JP2012030531A - 機能性化粧シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材上に、珪藻土及び電子線硬化樹脂を含有する硬化物層を積層してなる機能性化粧シート。
【選択図】図1
Description
特許文献1や特許文献2の発明では、それぞれポリオレフィン系樹脂やフッ素樹脂を用いることで、珪藻土を含む化粧材を作製しているが、珪藻土の調湿性を利用しつつ、より高いレベルの珪藻土保持性を有する化粧材の開発が求められている。
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、高い調湿性を有し、かつ、珪藻土保持性に優れた機能性化粧シートを提供することを目的とするものである。
(1)基材上に、珪藻土及び電子線硬化樹脂を含有する硬化物層を積層してなる機能性化粧シート、
(2)前記電子線硬化樹脂は、2官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含む1種以上の重合性化合物が電子線の照射により架橋して形成されたものである、上記(1)に記載の機能性化粧シート、
(3)前記2官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの重量平均分子量Mwが5,000以上である、上記(2)に記載の機能性化粧シート、
(4)前記珪藻土と前記電子線硬化樹脂の含有比(質量)が、珪藻土/電子線硬化樹脂で、0.5/1〜4/1である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の機能性化粧シート、
(5)前記珪藻土の含有量が、機能性化粧シートの単位面積当たり、30g/m2〜400g/m2である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の機能性化粧シート、
(6)前記硬化物層の厚さが10μm〜500μmである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の機能性化粧シート、
(7)前記基材が透湿性シートである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の機能性化粧シート、及び
(8)前記珪藻土が珪藻頁岩である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の機能性化粧シート
を提供するものである。
なお、電子線硬化性組成物の基板2への塗工方法については特に制限が無く、グラビアコート、グラビアリバースコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方法が使用できる。
基材2は、硬化物層3を支持するシート状の支持体である。その坪量としては、10g/m2〜300g/m2が好ましく、30g/m2〜200g/m2がより好ましく、40g/m2〜180g/m2がさらに好ましい。
機能性化粧シート1を壁紙等の内装化粧材として壁やボードに貼布する場合、壁やボードが有する調湿性を利用するためには、基材2は透湿性シートであることが好ましい。具体的には、基材2は500g/m2・24h以上の透湿度を有することが好ましい。基材2が高い透湿性を有することで、機能性化粧シート1が有する調湿性と壁やボードが有する調湿性の両方の利用が可能となる。
基材2の具体例としては、紙、織布、及び不織布等が挙げられ、より具体的には、上質紙、薄葉紙、クラフト紙、壁紙用裏打ち紙、並びに和紙等の紙、及び、ガラス繊維、石綿、ポリエステル繊維、並びにビニロン繊維等の繊維から成る織布又は不織布が挙げられる。紙の場合、水酸化アルミニウム粉末等の難燃剤を添加することもできる。
硬化物層3は、珪藻土3aと電子線硬化樹脂3bを含有するものであり、電子線硬化性組成物に電子線を照射することで硬化して得られる。電子線硬化樹脂3bは高い架橋密度を有するため、硬化物層3中における珪藻土3aの保持性が高くなる。
同様に、調湿性と珪藻土保持性のバランスの観点から、珪藻土3aの含有量は、機能性化粧シート1の単位面積当たり、30g/m2〜400g/m2が好ましく、50g/m2〜400g/m2がより好ましく、100g/m2〜400g/m2がさらに好ましい。
また、硬化物層3の厚さとしては、10μm〜500μmが好ましく、50〜450μmがより好ましく、80〜400μmさらに好ましい。
珪藻土3aは、含水コロイド珪酸であり蛋白石の1種で、珪藻類の遺骸が海底に堆積したできたものである。また珪藻の他に放散虫、海綿のとげ、石灰粒などを含む。一般に比重はおよそ2.0で粘土に似て硬度は高い。珪藻土は、内部に細孔を有し、雰囲気の湿度に応じ該細孔内に湿気(水分)を保持したり、細孔内部から湿気を放出して、吸放湿剤として働き、雰囲気の湿度変化を収束させることができる。尚、本発明でいう湿度とは、相対湿度を言う。珪藻土は、水に溶解したり、水で膨潤したりせず、更に空気中で長時間曝露されても、変質したりカビを生じたりせず、吸湿と放湿の周期を良好に繰り返すことができる。
電子線硬化樹脂3bは、重合性モノマー及び重合性オリゴマー(プレポリマーとも呼ばれる)からなる群から選ばれる一種以上の重合性化合物が電子線の照射により架橋することで形成される。
本発明の重合性モノマー及び重合性オリゴマーとしては、従来電離放射線硬化性樹脂組成物中に慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。
電子線硬化性組成物は、電子線の照射により硬化し、硬化物層3を形成するものである。電子線硬化性組成物は、上記重合性化合物と、上記珪素土3aとを含む。
珪藻土3aの含有量は、重合性化合物の含有量100質量部に対し、好ましくは50〜400質量部、より好ましくは80〜400質量部、さらに好ましくは100〜400部の範囲である。調湿性の観点からは、珪藻土3aの含有量は多いほど好ましいが、多すぎると電子線硬化性組成物の流動性が低下して、塗工適性が低下するという恐れがある。
電子線は(紫外線と比較して)高エネルギーを有するため、組成物中に珪藻土3aが上記のように多量に含まれている場合でも、電子線照射により、珪藻土3aに阻害されることなく組成物は十分に硬化され、珪藻土3aの保持性が高くなる。
機能性化粧シート1には、吸放湿性を阻害しない範囲内で、硬化物層3の表面に、装飾層を設けても良い。装飾層としては、例えば公知のインキと印刷法によって設けた絵柄印刷層、及びアルミニウム、クロム等の金属薄膜層等が挙げられる。この場合、全面ではなく、部分的に設けることが好ましい。絵柄としては、木目柄、石目柄、布目柄、皮絞、タイル貼、煉瓦積、文字、幾何学図形等任意である。インキのバインダーとしては、2液硬化型ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン等が用いられる。インキの着色剤としては、弁柄、黄鉛、群青、カーボンブラック、チタン白、アルミニウム箔粉、二酸化チタン被覆雲母、箔粉等の無機顔料、ポリアゾレッド、キナクリドンレッド、ベンジジンイエロー、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料等が用いられる。又、機能性化粧シート1の表面に、凹凸模様をエンボスしたり、更にエンボスの凹部に、着色インキをワイピング法により、充填し着色することもできる。
評価方法
(1)珪藻土保持性(表面粉落ち)
各化粧シートに指を擦りあて、珪藻土がこぼれ落ちない状態を○、こぼれ落ちる状態を×とした。
(2)調湿性(吸放湿性能)
各化粧シートを10cm×10cm各にカットし、測定サンプルを作製した。各測定サンプルを60℃のオーブンに24時間以上放置した後、25℃90%の吸湿過程(24時間)と、25℃50%の放湿過程(24時間)を繰り返した(図2参照)。48時間後〜72時間後の吸湿過程の重量変化を吸湿量とし、72時間後〜96時間後の放湿過程の重量変化を放湿量とした。値は全てm2換算で示した。
吸湿量及び放湿量の各々において、有用性の高い6.5g/m2以上を○とし、6.5g/m2未満は×とした。
2官能のウレタンアクリレート(重量平均分子量:20,000)100質量部に対して、平均粒径75μmの珪藻土(鈴木産業(株)製「稚内層珪藻頁岩」)200質量部を添加して、電子線硬化性組成物を得た。フリース壁紙(アールストロームジャパン社製「フラット8502」、坪量:147g/m2)の表面に、上記電子線硬化性組成物296.7g/m2(珪藻土含有量197.8g/m2)を塗工して、加速電圧200kV、照射線量100kGy(10Mrad)の電子線を照射した。このようにして、フリース壁紙の上に厚さ300μmの硬化物層を有する化粧シートを得た。
電子線硬化性組成物の塗工量を164.4g/m2(珪藻土含有量109.6g/m2)に変更した以外は実施例1と同様の方法を用いて、フリース壁紙の上に厚さ200μmの硬化物層を有する化粧シートを得た。
珪藻土の量を200質量部から300質量部に変更した以外は実施例1と同様の方法を用いて、フリース壁紙の上に厚さ300μmの硬化物層を有する化粧シートを得た。
珪藻土の種類を平均粒径50μmの秋田珪藻土に変更した以外は実施例1と同様の方法を用いて、フリース壁紙の上に厚さ300μmの硬化物層を有する化粧シートを得た。
フリース壁紙(アールストロームジャパン社製「フラット8502」、坪量:147g/m2)に硬化物層を設けることなく、そのまま化粧シートとして用いた。
アクリル系ポリオール樹脂系インキ(昭和インク製「KEK−0715−1」、重量平均分子量:10,000)93.5質量部と平均粒径75μmの珪藻土(鈴木産業(株)製「稚内層珪藻頁岩」)200質量部の混合物を、フリース壁紙(アールストロームジャパン社製「フラット8502」、坪量:147g/m2)の表面に塗工した後、硬化剤(昭和インク製「FW(NT)」、ヘキサメチレンジイソシアネート)を6.5質量部添加し、70℃24h養生することで硬化させた。このようにして、フリース壁紙の上に厚さ200μmの硬化物層を有する化粧シートを得た。
珪藻土の量を200質量部から50質量部に変更した以外は比較例2と同様の方法を用いて、フリース壁紙の上に厚さ200μmの硬化物層を有する化粧シートを得た。
2 基材
3 硬化物層
3a 珪藻土
3b 電子線硬化樹脂
Claims (8)
- 基材上に、珪藻土及び電子線硬化樹脂を含有する硬化物層を積層してなる機能性化粧シート。
- 前記電子線硬化樹脂は、2官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを含む1種以上の重合性化合物が電子線の照射により架橋して形成されたものである、請求項1に記載の機能性化粧シート。
- 前記2官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの重量平均分子量Mwが5,000以上である、請求項2に記載の機能性化粧シート。
- 前記珪藻土と前記電子線硬化樹脂の含有比(質量)が、珪藻土/電子線硬化樹脂で、0.5/1〜4/1である、請求項1〜3のいずれかに記載の機能性化粧シート。
- 前記珪藻土の含有量が、機能性化粧シートの単位面積当たり、30g/m2〜400g/m2である、請求項1〜4のいずれかに記載の機能性化粧シート。
- 前記硬化物層の厚さが10μm〜500μmである、請求項1〜5のいずれかに記載の機能性化粧シート。
- 前記基材が透湿性シートである、請求項1〜6のいずれかに記載の機能性化粧シート。
- 前記珪藻土が珪藻頁岩である、請求項1〜7のいずれかに記載の機能性化粧シート。
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