JP6713241B1 - 壁紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】平均重合度が高いポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする発泡樹脂層を備え、表面にエンボス加工を施す壁紙であっても、パンクや内部の気体溜まりを有することが抑えられた壁紙を提供する。
【解決手段】本発明の壁紙(1)は、基材となる原紙(10)上に積層された発泡樹脂層(2)と表面機能層(21)を含み、前記発泡樹脂層と前記表面機能層は、一体的にエンボス加工されている。前記発泡樹脂層は、平均重合度が1000を超えるポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする。前記表面機能層は、前記発泡樹脂層が露出するか又は他の部分に比して厚みの薄い部分をその面内に分散している。
【選択図】図1

Description

本発明は、平均重合度の高いポリ塩化ビニル樹脂を主成分にして形成された発泡樹脂層を備える壁紙に関し、特に、エンボス加工される壁紙表面のパンクや気体溜まりを抑える技術に関する。
壁紙は、クロスとも称される内装仕上げ材であり、主に下地保護や装飾を目的として壁や天井などの被仕上げ面に貼られる。壁紙は、一般的に、基材となる原紙上に発泡樹脂層と表面機能層を積層した構成である。壁紙の多くは、発泡樹脂層の原料に、ポリ塩化ビニル樹脂が用いられる。表面機能層は、壁紙表面に、つや消し,撥水性,消臭性などを付与する層である。表面機能層は、発泡樹脂層の表面を被覆するように形成される。
壁紙は、一般的に、基材となる原紙上に、発泡剤を添加したポリ塩化ビニル樹脂を塗布して成膜し、壁紙表面に付与する機能に応じた材料をその上に塗布して成膜する。そして加熱によりポリ塩化ビニル樹脂の層を発泡させ、発泡樹脂層を形成する。さらに加熱を伴うエンボス加工で発泡樹脂層と表面機能層を一体的に変形させて、壁紙表面に凹凸模様を形成する(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、平均重合度が900〜1200のポリ塩化ビニル樹脂を発泡樹脂層の原料に採用することが検討されている。高機能性の壁紙を実現するためには、平均重合度が高いポリ塩化ビニル樹脂で発泡樹脂層が形成されていることが望ましい。
特許第6120207号公報
ところで表面にエンボス加工を施す壁紙にあっては、ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度の値に関わらず、製造過程でパンクが発生したり、内部に気体溜まりが発生したりすることがある。パンクや想定外の気体溜まりが発生した壁紙は、原則、検査で発見され不適格品として廃棄等される。しかし、内部にパンクや気体溜まりが発生したものは、目視による外観検査のみでは見逃される懸念がある。
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、平均重合度が高いポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする発泡樹脂層を備え、表面にエンボス加工を施す壁紙であっても、パンクや気体溜まりを有することが抑えられた壁紙を提供することにある。
本発明の壁紙は、基材となる原紙上に積層された発泡樹脂層と表面機能層を含み、前記発泡樹脂層と前記表面機能層は、一体的にエンボス加工されている。前記発泡樹脂層は、平均重合度が1000以上1500以下のポリ塩化ビニル樹脂を主成分として30質量%以上含有している。前記表面機能層は、前記発泡樹脂層の表面を被覆する塗膜タイプの水性成膜層(発泡構造でない)であり、前記発泡樹脂層が露出する微細な気体抜き部分をその面内に分散している。
本発明の壁紙の製造方法は、平均重合度が1000以上1500以下のポリ塩化ビニル樹脂(発泡樹脂層形成後の含有量が30質量%以上)と発泡剤を含有する層を、基材となる原紙上に成膜する工程と、前記成膜したポリ塩化ビニル樹脂と発泡剤を含有する層の表面に、表面機能層の原料をバイアスメッシュロールで塗布して、前記ポリ塩化ビニル樹脂と発泡剤を含有する層が露出する微細な気体抜き部分をその面内に分散している、前記発泡樹脂層の表面を被覆する塗膜タイプ(発泡構造でない)の水性成膜層である表面機能層を成膜する工程と、前記発泡剤を発泡させて発泡樹脂層を形成する工程と、前記発泡樹脂層と前記表面機能層を一体的にエンボス加工する工程と、を含む。
本発明の壁紙は、平均重合度が1000以上のポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする発泡樹脂層を備えている。表面にエンボス加工を施す壁紙にあっては、平均重合度の値に関わらず、パンクや気体溜まりを有し易いが、本発明の壁紙は、表面機能層が、発泡樹脂層が露出するか又は他の部分に比して厚みの薄い部分をその面内に分散する構成であり、これによりパンクや想定外の気体溜まりを有することを抑えることができる。
本発明の実施形態に従う壁紙の縦断面図である。 上記壁紙の表面機能層の平面図である。 本発明の実施形態に従う壁紙の製造工程を示すフロー図である。 上記製造工程の中の表面処理工程を説明する図である。 上記製造工程の中のエンボス工程を説明する図である。 本実施形態の効果を確認するために行った実施例と比較例の結果を示す。 実施例1と比較例5で製作した試験用の壁紙1を撮影した写真である。 実施例2と比較例6で製作した試験用の壁紙1を撮影した写真である。 実施例3と比較例7で製作した試験用の壁紙1を撮影した写真である。 比較例1と比較例3で製作した試験用の壁紙1を撮影した写真である。 比較例2と比較例4で製作した試験用の壁紙1を撮影した写真である。 実施例4と実施例5で耐クラック性試験を行った壁紙1を撮影した写真である。
以下、本発明の好ましい実施形態に従う壁紙について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。但し、以下に説明する実施形態によって本発明の技術的範囲は何ら限定解釈されることはない。
本発明の好ましい実施形態に従う壁紙1は、図1に示すように、基材となる原紙10の表面に、発泡樹脂層2と表面機能層21を順に積層した構成である。発泡樹脂層2と表面機能層21は、原紙10に積層した状態で一体的にエンボス加工され、凹部22と凸部23による凹凸模様を表面に形成している。凹凸模様は、布目調(織目調)、石目調、幾何学調、その他の任意の模様である。なお、図示は省略するが、壁紙表面にさらに印刷が施されていてもよい。
基材となる原紙10は、シート材であり、その裏面側が壁や天井などの被仕上げ面に貼り付けられる。原紙10の素材は、好ましい一例として、紙、織物、編物、不織布などである。原紙10は、単一の素材で形成されていてもよく、複数の素材によって形成されていてもよい。原紙10の厚みは、例えば0.09〜0.15mmである。なお、原紙10の裏面側は、原紙10が露出したままであってもよく、或いは被仕上げ面に貼り付けるための接着剤層を形成し、さらに接着剤層を保護する剥離シートが設けられていてもよい。
発泡樹脂層2は、主成分であるポリ塩化ビニル樹脂を発泡させて成る層である。発泡樹脂層2は、ポリ塩化ビニル樹脂、発泡剤、さらに任意の添加剤を含有するゾル状の液体原料を、原紙10の表面に塗布し、加熱によりゲル化させて成膜し、その後に発泡させて成る。発泡樹脂層2は、任意の添加剤として、可塑剤、安定剤、充填剤、防カビ剤、着色剤などの少なくとも1種以上を含有していてもよい。さらに添加された発泡剤の残渣成分を含有している場合もある。ゆえに「ポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする」とは、発泡樹脂層2を構成するポリ塩化ビニル樹脂の含有量が30質量%以上、好ましくは50質量%以上であることを意味する。発泡樹脂層2の厚みは、例えば0.3mm以上、好ましくは0.5〜1.0mmである。
ポリ塩化ビニル樹脂は、平均重合度が1000以上のものを用いる。好ましくは平均重合度が1200以上、さらに好ましくは1250以上、さらに好ましくは1280以上である。表面にエンボス加工を施す壁紙1にあっては、詳しくは後述する実施例の結果から分かるように、平均重合度の値に関わらずパンクを有してしまう。また内部に想定外の気体溜まりを有してしまうこともある。これに対し、本実施形態では、表面機能層21を後述する構成としたことにより、平均重合度が1000以上でパンクや気体溜まりが抑えられた壁紙1を提供することができる。但し、平均重合度が高すぎると製造自体が困難となるので、その上限を1500とするのが好ましい。
発泡剤は、例えば加熱することによって発泡する発泡剤を用いる。発泡剤の好ましい一例は、アゾジカルボンアミドなどのアゾ系の発泡剤、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドなどのヒドラジド系の発泡剤である。発泡剤の含有量は、例えばポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対し1〜5質量部である。一般的に、平均重合度を高くすると発泡倍率を抑える配合(一例として、3〜4倍)とされるが、平均重合度が1000以上のポリ塩化ビニル樹脂で更なる意匠性を高めるためには、発泡倍率がより高いことが好ましい。そのような発泡倍率は、例えば6〜8倍である。
充填剤は、例えば炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カーボンブラックなどである。充填剤の含有量は、例えばポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して10〜150質量部である。可塑剤は、例えばDOP、DINPなどである。可塑剤の含有量は、例えばポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して40〜80質量部である。安定剤は、例えば亜鉛系化合物などである。安定剤の含有量は、例えばポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して2〜5質量部である。防カビ剤は、例えば工業用防腐防黴剤などである。防カビ剤の含有量は、例えばポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1〜3.0質量部である。着色剤は、例えばチタン、有機質系顔料などである。着色剤の含有量は、例えばポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して10〜20質量部である。
表面機能層21は、壁紙表面に付与する機能に応じた成分を含有する層である。表面機能層21は、機能を発揮する成分を含有する液体原料を、例えばポリ塩化ビニル樹脂層(発泡前)の表面に塗布して成膜している。表面機能層21によって付与する機能は、例えば表面のつや消し、撥水性、消臭性などであり、付与する機能に応じた成分を含有して成る。付与する機能は、単一であってもよく複数であってもよい。つや消し剤は、例えばシリカを含有するアクリル樹脂系のつや消し剤などである。撥水剤は、例えばフッ素を含有するアクリル樹脂系の撥水剤,シリコン系エマルジョンの撥水剤などである。
表面機能層21の厚みは、例えば0.5〜3.5μm、好ましくは2μmである。但し、表面機能層21は、その面内に、発泡樹脂層2が露出するか又は他の部分に比して厚みの薄い部分を多数分散している。図1には、その面内に、発泡樹脂層2が露出する部分が分散している発泡樹脂層2を示している。図2(a)に模式的に示すように、発泡樹脂層2が露出する部分21aは、版のセル形状により平面視でひし形を呈しているか、或いは図2(b)に模式的に示すように、平面視で円形を呈しているのが好ましい。なお、ひし形の対角線の長さまたは円形の直径は、例えば0.5mmである。
勿論、発泡樹脂層2が露出する部分21aの大きさは適宜変更可能であり、さらに別の形状であってもよい。すなわち、発泡樹脂層2が露出する部分21aは、例えば平面視で矩形,円形,楕円,三角形,幾何学形状のいずれか1種以上を呈しており、且つ、これらが表面機能層2の面内に規則配列又はランダムに不規則配列されていればよい。なお、表面機能層21の他の部分に比して厚みの薄い部分とは、発泡樹脂層2が露出する部分21aの底面に薄く表面機能層21が形成されている状態を言う。
このような表面機能層21は、例えば液体原料をバイアスメッシュロールで発泡樹脂層2(発泡前)の表面に塗布することによって形成する。発泡樹脂層2が露出する部分21aの割合は、表面機能層21単位表面積あたり30%〜50%の割合であることが好ましい。この範囲を超えると、表面機能層21の機能が十分に発揮されず、反対にこの範囲を下回るとパンクや気体溜まりを十分に抑えることができない。
また、必須ではないが表面に印刷を施す場合、グラビア印刷、フレキソ印刷などの方法で印刷する。印刷は、表面機能層21の表面、或いは表面機能層21を成膜する前に発泡樹脂層2の表面に施される。印刷に用いるインクは、例えば着色剤、接着剤樹脂、溶媒を含む。勿論、印刷する図柄や模様は任意であり図柄等が限定されることはない。
続いて、本実施形態に従う壁紙1の製造方法について、図3を参照しながら好ましい一例を説明する。図3に示すように、壁紙1の製造方法は、原料の配合工程Act10、ポリ塩化ビニル樹脂の層を成膜するコーター工程Act11、表面機能層21を成膜する表面処理工程Act12、ポリ塩化ビニル樹脂の層を発泡させる発泡工程Act13、凹凸模様を形成するエンボス工程Act14、及び検査工程Act15を含む。
配合工程Act10は、平均重合度が1000を超えるポリ塩化ビニル樹脂、発泡剤、及び可塑剤、安定剤、充填剤、防カビ剤、着色剤などの任意の添加剤を所定の配合で混合し、ブレンダーやディゾルバーなどで撹拌して液体原料を生成する。生成された液体原料は、ペースト状のゾルである。
コーター工程Act11は、生成したゾル状の液体原料を原紙10の表面に薄く均一に塗布すると共に加熱してゲル化させる。これにより、ポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂層3が成膜される。液体原料の塗布は、例えばロールコーターによって行う。加熱温度は、発泡剤が発泡しない温度であって、且つ、ゲル化を促進可能な温度である。連続処理する場合、ロール状に巻かれた原紙10が予め準備され、その先端が引き出されてロールコーターに送られる。ロールコーターは、回転するロールで原紙10を搬送しながら、液体原料を原紙10の表面に塗布していく。さらに搬送される原紙10は、加熱装置で加熱され、ポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂層3が成膜される。ポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂層3が成膜された原紙10は、壁紙1の原反となる。原反は、再びロール状に巻かれて次の工程に送られる。
表面処理工程Act12は、ポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂層3の表面に、つや消し剤や撥水剤などの液体原料を塗布して成膜する。液体原料の塗布は、図4に模式的に示すように、バイアスメッシュロールコーターによって行う。バイアスメッシュロールコーターは、バイアスメッシュロール4、バックアップロール41、液体原料供給機42及びドクターブレード43などを備える。バイアスメッシュロール4は、その表面に、既述の発泡樹脂層2が露出する部分21aに対応する多数の凸部が形成されたものを用いる。そして、つや消し剤や撥水剤などの液体原料Rをバイアスメッシュロール4の表面に供給した後、ロール表面の凸部の上面にある液体原料をドクターブレード43で掻き取る。従って、バイアスメッシュロール4の表面には、発泡樹脂層2が露出する部分21aに対応する部分を除いた領域に液体原料の液膜が残る。これをポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂層3の表面に転写することによって、図2に示した様な発泡樹脂層2が露出する部分21aを面内に分散させた表面機能層21が形成される。
発泡工程Act13は、発泡剤が加熱発泡する温度で加熱することにより、ポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂層3を発泡樹脂層2に変える。加熱温度は、例えば215〜220℃である。発泡工程Act13において、発泡剤が発泡することで発生する余剰の気体や余剰の蒸気は層内から排出される。
エンボス工程Act14は、図5に模式的に示すように、発泡樹脂層2と表面機能層21が形成された原紙10の表面を、ポリ塩化ビニル樹脂が軟化する温度に加熱すると共に、上下一対のエンボスロール5とバックアップロール51で挟持搬送して、その表面に凹凸模様(凹部22,凸部23)を形成していく。すなわち、発泡樹脂層2と表面機能層21を一体的にエンボス加工する。エンボスロール5の表面には、形成する凹凸模様に対応する凹凸が形成されている。加熱によるシート表面温度は、例えば160〜210℃、好ましくは185〜195℃である。また、エンボスロール5の押圧は、例えば1〜4kNである。
ここで、ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度が高くなるほど、発泡樹脂層2には粘りがでてくる傾向にある。本発明者らは、この粘りは、例えば地震等で家屋等が揺れたときに壁紙1の表面が割れたり裂けたりするのを抑える緩衝作用があることを確認している。
本実施形態では、後述する実施例の結果からも分かるように、表面機能層21が、発泡樹脂層2が露出するか又は他の部分に比して厚みの薄い部分をその面内に多数分散していることにより、外圧がかかったときの発泡樹脂層2内からの気体の抜けを良くし、パンクや気体溜まりが発生するのを抑えている。なお、エンボス加工には、エンボスロール5とバックアップロール51との間にクリアランスを設けない押し切りと、クリアランスを設けるタイプとがある。平均重合度が高い場合、クリアランスを設けるとエンボス加工が安定し難い。一方、クリアランスを設けない押し切りは、エンボス加工が安定する反面、内部から外部に抜けようとする気体量が多くなる。しかしこの場合も、表面機能層21を上記構成としているので、パンクや気体溜まりが発生するのを抑えることができる。
検査工程Act15は、製造された壁紙1が問題なく製品条件を満たしているか否かの検査を行う。検査項目に中に、パンクや想定外の気体溜まりが発生していないことを確認することが設定されている。検査は、検査員による目視検査、及び、異物検知機などの機械検査などが行われる。表面のパンクは、外観検査によって発見することができるが、内部のパンクや気体溜まりは、裏側から光を照射してようやく発見されるものであり、熟練した検査員でなければ見落とす可能性も高い。従って、発泡樹脂層2にパンクや気体溜まりが発生することを抑えたことで、結果として内部のパンクや気体溜まりを見落としてしまうリスクを軽減できる効果がある。
以上のとおり、上述の実施形態に従う壁紙1によれば、平均重合度が高いポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする発泡樹脂層2を備え、表面にエンボス加工を施す壁紙にあっても、パンクや想定外の気体溜まりを有することが抑えられた壁紙1を提供することができる。特に、夏季の湿度が高いとき、表面機能に撥水性を付与するときに、パンクや気体溜まりが発生し易い傾向にある。勿論、このような条件でも、表面機能層21を上記構成としているので、パンクや気体溜まりが発生するのを抑えることができる。
続いて、本実施形態の効果を確認するために行った実施例について説明する。
実施例1〜3は、図2の製造フローに従って試験用の壁紙1(縦260mm×横160mm)を製作し、パンクの有無を確認した実施例である。すなわち、ポリ塩化ビニル,発泡剤及び添加剤を含有するゾルを原紙10上に薄膜状にゲル化させることで原反を製作し、さらに表面機能層21としてつや消し処理を施した。つや消し処理は、図2(a)に対応する形状のバイアスメッシュロールを用いて、つや消し剤を原反表面に塗布することによって行った。次にオーブンで240℃×40秒加熱後、素早く取り出し、断熱材平面上でエンボスローラーを用いて圧延した。こうして製作した試験用の壁紙1の圧延部に発生したパンクの数を計測し、耐パンク性を評価した。耐パンク性の評価は、「〇 パンク数0〜2」、「〇△ パンク数3〜4」、「△ パンク数5〜7」、「△× パンク数8〜9」、「× パンク数10以上」とした。その結果を図6に示す。
(実施例1〜3)
図6に示すように、実施例1〜3のポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)の平均重合度は、それぞれ994,1200,1280である。図6には、発泡樹脂層2を形成する液体原料の配合構成として、発泡剤及び添加剤の成分と組成を示している。組成は、PVC樹脂100質量部に対する各成分の質量部で示している。また、つや消し剤は、シリカ含有のアクリル系樹脂の艶消し剤(HD−057)を用いた。壁紙1製作後、表面機能層21がその面内に発泡樹脂層2が露出する部分を分散していることを検査で確認した。
(比較例1〜2)
比較例1〜2は、PVC樹脂の平均重合度が異なることを除けば実施例1〜3と同様にして試験用の壁紙1を製作し、耐パンク性の評価を行った比較例である。比較例1のPVC樹脂の平均重合度は739、比較例2のPVC樹脂の平均重合度は930である。その結果を図6に併せて示す。
(比較例3〜7)
さらに比較例3〜7として、バイアスメッシュロールに代えて、表面が平坦な一般的なロール(いわゆるベタ版)を用いてつや消し処理を施した試験用の壁紙1を製作し、耐パンク性の評価を行った。比較例3〜7は、ロールが異なることを除けば、実施例1〜3及び比較例1〜2と同じ製作条件である。
図7〜図11は、パンクの数を計測するために試験用の壁紙1に裏面側から光をあてたところを撮影した写真である。
図6〜図11の結果から分かるように、エンボス加工が施される壁紙1にあっては、PVC樹脂の平均重合後が1000以上であって、且つ、表面機能層21がその面内に発泡樹脂層2が露出する部分を分散している構成とすれば、パンクの数が抑えられた壁紙1を提供することが可能となる。
(実施例4〜5)
実施例4〜5は、実施例3と同じ樹脂を使用した試験用の壁紙1を製作し、耐クラック性試験を行った実施例である。実施例4と実施例5は、異なるエンボスローラーを用いて表面形状が異なるエンボス加工を施した。耐クラック性試験は、縦方向及び横方向における引っ張り試験を行い、クラックが発生するか否かによって評価した。引っ張り量は、1.5mm、2.0mm、及び2.5mmとした。その結果を図12に示す。なお、本試験における縦方向とは、例えば図5に記載している原紙10の進行方向であり、横方向は、前記進行方向と水平面上にて直交する方向である。
図12の結果から分かるように、実施例4〜5の壁紙1は、いずれの引っ張り量、いずれの方向であってもクラックは発生しなかった。なお、図12には、実施例以外の壁紙1において、引っ張り量2.0mmと2.5mmとでクラックが発生したときの写真を参考として載せている。
以上、本発明を具体的な実施形態に則して詳細に説明したが、形式や細部についての種々の置換、変形、変更等が、特許請求の範囲の記載により規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われることが可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。
1 壁紙
10 原紙
2 発泡樹脂層
21 表面機能層
21a 発泡樹脂層2が露出する部分
22 凹部
23 凸部
3 ポリ塩化ビニル樹脂を主成分とする樹脂層
4 バイアスメッシュロール
5 エンボスロール

Claims (5)

  1. 基材となる原紙上に積層された発泡樹脂層と表面機能層を含み、前記発泡樹脂層と前記表面機能層が一体的にエンボス加工されている壁紙であって、
    前記発泡樹脂層は、平均重合度が1000以上1500以下のポリ塩化ビニル樹脂を、主成分として30質量%以上含有しており、
    前記表面機能層は、前記発泡樹脂層の表面を被覆する塗膜タイプの水性成膜層(発泡構造でない)であり、前記発泡樹脂層が露出する微細な気体抜き部分をその面内に分散していることを特徴とする壁紙。
  2. 前記平均重合度が1250以上であることを特徴とする請求項1に記載の壁紙。
  3. 前記発泡樹脂層が露出する微細な気体抜き部分は、平面視で矩形,円形,楕円,平行四辺形,三角形,幾何学模様のいずれかを呈しており、且つ、これらが前記表面機能層の面内に規則配列又は不規則配列されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁紙。
  4. 平均重合度が1000以上1500以下のポリ塩化ビニル樹脂(発泡樹脂層形成後の含有量が30質量%以上)と発泡剤を含有する層を、基材となる原紙上に成膜する工程と、
    前記成膜したポリ塩化ビニル樹脂と発泡剤を含有する層の表面に、表面機能層の原料をバイアスメッシュロールで塗布して、前記ポリ塩化ビニル樹脂と発泡剤を含有する層が露出する微細な気体抜き部分をその面内に分散している、前記発泡樹脂層の表面を被覆する塗膜タイプ(発泡構造でない)の水性成膜層である表面機能層を成膜する工程と、
    前記発泡剤を発泡させて発泡樹脂層を形成する工程と、
    前記発泡樹脂層と前記表面機能層を一体的にエンボス加工する工程と、を含むことを特徴とする壁紙の製造方法。
  5. 前記発泡樹脂層と前記表面機能層の一体的なエンボス加工は、シート表面温度160℃〜210℃で行われていることを特徴とする請求項4に記載の壁紙の製造方法。
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