JP2002224807A - 真空ダイカスト装置及び真空ダイカスト方法 - Google Patents

真空ダイカスト装置及び真空ダイカスト方法

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JP2002224807A
JP2002224807A JP2001023991A JP2001023991A JP2002224807A JP 2002224807 A JP2002224807 A JP 2002224807A JP 2001023991 A JP2001023991 A JP 2001023991A JP 2001023991 A JP2001023991 A JP 2001023991A JP 2002224807 A JP2002224807 A JP 2002224807A
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injection
sleeve
die casting
vacuum
decompression
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Norihiro Amano
憲広 天野
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 射出チップ背面側の空気がキャビティ側へ漏
れることを抑制する真空ダイカスト装置及び方法を提供
する。 【解決手段】 本発明の真空ダイカスト装置1は、射出
スリーブ11内を摺動する射出チップ13と、射出チッ
プ13の背面13b側に形成されこの背面13bに連な
る減圧室と、この減圧室に連絡される真空生成手段7と
を備える。上記減圧室は、射出チップ13の背面13b
側に、射出スリーブ11内に摺動自在に支持される減圧
スリーブ20内に形成された第1減圧室25と、減圧ス
リーブ20の射出チップ側端面21a、射出スリーブ1
1の内周面11a、および射出チップ背面13bにより
形成された第2減圧室26と、を含むことが好ましい。
第1,第2減圧室25,26を減圧状態として、射出チ
ップ13の射出端面13aにより、射出スリーブ11内
の溶湯35を真空状態のキャビティ5内に射出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空ダイカスト装
置及び真空ダイカスト方法に関し、詳しくは、射出シリ
ンダ内における射出チップ背面側の空気がキャビティ側
へ漏れることを抑制し得る真空ダイカスト装置及び真空
ダイカスト方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来一般に、真空ダイカスト装置101
は、例えば図5に示すように、一対の金型102,10
3により形成されるキャビティ105内を真空ポンプ1
07に連絡し、キャビティ105内の空気を真空引き
(減圧)した状態で、射出スリーブ111内の溶湯13
5(例えば、アルミニウム合金)を、ピストンロッド1
15の先端に連結された射出チップ113の射出端面1
13aによってキャビティ105内へ高速・高圧で射出
し、キャビティ105内の空気が溶湯135に巻き込ま
れることを抑制して、高品質なダイカスト製品の成形を
図るものであった。
【0003】しかし、上記真空ダイカスト装置101で
は、射出スリーブ111内周と射出チップ113外周と
の間の気密シールを完全に実施することは困難であり、
両者111,113の間には微小な空隙が存在すること
が現状である。従って、キャビティ105内の減圧に伴
って、その空隙からチップ背面側の空気がキャビティ1
05側へ漏れ(図5中、符号Pで示す)、その結果、溶
湯135中に空気が巻き込まれたり、キャビティ105
内へ溶湯135が一気に引き込まれたり(図5中、符号
Qで示す)、チップ潤滑剤(例えば、黒鉛と油とを混合
したもの)が溶湯135内に侵入したり(図5中、符号
Rで示す)するといった問題があった。
【0004】そこで、上記問題を克服する従来の技術と
して、例えば、図6(a)に示すように、射出チップ11
3の外周に設けられた環状溝により減圧室200を形成
すると共に、射出チップ113及びピストンロッド11
5内部に減圧室200と真空ポンプ107とを連絡する
連絡路201を形成し、射出成形の際、減圧室200内
を減圧して、チップ背面側の空気等がキャビティ105
側へ漏れることを防止するようにした真空ダイカスト装
置が知られている(例えば、特開平1−313171号
公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技
術では、射出チップ113の外周、すなわち射出チップ
113と射出スリーブ111との摺動部に減圧室200
が形成されているため、射出成形の繰返し実施によっ
て、射出成形毎に塗布されるチップ潤滑剤が減圧室20
0や連絡路201に侵入・堆積してこれらを閉塞してし
まい(図6(b)中、符号Sで示す)、その結果、キャビ
ティ内の必要十分な減圧度を確保できない等の機能障害
を生じやすいといった問題があった。
【0006】また、射出チップ113は長期使用により
次第に摩耗するが、この摩耗した射出チップ113外周
(摩耗部分)は溶湯135を噛み込みやすくなる。特
に、射出成形におけるキャビティ105内への溶湯13
5の充填後の加圧(通常数十MPa)時に、溶湯135
の噛み込みを生じ易く、この噛み込みによって減圧室2
00や連絡路201がバリ差しで閉塞されてしまい(図
6(b)中、符号Tで示す)、やはりキャビティ内の必要
十分な減圧度を確保できない等の機能障害を生じやすい
といった問題があった。
【0007】さらに、射出チップ113内部には、射出
チップ113の熱膨張による摺動抵抗の増大を防止する
ための冷却路が設けられる場合があるが、上記従来の技
術では、射出チップ113外周に減圧室200を形成す
ると共に、射出チップ113及びピストンロッド115
内部に連絡路201を形成しているので、冷却路の設定
位置が束縛され設計自由度が低いといった問題があっ
た。
【0008】本発明は、上記問題点を解決するものであ
り、射出シリンダ内における射出チップ背面側の空気が
キャビティ側へ漏れることを抑制し得ると共に、射出成
形を繰返し実行しても良好な減圧度を維持することので
きる真空ダイカスト装置、及び、この真空ダイカスト装
置を用いた真空ダイカスト方法を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の真空ダイ
カスト装置は、射出スリーブ内の溶湯を、該射出スリー
ブ内を摺動する射出チップの射出端面によって真空状態
のキャビティ内へ射出する真空ダイカスト装置であっ
て、前記射出スリーブ内における前記射出チップの背面
側に形成され該射出チップ背面に連なる減圧室と、該減
圧室に連絡される真空生成手段とを備えることを特徴と
する。
【0010】また、請求項2記載の真空ダイカスト装置
は、請求項1記載の装置において、前記射出チップの背
面側に、前記射出スリーブ内に摺動自在に支持される減
圧スリーブを備えることを特徴とする。
【0011】本発明の真空ダイカスト装置によると、射
出チップの外周には前記減圧室が形成されていないの
で、外周に溝等の凹部を設けた射出チップを用いて減圧
室を形成する場合とは異なり、チップ潤滑剤や溶湯噛み
込みによる減圧経路の閉塞が防止される。さらに、射出
チップの内部には前記減圧室が形成されていないので、
射出チップ内に冷却路を設ける場合において、冷却路の
設計自由度が高いという利点がある。
【0012】また、請求項2記載のように減圧スリーブ
を備える真空ダイカスト装置によると、この減圧スリー
ブの内部を含む構成の減圧室とすることにより、比較的
容積が大きく、かつ/または、減圧時等における気体の
流通抵抗の低い減圧室を簡易に形成できるため好まし
い。なお、上記減圧スリーブは、前記射出スリーブに形
成されこの射出スリーブ内に溶湯を供給するための給湯
口を閉塞可能であることが好ましい。減圧スリーブによ
り給湯口の閉塞手段を兼用できるためである。
【0013】上記条件を満たす限りにおいて、前記減圧
室の構成・形状・大きさ等は特に問わない。例えば、請
求項2に示すように減圧スリーブを備える装置において
は、この減圧スリーブ内を含む位置に減圧室を構成する
ことができる。また、後述する第1実施例のように、こ
の真空ダイカスト装置の使用時において、前記減圧スリ
ーブおよび前記射出チップの位置を制御することによ
り、前記減圧スリーブ内に形成された第1減圧室に加え
て、この減圧スリーブにおける射出チップ側の端面と前
記射出スリーブ内周面と前記射出チップの背面とにより
形成される第2減圧室を形成しうる構成とすることが好
ましい。あるいは、後述する第2実施例のように、減圧
スリーブを使用せず、前記射出スリーブに形成された給
湯口を閉塞可能な蓋体と、前記射出スリーブ内周面と、
前記射出チップ背面とにより減圧室を構成することもで
きる。
【0014】請求項3記載の真空ダイカスト方法は、請
求項1または2記載の真空ダイカスト装置を用いて、前
記減圧室を減圧した状態で前記溶湯の射出を行うことを
特徴とする。前記減圧室を減圧した状態で溶湯を射出す
ることにより、射出チップ背面側の空気がキャビティ側
へ漏れることが抑制される。また、上述のように、射出
チップの外周には減圧室が形成されていないことによ
り、チップ潤滑剤や溶湯噛み込みによる減圧経路の閉塞
が防止されるので、射出成型を繰り返し行っても減圧室
の減圧度を良好に維持することができる。
【0015】請求項4記載の真空ダイカスト方法は、請
求項3記載の方法において、前記減圧室の減圧を開始し
た後、前記射出チップを射出方向へ移動させることによ
り前記減圧室の容積を増大させることを特徴とする。こ
のように減圧室の容積を増大させることにより、減圧室
の減圧度がより高められるので、射出チップ背面側の空
気がキャビティ側へ漏れることを抑制する効果がさらに
向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明を具体
的に説明する。 (第1実施例) (1)真空ダイカスト装置の構成 図1に示すように、真空ダイカスト装置1は、固定型2
と可動型3とを有し、これら両型2,3によってダイカ
スト製品を成形するためのキャビティ5が区画形成され
ている。このキャビティ5は、キャビティ5内を減圧可
能とするために、真空タンク6を介して真空ポンプ7に
配管8により接続されている。また、その配管8の途中
であってキャビティ5に近接した位置には、配管8を開
閉可能な真空バルブ9と、キャビティ5内の減圧度を計
測可能な真空計10とが配設されている。
【0017】上記キャビティ5には、射出スリーブ11
の一端開口が連絡されている。この射出スリーブ11の
外周には、射出スリーブ11内に溶湯35を給湯するた
めの給湯口12が形成されている。尚、図1に示す例で
は射出スリーブ11の外周上面側に給湯口12を形成し
ているが、給湯方法等に合わせて、射出スリーブ11の
外周側面側や外周下面側に給湯口12を形成してもよ
い。
【0018】この射出スリーブ11内には、円筒状の射
出チップ13が摺動自在に支持されている。この射出チ
ップ13は中実体であって、その外周に溝等の凹部は形
成されていない。そして、この射出チップ13のキャビ
ティ5側の端面である射出端面13aによって、射出ス
リーブ11内の溶湯35がキャビティ5内に射出される
こととなる。また、射出チップ13は、その背面13b
に一体に連結されたピストンロッド15を介して油圧シ
リンダ装置等の駆動手段(図示しない)に連結されてい
る。上記射出チップ13内部及びピストンロッド15内
部には、射出チップ13の熱膨張を防止するための冷却
路16が形成されている(図2(a)参照)。
【0019】そして、この射出チップ13は、その射出
端面13aが射出開始位置a1から停止位置c1に達す
るまでの総ストロークS1(550mm)間で移動可能
とされている。射出成形の際、この総ストロークS1間
において射出チップ13は、その射出端面13aが射出
開始位置a1から増速位置b1に達するまでの間は速度
V1(0.2m/sec)で移動し、増速位置b1から
停止位置c1に達するまでの間は速度V2(2.5m/
sec)で移動するように、前記駆動手段によりその移
動速度が制御される。尚、射出開始位置a1から増速位
置b1までのストロークは355mmに設定されてい
る。これらの移動速度およびストロークは、製品の形状
等に応じて適宜設定変更することができる。
【0020】また、図1,2に示すように、上記射出ス
リーブ11内には、射出チップ13の背面側に、略円筒
状の減圧スリーブ20が摺動自在に支持されている。ま
た、減圧スリーブ20の一端(射出チップ13側端部)
にはフランジ部21が形成され、このフランジ部21に
は所定の隙間をもって上記ピストンロッド15が挿通さ
れている。また、減圧スリーブ20の他端は閉塞部材2
2によって閉塞されている。この減圧スリーブ20は、
射出チップ13と同様にして、油圧シリンダ装置等の駆
動手段(図示しない)に連結されている。そして、減圧
スリーブ20内には、減圧スリーブ20内周面、ピスト
ンロッド15外周面、フランジ部21および閉塞部材2
2によって、第1減圧室25が区画形成されている。ま
た、減圧スリーブ20と射出チップ13との間には、フ
ランジ部21の射出チップ側端面21aと、射出チップ
背面13bと、この端面21aと背面13bとの間の射
出スリーブ内周面11aとにより、第2減圧室26を区
画形成し得る構造となっている。
【0021】第1減圧室25内の空間と第2減圧室26
内の空間とは、フランジ部21内周面とピストンロッド
15外周面との隙間に形成される連絡路27により連通
され、その全体が特許請求の範囲に記載の「減圧室」と
して機能する。尚、第1減圧室25の容積は固定である
が、第2減圧室26の容積は射出スリーブ13と減圧ス
リーブ20との位置関係に応じて可変である。
【0022】上記減圧スリーブ20内に形成された第1
減圧室25は、第1,第2減圧室25,26内を減圧可
能とするため、真空タンク6を介して真空ポンプ7(真
空生成手段として例示する)に、配管28により接続さ
れている。また、配管28の途中であって減圧スリーブ
20に近接した位置には、この配管28を開閉可能な真
空バルブ29と、第1減圧室25内の減圧度を計測可能
な真空計30とが配設されている。
【0023】この減圧スリーブ20は、その射出チップ
側端面21aが射出開始位置a2から停止位置c2に達
するまでの総ストロークS2(300mm)間で移動可
能とされている。射出成形の際には、前記駆動手段によ
り、減圧スリーブ20が総ストロークS2間を速度V1
(0.2m/sec)で移動するように制御される。
尚、減圧スリーブ20は、その射出チップ側端面21a
が減圧開始位置b2に位置したとき、給湯口12を閉塞
するようになっている(図2(b)参照)。また、減圧ス
リーブ20の射出開始位置a2から減圧開始位置b2ま
でのストロークは100mmに設定されている。また、
射出チップ13及び減圧スリーブ20外周と射出スリー
ブ11内周との微小な空隙には、導入路31を介して射
出成形毎にチップ潤滑剤33が塗布されるようになって
いる(図2(a)参照)。
【0024】(2)真空ダイカスト装置の作用 先ず、射出開始前の状態として、真空バルブ9,29は
閉塞されており、第1,第2減圧室25,26及びキャ
ビティ5内は減圧されておらず、また、図2(a)に示す
ように、射出チップ13及び減圧スリーブ20はそれぞ
れ射出開始位置a1,a2に停止している。さらに、固
定型2、可動型3及び射出スリーブ11は250℃に加
熱されているものとする。この状態で、給湯口12より
アルミニウム合金溶湯35(690℃、3900g)を
射出スリーブ11内に給湯した後、射出チップ13と共
に減圧スリーブ20を射出方向Eへ速度V1(0.2m
/sec)で移動させる。
【0025】そして、図2(b)に示すように、減圧スリ
ーブ20の射出チップ側端面21aがが減圧開始位置b
2に到達し、減圧スリーブ20の外周面によって給湯口
12が閉塞されたとき、真空バルブ9,29を開放させ
る。すると、予め真空ポンプ7で10torrまで減圧
された真空タンク6によって、第1減圧室25及びキャ
ビティ5内の空気が排出される。このように第1減圧室
25の空気が排出されることによって、連絡路27を介
して第2減圧室26の空気も排出され、射出チップ13
の背面13b側が減圧されることとなる。従って、溶湯
35とチップ潤滑剤33との接触により発生するガス
や、給湯口12と減圧スリーブ20外周との間の空隙か
ら射出スリーブ11側に漏れる空気等は、第2減圧室2
6、連絡路27、第1減圧室25を順次通って吸引排出
される。
【0026】その後、射出チップ13と共に減圧スリー
ブ20はさらに射出方向Eへ移動する。そして、図2
(c)に示すように、減圧スリーブ20の射出チップ側端
面21aが停止位置c2に到達したとき、減圧スリーブ
20のみを停止させる。すると、射出チップ13の更な
る移動に伴って第2減圧室26の容積が次第に増大する
ので、その減圧度がより高められる。このように減圧さ
れた第2減圧室26によって、チップ潤滑剤33により
発生するガスや給湯口12から漏れる空気等のキャビテ
ィ5側への漏洩を確実に防止することができる。それか
ら射出チップ13は、その射出端面13aが増速位置b
1に到達した後、速度V2に増速して移動する。この射
出チップ13によって、溶湯35がキャビティ5内に充
填された後、高圧(40MPa)で加圧される。第1減
圧室25および第2減圧室26からなる減圧室は、射出
チップ13の背面13b側にのみ形成されており、射出
チップ13の外周には何ら減圧室が形成されていないの
で、この加圧の際に溶湯の噛み込み等が発生しにくい。
その後、キャビティ5内に充填された溶湯35が凝固し
たら、可動型3を移動させることにより型開きしてダイ
カスト製品を離型する。
【0027】このようにして射出成形を繰り返し実施
し、得られたダイカスト製品(2.5×450×500
mm、1.5kg)につき、X線試験によりその内部を
確認して欠陥面積の総計を求めた。また、この射出成形
時におけるキャビティ5内の減圧度(射出チップ13が
速度V1で射出開始位置a1から増速位置b1まで移動
するときの減圧度)を、真空計10により測定した。ま
た比較例として、図5に示す装置を用い、射出チップ1
13の背面側を減圧することなく射出成型を行ってダイ
カスト製品を作製し、その欠陥面積の総計および射出成
型時におけるキャビティ105内の減圧度を測定した。
尚、射出チップ113の移動速度、溶湯及び型の温度、
加圧圧力等は上記実施例と同様の条件とした。以上の結
果を、欠陥面積総計と減圧度との関係として図3に示
す。
【0028】図3から判るように、第1実施例により得
られたダイカスト製品は、いずれも欠陥が極めて少な
く、空気やチップ潤滑剤によるガスの巻き込みのほとん
どない高品質な製品であった。また、射出成形を相当数
(例えば30,000回以上)繰返し行っても、キャビ
ティ5内は高い減圧度(20〜40torr)を確保す
ることができた。尚、射出チップ13が速度V1で射出
開始位置a1から増速位置b1まで移動する際、真空計
10は20〜40torrを示し、真空計30は30〜
60torrを示した。これらの数値より、各減圧室2
5,26及びキャビティ5内は好適な減圧度に維持され
ていると言える。
【0029】これに対して、図5に示す装置を用いて得
られたダイカスト製品では、X線試験により欠陥の残留
が確認された。また、射出成形の繰返し回数が増すにつ
れてキャビティ105内の減圧度が低下し、これにとも
なって製品の欠陥面積が増加する傾向がみられた。尚、
図3において、減圧度100Torr以上の範囲にある
プロットは、実験のため意図的に低い減圧度として射出
成型を行った例である。この結果から、得られたダイカ
スト製品の欠陥の程度は、キャビティ内の減圧度に大き
く影響されることが明白である。
【0030】(3)実施例の効果 このような真空ダイカスト装置1では、射出成形の際、
第1、第2減圧室25,26の空気を排出して射出チッ
プ背面13b側を減圧するようにしたので、チップ潤滑
剤33と溶湯との接触によって生じるガスや、給湯口1
2から漏れる空気等が、キャビティ5側の溶湯35に混
入することが抑制され、高品質なダイカスト製品を成形
することができる。また、射出チップ13外周には減圧
室等の空間を何ら形成していないため、チップ潤滑剤3
3や加圧時の溶湯噛み込みによる減圧経路の閉塞が抑制
される。従って、この装置1の長期使用後においてもキ
ャビティ5内を良好な減圧度に維持することができ、欠
陥の少ないダイカスト製品を得ることができる。
【0031】また、射出チップ13と減圧スリーブ20
とを別々に駆動可能な構成とし、これらの位置を、射出
チップ13の射出方向Eへの移動に伴って第2減圧室2
6の容積が増大するように制御することにより、この第
2減圧室26の減圧度をより高めることができる。ま
た、射出チップ13及びピストンロッド15内部に減圧
のための空間や経路を何ら形成していないので、射出チ
ップ13の内部に冷却路16を設ける場合、この冷却路
16の設定を簡易に行うことができる。また、射出チッ
プ13の背面13b側に、減圧スリーブ20を利用して
第1、第2減圧室25,26を形成しているので、比較
的大きく減圧性に優れた減圧室を簡易に設定することが
でき、さらに、減圧スリーブ20の停止位置c2を変え
るだけで、第2減圧室26の大きさを簡易に変更調整す
ることができる。
【0032】尚、上記第1実施例では、射出成形の際、
減圧スリーブ20の射出チップ側端面21aが減圧開始
位置b2に到達したとき、第1減圧室25とキャビティ
5内を略同時に減圧するようにしたが、第1減圧室25
の減圧をキャビティ5内の減圧よりも早く開始するよう
に真空バルブ9,29の開放時期を制御してもよい。こ
れにより、チップ潤滑剤33によるガスや給湯口12か
ら漏れる空気がキャビティ5側の溶湯35に混入するこ
とを、さらに確実に抑制することができる。また、本実
施例では、減圧スリーブ20の内部に形成した第1減圧
室25を介して第2減圧室26を減圧するようにした
が、この第1減圧室25に代わる空間を、減圧スリーブ
20の外周と射出スリーブ11の内周との間、あるい
は、射出スリーブ11の外周壁面内に設けるようにして
もよい。
【0033】また、上記第1実施例では、減圧スリーブ
20と射出チップ13とを別部材とし、減圧スリーブ2
0を停止させた後に射出チップ13を更に移動させるこ
とにより第2減圧室26の容積を増大させたが、減圧ス
リーブ20と射出チップ13とを最後まで共に移動させ
てもよい。この場合にも、射出チップ13の外周および
内部に減圧室が形成されていないことにより、減圧経路
の閉塞防止および冷却路の設定自由度向上の効果が得ら
れる。さらに、減圧スリーブ20と射出チップ13とを
一体的に設けてもよい。また、減圧スリーブ20にフラ
ンジ部21を設けず、第1、第2減圧室25,26を直
接連絡するようにしてもよい。また、射出チップ13及
び減圧スリーブ20の移動に関わるストローク値S1,
S2や各種設定位置a1〜c1,a2〜c2や速度V
1,V2等は適宜変更可能である。また、溶湯35とし
ては、アルミニウム合金の他、銅合金や亜鉛合金等の金
属溶湯でもよい。
【0034】(第2実施例)図4において、本発明の真
空ダイカスト装置の第2実施例について説明する。尚、
上述した第1実施例と略同様な構造のものは、同一符号
を使用して重複説明を省略する。この真空ダイカスト装
置40の射出スリーブ11の一端は閉塞部材41により
閉塞されている。また、射出スリーブ11の給湯口12
付近には、この給湯口12を開閉するように、適宜駆動
手段(図示せず)に連繋された蓋体42が設けられてい
る。この蓋体42と閉塞部材41と射出スリーブ内周面
11aと射出チップ背面13aとから減圧室44が区画
形成されている。
【0035】このように構成された真空ダイカスト装置
40では、先ず、開放状態の給湯口12から射出スリー
ブ11内に溶湯35を給湯した後、蓋体42を可動させ
て給湯口12を閉塞する。次に、真空バルブ9,29を
開放して減圧室44及びキャビティ5内の空気を吸引排
出し、射出チップ13の背面13b側及びキャビティ5
内を減圧する。そして、この減圧状態のまま、射出チッ
プ13を射出方向Eへ移動させると、この射出チップ1
3の移動に伴って減圧室44内の容積が増大し、減圧室
44の減圧度が高められる。その後、射出チップ13に
よってキャビティ5内へ溶湯35が射出されることとな
る。このような簡易な構成であっても、第1の実施例と
同様にして、高品質なダイカスト製品を成形することが
でき、この装置40の長期使用によっても、減圧室44
及びキャビティ5内を良好な減圧度に維持することがで
きる。
【0036】
【発明の効果】請求項1記載の真空ダイカスト装置によ
ると、射出チップ背面に連なる減圧室を減圧した状態で
射出成形を実施できる。上記減圧室は、前記射出チップ
の外周には形成されていないので、この装置を長期使用
しても減圧経路が閉塞されにくくい。従って、キャビテ
ィ内を良好な減圧度に維持でき、空気やガス等の混入の
ない高品質なダイカスト製品を得ることができる。さら
に、上記減圧室は、前記射出チップの内部には形成され
ていないので、射出チップ内部に冷却路を設ける場合、
この冷却路を容易に設定できる。請求項2記載の真空ダ
イカスト装置によると、請求項1記載の装置により得ら
れる効果に加えて、比較的大きく減圧性に優れた減圧室
を簡易に設定できる。
【0037】請求項3記載の真空ダイカスト方法による
と、射出チップ背面に連なる減圧室を減圧した状態で射
出成形を実施するので、射出チップ背面側の空気がキャ
ビティ側へ漏れることが抑制され、空気やガス等の混入
のない高品質なダイカスト製品を得ることができる。ま
た、上述のように減圧経路が閉塞されにくい構成の装置
を用いるので、この方法を繰り返し実施した後において
もキャビティ内を良好な減圧度に維持することができ
る。請求項4記載の真空ダイカスト方法によると、減圧
室の容積を増大させることにより減圧度がより高められ
るので、射出チップ背面側からキャビティ側への空気漏
洩をより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の真空ダイカスト装置を示す要部断
面図である。
【図2】第1実施例の真空ダイカスト装置の作用説明図
であって、(a)は射出開始状態を、(b)は給湯口の閉塞
状態を、(c)は射出チップのみの移動状態を示す。
【図3】キャビティ内の減圧度と、得られたダイカスト
製品の欠陥量との関係を示す特性図である。
【図4】第2実施例の真空ダイカスト装置を示す要部断
面図である。
【図5】従来の真空ダイカスト装置を示す要部断面図で
ある。
【図6】従来の真空ダイカスト装置における射出チップ
の断面図であって、(a)は減圧状態を示し、(b)は経路
閉塞状態を示す。
【符号の説明】
1;真空ダイカスト装置、5;キャビティ、7;真空ポ
ンプ(真空生成手段)、11;射出スリーブ、12;給
湯口、13;射出チップ、13a;射出端面、13b;
背面、20;減圧スリーブ、25;第1減圧室、26;
第2減圧室、40;真空ダイカスト装置、42;蓋体、
44;減圧室。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出スリーブ内の溶湯を、該射出スリー
    ブ内を摺動する射出チップの射出端面によって真空状態
    のキャビティ内へ射出する真空ダイカスト装置であっ
    て、 前記射出スリーブ内における前記射出チップの背面側に
    形成され該射出チップ背面に連なる減圧室と、該減圧室
    に連絡される真空生成手段とを備えることを特徴とする
    真空ダイカスト装置。
  2. 【請求項2】 前記射出チップの背面側に、前記射出ス
    リーブ内に摺動自在に支持される減圧スリーブを備える
    請求項1記載の真空ダイカスト装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の真空ダイカスト
    装置を用いて、前記減圧室を減圧した状態で前記溶湯の
    射出を行うことを特徴とする真空ダイカスト方法。
  4. 【請求項4】 前記減圧室の減圧を開始した後、前記射
    出チップを射出方向へ移動させることにより前記減圧室
    の容積を増大させることを特徴とする請求項3記載の真
    空ダイカスト方法。
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