JP6939347B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒータに流す電流を制御する制御部を備えた画像形成装置に関する。
従来、ヒータに流す電流を位相制御によって制御する制御部を備えた画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。具体的に、この技術では、入力電圧が最大値、ヒータ抵抗値が最小値の場合を想定して、許容電流を超えない設定とした固定デューティに対応した固定位相角で位相制御を行っている。また、電流センサによって通電中に検出された電流値Iと、固定デューティD1と、予め設定されている通電可能な許容電流値Ilimitと、以下に示す計算式とに基づいて、デューティの上限値Dlimitを算出し、デューティの上限値Dlimitから位相角の上限値αlimitを算出している。
Dlimit=(Ilimit/I)×D1
つまり、前述した計算式によって、検出した電流値Iが大きいほど、デューティの上限値Dlimitが小さくなるように、デューティの上限値Dlimitを算出している。そして、目標温度にするために決定した位相角が、位相角の上限値αlimitを超える場合に、位相角の上限値αlimit以下の位相角αで位相制御を行っている。これにより、ヒータに流れる電流が許容電流値を超えないようにしつつ、ヒータに比較的大きな電流を供給することが可能となっている。
特開2004−226557号公報
しかしながら、従来技術では、許容電流値以上の大きな電流を検出できるような、定格の大きな電流センサを用いる必要があるため、電流センサによって小さな電流を精度良く検出することができないおそれがあった。
そこで、本発明は、電流センサを用いて位相制御を行う制御部を備えた画像形成装置において、電流センサでの小さな電流の検出精度を向上させることを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、ヒータと、前記ヒータに流れる電流の大きさに対応した信号を出力する電流センサと、制御部と、を備える。
前記電流センサは、前記ヒータに流れる電流の大きさが第1電流値以上であるときに最大値となる信号を出力可能である。
前記制御部は、前記第1電流値よりも大きな目標電流値に対応した目標位相角に基づいて前記ヒータに交流電流を供給する位相制御を実行可能であり、前記位相制御中において、前記電流センサから出力される信号の値が、前記最大値以下の第1閾値以上となっている時間である飽和時間を計測し、前記飽和時間に基づいて前記目標位相角を算出する。
この構成によれば、ヒータに流れる電流の大きさが目標電流値よりも小さな第1電流値以上であるときに最大値となる信号を出力可能な電流センサを設けるので、小さな電流の検出精度を向上させることができる。また、飽和時間に基づいて目標位相角を算出するので、例えば目標位相角を一定にする形態と比べ、ヒータに大きな電流を供給することができる。
また、前記した構成において、交流電流の所定の半波よりも前の半波において用いることになった目標位相角をxp、前記飽和時間に相当する位相角をt、前記第1閾値をy0、前記目標電流値をIt、前記所定の半波において用いる目標位相角をxとしたときに、
前記制御部は、
x=arcsin(It・sin(xp−t)/y0)
に基づいて前記目標位相角xを算出してもよい。
また、前記した構成において、交流電流の所定の半波よりも前の半波において用いることになった目標位相角をxp、前記飽和時間に相当する位相角をt、前記第1閾値をy0、前記目標電流値をIt、前記所定の半波において用いる目標位相角をxとしたときに、
前記制御部は、
x=It・(xp−t)/y0
に基づいて前記目標位相角xを算出してもよい。
これによれば、逆三角関数を用いないで目標位相角xを算出することができるので、制御部への負荷を軽減することができる。
また、前記制御部は、算出した前記目標位相角xに補正係数αをかけることで、前記目標位相角xを補正してもよい。
これによれば、目標位相角xをより正確に算出することができる。
また、前記第1閾値は、前記最大値よりも小さくてもよい。
電流センサから出力される信号は、最小値よりも大きな値から最大値よりも小さな値までの範囲においては、ヒータに流れる電流に対して線形性を有するが、最小値付近または最大値付近である場合には、ヒータに流れる電流に対して線形性が失われることがある。そのため、電流センサが出力可能な信号の最大値よりも小さな値を第1閾値とすることで、信号の最大値と等しい値を第1閾値とする場合に比べて、飽和時間をより正確に測定することができる。
また、前記制御部は、前記飽和時間が第2閾値以上になった場合に、前記位相制御から波数制御に移行してもよい。
これによれば、振幅が十分小さくなってから波数制御を実行することができるので、波数制御においてヒータに過電流が流れるのを抑えることができる。
また、前記制御部は、交流電流の所定の半波において算出した目標位相角を、前記所定の半波の次の半波で用いて交流電流を供給してもよい。
これによれば、例えば所定の半波において算出した位相角を当該所定の半波から2つ目以降の半波に用いる形態と比べ、ヒータに流れる実際の電流と目標電流値との誤差を小さくすることができる。
本発明によれば、電流センサを用いて位相制御を行う制御部を備えた画像形成装置において、電流センサでの小さな電流の検出精度を向上させることができる。
一実施形態に係るレーザプリンタの断面図である。 位相制御を示す図(a)と、波数制御を示す図(b)である。 目標位相角の算出方法を示す図である。 制御部の動作を示すフローチャートである。 制御部の動作の一例を示すタイムチャートである。
次に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、レーザプリンタ1は、シート5に画像を形成する画像形成装置の一例であり、本体ケーシング2内に、給紙トレイ3および手差トレイ4と、プロセス部6と、定着部7と、スイッチング回路50と、制御部100とを備えている。シート5は、給紙トレイ3または手差トレイ4から、プロセス部6、定着部7を通過してレーザプリンタ1の外部まで矢印で示した搬送方向に搬送される。
プロセス部6は、シート5にトナー像を形成する部分であり、スキャナ10、現像カートリッジ13、感光体ドラム17、帯電器18、転写ローラ19等を含む。
スキャナ10は、本体ケーシング2内の上部に配置されており、レーザ発光部(図示せず)、ポリゴンミラー11、複数の反射鏡12および複数のレンズ(図示せず)等を含む。スキャナ10では、レーザ発光部から発射されたレーザ光を、ポリゴンミラー11、反射鏡12、図示しないレンズを介して一点鎖線で示すように感光体ドラム17の表面上に走査する。
現像カートリッジ13は、現像ローラ14と、現像ローラ14にトナーを供給する供給ローラ15とを備えている。現像カートリッジ13内には、トナーが収容されている。現像ローラ14は感光体ドラム17に対向して配置されている。現像カートリッジ13内のトナーは、供給ローラ15の回転により現像ローラ14に供給され、現像ローラ14に担持される。
感光体ドラム17の上方には、帯電器18が間隔を隔てて配置されている。また、感光体ドラム17の下方には、転写ローラ19が感光体ドラム17に対向して配置されている。
感光体ドラム17は、回転しながら帯電器18によって帯電される。そして、感光体ドラム17は、スキャナ10からのレーザ光により露光されて、表面に静電潜像が形成される。その後、感光体ドラム17上の静電潜像に現像ローラ14からトナーが供給されることによって感光体ドラム17上にトナー像が形成される。感光体ドラム17上のトナー像は、シート5が感光体ドラム17と転写ローラ19の間を通る間に、転写ローラ19に印加される転写バイアスによって、シート5に転写される。
定着部7は、プロセス部6に対してシート5の搬送方向の下流側に配置されている。定着部7は、シート5を加熱する加熱部材22と、加熱部材22に押し付けられる加圧ローラ23を備えてなる。加熱部材22は、円筒状の定着ローラである。加熱部材22の内部には、加熱部材22を加熱するヒータ31が設けられている。ヒータ31としては、抵抗体であるフィラメントを有し、輻射熱によって加熱部材22を加熱するハロゲンランプを採用することができる。定着部7は、加熱部材22と加圧ローラ23の間でシート5を挟持しながらヒータ31によりシート5を加熱してトナー像をシート5に定着させる。
スイッチング回路50は、レーザプリンタ1の外部の交流電源40に接続され、制御部100によって通電状態(ON状態)と非通電状態(OFF状態)に制御される。ヒータ31は、制御部100によってスイッチング回路50が通電状態とされている間、交流電源40から交流電流が入力される。
また、定着部7は、ヒータ31に流れる電流の大きさに対応した信号を出力する電流センサ32を備えている。電流センサ32は、ヒータ31に流れる電流の大きさが第1電流値I1以上であるときに最大値Imaxとなる信号を制御部100に出力可能となっている。ここで、最大値Imaxは、第1電流値I1に対応した値であり、本実施形態では、Imax=I1とする。
制御部100は、CPU、RAM、ROMおよび入出力回路などを備えており、外部のコンピュータから出力されてくる印刷指令と、電流センサ32から出力されてくる信号と、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。
制御部100は、図2(a)に示す位相制御と、図2(b)に示す波数制御とを実行可能となっている。位相制御は、正弦波の半波に満たない部分、詳しくは正弦波のピーク値から外れた部分において通電する制御である。本実施形態では、図2(a)に示すように、位相制御において、半波のうちピーク値を過ぎた後半部分で通電を行っている。
波数制御は、正弦波のうち半波に対応した部分において通電する制御である。本実施形態では、図2(b)に示すように、波数制御において、正弦波のうち一方の半波で通電を行い、他方の半波で通電を行わないような制御を行っている。
図3に示すように、制御部100は、位相制御において、前述した第1電流値I1よりも大きな目標電流値Itに対応した目標位相角xに基づいて、ヒータ31に交流電流を供給している。ここで、目標電流値Itは、第1電流値I1よりも大きく、かつ、位相制御において流すことができる電流の上限値以下に設定されている。なお、位相制御において流すことができる電流の上限値は、実験やシミュレーション等により適宜決めることができる。
制御部100は、位相制御中において、電流センサ32から出力される信号の値が、最大値Imax以下の第1閾値y0以上となっている時間である飽和時間t(例えばt0)を計測し、飽和時間tに基づいて目標位相角x(例えばx1)を算出している。ここで、図3等において、ドットのハッチングで示す部分は、実際にヒータ31に流れる電流を示し、太線で示す部分は、電流センサ32から出力される信号を示す。また、図3に示す波形は、グラフの縦軸を、通常、電流値0に対する一方側と他方側をプラスとマイナスで示すところ、電流値0に対する一方側と他方側を両方ともプラスで示すこととする。
なお、本実施形態では、第1閾値y0を最大値Imaxと同じ値に設定することとする。つまり、本実施形態では、前述した目標電流値It、第1電流値I1、最大値Imaxおよび第1閾値y0の関係は、以下の式(1)のようになっている。
It>I1=y0=Imax ・・・(1)
制御部100は、以下の式(2)に基づいて、交流電流の所定の半波において用いる目標位相角xを算出している。
x=arcsin(It・sin(xp−t)/y0) ・・・(2)
It:目標電流値
xp:交流電流の所定の半波よりも前の半波において用いることになった目標位相角
t:飽和時間(詳しくは飽和時間に相当する位相角)
y0:第1閾値
ここで、本実施形態では、目標位相角xpを、所定の半波の直前の半波において用いることになった目標位相角とする。つまり、目標位相角xpを、今回算出する目標位相角xの前回値とする。本実施形態では、位相制御を開始してから最初に使用する目標位相角xpを、実験やシミュレーション等により予め設定されている初期値x0とする。
ここで、初期値x0は、位相制御の開始時にヒータ31に流れる電流の値が、位相制御において流すことができる電流の上限値よりも十分小さくなるような値に設定されている。なお、初期値x0は、位相制御の終了時における目標位相角xに基づいて適宜更新されてもよい。
制御部100は、位相制御において、交流電流の所定の半波(例えばH0)において算出した目標位相角x(例えばx1)を、所定の半波の次の半波(例えばH1)で用いて交流電流を印加している。
なお、図3のグラフは、目標位相角xの算出の仕方を説明するための図である。横軸は、通常、グラフの左側から右側に向かうにつれて徐々に大きくなるが、図3では、半波の右側の時点を位相角0とし、この時点から左側に向かうにつれて位相角が徐々に大きくなることとし、位相角の範囲は、0〜90°で設定している。言い換えると、図3では、所定の半波(例えばH0)のうち電流値が減少傾向になった後の電流値0の位置を、位相角0とし、この位置から所定の半波のピーク値(例えばIp0)に向かうにつれて位相角が徐々に大きくなることとし、位相角の範囲は、0〜90°で設定している。
また、ヒータ31に流れる電流は、位相制御の開始時における振幅が最も大きく、ヒータ31の温度上昇につれて振幅が徐々に小さくなり、その後、振幅が一定になる傾向にある。そのため、図3では、振幅が半波ごとに小さくなる例を図示している。
次に、上述した式(2)を導く方法について説明する。
例えば、半波H0においては、以下に示す式(3)が成立する。
Ip0・sin(x0−t0)=y0 ・・・(3)
Ip0:半波H0のピーク値
式(3)において、x0,y0は既知の値であり、t0は測定値であるため、以下の式(4)より、半波H0のピーク値Ip0が求まる。
Ip0=y0/sin(x0−t0) ・・・(4)
一方、半波H0において目標電流値Itの電流をヒータ31に流すための理想の目標位相角xは、以下の式(5)で表すことができる。
Ip0・sinx=It ・・・(5)
半波H0における理想の目標位相角xは、次の半波H1の目標位相角x1となるため、半波H0で用いた目標位相角x0と、次の半波H1の目標位相角x1との関係は、式(5)のIp0に式(4)を代入することにより、以下の式(6)のように求めることができる。
x1=arcsin(It・sin(x0−t0)/y0) ・・・(6)
そして、この式(6)を、所定の半波に対する目標位相角xと、所定の半波の直前の半波に対する目標位相角xpとの関係で表すと、式(2)の式を得ることができる。
また、制御部100は、飽和時間tが第2閾値T2以上になった場合に、位相制御から波数制御に移行する機能を有している。
次に、制御部100の動作について図4を参照して詳細に説明する。制御部100は、レーザプリンタ1の電源が投入されて起動した後、図4に示すフローチャートを常時繰り返し実行している。
図4に示すように、制御部100は、まず、印刷指令があったか否かを判断する(S1)。ステップS1において印刷指令がない場合には(No)、制御部100は、本制御を終了する。
ステップS1において印刷指令がある場合には(Yes)、制御部100は、目標位相角xに対応するタイミングでスイッチング回路50をONにする(S2)。詳しくは、制御部100は、ステップS1でYesと判定された後、最初にステップS2を実行する場合には、目標位相角xを初期値x0とし、2回目以降は、目標位相角xをステップS9で算出した値とする。
ステップS2の後、制御部100は、電流センサ32によってヒータ31に流れる電流を検出する(S3)。ステップS3の後、制御部100は、電流センサ32によって検出した検出電流値Isが、第1閾値y0以上であるか否かを判断する(S4)。
ステップS4においてIs≧y0であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、飽和時間tをカウントアップした後(S5)、ステップS6に移行する。ステップS4においてIs≧y0ではないと判断した場合には(No)、制御部100は、ステップS5を飛ばしてステップS6に移行する。
ステップS6において、制御部100は、検出電流値Isが第1閾値y0未満になったか否かを判断する。ステップS6においてIs<y0ではないと判断した場合には(No)、制御部100は、ステップS3の処理に戻る。
ステップS6においてIs<y0であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、飽和時間tが第2閾値T2よりも小さいか否かを判断する(S7)。ステップS7においてt<T2であると判断した場合には(Yes)、制御部100は、ステップS5においてカウントアップされた飽和時間t、目標位相角xの前回値xpおよび式(2)に基づいて、目標位相角xを算出する(S9)。ステップS9の後、制御部100は、飽和時間tをリセットして(S10)、ステップS2の処理に戻る。
ステップS7において飽和時間tが第2閾値T2以上であると判断した場合には(No)、制御部100は、印刷が終了するまで波数制御を実行して(S11)、本制御を終了する。
次に、制御部100の動作の一例について図5を参照して詳細に説明する。
図5に示すように、制御部100は、印刷指令を受けると、目標位相角の初期値x0に対応したタイミングでスイッチング回路50をONにする(時刻tm1)。これにより、所定の半波H0のピーク値を外した部分でヒータ31への通電が開始される。その後、スイッチング回路50は、交流電源40からの交流電流値が0になると、OFFになる(時刻tm2)。
半波H0において、制御部100は、飽和時間t0を測定するとともに、飽和時間t0に基づいて次の半波H1における目標位相角x1を算出する。そして、制御部100は、このような処理を、各半波H1,H2,H3においても同様に行う。各半波H0〜H3は、振幅が徐々に小さくなっていくため、各半波H0〜H3での通電部分での傾きが徐々に寝てくる。これにより、飽和時間tは、徐々に大きくなっていく。
時刻tm3において飽和時間t3が第2閾値T2以上であると判断した場合、つまり振幅が十分小さくなった場合には、制御部100は、ヒータ31への通電制御を、位相制御から波数制御へ切り替える(時刻tm4)。ここで、本実施形態では、半波H3において飽和時間t3の測定が完了してから交流電流値が0になるまでの短い時間の間で、飽和時間t3が第2閾値T2以上であるかの判断を行うことができる程度に、制御部100の処理能力が高いものとする。
なお、半波H3において飽和時間t3の測定が完了してから交流電流値が0になるまでの短い時間の間で、飽和時間t3が第2閾値T2以上であるかの判断を行うことができない場合には、次の半波H4においては位相制御を継続し、半波H4の次の半波H5から波数制御を実行してもよい。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
ヒータ31に流れる電流の大きさが、目標電流値Itよりも小さな第1電流値I1以上であるときに、最大値Imaxとなる信号を出力可能な電流センサ32を設けるので、小さな電流の検出精度を向上させることができる。また、飽和時間tに基づいて目標位相角xを算出するので、例えば目標位相角を一定にする形態と比べ、ヒータ31に大きな電流を供給することができる。このため、目標位相角を一定にする形態と比べ、ヒータ31の温度を効率よく上げることができる。なお、最大値Imaxとなる信号を出力可能な電流センサ32は、最大値Imaxよりも大きい最大値となる信号を出力可能な電流センサに比べ、コストの低下を図りやすい 。
飽和時間t3が第2閾値T2以上になった場合、つまり振幅が十分小さくなった場合に、ヒータ31への通電制御を位相制御から波数制御へ切り替えるので、波数制御においてヒータ31に過電流が流れるのを抑えることができる。
所定の半波(例えば、H0)において算出した目標位相角xを、所定の半波の次の半波(例えばH1)で用いて交流電流を供給するので、例えば所定の半波において算出した位相角を2つ目以降の半波に用いる形態と比べ、ヒータ31に流れる実際の電流と目標電流値Itとの誤差を小さくすることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記実施形態では、式(2)を用いて目標位相角xを算出したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、以下の式(7)を用いて目標位相角xを算出してもよい。
x=It・(xp−t)/y0 ・・・(7)
xp:交流電流の所定の半波よりも前の半波において用いることになった目標位相角
t:飽和時間(詳しくは、飽和時間に相当する位相角)
y0:第1閾値
It:目標電流値
x:所定の半波において用いる目標位相角
これによれば、前記実施形態と比べ、逆三角関数を用いないで目標位相角xを算出するので、制御部100への負荷を軽減することができる。
なお、式(7)は、式(2)におけるsinθをθとみなした近似式である。この近似式(7)を、式(2)により近づけるために、式(7)で算出した目標位相角xに補正係数αをかけることで、目標位相角xを補正してもよい。これによれば、目標位相角xをより正確に算出することができる。
前記実施形態では、第1閾値y0を最大値Imaxと同じ値に設定したが、本発明はこれに限定されず、例えば、第1閾値y0は、最大値Imaxよりも小さな値であってもよい。ここで、電流センサ32で出力される信号は、所定の範囲においては、ヒータ31に流れる電流に対して線形性を有するが、最小値付近または最大値付近である場合には、ヒータ31に流れる電流に対して線形性が失われることがある。そのため、電流センサ32が出力可能な信号の最大値Imaxよりも小さな値を第1閾値y0とすることで、信号の最大値Imaxと等しい値を第1閾値y0とする場合に比べて、飽和時間tをより正確に測定することができる。
前記実施形態では、目標位相角xpを、目標位相角xの前回値、つまり所定の半波の直前の半波において用いた目標位相角としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、目標位相角xpを、所定の半波よりも2個以上前の半波において用いた目標位相角としてもよい。
前記実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、ヒータ31としてハロゲンランプを例示したが、本発明はこれに限定されず、ヒータは、例えばカーボンヒータなどであってもよい。
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
1 レーザプリンタ
31 ヒータ
32 電流センサ
100 制御部
I1 第1電流値
Imax 最大値
It 目標電流値
t 飽和時間
x 目標位相角

Claims (7)

  1. ヒータと、
    前記ヒータに流れる電流の大きさに対応した信号を出力する電流センサと、
    制御部と、を備えた画像形成装置であって、
    前記電流センサは、前記ヒータに流れる電流の大きさが第1電流値以上であるときに最大値となる信号を出力可能であり、
    前記制御部は、
    前記第1電流値よりも大きな目標電流値に対応した目標位相角に基づいて前記ヒータに交流電流を供給する位相制御を実行可能であり、
    前記位相制御中において、前記電流センサから出力される信号の値が、前記最大値以下の第1閾値以上となっている時間である飽和時間を計測し、
    前記飽和時間に基づいて前記目標位相角を算出することを特徴とする画像形成装置。
  2. 交流電流の所定の半波よりも前の半波において用いることになった目標位相角をxp、前記飽和時間に相当する位相角をt、前記第1閾値をy0、前記目標電流値をIt、前記所定の半波において用いる目標位相角をxとしたときに、
    前記制御部は、
    x=arcsin(It・sin(xp−t)/y0)
    に基づいて前記目標位相角xを算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 交流電流の所定の半波よりも前の半波において用いることになった目標位相角をxp、前記飽和時間に相当する位相角をt、前記第1閾値をy0、前記目標電流値をIt、前記所定の半波において用いる目標位相角をxとしたときに、
    前記制御部は、
    x=It・(xp−t)/y0
    に基づいて前記目標位相角xを算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御部は、算出した前記目標位相角xに補正係数αをかけることで、前記目標位相角xを補正することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記第1閾値は、前記最大値よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記制御部は、前記飽和時間が第2閾値以上になった場合に、前記位相制御から波数制御に移行することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記制御部は、交流電流の所定の半波において算出した目標位相角を、前記所定の半波の次の半波で用いて交流電流を供給することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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