JP6934726B2 - スパッタエッチング用マスク、スパッタエッチング方法及びスパッタエッチング装置 - Google Patents
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Description
図5に示すように、従来のスパッタエッチング用マスク1Aは、その厚み方向に沿った断面視において単純な矩形であるのが一般的である。このため、図5(a)に示すように、基板2に対して不活性ガスイオン3によりスパッタエッチングを施している過程において、被エッチング膜22からランダムな方向にスパッタされた被エッチング膜22を構成する材料の一部である被エッチング物4がマスク1Aの側面に再付着して徐々に蓄積していく。これにより、図5(b)に示すように、スパッタエッチングが終了した時点で、マスク1Aの側面に再付着した被エッチング物4が基板2の被エッチング膜22と繋がる場合がある。これにより、図5(c)に示すように、マスク1Aを除去した後に、被エッチング物4から形成されたバリ状の突起(エッチング残渣の一種)5が基板2に残る場合がある。
特許文献1に記載のマスクは、図6に示すように、基板2に近づくほどマスク1Bの幅が広くなるように、マスク1Bの側面が下広がりに傾斜したテーパ面とされている(特許文献1の図2参照)。特許文献1には、マスク1Bの側面のテーパ角(マスク1Bの側面が基板2の基板面と成す角)θが5°以上80°以下であることが好ましい旨、記載されている(特許文献1の段落0024)。
特許文献1に記載のマスク1Bをスパッタエッチングに用いれば、基板2に対してスパッタエッチングを施している過程においてマスク1Bの側面に被エッチング物が再付着したとしても、マスク1Bの側面が下広がりのテーパ面であるため、スパッタエッチングで用いる不活性ガスイオンがマスク1Bで遮蔽されることなく再付着した被エッチング物に衝突し易い。このため、基板2の被エッチング膜22と同様に、マスク1Bの側面に再付着した被エッチング物も逐次スパッタエッチングされることで、基板2にバリ状の突起が発生し難いと考えられる。
本発明において、基板は、例えば、基板本体と、基板本体上に形成されたエッチングされる膜である被エッチング膜(金属膜など)とを備える。この場合、本発明に係るスパッタエッチング用マスクの第1マスク層が基板の被エッチング膜に接するように配置されることになる。
本発明において、「第1マスク層の側面」は、第1マスク層の厚み方向に沿った側面を意味する。本発明に係るスパッタエッチング用マスクが基板面上に配置された状態において、「第1マスク層の側面」は、基板面に垂直な方向に沿った側面に相当する。
また、本発明において、「第2マスク層の側面」は、第2マスク層の厚み方向(第1マスク層の厚み方向と同じ)に沿った側面を意味する。本発明に係るスパッタエッチング用マスクが基板面上に配置された状態において、「第2マスク層の側面」は、基板面に垂直な方向に沿った側面に相当する。
さらに、本発明において、「前記スパッタエッチング用マスクが前記基板面上に配置された状態において、前記第2マスク層の側面は、・・(中略)・・前記第1マスク層に向かうにつれて前記突出方向と逆方向に傾斜して」いるとは、第2マスク層の側面を構成する各点について、各点の位置が第1マスク層に近づくにつれて、各点の基板面に平行な方向の位置が第2マスク層の側面の突出方向と逆方向にズレることを意味する。換言すれば、本発明に係るスパッタエッチング用マスクが基板面上に配置された状態において、第2マスク層の側面は基板面に対して略垂直な方向から下窄まりに傾斜した逆テーパのテーパ面となることを意味する。第2マスク層の側面が基板面に対して略垂直な方向から傾斜する場合、その傾斜角(第2マスク層の側面の接線が基板面と成す角)が一定の平面であってもよいし、傾斜角が徐々に変化する曲面であってもよい。また、第2マスク層の側面は、上部が基板面に対して略垂直で下部が略垂直な方向に対して傾斜しているなど、略垂直な部分と略垂直な方向に対して傾斜している部分とが混在していてもよい。
また、基板(被エッチング膜)と第2マスク層の側面及び下面とは、第1マスク層の厚み分以上に基板面に対して垂直な方向に離れているため、スパッタされた被エッチング物が第2マスク層の側面及び下面まで到達して再付着したとしても、被エッチング物が基板(被エッチング膜)と繋がり難くなる。
以上のように、本発明に係るスパッタエッチング用マスクを用いて基板にスパッタエッチングを施すと、スパッタされた被エッチング物が基板と繋がり難くなるため、基板にバリ状の突起が発生するのを防止することが可能である。
したがい、本発明に係るスパッタエッチング用マスクを用いて基板にスパッタエッチングを施すと、基板にバリ状の突起が発生するのを防止可能であると共に、寸法精度に優れたスパッタエッチングが可能である。
「エッチング深さ」とは、スパッタエッチングされる領域において、スパッタエッチング開始前の基板(被エッチング膜)表面から、スパッタエッチング終了後に基板に形成された凹部の最深部までの距離を意味する。
例えば、基板本体上に金属の被エッチング膜が形成されている場合、エッチング深さは0.05μm〜1.0μm程度であり、このときの第1マスク層の厚みは、このエッチング深さ以上の0.05μm以上にすることが好ましい。
第1マスク層の側面に対する第2マスク層の側面の「最大突出長さ」とは、第1マスク層の側面と第2マスク層の側面との最大距離(基板面に平行な方向の距離)を意味する。具体的には、スパッタエッチング用マスクが基板面上に配置された状態において、第2マスク層の側面の上端と第1マスク層の側面との距離(基板面に平行な方向の距離)を意味する。
例えば、基板本体上に金属の被エッチング膜が形成されている場合、前述のように、エッチング深さは0.05μm〜1.0μm程度であり、このときの第2マスク層の側面の最大突出長さは、このエッチング深さ以上の0.05μm以上にすることが好ましい。
或いは、前記課題を解決するため、本発明は、スパッタエッチング用マスクを基板の基板面上に配置する第1工程と、前記スパッタエッチング用マスクを介して前記基板にスパッタエッチングを施す第2工程と、前記スパッタエッチング後に前記スパッタエッチング用マスクを除去する第3工程と、を含むスパッタエッチング方法であって、前記スパッタエッチング用マスクは、第1マスク層と、前記第1マスク層上に設けられた第2マスク層とを備え、前記第1工程において、前記第1マスク層側が前記基板面に対向するように、前記スパッタエッチング用マスクを配置し、前記スパッタエッチング用マスクが前記基板面上に配置された状態において、前記第2マスク層の側面は、前記第1マスク層の側面に対して前記基板面に平行な方向に突出しており、なお且つ、前記基板面に対して略垂直であり、前記第1マスク層の厚みは、スパッタエッチングのエッチング深さ以上である、ことを特徴とするスパッタエッチング方法としても提供される。
或いは、前記課題を解決するため、本発明は、スパッタエッチング用マスクを基板の基板面上に配置する第1工程と、前記スパッタエッチング用マスクを介して前記基板にスパッタエッチングを施す第2工程と、前記スパッタエッチング後に前記スパッタエッチング用マスクを除去する第3工程と、を含むスパッタエッチング方法であって、前記スパッタエッチング用マスクは、第1マスク層と、前記第1マスク層上に設けられた第2マスク層とを備え、前記第1工程において、前記第1マスク層側が前記基板面に対向するように、前記スパッタエッチング用マスクを配置し、前記スパッタエッチング用マスクが前記基板面上に配置された状態において、前記第2マスク層の側面は、前記第1マスク層の側面に対して前記基板面に平行な方向に突出しており、なお且つ、前記基板面に対して略垂直であり、前記第1マスク層の側面に対する前記第2マスク層の側面の最大突出長さは、スパッタエッチングのエッチング深さ以上である、ことを特徴とするスパッタエッチング方法としても提供される。
また、図6に示すような従来のマスク1Bを用いる場合には、マスク1Bの側面に再付着した被エッチング物が逐次スパッタエッチングされることで、被エッチング物がチャンバの内壁に再び再付着し、メンテナンス性が低下する。これに対し、本発明に係るスパッタエッチング装置によれば、マスクに再付着した被エッチング物がスパッタエッチングされる可能性が低減する結果、被エッチング物がチャンバの内壁に再び再付着する可能性も低減する。この結果、メンテナンス性に優れたスパッタエッチング装置が得られる。
なお、説明の便宜上、各図に示す各構成要素の寸法や縮尺比は、実際のものとは異なる場合がある。
図1に示すように、スパッタエッチング装置100は、スパッタエッチングを施す基板2が内部に配置されるチャンバ10を備える他、チャンバ10内に配置され、基板2が載置される載置台20、チャンバ10の外部に配設されたコイル30、コイル30に高周波電力を印加するための高周波電源40、コイル30の配設箇所に設けられたアルミナや石英等から形成された誘電体窓50、載置台20に高周波電力を印加するための高周波電源60等を備える。スパッタエッチング装置100では、スパッタエッチング用マスク1が用いられる。
基板本体21としては、特に限定されるものではないが、Si基板、SOI(Silicon-On-Insulator)基板、SiO2基板、SiC基板等を例示できる。
被エッチング膜22としては、特に限定されるものではないが、金、銀、プラチナ、チタン等の金属膜の他、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、InP、AlGaInPなどの3元系・4元系材料等の難エッチング材料を例示できる。
図2に示すように、本実施形態に係るスパッタエッチング用マスク(以下、適宜、単に「マスク」と称する)1は、第1マスク層11と、第1マスク層11上に設けられた第2マスク層12とを備え、基板2にスパッタエッチングを施す際、第1マスク層11側が基板2の基板面(上面)に対向するように配置される。すなわち、第1マスク層11の方が第2マスク層12よりも下側に配置される。
フォトレジストを用いる場合には、例えば、第1マスク層11を形成する素材の現像レートが第2マスク層を形成する素材の現像レートよりも速くなるように、組成の異なる素材を積層した多層レジストを用いればよい。
現像レートを異ならせるためには、例えば、積層する素材として、各素材の感光硬化性が異なるネガ型感光性樹脂を使用すればよい。また、積層する素材として、各素材の現像液に対する溶解速度が異なるポジ型感光性樹脂を使用することもできる。さらには、第1マスク層11を形成する素材として非感光性樹脂を使用し、第2マスク層12を形成する素材としてネガ型感光性樹脂又はポジ型感光性樹脂を使用することもできる。
マスク1をフォトレジストによって形成する場合には、後述のようにマスク1に再付着した被エッチング物4と共に、リフトオフによって基板2から除去可能であるという利点を有する。
また、マスク1を酸化膜によって形成する場合には、例えば、第1マスク層11及び第2マスク層12を順次基板2の基板面に蒸着した後、第1マスク層にサイドエッチングを施すことが考えられる。
さらに、マスク1を金属膜によって形成する場合には、形成するマスク1の形状に応じたレジストマスクを基板2の基板面に先に形成し、このレジストマスクを介して金属を蒸着した後、リフトオフによってレジストマスクを基板2から除去することが考えられる。
また、基板2(被エッチング膜22)と第2マスク層12の側面12a及び下面12bとは、第1マスク層11の厚みd1分以上(本実施形態では、エッチング深さd以上)に基板面に対して垂直なY方向に離れているため、スパッタされた被エッチング物4が第2マスク層12の側面12a及び下面12bまで到達して再付着したとしても(図2(b)、(c)参照)、被エッチング物4が基板2(被エッチング膜21)と繋がり難くなる。
以上のように、本実施形態に係るマスク1を用いて基板2にスパッタエッチングを施すと、スパッタされた被エッチング物4が基板2と繋がり難くなるため、基板2にバリ状の突起が発生するのを防止することが可能である。
したがい、本実施形態に係るマスク1を用いて基板2にスパッタエッチングを施すと、基板2にバリ状の突起が発生するのを防止可能であると共に、寸法精度に優れたスパッタエッチングが可能である。
図3に示すように、第2マスク層12の側面12aは、図2に示す例と同様に、第1マスク層11の側面11aに対して基板2の基板面に平行な方向(図3のX方向)に最大突出長さLで突出している。ただし、図3に示す例では、図2に示す例と異なり、第2マスク層12の側面12aは、第1マスク層11に向かうにつれて第2マスク層12の側面12aの突出方向と逆方向に傾斜している。具体的には、図3に示す第2マスク層12の側面12aは、基板面と成す傾斜角(テーパ角)θが一定の平面である。傾斜角θは、特に限定されるものではないが、例えば、好ましくは90.1°≦θ≦120°の範囲で、より好ましくは90.1°≦θ≦95°の範囲で設定される。
したがい、図3に示すマスク1を用いて基板2にスパッタエッチングを施す場合も、基板2にバリ状の突起が発生するのを防止可能であると共に、寸法精度に優れたスパッタエッチングが可能である。
図4に示すように、第2マスク層12の側面12aは、図2や図3に示す例と同様に、第1マスク層11の側面11aに対して基板2の基板面に平行な方向(図4のX方向)に最大突出長さLで突出している。ただし、図4に示す例では、図2に示す例と異なり、第2マスク層12の側面12aは、第1マスク層11に向かうつれて第2マスク層12の側面12aの突出方向と逆方向に傾斜している。具体的には、図4に示す第2マスク層12の側面12aは、その接線が基板面と成す傾斜角(テーパ角)θが徐々に変化する(大きくなる)曲面である。図4に示す例では、傾斜角θは、90°≦θ≦180°の範囲で徐々に増加している。
したがい、図4に示すマスク1を用いて基板2にスパッタエッチングを施す場合も、基板2にバリ状の突起が発生するのを防止可能であると共に、寸法精度に優れたスパッタエッチングが可能である。
11・・・第1マスク層
12・・・第2マスク層
2・・・基板
21・・・基板本体
22・・・被エッチング膜
100・・・スパッタエッチング装置
Claims (5)
- スパッタエッチングを施す基板の基板面上に配置されるスパッタエッチング用マスクであって、
第1マスク層と、前記第1マスク層上に設けられた第2マスク層とを備え、
前記基板にスパッタエッチングを施す際、前記スパッタエッチング用マスクは、前記第1マスク層側が前記基板面に対向するように配置され、
前記スパッタエッチング用マスクが前記基板面上に配置された状態において、前記第2マスク層の側面は、前記第1マスク層の側面に対して前記基板面に平行な方向に突出しており、なお且つ、前記基板面に対して略垂直であり又は前記第1マスク層に向かうにつれて前記突出方向と逆方向に傾斜しており、
前記第1マスク層の厚みは、スパッタエッチングのエッチング深さ以上であり、
前記第1マスク層の側面に対する前記第2マスク層の側面の最大突出長さは、スパッタエッチングのエッチング深さ以上である、
ことを特徴とするスパッタエッチング用マスク。 - スパッタエッチング用マスクを基板の基板面上に配置する第1工程と、
前記スパッタエッチング用マスクを介して前記基板にスパッタエッチングを施す第2工程と、を含むスパッタエッチング方法であって、
前記スパッタエッチング用マスクは、第1マスク層と、前記第1マスク層上に設けられた第2マスク層とを備え、
前記第1工程において、前記第1マスク層側が前記基板面に対向するように、前記スパッタエッチング用マスクを配置し、前記スパッタエッチング用マスクが前記基板面上に配置された状態において、前記第2マスク層の側面は、前記第1マスク層の側面に対して前記基板面に平行な方向に突出しており、なお且つ、前記第1マスク層に向かうにつれて前記突出方向と逆方向に傾斜しており、
前記第2工程において、スパッタされた被エッチング物を前記第2マスク層の側面に再付着させ、前記再付着した被エッチング物を前記第2マスク層の一部として機能させる、
ことを特徴とするスパッタエッチング方法。 - スパッタエッチング用マスクを基板の基板面上に配置する第1工程と、
前記スパッタエッチング用マスクを介して前記基板にスパッタエッチングを施す第2工程と、
前記スパッタエッチング後に前記スパッタエッチング用マスクを除去する第3工程と、を含むスパッタエッチング方法であって、
前記スパッタエッチング用マスクは、第1マスク層と、前記第1マスク層上に設けられた第2マスク層とを備え、
前記第1工程において、前記第1マスク層側が前記基板面に対向するように、前記スパッタエッチング用マスクを配置し、前記スパッタエッチング用マスクが前記基板面上に配置された状態において、前記第2マスク層の側面は、前記第1マスク層の側面に対して前記基板面に平行な方向に突出しており、なお且つ、前記基板面に対して略垂直であり、
前記第1マスク層の厚みは、スパッタエッチングのエッチング深さ以上である、
ことを特徴とするスパッタエッチング方法。 - スパッタエッチング用マスクを基板の基板面上に配置する第1工程と、
前記スパッタエッチング用マスクを介して前記基板にスパッタエッチングを施す第2工程と、
前記スパッタエッチング後に前記スパッタエッチング用マスクを除去する第3工程と、を含むスパッタエッチング方法であって、
前記スパッタエッチング用マスクは、第1マスク層と、前記第1マスク層上に設けられた第2マスク層とを備え、
前記第1工程において、前記第1マスク層側が前記基板面に対向するように、前記スパッタエッチング用マスクを配置し、前記スパッタエッチング用マスクが前記基板面上に配置された状態において、前記第2マスク層の側面は、前記第1マスク層の側面に対して前記基板面に平行な方向に突出しており、なお且つ、前記基板面に対して略垂直であり、
前記第1マスク層の側面に対する前記第2マスク層の側面の最大突出長さは、スパッタエッチングのエッチング深さ以上である、
ことを特徴とするスパッタエッチング方法。 - スパッタエッチングを施す基板が内部に配置されるチャンバを備え、
前記チャンバ内にプラズマを生成し、該生成したプラズマを用いて、前記基板の基板面上に配置された請求項1に記載のスパッタエッチング用マスクを介して前記基板にスパッタエッチングを施す、
ことを特徴とするスパッタエッチング装置。
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