JP2019055487A - 漆喰シート - Google Patents

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聡 石原
高井 俊和
Toshikazu Takai
俊和 高井
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Abstract

【課題】漆喰特有の強アルカリ性を穏やかに発揮し、また低膜厚でありながら漆喰の効果を持続的に発揮し、また漆喰の現場施工仕上げの表面意匠を表現するため、同調印刷による漆喰調凹凸模様仕上げを行った現場施工と同様な漆喰意匠及び塗膜性能を有するものとし、更に、漆喰特有の弱点である耐汚染性、耐水性、耐擦傷性、等を向上させ優れた塗膜物性もあわせた漆喰シートを提供すること。【解決手段】シート基材4上に第一層塗膜として漆喰塗膜1を形成し、漆喰塗膜1上に加熱発泡型親水性インキを印刷し、更にその上にアクリル樹脂を塗布後、加熱・発泡・研磨工程を経て加熱発泡型親水性インキの印刷模様と同調した多孔質溝抗を形成した第二層塗膜として多孔質溝坑塗膜2を設け、第二層アクリル樹脂塗膜の多孔質溝抗以外の凸面に第三層塗膜として無機抗菌性塗料3を塗布する漆喰シート。【選択図】図1

Description

この発明は、住宅の設備機器・建具・家具・装飾材等の内装材として用いられる漆喰を使用した漆喰シートに関し、特に内装材として用いる場合の品質上の問題を補うことのできる漆喰シートに関するものである。
従来から、水酸化カルシウムを主成分とする漆喰は、建造物の内外装の壁面に多く使用されている。例えば、建物の内装には左官業者が漆喰壁として施工している。また外装としては外壁面、塀等に古い時代から使用されている。一方、最近では漆喰壁紙や装飾品として、施工や、取り扱いも簡単に出来るよう合理化されている。
この漆喰は、漆喰特有の強アルカリ性を示し、抗菌性・抗ウイルス性等があるとして一部に使用され、また研究開発がされている。しかし、強アルカリ性を示す水酸化カルシウムは、空気中の炭酸ガスと反応し炭酸カルシウムとなり、特に表面層の性質として漆喰特有の強アルカリ性、抗菌性、抗ウイルス性等が徐々に低下する問題がある。
また、漆喰塗膜は、強アルカリ性という危険な状態を示すと同時に塗膜表面の耐汚染性、耐水性、耐擦傷性等が弱く、住宅の設備機器・建具・家具・装飾材等の内装材として用いられるには課題が多かった。
ところで、近年、抗菌性、抗ウイルス性の高い性能があるとして、漆喰をシート状にしたものが市販されているが、それらの漆喰シートは、左官業者が漆喰を現場施工でコテ塗りをしたような厚膜の本物の仕上がり感には乏しく、印刷技術やエンボス加工などの方法において外観上類似に造られたものが多い。即ち、漆喰特有の表面外観を再現しつつ、抗菌性、防カビ性、等の優れた性能を十分に発揮できる漆喰シートの開発が望まれている。
なお、上記のような課題を解決する方法として、漆喰塗膜の凹凸面を活かしてその上にインクジェット印刷し、機能性トップコートを塗布する方法も考え出された(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1は、複層シート及びインクジェットに関するもので、その技術分野の欄中、「本発明は、複層シートに関するものであり、より詳細には、基材シートの上面に積層され且つ半固化状態の漆喰を含む漆喰層とを有する積層シートの漆喰層側に、着色材料を塗布して描画を行い、次いで漆喰層上に樹脂層を形成することを特徴とする描画された複層シートの製造方法に関する。」と記載されている。
また、上記のような課題を解決する別の方法として、漆喰塗膜上に水性トップコートを塗布する方法も考え出された(例えば、特許文献2参照)。
上記特許文献2の発明の目的は、漆喰の機能を維持し、またその質感を損なうことなく、漆喰塗布面に優れた汚染防止性・除去性を付与することができる、漆喰塗布面用の防汚処理材およびそれを用いた漆喰塗布面の仕上げ方法を提供することと、汚染防止性・除去性を備えた漆喰塗布物の製造方法を提供することにある。
特開2015−016395号公報 特許第5974323号公報
上記特許文献1や特許文献2の方法によって、漆喰シート等を居住空間、日常生活装飾品として採用され始めた。しかし、漆喰を最表面の塗膜シートとした場合、表面の漆喰特有の強アルカリ性が強くなるが、漆喰塗膜が薄いため漆喰特有の性能を持続的に発揮することが困難であった。
また、左官業者が現場施工したようなコテ調のテクスチャーを出すのは困難で、満足するものが得られなかった。更に、漆喰をイメージした印刷やエンボス等の凹凸を付けることも行われるが、本物の漆喰に外観、品質等を比較すると満足出来るものではなかった。
そこで、この発明の課題は、漆喰特有の強アルカリ性を穏やかに発揮し、また低膜厚でありながら漆喰の効果を持続的に発揮し、また漆喰の現場施工仕上げの表面意匠を表現するために、同調印刷による漆喰調凹凸模様仕上げを行った現場施工と同様な漆喰意匠及び塗膜性能を有するものとし、更に、漆喰特有の弱点である耐汚染性、耐水性、耐擦傷性、を向上した新規の漆喰シートを提供することにある。
この発明者らは、鋭意検討の結果、シート基材の表面に、漆喰塗膜、多孔質溝坑塗膜を形成し、必要に応じて抗菌塗膜を有する2層又は3層構造を有する漆喰シートを発明し、漆喰由来の問題点を克服するとともに外観上のテクスチャーをシート基材上で実現したものである。
即ち、請求項1に記載の発明は、シート基材上に順に第一層と第二層を有するシートであって、第一層は、水酸化カルシウムを主成分とする漆喰塗膜、第二層は、第一層の漆喰塗膜を部分的に露出させる多孔質溝坑塗膜であることを特徴とする漆喰シートである。
請求項2の発明は、上記請求項1に記載の漆喰シートにおいて、第二層は、第一層上に加熱発泡カプセル型インキで印刷され、加熱・発泡・硬化・研削等で加工された多孔質溝抗部分と、印刷されていない未発泡の加工していない部分とからなり、多孔質溝抗部分の面積がシート全体の10〜80%である構成を採用した。
請求項3の発明は、上記請求項1又は2に記載の漆喰シートにおいて、第二層中に、抗菌性材料を含有する構成を採用した。
請求項4の発明は、上記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の漆喰シートにおいて、第二層の未発泡の加工していない凸部分上に塗布された抗菌性塗膜からなる第三層を有する構成を採用した。
請求項5の発明は、上記請求項4に記載の漆喰シートにおいて、第三層のシートに対する塗膜量が、0.1〜15g/m2で、その面積は、シート全体の90〜20%である無機抗菌剤を含むアクリル塗料の塗膜である構成を採用した。
請求項6の発明は、上記請求項1乃至5のいずれか1項に記載の漆喰シートにおいて、第二層または/および第三層中に、珪藻土を含有する構成を採用した。
請求項7の発明は、上記請求項1乃至6のいずれか1項に記載の漆喰シートを基材に貼り付けた建材である。
以上のように、請求項1の発明の漆喰シートによれば、第一層の漆喰塗膜から発するアルカリ性が第二層の多孔質溝坑塗膜の溝抗を通じて外部に発現することで、通常の漆喰壁と同様なアルカリ性による抗菌性・抗ウイルス性を穏やかに長期間発揮することができるようになる。
請求項2の発明の漆喰シートによれば、第二層の形成に加熱発泡カプセル型インキを用いることで、加熱・発泡・硬化・研削等の加工により多孔質溝坑塗膜を容易に形成することができ、また、加熱発泡カプセル型インキの印刷柄と同調して第二層塗膜を形成することで、漆喰壁特有の立体感、コテ仕上げのイメージを再現することができる。
請求項3の発明の漆喰シートによれば、第一層の漆喰効果を長期間発揮できると共に、第二層に含まれる抗菌性材料による抗菌性との相乗効果が得られるようになる。
請求項4の発明の漆喰シートによれば、最外層の第三層の抗菌性材料等により、通常の漆喰壁では得られないような、防カビ性、耐汚染性、撥水性、耐擦傷性等の特性も発揮することができる。
請求項5の発明の漆喰シートによれば、第一層の漆喰塗膜のアルカリ性による抗菌性・抗ウイルス性の長期間の発揮と、第三層の抗菌性塗膜の抗菌性、防カビ性、耐汚染性、撥水性、耐擦傷性等についてその効果と持続性のバランスを最適に保つことができる。
請求項6の発明の漆喰シートによれば、第二層や第三層に含まれる珪藻土により、調湿性や臭いの吸着性を発揮し、漆喰シートとしての効果をより一層高めることができる。
請求項7の発明の建材によれば、上記請求項1乃至請求項6で記載した効果を発揮できる建築材料や、その他の日用品、家具等種々の材料として応用することができる。また、貼り付ける基材に吸湿・放湿性能を有する調湿性に優れた材料を用いることで、従来の厚塗り漆喰壁と同様な調湿作用を有することもできる。
この発明の三層構造の漆喰シートを示す全体図。 この発明の三層構造の漆喰シートのアルカリ性、抗菌性を発揮する構成図。 この発明の二層構造の漆喰シートのアルカリ性、調湿性、抗菌性を発揮する構成図。
以下、この発明の漆喰シートにつき添付図面を参考にして詳細に説明する。
図1の漆喰シートは、例としてシート基材4上に第一層となる漆喰塗膜1を施し、その上に加熱発泡型親水性インキにて任意の印刷を施し、更にアクリル系樹脂を塗布した後、印刷柄に同調した多孔質凹凸模様の第二層を設け、表面となる第三層にアルカリ性を示す漆喰と抗菌性のある抗菌性塗膜3の3層構造をなす漆喰シートであり、第二層は第一層の漆喰のアルカリ性を導くための多孔質溝坑塗膜2であり、最表面の物性は、抗菌性、抗ウイルス性等、漆喰由来の性能を発揮する紙質、各種基材上の漆喰シートである。
図2の漆喰シートは、最表面において漆喰由来のアルカリ性を示すと同時に第三層の抗菌性Aを発揮する仕組みを表したものである。第一層の漆喰塗膜1に最上部等から侵入した水分が接触すると、漆喰の主成分である水酸化カルシウムのアルカリ性を示す状態となる。更に、第二層の多孔質溝抗塗膜2の溝坑又は多孔質層の毛管現象にて上層部へと水酸化カルシムを導き、アルカリ性Bを示すのである。
漆喰シートを製造する方法としては、シート基材4上に漆喰を塗布し乾燥した状態の漆喰塗膜1の形成、その上に加熱発泡型親水性インキにて印刷柄を施し、アクリル樹脂を塗布し加熱・発泡・研削して多孔質溝坑塗膜2を形成し、上塗の抗菌性塗膜3の樹脂塗工を順に行うことにより、シート基材4の上に印刷柄に同調した凹凸の漆喰シートができる。
図3の漆喰シートは、例としてシート基材4上に第一層となる漆喰塗膜1を施し、その上に第二層となる多孔質溝坑塗膜2を設けたもので、図1や図2で示した例と違い、第三層を形成せず、二層構造としたものである。その第一層および第二層の製造手法は図1,2で示すものと同様、シート基材4上に第一層となる漆喰塗膜1を施し、その上に加熱発泡型親水性インキにて任意の印刷を施し、更にアクリル系樹脂を塗布した後、印刷柄に同調した多孔質凹凸模様の第二層を設けたものである。
なお、図3に示す例のものは、加熱発泡型親水性インキによる任意の柄の印刷後に塗布するアクリル系樹脂に、珪藻土と抗菌性材料を含有させることで、第二層の多孔質溝坑塗膜2の溝坑の無い凸部分内に珪藻土と抗菌性材料が含まれることになり、この漆喰シートは、漆喰によるアルカリ性Bの発現と共に、珪藻土による調湿性、消臭性Cを発揮したり、抗菌性材料による抗菌性Dをも発揮する。
[シート基材]
この発明で使用されるシート基材4は、漆喰シートの主要部をなすもので、可撓性のあるシート状となるものであれば、各種シート状の材料が適用でき、例えば、紙、紙質材、フィルム、樹脂質材等が適用でき、材料を問わない。紙を主体として樹脂と複合したり、紙とフィルムとの積層体、紙又はフィルムと湿式不織布との積層体、紙とフィルムの積層体に樹脂を複合したもの、並びに不織布、フィルムのみからなるもの等が挙げられる。
シート基材4の材料のうち、紙や紙質材の紙原料としては、15〜200g/m2程度のものから、樹脂、顔料、充填剤などが複合された紙質を含む。また、前述の紙質材に対しPE、PP、その他の樹脂質材を溶融接着、ラミ接着したもの等、紙質材と樹脂質材との積層材料も含み、更に、樹脂質層に合成樹脂あるいは溶融樹脂、フィルム質を複合したものでもよい。
また、樹脂やフィルムの原料としては、特に限定されず、紙質材になじむものや、シート成形が可能な物などであればよく、樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルエマルジョン、アクリル水溶性樹脂等があり、その他、PE、PP等の既知の樹脂が挙げられる。
以上のように、シート基材4は、漆喰シートの材料・態様のものが適用でき、要するに、漆喰シート全体が発明で規定するものであれば、その材料・態様は問わない。
漆喰シートを他の基材、例えば不燃基材、合板、石膏ボード、繊維ボード等に貼りあわせて他の基材共々の性能を付加したい場合は、特に調湿効果を期待する場合、漆喰シートだけでは調湿効力が少ないため他の基材を含めた物として価値を出したい。その場合は、本発明のシート基材の透気度(JIS P 8117)を1500秒程度以下の通気性のよい(透気度の秒数の低い)基材シートを採用すれば、裏面でもアルカリ性を示すことから第一層の漆喰塗膜がシート基材を透して接合した基材、例えば繊維ボードの基材に影響を与え、漆喰シートとの複合体として調湿効果が期待できる。
これは、本発明の漆喰シート(シート基材の透気度≒1000秒)の裏面においてアルカリ性を発揮することからいえる。一般的な建材紙の透気度は20〜100秒程度であり、強化紙となると300〜800秒となり、紙質の種類、厚さ、等々によって1000秒以上の物となる。目的に応じて選定すれば良い。
[第一層:漆喰塗膜]
漆喰とは一般に水酸化カルシウムを主成分とするものであり、この水酸化カルシウムは、塗膜となると、空気中の炭酸ガスと反応し、炭酸カルシウムを生成すると同時に固化するという特性をもっている。従って、空気中の炭酸ガスと接触しない部分を設けることで空気に直接触れない部分は水酸化カルシウムが失われず、漆喰由来の性能を持続的に発揮するものである。例えばシート基材4に漆喰塗膜1を55g/m2形成し、この漆喰塗膜1の表面を空気にさらす面積を40%にすることで、塗膜表面で測定する水酸化カルシウムの示すアルカリ性は、全面に漆喰塗膜をさらすものと比較すると40%の方が長期に渡ってアルカリ性の発現が維持できた。
なお、所定のアルカリ性を得るために、この第一層の漆喰塗膜1を空気にさらす面積の割合の調整は、後述の第二層における多孔質溝坑塗膜の中の溝抗の割合により決められる。
[第二層:多孔質溝坑塗膜]
第一層漆喰塗膜1の上に形成される多孔質溝坑塗膜2の形成は、先ずは、形成された漆喰塗膜1の上に加熱発泡カプセル型インキ、例えば親水性加熱分解カプセル型発泡インキ等で漆喰調、又は任意の柄を印刷する。
漆喰塗膜1面への印刷柄の印刷方法としては、シート基材4に印刷可能な方法であれば印刷機器の種類を問わないが、工業製品として生産する場合、グラビヤ印刷が好ましく、グラビヤ印刷に使用される印刷インキとしては、アクリル樹脂、顔料、加熱発泡カプセル、界面活性剤、希釈剤、等の組成からなり、油性、水性でもよい。好ましくは、親水性インキが良い。その他各種の既知のインキ、材料が使用できる。印刷の版数は、意匠性の要求に沿って1〜6版が可能であるが4版程度が好ましい。特に漆喰特有の立体感、コテ仕上げ、漆喰由来のイメージを印刷技術で再現することが可能である。
この印刷された平面な表面に、例えば熱硬化型アクリル系樹脂塗料を塗布し加熱すると、発泡インキ中のカプセルが発泡し熱硬化型アクリル系樹脂が印刷柄と同調し多孔質層膜となる。その多孔質膜部分を研削すると第一層漆喰面の一部が露出し、また露出していないまでも、多孔質膜と漆喰が混同した塗膜が形成され、更に微細な多孔質層は、その毛管現象によって漆喰層からのアルカリ性を導き示すように形成される。即ち、第一層漆喰の存在を上層の最表面で示すことである。
上記のように第一層漆喰塗膜1上に加熱発泡カプセル型インキで漆喰調や任意の柄を印刷し、その後熱硬化型アクリル系樹脂塗料を塗布し加熱することで、発泡インキ中のカプセルが発泡し熱硬化型アクリル系樹脂が印刷柄と同調し多孔質層膜となり、多孔質膜部分を研削すると第一層漆喰面の一部が露出する。よって最初に加熱発泡カプセル型インキで印刷した印刷柄の部分が溝抗部分(露出部分)となり、残りの熱硬化型アクリル系樹脂塗料が硬化した部分が凸部として残り、この凸部分が下層第一層の漆喰塗膜1によるアルカリ性の発現を抑制する。すなわち、加熱発泡カプセル型インキでの印刷面積により多孔質溝抗塗膜2の溝抗の割合を調整することができる。
なお、上記のような多孔質溝坑塗膜2を形成する方法として、特開平7−125143号公報「化粧シート」のような方法があり、これは200℃近くの高温にて加熱発泡させるものであるが、本発明は、加熱発泡剤を熱可塑性樹脂のカプセル型とし、かつ親水性インキ中に分散したもので、加熱温度も150°以下でも可能な発泡領域を設定したものである。また第二層の多孔質層を構成する樹脂は低温発泡が可能な油性変性アクリル樹脂とした。例えばDIC株式会社製アクリル樹脂「UCクリヤーNTGM/硬化剤W/酢酸ブチル/酢酸エチル=100/10/15/5」の配合にてグラビヤ印刷機にて2〜30g/m2塗布し、140℃/30秒にて熱風加熱乾燥し、発泡・研削・研磨することによって多孔質な凹凸模様が形成されるのである。
この発明における多孔質溝坑塗膜2は、溝抗と、溝抗が無い凸部分から形成され、溝抗の面積、即ち第一層の漆喰塗膜1を空気にさらす面積は、シート全体に対して10〜80%とするのが効果的で、更にその中でも20〜50%の範囲内とするのがより好ましい。
なお、凸部も溝坑から垂直に切り立った部分のみならず、傾斜を持ってなだらかに突出する部分も形成することができ、この傾斜の有無や角度、その割合等を適宜調整することもでき、これらの調整によりシート表面を見た場合や手で触れた場合の感触が変わってくる。
この第一層の漆喰塗膜1と第二層の多孔質溝坑塗膜2により漆喰壁特有の立体感、コテ仕上げのイメージを再現することができ、この第二層を最上層として基本的な漆喰シートが出来上がった状態となる。第一層の漆喰塗膜1、第二層多孔質溝坑塗膜2の二層構造で漆喰シートを完結する利点としては、第一層の漆喰塗膜1の多孔質層と、最上層となる第二層の多孔質溝坑塗膜2の多孔質効果が期待できることである。さらに多孔質溝坑の面積(漆喰露出面積)を自在に調整することで、市販品と同様な強アルカリ性から弱アルカリ性まで調整が可能となる。
この第二層を形成する熱硬化型塗料材料中に、抗菌剤、珪藻土、無機、有機系のスリップ剤、艶消し剤、各種添加剤を配合することで、二層構造の最表面である第二層多孔質溝坑塗膜2の凸部中にこれらの成分が含有され、これらの特性を含む表面特性を有することが可能となる。
まず、抗菌剤を含有させることで、第一層の漆喰塗膜1のアルカリ性が第二層多孔質溝坑塗膜2の部分にて(長期間性能持続のため)抑制されて発現するが、本来の漆喰塗膜のアルカリ性による抗菌性等の性能は低下する。そこで、第二層多孔質溝坑塗膜2におけるアルカリ性を抑制する凸部に含まれる抗菌剤の抗菌成分が、減少したアルカリ性による抗菌性能を補完することになる。抗菌性塗料自体は無機系抗菌剤が主に使用されるが、無機系抗菌剤の原料特性においては、長期間の抗菌性維持と抗ウイルス性作用が明示され、公知の原料である。もちろん、含有させる抗菌性材料の種類や成分を選択することで、通常の漆喰壁では得られないような、防カビ性、耐汚染性、撥水性、耐擦傷性等の特性も発揮することもできる。
また、塗膜の調湿性、消臭性等の性能を付加する場合、珪藻土を添加するとよい。珪藻土は汎用品の1μ〜50μ程度の粒子系を塗料中に分散すればよく、その塗料をクラビヤ塗装機器にて10〜80g/m2程度塗膜形成すればよい。即ち、第二層、第三層塗膜に珪藻土を添加することによって本発明漆喰シートの調湿性、消臭性の効果が期待できる。例えば、DIC株式会社製アクリル樹脂「UCクリヤーNTGM/硬化剤W」に昭和化学工業株式会社製「珪藻土類」を5〜70%混合し、塗料製造機器にて分散することで珪藻土塗料が得られる。好ましくは10〜50%である。この珪藻土含有塗膜を有する本発明の漆喰シートを吸放湿性のある基材、例えばインシュレーションボードに接合した場合、複合材料としての高性能な調湿・消臭建材が可能である。珪藻土の種類、配合量、塗膜量は、本発明の目的を達成できる範囲内のものであれば何れでもよい。
[第三層:抗菌性塗膜]
第三層の抗菌性塗膜3は、三層構造の漆喰シートとする場合に、上記第一層、第二層からなる二層構造の更に上に形成され、当漆喰シートの最表面塗膜となるものであり、抗菌性、防カビ性、耐汚染性、撥水性、耐擦傷性等の物性を付与する役目のものである。更に第一層の漆喰塗膜1のアルカリ性を多孔質溝抗塗膜2を通して発揮するものである。例えばアクリルポリオール、ポリエステルポリオールにイソシアネートを配合した2液ウレタン樹脂塗料、UV塗料等が上げられ漆喰シートの要求品質を付与する塗料であれば油性、水性でもよい。また、抗菌性塗料自体は無機系抗菌剤が主に使用されるが、無機系抗菌剤の原料特性においては、長期間の抗菌性維持と抗ウイルス性作用が明示され、公知の原料である。もちろん、含有させる抗菌材料の種類や成分を選択することで、通常の漆喰壁では得られないような、防カビ性、耐汚染性、撥水性、耐擦傷性等の特性も発揮することもできる。
第三層の抗菌性塗膜3の形成方法としては、グラビヤ印刷及び塗装があり、塗装手法としては、ロールコーター、ナイフコーター、ダイコーター等があり、特にグラビヤコーターが好ましい。また、印刷や塗装に限られず、同様の表面特性が得られれば特に制限されるものではない。表面性については、漆喰特有の天然素材としての風合いを得るために艶消しであることが求められ、具体的には一般的に広く利用されている測定角60度光沢計にて3〜15程度が好ましい。艶消し剤は、シリカ、ガラスビーズ、プラスティックビーズ、など市販品の有機、無機系の何れでもよい。
また、必要に応じて無機、有機系のスリップ剤、各種添加剤を加えても良い。例えばグラビヤコーターにて前述の塗料を2〜10g/m2塗布し150℃/30秒間乾燥することによって透明性のある艶消しの樹脂質層が得られる。
第三層の抗菌性塗膜3の形成状態は、第二層の凸部に塗布することが主目的あるが、凹部の漆喰面においても薄膜を形成することができる。例えば、凹部の耐汚染性を向上する場合、凹部へ薄膜塗装することでも良い。例えば、塗料の粘度や版深の種類を変動することで可能でありグラビヤ印刷機器の通常操作で可能である。
以上のように、第三層の抗菌性塗膜3は、大部分が第二層の凸部上に形成され、一部が溝坑の下端の第一層の漆喰塗膜1上に形成されるが、この抗菌性塗膜3のシート全体に対する塗布量としては、シート単位面積当たり0.1〜15g/m2の範囲とするのが好ましく、更に1〜10g/m2の範囲とするのが好ましい。また、第一層の漆喰塗膜1からのアルカリ性の発現とのバランスを考慮し、第二層の多孔質溝抗塗膜2における溝抗の面積割合をシート全体の10〜80%、即ち、多孔質溝抗塗膜2において、この抗菌性塗膜3の大部分が塗布される凸部分の面積割合をシート全体の90〜20%とするのが好ましく、更に好ましくは80〜50%とする。
なお、抗菌性材料からなる第三層を形成する三層構造とする場合、前述した第二層中に抗菌性材料を含有させるよりも、より表面に抗菌性材料が集中することになり抗菌性の効果の向上の点ではより合理的である。しかし、この第三層を形成する場合でも第二層に抗菌性材料を含有させることも可能であり、抗菌性の向上、効果の持続等を考慮し、適宜選択して添加することができる。
また、珪藻土についても、第二層、第三層のいずれか、又は両方に含有させることが可能である。第三層での珪藻土の含有は、塗膜表面のザラツキ(最上表面が荒れる)の可能性が高くなる。しかし、左官職人による漆喰壁の施工はこのザラツキ感があり、その効果を狙う場合に適する。珪藻土粒子は不揃いの多孔質粒子であり、粒径が大きいほどその自然な漆喰壁の感触が得られる効果が高くなる。
以下、この発明の漆喰シートの性能試験を行い、表1及び表2に表示した。
表1の試料No−1,No−2は市販の漆喰シートの比較例、No−3,9,10は作成した比較例、No−4,5,6,7,8は本発明の実施例である。本発明実施例のうちNo−4,5については漆喰塗膜からなる第一層の上に第二層を形成した二層構造とし、No−6,7,8については第二層の上に更に第三層を形成した三層構造とした。
まず、シート基材については、試験No―1,2は市販品で、各展示会等で入手したものであり(2016年、2017年)、No−1は印刷なし、No−2は約40%印刷されたものである。No―3,4,6,7は弊社紙質の強化紙で、No−3のみ印刷なし。No−5は紙と湿式不織布との積層体、No−9は湿式不織布で、湿式不織布としては天間特殊製紙株式会社製「CFW−シリーズ」を使用した。No−8は合成樹脂繊維の不織布、No−10は不燃紙で、タイガレックス株式会社製「GP−シリーズ」を使用した。
試験で用いた漆喰塗膜1を形成する漆喰は、「アレスシックイ」(関西ペイント社製)を出願人が購入し、表1及び2の試験を実施した。
第二層塗膜については、No−3,9,10は形成せず。No−4,5,6,7,8は上記「アクリル樹脂」を使用した。また、No−4,5の第二層については、珪藻土を含有させて使用した。
表1の性能試験では、市販品アクリル樹脂塗料、DIC株式会社製アクリル樹脂「UCクリヤーNTGM/硬化剤W」を用いた。
なお、No−4,5,6,7,8及び比較例のNo−10はグラビヤ印刷機で印刷し、No−9の比較例はCanon製PIXUS−MG6230にて行い、印刷面積を約40%とした。
表1において、「第一層−漆喰塗膜上の露出面積(%)」については、通常は漆喰塗膜上に印刷が行われた部分は漆喰塗膜が隠れるので、100%から「第一層−漆喰塗膜上の印刷面積(%)」を引いた数値になる(No−1,2,3,9,10)。しかし本発明品では、加熱発泡カプセル型インキで漆喰調や任意の柄を印刷し、その後熱硬化型アクリル系樹脂塗料を塗布し加熱することで、発泡インキ中のカプセルが発泡し熱硬化型アクリル系樹脂が印刷柄と同調し多孔質層膜となり、多孔質膜部分を研削すると第一層漆喰面の一部が露出するので、印刷柄の部分が露出部分となるので、両者の数値は一致する(No−4〜8)。
No−3は第一層漆喰塗膜上の露出面積94%以上であり、本発明での第二層も存在せず、全面的に漆喰塗膜1が露出していること。即ち、No−1の市販品と同様に全面が漆喰塗膜である領域を示す。実際には100%とは表現しづらいのでNo−1と共に94%以上とした。
No−6は、全面漆喰と対比し、略全面漆喰調としての印刷をした(印刷面積80〜60%)。左官職人が行う漆喰模様の、また漆喰面積の最大級柄を示し、本発明の印刷柄と同調した多孔質凹凸溝抗を有する漆喰シートである。
No−4,5,7,8は、漆喰の露出面積の少ない方向(印刷面積50〜20%)を示したものである。本物の漆喰をイメージした面積であり本発明の効果を十分発揮出来る範囲である。
No−6,7,8で形成した第三層の抗菌性塗膜3の材料としては、熱硬化型アクリルウレタン樹脂で、抗菌剤、シリコン、つや消し剤、助剤等が配合されたものを使用した。
これらの試料の製造方法としては、例えば、試験用漆喰としてアクリルエマルジョン/水酸化カルシウム/炭酸カルシウム/チタン顔料/シリカ紛/湿潤剤/助剤/水=15/30/5/10/3/2/5/適量を配合し、撹拌・分散・練肉機器にて塗料化した。この塗料を15〜50g/m2となるよう塗布し第一層塗膜を作成することが可能である。この塗膜は、アルカリ性PH−12〜14が確認された。表1の性能試験では、市販品の漆喰塗料、関西ペイント社製「アレスシックイ」を用い30〜45g/m2重量程度の膜厚とした。漆喰のアルカリ性は塗膜重量5g/m2程度でPH−14の強アルカリ性を示すことを確認した。
表1、実験No−7の実施例でみると、シート基材として、強化紙の80g/m2厚さ120μmを使用し、第一層塗膜として、漆喰「アレスシックイ」関西ペイント製を45g/m2の第一層塗膜を形成した。次に、大日精化株式会社製「親水性グラビヤインキ」に日本フィライト株式会社製「アクリル樹脂カプセル」を配合した加熱発泡インキにてグラビヤ印刷機にて印刷柄の面積を約40%とし仕上げた。その上に、第二層塗膜層となるDIC株式会社製アクリル樹脂「UCクリヤーNTGM/硬化剤W」なるものを塗布し加熱・発泡・研削工程を行い、多孔質凹凸溝抗を作成した。続いて、第三層塗膜を大日精化工業株式会社製「PTC−NTメヂウム/PTC−HTスリップ剤/PTC硬化剤」=100/5/15を用いグラビヤコーターにて4〜10g/m2を塗布し150℃/30秒にて乾燥して塗膜を形成した。漆喰シートを安定させるため50℃雰囲気中にて50時間養生し本発明品とした。他の試料の作成方法もこれに準じた。
表1のNo−7は、安定してアルカリ性を示していた。即ち、アルカリ性が示す漆喰としての効果は、同塗布量(重量)の時、空気中に曝す面積を少なくし、第一層漆喰塗膜全体が、多孔質層から緩やかに表面にアルカリ性を示すことで空気中にさらす面積を少なくする方が持続性が良好である。即ち、空気中に曝す面積が小さいほうが、アルカリ性の発現は弱アルカリ性となるが水酸化カルシウムと炭酸ガスの反応を抑えることが出来ることである。
表1の試験用の漆喰シート(No−1〜10)の物性(PH)を評価した(*−1〜*−3)。
最上塗膜表面に、水で濡らしたリトマス紙を置き、1分後のPHを測定した結果(*−1)を示す。なお、本発明のものは、第一層漆喰塗膜上、第二層多孔質溝坑塗膜上(二層構造のものは最上塗膜層面での測定と同じ)、及び第三層抗菌性塗膜(最上塗膜面)での測定結果も示すこととした。
表1No−1の「市販漆喰シート」とNo−3の漆喰塗膜露出面積「94%以上」の物が強アルカリ性を示すと共に、No−2の印刷面積約40%により漆喰塗膜露出面積「約60%以上」のものについても、強アルカリ性を示した。また、表1No−9,10の湿式不織布にインクジェット印刷をしたもの、不燃紙にグラビヤ印刷を、全体の50〜20%印刷して、漆喰塗膜露出面積「約50〜80%」としたものについても同様に、強アルカリを示した。これは、通常の印刷シートでは印刷による漆喰塗膜の露出面積を減少させるだけでは、漆喰のアルカリ性の発現を抑えることができないことを示す。
これに対して、本発明品(No−4,5,6,7,8)は、第一層漆喰塗膜上では従来品と同様の強アルカリ性を示したが、二層構造のNo−4,5については、第二層上(最上塗膜面)で、No−4は弱アルカリ、No−5は中アルカリから弱アルカリを示した。これは、本発明の第二層多孔質溝坑塗膜における溝坑の無い凸部分が、第一層漆喰塗膜の強アルカリの発散を抑制したものと考えられる。なお、No−5の基材に湿式不織布を用いたものは、No−4の基材に強化紙を用いたものに比較して、基材の透気度数値が低い(通気性がある)ために、漆喰塗膜のアルカリ性の抑制が弱く、中アルカリ性も発現したと考えられる。
本発明の三層構造のもののうちNo−6の第一層漆喰塗膜露出面積80〜60%のものについては、第二層上で強アルカリから中アルカリ、最上塗膜面(第三層上)で中アルカリ性を示した。一方、No−7,8の第一層漆喰塗膜露出面積50〜20%のものについては、第二層上および最上塗膜面(第三層上)の両方で弱アルカリ性を示した。
また、20分間後のリトマス紙試験(*−2)については、本発明の比較例では全て強アルカリ性を示したのに対し、本発明の二層構造のものは、No−4で中アルカリ性から弱アルカリ性、透気度数値が低い(通気性がある)基材を用いたNo−5で中アルカリ性を示した。
本発明の三層構造のもののうちNo−6の第一層漆喰塗膜露出面積80〜60%のものについては、強アルカリ性から中アルカリ性を示し、No−7,8の第一層漆喰塗膜露出面積50〜20%のもののうちNo−7の基材が強化紙のものが中アルカリ性から弱アルカリ性を示し、No−8の基材が強化紙より透気度数値が低い不織布を使用した方が中アルカリ性を示した。
即ち、本発明の第二層多孔質溝坑塗膜を有する二層構造又は三層構造の仕組みで漆喰塗料を塗布した漆喰シートは、水に濡らした際のPHが、市販の漆喰シートや比較例が強アルカリ性を示すことと比較して、アルカリ性を押さえ込む効果があることがわかり、特に弱アルカリ性まで抑え込むことが可能であり、日常生活において取り扱いがし易くなったと言える。
また、濡れた手の接触試験(*−3)についてNo−1〜8について実施し、表No−1,3のように大きな面積で漆喰が露出したものや、通常の印刷で漆喰の露出面積は約60%としたものは、濡れた手が漆喰に直接接するために介在した水が、全て中アルカリ性を示すことに比較して、本発明のものは、中アルカリ性から中性までを示した。
なお、No−6の第一層漆喰塗膜の露出面積80〜60%のものは、中アルカリ性から弱アルカリ性を示し、No−7の第一層漆喰塗膜の露出面積50〜20%のものは中性を示した。また、二層構造のものNo−4,5が弱アルカリ性を示すのに対し、No−7の三層構造のものは、撥水性等の効能を第三層に発現できるため漆喰によるアルカリの影響は殆ど生じなかった。
次に、耐久性、耐候性を、屋外にて15日間風雨に曝す暴露試験を行い、屋内建材として使用した場合の長期の耐久性、耐候性を類推した(*−4)。なお、暴露試験を行ったのは、No−1の市販漆喰シート、No−3漆喰紙、No−7の第一層漆喰塗膜露出面積50〜20%となる本発明の漆喰シートの3種類で行った。
*−4のアルカリ性(屋外暴露15日間)によれば、屋外暴露15日間後のアルカリ性は、No―1、3の暴露試験前はPH12〜14の強アルカリ性であったが、暴露試験後はPH11程度に減衰し弱アルカリ性となった。一方、No−7の漆喰シートは、暴露試験前と暴露試験後のアルカリ性はPH10〜11の弱アルカリ性を維持し安定していた。
次に、表2にて汚染試験について評価した。試料は表1における試料No−1,3,6,7,8を使用した。
表2の各種汚染性の結果(*−5〜*−7)においてNo−1,3が激しく汚染されることに対し、No−6は中程度、No―7,8は汚染が少なくなっている。特に*−6の青インキ滴下性、*−7醤油の滴下性では、No−7が優れている。このことは、漆喰塗膜が露出している又は露出面積が多いほど汚染性が劣ることを示している。
また、撥水性の結果(*−8)については、No−1,3が水の接触角が50°未満であり、本発明品のNo―7が接触角90°以上を示した。何れも漆喰の露出面積が大きい場合各種撥水性が劣る。
また、本発明品は露出した漆喰部分が汚染されても印刷柄と同調しているため、汚染が自然的に観え違和感が少ないのである。
また、No−6とNo−7を比較すると、第三層塗膜が最上面の凸部分に塗布されているので、その塗膜面積が大きいほど撥水性の効果は大である。
また、撥水性についても表1の*−4と同様な暴露試験を行い、屋内建材として使用した場合の長期の撥水性を類推した(*−9)。暴露試験を行ったのはNo−1,No−3,No−7である。No―1,3の暴露試験後の撥水性は極端に劣り殆ど水を弾かない状態となった。一方、本発明品のNo−7の漆喰シートは、水道水の接触角50°程度を維持していた。即ち、屋外にて直射日光、風雨等に曝されてもNo―7漆喰シートは安定した性能を維持していた。
第三層塗膜の抗菌性の結果(*−10)については、No−6とNo−7に対してJIS Z 2801に準じた試験を行い、十分な抗菌性を有していることがわかった。これは抗菌性塗膜3が熱硬化型アクリルウレタン樹脂であり、抗菌剤、シリコン、つや消し剤、助剤等が配合されており、汚染性、撥水性、抗菌性、擦傷性は、凸部分を中心に長期に効果を発揮するものと考えられる。
表2の擦傷性スチールウールによる傷つき性の相対比較の結果(*−11)については、No−1,3、は傷がつき易いことに対しNo−7は傷がつかなかった。第三層の上塗り塗膜は、住宅建材、家具等の内装材としての塗膜物性(JAS:日本農林規格に準拠した社内規格)も保有し、塗膜面積が大きくなるに従い強靭な塗膜が得られると考えられる。
Figure 2019055487
Figure 2019055487
上記実施例の結果より、No−1,2の市販品は印刷あり、なしに関係なく漆喰のアルカリ性のコントロールができないのに対し、本発明の漆喰シートは、多孔質溝坑の印刷面積によってアルカリ性の調整(漆喰由来の強アルカリ性を穏やかに発揮すること)が可能であることがわかった。例えば、No−2の従来品は印刷面積が約40%であるにも関わらず最上塗膜で強アルカリ性し、本発明の漆喰シートのNo−5では50〜20%の印刷面積で弱アルカリ性を維持した。
以上、実施例から、本発明の漆喰シートは、左官職人が施工したコテ塗りの漆喰のような性能及びテクスチャーを保つと共に、漆喰由来の弱点といわれる耐汚染性、撥水性、耐擦傷性、強アルカリ性を実用的に改良したものである。
1 漆喰塗膜
2 多孔質溝坑塗膜
3 抗菌性塗膜
4 シート基材
A (抗菌性塗膜による)抗菌性
B (漆喰塗膜による)アルカリ性
C (珪藻土による)調湿性、消臭性
D (抗菌性材料による)抗菌性

Claims (7)

  1. シート基材上に順に第一層と第二層を有するシートであって、第一層は、水酸化カルシウムを主成分とする漆喰塗膜、第二層は、第一層の漆喰塗膜を部分的に露出させる多孔質溝坑塗膜であることを特徴とする漆喰シート。
  2. 第二層は、第一層上に加熱発泡カプセル型インキで印刷され、加熱・発泡・硬化・研削等で加工された多孔質溝抗部分と、印刷されていない未発泡の加工していない部分とからなり、多孔質溝抗部分の面積がシート全体の10〜80%であることを特徴とする請求項1に記載の漆喰シート。
  3. 第二層中に、抗菌性材料を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の漆喰シート。
  4. 第二層の未発泡の加工していない凸部分上に塗布された抗菌性塗膜からなる第三層を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の漆喰シート。
  5. 第三層のシートに対する塗膜量が、0.1〜15g/m2で、その面積は、シート全体の90〜20%である無機抗菌剤を含むアクリル塗料の塗膜であることを特徴とする請求項4に記載の漆喰シート。
  6. 第二層または/および第三層中に、珪藻土を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の漆喰シート。
  7. 上記請求項1乃至6のいずれか1項に記載の漆喰シートを基材に貼り付けた建材。
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