JP6937574B2 - 保温性物品 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、厚さ方向に重ね合わせた複数枚の布地を、その重ねた状態で縫合するための上糸とこれに絡む下糸の少なくとも一方を伸縮可能の伸縮糸を使用して伸縮可能の伸縮布地が形成され、この伸縮布地により衣類の少なくとも一部が形成されたことを特徴とする衣類が記載されている。
特許文献3にも、同様の座布団が記載されている。
また、特許文献2及び3に記載の掛け布団及び座布団は、保温性に優れるものの、その構造が複雑になる傾向がある。
図1〜図4は、本発明の実施形態の1つ(第1実施形態)に従う保温性物品1、具体的には、ダウンジャケットを説明するための図である。
図1は、保温性物品1の正面図であり、図2は、保温性物品1の背面図であり、図3は、図1のIII−III端面における端面図であり、そして図4は、保温性物品1の背面の拡大図である。
第1仮想線群L1a〜L1eのそれぞれにおいて、複数の接合部11は、一定のピッチP1で配置されている。第2仮想線群L2a〜L2eのそれぞれにおいて、複数の接合部11は、一定のピッチP2で配置されている。
なお、上記個数密度は、保温性物品の平面方向の単位面積(1m2)当たりの、接合部の個数を意味する。
X=A×√n 式(1)
により得られる値Xが、好ましくは1,400〜1,800、より好ましくは1,430〜1,770、そしてさらに好ましくは1,450〜1,750の範囲にある。
値Xが上述の範囲にあることにより、充填材の密度が所定の範囲に収まり、保温性物品が保温性に優れ、充填材が偏りにくくなる。
複数の接合部が、第1仮想線上で上記ピッチで配置されることにより、本発明の保温性物品の厚さが一定になりやすく、保温ムラが生じにくく、そして充填材が偏りにくくなる。
接合部は、第1仮想線と、第2仮想線との交点上に配置されることが好ましい。
上記接着部としては、例えば、接着剤による接着部が挙げられる。上記融着部としては、例えば、熱可塑性樹脂繊維による融着部、例えば、第1のシート、第2のシート及び所望による第3のシートの少なくとも1つが熱可塑性樹脂繊維を含み、当該熱可塑性樹脂繊維により形成された融着部が挙げられる。上記かしめ部としては、第1部材(例えば、雄部材)と、第2部材(例えば、雌部材)とをかしめることにより形成されたかしめ部が挙げられる。
本発明の保温性物品では、上記接合部は、ステッチ部であることが好ましい。接合部が肌触りに優れ、そして強度に優れるからである。また、接合部に、ステッチ部として、特定の形状を簡易に付すことができるからである。
図5(b)は、第1仮想線群L1a〜L1e及び第2仮想線群L2a〜L2eにおいて、断面形状が1つの円形状である接合部11'(ステッチ部)と、断面形状が2つの円形状である接合部11''(ステッチ部)とが、交互に配置されている例である。
図5(d)は、断面形状が2つの円形状である接合部11''(ステッチ部)と、断面形状が2つの円形状である接合部11''(ステッチ部)とが、交互に配置されている例である。接合部11''(ステッチ部)と、接合部11''(ステッチ部)とは、2つの円形状の配置される方向が異なる。
なお、本発明の保温性物品が、第3のシートを含む実施形態では、第3のシートは、布帛で有ることが好ましい。充填材が偏りにくくなるからである。なお、第3のシートの構成については、後述する。
第2実施形態に従う保温性物品1は、被覆シート16をさらに備えるため、保温性に優れる。また、第2実施形態において、複数の接合部が、刺繍により形成されたステッチ部である場合には、ステッチ部の一方の面を隠蔽することができる。
上記中綿としては、木綿綿、合繊綿等が挙げられ、合繊綿の合繊としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びレーヨン等が挙げられる。
本発明の保温性物品は、特に制限なく、当技術分野で公知の技術を用いて製造されることができるが、第1実施形態に従う保温性物品1について、その製法の一例を示す。
本発明を、実施例にそって具体的に説明する。
第1のシート及び第2のシートにナイロンとポリエステルとからなる生地を選択し、第3のシートに不織布を選択し、これらを第1のシート、第3のシート及び第2のシートの順に積層させた積層シートを形成した。次いで、上記積層シートに、複数の接合部として、刺繍により、平面方向の断面が、直径3mmの円形であるステッチ部(以下、単に「円形のステッチ部」と称する)を形成した。円形のステッチ部は、図4に示されるように、第1仮想線群及び第2仮想線群の交点上に、42mmのピッチで配置されていた。
ステッチ部のピッチを63mmに変更し、充填材の坪量を100g/m2に変更した以外は製造例1と同様にして、簡易保温性物品No.2を製造した。なお、簡易保温性物品No.2は、1587の値Xを有していた。
ステッチ部のピッチを85mmに変更し、充填材の坪量を130g/m2に変更した以外は製造例1と同様にして、簡易保温性物品No.3を製造した。なお、簡易保温性物品No.3は、1529の値Xを有していた。
接合部を、円形のステッチ部から、刺繍による、平面方向の断面が直線状のステッチ部(以下、単に「直線状のステッチ部」と称する)(ピッチ:30mm)に変更した以外は製造例1と同様にして、簡易保温性物品No.4を製造した。
接合部を、円形のステッチ部から直線状のステッチ部(ピッチ:45mm)に変更した以外は製造例2と同様にして、簡易保温性物品No.5を製造した。
[比較製造例3]
接合部を、円形のステッチ部から直線状のステッチ部(ピッチ:60mm)に変更した以外は製造例3と同様にして、簡易保温性物品No.6を製造した。
なお、簡易保温性物品No.4〜6のそれぞれにおける直線状のステッチ部のピッチは、充填材の坪量との関係で、当技術分野で一般的なものを採用した。
円形のステッチ部を設けなかった以外は、製造例1〜3と同様にして、それぞれ、簡易保温性物品No.7〜9を製造した。
簡易保温性物品No.1〜No.9の特性を、表1にまとめる。
[保温性試験]
保温性試験は、以下の通り実施した。
(1)20℃及び湿度65%RHの恒温恒湿室に、サーモラボIIB型精密迅速熱物性測定装置(カトーテック株式会社製)を準備した。
(2)上記装置のヒーターの上に、サンプルを保持するための治具を設置し、ヒーターの温度を30℃に保持した。
(3)上記治具上にサンプルをセットせずに、ヒーターの消費電力:W1(W)を測定した。
(4)上記治具上にサンプル(保温性物品No.1〜No.6)をセットし、セットしてから1分後の消費電力:W2(W)を測定した。なお、サンプルは、ヒーターから約1cmの距離を空けて、ヒーターを覆うようにセットされた。
(5)保温率(%)を、次の式(2):
保温率(%)=100×(W1−W2)/W1 式(2)
により算出した。
結果を表2に示す。
表2、及び図7より、簡易保温性物品No.1〜3は、それぞれ、簡易保温性物品No.4〜6と比較して、連続型確率分布図における23℃以上の確率が低く、コールドスポットが形成されにくいことが分かる。
[偏向試験]
偏向試験は、20℃及び湿度65%RHの恒温恒湿室にて、以下の通り実施した。
(1)サンプル(簡易保温性物品No.1〜9)を、平面の上に静置した。
(2)サンプルの上に、サンプルと同サイズ(200×200mm)の厚紙(質量:50g)をのせた。
(3)厚紙を載せてから30秒後、サンプルの厚さ(平面から厚紙の下面までの高さ)(mm)を測定した。
(4)上記厚さは、図8に示される領域101〜領域108において測定した。
なお、領域101〜103の平均を「上面厚さ」と称し、領域104を「左側面厚さ」と称し、領域108を「右側面厚さ」と称し、そして領域105〜107の平均を「下面厚さ」と称する。なお、厚さは、異なるサンプルで5回測定し、その平均値を採用した。結果を表3に示す。
なお、上記条件は、時速5kmで30分間歩行することを想定している。また、デマッチャ繰り返し疲労試験機には、水平方向の振幅が0になるようにストッパーを設置した。また、簡易保温性物品No.4〜6のサンプルは、直線状のステッチ部が水平方向と平行になるように、デマッチャ繰り返し疲労試験機にセットした。
[1]
第1のシートと、第2のシートと、上記第1のシート及び上記第2のシートの間に配置される充填材とを備える保温性物品であって、
上記保温性物品が、上記第1のシートと、上記第2のシートとを接合する、複数の接合部を備え、
上記複数の接合部が、互いに離間して点在していることを特徴とする保温性物品。
上記充填材が、40〜250g/m2の坪量を有する、[1]に記載される保温性物品。
[3]
上記保温性物品が、その平面方向において、50〜700個/m2の、上記接合部の個数密度を有する、[2]に記載される保温性物品。
上記充填材の坪量をA(g/m2)、上記接合部の個数密度をn(個/m2)とした場合に、以下の式(1)
X=A×√n 式(1)
により得られる値Xが1,400〜1,800の範囲にある、[3]に記載される保温性物品。
上記保温性物品の平面方向において、上記複数の接合部が、第1の方向に延びる互いに並行な複数の第1仮想線上に配置されている、[1]〜[4]のいずれか1項に記載される保温性物品。
[6]
上記保温性物品の平面方向において、上記複数の接合部が、第2の方向に延びる互いに並行な複数の第2仮想線上に配置されている、[5]に記載される保温性物品。
上記第1仮想線と、上記第2仮想線とが交差し、上記複数の接合部が、上記第1仮想線と、上記第2仮想線との交点上に配置されている、[6]に記載される保温性物品。
[8]
上記第1仮想線及び/又は上記第2仮想線において、上記複数の接合部が、20〜150mmの範囲のピッチで配置されている、[7]に記載される保温性物品。
上記充填材が、羽毛及び羽根を含む、[1]〜[8]のいずれか1項に記載される保温性物品。
[10]
上記複数の接合部のそれぞれがステッチ部、接着部、融着部及びかしめ部、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、[1]〜[9]のいずれか1項に記載される保温性物品。
上記ステッチ部の、上記保温性物品の平面方向の断面が、円形又は楕円形である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載される保温性物品。
[12]
上記保温性物品が、上記充填材と、上記第2のシートとの間に、布帛からなる第3のシートをさらに備える、[1]〜[11]のいずれか1項に記載される保温性物品。
上記第2のシートの外側に、上記複数の接合部により接合されていない、上記第2のシートを被覆する被覆シートをさらに備える、[1]〜[12]のいずれか1項に記載される保温性物品。
上記保温性物品が、服飾品である、[1]〜[13]のいずれか1項に記載される保温性物品。
2 前身頃
3 後身頃
4 脇腹部
5 袖下部
6 袖部
7 襟部
8 ファスナー部
11 接合部
12 第1のシート
13 第2のシート
14 第3のシート
15 充填材
16 被覆シート
21 外面
Claims (13)
- 第1のシートと、第2のシートと、前記第1のシート及び前記第2のシートの間に配置されている、羽毛及び/又は羽根を含む充填材とを備える保温性物品であって、
前記保温性物品が、前記第1のシートと、前記第2のシートとを、前記充填材を間に挟まずに接合している、複数の接合部を備えており、
前記複数の接合部が、互いに離間して点在している、
ことを特徴とする保温性物品。 - 前記充填材が、40〜250g/m2の坪量を有する、請求項1に記載される保温性物品。
- 前記保温性物品が、その平面方向において、50〜700個/m2の、前記複数の接合部の個数密度を有する、請求項2に記載される保温性物品。
- 前記充填材の坪量をA(g/m2)、前記複数の接合部の個数密度をn(個/m2)とした場合に、以下の式(1)
X=A×√n 式(1)
により得られる値Xが1,400〜1,800の範囲にある、請求項3に記載される保温性物品。 - 前記保温性物品の平面方向において、前記複数の接合部が、第1の方向に延びる互いに並行な複数の第1仮想線上に配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載される保温性物品。
- 前記保温性物品の平面方向において、前記複数の接合部が、第2の方向に延びる互いに並行な複数の第2仮想線上に配置されている、請求項5に記載される保温性物品。
- 前記第1仮想線と、前記第2仮想線とが交差し、前記複数の接合部が、前記第1仮想線と、前記第2仮想線との交点上に配置されている、請求項6に記載される保温性物品。
- 前記第1仮想線及び/又は前記第2仮想線において、前記複数の接合部が、20〜150mmの範囲のピッチで配置されている、請求項7に記載される保温性物品。
- 前記複数の接合部が、ステッチ部、接着部、融着部及びかしめ部、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載される保温性物品。
- 前記ステッチ部の、前記保温性物品の平面方向の断面が、円形又は楕円形である、請求項9に記載される保温性物品。
- 前記保温性物品が、前記充填材と、前記第2のシートとの間に、布帛からなる第3のシートをさらに備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載される保温性物品。
- 前記第2のシートの外側に、前記複数の接合部により接合されていない、前記第2のシートを被覆する被覆シートをさらに備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載される保温性物品。
- 前記保温性物品が、服飾品である、請求項1〜12のいずれか1項に記載される保温性物品。
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