JP6941478B2 - コーティング和紙及びその製造方法、並びに化粧板 - Google Patents
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Description
図1に示すように、本発明に係るコーティング和紙1は、基材和紙2の表面2aに、フッ素樹脂100質量部に対してアクリル系樹脂を50〜550質量部で含むコーティング層3が積層され、概略構成されている。
本発明に係るコーティング和紙の製造方法は、図1に示すようなコーティング和紙1を製造する方法であり、少なくとも、以下の(1)〜(3)に示す工程を備えた方法である。
(1)調製工程:固形分比で、フッ素樹脂100質量部に対して、アクリル系樹脂エマルジョンを50〜550質量部で添加することで、コーティング処理剤を調製する。
(2)塗布工程:基材和紙2の表面2aに、調製工程で得られたコーティング処理剤(図示略)を塗布する。
(3)乾燥工程:塗布工程で塗布したコーティング処理剤を乾燥させることにより、基材和紙2の表面2aにコーティング層3を形成する。
本発明に係るコーティング和紙1の製造方法においいては、まず、調製工程において、基材和紙2上にコーティング層3を形成するためのコーティング処理剤を調製する。
具体的には、まず、フッ素樹脂、及び、アクリル系樹脂として、上記で例示したものの中から適宜選択して準備する。
次いで、水性であるアクリル系樹脂を水に添加し、アクリル系樹脂エマルジョンを予備調製する。
次に、塗布工程においては、上記の調製工程で得られたコーティング処理剤を、基材和紙2の表面2aに塗布する。
具体的には、従来公知の塗布方法を用いて、基材和紙2の表面2aに、コーティング処理剤を、むらなく均一に塗布する。
次に、乾燥工程においては、塗布工程で塗布したコーティング処理剤を乾燥・硬化させることにより、基材和紙2の表面2aにコーティング層3を形成する。具体的には、基材和紙2の表面2aに形成されたコーティング処理剤からなる塗膜に対して、従来公知の乾燥方法、例えば、熱風オーブン内で放置する等の方法により、塗膜を乾燥・硬化させる。
本発明に係る化粧板は、上記構成を備えた本発明に係るコーティング和紙が、基板の何れか一方の表面に備えられて構成される。
即ち、図3に示すように、本発明に係る化粧板10は、基板11の表面11a側にコーティング和紙1が備えられている。
あるいは、図2を参照して説明するが、まず、基板11の表面11a上に基材和紙2を貼着した後、上述した製造方法により、基材和紙2の表面2a上にコーティング層3を形成する方法を採用することもできる。
同様に、化粧板10全体の厚みとしても、特に限定されず、上記の基板11の厚みに、シート状のコーティング和紙1及び接着剤や粘着テープ等の厚みを加えた程度の厚みとすればよい。
以上説明したように、本発明に係るコーティング和紙1によれば、フッ素樹脂とアクリル系樹脂とを最適範囲で含むコーティング層3が基材和紙2の表面2aに積層されていることで、撥水性及び撥油性が高められ、水分や油分に由来する汚れが付着するのを抑制できる。また、フッ素樹脂とアクリル系樹脂とを含むコーティング層3を備えることで、機械的強度が高められるとともに、コーティング和紙1の表面1aに摩耗が生じるのを抑制できる。従って、優れた防汚性、耐摩耗性及び機械的特性を備え、使用過程において和紙独特の質感・風合いを効果的に維持することが可能になる。
上記で説明した実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
[コーティング和紙の作製]
実施例1においては、以下の条件及び手順により、コーティング和紙のサンプルを作製した。
具体的には、まず、フッ素樹脂とアクリル系樹脂とを下記表1中に示す含有比率で含むコーティング処理剤を調製した。
次いで、基材和紙として、下記表1中に示す目付量を有した市販の手漉き和紙(目付量:58g/m2)を用い、この基材和紙の一方の表面上に、スプレーを用いてコーティング処理剤を均一に塗布し、コーティング処理剤からなる塗膜を形成した。
次いで、塗布された基材和紙を熱風オーブン内に放置し、塗膜を乾燥・硬化させて、コーティング層を形成した。
以上の手順により、基材和紙上にコーティング層が形成されたコーティング和紙のサンプルを作製した。
上記手順で得られたコーティング和紙1のサンプルについて、以下のような評価方法により、撥水性、撥油性及び耐摩耗性を評価し、結果を下記表1に示した。
まず、コーティング層を形成していない未処理の基材和紙と、基材和紙の表面にコーティング層を形成したコーティング和紙の両方に、水滴を1mL滴下し、それぞれ傾けることで水滴の滑落の様子を観察した。
そして、和紙側に染み込むことなく水滴が滑落した場合を「○」(図4(a)参照)、染み込みは無いももの水滴が垂れるように落ちた場合を「△」、和紙側に染み込んで水滴が落ちなかった場合を「×」として評価し、結果を下記表1中に示した。
上記の撥水性の評価の場合と同様、まず、コーティング層を形成していない未処理の基材和紙と、基材和紙の表面にコーティング層を形成したコーティング和紙の両方に、油滴を1mL滴下し、油滴の様子を観察した。
そして、油滴が染み込むことなく弾かれた場合を「○」、油滴の周囲に油染みが生じた場合を「△」(図4(b)参照)、和紙側にほぼ染み込んだ場合を「×」として評価し、結果を下記表1中に示した。
擦り素材として、市販のかなきん布3号を用い、500g/1cm2の荷重を付与しながらコーティング和紙の表面を連続的に擦った。この際、コーティング和紙の表面における50mmの距離を1秒かけて往復するように設定し、1往復を1回として、計100回擦った。
そして、コーティング和紙の表面に摩耗(削れ)が生じなかった場合を「○」、摩耗が生じた場合を「×」として評価し、結果を下記表1に示した。なお、本評価試験においては、摩耗度合いの目安として、95%以上が残存していた場合を「○」とした。
コーティング処理剤におけるフッ素樹脂とアクリル系樹脂との含有比率(固形分比)、及び、目付量の変化に伴い基材和紙を変更する等(実施例4)、下記表1又は下記表2中に示すように各条件を変化させた点を除き、上記実施例1と同様の手順でコーティング和紙のサンプルを作製した(なお、比較例1は基材和紙にコーティング処理を施さないものとした)。そして、各サンプルについて、実施例1と同様の方法で評価し、結果を下記表1及び表2中に示した。
表1に示すように、基材和紙の表面に、本発明で規定する含有比率でフッ素樹脂とアクリル系樹脂とを含むコーティング層が積層された実施例1〜4のコーティング和紙は、撥水性、撥油性及び耐摩耗性の全てが「○」の評価となり、これら各特性に優れていることが確認できた。ここで、図5の写真中に示すように、実施例1〜3のコーティング和紙は、上記条件によって表面を擦った後も、コーティング和紙の表面に摩耗(削れ)が生じなかったことがわかる。
比較例1は、基材和紙の表面にコーティング層が形成されておらず、基材和紙単体の構成であることから、撥水性の評価が「△」と低く、また、撥油性及び耐摩耗性の評価が「×」と非常に低い評価結果となった。ここで、図5の写真中に示すように、比較例1においては、和紙(基材和紙)に大きな孔が開いているのがわかる。
比較例2は、コーティング層に含まれるアクリル系樹脂の、フッ素樹脂に対する含有比率が低すぎるため、耐摩耗性の評価が「×」で、非常に低い評価結果となった。図5の写真中に示すように、比較例2においては、コーティング和紙の略中央付近に大きな摩耗痕が生じていることがわかる。
比較例3は、コーティング層に含まれるアクリル系樹脂の、フッ素樹脂に対する含有比率が高すぎるため、図5の写真中に示すように、表面に摩耗は生じなかったものの、撥水性及び撥油性の評価が「△」と、本発明の規定を満たす実施例1〜4に比べて低い評価となった。
比較例4も、比較例3と同様、コーティング層に含まれるアクリル系樹脂の、フッ素樹脂に対する含有比率が高すぎるため、撥水性及び撥油性の評価が「△」と、本発明の規定を満たす実施例1〜4に比べて低い評価となった。
1a…表面(コーティング和紙)
2…基材和紙
2a…表面(基材和紙)
3…コーティング層
10…化粧板
11…基板
11a…表面(基板)
Claims (5)
- 基材和紙の表面に、フッ素樹脂100質量部に対してアクリル系樹脂を50〜550質量部で含むコーティング層が積層されているとともに、前記コーティング層がコーティング和紙の表面とされており、
前記基材和紙は、目付量が50g/m 2 〜100g/m 2 であることを特徴とする、防汚性及び耐摩耗性を有するコーティング和紙。 - 前記コーティング層は、前記フッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びポリフッ化ビニル(PVF)の内の少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項1に記載の防汚性及び耐摩耗性を有するコーティング和紙。
- 前記コーティング層は、前記アクリル系樹脂として、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、アクリル酸アルキルエステル共重合体、及びメタクリル酸アルキルエステル共重合体の内の少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防汚性及び耐摩耗性を有するコーティング和紙。
- 固形分比で、フッ素樹脂100質量部に対して、アクリル系樹脂エマルジョンを50〜550質量部で添加することで、コーティング処理剤を調製する調製工程と、
目付量が50g/m 2 〜100g/m 2 である基材和紙の表面に向けて前記コーティング処理剤を噴霧して塗布する塗布工程と、
前記コーティング処理剤を乾燥させることにより、前記基材和紙の表面に、コーティング和紙の表面となるコーティング層を形成する乾燥工程と、
を備えることを特徴とする、防汚性及び耐摩耗性を有するコーティング和紙の製造方法。 - 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のコーティング和紙が、基板の何れか一方の表面に備えられていることを特徴とする、防汚性及び耐摩耗性を有する化粧板。
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