JP6814592B2 - ラック用制震ダンパー及びラック - Google Patents
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Description
このようなラックにおいては、地震等の外力を受けた際に振動して荷物が落下等する事態を招かないように、ラック用制震ダンパーが用いられる場合がある。このラック用制震ダンパーとしては、例えば特許文献1に開示されるように、収納部(棚部)に設けられてパレットを支持する腕木間に、上下2枚の鉄板と両鉄板に挟まれた粘弾性体とからなる重り支持部を架設し、上鉄板の上面に滑り止めシートを貼着したマスダンパーが知られている。このマスダンパーによれば、地震等が発生した際には、荷物を載せたパレットを上鉄板と一体に振動させ、粘弾性体をせん断変形させて減衰を図ることができる。
支持部上へ水平に取り付けられる第1部材と、第1部材の上方へ平行に配置される第2部材と、第1部材と第2部材との間に接着される粘弾性体と、第2部材の上面に設けられてパレットが載置される滑り防止部と、第1部材と第2部材との間に介在されて第2部材に加わる鉛直荷重を支持し、粘弾性体の圧縮変形を規制する変形規制部と、を含んでなり、
変形規制部は、第1部材と第2部材との何れか一方に固定されて他方側へ突出する棒状体であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、棒状体の突出端に、半球状の弾性部が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、棒状体は、第1部材と第2部材との何れか一方にねじ込まれて固定される六角穴付ボルトであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、第1水平方向と、その第1水平方向に直交する第2水平方向とに所定間隔をおいて配列される複数の支柱を有して支柱で囲まれる空間に、パレットを下方から支持する支持部をそれぞれ備えた複数の棚部が形成されてなるラックに用いられるラック用制震ダンパーであって、
支持部上へ水平に取り付けられる第1部材と、第1部材の上方へ平行に配置される第2部材と、第1部材と第2部材との間に接着される粘弾性体と、第2部材の上面に設けられてパレットが載置される滑り防止部と、第1部材と第2部材との間に介在されて第2部材に加わる鉛直荷重を支持し、粘弾性体の圧縮変形を規制する変形規制部と、を含んでなり、
変形規制部は、金属製の球の周囲が弾性材料で被覆されてなる球体であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、第1部材と第2部材との少なくとも一方における変形規制部との対向面には、凹部が形成されていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、第1水平方向と、その第1水平方向に直交する第2水平方向とに所定間隔をおいて配列される複数の支柱を有して支柱で囲まれる空間に、パレットを下方から支持する支持部をそれぞれ備えた複数の棚部が形成されてなるラックに用いられるラック用制震ダンパーであって、
支持部へ水平に取り付けられる第1部材と、第1部材の上方へ平行に配置される第2部材と、第1部材と第2部材との間に接着される粘弾性体と、第2部材の上面に設けられる滑り防止部と、第2部材に加わる鉛直荷重を支持し、粘弾性体の圧縮変形を規制する変形規制部と、を含み、第1部材を、平面視で支持部の上面と重ならない領域内で支持部の側面へ取り付けると共に、滑り防止部の上面を、支持部上に載置されたパレットが接触する高さに設定することで、支持部に第2部材に加わる鉛直荷重を支持させて支持部を変形規制部と兼用したことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6の構成において、支持部は、第2水平方向に対向する支柱間へ水平に架設される棚材であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかの構成において、滑り防止部は、第2部材の上面に固定されるゴムシートであることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかの構成において、滑り防止部は、第2部材の上面に形成される凹凸面であることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項10に記載の発明は、第1水平方向と、その第1水平方向に直交する第2水平方向とに所定間隔をおいて配列される複数の支柱を有し、前記支柱で囲まれる空間に、パレットを下方から支持する支持部をそれぞれ備えた複数の棚部が形成されてなるラックであって、
支持部に、請求項1乃至9の何れかに記載のラック用制震ダンパーが取り付けられてなることを特徴とする。
特に、変形規制部を、第1部材と第2部材との何れか一方に固定される棒状体としているので、変形規制部を簡単に形成できて鉛直荷重を確実に支持することができる。
特に、請求項4に記載の発明によれば、変形規制部を、金属製の球の周囲を弾性材料で被覆してなる球体としたことで、圧縮変形した弾性材料を第1部材に対して変位させることができる。よって、摩擦抵抗が増加して水平方向の変位抑制効果が期待できる。
特に、請求項6に記載の発明によれば、支持部を変形規制部と兼用しているので、部品点数が少ない合理的な構成となる。
請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加えて、棒状体の突出端に半球状の弾性部を設けたことで、振動時の摩擦抵抗が増加して水平方向の変位抑制効果が期待できる。
請求項5に記載の発明によれば、上記効果に加えて、変形規制部との対向面に凹部を形成したことで、変形規制部と凹部との干渉によって一層の変位抑制効果が期待できる。
請求項7に記載の発明によれば、上記効果に加えて、支持部を支柱間に架設される棚材としたことで、ラックに設けられる棚材を利用して変形規制部を簡単に得ることができる。
請求項8に記載の発明によれば、上記効果に加えて、滑り防止部としてゴムシートを採用したことで、パレットを確実に追従させて振動初期からより好適な制震効果を発揮させることができる。
請求項9に記載の発明によれば、上記効果に加えて、滑り防止部として第2部材の上面に形成される凹凸面としたことで、部品点数が少なくなって構成が簡略化し、コストの抑制に繋がる。
[形態1]
図1は、自動倉庫に設けられるラックの説明図である。このラック1は、形鋼による鉄骨若しくは軽量鉄骨構造で、図1の左右方向となる第1水平方向へ所定間隔をおいて立設される複数の支柱2,2・・(図1では一部のみ示す)の列を、図1の紙面直交方向となる第2水平方向へ所定間隔をおいて一対並べてなる。第1、第2水平方向で支柱2,2間には、鉛直方向に所定間隔をおいて横架材3,3・・が架設されて、両水平方向で隣り合う支柱2,2同士を連結すると共に、支柱2と横架材3とで囲まれる面内には図示しないブレースが架設されている。また、各支柱2には、横架材3,3間よりも短い間隔をおいて、第1水平方向へ突出する支持部としての腕木4,4・が、直交状に連結されている。
また、滑り防止部を、上板12の上面に固定されるゴムシート14としているので、パレット6を確実に追従させて振動初期からより好適な制震効果を発揮させることができる。
ゴムシートも形状や厚みは適宜変更可能で、滑り防止部としてはゴムシート以外に、粘弾性体や粘着テープ等も採用できる。
図4に示す制震ダンパー10Aにおいては、上板12の上面に接着するゴムシートに代えて、滑り防止部として、上板12の上面を表面処理(例えばブラスト加工)して凹凸面19を形成している。他の構成は形態1と同じである。
この状態で棚部5にパレット6が収容されると、各腕木4では、制震ダンパー10Aを介してパレット6の端部が支持され、パレット6の下面に凹凸面19が接触した状態となる。
そして、地震等によってラック1が水平方向に変位すると、制震ダンパー10Aでは、下板11が腕木4に追従して変位する。このとき上板12では、凹凸面19との摩擦によってパレット6と追従するので、上板12はパレット6と共に下板11との相反方向へ変位する。よって、粘弾性体13が剪断変形して振動を減衰させることができる。
特にここでは、滑り防止部を、上板12の上面に形成される凹凸面19としているので、部品点数が少なくなって構成が簡略化し、コストの抑制に繋がる。
図5に示す制震ダンパー10Bにおいては、六角穴付ボルト17の下端に、弾性部として半球状の弾性体20(エラストマー等)が接着固定されている。また、下板11の上面における弾性体20との対向面には、弾性体20よりも半径寸法が大きい球面状の凹部21が形成されて、弾性体20の下端が凹部21の底部に近接又は当接している。他の形態は形態1と同じである。
この状態で棚部5にパレット6が収容されると、各腕木4では、制震ダンパー10Bを介してパレット6の端部が支持され、パレット6の下面にゴムシート14が接触した状態となる。また、鉛直荷重を受けることで弾性体20が圧縮変形し、凹部21との接触面積を増大させる。
同時に、圧縮変形した弾性体20が凹部21に対して変位することで、摩擦抵抗力が増加し、水平方向の変位を抑えることができる。
特にここでは、六角穴付ボルト17の突出端に、半球状の弾性体20を設けているので、振動時の摩擦抵抗が増加して水平方向の変位抑制効果が期待できる。
また、下板11における六角穴付ボルト17との対向面に、凹部21を形成しているので、凹部21との干渉によって一層の変位抑制効果が期待できる。
図6に示す制震ダンパー10Cにおいては、六角穴付ボルトに代えて、変形規制部として、鋼製の球体22が用いられている。上板12の下面には、球体22の上部が嵌合する球面状の凹部23が形成されている。他の形態は形態1と同じである。
この状態で棚部5にパレット6が収容されると、各腕木4では、制震ダンパー10Cを介してパレット6の端部が支持され、パレット6の下面にゴムシート14が接触した状態となる。また、球体22が鉛直荷重を支持するため粘弾性体13の変形が規制される。
このとき、上板12に追従する球体22が下板11に対して摺動することで、下板11と上板12との相対変位は維持される。
図7に示す制震ダンパー10Dにおいては、六角穴付ボルトに代えて変形規制部となる球体22は、中心に位置する鋼球24の周囲をエラストマー等の弾性材料25で被覆してなる。他の形態は形態1と同じである。
この状態で棚部5にパレット6が収容されると、各腕木4では、制震ダンパー10Dを介してパレット6の端部が支持され、パレット6の下面にゴムシート14が接触した状態となる。また、鉛直荷重を受けることで球体22の弾性材料25が圧縮変形し、下板11との接触面積を増大させる。
同時に、球体22では、圧縮変形した弾性材料25が下板11に対して変位することで、摩擦抵抗力が増加し、水平方向の変位を抑えることができる。
特にここでは、変形規制部を、鋼球24の周囲を弾性材料25で被覆してなる球体22としているので、圧縮変形した弾性材料25を下板11に対して変位させることができる。よって、摩擦抵抗が増加して水平方向の変位抑制効果が期待できる。
図8に示すラック1において、第2水平方向で対向する腕木4,4の先端間には、支持部としての棚材30が、上面を腕木4,4の上面と一致させた状態で架設されている。ここで用いられる制震ダンパー10Eは、図9に示すように、形態1と同様に、下板11と、下板11の上方へ平行に配置される上板12と、下板11と上板12との間に接着される粘弾性体13と、上板12の上面に設けられるゴムシート14とを有している。しかし、この制震ダンパー10Eでは、上板12に六角穴付ボルト17が設けられておらず、また、下板11は、腕木4や棚材30の上面ではなく、棚材30の中間部における腕木4,4側の側面に取り付けられた横断面倒L字状の取付ブラケット31上に固定されている。
さらに、ここでの制震ダンパー10Eは、ゴムシート14の上面が棚材30上に載置されたパレット6が接触する高さ(ゴムシート14の上面が棚材30の上面に一致する高さ或いは僅かに上側となる高さ)となる位置で支持されている。
特にここでは、棚材30を変形規制部と兼用しているので、部品点数が少ない合理的な構成となる。また、ラック1に設けられる棚材30を利用して変形規制部を簡単に得ることができる。
また、滑り防止部としては、パレットが磁性体或いは下面に磁性体を有するものであれば、上板の上面に磁石を固定する等の他の手段も採用できるし、形態1〜5の変形規制部としてはボールベアリング等も採用できる。
さらに、構成要素の組み合わせも各形態に限定するものではなく、例えば上板に表面処理を施した形態2において、六角穴付ボルトの下端に形態3のような弾性体を採用したり、形態4,5のような球体を採用したりする等、適宜組み替えて差し支えない。
Claims (10)
- 第1水平方向と、その第1水平方向に直交する第2水平方向とに所定間隔をおいて配列される複数の支柱を有して前記支柱で囲まれる空間に、パレットを下方から支持する支持部をそれぞれ備えた複数の棚部が形成されてなるラックに用いられるラック用制震ダンパーであって、
前記支持部上へ水平に取り付けられる第1部材と、
前記第1部材の上方へ平行に配置される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に接着される粘弾性体と、
前記第2部材の上面に設けられて前記パレットが載置される滑り防止部と、
前記第1部材と前記第2部材との間に介在されて前記第2部材に加わる鉛直荷重を支持し、前記粘弾性体の圧縮変形を規制する変形規制部と、
を含んでなり、
前記変形規制部は、前記第1部材と前記第2部材との何れか一方に固定されて他方側へ突出する棒状体であることを特徴とするラック用制震ダンパー。 - 前記棒状体の突出端に、半球状の弾性部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のラック用制震ダンパー。
- 前記棒状体は、前記第1部材と前記第2部材との何れか一方にねじ込まれて固定される六角穴付ボルトであることを特徴とする請求項1又は2に記載のラック用制震ダンパー。
- 第1水平方向と、その第1水平方向に直交する第2水平方向とに所定間隔をおいて配列される複数の支柱を有して前記支柱で囲まれる空間に、パレットを下方から支持する支持部をそれぞれ備えた複数の棚部が形成されてなるラックに用いられるラック用制震ダンパーであって、
前記支持部上へ水平に取り付けられる第1部材と、
前記第1部材の上方へ平行に配置される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に接着される粘弾性体と、
前記第2部材の上面に設けられて前記パレットが載置される滑り防止部と、
前記第1部材と前記第2部材との間に介在されて前記第2部材に加わる鉛直荷重を支持し、前記粘弾性体の圧縮変形を規制する変形規制部と、
を含んでなり、
前記変形規制部は、金属製の球の周囲が弾性材料で被覆されてなる球体であることを特徴とするラック用制震ダンパー。 - 前記第1部材と前記第2部材との少なくとも一方における前記変形規制部との対向面には、凹部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のラック用制震ダンパー。
- 第1水平方向と、その第1水平方向に直交する第2水平方向とに所定間隔をおいて配列される複数の支柱を有して前記支柱で囲まれる空間に、パレットを下方から支持する支持部をそれぞれ備えた複数の棚部が形成されてなるラックに用いられるラック用制震ダンパーであって、
前記支持部へ水平に取り付けられる第1部材と、
前記第1部材の上方へ平行に配置される第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に接着される粘弾性体と、
前記第2部材の上面に設けられる滑り防止部と、
前記第2部材に加わる鉛直荷重を支持し、前記粘弾性体の圧縮変形を規制する変形規制部と、を含み、
前記第1部材を、平面視で前記支持部の上面と重ならない領域内で前記支持部の側面へ取り付けると共に、前記滑り防止部の上面を、前記支持部上に載置された前記パレットが接触する高さに設定することで、前記支持部に前記第2部材に加わる鉛直荷重を支持させて前記支持部を前記変形規制部と兼用したことを特徴とするラック用制震ダンパー。 - 前記支持部は、前記第2水平方向に対向する前記支柱間へ水平に架設される棚材であることを特徴とする請求項6に記載のラック用制震ダンパー。
- 前記滑り防止部は、前記第2部材の上面に固定されるゴムシートであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のラック用制震ダンパー。
- 前記滑り防止部は、前記第2部材の上面に形成される凹凸面であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のラック用制震ダンパー。
- 第1水平方向と、その第1水平方向に直交する第2水平方向とに所定間隔をおいて配列される複数の支柱を有し、前記支柱で囲まれる空間に、パレットを下方から支持する支持部をそれぞれ備えた複数の棚部が形成されてなるラックであって、
前記支持部に、請求項1乃至9の何れかに記載のラック用制震ダンパーが取り付けられてなるラック。
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JP2016201929A JP6814592B2 (ja) | 2016-10-13 | 2016-10-13 | ラック用制震ダンパー及びラック |
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