpが拡がったとしても、隙間Gpを塞ぐために十分な弾性変形量をシール部材79に確保することができる。
なお、スリーブ11は、典型的には、熱間金型用鋼を用いて構成されている。
シール部材79は、スリーブ11の内周部11Aと直接は接触しないため、プランジャ12の進退に伴う摩擦熱の影響が小さく、さらに、摺動シール70と比べて、径方向D2の内側に位置しているため、典型的には水冷されているプランジャチップ20の内部に近い。そのため、シール部材79に要求される耐熱性は、摺動シール70と比べて低い。したがって、金属材料と比べて耐熱性が一般に低いゴム系材料をシール部材79に用いることができる。
また、溶湯18に接触するチップ20の前端20A側と比べると後端20B側の温度は低いため、耐熱の観点からは、チップ20における第2大径部202に摺動シール70およびシール部材79が設けられることが好ましい。
シール部材79には、射出装置1の使用時に必要な耐熱性、および封止に必要な剛性の観点より、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム等の適宜なゴム系材料や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)等の樹脂系材料を用いることができる。本実施形態のシール部材79には、耐熱温度が約200℃であるフッ素ゴムが用いられている。
シール部材79の外径や内径、断面径等の寸法は、隙間Gpが最大に拡がった際に、シール部材79が弾性変形量を減少させつつも隙間Gpを封止した状態を維持するように、適宜に定めることができる。
シール部材79は、図7(a)、(b)に示すように、第2大径部202の外周面202Bから窪んだシール保持溝202Cの内側に保持されている。シール保持溝202Cは、周方向D3に沿って第2大径部202の全周に亘り、環状に形成されている。
シール部材79は、シール保持溝202Cに保持されていることで、進退方向D1への位置ずれが規制される。
図7(a)および(b)に示すように、シール保持溝202Cに保持されたシール部材79の周りに摺動シール70が配置される。シール部材79は、摺動シール70の不連続部71における分割部715を径方向D2の内側から封止するように、摺動シール70の幅方向(D1)における分割部715の位置(幅方向中心)に配置されることが好ましい。図7(b)に示す例では、シール部材79において径が最大である外端79Aが、分割部715が延びている周方向D3に沿って、分割部715およびその近傍に突き当てられて密着している。
第1空隙711と第2空隙712とを接続する分割部715が、径方向D2の内側からシール部材79により封止されていると、摺動シール70における後方の第2空隙712に流入した外気が、径方向D2の内側を通って前方の第1空隙711に流入することを避けることができる。
(摺動シールおよびシール部材を備えた射出装置の製造)
まず、シール部材79および摺動シール70が装着されたプランジャチップ20と、プランジャロッド19とを組み付けてプランジャ12(図5(a))を製造する。
プランジャチップ20にシール部材79および摺動シール70を装着する際には、プランジャチップ20の第2大径部202のシール保持溝202Cにシール部材79を保持した状態で、シール部材79の周りに、第2大径部202の後端側から、摺動シール70およびシール保持部材72を軸方向の所定の順序で挿入する。
次いで、スリーブ11内にプランジャ12を挿入する。このとき、スリーブ11に対するプランジャ12の前進に伴い、スリーブ11の後端部11Bに形成された誘い込み用のテーパ面11C(図4(a))により摺動シール70が案内されて径方向D2の内側に弾性変形することによって摺動シール70の径が縮小する。これに伴い、摺動シール70の内周部70Aとプランジャチップ20の外周部20Cとの間にシール部材79が押圧されて径方向D2に弾性変形する。
スリーブ11内にプランジャ12が挿入されると、図7(a)、(b)に示すように、摺動シール70がスリーブ11の内周部11Aを径方向D2に押圧し、摺動シール70の内周部70Aとプランジャチップ20の外周部20Cとをシール部材79が押圧する。このため、スリーブ11の内周部11Aとプランジャチップ20の外周部20Cとの間の間隙が封止される。
上記の状態に摺動シール70およびシール部材79をプランジャ12とスリーブ11とに装着するステップを経て、射出装置1が製造される。
射出装置1は、新規に製造されたものには限らず、既存の射出装置に摺動シール70およびシール部材79を与える改修によって得られたものであってもよい。既存機の改修による場合も、上記と同様に、摺動シール70およびシール部材79をプランジャ12とスリーブ11とに装着するステップを経て、摺動シール70およびシール部材79を備えた射出装置1を製造することができる。
(摺動シールおよびシール部材による作用および効果)
ダイカストマシン100による鋳造プロセスにおいては、溶湯18への空気の巻き込みを抑えるため、真空吸引系統2(図2)により、スリーブ11の内側において少なくとも溶湯18が貯留されている空間75を吸引により減圧させる。
こうしてスリーブ11内の真空吸引を行う鋳造について、以下に、摺動シール70およびシール部材79による作用および効果を説明する。
本実施形態では、プランジャチップ20の前端20Aよりも前方の空間75と、吸引用凹部120の内側とが真空吸引系統2により吸引される。吸引用凹部120の内側の吸引は、以下に述べる作用および効果を得るにあたって必ずしも前提とはされない。
ダイカストマシン100による鋳造を開始すると、溶湯18の熱により、スリーブ11や摺動シール70が熱膨張して径が拡大する。摺動シール70は、熱膨張と、径方向D2外側への弾性力とにより、スリーブ11に追従して径が拡大する。シール部材79も熱膨張により径が拡大する。
一方、プランジャチップ20は、典型的には水冷されており、また、スリーブ11に対してプランジャ12が後退しているときにロッド19から外気へと放熱される。そのため、プランジャチップ20も熱膨張により径が拡大するとは言え、スリーブ11や摺動シール70等と比べてプランジャチップ20の熱膨張による変形量は小さい。
以上より、摺動シール70の内周部70Aとプランジャチップ20の第2大径部202の外周部20Cとが径方向D2に離れ、隙間Gp(図4(b))が拡大したとする。
それでも、シール部材79は弾性変形した状態にあり、プランジャチップ20の外周部20Cと摺動シール70の内周部70Aとに押圧されているため、隙間Gpは封止された状態に維持される。
しかも、本実施形態では、摺動シール70の不連続部71を通じて外気が前方へと吹き抜けることも防止する。不連続部71の第2空隙712に後方から外気が流入したとしても、第2空隙712の前側に隣接する領域(前側凸部701A)の後方の端面701B(図5(a)、図7(a)および(b))が外気を遮蔽する壁として機能することで、第2空隙712から第1空隙711へと外気が直進しない。そのため、外気に抵抗を与え、不連続部71を外気が通過することを抑えることができる。
不連続部71に関してより詳細には、分割部715を構成する前側凸部701Aの端面701Bと後側凸部702Aの端面702Bとが隙間なく突き当てられていることで、前側凸部701Aの後方の端面701B(壁)に衝突した外気が分割部715である端面701B,702B間を通じて第1空隙711へと流入するのを防ぐことができる。
さらに、分割部715が径方向D2の内側からシール部材79により封止されていることで、第2空隙712に流入した外気が、径方向D2の内側を通って第1空隙711に流入することも避けることができる。
そして、外気の上流(後側)に位置する摺動シール70およびシール部材79を外気の一部が吹き抜けたとしても、それよりも下流(前側)に位置する別の摺動シール70およびシール部材79により、外気の吹き抜けを防ぐことができる。
本実施形態のように複数の摺動シール70が進退方向D1に並んで配置されていると、後方から前方に向かう外気の流れに対して、不連続部71における壁(701B)の数が増えるため、外気の流れを遮蔽する効果が向上する。
しかも、上流の摺動シール70と下流の摺動シール70とのそれぞれの不連続部71が周方向D3に離れていると、上流の摺動シール70の不連続部71を通過した外気が、下流の摺動シール70の不連続部71へと直進しない。この点でも、外気の流れを遮蔽する効果が向上する。
以上で述べた摺動シール70とシール部材79との作用によれば、鋳造により製品を連続して生産する間に亘り、プランジャチップ20の外周部20Cとスリーブ11の内周部11Aとの間の間隙における径方向D2の外側および内側のいずれも封止されている。そのため、ガス抜きされるスリーブ11の内側と外気との間に圧力差が生じていても、摺動シール70およびシール部材79よりも前方に外気が流入することを防ぐことができる。
その結果、溶湯18の暴れが抑制されるため、溶湯カスに起因する吸引口14~17、吸引経路51の閉塞や吸引効率の低下を避けながら、スリーブ11内を所望の真空度にまで減圧させて巻き込み巣の発生を防ぐことができる。
本実施形態によれば、摺動シール70およびシール部材79によってスリーブ11内の気密性を高めて溶湯18の暴れを抑制することができる。そのため、スリーブ11内の気密性を向上させるために高真空ダイカスト専用の高価なプランジャチップを射出装置1に採用する必要がない。
また、摺動シール70およびシール部材79により、スリーブ11等の熱膨張により径方向D2に変化する間隙が封止された状態に維持されるので、セラミック系の材料やサーメット等の熱膨張率が小さい材料から構成された高価なスリーブ11を採用する必要もない。
以上より、装置コストを抑えつつ、スリーブ11内の真空吸引により巻き込み巣の発生を抑えて鋳造製品の品質を向上させることができる。
本実施形態によれば、従来、溶湯カスに起因して吸引用の孔や経路がたちまち閉塞しがちなスリーブ真空吸引にあって、吸引用の経路の閉塞や吸引効率の低下を避けてスリーブ11内の安定した吸引を実現することができる。本実施形態によれば、経路の閉塞等を避けるためにスリーブ内における真空度や溶湯充填率を抑えて真空吸引を行う必要がないので、高真空度・高充填率のスリーブ真空吸引を実現することができる。
(摺動シールの変形例)
図8(a)に示す射出装置1は、1つの摺動シール70と、1つのシール部材79とを備えている。
図8(b)に示す射出装置1は、3つの摺動シール70と、2つのシール部材79とを備えている。この例に示すように、必ずしも摺動シール70の全数について、摺動シール70の径方向D2の内側にシール部材79が配置されていなくてもよい。進退方向D1に並んだ摺動シール70のうち、径方向D2内側の封止が必要な摺動シール70に対してのみシール部材79を配置することが許容される。
この例に示すように、摺動シール70とシール部材79とが必ずしも同数である必要はない。
既に述べたように、隣り合う摺動シール70のそれぞれの不連続部71は、図8(b)に示すように、周方向D3に互いに離れていることが好ましい。不連続部71を通じて外気が吹き抜けることを抑えるためである。
図8(c)に示すように、不連続部71は階段状に形成されていてもよい。この不連続部71は、第1空隙711と、第2空隙712と、第3空隙713と、第1分割部715と、第2分割部716とを含んで構成されている。第1分割部715と第2分割部716とはそれぞれ、径方向D2の内側からシール部材79により封止されている。
さらに、図8(d)に示すように、凹部717が形成された一端部701と、凸部718が形成された他端部702との間に、第1~第3空隙711~713が配置されていてもよい。この例では、1つのシール部材791により第1分割部715と第2分割部716とに亘り、径方向D2の内側から封止している。
図13(a)および(b)を参照し、直線的な不連続部80を含んで環状に形成されている摺動シール81,82について説明する。なお、図13(a)および(b)に示す構成を備えた射出装置6によるスリーブ真空吸引のステップについては、図14(a)~(c)を参照して後述する。
図13(a)に示す射出装置6は、進退方向D1に隣り合う第1摺動シール81および第2摺動シール82と、1つのシール部材79とを備えている。
隣り合う第1、第2摺動シール81,82のそれぞれの不連続部80は、軸方向(D1)に沿って直線的に形成されている。これらの不連続部80は、周方向D3に互いにシフトしていることが好ましい。ここでは、第1、第2摺動シール81,82のそれぞれの不連続部80が互いに180°離れている。
そして、第1、第2摺動シール81,82の境界80Bは、図13(b)に示すように、シール部材79により径方向D2の内側から封止されている。ここに示す例では、シール部材79の外端79Aが、境界80Bが延びている周方向D3に沿って、境界80Bおよびその近傍に突き当てられて密着している。
第1摺動シール81の不連続部80は、図5(a)および(b)に示す実施形態における第1空隙711に相当する。
第2摺動シール82の不連続部80は、上記実施形態における第2空隙712に相当する。
第1摺動シール81と第2摺動シール82との軸方向(D1)における境界80Bは、上記実施形態における分割部715に相当する。
したがって、図13(a)および(b)に示す構成によれば、上記実施形態の摺動シール70と比べて簡素な加工による摺動シール81,82を用いていながら、上記実施形態と同様に、スリーブ11内の前方空間75に向けて外気が流入するのを防止する効果を得ることができる。
(吸引用凹部の吸引による外気流入抑制)
本実施形態では、上述したように、スリーブ11内におけるプランジャチップ20の前端20Aよりも前方の空間75からの吸引に加えて、それよりも後方の吸引用凹部120の内側からも吸引することにより、空間75および吸引用凹部120の内側のいずれも大気圧に対して減圧させる。
本実施形態では、吸引口14~17を通じて吸引用凹部の内側120が吸引される。これに限らず、例えば、第2大径部202に軸方向に形成された孔を通じて吸引用凹部120の内側を吸引することも許容される。軸方向の孔は、プランジャ12の進退方向D1の位置にかかわらず、吸引用凹部120の内側に常に連通しているため、スリーブ真空吸引の開始から終了まで常時、軸方向の孔を通じて吸引用凹部120の内側を吸引することができる。
前方の空間75と、吸引用凹部120の内側との吸引によれば、スリーブ11内において前方の空間75よりも後方に、前方空間75と圧力が同等である空間(吸引用凹部120の内側)を与えて、スリーブ11の外側の外気がスリーブ11内の前方空間75に流入するのを抑えることができる。これは、吸引用凹部120の内側における圧力P1と空間75の圧力P2との差が無いか、圧力差が有るとしても、その圧力差(P1-P2)が大気圧P0と前方空間75の圧力P2との差(P0-P2)と比べて十分に小さいことにより、外気が吸引用凹部120の内側を経て前方空間75へと流入することが抑制されるからである。
プランジャ12が前進する際に、前方空間75および吸引用凹部120の内側の双方を継続的に吸引すると、それらを吸引する間に亘り、溶湯18を貯留する前方空間75への外気の流入を抑制することができる。前方空間75を吸引する間は、吸引用凹部120の内側を間断なく吸引することで、前方空間75を吸引する間は常時、前方空間75への外気の流入を抑制することが好ましい。
本実施形態では、上述した真空吸引系統2(図2)の構成に基づいて、前方空間75および吸引用凹部120の内側の吸引を1つの真空吸引系統2により担うことができる。前方空間75から吸引された気体も、吸引用凹部120の内側から吸引された気体も、同一の真空タンク36を介して同一の真空ポンプ37により吸引される。
そのため、前方空間75および吸引用凹部120の内側に個別に真空吸引系統を備える場合と比べて、真空ポンプ37や真空タンク36等の装置コストを低減することができる。また、真空吸引系統の数が少ないことで、気体の漏れ(リーク)の点検箇所が少ないため、点検作業効率が良い。
但し、前方空間75と、吸引用凹部120の内側とが、別々の系統を通じて吸引されることも許容される。
上述した摺動シール70およびシール部材79を装着したプランジャチップ20を、スリーブ11に挿入し、かつ前方空間75に加えて吸引用凹部120の内側からも吸引することにより、溶湯18を貯留する前方空間75への外気の流入をより確実に防ぐことができる。
吸引用凹部120の内側の圧力P1と、外気の圧力P0との差に基づいて、外気が吸引用凹部120の内側を介して前方空間75に流入するのを防ぐため、第1、第2大径部201,202のうち少なくとも第2大径部202に摺動シール70およびシール部材79を設けることが好ましい。
前方空間75の圧力P2と吸引用凹部120の内側の圧力P1との差(P1-P2)に基づいて吸引用凹部120の内側から前方空間75へと外気が流入するのを防ぐ観点からは、第1大径部201に摺動シール70およびシール部材79を設けるとよい。
(複数の吸引口による前方空間および吸引用凹部の継続的な吸引)
次に、複数の吸引口14~17を通じて、前方空間75と吸引用凹部120の内側とを継続的に吸引することについて説明する。
プランジャ12を前進させて行う射出のプロセスの序盤から終盤までの間における出来るだけ長い期間に亘り、かつ、出来るだけ間断なく、前方空間75および吸引用凹部120の内側から継続的に吸引することが好ましい。溶湯18を貯留する前方空間75への外気の流入を抑えて前方空間75から気体を安定して継続的に、十分に吸引するためである。
プランジャ12が、例えば、図11(a)に示す後退限の位置から、図11(f)に示すように、最も前方に位置する第4吸引口17がチップ20により閉鎖される位置まで前進する際には、プランジャチップ20の前端20Aが、第1吸引口14、第2吸引口15、第3吸引口16、第4吸引口17の順に吸引口14~17のそれぞれの位置を通過する。
本実施形態における射出充填工程においては、スリーブ11に対してプランジャ12を前進させつつ、前方空間75と連通する少なくとも1つの吸引口を通じて前方空間75を吸引しながら、吸引用凹部120の内側と連通する少なくとも1つの吸引口を通じて吸引用凹部120の内側を吸引する。
図11(b)~(e)に示すようにプランジャ12が前進すると、スリーブ11に対して前進するプランジャ12の位置に応じて、吸引口14~17のうちから選択的に少なくとも1つが前方空間75と連通し、吸引口14~17のうちから選択的に少なくとも1つが吸引用凹部120の内側と連通する。
かかる構成によれば、前方空間75と吸引用凹部120の内側とにそれぞれ連通する1以上の吸引口を通じて、前方空間75が吸引される間に亘り、吸引用凹部120の内側を間断なく吸引して、前方空間75への外気流入を抑えることができる。
次に、図9および図10を参照して鋳造の各工程を説明した後、図11(a)~(f)に示す具体例に基づいて、スリーブ11内の真空吸引を説明する。
(鋳造方法、スリーブ真空吸引の制御例)
まず、図9および図10を参照して鋳造の各工程を説明する。
以下では、真空吸引系統2による真空吸引のことを「スリーブ真空」と称するものとする。
図9に、ダイカストによる鋳造方法のフローチャートを示す。フローチャートに示すように、ダイカスト鋳造開始から始まり、型締め、注湯、射出開始、スリーブ真空、の順に、制御装置3による制御下で各工程が進む。
スリーブ真空の工程を実施しない場合は(ステップS11でNo)、増圧切換指令、冷却(凝固)、型開き、製品取出、製品検知、金型スプレー、射出後退、チップ潤滑、の順に工程が進み、次サイクルが始まる(ステップS12でYesの場合)。
一方、スリーブ真空を実施する場合は(ステップS11でYes)、回路Aによる処理(図10)を行い、かつ、増圧切換指令、冷却(凝固)、型開き、製品取出、製品検知、金型スプレー、射出後退、チップ潤滑、の順に工程が進む。
なお、回路Aによる処理(図10)の一部は、増圧切換指令の工程よりも前に行われ、残りは、増圧切換指令以降の工程と並行して行われる。概ね、ステップS101~S113は増圧切換指令の工程よりも前に行うことができ、ステップS114~S118までは増圧切換指令以降の工程と並行して行うことができる。
以下、制御回路である回路Aによる処理について、図10および図2を参照して説明する。回路Aによる処理も、制御装置3による制御下で行われる。
図10に示すステップS104からステップS111までのスリーブ真空の過程は、吸引口14~17にそれぞれ対応する選択バルブ33の基本的な動作を示している。
スリーブ真空の開始時は、全ての吸引口14~17が開いているものとする。スリーブ真空の開始後、前進したプランジャ12のチップ20により吸引口14~17が順次閉鎖される。プランジャ12の前進により、チップ20が吸引口を通過する。チップ20の第2大径部202により吸引口が閉鎖された以降において、当該吸引口は、前方空間75にも吸引用凹部120の内側にも連通しない状態となるから、前方空間75と吸引用凹部120の内側とから吸引するスリーブ真空には使用できない。こうした吸引口は、前方空間75および吸引用凹部120の内側に連通していない状態とは言え、真空タンク36の圧力上昇を抑制して吸引効率を維持し、当該吸引口に溶湯カスが入ることを避けるため、使用不能後には、対応する選択バルブ33を閉めることが好ましい。
したがって、以下に述べるように、プランジャ12の前進に伴い、吸引口14~17のそれぞれについて、プランジャチップ20の第2大径部202により閉鎖される位置にプランジャ12が到達した時点で、当該吸引口に対応する選択バルブ33を順次、閉めている。
つまり、プランジャ12の前進に伴い、吸引口14~17に対応する選択バルブ33が順次閉められる。
選択バルブ33は、対応する吸引口がチップ20の第2大径部202により閉鎖された状態にある間に閉められることが好ましい。第2大径部202が当該吸引口を通過することで、当該吸引口がプランジャロッド19の周りの図4の空間88と連通したときに、選択バルブ33が開いていると、外気が空間88から当該吸引口を介して吸引経路51を経由して真空タンク36に流入する可能性がある。これは意図しないため、例えば、図11(d)に示すステップでは、チップ20により閉鎖されている状態の吸引口14に対応する選択バルブ33を閉めている。
以下で述べる選択バルブ33の動作は一例に過ぎない。選択バルブ33は、各吸引口の閉鎖に基づく使用不能だけでなく、上述したように、溶湯カスに起因する吸引経路51等の使用不能に基づいて、適切に閉めることが好ましい。あるいは、金型や製品に応じた製造条件に基づいて、吸引口14~17にそれぞれ対応する選択バルブ33を開閉することが可能である。
ステップS101では、真空タンク36の内部が十分な真空度にまで達したことを確認して、準備完了の信号を出す。
ステップS102では、注湯後、プランジャ12が前進して、注湯口13を閉鎖する位置を超えた後に、真空吸引系統2によりスリーブ11を真空に引く動作を開始する。プランジャ12の進退方向D1における所定の位置を、真空吸引が開始される真空開始位置として定めることができる。設定された真空開始位置へのプランジャ12の到達の検知は、プランジャ12を駆動する油圧シリンダのストロークを、非接触センサ等で検知することにより行う。以下のステップにおける各設定位置へのプランジャ12の到達についても、同様にして検知する。
ステップS103では、真空/エアブロウ切換弁35を、真空吸引に切り換える。
ステップS104では、プランジャ12が、第1吸引口14を閉にする設定位置(図2/第1吸引口閉塞位置)に到達する。
ステップS105では、第1吸引口14に対応した選択バルブ33を閉にする。
ステップS106では、プランジャ12が、第2吸引口15を閉にする設定位置(図2/第2吸引口閉塞位置)に到達する。
ステップS107では、第2吸引口15に対応した選択バルブ33を閉にする。
ステップS108では、プランジャ12が、第3吸引口16を閉にする設定位置(図2/第3吸引口閉塞位置)に到達する。
ステップS109では、第3吸引口16に対応した選択バルブ33を閉にする。
ステップS110では、プランジャ12が、第4吸引口17を閉にする設定位置(図2/第4吸引口閉塞位置)に到達する。ここで、プランジャ12が、第4吸引口17を閉にする設定位置に到達する直前において、第4吸引口17に対応する吸引経路51の真空度を、圧力検出部32を用いて測定する。第4吸引口17の真空度は、上限及び下限の範囲を設けて、管理されている。この真空度が、設定された範囲外の圧力であった場合には、ランプやブザーなどにより、警報を出す。なお、上限及び下限の範囲としては、-90~-100kPaが望ましい。
ステップS111では、第4吸引口17に対応した選択バルブ33を閉にする。
ステップS112では、真空/エアブロウ切換弁35を、切(中立位置)にする。
ステップS113では、各吸引口14~17の選択バルブ33を、全て開にする。
ステップS114では、真空/エアブロウ切換弁35を、エアブロウに切り換える。
ステップS115では、真空吸引系統2と配管の一部が共通である加圧空気供給系統9により、加圧タンク38を使用し、吸引口を通じてスリーブ11内にエアを噴出させる処理であるエアブロウを行う。この際、各吸引口14~17の選択バルブ33が、全て開の状態でも良いし、選択バルブ33を、順に1個ずつ開にしても良い。エアブロウを終えたならば、真空/エアブロウ切換弁35を、切(中立位置)にする(S118)。
ステップS116では、エアブロウを実施している間に、圧力検出部32により吸引口14~17の各吸引経路51の圧力を測定し、その圧力に基づいて配管内や真空フィルタ31の目詰まりの有無について判定を行う。目詰まりが発生した場合は、ランプやブザーなどにより、警報を出す(ステップS117)。
尚、ステップS115のエアブロウを行うタイミングとしては、鋳造サイクル中であれば、プランジャ12がスリーブ11内を前進して、注湯口13から最も離間した吸引口17に到達した以降であって、各吸引口を通じたスリーブ11内の真空吸引を終えた後であれば良い。例えば、プランジャ12が、先に説明した、速度・圧力切換点に到達した以降、更には、金型を開く際、製品押出機構を備えた可動金型22側に、鋳造品が確実に保持されるように、鋳造品とビスケット部分を介して接しているプランジャ12を、その前進限位置まで押し出す動作における、プランジャ12の前進限位置でエアブロウを行っても良い。
また、鋳造サイクル中以外では、ダイカストマシンの運転モード(鋳造開始時の1サイクル自動運転モード/全自動運転モード)を切り換えるスイッチを操作して、運転モードを選択する場合、同スイッチの切換操作時に、自動で、ステップS115のエアブロウを行うようにしても良い。
以上、フローチャートを説明した。ここでは、吸引口14~17の第1吸引口14から第4吸引口17までを、全て使用してスリーブ11を真空に引くようにしていたが、これ以外に、第3吸引口16と第4吸引口17の2つを使用するとか、第2吸引口15と第3吸引口16と第4吸引口17の3つを使用するとか、その組合せは自由である。使用する吸引口の数にも制限はない。
各吸引口14~17に対応する選択バルブ33を開閉する制御に、上限スリーブ充填率を用いることができる。
「上限スリーブ充填率」とは、スリーブ11内の溶湯18の充填率(スリーブ充填率という)が、所定値(例えば、80%)まで上昇したら、プランジャ12が到達した吸引口からキャビティ23に近い吸引口に属する選択バルブ33を全て閉にする場合の、スリーブ充填率の上限値である。
この「上限スリーブ充填率」を使用するということは、スリーブ充填率が所定値に達した場合には、プランジャ12が到達した吸引口からキャビティ23に近い吸引口に属する選択バルブ33を全て閉にすることを指す。なお、上限スリーブ充填率は、鋳造を行う前に、自由に設定できる。
上限スリーブ充填率の使用の目的は、スリーブ充填率が高くなって、真空引きの際、吸引口14~17から吸引経路51内に溶湯のカスが侵入することを防止するためと、吸引口14~17から吸引経路51内に溶湯のカスが侵入しない最大限の数の吸引口により、スリーブ11を真空に引くため、である。
(スリーブ真空過程の具体例)
以下、図11(a)~(f)に示す具体例に基づいて、複数の吸引口14~17を通じて前方空間75および吸引用凹部120の内側の継続的な吸引を行う一連のステップの一例を説明する。
図11(a)~(f)は、スリーブ真空の一連のステップを説明する図である。図11(a)はスリーブ真空準備ステップ、図11(b)はスリーブ真空開始ステップ、図11(c)はスリーブ真空第1ステップ、図11(d)はスリーブ真空第2ステップ、図11(e)はスリーブ真空キャビティ側真空終了ステップ、図11(f)はスリーブ真空終了ステップをそれぞれ示している。スリーブ真空のステップは、プランジャ12の前進に伴い、図11において、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の順番で進んで行く。
図11(a)~(f)では、摺動シール70、シール部材79、およびシール保持部材72の図示が省略されている。図12(a)~(e)でも同様である。
スリーブ真空準備ステップ:
図11(a)に示すスリーブ真空準備ステップでは、プランジャ12が後退限の位置である原位置に停止した状態にある。注湯口13が開放されているため、注湯口13からスリーブ11内に溶湯18を供給可能である。このとき、プランジャチップ20の前端20Aよりも前方の空間75と、注湯口13とが連通している。
スリーブ真空準備ステップは、スリーブ真空を開始する準備をするステップである。このとき、全ての吸引口14~17に関し、真空吸引は実施されていない。
図11(a)に示す状態から、チップ20の前端20Aが注湯口13を前方に超える位置(図11(a)に一点鎖線で示す位置)までプランジャ12が前進すると、プランジャチップ20の第1大径部201により注湯口13が閉鎖された状態となり、これによって前端20Aよりも前方の空間75と、注湯口13とがチップ20により隔てられる。
さらに、第2大径部202の前端が注湯口13を前方に超える位置(図示省略)までプランジャ12が前進すると、第2大径部202により注湯口13が閉鎖された状態になるので、吸引用凹部120の内側と、注湯口13とがチップ20により隔てられる。
この位置以降、前方にプランジャ12が移動する間に亘り(図11(b)~(f)を含む)、前方空間75と吸引用凹部120の内側とは、チップ20により注湯口13とは隔てられた状態にスリーブ11内に区画された状態に保たれる。
その後、吸引用凹部120の内側が、図11(b)に示すように、最も後方の吸引口14に連通する位置までプランジャ12が前進すると、吸引用凹部120の内側と、前方空間75とにそれぞれ、少なくとも1つの吸引口が連通した状態となるので、スリーブ11内の前方空間75と吸引用凹部120の内側とのいずれからも吸引可能となる。
そのため、スリーブ真空を開始するときのプランジャ12の位置(真空開始位置)は、図11(b)に示すように、吸引用凹部120の内側と、前方空間75とにそれぞれ、少なくとも1つの吸引口が連通した状態となるときのプランジャ12の位置に設定することが好ましい。かかる位置にプランジャ12が到達したならば直ちに前方空間75および吸引用凹部120の内側の吸引を開始することが好ましい。そうすると、吸引時間を十分に確保して、前方空間75および吸引用凹部120の内側を十分な真空度に高めることができる。
スリーブ真空開始ステップ:
図11(b)に示すスリーブ真空開始ステップでは、全ての吸引口14~17を通じたスリーブ真空を開始する。スリーブ真空開始ステップでは、まず、プランジャ12が後退限の位置から前進を開始して、第2大径部202のキャビティ23側の端面が注湯口13を通過する。次に、真空タンク36によりスリーブ11の全ての吸引口14~17を通じて、吸引用凹部120の内側と前方空間75とを真空に引く。
図11(b)に示すようにプランジャ12が真空開始位置にあるとき、吸引用凹部120の内側には第1吸引口14が連通しており、前方空間75には第2~第4吸引口15~17が連通している。
そのため、第1吸引口14を通じて吸引用凹部120の内側の真空吸引を実施し、それと同時に、あるいはタイミングをずらして、第2吸引口15と第3吸引口16と第4吸引口17の3つを通じて前方空間75の真空吸引を実施することができる。
このとき、第2吸引口15、第3吸引口16、および第4吸引口17にそれぞれ対応する選択バルブ33を同時に開いてもよいし、タイミングを変えて開いてもよい。
スリーブ11の外側の外気が吸引用凹部120の内側を介して前方空間75に流入するのを抑えるため、前方空間75の真空吸引の開始に先行して、吸引用凹部120の内側の真空吸引を開始することが好ましい。
スリーブ真空第1ステップ:
図11(c)に示すスリーブ真空第1ステップでは、プランジャ12がさらに前進して、吸引用凹部120の内側が第1吸引口14と第2吸引口15とに連通した状態となる。また、前方空間75が第3吸引口16と第4吸引口17とに連通した状態となる。
そのため、2つの吸引口(第1吸引口14、第2吸引口15)を通じた吸引用凹部120の内側の真空吸引と、残りの吸引口(第3吸引口16、第4吸引口17)を通じた前方空間75の真空吸引とを実施することができる。
スリーブ真空第2ステップ:
図11(d)に示すスリーブ真空第2ステップでは、プランジャ12がさらに前進して、吸引用凹部120の内側が1つの吸引口(第2吸引口15)に連通した状態となる。また、前方空間75が2つの吸引口(第3吸引口16と第4吸引口17)に連通した状態となる。
このとき、プランジャチップ20の第2大径部202が第1吸引口14に対向することで、第1吸引口14が閉鎖された状態となり、使用不能となる。そのため、第1吸引口14に対応する選択バルブ33を閉にすることにより、第1吸引口14による減圧を終了する。ここで、第1吸引口14がチップ20の第2大径部202により閉鎖された状態にあり、外部空間88には連通していない時に選択バルブ33を閉めるものとする。
図11(d)~(f)において、対応する選択バルブ33が閉塞された吸引口には「閉塞」と付記されている。
第1~第4吸引口14~17のうち、対応する選択バルブ33が閉塞されていない、残りの吸引口15~17は、前方空間75または吸引用凹部120の内側と連通している。そのため、1つの吸引口(第2吸引口15)を通じた吸引用凹部120の内側の真空吸引と、2つの吸引口(第3吸引口16、第4吸引口17)を通じた前方空間75の真空吸引とを実施することができる。
プランジャ12が前進するのに伴って、図11(c)に示すスリーブ真空第1ステップと図11(d)に示すスリーブ真空第2ステップとが交互に繰り返されながら、スリーブ11内の真空吸引が進行していく。
つまり、プランジャ12の前進に伴い、2つの吸引口を通じた吸引用凹部120の内側の真空吸引(図11(c))と、1つの吸引口を通じた吸引用凹部120の内側の真空吸引(図11(d))とが交互に繰り返され、且つ、少なくとも1つの吸引口を通じた前方空間75の真空吸引が継続して行われ、さらに、使用不能となった吸引口に対応する選択バルブ33が閉められることとなる。
スリーブ真空キャビティ側真空終了ステップ:
その後、図11(e)に示すように、最も前方の第4吸引口17がチップ20により閉鎖される位置までプランジャ12が前進したならば、前方空間75の吸引を終了する。この第4吸引口17が閉鎖される直前まで、第4吸引口17を通じて前方空間75の吸引が行われ、吸引用凹部120の内側からも吸引されている。
図11(e)に示すように最も前方の第4吸引口17が第1大径部201により閉鎖される位置までプランジャ12が前進すると、前方空間75は、第1吸引口14~第4吸引口17のいずれとも連通していない状態である。この状態にて、前方空間75と吸引用凹部120の内側とからの真空吸引を終了することができる(スリーブ真空キャビティ側真空終了ステップ)。この場合は、第4吸引口17に対応する選択バルブ33と、吸引用凹部120の位置にある第3吸引口16に対応する選択バルブ33とを閉めるとよい。
図11(e)に示す状態にてスリーブ真空を終了しないで、図11(f)に示す位置にプランジャ12が前進するまでの間、スリーブ真空を継続することもできる。これについて以下に説明する。
図11(e)に示すように第4吸引口17が第1大径部201により閉鎖されたことで、前方空間75にはいずれの吸引口も連通していないとしても、吸引用凹部120の内側には第3吸引口16が連通している。つまり、第3吸引口16を通じた吸引用凹部120の内側の真空吸引を実施することができる。そして、前方空間75に直接連通する吸引口はなくとも、前方空間75は、第1大径部201とスリーブ11の内周部11Aとの間に存在する隙間89を介して第4吸引口17に通じている。したがって、隙間89および第4吸引口17を通じて、前方空間75を吸引することができる。
そこで、図11(e)に示す例では、第4吸引口17に対応する選択バルブ33を閉めていない。第4吸引口17と隙間89とを通じて前方空間75を吸引しつつ、第3吸引口16を通じて吸引用凹部120の内側を吸引することが可能である。
その後、プランジャ12が前進すると、第4吸引口17が、隙間89と吸引用凹部120の内側との双方に連通するので、第4吸引口17を通じて前方空間75と吸引用凹部120の内側との真空吸引を実施することができる。
スリーブ真空終了ステップ:
さらに、図11(f)に示すように、第2大径部202の前端が第4吸引口17を前方に超える位置までプランジャ12が前進することにより、吸引用凹部120がスリーブ11の内壁により閉鎖されたならば、スリーブ真空を終了する(スリーブ真空終了ステップ)。このとき、第4吸引口17に対応する選択バルブ33を閉める。この選択バルブ33は、第4吸引口17が第2大径部202により閉鎖されており、外部空間88には連通していない状態で閉められることが好ましい。
なお、第2大径部202とスリーブ11との間の隙間90、および隙間90と連通している吸引口17を通じて吸引用凹部120の内側を吸引するようにしてもよい。そうすると、吸引用凹部120の内側を介して前方空間75も吸引することができ、スリーブ真空を延長して実施することができる。
但し、プランジャ12の前進により吸引口17がロッド19の周りの空間88と連通する前に、吸引口17に対応する選択バルブ33を閉めて、スリーブ真空を終了することが好ましい。
図11(a)~(f)と、以上の説明から理解されるように、個々の吸引口14~17について言うと、スリーブ真空の開始当初は、吸引口14~17のうちの任意の吸引口(例えば、第1吸引口14)は、前方空間75に連通しており、前進したプランジャ12の第1大径部201により閉鎖されるまでの間は、前方空間75に連通している。次いで、当該吸引口は、プランジャ12の前進により吸引用凹部120の内側に連通する。当該吸引口は、前進したプランジャ12の第2大径部202により閉鎖されるまでの間は、吸引用凹部120の内側に連通している。第2大径部202により任意の吸引口が閉鎖された以降は、当該吸引口は、前方空間75にも吸引用凹部120の内側にも連通しないため、スリーブ真空に使用不能であるから、対応する選択バルブ33が閉められる。
図11(b)に示すスリーブ真空の開始時から、図11(e)に示す位置にプランジャ12が到達する直前までのスリーブ真空の過程に亘り、吸引口14~17全体として見ると、常時、少なくとも1つの吸引口が前方空間75に連通しているとともに、少なくとも1つの吸引口が吸引用凹部120の内側に連通している。
そうすると、最も前方の吸引口17を通じた前方空間75からの真空吸引を終えるまで、吸引用凹部120の内側からの真空吸引を継続することができる。
したがって、前方空間75に加えて吸引用凹部120の内側からの吸引実施と、上述した摺動シール70およびシール部材79による封止作用とによって、スリーブ真空を開始してから、射出充填工程の終盤までに亘り、外気流入による溶湯18の暴れを防ぎつつスリーブ11内の吸引を安定して継続することができる。そのため、溶湯18への気体の巻き込みを抑えて鋳造製品の品質を向上させることができる。
さらに、図11(e)に示すように最も前方の吸引口17が第1大径部201により閉鎖された後も、スリーブ真空吸引を継続しようとすれば、第1大径部201とスリーブ11との間の隙間89を使用して前方空間75を吸引するとよい。その場合は、図11(e)に示す状態においてスリーブ真空を終了する場合とは異なり、最も前方の吸引口17が吸引用凹部120の内側の吸引にも使用されることとなる。
こうすることで、スリーブ真空を開始してから、射出充填工程における可能な限り最後までに亘り、スリーブ11内の吸引を継続して行うことができる。
以上で説明したように、前方空間75および吸引用凹部120の内側に関して真空吸引を同時に開始し、真空吸引の開始から終了までの間に亘り、双方から継続して吸引し、真空吸引を同時に終了することによれば、溶湯18が貯留された前方空間75よりも後方に、前方空間75と圧力が同等である空間としての吸引用凹部120の内側をスリーブ真空吸引の間の常時、確実に与えることができるので、外気流入を抑止するために好ましい。
但し、真空吸引の中断により前方空間75および吸引用凹部120の内側の圧力に影響したとしても、プランジャ12のチップ20の外周部20Cとスリーブ11の内周部11Aとの間が摺動シール70およびシール部材79により封止されているため、外気が容易には吸引用凹部120の内側や前方空間75には流入しない。
さらに言えば、真空吸引の中断は、溶湯18の暴れによる巻き込み巣の発生や、溶湯カスによる吸引口等の閉塞の状態に影響が出ない程度の短い時間であれば、摺動シール70やシール部材79の有無にかかわらず許容される。
つまり、外気流入を抑えてスリーブ真空吸引が安定して成立する限りにおいて、スリーブ真空吸引の開始から終了までの間の一部において、前方空間75および吸引用凹部120の内側のいずれか一方あるいは両方の吸引が中断されたり、前方空間75と吸引用凹部120の内側とのスリーブ真空吸引の開始や終了のタイミングが異なっていたりすることも許容される。
(前方空間および吸引用凹部の内側の双方の吸引に係る変形例、寸法条件)
次に、図12(a)~(e)を参照して、前方空間75および吸引用凹部120の内側の双方から真空吸引することに関し、吸引口14~17の数、プランジャチップ20の各部の寸法、スリーブ11の吸引口14~17や注湯口13に係る寸法に関し、射出装置1の変形例を説明する。
図12(a)~(e)のいずれに示す例においても、図11(b)から図11(e)の直前までと同様、複数の吸引口14~17のうちの選択的に少なくとも1つが前方空間75に連通し、同じく吸引口14~17のうちの選択的に少なくとも1つが吸引用凹部120の内側に連通するので、前方空間75および吸引用凹部120の内側の双方を吸引して前方空間75への外気流入を抑制することができる。
なお、図12(d)に示す例では、後述するように、吸引用凹部120の内側に外気が流入するため、他の例と比べると、前方空間75への外気流入抑制の効果に劣る。
吸引口14~17の数をnとする。図12(a)~(e)に示されている吸引口14~17の数は、4である(n=4)。
図12(a)~(c)に示すように、別々の吸引口を通じて前方空間75と吸引用凹部120の内側とを吸引する場合には、nが2以上であればよい。
図12(e)に示すように、同一の吸引口を通じて前方空間75と吸引用凹部120の内側とを吸引する場合には、nが1以上であればよい。
図12(a)~(e)にそれぞれ示す例において、各吸引口の進退方向D1の寸法および形状は同一であるものとする。
また、吸引口が3以上ある場合は(n≧3)、それらの吸引口は進退方向D1に等しい間隔で配置されているものとする。
スリーブ11およびプランジャチップ20のそれぞれに係る寸法を下記のように定義する。
・スリーブに関する寸法
Ls1:注湯口13から、注湯口13に最も近い(最も後方の)吸引口14までの進退方向D1における距離
Ls2:各吸引口14~17の進退方向D1の寸法
Ls3:進退方向D1に隣り合う吸引口の間隔
・プランジャチップに関する寸法:
Lp0:吸引用凹部120の進退方向D1の寸法
Lp1:第1大径部201の進退方向D1の寸法
Lp2:第2大径部202の進退方向D1の寸法
なお、図13(a)に示す吸引用凹部120のように、径方向D2の内端における進退方向D1の寸法と、径方向D2の外端における進退方向D1の寸法とが異なる場合のLp0は、外端における進退方向D1の寸法であるものとする。この場合のLp1,Lp2もまた、径方向D2の外端における進退方向D1の寸法であるものとする。
上述した図11(a)~(f)に示す例では、吸引口14~17の数nが4である。図11(a)~(f)に示す例では、スリーブ11およびプランジャチップ20の各部の寸法を例えば、下記のように定めることができる。
Ls1=50.5(mm)
Ls2=29(mm)
Ls3=41(mm)
Lp0=50(mm)
Lp1=65(mm)
Lp2=60(mm)
吸引口14~17を通じて前方空間75と吸引用凹部120の内側との真空吸引を実施しようとすれば、既に説明したように、真空吸引の過程に亘り、吸引口14~17のうちの少なくとも1つが吸引用凹部120の内側と連通し、同じく吸引口14~17のうちの少なくとも1つが前方空間75と連通している必要がある(条件1)。
ここで、射出充填時にプランジャ12を継続して前進させながら前方空間75および吸引用凹部120の内側を真空吸引する場合のみならず、プランジャ12の前進を一旦停止した状態で前方空間75および吸引用凹部120の内側を真空吸引することをも想定するものとする。
上記の条件1に適合するLp1の最大値(上限)は、図12(a)に示す例に基づいて、次の式(1)により表される。
Lp1<n×Ls2+(n-1)×Ls3 (1)
チップ20に吸引用凹部120を形成するためには、第1大径部201の長さがごく短いとしても、チップ20に第1大径部201が存在してさえいれば良い。そのため、Lp1の最小値(下限)は、次の式(2)により表される。
0<Lp1 (2)
式(1)と式(2)とを下記にまとめる。
0<Lp1<n×Ls2+(n-1)×Ls3
吸引用凹部120が存在することを前提として、Lp1に関する上記の式(1)は、前方空間75と吸引用凹部120の内側との双方から、吸引口14~17を通じて直接的に吸引すること(条件1)を実現するための必須の要件である。
以下、条件1を実現するための付加的な要件として、Lp0およびLp2にそれぞれ関する式を示す。
まず、吸引用凹部120の進退方向D1の寸法であるLp0について説明する。
吸引口14~17を通じて前方空間75と吸引用凹部120の内側との双方から真空吸引するためには、Lp0を最大限に長くするとしても、図12(b)に示す例に基づいて、第2大径部202の前端により注湯口13が閉鎖された時に、キャビティ23に最も近い吸引口17と前方空間75とが連通している必要がある。
そうすると、プランジャチップ20の各部の寸法と、スリーブ11の各部の寸法とを比べて、次の式(3)が導かれる。
Lp0+Lp1<Ls1+n×Ls2+(n-1)×Ls3 (3)
式(3)より、条件1に適合するLp0の最大値(上限)は、次の式(4)により表される。なお、Lp1が最小である時(0に限りなく近い時)に、Lp0が最大となる。
Lp0<Ls1+n×Ls2+(n-1)×Ls3-Lp1 (4)
ここで、式(4)は、あくまで、第2大径部202の前端により注湯口13が閉鎖されることを前提としている。注湯口13が、プランジャ12とは別の部材、例えば、スリーブ11内に後方から挿入された部材により閉鎖されることまで考慮に入れるとすれば、Lp0は、式(4)の限りではない。
図12(b)に示すプランジャ12の位置にて前方空間75および吸引用凹部120の内側の真空吸引を開始した後、プランジャ12を停止させた状態で、前方空間75および吸引用凹部120の内側との真空吸引を行うことが可能である。その後プランジャ12を前進させて第1大径部201により吸引口17が閉鎖されるまでの間、前方空間75および吸引用凹部120の内側の真空吸引を継続して行うことができる。
Lp0の最小値については、下記の条件2に基づいて設定することができる。
プランジャ12が前進する間に亘り継続して、前方空間75および吸引用凹部120の内側の双方を吸引孔を通じて吸引する(条件2)。
上記の条件2に適合するLp0の最小値(下限)は、図12(c)に示す例から理解されるように、次の式(5)により表される。
Lp0>Ls3 (5)
つまり、吸引用凹部120の寸法Lp0が、隣り合う吸引口14~17の間隔の寸法Ls3よりも大きい。このため、例えば、図12(c)に示す例のように、吸引用凹部120における軸方向の後方側が吸引口14と連通し、吸引用凹部120における軸方向の前方側が吸引口15と連通する。そうすると、スリーブ11の吸引口14~17が並んでいる区間に対するプランジャチップ20の軸方向の位置によらず、吸引用凹部120の内側に対して、必ず1以上の吸引口が連通することとなる。そのため、条件2に適合する。
上述の式(1)に加えて式(5)が成立していると、既に図11(a)~(f)を参照して説明したように、3つ以上の吸引口が存在する場合に(n>2)、プランジャ12の前進に伴い、2つの吸引口を通じた吸引用凹部120の内側の真空吸引(図11(c))と、1つの吸引口を通じた吸引用凹部120の内側の真空吸引(図11(d))とが交互に繰り返され、かつ、少なくとも1つの吸引口を通じた前方空間75の真空吸引が継続して行われる。このとき、前方空間75および吸引用凹部120の内側の双方が、吸引孔を通じて継続的に吸引されることとなる。
なお、以下で説明する第2実施形態のようにn=2である場合は、式(5)に示す要件にかかわらず、前方空間75と吸引用凹部120の内側との双方を継続的に吸引可能である。
次に、第2大径部202の進退方向D1の寸法であるLp2は、下記の条件3に基づいて設定することができる。
第2大径部202により閉鎖された吸引口14~17を介して、第2大径部202よりも後方から外気が吸引用凹部120の内側に流入することを抑制する(条件3)。これについて、図12(d)及び図12(e)を参照して説明する。
図12(d)では、矢印で示すように、第2大径部202よりも後方からの外気が吸引口14を介して吸引用凹部120の内側に流入してしまうため、上記の条件3を満たしていない。このとき、吸引用凹部120の内側の圧力を前方空間75と同じ程度にまで減圧させることは難しい。
一方、図12(e)では、吸引用凹部120よりも後方で第2大径部202により吸引口14が閉鎖されているため、第2大径部202よりも後方の空間88と吸引用凹部120の内側とが吸引口14を介して連通していない。そのため、第2大径部202よりも後方から外気が吸引用凹部120の内側に流入することが抑制されるため、上記の条件3を満たしている。
図12(e)に示す例から理解されるように、条件3に適合するLp2の最小値(下限)は、次の式(6)により表される。
Lp2≧Ls2 (6)
式(6)は、前方空間75への外気流入を抑制してスリーブ真空吸引を確実に行うために実質的に必要な要件に該当する。
〔第2実施形態〕
次に、図13および図14を参照し、本発明の第2実施形態に係るダイカストマシンの射出装置6について説明する。
以下、第1実施形態と相違する事項を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付している。
第2実施形態の射出装置6は、プランジャ12の進退方向D1に離れている2つの吸引口14,15が形成されたスリーブ11と、2つの摺動シール81,82および1つのシール部材79が設けられたプランジャ12とを備えている。吸引口の数nは、2である(n=2)。
摺動シール81,82およびシール部材79は、プランジャチップ20の第2大径部202に設けられている。摺動シール81,82およびシール部材79の構成は、図13(a)および(b)を参照して既に説明した通りである。
図12(a)~(e)を参照して説明した、プランジャチップ20およびスリーブ11の各部の寸法に関する要件は、Lp0の下限に関する式(5)を除いて、図13および図14に示す射出装置6においても成立する。
以下、図14(a)~(c)を参照して、第2実施形態におけるスリーブ真空吸引の過程を説明する。
図14(a)に示すように、第2大径部202の前端が注湯口13を通過、閉塞し、かつ吸引用凹部120の内側と吸引口14とが連通したとき、スリーブ真空吸引を開始することが好ましい。
このとき、前方空間75および吸引用凹部120の内側のいずれも、チップ20により、注湯口13と連通しない状態にスリーブ11内に区画されている。また、前方空間75に第2吸引口15が連通し、吸引用凹部120の内側には第1吸引口14が連通している。
そのため、図14(a)に実線の矢印で示すように、前方空間75からは第2吸引口15を通じて真空吸引系統2(図2)により吸引可能であり、図14(a)に破線の矢印で示すように、吸引用凹部120の内側からは第1吸引口14を通じて真空吸引系統2により吸引可能である。
その後、前進したプランジャ12のチップ20の第1大径部201により、図14(b)に示すように第2吸引口15が閉鎖されるまでの間に亘り、前方空間75と吸引用凹部120の内側との双方からの真空吸引を継続することができる。
図14(b)に示すように第2吸引口15が第1大径部201により閉鎖された後も、第1大径部201とスリーブ11との間の隙間89(図14(c))を介して前方空間75を第2吸引口15から吸引しつつ、吸引用凹部120の内側も隙間90を介して第1吸引口14から吸引することができる。前方空間75からの吸引を終えた後も、吸引用凹部120の内側から吸引することで、引き続き、前方空間75への外気流入を抑えることができる。
上述した図11または図12に示す例のようにn>2である場合は、プランジャ12の前進に伴い、例えば図11(c)および(d)に示す状態を交互に繰り返し、つまり吸引用凹部120の内側に連通する吸引口を順次切り替えながら、前方空間75および吸引用凹部120の内側を継続して吸引するとよい。しかし、n=2である第2実施形態においては、その必要がない。
第2実施形態では、少なくとも、第2吸引口15が閉鎖される直前までは、図14(b)に破線の矢印で示すように、吸引用凹部120の内側と直接的に連通する第1吸引口14を通じて吸引用凹部120の内側から継続して吸引できれば足りる。
図14(b)に示すように、第1大径部201により第2吸引口15が閉鎖されたならば、少なくとも、前方空間75に直接的に連通した第2吸引口15を通じて行われる真空吸引は終了する。図14(b)または(c)に示す状態のとき、吸引用凹部120の内側が、第2吸引用凹部15に必ずしも連通している必要はない。第2実施形態のようにn=2である場合は、吸引用凹部120の寸法Lp0の下限に関する上述の式(5)に示す要件にかかわらず、前方空間75が吸引される間に亘り継続して、吸引口14から直接的に、吸引用凹部120の内側を吸引可能である。そのため、第2実施形態では、式(5)とは異なり、Lp0≦Ls3である。
Lp0≦Ls3であるならば、図示を省略するが、第1大径部201により第2吸引口15が閉鎖され、かつ第2大径部202により第1吸引口14が閉鎖されたときに、吸引用凹部120の内側に連通する吸引口が存在しないことで、吸引用凹部120の内側の真空吸引が中断される場合があり得る。このとき溶湯18が暴れたとしても、n=2であるため、吸引口14,15の他に、開口した吸引口が存在しないので、少なくとも、溶湯18の飛散により吸引口が閉塞する懸念はない。
第2実施形態において、前方空間75に連通した第2吸引口15を通じて、前方空間75の直接的な真空吸引を終える直前まで、吸引用凹部120の内側と連通した第1吸引口14を通じて吸引用凹部120の内側の直接的な真空吸引を継続すること実現するためには、上述したようにLp1の上限に関する式(1)に示す要件が必須である。そして、Lp0の上限に関しては上述した式(4)に示す要件に従うことが好ましく、さらに、Lp2の下限に関しては上述した式(6)に示す要件に従うことが好ましい。
〔シール材供給装置を備えた射出装置〕
次に、図15を参照し、本発明の一実施形態に係る射出装置6Aについて説明する。
図15に示す射出装置6Aは、スリーブ11の内周部とプランジャチップ20の外周部との間にシール剤61を介在させるために、シール剤供給装置60を備えている。
射出装置6Aは、上述した摺動シール70およびシール部材79(図4)を備えていることが好ましい。
シール剤供給装置60は、プランジャチップ20において第1大径部201の外周部と、第2大径部202の外周部とのそれぞれにシール剤61を供給可能に構成されている。
シール剤61としては、例えば、プランジャチップ20の潤滑に用いられる潤滑剤を用いることができる。一般に、シール剤61の粘度が高いほどシール性が向上するが、粘度が高過ぎると流動性の低下によりシール剤61を必要な領域に十分に行き渡らせることが難しい。そのため、シール性および流動性を考慮して適宜な粘度のシール剤61を用いることが好ましい。シール剤供給装置60としては、公知のプランジャ潤滑剤供給装置を使用することが可能である。
シール剤供給装置60は、シール剤61を貯留する容器62と、容器62にそれぞれ接続される第1配管631および第2配管632と、シール剤61を適時に供給するための図示しない弁とを備えている。制御装置3(図1)等により、シール剤供給装置60の弁が自動的に開閉あるいは開度の調整が行われることが好ましい。かかる弁が第1配管631および第2配管632に個別に備えられていれば、シール剤61を第1大径部201と第2大径部202とに個別に供給することができる。第1大径部201および第2大径部202のいずれか一方のみにシール剤61を供給することも許容される。
第1配管631および第2配管632の形態は、図15に示す例には限らず、容器62に接続された1つの配管から第1配管631および第2配管632が分岐していてもよい。
図15に実線で示すようにプランジャ12が後退限の位置にあるとき、プランジャチップ20の前端側がスリーブ11内に挿入されている。このとき、スリーブ11内に位置する第1大径部201の外周部に、第1配管631を通じてシール剤61を供給し、スリーブ11の外部に位置する第2大径部202の外周部には、第2配管632を通じてシール剤61を供給することができる。
図15に破線で示すようにプランジャチップ20が前進すると、第1大径部201の外周部とスリーブ11の内周部との間の隙間89にシール剤61が塗り拡げられて充填される。そのため、第1大径部201とスリーブ11との間がシール剤61により封止される。
同様に、プランジャチップ20の前進により、第2大径部202の外周部とスリーブ11の内周部との間の隙間90にもシール剤61が塗り拡げられて充填される。そのため、第2大径部202とスリーブ11との間がシール剤61により封止される。
本実施形態においても、前方空間75および吸引用凹部120の内側の双方が真空吸引される。その際に、隙間90に存在するシール剤61により、負圧である吸引用凹部120の内側に外気が空間88を通じて流入することを抑制して吸引用凹部120の内側における圧力を低く保ちつつ、隙間89に存在するシール剤61により、吸引用凹部120の内側と前方空間75とに圧力差が存在するとしても吸引用凹部120の内側を経由して前方空間75へと外気が流入することを抑制することができる。
図15に示す例では、第1配管631の末端部は、スリーブ11の注湯口13よりも後方の壁を厚さ方向に貫通したシール剤配管用孔11Dに挿入されている。シール剤配管用孔11Dの内側で開口した第1配管631の出口631Aは、後退限の位置にあるプランジャチップ20の第1大径部201の外周部に近いため、出口631Aからシール剤61が第1大径部201の外周部に確実に供給される。
第2配管632は、スリーブ11の外側に露出した第2大径部202の外周部の近くに出口632Aを有している。この出口632Aからも、第2大径部202の外周部にシール剤61が確実に供給される。
図15に示す例のように、2つの配管631,632を用いると、第1大径部201および第2大径部202のそれぞれの外周部における所望の位置にシール剤61を確実に供給することができ、かつ、2つの配管631,632により、第1、第2大径部201,202へのシール剤61の供給を同時に、あるいは並行して行えるので、シール剤供給のステップを迅速に終えることができる。
シール剤61をスリーブ11の内周部とチップ20の外周部との間に介在させて、それらの隙間を封止できる限りにおいて、シール剤供給装置60を適宜に構成し、また、プランジャ12が後退限の位置にあるときに限らず、適宜なタイミングでシール剤61をチップ20の外周部に供給することができる。第1大径部201へのシール剤61の供給と、第2大径部202へのシール剤61の供給とを同じタイミングで行ってもよいし、異なるタイミングで行ってもよい。
プランジャ12が後退限の位置にあるとき、第1大径部201の軸方向の例えば半分程度がスリーブ11の外に露出している場合は、第1配管631の末端部は、第2配管632と同様にスリーブ11の外に位置していてもよい。
第2大径部202がスリーブ11内に挿入されているときに第2大径部202の外周部にシール剤61を供給する場合は、第1配管631と同様に、第2配管632の末端部をスリーブ11に形成された孔の内側に配置することができる。
シール剤供給装置60が、必ずしも2つの配管631,632を有している必要はない。シール剤供給装置60が容器62に接続された1つの配管631のみを有していたとしても、チップ20の前進により、配管631を通じて、第2大径部202の外周部にもシール剤61を供給可能である。
〔吸引経路の閉塞対策〕
次に、図16、図17を参照して、真空フィルタ31の目詰まりをなくすようにした他の実施形態について説明する。
以下、本発明の一実施形態に係る第1の閉塞対策を図に基づいて説明する。
第1の閉塞対策は、スリーブ11の内部空間からキャビティ23に亘って連通して形成される空間内を、真空吸引する吸引経路を具備したダイカストマシンに関する構成を示すものである。ここでは、スリーブ11の上方にあいている複数の孔である吸引口14~17から、スリーブ11の内部空間を、真空吸引する吸引経路の構成について説明するが、金型側の1箇所あるいは複数箇所に設けた連結口28から、キャビティ23内を、真空吸引する吸引経路の構成についても、同じ構成である。
図16に示す第1の閉塞対策では、
(1)吸引口14~17に連通しており、アルミカス用ボックス54に向かって、下方に延びるように形成させた第1の吸引経路52と、
(2)第1の吸引経路52に連通したアルミカス用ボックス54と、
(3)アルミカス用ボックス54の内部空間に、連通するように形成させた第2の吸引経路53と、
を備えている。
更に、第1の吸引経路52の下端の排出口57の位置の高さが、アルミカス用ボックス54と第2の吸引経路53の接続部601の位置の高さ以下に配置していることを特徴とする吸引経路を具備した構成となっている。その他の構成は、図2に示す一実施形態と同じである。
真空引きにより、アルミカスなどの溶湯のカスSが、気流に乗って、吸引口14~17から吸引経路51内に侵入して、真空フィルタ31を目詰まりさせる。第1の閉塞対策は、この問題を解決するものである。
真空引きにより、スリーブ11内から吸い出される溶湯のカスSは、まず、吸引口14~17から侵入して、その後、アルミカス用ボックス54に向かって、下方に延びるように形成させた第1の吸引経路52に入る。第1の吸引経路52は、下端の排出口57を介して、アルミカス用ボックス54の内部空間に連通している。アルミカス用ボックス54の内部空間は、接続部601を介して、第2の吸引経路53に連通している。第2の吸引経路53は、真空フィルタ31を経由して、真空タンク36に接続されているため、吸引経路51の気流は、第1の吸引経路52から第2の吸引経路53の方に向かって吸引されている。しかしながら、アルミカスなどの溶湯のカスSは、重量があるため、第2の吸引経路53側には吸引されず、第1の吸引経路52の下端の排出口57と連通して接続されたアルミカス用ボックス54の内部空間を下向きに落下して、下面に溜まる。ここでは、第1の吸引経路52の下端の排出口57の位置の高さが、アルミカス用ボックス54と第2の吸引経路53の接続部601の位置の高さ以下に配置している吸引経路となっている。具体的には、図16に示す距離Lが、下記の式(7)の関係を満たしている。
L≧0 (7)
距離Lは、大きな値にするほど、アルミカスなどの溶湯のカスSが、第2の吸引経路53側に吸引されるのを、より効果的に防止することができる。このようにして、第2の吸引経路53には、アルミカスなどの溶湯のカスSが吸引されず、真空フィルタ31の目詰まりを抑制することができる。なお、距離Lを大きな値にして、アルミカスなどの溶湯のカスSが、第2の吸引経路53側に吸引されることが殆んどない場合には、真空フィルタ31を設置しなくても構わない。
図16に示している第2の吸引経路53は、接続部601を起点として、横方向に向かうように形成させているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、接続部601を起点として、自由な方向に向かうように形成させて良く、例えば、接続部601を起点として、上方向又は下方向に向かうように形成させても構わない。この時、距離Lが、上記数1の関係を満たしていることが必要であり、先に説明した通りである。
アルミカス用ボックス54は、定期的に清掃する。これにより、第2の吸引経路53側に吸引されるアルミカスなどの溶湯のカスSの量を、より効果的に低減することができるため、真空フィルタ31の清掃頻度を下げることが可能となり、より安定操業を行うことができる。なお、アルミカス用ボックス54の容積は、小さい方が、真空吸引時のアルミカス用ボックス54内の吸引エアー量が少なくてすむため、真空吸引の効率が良くなり、真空度にとって有利である。しかし、アルミカス用ボックス54の容積が、小さ過ぎると、アルミカス用ボックス54の清掃頻度が高くなる。したがって、アルミカス用ボックス54の容積は、真空度及び清掃頻度を鑑み、好適な容積とすることが好ましい。
次に、本発明の一実施形態に係る第2の閉塞対策を図に基づいて説明する。
図17に示す第2の閉塞対策は、図16の第1の閉塞対策に対して、
(1)アルミカス用ボックス54の、アルミカス用ボックス54と第2の吸引経路53の接続部601の位置の高さよりも低い位置に、設けたボールバルブ(開閉弁の一種)59と、
(2)ボールバルブ59の下方に設置したアルミカス受け602と、
を追加して備えたことを特徴とするもので、その他の点は、図2の一実施形態及び図16の第1の閉塞対策と同じ構成である。したがって、先に説明した通り、第2の閉塞対策についても、第1の閉塞対策と同様にして、スリーブ11の上方にあいている複数の孔である吸引口14~17から、スリーブ11の内部空間を、真空吸引する吸引経路の構成、及び、金型側の1箇所あるいは複数箇所に設けた連結口28から、キャビティ23内を、真空吸引する吸引経路の構成、を含んでいる。
ボールバルブ59は、電動やエアー駆動のアクチュエーター58により、エアブロウ時に開く。したがって、真空引き動作によって、ボールバルブ59の上面に溜まるアルミカスなどの溶湯のカスSを、ボールバルブ59がエアブロウ時に開くことにより、アルミカス受け602の中へ排出することができる。つまり、エアブロウ時に、自動的にアルミカスなどの溶湯のカスSを、アルミカス用ボックス54の下面(ボールバルブ59の上面)から、アルミカス受け602の中へ排出して、清掃作業を行うことができる。これにより、第2の吸引経路53側に吸引されるアルミカスなどの溶湯のカスSの量を、より効果的に低減することができるため、真空フィルタ31の清掃頻度を下げることが可能となり、より安定操業を行うことができる。なお、距離Lを大きな値にして、アルミカスなどの溶湯のカスSが、第2の吸引経路53側に吸引されることが殆んどない場合には、真空フィルタ31を設置しなくても構わない、ということは、先に説明した通りである。
アルミカス受け602は、定期的に清掃する。なお、アルミカス受け602の容積は、大きい方が、清掃頻度を下げることが可能となり、作業効率の面において有利である。しかし、アルミカス受け602の容積が、大き過ぎると、アルミカス受け602の製作コストが高くなる。したがって、アルミカス受け602の容積は、作業効率及び製作コストを鑑み、好適な容積とすることが好ましい。
第2の閉塞対策は、第1の閉塞対策の図16に示す構成のみを、図17に示す構成に、換えたものである。すなわち、第2の閉塞対策の図17を除いた全ての構成については、第1の閉塞対策と全く同じ構成である。
第2の閉塞対策は、以上の構成であるから、第1の閉塞対策と同じ作用効果が得られると共に、第1の閉塞対策の作用効果に加えて、更に、以下の作用効果が得られる。
第2の閉塞対策によれば、エアブロウ時に、ボールバルブが開くことにより、自動的にアルミカスなどの溶湯のカスを、アルミカス用ボックスの下面(ボールバルブの上面)から、アルミカス受けの中へ排出して、清掃作業を行うことができる。つまり、生産が継続中であっても、アルミカス受けの下面に溜まるアルミカスなどの溶湯のカスを定期的に清掃することが可能である。そのため、生産が中断されることが一切なく、継続して生産が行える、という作用効果がある。
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
100 ダイカストマシン
1,6,6A 射出装置
2 真空吸引系統
3 制御装置
4 可動盤
5 固定盤
7 タイバー
8 マシンベース
9 加圧空気供給系統
10 孔
11 スリーブ
11A 内周部
11B 後端部
11C テーパ面
11D シール剤配管用孔
12 プランジャ
13 注湯口
14~17 吸引口
18 溶湯
18A 湯面
19 プランジャロッド
20 プランジャチップ
20A 前端
20B 後端
20C 外周部
20D チップジョイント
21 固定金型
22 可動金型
23 キャビティ
24 ランナー
25 ゲート
27 チルベント
28 連結口
31 真空フィルタ
32 圧力検出部
33 選択バルブ
34 合流・分配部
35 真空/エアブロウ切換弁
36 真空タンク
37 真空ポンプ
38 加圧タンク
39 圧縮空気源
41 押出板
42 押出ピン
43 ラドル
51 吸引経路
52 第1の吸引経路
53 第2の吸引経路
54 アルミカス用ボックス
55,56 配管
57 排出口
58 アクチュエーター
59 ボールバルブ
60 シール剤供給装置
61 シール剤
62 容器
70 摺動シール
70A 内周部
70B 外周部
71 不連続部
72 シール保持部材
72A 外周部
75 前方空間
79 シール部材
79A 外端
80 不連続部
80B 境界
81 第1摺動シール
82 第2摺動シール
88 空間
89,90 隙間
120 吸引用凹部
201 第1大径部
202 第2大径部
202A 部位
202B 外周面
202C シール保持溝
203 小径部
203A 外周部
203B 二面幅
601 接続部
602 アルミカス受け
631 第1配管
631A 出口
632 第2配管
632A 出口
701 一端部
701A 前側凸部
701B 端面
702 他端部
702A 後側凸部
702B 端面
711 第1空隙
712 第2空隙
713 第3空隙
715,716 分割部
717 凹部
718 凸部
791 シール部材
A 回路
D1 進退方向
D2 径方向
D3 周方向
Gp 隙間
P0,P1,P2 圧力
S カス

Claims (13)

  1. 溶湯が内側に供給されるスリーブと、前記スリーブの内側で進退可能なプランジャと、を備え、前記プランジャによりダイカストマシンのキャビティに向けて前記溶湯を射出する射出装置であって、
    前記プランジャのチップには、前記スリーブの内周部に対して径方向の内側に退避し、周方向に連続する吸引用凹部が区画され、
    前記チップの前端よりも前方の空間と、前記吸引用凹部の内側とを吸引可能に構成され、
    前記スリーブには、前記スリーブを内側と外側とに亘り貫通し、前記スリーブの内側を吸引可能な2以上の吸引口が前記プランジャの進退方向に並んで形成され、
    前記スリーブに対して前進する前記プランジャの位置に応じて、前記2以上の吸引口のうちから選択的に少なくとも1つが前記前方の空間と連通し、前記2以上の吸引口のうちから選択的に少なくとも1つが前記吸引用凹部の内側と連通
    前記スリーブに前記溶湯が供給された後に、前記前方の空間と連通する少なくとも1つの前記吸引口を通じて前記前方の空間を吸引により減圧させながら、前記吸引用凹部の内側と連通する少なくとも1つの前記吸引口を通じて前記吸引用凹部の内側を吸引により減圧させつつも、前記前方の空間および前記吸引用凹部の内側のいずれか一方または両方の吸引の一時的中断と、前記前方の空間および前記吸引用凹部の内側のそれぞれの吸引の開始のタイミングの相違と、前記前方の空間および前記吸引用凹部の内側のそれぞれの吸引の終了のタイミングの相違とが許容される、
    ことを特徴とするダイカストマシンの射出装置。
  2. 前記2以上の吸引口は、前記進退方向に所定間隔に配置され、
    前記チップは、前記進退方向の前側に位置する第1大径部と、前記進退方向の後側に位置し、前記第1大径部との間に前記吸引用凹部を区画する第2大径部と、を備え、
    前記吸引口の数をn、
    前記吸引口の前記進退方向の寸法をLs2、
    前記進退方向に隣り合う前記吸引口の間隔をLs3、
    前記吸引用凹部の前記進退方向の寸法をLp0、
    前記第1大径部の前記進退方向の寸法をLp1、
    前記第2大径部の前記進退方向の寸法をLp2、とした場合に、
    Lp1<n×Ls2+(n-1)×Ls3 である、
    請求項1に記載のダイカストマシンの射出装置。
  3. 前記スリーブの注湯口から、前記注湯口に最も近い前記吸引口までの前記進退方向における距離をLs1とすると、
    Lp0<Ls1+n×Ls2+(n-1)×Ls3-Lp1 である、

    請求項2に記載のダイカストマシンの射出装置。
  4. Lp2≧Ls2 である、
    請求項2または3に記載のダイカストマシンの射出装置。
  5. Lp0>Ls3 である、
    請求項2から4のいずれか一項に記載のダイカストマシンの射出装置。
  6. 前記プランジャのチップの外周部に沿って周方向に連続し、前記プランジャの前進および後退に伴い前記スリーブの内周部を摺動する摺動シールを備え、
    前記摺動シールは、前記チップにおける前記吸引用凹部以外の部位に位置している、
    請求項1から5のいずれか一項に記載のダイカストマシンの射出装置。
  7. 前記摺動シールの径方向の内側に配置され、前記摺動シールと前記チップとの間の隙間を封止するシール部材を備える、
    請求項6に記載のダイカストマシンの射出装置。
  8. 前記プランジャの進退方向に並ぶ2以上の前記摺動シールを備え、
    少なくとも1つの前記摺動シールと前記チップとの間に前記シール部材が配置されている、
    請求項7に記載のダイカストマシンの射出装置。
  9. 前記摺動シールは、前記周方向の一部における不連続な箇所である不連続部を含んで環状に形成され、前記径方向の外側に向けて前記スリーブの内周部を押圧する状態に前記チップおよび前記スリーブに装着され、
    前記シール部材は、環状に形成され、前記摺動シールと前記チップとの間で撓んで前記隙間を封止する、
    請求項7または8に記載のダイカストマシンの射出装置。
  10. 前記チップにおいて、前記進退方向の前側に位置する第1大径部の外周部と、前記進退方向の後側に位置し、前記第1大径部との間に前記吸引用凹部を区画する第2大径部の外周部とにシール剤を供給可能なシール剤供給装置を備え、
    前記スリーブの内周部と、前記第1大径部および前記第2大径部のそれぞれの外周部との間の隙間が前記シール剤により封止される、
    請求項1から9のいずれか一項に記載のダイカストマシンの射出装置。
  11. 溶湯が内側に供給されるスリーブの内側で進退可能なプランジャによりダイカストマシンのキャビティに向けて前記溶湯を射出する射出装置を用いた鋳造方法であって、
    前記プランジャのチップには、前記スリーブの内周部に対して径方向の内側に退避し、周方向に連続する吸引用凹部が区画され、
    前記スリーブには、前記スリーブを内側と外側とに亘り貫通し、前記スリーブの内側を吸引可能な2以上の吸引口が前記プランジャの進退方向に並んで形成され、
    前記スリーブに前記溶湯が供給された後に、前記チップの前端よりも前方の空間と連通する少なくとも1つの前記吸引口を通じて前記前方の空間を吸引により減圧させながら、前記吸引用凹部の内側と連通する少なくとも1つの前記吸引口を通じて前記吸引用凹部の内側を吸引により減圧させつつも前記前方の空間および前記吸引用凹部の内側のいずれか一方または両方の吸引の一時的中断と、前記前方の空間および前記吸引用凹部の内側のそれぞれの吸引の開始のタイミングの相違と、前記前方の空間および前記吸引用凹部の内側のそれぞれの吸引の終了のタイミングの相違とが許容される、
    ことを特徴とする鋳造方法。
  12. 前記プランジャのチップの外周部に沿って周方向に連続し、前記プランジャの前進および後退に伴い前記スリーブの内周部を摺動する摺動シールの径方向の内側に、前記摺動シールと前記チップとの間の隙間を封止するシール部材が配置された状態に、前記摺動シールおよび前記シール部材を前記プランジャと前記スリーブとに装着し、
    前記前方の空間と、前記吸引用凹部の内側とを吸引する、
    請求項11に記載の鋳造方法。
  13. 前記吸引口を通じた前記スリーブ内の吸引を終えた後、
    加圧タンクを使用し、前記吸引口を通じて前記スリーブの内側にエアを噴出させる、
    請求項11または12に記載の鋳造方法。
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