JP7012583B2 - 不燃性和紙パネル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不燃性和紙パネル及びその製造方法に関する。
手漉き又は機械漉き等の方法で得られる和紙は、視覚的又は触感的に特徴のある風合いを有している。このため、例えば、化粧板等の表面に和紙を貼付し、商業ビル、オフィスビル、マンション又はホテル等のエントランスや、各種公共施設の受付周辺等、多数の集客が見込まれる場所に設置する用途に用いられるケースが増えている。また、建材等の表面に和紙を貼付することで、戸建住宅等の内装材に意匠性等を持たせることも多用されている。
一方、和紙は非常にデリケートな作りとされていることから、例えば、水分や油分、塵埃等に由来する汚れが付着し易いという問題がある。また、和紙表面が人の手や物等によって擦られた場合に、表面に摩耗が生じ易いことから、使用過程において和紙独特の質感・風合いが失われるおそれがあるという問題がある。
上述した問題を解決することを目的として、建材基板の表面に、膨潤、軟化させた和紙を接着し、まず、和紙の繊維組織が有する壁孔を、艶消し性のアクリル樹脂、ビニル樹脂又はウレタン樹脂等で覆ったうえで、さらに、和紙の表面に、フッ素樹脂、シリコーン樹脂又はボロン樹脂の少なくとも何れかからなる撥水性塗料を塗布した構成のものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の和紙を利用した建材によれば、上記構成により、和紙の持つ風合いを維持しながら、汚れの付着や表面の摩耗を防止できるとされている。
特開平04-261801号公報
しかしながら、特許文献1に記載された建材は、建築物の内装などに用いる際に必要な性能である不燃性についての言及が無く、建材基盤の表面に形成した、樹脂処理を行った和紙の不燃性が十分でない懸念がある。建築物の内装に和紙を用いる場合には、不燃性を充分に確保する必要がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、優れた不燃性、耐摩耗性及び機械的特性を備えるとともに生産性にも優れ、使用過程において和紙独特の質感・風合いを効果的に維持することが可能な不燃性和紙パネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明の不燃性和紙パネルは、基材和紙に不燃性材料を含浸させてなる不燃処理層を有する不燃性和紙と、前記基材和紙の他面側に接着層を介して貼着された不燃性ボードと、を備え、不燃処理層の表面には、フッ素樹脂100質量部に対してアクリル系樹脂を50~550質量部で含む防汚層が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、基材和紙に不燃性材料を含浸させてなる不燃処理層形成した不燃性和紙を用い、この不燃性和紙に不燃性ボードを接着して不燃性和紙パネルを構成したので、不燃性和紙パネルを構成する各部材が不燃性、ないし難燃性を有し、建物の内装建材として必要な耐火特性を保ちつつ、和紙独特の風合いや意匠性を保った不燃性和紙パネルを提供できる。
また、本発明では、前記防汚層は、前記フッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びポリフッ化ビニル(PVF)の内の少なくとも何れかを含むことが好ましい。
また、本発明では、前記防汚層は、前記アクリル系樹脂として、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、アクリル酸アルキルエステル共重合体、及びメタクリル酸アルキルエステル共重合体の内の少なくとも何れかを含むことが好ましい。
また、本発明では、前記不燃性ボードは、前記不燃性和紙と接する面に任意の印刷が施されていてもよい。
本発明の不燃性和紙パネルの製造方法は、前記各項記載の不燃性和紙パネルの製造方法であって、前記基材和紙の一面側に前記不燃性材料を含む不燃処理液を含浸させて前記不燃処理層を形成する不燃処理工程と、前記基材和紙の他面側に接着層を介して不燃性ボードを貼着させるボード貼着工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
本発明によれば、優れた不燃性、耐摩耗性及び機械的特性を備えるとともに生産性にも優れ、使用過程において和紙独特の質感・風合いを効果的に維持することが可能な不燃性和紙パネル及びその製造方法を提供することが可能になる。
本発明の一実施形態の不燃性和紙パネルを示す断面図である。 本発明の別な実施形態の不燃性和紙パネルを示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の不燃性和紙パネル及びその製造方法について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
(不燃性和紙パネル)
以下、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る不燃性和紙パネルの概略構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態の不燃性和紙パネルを示す断面図である。
不燃性和紙パネル10は、例えば外形が長方形の板状部材である。不燃性和紙パネル10は、基材和紙11と、この基材和紙11の一面11a側に一部が含浸された不燃処理層12とを有する不燃性和紙13、および基材和紙11の他面11b側に接着層14を介して貼着された不燃性ボード15と、を備えている。また、不燃処理層12の表面には、防汚層16が更に設けられている。
不燃性和紙13を構成する基材和紙11は、例えば、視覚的又は触感的に特徴のある風合いを有する和紙からなる基材である。より具体的には、基材和紙11には、例えば、繊維方向等に起因する規則的あるいは不規則的な模様を有する和紙や、必要に応じて、意匠性を付与するための図柄等を含む和紙を採用することができる。このような基材和紙11としては、手漉き又は機械漉きの何れの和紙であっても採用することができ、特に、和紙独特の風合いが強調された不燃性和紙パネル10を得る観点からは、手漉き和紙を採用することが好ましい。
基材和紙11に図柄等を含む和紙を採用する場合には、その図柄の形成に用いられるインクとして、例えば、バインダーに、着色剤、溶剤、安定剤等を適宜混合させたものを用いることができる。また、図柄の形成には、例えば、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写印刷等、従来公知の印刷方法により、和紙の表面に、上記のインクを用いて印刷する方法を採用できる。
基材和紙11の厚みとしては、特に限定されず、不燃性和紙パネル10の用途等に鑑み、機械的強度や、厚みによって得られる風合い等を勘案しながら適宜決定すればよい。不燃性和紙パネル10の表面の機械的強度を考慮した場合には、基材和紙11の厚みは、0.1~0.5mmが好ましく、0.2~0.4mmがより好ましい。
また、基材和紙11の目付量としては、特に限定されないが、50g/m~100g/mであることが好ましい。基材和紙11の目付量を50g/m以上とすることで、不燃性和紙パネル10の表面の機械的強度が高められる。また、基材和紙11の目付量を100g/m以下に制限することで、上記の機械的強度を確保しながら、和紙独特の質感・風合いも十分に得られるものとなる。また、これらの観点からは、基材和紙11の目付量は、50g/m~95g/mがより好ましく、55g/m~90g/mがさらに好ましい。
また、基材和紙11の剛軟度としても、特に限定されず、上記の厚みと同様、不燃性和紙パネル10の用途等に鑑み、機械的強度等を勘案しながら適宜決定すればよい。
不燃性和紙13を構成する不燃処理層12は、基材和紙11の例えば一面11a側から基材和紙11の一部又は全体まで不燃性材料が含浸された層からなる。よって、不燃処理層12と基材和紙11との間には、明瞭な界面が存在しない。即ち、不燃処理層12は、基材和紙11の一面11aよりも上に不燃性材料からなる層が単独で存在していても、不燃性材料の全てが基材和紙11に含浸された状態であっても良い。こうした不燃処理層12は、例えば、不燃性材料を含む不燃処理液を基材和紙11に対して噴霧して含浸させることにより形成される。
不燃処理層12は、不燃性和紙13に含まれる不燃性材料の質量割合が5%以上、15%以下、好ましくは8%以上、15%以下、より好ましくは10%以上、15%以下になるように形成されている。不燃性和紙13に含まれる不燃性材料の質量割合が5%未満では、不燃性が充分に確保されない虞がある。一方、不燃性和紙13に含まれる不燃性材料の質量割合が15%を超えると、基材和紙11の柔軟性が低下し、和紙の風合いが損なわれる虞がある。
不燃処理層12を構成する不燃性材料としては、無機化合物、例えばホウ素化合物やケイ素化合物が挙げられる。本実施形態では、不燃性材料の一例として、ポリホウ酸ナトリウムを用いている。
不燃処理層12を構成する不燃性材料の一例であるポリホウ酸ナトリウムは、水に対する溶解度が30wt%以上であり、容易に不燃性材料の水溶液を形成することができる。また、ポリホウ酸ナトリウムは、無色透明あるため、基材和紙11に対して含浸させても、基材和紙11が着色されたり、和紙としての風合いが損なわれることが無い。また、ポリホウ酸ナトリウムは、中性であるため、基材和紙11に対して含浸させても、酸や塩基によって基材和紙11が変色したり、劣化することが無い。
不燃処理層12を構成する不燃性材料の一例であるポリホウ酸ナトリウムは、加熱によって発泡してガラス状の膜をつくり、基材和紙11の繊維を包み込む。これにより、不燃処理層12は、基材和紙11に対して不燃性を付与することができる。
不燃性ボード15は、一定の強度と不燃性を備えた板状部材であればよく、材質は特に限定されないが、本実施形態では、2枚のガラス繊維クロスどうしの間に不燃性セメント板であるマグネシウムセメント板を挟んだものから構成している。
不燃性ボード15を構成するガラス繊維クロスは、周知のガラス織布を用いることができるが、例えば、太さ5~15μmのガラス繊維を、網目ピッチ(縦×横):(5~15×5~15)(本/25mm)で編んだ網目状のものを例示することができる。
また、ガラス繊維クロスの坪量は、70~90g/m程度であることが好ましい。ガラス繊維クロスの坪量を70g/m以上にすれば強度を充分に保つことができ、また、坪量が90g/m以下であれば、マグネシウムセメント板との密着性を充分に確保することができる。
不燃性ボード15を構成するマグネシウムセメント板は、マグネシアセメント、即ち酸化マグネシウムを、塩化マグネシウムや硫酸マグネシウム等(にがり)と混合し、水とともに混練したものを板状に成形してなる。なお、不燃性ボード15を構成する不燃性セメント板としては、マグネシウムセメント板以外にも、例えば、石膏(硫酸カルシウム)や石灰石(炭酸カルシウム)などのセメント板を用いることもできる。
なお、不燃性ボード15として、パネル印刷をした不燃性ボードを使用することもできる。手漉き和紙の濃淡(繊維の密度)差により、ボードの色が透けることにより意匠性をより向上させることができる。
不燃性和紙13を構成する基材和紙11の他面11b側と不燃性ボード15とを接着する接着層14は、難燃材料を含む接着剤を硬化させたものから構成されている。接着剤は、特に限定されないが、デンプン系接着剤やアクリル系接着剤を用いることができる。
接着層14を難燃化させる難燃材料としては、例えば、臭素を含む難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物に三酸化アンチモンを難燃助剤として加えたものが用いられる。本実施形態では、アクリル系接着剤に臭素を含む難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物と三酸化アンチモンとからなる難燃材料を加えた接着剤を用いて接着層14を形成した。
なお、接着層14の構成材として、両面接着テープを用いることもできる。接着層14として両面接着テープを用いれば、乾燥、硬化が不要になり、簡易に基材和紙11と不燃性ボード15とを接着することができる。
防汚層16は、不燃性和紙13の表面上で硬化させて得られる樹脂保護層であり、フッ素樹脂100質量部に対してアクリル系樹脂を50~550質量部で含む。このような防汚層16は、フッ素樹脂とアクリル系樹脂エマルジョンとが所定の固形分比で混合・調製されたコーティング処理剤を不燃性和紙13の表面に塗布し、乾燥させることで形成される。
防汚層16は、フッ素樹脂100質量部に対してアクリル系樹脂を50質量部以上含むことが好ましい。防汚層16に含まれるフッ素樹脂によって、不燃性和紙13の表面における撥水性及び撥油性が高められ、水分や油分に由来する汚れが付着するのを抑制する効果が得られる。さらに、不燃性和紙パネル10の表面の機械的強度が高められ、表面が強く擦られた場合であっても、表面に摩耗が生じるのを抑制する効果が得られる。一方、防汚層16における、フッ素樹脂100質量部に対するアクリル系樹脂の含有比率が50質量部未満だと、フッ素樹脂の割合が多くなりすぎることから、表面の耐摩耗性が低下するおそれがある。
また、防汚層16における、フッ素樹脂100質量部に対するアクリル系樹脂の含油比率を550質量部以下に制限することで、撥水性及び撥油性が低下して防汚性が劣化するのを防止できる。防汚層16におけるアクリル系樹脂の含有比率が多すぎると、不燃性和紙パネル10の表面における撥水性及び撥油性が低下して防汚性が損なわれ、また、和紙本来の質感および風合いが損なわれる可能性がある。
また、防汚層16におけるフッ素樹脂とアクリル系樹脂との含有比率は、上述した各効果をより高める観点から、フッ素樹脂100質量部に対して、アクリル系樹脂が50~450質量部であることがより好ましく、アクリル系樹脂が75~300質量部であることが最も好ましい。
防汚層16に含まれるフッ素樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びポリフッ化ビニル(PVF)の内の少なくとも何れかを含むことが好ましい。防汚層16が、上記のうちの何れかのフッ素樹脂を含むことで、上述したような、不燃性和紙パネル10の表面における撥水性及び撥油性がより高められるので、表面に水分や油分に由来する汚れが付着するのを抑制する効果がより顕著に得られる。
また、防汚層16に含まれるアクリル系樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、アクリル酸アルキルエステル共重合体、及びメタクリル酸アルキルエステル共重合体の内の少なくとも何れかを含むことが好ましい。防汚層16が、上記のうちの何れかのアクリル系樹脂を含むことで、上述したような、不燃性和紙パネル10の表面における耐摩耗性がより高められるので、表面に摩耗が生じるのを抑制する効果がより顕著に得られる。
なお、防汚層16は、上記のフッ素樹脂とアクリル系樹脂との含有比率を維持でき、且つ、撥水性及び撥油性、耐摩耗性等を低下させないものであれば、他の機能性成分を少量で含有していても構わない。
防汚層16を形成するための防汚処理剤の塗布量は、不燃性和紙パネル10全体の機械的強度に加え、上述したような防汚性(撥水性及び撥油性)や、耐摩耗性等を十分に得ることを考慮した場合、50g/m~100g/mが好ましく、70g/m~100g/mがより好ましい。
本発明に係る不燃性和紙パネル10の単独の用途としては、特に限定されるものではなく、例えば、ビルや住宅(マンション等を含む)の壁板や天井板、特に和室の内装建材として、和紙独特の風合いや意匠性等が求められる用途に、何ら制限無く適用可能である。
以上の様な構成の本発明の不燃性和紙パネル10によれば、基材和紙11に不燃性材料、例えばポリホウ酸ナトリウムを含浸させてなる不燃処理層12形成した不燃性和紙13を用い、この不燃性和紙13に難燃材料を含む接着層を介して不燃性ボード15を接着して不燃性和紙パネル10を構成した。これにより、不燃性和紙パネル10を構成する各部材が不燃性、ないし難燃性を有し、建物の内装建材として必要な耐火特性を保ちつつ、和紙独特の風合いや意匠性を保った不燃性和紙パネル10を提供できる。
また、表面を更に防汚層16で覆うことによって、不燃性和紙パネル10の表面に水分や油分に由来する汚れが付着するのを抑制し、長期間に渡って美観を保つことが可能な不燃性和紙パネル10を実現することができる。また、例えばフッ素樹脂とアクリル系樹脂とを含む防汚層16を備えることで、機械的強度が高められるとともに、不燃性和紙パネル10の表面に摩耗が生じるのを抑制できる。従って、優れた防汚性、耐摩耗性及び機械的特性を備え、使用過程において和紙独特の質感・風合いを効果的に維持することが可能な不燃性和紙パネル10を提供できる。
なお、本実施形態では、不燃性和紙パネル10の4辺の端部は、各層の端面が露出しているが、これ以外にも、例えば、図2に示すように、不燃性和紙パネル20では、防汚層16が形成された不燃性和紙13の端部を折り返して、不燃性ボード15の4辺の端部を覆うように形成している。こうした構成によって、不燃性和紙パネル20では不燃性ボード15の端面が不燃性和紙13でカバーされ、不燃性和紙パネル20を設置した部屋等の美観を更に向上させることができる。
(不燃性和紙パネルの製造方法)
次に、上述した構成の本発明に係る不燃性和紙パネルの製造方法を説明する。
本発明に係る不燃性和紙パネルの製造方法によって不燃性和紙パネルを製造する際には、まず、基材和紙11に不燃性材料を含む不燃処理液を含浸させて、不燃処理層12を備えた不燃性和紙13を製造する(不燃処理工程)。
不燃処理工程では、まず、不燃処理液を調整する。具体的には、ポリホウ酸ナトリウムを、16wt%以上の濃度になるように水に加え、撹拌混合することで溶解させて、ポリホウ酸ナトリウム水溶液(不燃処理液)を得る。
次に、得られたポリホウ酸ナトリウム水溶液の基材和紙11への含浸方法としては、特に限定されないが、基材和紙11に対してむらなく均一に含浸できる観点から、噴霧による含浸方法と採用することが好ましい。具体的には、例えば、従来公知のスプレー装置を用いてポリホウ酸ナトリウム水溶液(不燃処理液)を基材和紙11の一面11a側に向けて噴霧することが好ましい。
こうした不燃処理工程において、乾燥後の不燃性和紙13に含まれるポリホウ酸ナトリウム(不燃性材料)の質量割合が5%以上、15%以下になるように、ポリホウ酸ナトリウム水溶液(不燃処理液)を基材和紙11に含浸させる。不燃性和紙13に含まれる不燃性材料の質量割合が5%未満では、不燃性が充分に確保されない虞がある。一方、不燃性和紙13に含まれる不燃性材料の質量割合が15%を超えると、基材和紙11の柔軟性が低下し、和紙の風合いが損なわれる虞がある。
次に、ポリホウ酸ナトリウム水溶液(不燃処理液)を噴霧した基材和紙11を乾燥させる。基材和紙11の乾燥は、従来公知の乾燥方法、例えば、熱風オーブン内に載置する等の方法により、ポリホウ酸ナトリウム水溶液の水分を蒸発させる。これにより、基材和紙11にポリホウ酸ナトリウム(不燃性材料)が含浸された不燃処理層12を有する不燃性和紙13が得られる。
なお、こうした基材和紙11の乾燥は、特に行わなくても良い。本実施形態では、基材和紙11の乾燥工程を省略することで、製造方法を簡略化している。
なお、ポリホウ酸ナトリウム水溶液を噴霧した基材和紙11を乾燥させる方法としては、上述した熱風を供給する方法に限定されるものではなく、基材和紙11を傷めることなく、ポリホウ酸ナトリウム水溶液の水分を蒸発させることが可能な方法であれば、如何なる方法も採用することができる。また、こうした乾燥を行う際の加熱温度も、基材和紙11を傷めない範囲で適宜設定することが可能である。
このようにして得られた不燃性和紙13に、更に防汚層16を形成する(防汚層形成工程)。
防汚層形成工程では、不燃性和紙13の表面に、防汚剤を含むコーティング処理剤を、むらなく均一に塗布する。コーティング処理剤の塗布方法としては、特に限定されないが、薄い塗膜を、むらなく均一に形成できる観点から、噴霧による塗布方法と採用することが好ましい。
具体的には、例えば、従来公知のスプレー装置を用いてコーティング処理剤を不燃性和紙13に向けて噴霧して塗布することが好ましい。本発明においては、水性のアクリル系樹脂エマルジョンを含むコーティング処理剤を、不燃性和紙13に向けて噴霧・塗布する方法を採用した場合には、作業環境を劣化させることなく、効率的且つ均一にコーティング処理剤を塗布することが可能になる。
次に、塗布したコーティング処理剤を乾燥・硬化させることにより、不燃性和紙13の表面に防汚層16を形成する。具体的には、不燃性和紙13の表面に形成されたコーティング処理剤からなる塗膜に対して、従来公知の乾燥方法、例えば、熱風オーブン内で放置する等の方法により、塗膜を乾燥・硬化させる。
なお、防汚剤を含むコーティング処理剤からなる塗膜を乾燥させる方法としては、上述した熱風を供給する方法には限定されず、不燃性和紙13を傷めることなく、塗膜を乾燥・硬化させることが可能な方法であれば、如何なる方法も採用することができる。また、コーティング処理剤からなる塗膜を乾燥・硬化させる際の温度も、塗膜を傷めない範囲で適宜設定することが可能である。
次に、防汚層16を形成した不燃性和紙13を構成する基材和紙11の他面11b側に、接着層14を介して不燃性ボード15を貼着させる(ボード貼着工程)。
ボード貼着工程では、アクリル系接着剤を用いるが、このアクリル系接着剤に、更に難燃材料を混練して、難燃性の接着剤にすることも好ましい。難燃材料としては、例えばアクリル系接着剤に臭素を含む難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物と三酸化アンチモンとからなる難燃材料を加えたものを用いることができる。このような難燃材料を、アクリル系接着剤が固化しない環境で混練器などを用いて混練すれば、難燃性の接着剤を得ることができる。なお、接着層14は極めて薄い層であるので、こうした難燃性は特に問題にならず、接着剤に対して特に難燃材料を用いなくても良い。
次に、得られた難燃性の接着剤を基材和紙11の他面11b側に均一な厚みで塗布し、接着層14を形成する。難燃性の接着剤の塗布方法としては、例えば、ロールコーターを用いた塗布方法によって、均一な厚みで効率的に塗布することができる。
次に、接着層14を形成した基材和紙11の他面11b側に不燃性ボード15を貼り付ける。例えば、基材和紙11の他面11b側に不燃性ボード15を所定の圧力で押し付ける。そして、接着層14を完全に固化させる。
以上の工程によって、基材和紙11に不燃性材料、例えばポリホウ酸ナトリウムを含浸させてなる不燃処理層12形成した不燃性和紙13を用い、この不燃性和紙13に難燃材料を含む接着層を介して不燃性ボード15を接着してなる本発明の不燃性和紙パネル10を得ることができる。
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の説明における「部」は「質量部」を示す。
<実施例1>
[防汚層を備えた不燃性和紙の作成]
実施例1においては、以下の条件及び手順により、防汚層を備えた不燃性和紙の試料を作製した。
具体的には、まず、目付量58g/m2の手漉き和紙に対して、固形分が16wt%のポリホウ酸ナトリウム水溶液(不燃処理液)をスプレーコーティングによって塗布・含浸させ試料1-4の不燃性和紙を得た。
次に、この不燃性和紙に防汚層を形成した。具体的には、不燃性和紙の一方の表面上に、スプレーを用いてコーティング処理剤を均一に塗布し、次いで、コーティング処理剤が塗布された不燃性和紙を熱風オーブン内に載置し、防汚層を形成した。
以上の手順により、防汚層を備えた不燃性和紙の試料を作製した。
[燃焼性の評価]
上記手順で得られた試料1-4の防汚層を備えた不燃性和紙の燃焼性を評価した。燃焼性の評価は、それぞれの、防汚層を備えた不燃性和紙に対して火炎を近づけ、燃焼状態を3段階で評価した。この検証結果を表1に示す。
Figure 0007012583000001
表1に示す検証結果によれば、不燃処理液の水分蒸発後の固形分、即ちポリホウ酸ナトリウムの分量が0.2g、0.4gの試料2、3は、不燃性が確保されていることが確認された。一方、これよりもポリホウ酸ナトリウムの分量が少ない試料1、4では、不燃性が充分に確保されないことが確認された。こうした結果から、基材和紙に不燃処理液を噴霧した後の重量増加率が概ね8%以上であると、防汚層を備えた不燃性和紙の不燃性を十分に確保できることが分かった。
次に、上述した試料1、3の不燃性和紙をそれぞれ用いて、デンプン糊(接着剤)を用いて不燃性ボードを貼着し、試料5-7の不燃性和紙パネルを作成した。不燃性ボードとしては、サンワMGボード(株式会社三和不燃ボード工業製)、ウレタン系塗装済み(塗布量0.3~0.4g)、サイズ100×100×3(mm)を用いた。これら不燃性ボードに対して、コーンカロリーメータを用いてコーンカロリー試験を行った。
試料5-7の不燃性ボードのコーンカロリー試験の結果を表2に示す。
Figure 0007012583000002
表2によれば、接着剤の塗布量によって、コーンカロリー試験の総発熱量が影響されることが確認された。接着剤の塗布量は100g/m以下にすることが好ましい。
10…不燃性和紙パネル
11…基材和紙
12…不燃処理層
13…不燃性和紙
14…接着層
15…不燃性ボード
16…防汚層

Claims (5)

  1. 基材和紙に不燃性材料を含浸させてなる不燃処理層を有する不燃性和紙と、前記基材和紙の他面側に接着層を介して貼着された不燃性ボードと、を備え
    不燃処理層の表面には、フッ素樹脂100質量部に対してアクリル系樹脂を50~550質量部で含む防汚層が設けられていることを特徴とする不燃性和紙パネル。
  2. 前記防汚層は、前記フッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びポリフッ化ビニル(PVF)の内の少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項1に記載の不燃性和紙パネル。
  3. 前記防汚層は、前記アクリル系樹脂として、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、アクリル酸アルキルエステル共重合体、及びメタクリル酸アルキルエステル共重合体の内の少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の不燃性和紙パネル。
  4. 前記不燃性ボードは、前記不燃性和紙と接する面に任意の印刷が施されていることを特徴とする請求項1ないしいずれか一項に記載の不燃性和紙パネル。
  5. 請求項1ないしいずれか一項記載の不燃性和紙パネルの製造方法であって、
    前記基材和紙の一面側に前記不燃性材料を含む不燃処理液を含浸させて前記不燃処理層を形成する不燃処理工程と、
    前記基材和紙の他面側に接着層を介して不燃性ボードを貼着させるボード貼着工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする不燃性和紙パネルの製造方法。
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