JP6932333B2 - 小便器 - Google Patents
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Description
小便器の一例である下記特許文献1の図1に示されているように、小便器は、排尿を受けるボウル部と、このボウル部と連通し臭気の逆流を防ぐトラップとを有する小便器本体と、小便器本体のボウル部への吐水を行う吐水手段と、この吐水手段からの吐水時間を計測および調整する制御手段と、小便器本体の使用を検知する人体検知センサーとを備え、器具排水管によって建物配管に接続されている。
この尿濃度の高い汚水が建物配管に残存することによって、尿石が発生してしまうおそれがある。
そこで、前述した小便器では、人体非検知後にトラップに溜まっている尿を洗浄水によって置換する置換モードを実行した後、主にボウルの洗浄を行う洗浄モードを実行する。
置換モード後に洗浄モード行うことにより、建物配管内で尿濃度が高い汚水の残存を低減することができ、建物配管内での尿石発生のおそれを確実に低減することができる。
しかしながら、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、バイオフィルムが形成された環境下においては、数秒程度の非常に短時間であっても尿石が発生するという新たな知見を見出した。
また、横引配管においても同様の現象が起きるため、横引配管内に比較的高い尿濃度の洗浄水が流入した場合にも、尿石が発生し付着してしまう。
このような節水型のトラップにおいては、使用者の排尿によりトラップ内の洗浄水が置換され、トラップ内の尿濃度が高くなりやすい。
よって、前述の新たな知見に基づけば、トラップ及び横引配管における尿石の発生を抑制することが重要な課題となっている。
また、小便器が複数設置されたトイレルームにおいて、いきなり第3の吐水によりトラップを置換してしまうと、第3の吐水の瞬間流量が高いことにより、トラップ内に存在していた汚水の一部が建物配管の上流側に逆流してしまう。
この逆流した汚水が建物配管内に留まってしまうことにより、建物配管内に尿石が発生しやすくなってしまう。
そこで、請求項1に係る発明の小便器によれば、制御手段が、第1の吐水開始後に人体非検知となった後に行う第2の吐水と、第2の吐水を実行した後に第1の吐水よりも瞬間流量の高い第3の吐水との少なくとも3種類の吐水を実行することにより、第1の吐水と第3の吐水との間に第3の吐水の瞬間流量よりも瞬間流量の低い第2の吐水が実施されるため、第2の吐水によってトラップ内の尿濃度を十分に低下させてから第3の吐水が実行されることになり、尿濃度の高い汚水が建物配管の上流側に逆流してしまう可能性を抑制することができる。
さらに、請求項1に係る発明の小便器によれば、前記人体検知センサーによる人体検知時間が所定の使用時間より長い場合における前記第2の吐水の実行時間が、前記人体検知センサーによる人体検知時間が前記所定の使用時間より短い場合に比べて短いことにより、前述した課題を解決する。人体検知センサーにより人体を検知した後、人体を非検知するまでの間に使用者の動作は、排尿準備、排尿、離反準備に大別できる。
このそれぞれの時間については、統計的に暫定の時間を決めることができる。
そして、排尿時間は生理現象であるため変動幅は小さいが、その他の動作については、比較的変動幅が大きいことが本発明者らによって明らかにされている。
そして、離反準備に時間がかかっている場合を考えると、この離反準備における第1の吐水は、人体非検知後に実行される第2の吐水と同様にトラップ内の尿濃度を下げることに寄与している。
よって、前記人体検知センサーによる人体検知時間が所定の使用時間より長い場合における前記第2の吐水の実行時間が、前記人体検知センサーによる人体検知時間が前記所定の使用時間より短い場合に比べて短くすることで、上記効果に加え、人体検知センサーによる人体検知時間が所定の使用時間より長い場合における第2の吐水の実行時間が、人体検知センサーによる人体検知時間が所定の使用時間より短い場合に比べて短くしたとしても、人体検知中は第1の吐水を実行しており、前述のように所定の使用時間以後の第1の吐水は人体非検知後の第2の吐水と同じ役割を果たすため、トラップ内の尿濃度の増加を抑制することができる。
説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符合を付して、重複する説明は省略する。
図1に示されているように、小便器100は、小便器本体110と、小便器本体110に吐水を供給する吐水手段120と、吐水手段120に給水する給水ユニット130と、建物配管と連通し尿や洗浄水を含む排水を建物配管へ搬送する器具配水管140とを備えている。
小便器本体110は、ボウル部111と、トラップ112と、目皿113とを備えている。
ボウル部111は、小便器本体110の使用者からの尿を受ける部分である。
トラップ112は、建物配管からの臭気の逆流を防ぐ封水を形成すると共に、ボウル部111から流れ込む尿や洗浄水などの排水を器具排水管140に送りだす。
トラップ112は、ボウル部111下部に連なって配置されている。
目皿113は、トラップ入口112aの目隠しを行い、トラップ入口112aの上に設置されている。
吐水手段120は、小便器本体110の上部に設置されており、給水ユニット130に連なっている。
吐水手段120は、瞬間流量の異なる洗浄水をボウル部111に供給するため、異なる2種類の第1吐水口121と、第2吐水口122とを備えている。
第1吐水口121から吐水される洗浄水の瞬間流量は、第2の吐水口122から吐水される洗浄水の瞬間流量よりも小さい。
さらに吐水手段120には、小便器100を使用する際に、人の有無を検知する人体検知センサー123を備えている。
なお、人体検知センサー123は、赤外線センサーであり、後述する給水ユニット130の制御手段131に接続されている。
建築側給水管Aは、壁面WLの裏面側に設置されており、給水源から水を供給し給水ユニット130に送り出す。
給水ユニット130の構成については後述する。
図2は、給水ユニット130の構成を示すブロック図である。
図2に示されているように、給水ユニット130は、制御手段131と、第1の電磁弁132と、第2の電磁弁133とを備えている。
第1の電磁弁132が閉じられていると、建築側給水管Aから供給される洗浄水Wは第1の吐水口121に流れないように止水される。
第1の電磁弁132が開いていると、瞬間流量が少ない洗浄水Wが建築側給水管Aから第1の吐水口121に流れる。
第2の電磁弁133が閉じられていると、建築側給水管Aから供給される洗浄水Wは第2の吐水口122に流れないように止水される。
第2の電磁弁133が開いていると、瞬間流量が大きい洗浄水Wが建築側給水管Aから第2の吐水口122に流れる。
図3は、本発明の一実施形態による小便器100において、使用者がこの小便器100を使用する使用回ごとの、使用者の状態、人体検知センサー123の状態、制御手段131による吐水の状態を示すタイミングチャートである。
この人体検知後から、人体非検知までの時間を「小便器100の使用時間」とする。
小便器100の使用時間が、所定時間tより短い場合(パターンa)と、長い場合(パターンb)について説明する。
パターンaとパターンbの使用時間を区別するため、それぞれの使用時間をTa、Tbとする。
使用者が小便器本体110のボウル部111の前に立つと、人体検知センサー123が使用者の使用を検知している検知状態(時刻T1a)となる。
そして、人体検知センサー123からの検知信号S1が制御手段131に送信される。
この検知信号S1によって、第1の電磁弁132が開き、第1の吐水口121から瞬間流量(Q1)の小さい洗浄水(第1の吐水)が流れる。
この第1の吐水は、使用者の使用中(排尿中)に、洗浄水Wが流れるため、トラップ112内に溜まる汚水の尿濃度を低下させることができる。
つまり、第1の吐水により、トラップ112内での尿石発生のおそれを抑制することができる。
なお、本実施形態では、第1の吐水の瞬間流量Q1[リットル/分]は、好ましくは0.1[リットル/分]〜8.0[リットル/分]に設定され、より好ましくは0.1[リットル/分]〜0.6[リットル/分]に設定され、さらにより好ましくは0.3[リットル/分]に設定される。
このときの使用時間Ta(T2a−T1a)が定めた所定時間tより短い場合(t>Ta)は、時刻T2aとなってから、Xa秒間(例えば13秒)だけ、第1の電磁弁132が開いた状態を継続する。
すなわち、第1の吐水口121から第1の吐水と同じ瞬間流量(Q1)の洗浄水(第2の吐水)が流れる。
この第2の吐水中は排尿が行われていないため、トラップ112に溜まった汚水の尿濃度を第1の吐水の効果に加え、さらに低下させることができる。
制御信号S2により、第1の電磁弁132が閉じられ、第2の吐水が終了する。
第2の吐水に連続して、制御手段131から制御信号S3が送信される。
制御信号S3により、第2の電磁弁133が開かれ、第2の吐水口122から瞬間流量(Q2)が大きい洗浄水(第3の吐水)が流れる。
なお、本実施形態では、第3の吐水の瞬間流量Q2[リットル/分]は、好ましくは8[リットル/分]〜17[リットル/分]、より好ましくは8[リットル/分]〜12[リットル/分]、さらにより好ましくは9[リットル/分]に設定される。
また、第3の吐水により、トラップ112に溜まった汚水が建物配管の排水横枝管へ流しだされる。
パターンaと同様に、人体検知センサー123が人を検知し、人体検知状態(時刻T1b)となると第1の吐水口121から第1の吐水が流れる。
小便器本体110のボウル部111から去ると、人体検知センサー123が非検知状態(時刻T2b)となる。
このときの使用時間Tb(T2b−T2a)が定めた時間tより長い場合(Tb>t)は、時刻T2bとなってから、Xb秒間だけ、第1の電磁弁132が開いた状態を継続する。
すなわち、第1の吐水口121から第1の吐水と同じ瞬間流量(Q1)の洗浄水(第2の吐水)が流れる。
なお、パターンbにおいて第2の吐水を実行する秒数であるXbは、パターンaにおいて第2の吐水を実行する秒数であるXaより短くなっている。
たとえば、Xb=(t+Xa)−Tbであってもよい。
制御信号S2により、第1の電磁弁132が閉じられ、第2の吐水が終了する。
第2の吐水に連続して、制御手段131から制御信号S3が送信される。
制御信号S3により、第2の電磁弁133が開かれ、第2の吐水口122から瞬間流量(Q2)が大きい第3の吐水が流れる。
なお、時刻T3bにおいて、人体非検知状態(T2b)とならない場合は第1の吐水を止めてもよい。
そして、人体非検知後に瞬間流量(Q2)の大きい第3の吐水を流す。
このようにして得られた本発明の実施形態である小便器100は、制御手段131が、人体検知センサー123により人体を検知している間に行う第1の吐水を実行することにより、トラップ112へは尿と共に洗浄水が流入するため、トラップ112内の尿濃度の上昇が抑制され、トラップ112内において尿石が発生することを抑制できる。
さらに、制御手段131が、第1の吐水開始後に人体非検知となった後に行う第2の吐水と、第2の吐水を実行した後に第1の吐水よりも瞬間流量の高い第3の吐水との少なくとも3種類の吐水を実行することにより、第1の吐水と第3の吐水との間に第3の吐水の瞬間流量よりも瞬間流量の低い第2の吐水が実施されるため、第2の吐水によってトラップ112内の尿濃度を十分に低下させてから第3の吐水が実行されることになり、尿濃度の高い汚水が建物配管の上流側に逆流してしまう可能性を抑制することができる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記に限定されるものではない。
110 ・・・ 小便器本体
111 ・・・ ボウル部
112 ・・・ トラップ
113 ・・・ 目皿
120 ・・・ 吐水手段
121 ・・・ 第1の吐水口
122 ・・・ 第2の吐水口
123 ・・・ 人体検知センサー
130 ・・・ 給水ユニット
131 ・・・ 制御手段
132 ・・・ 第1の電磁弁
133 ・・・ 第2の電磁弁
140 ・・・ 器具排水管
A ・・・ 建物側給水管
S1 ・・・ 検知信号
S2 ・・・ 制御信号
S3 ・・・ 制御信号
W ・・・ 洗浄水
T1a、T1b ・・・ 使用開始時間
T2a、T2b ・・・ 小便器離反時間
T3a、T3b ・・・ 第2の吐水終了時間、第3の吐水開始時間
Ta、Tb ・・・ 使用時間
t ・・・ 使用時間の所定時間
Claims (2)
- 排尿を受けるボウル部と該ボウル部と連通し臭気の逆流を防ぐトラップとを有する小便器本体と、前記小便器本体のボウル部への吐水を行う吐水手段と、該吐水手段からの吐水時間を計測および調整する制御手段と、前記小便器本体の使用を検知する人体検知センサーとを備え、建物配管に連結された小便器であって、
前記制御手段が、
前記人体検知センサーにより人体を検知している間に行う第1の吐水と、
前記人体検知センサーにより人体非検知となった後に行う前記第1の吐水と連続する第2の吐水と、
該第2の吐水を実行した後に前記第1の吐水および前記第2の吐水よりも瞬間流量の高い第3の吐水との少なくとも3種類の吐水を実行し、
前記人体検知センサーによる人体検知時間が所定の使用時間より長い場合における前記第2の吐水の実行時間が、前記人体検知センサーによる人体検知時間が前記所定の使用時間より短い場合に比べて短いことを特徴とする小便器。 - 前記第2の吐水に連続して前記第3の吐水が実行されることを特徴とする請求項1に記載の小便器。
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