JP2009202179A - 減圧鋳造方法、及び、減圧鋳造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】射出スリーブ2の給湯口6、及び、前記射出スリーブ2の金型1と反対側の開放端部2a、の双方を取り囲む減圧室11を内部に形成する閉塞部材10と、前記減圧室11に連通された第1減圧タンク18と、キャビティ4内に連通された第2減圧タンク21と、を具備し、射出チップ3の射出動作開始前から、該射出チップ3が射出動作によって前記給湯口6を塞ぐまでの間において、第1減圧タンク18により、前記減圧室11と、該減圧室11と前記給湯口6により連通された前記キャビティ4内と、が減圧され、前記射出チップ3が射出動作によって前記給湯口6を塞いだ後において、前記第2減圧タンク21により、前記キャビティ4内が減圧される。
【選択図】図1
Description
具体的には、例えば射出スリーブの開放端部については、射出スリーブ内にて摺動される射出チップにて閉じる構成としているため、射出スリーブの熱による変形、膨張によって、射出チップと射出スリーブと間の隙間が変化し、シール性能が保てないことになる。
また、給湯口の開口部については、溶湯のこぼれ湯の存在を考慮すると、蓋などによるシールの形態では、確実にシールすることができない可能性がある。
具体的には、溶湯の射出スリーブ内での凝固を考慮すると、減圧に費やすことができる時間は1〜2秒程度であり、キャビティや射出スリーブの減圧度に分布が生じていると考えられる。そのため、このような減圧度が不安定な状態で鋳造を行うと、強度・品質のばらつきが大きくなる可能性がある。
図1は給湯時における減圧鋳造装置について示す概略断面図である。
図2は減圧時における減圧鋳造装置について示す概略断面図である。
図3は減圧鋳造の一連のプロセスについて示す図である。
図4(a)は本発明との第1の比較対象である、従来技術に係る減圧鋳造装置について示す概略断面図、(b)は同じく本発明との第2の比較対象である、従来技術に係る減圧鋳造装置について示す概略断面図である。
図5は横軸を時間、縦軸を圧力として、圧力の時間変化の例を示す図である。
図6は別実施例に係る減圧鋳造装置について示す概略断面図である。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
まず、本実施例に係る減圧鋳造装置30の構成について、図1及び図2を用いて説明する。
図1に示すごとく、減圧鋳造装置30における金型1には、略円筒形状の射出スリーブ2が左側方に突出して付設されている。そして、該射出スリーブ2内にて短円柱状の射出チップ3を右側方に摺動させ、射出スリーブ2内に供給された溶湯5を押し出して、金型1に設けたキャビティ4内に射出する構造としている。
さらに、前記射出スリーブ2の外周壁から半径方向外側に突出して、フランジ部8が設けられている。このフランジ部8は、射出チップ3によって射出スリーブ2内の溶湯5を押し出し、キャビティ4内に射出する射出動作時における、該射出チップ3の進行方向(図1における右側方)と、略直交する平面と略並行となる壁面を形成するように構成される。
また、このフランジ部8は、前記給湯口6が配置される位置よりも右側方、即ち射出チップ3が溶湯5を射出する際に移動する方向の側に配設されている。
この閉塞部材10は、前記射出チップ3の射出動作時における移動方向側の端面10aが開放される略円筒状の部材であり、もう一方の、即ち前記射出チップの射出動作時における移動方向とは反対側の、閉じた端面10dの貫通孔10cには、前記支持軸9が摺動自在に挿通される。
また、筒状に構成される閉塞部材10の内径寸は、前記射出スリーブ2の外径寸よりも大きく構成され、閉塞部材10の前記端面10aを、前記射出チップ3の射出時における移動方向と同じ方向へ移動させることで、前記閉塞部材10の内部の空間に前記射出スリーブ2の開放端部2aが挿入されるようになっている。
そして、前記閉塞部材10のアクチュエータ13による移動が行われ、前記閉塞部材10の前記端面10aに設けたフランジ部10bを前記射出スリーブ2のフランジ部8に圧接した状態では、前記射出スリーブ2の開放端部2aの周囲を取り囲む減圧室11が形成されるようになっている。
このアクチュエータ13は、後述するように、射出チップ3(支持軸9)とは独立して駆動されるようになっており、これにより、前記閉塞部材10と射出チップ3が独立して動作するようになっている。
なお、閉塞部材10のフランジ部10bにシール部材14を設ける構成としてもよい。
また、閉塞部材10は射出スリーブ2の外側を移動することから、閉塞部材10が射出スリーブ2に摺接することはなく、射出スリーブ2と閉塞部材10の間においては潤滑油が必要とされることはない。
即ち、射出スリーブ2の金型1と反対側の開放端部2aを閉塞部材10で取り囲み、減圧室11を内部に形成する構成としているため、射出スリーブ2の熱による変形、膨張が発生し、射出チップ3と射出スリーブ2と間の隙間が変化しても、シール性能を保持することが可能となるのである。
なお、この吸引口15は、前記射出スリーブ2のフランジ部8に設けることとし、前記閉塞部材10を図2の状態とした際に、フランジ部8に設けた吸引口より吸引を行うこととしてもよく、この構成によれば、後述する第1の減圧手段に繋がる吸気配管を固定できることになる。
そして、その接続経路上の前記第1開閉バルブ20を開くことによって、前記減圧室11、及び、キャビティ4の減圧が開始されるようになっている。
そして、その接続経路上の前記第2開閉バルブ23を開くことよって、前記キャビティ4の減圧が開始されるようになっている。
なお、前記第1減圧タンク18、及び第2減圧タンク21はバッファとして機能させるものである。
例えば、前記アクチュエータ13については、給湯完了後のラドル7の後退とともに閉塞部材10を前進させフランジ部8に圧接させて減圧室11を形成させ、射出完了後は、射出チップ3の後退前に、又は、同時に、後退する動作を行うこととする、といった動作制御が考えられる。
なお、各装置を動作させる具体的な機構については、特に限定されるものではない。
次に、図3を用いて、上記の減圧鋳造装置30による減圧鋳造プロセスについて説明する。
まず給湯時S1では、ラドル7にて、給湯口6から射出スリーブ2内に溶湯5が供給される。
この際、前記閉塞部材10は、アクチュエータ13によって射出スリーブ2から遠くなる側に引き離された状態にある。
また、射出チップ3の射出方向側先端部は、給湯口6よりも手前の位置に配置されるようにして、前記給湯口6が完全に開放された状態とする。また、前記第1開閉バルブ20及び第2開閉バルブ23は閉じた状態とし、減圧は行われない状態とする。
減圧室構成工程では、前記閉塞部材10が図3中矢印A方向へ移動し、その後、フランジ部10bが射出スリーブ2に設けたフランジ部8に圧接される。これにより、給湯口6と、射出スリーブ2における前記金型1と反対側の開放端部2aと、を取り囲む減圧室11が構成されるのである。
このようにして、射出スリーブ2の開放端部2a、及び、給湯口6が、閉塞部材10の減圧室11内に配置される。この状態では、射出チップ3の背面側(溶湯5と接しない側の端面側)の空間と、射出スリーブ2内の空間とが、前記給湯口6を介して連通されることになる。
第1減圧工程時S2においては、前記射出チップ3は、前記給湯口6よりも前記射出スリーブ2の開放端部2aの側に配置され、前記給湯口6を介して前記減圧室11と前記射出スリーブ2内とが連通される構成となっている。
この第1減圧工程は、射出チップ3が図示せぬアクチュエータによって射出動作を開始した後、該射出チップ3が図3中矢印Bの方向(射出チップ3により溶湯5を射出する方向)に移動して前記給湯口6を塞ぐまでの間、継続する。
このときには、前記射出チップ3の射出動作により、溶湯5が所定の減圧度が確保されたキャビティ4内へと射出される。この射出が行われる間は、前記第1開閉バルブ20を閉じ、前記第2開閉バルブ23を開くことにより、図3中矢印bの方向にキャビティ4の空気の吸引が開始され、第2減圧工程が行われる。
つまり、第2減圧工程時S3においては、前記第2の減圧手段によりキャビティ4内の空気を吸引した状態で、溶湯5がキャビティ4内へ射出されることとなるのである。
しかし、前記吸引口16からの吸引により、射出チップ3の背面側の空間に比べてキャビティ4側の空間の減圧が進行しているため、射出スリーブ2と射出チップ3の間の隙間へ、溶湯5が浸入することを防ぐことができる。
この状態では、溶湯5を高速射出するため、シャットバルブ17が閉じられる。
そして、射出チップ3が射出側に移動しきった後に、前記第2開閉バルブ23が閉じられて、減圧が終了した状態となるのである。
その後、キャビティ4内の製品が凝固したら、型開きをして製品の取り出しが行われる。
このように、射出チップ3の後退動作によって、射出スリーブ2内の内周面を清浄な状態とすることができる。
そして、前記ゴミ等の除去により、次回の射出時においては不純物の混在を抑制することが可能となり、ひいては品質の向上を図ることができることとなる。
つまり、キャビティ4や射出スリーブ2の減圧度を略均一に保つことができるため、強度・品質のばらつきを少なくすることができるのである。
このようにして、減圧開始のタイミングが早くなり、また、減圧開始後は効果的に減圧を実施できるので、短時間で、射出スリーブ2内、及び、キャビティ4内の減圧を進行させることが可能となる(減圧時間を稼ぐことができる。)。
次に、図4及び図5を用いて、本実施例に係る減圧鋳造装置30による効果を、第1・第2の比較対象である減圧鋳造装置130・230と比較して説明する。
図4(a)、(b)に示す第1・第2の比較対象である減圧鋳造装置130・230においては、金型101・201、射出スリーブ102・202、射出チップ103・203、キャビティ104・204、給湯口106・206、第1減圧タンク118・218、第1真空ポンプ119・219、第2減圧タンク121・221、及び、第2真空ポンプ122・222等の各部材については、前記実施例に係る減圧鋳造装置30と略同一に構成・機能するため、以下では詳細な説明を省略する。
そして、該吸引口116・216は、途中で分枝する接続配管により、第1減圧タンク118・218、及び第2減圧タンク121・221と接続される。
また、前記減圧鋳造装置230の前記接続配管途上には、分枝した後にそれぞれ第1開閉バルブ220、第2開閉バルブ223が設けられ、該第1開閉バルブ220、及び第2開閉バルブ223の動作によって、前記キャビティ204の減圧が行われるようになっている。
なお、減圧鋳造装置230においては、前記第1開閉バルブ220の開放後しばらくしてから第2開閉バルブ223が開放され、第2の減圧が開始される構成となっている。
具体的には、図5中に示す減圧曲線L1は本実施例に係る減圧鋳造装置30による圧力変化を、減圧曲線L2は第1の比較対象である減圧鋳造装置130による圧力変化を、減圧曲線L3は第2の比較対象である減圧鋳造装置230による圧力変化を、それぞれ表している。
また、曲線Pは、射出チップ3(103・203)の位置を示している。該射出チップ3は、ある目標時間Tの経過後において高速射出が開始されるが、本実施例における曲線Pにおいては、高速射出開始の段階で射出チップ3を停止した状態が表現されている。
即ち本実施例では、減圧開始のタイミングをより早くすることができるので、ある目標時間Tにおいてより大きな減圧を達成するということが可能となるのである。
次に、本発明の別実施例に係る減圧鋳造装置30の構成について、図6を用いて説明する。
なお本実施例において説明する減圧鋳造装置30において、上述した実施例と共通する部分については、同符号を付してその説明を省略する。
その後の給湯、減圧工程は上記実施例と略同様であるため、本実施例においては詳細な説明を省略する。
2 射出スリーブ
2a 開放端部
3 射出チップ
4 キャビティ
6 給湯口
7 ラドル
10 閉塞部材
11 減圧室
18 第1減圧タンク
19 第1真空ポンプ
20 第1開閉バルブ
21 第2減圧タンク
22 第2真空ポンプ
23 第2開閉バルブ
30 減圧鋳造装置
31 エアブローガン
Claims (7)
- 金型のキャビティ内を減圧した状態で、射出スリーブ内に供給した溶湯を射出チップにより押し出して前記キャビティ内へ射出する射出動作を行うことにより、鋳造を行う減圧鋳造方法であって、
前記射出スリーブの給湯口から溶湯を供給した後に、前記給湯口と、該射出スリーブにおける前記金型と反対側の開放端部と、を取り囲む減圧室を構成する減圧室構成工程と、
射出動作の開始前から、該射出チップが射出動作によって前記給湯口を塞ぐまでの間において、前記減圧室と連通される第1の減圧手段により、前記減圧室と、該減圧室と前記給湯口により連通された前記キャビティ内と、の減圧を行う第1の減圧工程と、
前記射出チップが射出動作によって前記給湯口を塞いだ後において、前記キャビティ内と連通される第2の減圧手段により、該キャビティ内の減圧を行う第2の減圧工程と、を備える、
ことを特徴とする、減圧鋳造方法。 - 前記減圧鋳造方法は、
前記溶湯を前記射出スリーブ内に供給する前に、前記給湯口より熱風を吹きこむ送風工程をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の減圧鋳造方法。 - 金型のキャビティ内を減圧した状態で、射出スリーブ内に供給した溶湯を射出チップにより押し出して前記キャビティ内へ射出する射出動作を行うことにより、鋳造を行う減圧鋳造装置であって、
射出スリーブの給湯口、及び、前記射出スリーブの金型と反対側の開放端部、の双方を取り囲む減圧室を内部に形成する閉塞部材と、
前記減圧室に連通された第1の減圧手段と、
前記キャビティ内に連通された第2の減圧手段と、を具備し、
射出チップの射出動作開始前から、該射出チップが射出動作によって前記給湯口を塞ぐまでの間において、前記第1の減圧手段により、前記減圧室と、該減圧室と前記給湯口により連通された前記キャビティ内と、が減圧され、
前記射出チップが射出動作によって前記給湯口を塞いだ後において、前記第2の減圧手段により、前記キャビティ内が減圧される、
ことを特徴とする、減圧鋳造装置。 - 前記減圧鋳造装置は、
前記溶湯を前記射出スリーブ内に供給する前に、前記給湯口より熱風を吹きこむ送風手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の減圧鋳造装置。 - 前記閉塞部材は、前記射出チップの射出動作時における移動方向側の端面が開放される筒状の部材であり、
前記閉塞部材の、前記射出チップの射出動作時における移動方向とは反対側の閉じた端面の貫通孔に、前記射出チップの支持軸が挿通され、
前記閉塞部材の内寸は、前記射出スリーブの外寸よりも大きく構成され、
前記閉塞部材の開放側の端面を、前記射出チップの射出動作時における移動方向へ移動させることで、前記閉塞部材の内部の空間に前記射出スリーブの開放端部が挿入される構成とされる、
ことを特徴とする請求項4に記載の減圧鋳造装置。 - 前記射出スリーブの外壁には、フランジ部が立設され、
前記閉塞部材の開放側の端面を前記フランジ部に圧接させることで前記減圧室が形成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の減圧鋳造装置。 - 前記閉塞部材、前記射出スリーブ、前記射出チップ、及び、前記射出チップの支持軸は、同軸上に配置される、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の減圧鋳造装置。
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