JP6941480B2 - 天井支持構造 - Google Patents

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本発明は、天井構造物を支持する天井支持構造に関する。
上述の天井支持構造として、例えば、特許文献1に示す吊天井構造が存在する。この吊天井構造では、躯体の一例である上階床スラブなどから垂設して要所箇所に配置される吊ボルト(天井吊材)の先端部に、野縁と野縁受けを略格子状に枠組みした天井構造枠が吊り下げ支持されている。
また、吊ボルトのみで吊り下げ支持させた天井構造枠は、地震などの発生時に振り子のように揺れるため、隣り合う吊ボルト同士に渡ってブレース(斜め部材)が筋交い状に配設されている。
特開2008−050784号公報
上述の吊天井構造では、吊ボルト同士に渡ってブレースを配設することにより、水平方向の剛性及び耐力を強化しているものの、吊天井構造故に、まだ地震時における水平方向の変形が大きい。それ故に、天井構造物の落下を防止するためには、天井構造物の周囲の壁側との間のクリアランスを大きくする必要があり、音響環境の弱点となっている。
また、上述の吊天井構造において、遮音性能を確保するために、要所箇所に配置されている全ての吊ボルトの各々に、防振ゴムを有する防振機構を設ける防振対策が講じられている。この防振機構を備えた吊天井構造の場合、地震時における天井構造物の水平方向での変形が大きくなり、しかも、ブレースを通じて振動が伝搬してしまう問題がある。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、天井構造物の振動(音)を防振機構で抑制しながら、地震時の天井構造物の水平方向での変形を減少して音響環境の改善を図ることのできる天井支持構造を提供する点にある。
本発明による第1の特徴構成は、躯体に結合され、且つ、当該躯体と共に挙動する非吊構造の支持部で天井構造物を支持する天井支持構造において、
前記支持部と前記天井構造物との間に、鉛直荷重を防振ゴムを介して伝達する防振機構が設けられ、前記防振機構には、前記防振ゴムと水平方向から当接可能な状態で前記支持部側に設けられる水平変位ストッパーが備えられ
前記防振機構は、前記支持部側の上受け材と前記天井構造物側の下受け材とが防振ゴムを介在した状態で貫通ボルトにて連結され、前記防振ゴムの天板と前記水平変位ストッパーとの間には、前記防振ゴムのボルト挿通孔の内面に前記貫通ボルトの外面が当接した状態で設定間隔の隙間が形成され、水平力の作用時に、前記防振ゴムの前記天板が前記水平変位ストッパーに当接するまでの前記隙間の範囲において、前記貫通ボルトが鉛直姿勢のままスライド移動して前記防振ゴムをせん断変形させる第1ゴム変形作動と、前記防振ゴムの前記天板が前記水平変位ストッパーに当接した以降において、前記貫通ボルトが傾動して前記防振ゴムを圧縮変形させる第2ゴム変形作動と、が実行可能に構成されている点にある。
上記構成によれば、躯体と共に挙動する非吊構造の支持部に対して、天井構造物の鉛直荷重を防振機構の防振ゴムを介して伝達することにより、天井構造物の振動(音)が支持部側に伝播されることを抑制することができる。それでいて、地震時の天井構造物の水平力は、支持部側の水平変位ストッパーに当接した状態での防振ゴムの変形に伴う復元力で支持部に伝達することにより、防振ゴムの復元力による水平剛性及び回転剛性によって地震時の天井構造物の水平方向での変形を少なくすることができる。これにより、防振及び遮音性能が求められる特定天井において、音響環境の弱点となる天井構造物の周囲(壁側)のクリアランスを小さくすることができる。
上記構成によれば、防振機構の第1ゴム変形作動においては、防振ゴムの天板と水平変位ストッパーとの間に形成されている隙間の範囲において、貫通ボルトが鉛直姿勢のままスライド移動して防振ゴムをせん断変形させる。この防振ゴムのせん断変形による復元力によって大きな水平剛性が発生する。この第1ゴム変形作動に続く防振機構の第2ゴム変形作動においては、防振ゴムの天板が水平変位ストッパーに当接して、防振ゴムのせん断変形が抑止される。これと同時に、貫通ボルトが水平変位ストッパーとの当接位置で防振ゴムの曲げ剛性を回転拘束度とするキャンチレバーとなり、貫通ボルトの傾動(回動)と防振ゴムの圧縮変形(曲げ変形)によってより大きな水平剛性及び回転剛性を得ることができる。
したがって、防振ゴムと水平変位ストッパーとの合理的な配置構成により、防振機構の第1ゴム変形作動から第2ゴム変形作動への移行に伴って大きな水平剛性及び回転剛性を確保することができる。これにより、天井構造物の振動(音)を防振機構で抑制しながら、地震時における天井構造物の水平方向での変形量を減少することができ、音響環境の弱点となる天井構造物の周囲(壁側)のクリアランスをより小さくすることができる。
本発明による第の特徴構成は、前記防振ゴムの前記ボルト挿通孔の内面と前記貫通ボルの外面との間にクリアランスが形成され、前記防振機構は、前記水平力の作用時に、前記貫通ボルトが前記ボルト挿通孔のクリアランスの範囲で鉛直姿勢のままスライド移動したのち、前記第1ゴム変形作動に移行する点にある。
上記構成によれば、水平力の作用時において、防振機構の第1ゴム変形作動前に、貫通ボルトがボルト挿通孔のクリアランスの範囲で鉛直姿勢のままスライド移動するものの、そのスライド移動は微小で、天井構造物の水平方向での変動に与える影響は極めて小さい。それよりも、ボルト挿通孔のクリアランスによって防振機構の第2ゴム変形作動での貫通ボルトの傾動がスムーズになり、防振ゴムを傾動方向から適正に圧縮変形させることができる。
本発明による第の特徴構成は、前記水平変位ストッパーには、前記防振ゴムの天板における円形輪郭形状と相似形の水平変位規制孔が形成されている点にある。
上記構成によれば、防振ゴムの天板が水平方向のいずれに移動しても、当該防振ゴムの天板は水平変位ストッパーの水平変位規制孔の内面に確実に当接する。この全方向対応の水平変位ストッパーにより、地震時における天井構造物のいずれの水平方向の変動も抑制することができる。
建物の天井支持構造の縦断面図 図1のII−II線矢視図 図2のX方向視での拡大図 図2のY方向視での拡大図 要部の分解斜視図 地震時の貫通ボルトと防振ゴムの挙動図 Y方向視での防振接合部の応力伝達図 X方向視での防振接合部の応力伝達図
〔第1実施形態〕
図1、図2は、音楽ホールや複合型映画館(シネコン)、劇場等に適した防振及び遮音性能を有する建物の天井支持構造を示す。この天井支持構造では、建物の躯体1に結合され、且つ、当該躯体1と共に挙動する非吊構造の支持部10で天井構造物30が支持されている。尚、便宜上、図2の柱スパンの広い方向をX方向とし、柱スパンの狭い方向をY方向として説明する。
建物の躯体1は、図1、図2に示すように、複数の柱2間に複数の大梁3が架設され、大梁3間に複数の小梁4が架設されているとともに、大梁3及び小梁4の上側部には上階床スラブ5が構築されている。複数の小梁4には、鉛直姿勢で下方に延設される複数の束材11がX方向及びY方向に所定ピッチで配設され、各束材11と小梁4との間には、束材11の水平方向耐力・剛性を強化するための各方向の方杖(補強材)12が斜め姿勢で架設されている。この複数の束材11と方杖12とをもって、躯体1と共に挙動する非吊構造の支持部10が構成されている。
各束材11は、図3〜図5に示すように、H形鋼から構成され、各束材11の両フランジ11Aの下端部には、両フランジ11Aの外面間のウエブ外寸法よりも長い水平姿勢の上受け材15が略逆「T」字状に取付けられている。各上受け材15は、上方開口の状態で水平に配置される溝形鋼から構成され、上受け材15の凹部の長手方向中間部には、束材11の両フランジ11Aの外面に当て付けられる一対の第1連結板16が溶接等で固着されている。各上受け材15の両第1連結板16は、束材11の両フランジ11Aにボルト17A・ナット17B等の第1締結具17で固定連結されている。
図3〜図5に示すように、所定ピッチで配設される複数の束材11のうち、小梁4の長手方向(Y方向)に対して直交する方向(X方向)に配置される各列の複数の束材11の上受け材15に渡って、各列に沿って配置される天井構造物30側の複数の野縁受け支持梁(梁材)31に設けられた複数の下受け材32が取付けられている。
各野縁受け支持梁31は、横向き開口の状態で水平に配置される溝形鋼から構成されている。各下受け材32は、束材11の両フランジ11Aの外面間のウエブ外寸法よりも幅広な水平姿勢の下受け板32Aと、野縁受け支持梁31のウエブ31Bの外面沿う鉛直姿勢で下受け板32Aの下面に溶接等で固着される第2連結板32Bと、第2連結板32Bの背面と下受け板32Aの下面とに溶接等で固着される補強板32Cから構成されている。各下受け材32の第2連結板32Bは、野縁受け支持梁31のウエブ31Bにボルト33A・ナット33B等の第2締結具33で固定連結されている。
天井構造物30においては、図1に示すように、複数の野縁受け支持梁31に、これと直交する複数の第1野縁受け35が水平方向に沿って平行に配設されている。第1野縁受け35には、遮音用天井板36を備えた第1野縁37が取付けられている。また、第1野縁受け35から遮音用天井板36よりも下方に垂設された複数のハンガ38には、複数の第2野縁受け39が水平方向に沿って平行に配設されている。第2野縁受け39には、吸音用天井板40を備えた第2野縁41が取付けられている。
そして、図3〜図5に示すように、支持部10側の各上受け材15とそれに対応する天井構造物30側の各下受け材32との間にはそれぞれ防振機構20が設けられている。防振機構20の各々は次に示すように構成されている。
図5に示すように、上受け材15のウエブ15Bの上面における束材11の両フランジ11Aよりも外方側で、且つ、束材11のウエブ11Bの幅方向中心位置から等距離だけ離れた対称位置の各々に、中心にボルト挿通孔21aが貫通形成されている円筒状の防振ゴム21が配設されている。この一対の防振ゴム21のボルト挿通孔21aに対応する上受け材15のウエブ15Bの二箇所には、防振ゴム21のボルト挿通孔21aと同芯状態で連通するボルト貫通孔15aが形成されている。同じく、一対の防振ゴム21のボルト挿通孔21aに対応する下受け材32の下受け板32Aの二箇所には、防振ゴム21のボルト挿通孔21aと同芯状態で連通するボルト貫通孔32aが形成されている。
上受け材15のウエブ15Bの下面と下受け材32の下受け板32Aの上面との間で、且つ、一対の防振ゴム21に対応する部位の各々には遮音用のゴム板22が配設されている。一対のゴム板22には、上受け材15のボルト貫通孔15a及び下受け材32のボルト貫通孔32aと同芯状態で連通するボルト貫通孔22aが形成されている。
そして、同芯状態で上下に配置されている防振ゴム21のボルト挿通孔21a、上受け材15のボルト貫通孔15a、ゴム板22のボルト貫通孔22a、下受け材32のボルト貫通孔32aに対して、上方からワッシャー23付きの貫通ボルト24を挿入し、下受け材32のボルト貫通孔32aから下方に突出する貫通ボルト24の先端部にナット25を螺合して締結する。
上受け材15のウエブ15Bと下受け材32の下受け板32Aとの間に介在された一対の防振ゴム21が貫通ボルト24で締結された状態では、天井構造物30側の鉛直荷重は、下受け材32→貫通ボルト24→防振ゴム21→上受け材15→束材11の順で伝達される。防振ゴム21での防振機能により振動(音)の伝播を抑制することができる。
図3〜図5に示すように、上受け材15の両フランジ15Aにおける束材11の両フランジ11Aよりも外方側部位の各々には、防振ゴム21の金属製の天板21Aと水平方向から当接可能な水平変位ストッパー27が設けられている。各水平変位ストッパー27には、防振ゴム21の天板21Aにおける円形輪郭形状と相似形の水平変位規制孔27aが形成されている。
水平変位ストッパー27の水平変位規制孔27aの内周面と防振ゴム21の天板21Aの外周面との間には、図3、図4、図6に示すように、防振ゴム21のボルト挿通孔21aの内面に貫通ボルト24の外面が当接した状態で設定間隔の円環状の隙間C1が形成されている。
防振機構20は、水平変位ストッパー27の水平変位規制孔27aの内周面と防振ゴム21の天板21Aの外周面との間に形成した隙間C1により、地震による水平力の作用時に、防振ゴム21の天板21Aが水平変位ストッパー27に当接するまでの範囲において、貫通ボルト24が鉛直姿勢のままスライド移動して防振ゴム21をせん断変形させる第1ゴム変形作動(図6(b)参照)と、防振ゴム21の天板21Aが水平変位ストッパー27に当接した以降において、貫通ボルト24が傾動して防振ゴム21を圧縮変形させる第2ゴム変形作動(図6(c)参照)と、が実行可能に構成されている。
防振ゴム21のボルト挿通孔21aの内径は、図6に示すように、貫通ボルト24の外径よりも若干大きく構成され、防振ゴム21のボルト挿通孔21aの内面と貫通ボルト24の外面との間にクリアランスC2が形成されている。そのため、防振機構20は、水平力の作用時に、貫通ボルト24がボルト挿通孔21aのクリアランスC2の範囲で鉛直姿勢のままスライド移動したのち、上述の第1ゴム変形作動に移行する。
本実施形態においては、水平変位ストッパー27の水平変位規制孔27aの内周面と防振ゴム21の天板21Aの外周面との間に形成される隙間C1は、防振ゴム21のボルト挿通孔21aの内面と貫通ボルト24の外面との間のクリアランスC2よりも大に設定されている。
次に、上述の如く構成された防振機構20の実施例について説明する。
[防振ゴム21の概要]
防振ゴム21の基本的な物性値(メーカーカタログ値、製品名称:ヤクモ(株)社製YMDH-80)を以下に示す。
静的バネ定数=圧縮:750N/mm、せん断:100N/mm
常用荷重(積載荷重)=1,500N〜3,500N
許容荷重=圧縮:4,800N
[鉛直方向の力学特性]
防振ゴム21を介在した接合部の鉛直剛性は、防振ゴム製品のカタログ値とほぼ同等であるため、接合部の鉛直剛性Kvは製品のカタログ値を準用した弾性系とする。
Kv=Fv(鉛直力)/δv(鉛直変位)
=750N/mm(カタログ値)×2基=1,500N/mm
次に、水平力に応じた防振ゴム21周辺の挙動について詳述する。
〔ステップ1〕
[水平方向の力学特性]
図6(a)に示すように、水平力F1が作用したとき、防振ゴム21のボルト挿通孔21aのクリアランスC2内で貫通ボルト24が鉛直姿勢のままスライド移動する。
このとき、貫通ボルト24の頭部24aと防振ゴム21の天板21Aとの間に摩擦抵抗が存在するが、この摩擦抵抗は微小で無視できる値である。
防振ゴム21のボルト挿通孔21aの孔径がφ=16mmであるのに対して貫通ボルト24の軸径が12mmであるため、貫通ボルト24のスライド変位量δ1は±2mmを標準値とする。
この場合、防振ゴム21の水平剛性は以下の通りとなる。
水平剛性:KH0=0[N/mm]
変形域:−2mm〜+2mm(標準)
〔ステップ2〕
[水平方向の力学特性]
図6(b)に示すように、ステップ1の水平力F1よりも大きな水平力F2が作用したとき、水平変位ストッパー27の水平変位規制孔27aの内周面と防振ゴム21の天板21Aの外周面との間に形成されている隙間C1により、防振ゴム21の天板21Aが水平変位ストッパー27の水平変位規制孔27aの内周面に当接するまでの範囲において、貫通ボルト24が鉛直姿勢のままスライド移動して防振ゴム21をせん断変形させる第1ゴム変形作動が実行される。
防振ゴム21と水平変位ストッパー27との間の隙間C1の3mmでの変形域で、防振ゴム21のせん断変形が卓越する復元力特性を示す。
防振ゴム21のせん断バネ定数(カタログ値)をベース値とし、補正係数α1(1,25)を乗じて試験値との対照を図るものとする。
この場合、防振ゴム21の水平剛性は以下の通りとなる。
水平剛性:KH1=α1×100N/mm(カタログ値)×2基=α1×200[N/mm]
〔ステップ3〕
図6(c)に示すように、ステップ2の水平力F2よりも大きな水平力F3が作用したとき、防振ゴム21の天板21Aが水平変位ストッパー27の水平変位規制孔27aの内周面に当接し、防振ゴム21のせん断変形が抑止される。これと同時に、貫通ボルト24がストッパー当接位置で防振ゴム21の曲げ剛性を回転拘束度とするキャンチレバーとなり、この状況下での貫通ボルト24の回転(傾動)と曲げ変形に応じた水平変位が生じる第2ゴム変形作動が実行される。
防振ゴム21の天板21Aが水平変位ストッパー27の水平変位規制孔27aの内周面に当接したときの水平方向の力学特性、及び、上述のキャンチレバー状況下での貫通ボルト24の回転と防振ゴム21の曲げ変形による回転方向の力学特性について説明する。
[水平方向の力学特性]
上述のキャンチレバー状況下での貫通ボルト24の回転と曲げ変形による水平変位に対して復元力特性を設定する。
防振ゴム21の諸元は下記の通り。
有効断面積:rAe=π(37―8)=4,050mm
有効断面2次モーメント:rIe=π(74−16)/4=23,499,430mm
ゴム厚:rH=34.5mm(図6(a)参照)
Kv:防振ゴム21の鉛直剛性。
鉛直剛性より見かけの弾性係数を略算すると、
rE=Kv・rH/rAe=750×34.5/4,050=5.96N/mm
防振ゴム21(1個あたり)の曲げ剛性を下式で略算する。
rK=rE・rIe/rH=5.96×23,499,430/34.5=4.06×10N・mm/rad
今、図7に示すように、貫通ボルト24に単位水平力(H=1.0N)が接合部の下受け材32の下受け板32Aの上面で伝達されると仮定すると、貫通ボルト24に生じる回転角θとこれに伴う野縁受け支持梁31の梁心位置での水平変形δHは以下の通り。
尚、M:偏心曲げ、rK:防振ゴム21の曲げ剛性、H:水平力、h1:下受け板32Aの上面から水平変位ストッパー27までの偏心距離(50mm)、h2:野縁受け支持梁31の梁心位置から水平変位ストッパー27までの偏心距離(132.5mm)とする。
θ=M/rK=(H×h1)/(rK×2基)
δH=θ×h2=(H×h1×h2)/(rK×2)
=(1.0×50×132.5)/(4.06×10×2)=8.159×10-4
貫通ボルト24の曲げ変形は、防振ゴム21の曲げ変形によって生じる回転変形の50分の1程度であったため、簡単化のためにこれを無視する。
単位水平力(H=1.0N)に対する水平変位Δhに、試験値との対照を図るための補正係数α2(1.25)を考慮し、水平剛性として下式を得る。
水平剛性:KH2=α2×H/δH=α2×(1.0/8.159×10−4)≒α2×1,200[N/mm]
[回転方向の力学特性]
X方向(野縁受け支持梁31の長手方向)
X方向については、図8に示すように、水平力Hの荷重心を第1野縁受け35の図心と仮定し、この第1野縁受け35の図心から水平変位ストッパー27までの距離を偏心距離h3(217.5mm)とみなす。
偏心曲げMは束材11の両側に配された防振ゴム位置の偶力として処理され、防振ゴム21の変形に伴う回転が野縁受け支持梁31を含む下部架構に生じている。
水平力をH、偏心曲げによって下部架構に生じる回転角をθとしたときの各部の関係を以下に示す。
尚、rL:両防振ゴム21の芯間距離(288mm)、Kv:防振ゴム21の鉛直剛性。
支持部10に作用する偏心曲げ:M=H×h3
防振ゴム位置に作用する偶力:V=M/rL=H×h3/rL
防振ゴム21の鉛直変位量:δv=V/Kv=H×h3/(rL×Kv)
下部架構に生じる回転角:θ=2×δv/rL=2×H×h3/(rL×Kv)
試験値との対照を図るための補正係数をα3(1.00)とし、接合部のX方向の回転剛性KRXを以下に求める。
X方向の回転剛性:KRX=α3×M/θ=α3×(H×h3)/{2×H×h3/(rL×Kv)}
=α3×rL×Kv/2=α3×288×750/2
=α3×3.110×10→α3×3.10×10[N・mm/rad]
Y方向(野縁受け支持梁31の長手方向に対して直交する方向)
Y方向については、水平力の荷重心を野縁受け支持梁31の図心とみなすが偏心距離に関係なく、回転剛性としては前節で算定した防振ゴム21の曲げ剛性rKと同等と考える。
試験値との対照を図るための補正係数をα4(1.00)とし、接合部のY方向の回転剛性KRYを以下に求める。
Y方向の回転剛性:KRY=α4×rK×2基=α4×〔4.06×10〕×2
=α4×8.12×10→α4×8.10×10[N・mm/rad]
上述のように、防振機構20の第1ゴム変形作動においては、防振ゴム21のせん断変形が大きな復元力特性を示し、さらに、防振機構20の第2ゴム変形作動においては、高い値の水平剛性と回転剛性を得ることができるため、音響環境の弱点となる天井構造物30の周囲(壁側)のクリアランスを小さくすることができる。しかも、このクリアランスの縮小化によって、クリアランスをアングル等で塞ぐ簡易なディテールを採用することができる。
〔その他の実施形態〕
(1)上述の実施形態では、防振ゴム21を上受け材15のウエブ15Bの上面における束材11の両側に配設したが、防振ゴム21を束材11の片側にのみ配設してもよい。
さらに、防振ゴム21を、束材11周りの3箇所以上に配置してのよい。
(2)上述の実施形態では、躯体1側の支持部10を、複数の束材11と方杖12とをもってしたが、これに限定されるものではない。躯体1と共に挙動する非吊構造の支持部10であればよい。
1 躯体
10 支持部
15 上受け材
20 防振機構
21 防振ゴム
21A 天板
21a ボルト挿通孔
24 貫通ボルト
27 水平変位ストッパー
27a 水平変位規制孔
30 天井構造物
32 下受け材
C1 隙間
C2 クリアランス

Claims (3)

  1. 躯体に結合され、且つ、当該躯体と共に挙動する非吊構造の支持部で天井構造物を支持する天井支持構造において、
    前記支持部と前記天井構造物との間に、鉛直荷重を防振ゴムを介して伝達する防振機構が設けられ、前記防振機構には、前記防振ゴムと水平方向から当接可能な状態で前記支持部側に設けられる水平変位ストッパーが備えられ
    前記防振機構は、前記支持部側の上受け材と前記天井構造物側の下受け材とが防振ゴムを介在した状態で貫通ボルトにて連結され、前記防振ゴムの天板と前記水平変位ストッパーとの間には、前記防振ゴムのボルト挿通孔の内面に前記貫通ボルトの外面が当接した状態で設定間隔の隙間が形成され、水平力の作用時に、前記防振ゴムの前記天板が前記水平変位ストッパーに当接するまでの前記隙間の範囲において、前記貫通ボルトが鉛直姿勢のままスライド移動して前記防振ゴムをせん断変形させる第1ゴム変形作動と、前記防振ゴムの前記天板が前記水平変位ストッパーに当接した以降において、前記貫通ボルトが傾動して前記防振ゴムを圧縮変形させる第2ゴム変形作動と、が実行可能に構成されている天井支持構造。
  2. 前記防振ゴムの前記ボルト挿通孔の内面と前記貫通ボルトの外面との間にクリアランスが形成され、前記防振機構は、前記水平力の作用時に、前記貫通ボルトが前記ボルト挿通孔のクリアランスの範囲で鉛直姿勢のままスライド移動したのち、前記第1ゴム変形作動に移行する請求項記載の天井支持構造。
  3. 前記水平変位ストッパーには、前記防振ゴムの天板における円形輪郭形状と相似形の水平変位規制孔が形成されている請求項記載の天井支持構造。
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