以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の実施形態である小便器について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態である小便器USを示す断面図である。図1に示されるように、小便器USは、給水ユニット10と、小便器本体20と、給水管30,31(給水手段)と、分岐給水管32(尿濃度低減手段)と、スプレッダー35と、トラップ部TPとを備えている。小便器本体20及び給水ユニット10は、建築躯体の壁面WLに取り付けられている。
小便器本体20は、ボウル部201を備えている。ボウル部201は、小便器本体20の使用者からの尿流を受け止める部分である。使用者から放たれた尿流は、ボウル部201後方のボウル壁面202に当たって下方に流れる。下方に流れた尿流は、ボウル部201の底部に開口した排水口203からトラップ部TPへと流れる。排水口203には目皿204が配置されている。
ボウル部201の後方であって壁面WL側のボウル壁面202上部には、スプレッダー35が取り付けられている。スプレッダー35には給水管31が繋がれていて、給水管31から供給される洗浄水を放出するように構成されている。スプレッダー35が放出する洗浄水は、ボウル壁面202に沿って幅方向(図1の紙面を貫く方向)に広がってボウル壁面202を洗浄する。ボウル壁面202を洗浄した洗浄水は、ボウル部201の底部に開口した排水口203からトラップ部TPへと流れる。
給水管31は、小便器本体20内に配置されている給水管である。給水管31の上流側には給水管30が繋がれている。給水管30は、小便器本体20と給水ユニット10とを繋ぐ給水管である。給水ユニット10は、建築側給水管40に繋がれている。建築側給水管40は、壁面WLの裏面側に配置されており、給水源から水を供給し給水ユニット10に送り出している。給水ユニット10の構成については後述する。
給水管31から分岐するように、分岐給水管32が接続されている。給水管31から分岐した分岐給水管32は、器具排水管50に繋がれている。給水管30から給水管31に供給された洗浄水は、その一部が分岐給水管32に流れ、分岐給水管32から器具排水管50に流れ込む。本実施形態では、給水管31を流れる洗浄水がトラップ部TPに至るタイミングと、分岐給水管32を流れる洗浄水が器具排水管50に至るタイミングとが略同時になるように構成されている。もっとも、分岐給水管32を流れる洗浄水は、トラップ部TPから流れ出る尿を希釈できれば足りるので、このようなタイミングに限られるものではない。例えば、分岐せずに給水管31を流れてトラップ部TPに至る洗浄水よりも、分岐して分岐給水管32を流れて器具排水管50に至る洗浄水が、器具排水管50により早く流れ込むように構成することも好ましいものである。このように構成することで、分岐給水管32から器具排水管50に流れ込む洗浄水を、トラップ部TPから流出する尿よりも先行させて排水横枝管に流しこむことができる。
小便器本体20の排水口203に連通して封水を形成するように、トラップ部TPが配置されている。トラップ部TPは封水を形成すると共に、排水口203から流れ込む尿や洗浄水を排水として器具排水管50側に送り出している。器具排水管50は、壁面WLの裏面側に配置されており、尿や洗浄水を含む排水を更に下流側へと搬送している。トラップ部TPの構成については後述する。
続いて、図2を参照しながら給水ユニット10について説明する。図2は、給水ユニット10の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示されるように、給水ユニット10は、人感センサー101と、制御手段としての制御部102と、調整手段としての電磁弁103とを備えている。
人感センサー101は、小便器USを使用する使用者が、小便器本体20の前に立ったことを検知するためのセンサーである。人感センサー101としては、赤外線センサーやドップラーセンサーといったセンサーが適宜用いられる。人感センサー101は、使用者の検知結果を制御部102に出力する。
制御部102は、人感センサー101の検知結果に基づいて、使用者の排尿を洗浄するように所定のタイミングで、電磁弁103を所定の開度に開いたり閉じたりするための制御信号を出力する。制御部102が出力する制御信号の具体例については後述する。
電磁弁103は、建築側給水管40と給水管30との間に設けられている。電磁弁103が閉じられていると、建築側給水管40から供給される水は給水管30に流れないように止水される。電磁弁103が開いていると、建築側給水管40から供給される水は、電磁弁103の開度に応じた瞬間流量(電磁弁103近傍の管路を通過する際の瞬間流量(m3/s))で給水管30に流れる。
続いて、図3を参照しながらトラップ部TPについて説明する。図3は、トラップ部TPを示す概略図である。図3に示されるように、トラップ部TPは上流側から順に、上流接続部TPaと、上流封水部TPbと、底部TPcと、下流封水部TPdと、下流あふれ部TPeとを備えている。
上流接続部TPaは、ボウル部201の排水口203に繋がる部分である。矢印Aの上流側に排水口203が繋がっており、ボウル部201から排水口203に流れ込んだ尿や洗浄水は矢印Aに沿って上流接続部TPaに流れ込む。
上流封水部TPb、底部TPc、及び下流封水部TPdは、水が溜まるようにU字状を成すように形成されている。上流接続部TPaから流れ込んだ水は、下流あふれ部TPeの下側内壁面であるウェアWよりも下側に溜まるように構成されている。封水深Wdは、ウェアWと、底部TPcの上側内壁面であるディップDとの間の鉛直方向の長さである。従って、上流封水部TPbに溜まる上流封水WS1と、下流封水部TPdに溜まる下流封水WS3とによって封水が形成されている。
本明細書では、底部TPcに溜まる底溜水WS2と、上流封水WS1及び下流封水WS3とを合わせて、トラップ部TPの溜水Wsとしている。本実施形態において、溜水Wsの水量は、約100mLとなるように形成されており、0.5L程度の少水量でも洗浄が可能となっている。尚、節水型ではない通常のタイプのトラップでは、溜水量が約400〜600mLであり、洗浄水量は約1.4Lであるので、本実施形態のトラップ部TPは極めて節水性が向上したものとなっている。尚、本実施形態ではU字型のトラップをトラップ部TPとして採用したけれども、上述した機能を果たす限りその他の形態のトラップを採用することも好ましいものである。
続いて、図4を参照しながら、制御部102が出力する制御信号の具体例について説明する。図4は、人感センサー101及び制御部102の挙動を示すタイミングチャートである。図4の(A)は、人感センサー101から制御部102に出力される検知信号を示し、図4の(B)は、制御部102から電磁弁103に出力される制御信号を示している。
図4の(A)に示されているように、人感センサー101からは、時刻t1から時刻t2にかけて使用者が小便器本体20の前に立っていることを示す検知信号が出力されている。時刻t2を過ぎると検知信号が出力されなくなるので、制御部102は排尿が終わって使用者が立ち去ったと判断する。
図4の(B)に示されているように、制御部102は、時刻t3から時刻t4にかけて電磁弁103を全開するための制御信号「1」を出力する。
このような制御を行った場合、トラップ部TPやその下流の配管内がどのようになっているかについて、図5〜図8を参照しながら説明する。図5は、小便器USに排尿した場合の、トラップ部TP及び器具排水管50の様子を示す概略図である。図6は、小便器USに排尿した場合の、小便器USに繋がっている器具排水管50及び排水横枝管51の内部の様子を示す概略図である。図7は、図5に示す状況から洗浄水を流した場合の、トラップ部TP及び器具排水管50の様子を示す概略図である。図8は、図5に示す状況から洗浄水を流した場合の、器具排水管50及び排水横枝管51の内部の様子を示す概略図である。
小便器USに排尿すると、ボウル部201のボウル壁面202に尿流が当たり、ボウル壁面202を伝って尿が排水口203から下流に流れる。図5の(A)に示されるように、排水口203に入った尿Urは矢印Aに沿ってトラップ部TPに流れ込む。続いて、図5の(B)に示されるように、尿Urの流入によって溜水Wsが下流あふれ部TPeへと押し流される。
続いて、図5の(C)に示されるように、溜水Wsは完全に押し流されて、トラップ部TP内は尿Urによって満たされる。排尿が終了すると、図5の(D)に示されるように、上流封水部TPb、底部TPc、及び下流封水部TPdに尿Urが残存する。図5の(A)から(D)に示した状況は、図4の時刻t1から時刻t2に相当する。
図5の(B)に示したように溜水Wsが矢印B方向に押し流されると、図6の(A)に示されるように、器具排水管50に流れ込む。器具排水管50は排水横枝管51に繋がっているので、溜水Wsは排水横枝管51に流れ込む。図5の(B)では、排尿によって流れ込む尿Urに押し出されて溜水Wsが下流側に流出しているので、その流れる速度は比較的緩やかなものであって、瞬間流量は少ないものである。従って、溜水Wsは排水横枝管51に流れ込んでも、ほとんどの部分が上流側Fに流れることはなく、下流側Eに流れていく。
図6の(B)に示されるように、溜水Wsに続いて尿Urが流れ込んでも、やはりその流れる速度は比較的緩やかなものであって、瞬間流量は少ないものである。従って、尿Urは排水横枝管51に流れ込んでも、ほとんどの部分が上流側Fに流れることはなく、下流側Eに流れていく。
続いて、図4の時刻t3から時刻t4に示すように、制御部102から電磁弁103を全開する制御信号「1」が出力されると、電磁弁103が全開され洗浄水がスプレッダー35からボウル部201のボウル壁面202に沿って流れる。ボウル壁面202を伝って洗浄水が排水口203から下流に流れる。また、電磁弁103が全開されると、分岐給水管32を流れる洗浄水が器具排水管50に供給される。
図7の(A)に示されるように、排水口203に入った洗浄水Wfは矢印Aに沿ってトラップ部TPに流れ込む。続いて、図7の(B)に示されるように、洗浄水Wfの流入によって尿Urが下流あふれ部TPeへと押し流される。下流あふれ部TPeへと押し流された尿Urは、器具排水管50に流れ込む。器具排水管50には、既に分岐給水管32から分岐洗浄水Wf2が流入しているので、尿Urは分岐洗浄水Wf2によって希釈され希釈尿Urdとなって矢印B方向に流れる。尚、本実施形態では、分岐給水管32を器具排水管50に繋げているが、分岐給水管32の接続部位はこれに限られるものではない。トラップ部TPから押し流された尿Urを希釈できる位置であれば、分岐給水管32の接続部位が限定されるものではない。例えば、分岐給水管32を下流あふれ部TPeに繋げて、尿Urを下流あふれ部TPeにおいて希釈尿Urdとすることも好ましい態様である。
続いて、図7の(C)に示されるように、尿Urは完全に押し流されて、トラップ部TP内は洗浄水Wfによって満たされる。洗浄が終了すると、図7の(C)に示されるように、上流封水部TPb、底部TPc、及び下流封水部TPdに洗浄水Wfが溜水Wsとして残存する。図7の(A)から(C)に示した状況は、図4の時刻t3から時刻t4に相当する。
図7の(B)に示したように希釈尿Urdが矢印B方向に押し流されると、図8の(A)に示されるように、器具排水管50の下流側に流れる。器具排水管50は排水横枝管51に繋がっているので、希釈尿Urdは排水横枝管51に流れ込む。図7の(B)では、洗浄水Wfに押し出されて希釈尿Urdが下流側に流出しているので、その流れる速度は比較的速いものであって、瞬間流量は多いものである。従って、希釈尿Urdは排水横枝管51に流れ込むと、上流側Fと下流側Eとに分かれる。
更にトラップ部TPに洗浄水Wfが流入すると、その下流側である器具排水管50から排水横枝管51にも、洗浄水Wfが流れ込む。図8の(B)に示されるように、比較的瞬間流量の多い洗浄水Wfが流れ込むと、希釈尿Urdを、上流側Fに逆流した希釈尿Urd1と下流側Eに流れた希釈尿Urd2とに分断する。
洗浄水Wfの供給が終了すると、図8の(C)に示されるように、洗浄水Wfは下流側Eに流れた希釈尿Urd2と共に下流側Eへと流れていく。そのため、上流側Fに逆流した希釈尿Urd1は洗浄水Wfに流されることなく取り残される。残留した希釈尿Urd1は、排水横枝管51の内側管壁に付着して停滞することなく流れる場合もあれば、図8の(D)に示されるように排水横枝管51の内側管壁に付着して停滞する場合もある。図8の(D)に示されるように、希釈尿Urd1が残留してもその尿濃度が低いため、排水横枝管51への尿石の発生を著しく低減することができる。
本実施形態の小便器USでは、尿濃度低減手段として、分岐給水管32を設けている。分岐給水管32は、給水管31の途中から分岐して器具排水管50に接続される管路であって、分岐洗浄水Wf2をトラップ部TPを経由せずに器具排水管50に供給するものである。従って、分岐給水管32を設けるという極めて簡易な構成で、尿濃度低減手段を構成することができ、排水横枝管51における尿石の発生を極めて効果的に抑制することができる。
ところで、尿濃度低減手段としては、このように分岐給水管32を単に設けるといった構成に限られるものではない。本実施形態の変形例としての小便器USaについて、図9を参照しながら説明する。図9は、本実施形態の変形例である小便器USaを示す断面図である。図9に示されるように、小便器USaは、給水ユニット10a(尿濃度低減手段)と、小便器本体20と、給水管30,31(給水手段)と、分岐給水管32a(尿濃度低減手段)と、スプレッダー35と、トラップ部TPとを備えている。小便器本体20及び給水ユニット10aは、建築躯体の壁面WLに取り付けられている。
小便器本体20は、ボウル部201を備えている。ボウル部201は、小便器本体20の使用者からの尿流を受け止める部分である。使用者から放たれた尿流は、ボウル部201後方のボウル壁面202に当たって下方に流れる。下方に流れた尿流は、ボウル部201の底部に開口した排水口203からトラップ部TPへと流れる。排水口203には目皿204が配置されている。
ボウル部201の後方であって壁面WL側のボウル壁面202上部には、スプレッダー35が取り付けられている。スプレッダー35には給水管31が繋がれていて、給水管31から供給される洗浄水を放出するように構成されている。スプレッダー35が放出する洗浄水は、ボウル壁面202に沿って幅方向(図9の紙面を貫く方向)に広がってボウル壁面202を洗浄する。ボウル壁面202を洗浄した洗浄水は、ボウル部201の底部に開口した排水口203からトラップ部TPへと流れる。
給水管31は、小便器本体20内に配置されている給水管である。給水管31の上流側には給水管30が繋がれている。給水管30は、小便器本体20と給水ユニット10aとを繋ぐ給水管である。給水ユニット10aは、建築側給水管40に繋がれている。建築側給水管40は、壁面WLの裏面側に配置されており、給水源から水を供給し給水ユニット10aに送り出している。給水ユニット10aの構成については後述する。
給水管30とは異なる給水管が、分岐給水管32aとしてその一端が給水ユニット10aに繋がれている。分岐給水管32aの他端は、器具排水管50に繋がれている。本実施形態では、給水管31を流れる洗浄水がトラップ部TPに至るタイミングと、分岐給水管32aを流れる洗浄水が器具排水管50に至るタイミングとが調整可能なように構成されている。給水管31を流れる洗浄水がトラップ部TPに至るタイミングと、分岐給水管32aを流れる洗浄水が器具排水管50に至るタイミングとは、上述した小便器USのように略同時になるように構成されることも好ましい。もっとも、分岐給水管32aを流れる洗浄水は、トラップ部TPから流れ出る尿を希釈できればよいので、このようなタイミングに限られるものではない。給水管31を流れる洗浄水がトラップ部TPに至るタイミングと、分岐給水管32aを流れる洗浄水が器具排水管50に至るタイミングとをどのように制御するかについて、その詳細は後述する。
小便器本体20の排水口203に連通して封水を形成するように、トラップ部TPが配置されている。トラップ部TPは封水を形成すると共に、排水口203から流れ込む尿や洗浄水を排水として器具排水管50側に送り出している。器具排水管50は、壁面WLの裏面側に配置されており、尿や洗浄水を含む排水を更に下流側へと搬送している。トラップ部TPの構成は、図3を参照しながら説明したものと同様であるので省略する。
続いて、図10を参照しながら給水ユニット10aについて説明する。図10は、給水ユニット10aの機能的な構成を示すブロック図である。図10に示されるように、給水ユニット10aは、人感センサー101と、制御手段としての制御部102aと、調整手段としての電磁弁103a及び電磁弁103bと、を備えている。
人感センサー101は、小便器USaを使用する使用者が、小便器本体20の前に立ったことを検知するためのセンサーである。人感センサー101としては、赤外線センサーやドップラーセンサーといったセンサーが適宜用いられる。人感センサー101は、使用者の検知結果を制御部102aに出力する。
制御部102aは、人感センサー101の検知結果に基づいて、使用者の排尿を洗浄するように所定のタイミングで、電磁弁103aと電磁弁103bとのそれぞれを所定の開度に開いたり閉じたりするための制御信号を出力する。制御部102aが出力する制御信号の具体例については後述する。
電磁弁103aは、建築側給水管40と給水管30との間に設けられている。電磁弁103aが閉じられていると、建築側給水管40から供給される水は給水管30に流れないように止水される。電磁弁103aが開いていると、建築側給水管40から供給される水は、電磁弁103aの開度に応じた瞬間流量(電磁弁103a近傍の管路を通過する際の瞬間流量(m3/s))で給水管30に流れる。
電磁弁103bは、建築側給水管40と分岐給水管32aとの間に設けられている。電磁弁103bが閉じられていると、建築側給水管40から供給される水は分岐給水管32aに流れないように止水される。電磁弁103bが開いていると、建築側給水管40から供給される水は、電磁弁103bの開度に応じた瞬間流量(電磁弁103b近傍の管路を通過する際の瞬間流量(m3/s))で分岐給水管32aに流れる。
続いて、図11を参照しながら、制御部102aが出力する制御信号の具体的な一例について説明する。図11は、人感センサー101及び制御部102aの挙動を示すタイミングチャートである。図11の(A)は、人感センサー101から制御部102aに出力される検知信号を示し、図11の(B)は、制御部102aから電磁弁103aに出力される制御信号を示し、図11の(C)は、制御部102aから電磁弁103bに出力される制御信号を示している。
図11の(A)に示されているように、人感センサー101からは、時刻t1から時刻t2にかけて使用者が小便器本体20の前に立っていることを示す検知信号が出力されている。時刻t2を過ぎると検知信号が出力されなくなるので、制御部102aは排尿が終わって使用者が立ち去ったと判断する。
図11の(B)に示されているように、制御部102aは、時刻t4から時刻t6にかけて電磁弁103aを全開するための制御信号「1」を電磁弁103aに出力する。図11の(C)に示されているように、制御部102aは、時刻t3から時刻t5にかけて電磁弁103bを全開するための制御信号「1」を電磁弁103bに出力する。
時刻t3は時刻t4よりも前の時刻なので、電磁弁103bは電磁弁103aよりも先に全開にされる。また、時刻t5は時刻t6よりも前の時刻なので、電磁弁103bは電磁弁103aよりも先に閉じられる。従って、トラップ部TPに洗浄水Wfが供給されるタイミングと略同時か、やや先行するタイミングで、分岐洗浄水Wf2が器具排水管50に供給される。また、トラップ部TPに貯留されている尿Urが流れ去ったタイミングに時刻t5を対応させることで、トラップ部TPに貯留されている尿Urが置換されるタイミングで分岐給水管32aからの分岐洗浄水Wf2の供給が停止される。このような制御を行うと、トラップ部TPやその下流の配管内は、図5〜図8を参照しながら説明した状態と略同じ状態となる。
図11に示したタイミングチャートに従った制御を行えば、分岐給水管32aからは時刻t5から時刻t6にかけて給水されないようにすることができるので、水の使用量を全体としてより低減することができる。このように節水を図るという観点からは、分岐給水管32aから供給される分岐洗浄水Wf2が、トラップ部TPから流れ出る尿Urの一部を希釈するように構成することも好ましいものである。このような制御について、図12を参照しながら説明する。
図12は、人感センサー101及び制御部102aの挙動を示すタイミングチャートである。図11の(A)は、人感センサー101から制御部102aに出力される検知信号を示し、図11の(B)は、制御部102aから電磁弁103aに出力される制御信号を示し、図11の(C)は、制御部102aから電磁弁103bに出力される制御信号を示している。
図12の(A)に示されているように、人感センサー101からは、時刻t1から時刻t2にかけて使用者が小便器本体20の前に立っていることを示す検知信号が出力されている。時刻t2を過ぎると検知信号が出力されなくなるので、制御部102aは排尿が終わって使用者が立ち去ったと判断する。
図12の(B)に示されているように、制御部102aは、時刻t4から時刻t6にかけて電磁弁103aを全開するための制御信号「1」を電磁弁103aに出力する。図12の(C)に示されているように、制御部102aは、時刻t3から時刻t5´にかけて電磁弁103bを全開するための制御信号「1」を電磁弁103bに出力する。
時刻t3は時刻t4よりも前の時刻なので、電磁弁103bは電磁弁103aよりも先に全開にされる。また、時刻t5´は時刻t6よりも前の時刻なので、電磁弁103bは電磁弁103aよりも先に閉じられる。更に、時刻t5´は、図11に示した時刻t5よりも時刻t4に近接した時刻となっている。従って、トラップ部TPに洗浄水Wfが供給されるタイミングと略同時か、やや先行するタイミングで、分岐洗浄水Wf2が器具排水管50に供給される。また、トラップ部TPに貯留されている尿Urが流れ出た最初の部分に対してのみ分岐洗浄水Wf2が供給されるように時刻t5´を対応させることで、トラップ部TPに貯留されている尿Urの一部が置換されるタイミングで分岐給水管32aからの分岐洗浄水Wf2の供給が停止される。
このような制御を行った場合、トラップ部TPやその下流の配管内がどのようになっているかについて、図13〜図14を参照しながら説明する。図13は、小便器USに排尿した場合の、トラップ部TP及び器具排水管50の様子を示す概略図である。図14は、小便器USに排尿した場合の、小便器USに繋がっている器具排水管50及び排水横枝管51の内部の様子を示す概略図である。図12に示す時刻t1から時刻t2における状況は、図5及び図6を参照しながら説明したものと同様であるのでその説明を省略する。
図12の時刻t3から時刻t6における状況について説明する。図13の(A)に示されるように、排水口203に入った洗浄水Wfは矢印Aに沿ってトラップ部TPに流れ込む。続いて、図13の(B)に示されるように、洗浄水Wfの流入によって尿Urが下流あふれ部TPeへと押し流される。下流あふれ部TPeへと押し流された尿Urは、器具排水管50に流れ込む。器具排水管50には、分岐給水管32aから分岐洗浄水Wf2が流入しているので、尿Urは分岐洗浄水Wf2によって希釈され希釈尿Urdとなって矢印B方向に流れる。
本例の場合、分岐給水管32aから分岐洗浄水Wf2が供給されるのは、時刻t3から時刻t5´までの短い時間であるので、トラップ部TPに貯留されていた尿Urの全てが分岐洗浄水Wf2によって希釈されるものではない。図13の(B)に示されるように、トラップ部TPに貯留されていた尿Urの一部を希釈した段階で、分岐給水管32aからの分岐洗浄水Wf2の供給は停止される。
続いて、図13の(C)に示されるように、尿Urは完全に押し流されて、トラップ部TP内は洗浄水Wfによって満たされる。洗浄が終了すると、図13の(C)に示されるように、上流封水部TPb、底部TPc、及び下流封水部TPdに洗浄水Wfが溜水Wsとして残存する。図13の(A)から(C)に示した状況は、図12の時刻t3から時刻t6に相当する。
図13の(B)に示したように希釈尿Urd及び尿Urが矢印B方向に押し流されると、図14の(A)に示されるように、器具排水管50の下流側に流れる。器具排水管50は排水横枝管51に繋がっているので、希釈尿Urdは排水横枝管51に流れ込む。本例の場合、希釈尿Urdに続いて希釈されていない尿Urが流れ出てくることになり、器具排水管50から排水横枝管51に流れ込む。
図13の(B)では、洗浄水Wfに押し出されて希釈尿Urd及び尿Urが下流側に流出しているので、その流れる速度は比較的速いものであって、瞬間流量は多いものである。従って、希釈尿Urd及び尿Urは排水横枝管51に流れ込むと、上流側Fと下流側Eとに分かれる。
更にトラップ部TPに洗浄水Wfが流入すると、その下流側である器具排水管50から排水横枝管51にも、洗浄水Wfが流れ込む。図14の(B)に示されるように、比較的瞬間流量の多い洗浄水Wfが流れ込むと、希釈尿Urd及び尿Urを、上流側Fに逆流した希釈尿Urd1及び尿Ur1と、下流側Eに流れた希釈尿Urd2及び尿Ur2とに分断する。上流側Fに逆流した希釈尿Urd1は、上流側Fに逆流した尿Ur1よりも更に上流に位置するように逆流する。下流側Eに流れた希釈尿Urd2は、下流側Eに流れた尿Ur2よりも下流側に位置する。
洗浄水Wfの供給が終了すると、図14の(C)に示されるように、洗浄水Wfは下流側Eに流れた希釈尿Urd2及び尿Ur2と共に下流側Eへと流れていく。そのため、上流側Fに逆流した希釈尿Urd1及び尿Urは洗浄水Wfに流されることなく取り残される。残留した希釈尿Urd1は、図14の(D)に示されるように排水横枝管51の内側管壁に付着して停滞することなく流れる場合もあれば、排水横枝管51の内側管壁に付着して停滞する場合もある。図14の(D)に示されるように、残留した希釈尿Urd1のほとんど全てが下流側Eに流れていき、尿Ur1を押し流しながら流れ去れば、排水横枝管51への尿石の発生を著しく低減することができる。一方、排水横枝管51の内側管壁に付着して停滞した場合であっても、希釈尿Urd1によって尿Ur1が希釈されるため、希釈尿Urd1及び尿Ur1が混合された液体が残留してもその尿濃度が低くなり、排水横枝管51への尿石の発生を著しく低減することができる。
更に、水の使用量を減らしながらも、排水横枝管51への尿石の発生を効果的に抑制する観点からは、より節水に配慮した制御態様も採用することができる。このような制御について、図15を参照しながら説明する。
図15は、人感センサー101及び制御部102aの挙動を示すタイミングチャートである。図15の(A)は、人感センサー101から制御部102aに出力される検知信号を示し、図15の(B)は、制御部102aから電磁弁103aに出力される制御信号を示し、図15の(C)は、制御部102aから電磁弁103bに出力される制御信号を示している。
図15の(A)に示されているように、人感センサー101からは、時刻t1から時刻t2にかけて使用者が小便器本体20の前に立っていることを示す検知信号が出力されている。時刻t2を過ぎると検知信号が出力されなくなるので、制御部102aは排尿が終わって使用者が立ち去ったと判断する。
図15の(B)に示されているように、制御部102aは、時刻t4から時刻t5にかけて電磁弁103aを全開に対して80%開くための制御信号「0.8」を電磁弁103aに出力する。続いて、制御部102aは、時刻t5から時刻t6にかけて電磁弁103aを全開するための制御信号「1」を電磁弁103aに出力する。図15の(C)に示されているように、制御部102aは、時刻t3から時刻t5にかけて電磁弁103bを全開するための制御信号「1」を電磁弁103bに出力する。
時刻t3は時刻t4よりも前の時刻なので、電磁弁103bは電磁弁103aよりも先に全開にされる。また、時刻t5は時刻t6よりも前の時刻なので、電磁弁103bは電磁弁103aよりも先に閉じられる。従って、トラップ部TPに洗浄水Wfが供給されるタイミングと略同時か、やや先行するタイミングで、分岐洗浄水Wf2が器具排水管50に供給される。時刻t4から時刻t5においては、電磁弁103aは80%の開度で開かれているから、トラップTPへの供給水量は少なくなる。しかしながら、この時間帯においては、トラップ部TPに残っている尿Urを置換すれば足りるので、全体としての使用水量を低減することができる。このようにトラップ部TPに供給される瞬間水量が低減されたとしても、尿Urを希釈するための分岐洗浄水Wf2は供給されるので、尿Urを確実に希釈し希釈尿Urdとして下流側に流すことができる。
更にこのような制御を行うと、排水横枝管51における希釈尿Urdの流出をより円滑なものとすることができる。図16に、排水横枝管51における希釈尿Urd流出の様子示す。図16の(A)に示されるように、器具排水管50の下流側に希釈尿Urdが流れると、それよりも先行し且つ瞬間流量の多い分岐洗浄水Wf2が流れている。器具排水管50は排水横枝管51に繋がっているので、希釈尿Urd及び分岐洗浄水Wf2は排水横枝管51に流れ込む。洗浄水Wfに押し出されて希釈尿Urdが下流側に流出しているので、その流れる速度は比較的速いものであって、瞬間流量は多いものである。これに対して、分岐洗浄水Wf2はより速く且つ瞬間流量が多くなるように流れている。従って、希釈尿Urdは排水横枝管51に流れ込むと、上流側Fと下流側Eとに分かれ、それに先行して分岐洗浄水Wf2が流れ込んでいる。
更にトラップ部TPに洗浄水Wfが流入すると、その下流側である器具排水管50から排水横枝管51にも、洗浄水Wfが流れ込む。図16の(B)に示されるように、比較的瞬間流量の多い洗浄水Wfが流れ込むと、希釈尿Urdを上流側Fに逆流した希釈尿Urd1と下流側Eに流れた希釈尿Urd2とに分断する。これに対して、分岐洗浄水Wf2はより速く且つ瞬間流量が多くなるように流れているので、希釈尿Urd1及び希釈尿Urd2に先行して分岐洗浄水Wf2が流れ込んでいる。
洗浄水Wfの供給が終了すると、図16の(C)に示されるように、洗浄水Wfは下流側Eに流れた希釈尿Urd2と共に下流側Eへと流れていく。そのため、上流側Fに逆流した希釈尿Urd1は洗浄水Wfに流されることなく取り残される。残留した希釈尿Urd1は、図16の(D)に示されるように排水横枝管51の内側管壁に付着して停滞することなく流れる場合もあれば、排水横枝管51の内側管壁に付着して停滞する場合もある。図16の(D)に示されるように、残留した分岐洗浄水Wf2が下流側Eに流れていき、希釈尿Urd1を押し流しながら流れ去れば、排水横枝管51への尿石の発生を著しく低減することができる。一方、排水横枝管51の内側管壁に付着して停滞した場合であっても、分岐洗浄水Wf2によって希釈尿Urd1が更に希釈されるため、分岐洗浄水Wf2及び希釈尿Urd1が混合された液体が残留してもその尿濃度が極めて低くなり、排水横枝管51への尿石の発生を著しく低減することができる。
上述したように本実施形態に係る小便器US,USaは、トイレに設置され、器具排水管50によって排水横枝管51に接続される小便器である。小便器USは、(1)尿流を受けるボウル部201と、このボウル部201の底部に開口した排水口203と、この排水口203に連通し封水を形成するトラップ部TPと、を有する小便器本体20と、(2)ボウル部201に洗浄水を供給するための給水手段としての給水管30,31と、(3)トラップ部TPから排水横枝管51に向けて流れる排水の尿濃度を低減するための尿濃度低減手段としての分岐給水管32と、を備えている。小便器USaは、(1A)尿流を受けるボウル部201と、このボウル部201の底部に開口した排水口203と、この排水口203に連通し封水を形成するトラップ部TPと、を有する小便器本体20と、(2A)ボウル部201に洗浄水を供給するための給水手段としての給水管30,31と、(3A)トラップ部TPから排水横枝管51に向けて流れる排水の尿濃度を低減するための尿濃度低減手段としての給水ユニット10a及び分岐給水管32aと、を備えている。小便器USの尿濃度低減手段として機能する分岐給水管32や、小便器USaの尿濃度低減手段として機能する給水ユニット10a及び分岐給水管32aは、トラップ部TPから排水横枝管51に至る間の流路(トラップTPの下流あふれ部TPeや器具排水管50)に注水することで、排水の尿濃度を低減する。
本実施形態に係る小便器US,USaでは、トラップ部TPから排水横枝管51に向けて流れる排水の尿濃度を低減するための尿濃度低減手段(分岐給水管32や、給水ユニット10a及び分岐給水管32a)を備えているので、トラップ部TPの溜水量を低減した節水型のトラップ部を形成しても、そのトラップ部TPから流出する排水の尿濃度を低減させて希釈尿Urdとして排水横枝管51に流すことができる。尿濃度低減手段は、トラップ部TPから排水横枝管51に至る間の流路に注水することで排水の尿濃度を低減するので、尿濃度の高い排水が流れる流路に注水するという簡易且つ確実な手段によって尿濃度の低減を実現することができる。従って、排水横枝管51に流れ込む排水(希釈尿Urd)の尿濃度を抑制することができ、節水性能は確保しつつも、排水横枝管51内における尿石の発生を抑制することが可能な小便器を提供することができる。
また本実施形態に係る小便器USaにおいては、尿濃度低減手段としての給水ユニット10a及び分岐給水管32aは、トラップ部TPから排水が流出する初期段階においてのみ注水する(図11〜図15参照)。
このように、トラップ部TPから排水が流出する初期段階においてのみ、トラップ部TPから排水横枝管51に至る間の流路に注水するので、トラップ部TPから初期段階に流出する尿濃度の高い排水を希釈し、排水横枝管51には尿濃度の低い排水(希釈尿Urd)を流し込むことができる。従って、排水横枝管51において一時的に逆流したとしても、尿濃度の低い排水が逆流するので、排水横枝管51の管壁に尿成分が残留して尿石が発生することがなく、その尿濃度の低い排水は下流側へと流れるように構成される。尿濃度低減手段による注水は、トラップ部TPから排水が流出する初期段階においてのみ行われるので、上述したような尿濃度の高い排水を希釈して下流側に流し易くする効果を発揮しつつ、無駄な注水を行うことなく節水に寄与することができる。
また本実施形態に係る小便器US,USaにおいては、尿濃度低減手段(分岐給水管32や、給水ユニット10a及び分岐給水管32a)は、トラップ部TPから流出する排水が排水横枝管51に至る前に、その排水に先行させて注水する(図7及び図13参照)。
このように、トラップ部TPから流出する排水が排水横枝管51に至る前に、その排水に先行させて注水するので、確実にトラップ部TPから初期段階に流出する尿濃度の高い排水を希釈し、排水横枝管51には尿濃度の低い排水(希釈尿Urd)を流し込むことができる。従って、排水横枝管51において一時的に逆流したとしても、確実に尿濃度の低い排水(希釈尿Urd)が少なくとも先行して逆流するので、排水横枝管51の管壁に尿成分が残留して尿石が発生することがなく、その尿濃度の低い排水は下流側へと流れるように構成される。
また本実施形態に係る小便器USaにおいては、尿濃度低減手段としての給水ユニット10a及び分岐給水管32aは、トラップ部TPから下流側に流出する排水の瞬間流量よりも、トラップ部TPから排水横枝管51に至る間の流路に向かう水の瞬間流量が上回るように注水することも好ましい(図15及び図16参照)。
このように、トラップ部TPから下流側に流出する排水の瞬間流量よりも、トラップ部TPから排水横枝管51に至る間の流路に向かう水の瞬間流量が上回るように注水するので、排水横枝管51には尿濃度が希釈された排水(希釈尿Urd)に先行して水(分岐洗浄水Wf2)が流れ込むように構成される。このように構成することで、排水横枝管51に流れ込んだ水の方を、後続する尿濃度が希釈された排水よりも確実に上流まで逆流させることができる。従って、排水横枝管51において水や排水が一時的に逆流したとしても、水の方が、尿濃度が希釈された排水よりも更に上流側に逆流するので、水によって尿濃度が希釈された排水を流すように構成することができ、排水横枝管51の管壁に尿成分が残留して尿石が発生することをより確実に防止できる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。