JP4269452B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物の内外装材や建具・家具・什器類、住設機器や家電製品等の表面化粧材、車両・船舶・航空機等の輸送機器内装材等として使用するための化粧シートに関するものであり、特に内装用のキッチン扉、キッチンキャビネットや建具等の表面化粧材として有用な化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、上記の様な用途には、紙又は熱可塑性樹脂フィルム等の基材シートに、木目等の適宜の絵柄の印刷を施してなる化粧シートが、広く使用されている。係る化粧シートとしては、通常の印刷による絵柄のみでは、基本的に平面的な意匠であるため、立体感や材質感に欠け、人工的な感じが拭えない。
【0003】
化粧シートの表面に例えば木目導管状溝等のエンボス加工による凹凸を施して立体感や材質感を補う技術も慣用されているが、エンボス加工に使用するエンボス版は制作に手間がかかり高価でもあるので、多品種少量生産や短納期への対応が困難であり、製造される化粧シートも高価となる難点がある。
【0004】
そこで、エンボス加工等による凹凸の付与によらずに、印刷後の艶状態の異なる印刷インキ又は塗料等を使用して、化粧シートの表面の艶状態を場所により変化させることによって、視覚的な立体感や材質感を簡便且つ安価に付与する手法も用いられている。その手法には各種あるが、代表的な手法としては以下に示すような手法を挙げることができる。
【0005】
(1)基材シートに木目等の絵柄を印刷後、まず低光沢の樹脂を全面にベタ状に塗工し、その上に、木目導管溝部分等の低光沢状態に残したい箇所を除く部分に、高光沢のインキを印刷する手法。
【0006】
(2)基材シートに木目等の絵柄を印刷後、導管溝部分等の低光沢にしたい箇所に低光沢の樹脂吸収性インキを印刷し、その上に全面に高光沢の樹脂を塗工し、樹脂吸収性インキの上に塗工された樹脂を該インキに吸収させる手法。
【0007】
しかし、上記(1)の手法は、視覚的に艶変化感を出すために、低光沢の樹脂には相当の艶消度が要求され、シリカ等の無機粒子を大量に添加する必要があるが、添加した無機粒子が汚染物質を吸収・吸着し易い。しかも、艶消部分は周囲の高光沢の部分と比較して凹陥部となっていることも相俟って、艶消部分の耐汚染性に劣る。また、艶消部分は絵柄上の樹脂塗工量が少ないために、耐摩耗性等の物性にも劣るなどの問題点がある。
【0008】
また、上記(2)の手法も、艶消部分は樹脂吸収性インキであるから汚染物質も当然吸収し易く、光沢低下のために大量に添加した無機粒子の寄与も相俟って、耐汚染性に劣る。その上、樹脂吸収性インキの樹脂吸収能力には限界があるから、その上に塗工する高光沢樹脂の塗布量が多すぎると、それを樹脂吸収性インキが吸収しきれずに、樹脂吸収性インキの上に高光沢樹脂がかぶってしまい、折角の艶差が減殺されてしまうので、樹脂塗布量の制限の為に十分な表面物性の達成が困難であったり、表面物性の要求上必要な塗布量の樹脂を十分に吸収させる為には、樹脂吸収性インキの膜厚の確保の為に、艶消部分の画線サイズをあまり小さくできないので、木目導管等の繊細な艶消部分の再現が困難である等の問題点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記したような問題点を解決するためになされたものであって、表面の艶状態の変化による優れた視覚的立体感や材質感を有しておりながら、艶消部分の耐汚染性に優れ、しかも繊細な艶消部分も鮮明に再現可能な化粧シートを提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、絵柄模様が施された基材シートの表面上に、上塗トップコート層と下塗トップコート層との2層からなり、前記上塗トップコート層が、分子中に活性水素基又はイソシアネート基を有する反応型シリコーン系離型剤からなる反応型離型剤を含有する硬化型樹脂を主成分とし、該トップコート層を指触乾燥後、アクリルポリオール系樹脂とイソシアネート系硬化剤とを配合して得られる2液硬化型アクリルウレタン系樹脂に、分子中に活性水素基又はイソシアネート基を有する反応型シリコーン系離型剤、艶消剤、及び顔料を含む前記トップコート層より低光沢の艶消模様を設け、指触乾燥後、前記トップコート層と艶消模様を同時に常温で反応養生硬化させることを特徴とする化粧シートの製造方法である。
【0014】
また、本発明は、前記艶消模様は、前記顔料分と樹脂分との比率が5:7〜3:2の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シートの製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の化粧シートの実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1乃至図3は、それぞれ本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【0017】
図1に示す化粧シートは、基材シート1上に、絵柄模様2、下塗トップコート層31及び上塗トップコート層32の2層からなるトップコート層3、及び艶消模様4が、順次設けられてなるものである。そして本発明の化粧シートは、艶消模様4が離型剤を含有する点を本旨とするものである。
【0018】
基材シート1は、本発明の化粧シートの支持体となるもので、従来の化粧シートにおける基材シートと同様のものを使用することができる。具体的には例えば、薄葉紙、チタン紙、樹脂含浸紙、樹脂混抄紙、紙間強化紙、晒又は未晒クラフト紙、リンター紙、上質紙、コート紙、無機紙、難燃紙、和紙等の各種の紙類や、天然繊維、再生繊維、合成繊維又は無機繊維等からなる織布又は不織布類、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等の合成樹脂からなるフィルム乃至シート、鉄箔、銅箔、真鍮箔、ステンレス箔、アルミニウム箔等の金属箔、突板等、又はそれらから選ばれる複数種の積層体等を使用することができる。
【0019】
基材シート1の厚さには特に制限はないが、紙類であれば坪量23〜80g/m2程度、合成樹脂フィルムであれば厚さ20〜300μm程度の範囲内のものが使用されるのが一般的である。
【0020】
基材シート1には、必要に応じて揮発性有機物質吸収剤を添加することによって、近年社会的に関心が高まりつつある揮発性有機物質により室内空気の汚染の問題に対応した機能性を付与することもできる。具体的には、例えば蛋白質やアミノ化合物、アミド類、ヒドラジン誘導体等の含窒素化合物を配合することにより、合板等が放散するホルムアルデヒドを吸収除去させることができる。
【0021】
絵柄模様2も、従来の化粧シートにおけるそれと基本的に同様で、染料又は顔料等の着色剤を適宜の結着剤樹脂と共に混練してなる印刷インキ又は塗料を使用して、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、静電印刷法、転写印刷法等の適宜の印刷法により設けられるのが一般的である。
【0022】
絵柄模様2を形成する印刷インキ又は塗料の結着剤樹脂の種類も任意であるが、基材シート1が紙である場合には例えば硝化綿系、硝化綿−ウレタン系、ウレタン−ブチラール系、カゼイン系等、基材シート1が合成樹脂フィルム又はシートである場合には例えば塩化酢酸ビニル系、塩化酢酸ビニル−アクリル系、アクリル系、アミド系、ウレタン系、アクリルウレタン系、ポリエステルウレタン系、塩化酢酸ビニル−ウレタン系等が用いられ、必要に応じてインキの凝集力や密着力の向上の目的でイソシアネート系添加剤等が併用される。
【0023】
絵柄模様2の種類は所望により任意であり、例えば木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字又は記号、若しくはそれらから選ばれる複数種の組み合わせ等が一般的であるが、色彩模様が不要であれば単色無地であっても良い。
【0024】
化粧シートが使用目的により下地に対する隠蔽性が必要である場合には、色彩模様と併用して、無機顔料又は金属粉顔料等の高隠蔽性の顔料を大量に含有する隠蔽性の印刷インキ又は塗料による隠蔽層を設けることもできる。また、基材シート1への絵柄模様2等の付与に先立ち、必要に応じて基材シート1の表面に例えばコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカー又はプライマー処理等の易接着化処理を施しても良い。
【0025】
絵柄模様2は、図1に示した通り、基材シート1の表面側に設けても良いし、基材シート1が例えば透明熱可塑性樹脂フィルム又は透明紙等の様に透明又は半透明の材質である場合には、図2に例示する様に、基材シート1の裏面側に設けることもできる。また、絵柄模様2を基材シート1の表面側に設けた場合には、図3に示す様に、絵柄模様2の上に更に、透明熱可塑性樹脂フィルム又は透明紙等の、透明または半透明の材質からなる表面シート5を積層することもできる。
【0026】
こうして絵柄模様2が施された基材シートの表面上に、適宜の透明な樹脂組成物からなるトップコート層3が塗工形成される。トップコート層3は、単一の層であっても良いが、2層以上からなっていても良い。図1に示す例では、トップコート層3は、下塗トップコート層31と上塗トップコート層32との2層から構成されている。
【0027】
トップコート層3の塗布量は、少な過ぎると満足な表面物性が得られない一方、多過ぎると可撓性が低下し亀裂や剥離の原因となる他、コスト高の要因ともなるので、一般的には1〜20g/m2程度の範囲内で設計され、5〜10g/m2程度の範囲内が最も好適である。トップコート層3が2層以上から構成される場合には、全てのトップコート層3の合計塗布量が上記範囲内で設計される。
【0028】
トップコート層3を2層以上から構成すると、表面が平滑化して高光沢の点で有利となり、ピンホールが減少して耐汚染性も向上する他、最表面のトップコート層(上塗トップコート層32)には高物性の材料を使用しつつ、下層のトップコート層(下塗トップコート層31)には、例えば汎用タイプのウレタン系トップコート剤等の、より安価な材料を使用して、表面物性を低下させることなく製造原価を低減することができる等の利点がある。
【0029】
トップコート層3は、化粧シートの表面物性上、望ましくは硬化型樹脂から形成される。具体的には、例えばメラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱硬化型樹脂や、(メタ)アクリレート系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等の電離放射線硬化型樹脂等を、好適に使用することができる。
【0030】
トップコート層3の形成方法は、従来の化粧シートにおけるそれと同様、例えば上記した絵柄模様2の形成方法として列挙した各種の印刷方法や、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、リップコート法、ダイコート法、フローコート法、スプレーコート法、ディップコート法等の各種のコーティング方法から任意に選択して実施することができる。
【0031】
トップコート層3の表面上には、例えば木目における導管部等の様に、艶消状に表現したい箇所に、トップコート層3の表面よりも低光沢の印刷インキ又は塗料からなる艶消模様4が設けられる。艶消模様4には、所望の艶消状態を得るために、例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、炭化珪素、窒化珪素、ガラス、ゼオライト、シラスバルーン、珪藻土等の微粉末からなる艶消剤が添加される。また、艶消模様4は、本発明の化粧シートにおいて最も表面に突出した部分となるので、耐摩耗性等の表面物性の観点から、上記したトップコート層3の場合と同様の硬化型樹脂を主体として構成されることが望ましい。
【0032】
そして、本発明の化粧シートにおいては、艶消模様4の耐汚染性の向上を目的として、艶消模様4には離型剤が添加される。艶消模様4への離型剤の添加は、艶消模様4への粘着性物質の付着力を減じるので、該艶消模様4を含む化粧シート表面にセロハンテープ等を付着させ引き剥がした際に、艶消模様4がトップコート層3から剥離する現象の発生を防止する(耐セロハンテープ性を向上する)作用をも有する。
【0033】
艶消模様4に添加する離型剤としては、例えばポリエチレンワックス等のパラフィン類や、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル等の脂肪酸誘導体、金属石鹸、シリコーン系化合物、フッ素系化合物等から選ばれる1種以上が使用される。中でも例えばジメチルポリシロキサン又はメチルフェニルポリシロキサン等に代表されるシリコーン系化合物が、耐汚染性の点で最も優れた効果を与える。離型剤の配合比は、樹脂分に対し0.1〜10重量%の範囲とするのが良く、中でも0.5〜5重量%の範囲内が最も好適である。
【0034】
艶消模様4を含む本発明の化粧シートの表面は、使用時における汚染物の除去の為に、雑巾等により繰り返しの拭き取りに曝されるのであるが、係る繰り返しの拭き取りによっても耐汚染性を低下させない為には、艶消模様4に添加する離型剤としては、艶消模様4の主成分である硬化型樹脂と反応して化学的に結合する反応型離型剤を使用することが望ましい。
【0035】
係る反応型離型剤としては、分子中に例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基又はメルカプト基等の活性水素基や、ビニル基又は(メタ)アクリロイル基等の重合性二重結合基、イソシアネート基又はエポキシ基、加水分解性シリル基等から選ばれる1種以上の反応性基を含有する反応型シリコーン系離型剤等の反応型離型剤を挙げることができ、これらの中から、艶消模様4の主成分たる硬化型樹脂の硬化反応機構に合わせて、該硬化型樹脂と化学的に結合可能なものと選択して使用すれば良い。
【0036】
具体的には、艶消模様4の形成用の印刷インキの印刷適性や硬化反応性、硬化後の物性面等から見て、アクリルポリオール系樹脂とイソシアネート系硬化剤とを配合して得られる2液硬化型アクリルウレタン系樹脂を主成分とし、これに分子中に活性水素基又はイソシアネート基を有する反応型シリコーン系離型剤を配合した印刷インキ組成物によって艶消模様4を形成することが、最も望ましい。
【0037】
艶消模様4は、艶消剤としての顔料と共に着色剤としての顔料をも配合するのが一般的である。艶消効果の向上の為には艶消剤の配合比を増す程有利であるが、過度に艶消剤を配合すると相対的に樹脂分が減少し、物性面で弱くなると共に、離型剤の配合比も同時に低下することから、耐汚染性の面でも不利になる。従って、艶消剤及び着色剤としての顔料分と樹脂分との比率は、5:7〜3:2の範囲内で配合することが最も望ましい。
【0038】
艶消模様4には上記の他、必要に応じて例えば銀系、銅系、有機系等の抗菌剤や、アルミナ、炭化珪素等の耐摩剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、防黴剤、揮発性有機物質吸収剤、帯電防止剤等の適宜の添加剤を添加しても良い。
【0039】
本発明の化粧シートの表面の耐汚染性や耐セロハンテープ性を更に向上する為には、上記した艶消模様4に加えて、トップコート層3にも離型剤を含有させることが望ましい。トップコート層3が2層以上からなる場合には、少なくとも最表面のトップコート層3(上塗トップコート層32)に離型剤を含有させれば十分である。それによって、高価な離型剤の使用量を削減し、製造原価の低減を図ることができる。勿論、下層のトップコート層3(下塗トップコート層31)にも離型剤を配合することによって、使用時の摩耗による上塗トップコート層32の滅失後の耐汚染性の持続を図る様に構成することも任意である。
【0040】
少なくとも最表面のトップコート層3(上塗トップコート層32)に配合する離型剤の種類や配合比も、基本的には艶消模様4の場合と同様、任意であり特に制限はないが、繰り返し拭き取り耐性の観点からはやはり、反応型離型剤を使用することが最も望ましい。係る反応型離型剤としては、トップコート層3の主成分たる硬化型樹脂の硬化反応機構において共に反応して化学的に結合可能な、例えば活性水素基、重合性二重結合基又はイソシアネート基等の反応性官能基を分子中に有する反応型離型剤を、適宜の硬化型樹脂に配合して使用することも可能であるし、硬化反応前の主鎖が既に離型性を有するモノマー又はプレポリマーを反応型離型剤兼主剤とし、これを単独又は適宜の硬化剤との併用により重合又は架橋硬化させるタイプの樹脂を使用することも可能である。後者の例としては、イソシアネート硬化型シリコーン系樹脂等を好適に使用することができる。
【0041】
トップコート層3に離型剤を含有させた場合、離型剤の作用によりトップコート層3の表面は離型性を帯びるから、トップコート層3と艶消模様4との層間密着性を確保する為には、トップコート層3が十分に乾燥又は硬化する前に艶消模様4を形成し、トップコート層3と一緒に乾燥又は硬化させることが望ましい。特に、トップコート層3及び艶消模様4を、互いに共通の反応機構により硬化する樹脂を主体として構成すると、両者間に化学的な結合が形成されることにより強固な密着性が得られる利点がある。
【0042】
例えば、トップコート層3としてイソシアネート硬化型シリコーン系樹脂を使用し、艶消模様4として反応型シリコーン系離型剤及びイソシアネート硬化剤を配合したアクリルポリオール系樹脂を主体とした艶消印刷インキを使用し、前者が完全に反応硬化する前に後者を印刷形成して同時に反応硬化させると、両者の間にウレタン架橋反応による化学結合が形成されて、密着性に優れた化粧シートを得ることができる。
【0043】
同様の密着機構は、トップコート層3を2層以上から構成する場合の各層間にも適用可能である。例えば、図1や図3に例示する実施の形態において、下塗トップコート層31としてアクリルポリオールにイソシアネート硬化剤を配合したアクリルウレタン系樹脂を使用し、上塗トップコート層32としてイソシアネート硬化型シリコーン系樹脂、艶消模様4として反応型シリコーン系離型剤及びイソシアネート硬化剤を配合したアクリルポリオール系樹脂を主体とした艶消印刷インキを使用し、これら3層を前に塗工した層の完全硬化前に順次塗工又は印刷形成し、3層同時に反応硬化させることによって、3層共にウレタン架橋反応により結合一体化し、層間密着性に優れた化粧シートを得ることができる。
【0044】
なお、トップコート層3、特に最上層のトップコート層3(上塗トップコート層32)には、必要に応じて例えば銀系、銅系、有機系等の抗菌剤や、アルミナ、炭化珪素等の耐摩剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、防黴剤、揮発性有機物質吸収剤、帯電防止剤等の適宜の添加剤を添加することによって、任意の所望の機能性を付与することもできる。
【0045】
【実施例】
以下に本発明の化粧シートの実施例及び比較例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0046】
実施例1
坪量30g/m2の紙間強化紙の表面に、まず、イソシアネート硬化剤を添加した硝化綿系印刷インキを使用して、グラビア印刷法により木目柄の絵柄模様を印刷形成し、次いで、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート硬化剤の配合物からなる溶剤系2液硬化型アクリルウレタン系樹脂をグラビアコート法により乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して下塗トップコート層を形成し、更に、該下塗トップコート層の硬化前の指触乾燥状態において、イソシアネート硬化型シリコーン系樹脂をグラビアコート法により乾燥後の塗布量2g/m2に塗工して上塗トップコート層を形成し、しかる後、該上塗トップコート層の硬化前の指触乾燥状態において、下記組成の艶消インキを使用して木目導管柄の艶消模様を印刷形成し、熱乾燥により指触乾燥後、常温にて養生硬化させて、本発明の化粧シートを作製した。
【0047】
【0048】
比較例1
坪量30g/m2の紙間強化紙の表面に、まず、イソシアネート硬化剤を添加した硝化綿系印刷インキを使用して、グラビア印刷法により木目導管柄を含む木目柄の絵柄模様を印刷形成し、次いで、シリカ系艶消剤を配合した溶剤系2液硬化型アクリルウレタン系樹脂をグラビアコート法により乾燥後の塗布量3g/m2に全面に塗工して艶消樹脂層を形成し、しかる後、該艶消樹脂層の硬化前の指触乾燥状態において、艶消剤を配合していない溶剤系2液硬化型アクリルウレタン系樹脂をグラビア印刷法により木目導管部以外の部分に乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して光沢樹脂層を形成し、熱乾燥により指触乾燥後、常温にて養生硬化させて化粧シートを作製した。
【0049】
比較例2
坪量30g/m2の紙間強化紙の表面に、まず、イソシアネート硬化剤を添加した硝化綿系印刷インキを使用して、グラビア印刷法により木目柄の絵柄模様を印刷形成し、次いで、シリカ系艶消剤を配合した樹脂吸収性インキを使用してグラビア印刷法により木目導管模様を印刷し、しかる後、艶消剤を配合していない溶剤系2液硬化型アクリルウレタン系樹脂をグラビア印刷法により全面に乾燥後の塗布量5g/m2に塗工してトップコート層を形成し、木目導管模様上のトップコート層を木目導管模様のインキ層中に十分に吸収させた後、常温にて養生硬化させて化粧シートを作製した。
【0050】
性能比較
上記実施例1及び比較例1乃至2の化粧シートに、市販の黒色マジックで汚れを付け、ウェス乾拭きにて拭き取る操作を繰り返した所、汚れの拭き取り性は以下の通りであった。
【0051】
【0052】
実施例2
紫外線吸収剤及び光安定剤を配合したランダムポリプロピレン樹脂からなる厚さ90μmの透明な基材シートの両面をコロナ放電処理後、裏面に2液硬化型ウレタン系インキを使用してグラビア印刷法により木目柄の絵柄模様を印刷形成後、更に酸化チタン系顔料、酸化鉄系顔料、カーボンブラック顔料及びフタロシアニン系顔料を含有する2液硬化型ウレタン系インキを使用してグラビアコート法により隠蔽層を形成した後、基材シートの表面に、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート硬化剤の配合物からなる溶剤系2液硬化型アクリルウレタン系樹脂をグラビアコート法により乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して下塗トップコート層を形成し、更に、該下塗トップコート層の硬化前の指触乾燥状態において、イソシアネート硬化型シリコーン系樹脂をグラビアコート法により乾燥後の塗布量2g/m2に塗工して上塗トップコート層を形成し、しかる後、該上塗トップコート層の硬化前の指触乾燥状態において、上記実施例1において使用したものと同一の組成の艶消インキを使用して木目導管柄の艶消模様を印刷形成し、熱乾燥により指触乾燥後、常温にて養生硬化させて、本発明の化粧シートを作製した。この化粧シートの黒色マジック汚れの拭き取り性は、上記実施例1の化粧シートと同等であった。
【0053】
実施例3
紫外線吸収剤及び光安定剤を配合したランダムポリプロピレン樹脂からなる厚さ90μmの透明な基材シートの両面をコロナ放電処理後、裏面に2液硬化型ウレタン系インキを使用してグラビア印刷法により木目柄の絵柄模様を印刷形成後、更に酸化チタン系顔料、酸化鉄系顔料、カーボンブラック顔料及びフタロシアニン系顔料を含有する2液硬化型ウレタン系インキを使用してグラビアコート法により隠蔽層を形成した後、基材シートの表面に、イソシアネート硬化型シリコーン系樹脂をグラビアコート法により乾燥後の塗布量4g/m2に塗工してトップコート層を形成し、しかる後、該トップコート層の硬化前の指触乾燥状態において、上記実施例1において使用したものと同一組成の艶消インキを使用して木目導管柄の艶消模様を印刷形成し、熱乾燥により指触乾燥後、常温にて養生硬化させて、本発明の化粧シートを作製した。この化粧シートの黒色マジック汚れの拭き取り性は、上記実施例1の化粧シートと同等であった。
【0054】
実施例4
厚さ70μmの着色ランダムポリプロピレン樹脂からなる基材シートの両面をコロナ放電処理後、まず裏面にシリカ微粉末を配合した2液硬化型ウレタン系プライマー剤を乾燥後の塗布量1g/m2に塗工して易接着プライマー層を形成した後、表面に2液硬化型ウレタン系インキを使用してグラビア印刷法により木目柄の絵柄模様を印刷形成し、該印刷面上に、ポリエステルポリオールとイソシアネート硬化剤の配合物からなる2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤を介して、厚さ50μmの透明なアクリル系樹脂フィルムをドライラミネートし、該アクリル系樹脂フィルムの表面に、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート硬化剤の配合物からなる溶剤系2液硬化型アクリルウレタン系樹脂をグラビアコート法により乾燥後の塗布量5g/m2に塗工して下塗トップコート層を形成し、更に、該下塗トップコート層の硬化前の指触乾燥状態において、イソシアネート硬化型シリコーン系樹脂をグラビアコート法により乾燥後の塗布量2g/m2に塗工して上塗トップコート層を形成し、しかる後、該上塗トップコート層の硬化前の指触乾燥状態において、上記実施例1において使用したものと同一の組成の艶消インキを使用して木目導管柄の艶消模様を印刷形成し、熱乾燥により指触乾燥後、常温にて養生硬化させて、本発明の化粧シートを作製した。この化粧シートの黒色マジック汚れの拭き取り性は、上記実施例1の化粧シートと同等であった。
【0055】
【発明の効果】
本発明の化粧シートは、絵柄模様が施された基材シートの表面上に、トップコート層と、該トップコート層より低光沢の艶消模様とを順次具備してなる化粧シートであって、前記艶消模様が離型剤を含有することにより、表面の艶状態の変化による優れた視覚的立体感や材質感を有する化粧シートでありながら、艶消模様は化粧シートの表面上で凹陥部ではなく突出部となっており、しかも該艶消模様の表面が離型性を有していることから、艶消模様の表面に汚染物が付着しにくく、また仮に付着しても容易に拭き取り可能であるので、極めて耐汚染性に優れている。また、セロハンテープ等の粘着物を貼付した後剥離する際にも、艶消模様の粘着物に対する付着性に乏しいことから、艶消模様の表面から粘着物が容易に剥離し、艶消模様が粘着物の粘着力によって化粧シートの表面から剥離することがないので、耐セロハンテープ性にも極めて優れている。
【0056】
特に、前記艶消模様が硬化型樹脂を主成分とし、前記離型剤が該硬化型樹脂と反応して化学的に結合する反応型離型剤であることにより、艶消模様に含有される離型剤は、表面に付着した汚染物の繰り返しの拭き取りによっても失われることなく、優れた耐汚染性や耐セロハンテープ性を長期に亘り安定して維持することができる。
【0057】
また特に、前記艶消模様の主成分である硬化型樹脂が、アクリルポリオール系樹脂とイソシアネート系硬化剤とを配合して得られる2液硬化型アクリルウレタン系樹脂であり、前記反応型離型剤は分子中に活性水素基又はイソシアネート基を有する反応型シリコーン系離型剤であることにより、適度の反応速度を有する常温硬化型乃至熱硬化型の樹脂であることから印刷インキとしての使い勝手が良く、イソシアネート系硬化剤の作用により顔料や艶消剤に対する結着力にも優れ、しかも化粧シートの表面に要求される耐摩耗性や耐溶剤性等の表面物性の面でも十分に優れた艶消模様を有する化粧シートとなる。
【0058】
また特に、前記艶消模様が艶消剤を含む顔料を含有してなり、顔料分と樹脂分との比率が5:7〜3:2の範囲内であることにより、トップコート層との対比において十分な艶消効果を有し、着色力も十分でありながら、耐汚染性にも優れ、耐摩耗性や耐溶剤性等の表面物性の面でも十分に優れた艶消模様を有する化粧シートとなる。
【0059】
また特に、前記トップコート層が1層又は2層以上からなり、少なくとも最上層のトップコート層が離型剤を含有することにより、耐汚染性や耐セロハンテープ性に更に優れた化粧シートとなる。特に、トップコート層を2層以上の多層とすることにより、トップコート層に要求される諸特性を各層に分担させ、高価な離型剤の使用量を節約するなどして、総合的に優れた性能を有する化粧シートをより安価に得ることが可能となる。
【0060】
また特に、前記少なくとも最上層のトップコート層が、反応型離型剤を含有する硬化型樹脂を主成分とすることにより、表面に付着した汚染物の繰り返しの拭き取りによっても、トップコート層中の離型剤が失われることなく、優れた耐汚染性や耐セロハンテープ性を、長期に亘る使用期間中、安定的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【図2】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【図3】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
1…基材シート
2…絵柄模様
3…トップコート層
31…下塗トップコート層
32…上塗トップコート層
4…艶消模様
5…表面シート
Claims (2)
- 絵柄模様が施された基材シートの表面上に、上塗トップコート層と下塗トップコート層との2層からなり、前記上塗トップコート層が、分子中に活性水素基又はイソシアネート基を有する反応型シリコーン系離型剤からなる反応型離型剤を含有する硬化型樹脂を主成分とし、該トップコート層を指触乾燥後、アクリルポリオール系樹脂とイソシアネート系硬化剤とを配合して得られる2液硬化型アクリルウレタン系樹脂に、分子中に活性水素基又はイソシアネート基を有する反応型シリコーン系離型剤、艶消剤、及び顔料を含む前記トップコート層より低光沢の艶消模様を設け、指触乾燥後、前記トップコート層と艶消模様を同時に常温で反応養生硬化させることを特徴とする化粧シートの製造方法。
- 前記艶消模様は、前記顔料分と樹脂分との比率が5:7〜3:2の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シートの製造方法。
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