JP6926891B2 - 対象物の処理方法、仮固定用組成物、半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

対象物の処理方法、仮固定用組成物、半導体装置およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体ウエハ等の対象物をガラス基板等の支持体上に仮固定材を介して接合した状態で、対象物に対して加工処理を行う方法等の、対象物の処理方法、仮固定用組成物、半導体装置およびその製造方法に関する。
半導体ウエハ等の処理対象物をガラス基板等の支持体上に仮固定材を介して接合した状態で、対象物に対して、裏面研削およびフォトファブリケーション等の加工処理を行う方法が提案されている。仮固定材には、加工処理中において支持体上に対象物を仮固定することができ、加工処理後には支持体と対象物とを容易に分離できることが必要である。
分離処理において、紫外線および赤外線等の放射エネルギーを、支持体と仮固定材と対象物とを有する積層体中の前記仮固定材に照射することによって、仮固定材の接着力を低減させて、続いて支持体と対象物とを分離する方法が提案されている(特許文献1〜3参照)。仮固定材に光照射してその接着力を低減させた後、または光照射を行いながら、支持体と対象物とを分離する方法を、以下「光照射分離法」ともいう。
特許文献1〜3には、光照射分離法で使用される仮固定材が開示されている。ここで、特許文献1の前記仮固定材は、接合層および剥離層を有し、特許文献2の前記仮固定材は、接着層と、光吸収性を有する重合体を含有する分離層とを有し、特許文献3の前記仮固定材は、粘着層、光遮断層および光熱変換層を有する。
米国公開特許第2014/0106473号公報 特開2012−106486号公報 特開2011−076767号公報
加工対象物は、光照射分離法で使用される光により劣化することがあるため、前記光を仮固定材で充分に吸収させることにより、前記光が対象物に到達するのを防止して、対象物が劣化することを防止する必要がある。しかしながら、仮固定材は加工処理中の熱により劣化することがあり、その結果、仮固定材は前記光を充分に吸収できず、前記光が対象物に到達する、あるいは剥離が良好に行えないという問題がある。
本発明の課題は、仮固定材を介して支持体上に処理対象物を仮固定した状態で対象物の加工・移動処理を行い、続いて光照射分離法により支持体と対象物とを分離する方法において、前記対象物の光劣化を防止でき、また前記分離を良好に行える方法を提供することを課題とする。
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下の構成を有する対象物の処理方法により前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、例えば以下の[1]〜[14]に関する。
[1](1)支持体と仮固定材と処理対象物とを有する積層体を形成する工程、ここで前記仮固定材は、少なくとも、式(A1)に示す部分構造を有する重合体(A)を含有する組成物から形成された層(I)を有しており、かつ前記対象物は前記仮固定材上に保持されており;(2)前記対象物を加工し、および/または前記積層体を移動する工程;(3)前記支持体側から、前記層(I)に光を照射する工程;ならびに(4)前記支持体と前記対象物とを分離する工程;を有する、対象物の処理方法。
Figure 0006926891
[式(A1)中、Ar1は、芳香族環を有する2価の基であり、Nは、Ar1中の芳香族環に結合し、Ar2は、O、NおよびR1,R2が結合する炭素原子とともにジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造を構成する芳香族環を有する3価の基であり、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、前記炭化水素基はハロゲン化されていてもよい。]
[2]前記仮固定材が、接着剤層(II)をさらに有する前記[1]に記載の対象物の処理方法。
[3]前記積層体が、前記支持体、前記層(I)、前記接着剤層(II)および前記処理対象物の順に前記各要素を有する前記[2]に記載の対象物の処理方法。
[4]前記工程(1)において、仮固定材上に配線層を少なくとも有する処理対象物を形成する前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の対象物の処理方法。
[5]前記工程(2)における加工が、前記配線層上に半導体ウエハおよび半導体チップから選ばれる少なくとも1種を配置することを含む前記[4]に記載の対象物の処理方法。
[6]前記工程(3)における光が、紫外線である前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の対象物の処理方法。
[7]前記紫外線が、波長300〜400nmの紫外線である前記[6]に記載の対象物の処理方法。
[8]前記層(I)の厚さが、0.01〜500μmである前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の対象物の処理方法。
[9]少なくとも、前記式(A1)に示す部分構造を有する重合体(A)を含有する仮固定用組成物。
[10]溶剤をさらに含有する前記[9]に記載の仮固定用組成物。
[11]前記仮固定用組成物の固形分100質量%中、前記重合体(A)の含有割合が、20質量%以上である前記[9]または[10]に記載の仮固定用組成物。
[12]前記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の処理方法により対象物を加工して、半導体装置を製造する、半導体装置の製造方法。
[13](1)支持体と仮固定材と配線層とを有する積層体を形成する工程、ここで前記仮固定材は、少なくとも、前記式(A1)に示す部分構造を有する重合体(A)を含有する組成物から形成された層(I)を有しており、かつ前記配線層は前記仮固定材上に保持されており;(2)前記配線層上に半導体ウエハおよび半導体チップから選ばれる少なくとも1種を配置することを含む工程;(3)前記支持体側から、前記層(I)に光を照射する工程;ならびに(4)前記支持体と前記配線層とを分離する工程;を有する、半導体装置の製造方法。
[14]前記[12]または[13]に記載の製造方法によって得られる半導体装置。
本発明によれば、仮固定材を介して支持体上に処理対象物を仮固定した状態で対象物の加工・移動処理を行い、続いて光照射分離法により支持体と対象物とを分離する方法において、前記対象物の光劣化を防止でき、また前記分離を良好に行える方法を提供することができる。
以下、本発明で形成される積層体について、前記積層体を構成する仮固定材の原料組成物である仮固定用組成物を含めて説明した後、対象物の処理方法、ならびに半導体装置およびその製造方法について説明する。
本明細書で例示する各成分、例えば組成物中の各成分は、特に言及しない限り、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において仮固定材とは、処理対象物を加工および/または移動するに際して、支持体から対象物がずれて動かないように支持体上に対象物を仮固定するために用いられる材料のことである。処理対象物とは、後述する工程(2)での加工処理や移動処理を受ける対象物を意味し(例えば後述する工程(1)や(2)での段階)、また、前記処理を受けた後の対象物を意味する場合もある(例えば後述する工程(3)や(4)での段階)。以下、処理対象物を単に「対象物」ともいう。
1.積層体
本発明で形成される積層体は、支持体と仮固定材と処理対象物とを有しており、例えば、加工または移動対象である処理対象物が、仮固定材を介して、支持体上に仮固定されている。仮固定材は、後述する重合体(A)を含有する組成物から形成された層(I)(以下「分離層(I)」ともいう)を有し、一実施形態においては、分離層(I)と、さらに接着剤層(II)とを有する。前記積層体は、支持体、分離層(I)、接着剤層(II)および対象物の順に前記各要素を有することが好ましい。
分離層(I)は、以下に説明する重合体(A)を含有する組成物から形成される。分離層(I)に後述する光を照射すると、重合体(A)およびその架橋体が当該光を吸収し、分解または変質する。この分解または変質により、分離層(I)の強度または接着力が光照射の前後で低下する。積層体に外力を加えることにより、分離層(I)内で凝集破壊が起こり、または分離層(I)と当該層に接する層との間で界面破壊が起こる。したがって、光照射処理後の積層体に外力を加えることにより、支持体と対象物とを容易に分離することができる。
仮固定材は、分離層(I)に加えて、この層(I)に直接接してまたは他の層を挟んで形成された接着剤層(II)を有してもよい。このように2層以上の層を有する仮固定材は、例えば対象物が有する回路面の保護、支持体と対象物との接着性・分離性、光照射処理時に使用される光の遮断性、および加工処理時・光照射処理時における耐熱性等の機能をバランス良く有することができる。
仮固定材は、層(I)および層(II)の他に、任意の他の層を有していてもよい。支持体、分離層(I)、接着剤層(II)および対象物の順に前記各要素を有する積層体の場合は、例えば層(I)と層(II)との間に中間層を設けてもよく、また層(I)と支持体との間または層(II)と対象物との間に他の層を設けてもよい。特に、層(I)および層(II)からなる2層の仮固定材が好ましい。
仮固定材の全厚さは、通常は0.02〜1000μm、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.2〜300μmである。また、層(I)および層(II)の各層の厚さは、それぞれ独立に、通常は0.01〜500μm、好ましくは0.05〜250μm、より好ましくは0.1〜150μmである。これらの厚さが前記範囲にあると、仮固定材が対象物を仮固定するための充分な保持力を有し、加工処理または移動処理中に仮固定面から対象物が脱落することもない。
仮固定材は、現代の経済活動の場面で要求される様々な加工処理、例えば各種材料表面の微細化加工処理、各種表面実装、半導体ウエハおよび半導体チップの運搬等の際に、対象物の仮止め材として好適に用いられる。
〔分離層(I)〕
分離層(I)は、少なくとも、以下に説明する式(A1)に示す部分構造を有する重合体(A)を含有する仮固定用組成物から形成される。仮固定用組成物は、溶剤を含有してもよい。
加工対象物の一例である半導体ウエハおよび半導体チップは、一般的に光に弱く、光照射を受けると劣化することがある。光照射分離法で使用される光が対象物に到達しないよう、仮固定材は前記光を遮断する必要がある。また、対象物を支持体上に仮固定した状態で行われる加工処理、例えばメッキ処理等の高温処理の後であっても、仮固定材は前記光を遮断できることが好ましい。
分離層(I)は、光照射処理で使用される光に対する光透過率が低い。すなわち分離層(I)は、光照射処理で使用される光の波長における光透過率が、例えば波長355nmにおける光透過率が、通常は60%T以下、好ましくは10%T以下、より好ましくは5%T以下、さらに好ましくは1%T以下である。
分離層(I)は、例えば350℃程度の高温処理を受けた後であっても、光照射処理で使用される光に対する低い光透過率を維持することができる。すなわち分離層(I)を、温度350℃で10分間加熱処理した後の、光照射処理で使用される光の波長における光透過率と、前記加熱処理前の光透過率との絶対値差は、例えば波長355nmにおける光透過率の前記絶対値差は、好ましくは10%T以下、より好ましくは5%T以下、さらに好ましくは1%T以下である。
分離層(I)の光透過率は、以下のようにして測定することができる。透明な基板および分離層(I)からなる積層体を形成する。前記積層体について、分光光度計を用い、必要に応じて前記基板についてベースライン補正をして前記積層体の光透過率(%T)を測定し、分離層(I)の光透過率(%)を得る。
このように、分離層(I)では、加工処理中の熱による劣化が防止され、加工処理後においても遮光性を維持できる。よって、分離層(I)は、光照射処理で使用される光が加工対象の対象物に到達することを防ぐことができ、前記対象物の劣化を防ぐことができる。また、分離層(I)は、加工処理中に用いられることのある薬品に対する耐性(耐薬品性)も有する。
前記効果が発現する推定理由について以下に説明する。
重合体(A)は、ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造を有し、かつAr1中に芳香族環を有することから、耐熱性が高い。また、重合体(A)を含有する組成物から形成される分離層(I)は、通常、重合体(A)のジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造が開環重合(架橋)して形成されている。したがって、(1)架橋後の構造は、芳香族環が近接した構造を取ることが可能であることから、遮光性に優れ;(2)重合体(A)は架橋性基(ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造)を多く有するといえることから、架橋後の分離層(I)は架橋密度が高く、耐薬品性が高い。
〈重合体(A)〉
重合体(A)は、式(A1)に示す部分構造を有する。
Figure 0006926891
式(A1)中の各記号の意味は以下のとおりである。
Ar1は、芳香族環を有する2価の基であり、式(A1)中に現れるN(窒素原子)は、Ar1中の芳香族環に結合している。前記2価の基としては、例えば、−Ar−(R−Ar)m−で表される基が挙げられる。前記式中、Arは、それぞれ独立に炭素数6〜20のアリーレン基であり、ハロゲン化されていてもよい。Rは、それぞれ独立に単結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO2−、炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基、またはこれらの各基の組合せであり、これらの基はハロゲン化されていてもよい。mは0〜10の整数、好ましくは0〜3の整数である。
本明細書においてハロゲン化におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。他の箇所で登場するハロゲン化およびハロゲン原子についても同様である。
ハロゲン化されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等のフェニレン基;メチルフェニレン基、t−ブチルフェニレン基等のアルキルフェニレン基;1,5−ナフチレン基等のナフチレン基;9,9−フルオレニル基等のフルオレニル基;フルオロフェニレン基、クロロフェニレン基、ブロモフェニレン基等のハロゲン化フェニレン基;トリフルオロメチルフェニレン基等のハロゲン化アルキルフェニレン基が挙げられる。アリーレン基の炭素数は、好ましくは6〜10である。
本明細書において鎖状炭化水素基とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基を意味し、直鎖状炭化水素基および分岐状炭化水素基の両方を包含する。他の箇所で登場する1価または2価の鎖状炭化水素基についても同様である。ハロゲン化されていてもよい炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基等のアルカンジイル基;ヘキサフルオロプロパン−2,2−ジイル基等のハロゲン化アルカンジイル基が挙げられる。鎖状炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
本明細書において脂環式炭化水素基とは、環状構造としては脂環式炭化水素構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味し、単環式炭化水素基および多環式炭化水素基の両方を包含する。但し、脂環式炭化水素基は、脂環式炭化水素構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。他の箇所で登場する1価または2価の脂環式炭化水素基についても同様である。ハロゲン化されていてもよい炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロへキサン、シクロオクタン等の単環式炭化水素;ノルボルナン、アダマンタン等の多環式炭化水素;これらのハロゲン化炭化水素;から2個の水素原子を除外してなる基が挙げられる。脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜10である。
Ar1は、好ましくは−Ar−(R−Ar)m−で表される基であり、前記式中、Arは、それぞれ独立に炭素数6〜20のアリーレン基であり、ハロゲン化されていてもよく、Rは、それぞれ独立に単結合、−O−、−S−、炭素数1〜10のアルカンジイル基であり、これらの基はハロゲン化されていてもよく、mは0〜3の整数である。
Ar2は、O、NおよびR1,R2が結合する炭素原子とともにジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造を構成する芳香族環を有する3価の基であり、3価の芳香族環であることが好ましく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられ、波長355nmにおける遮光性の観点から、ベンゼン環が好ましい。前記芳香族環は、1以上の置換基を有してもよい。前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基が挙げられ、前記炭化水素基はハロゲン化されていてもよい。前記炭化水素基の具体例は、下記R1およびR2における炭化水素基と同様である。
1およびR2は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、前記炭化水素基はハロゲン化されていてもよく、重合体(A)の合成の容易さから、水素原子が好ましい。炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
炭素数1〜20の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基等のアルキル基が挙げられる。鎖状炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
炭素数3〜20の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環式炭化水素基;ノルボルニル基、アダマンチル基等の多環式炭化水素基が挙げられる。脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜10である。
本明細書において芳香族炭化水素基とは、環状構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。但し、芳香族炭化水素基は、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状炭化水素構造および/または脂環式炭化水素構造を含んでいてもよい。他の箇所で登場する1価または2価の芳香族炭化水素基についても同様である。炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等のアリール基が挙げられる。芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜10である。
重合体(A)は、式(A2)に示す繰返し構造単位(A2)を有することが好ましく、前記繰返し構造単位としては、式(A3)に示す繰返し構造単位(A3)が好ましい。
Figure 0006926891
式(A2)および(A3)中の各記号の意味は以下のとおりである。
Ar1、Ar2、R1およびR2は、それぞれ式(A1)中の同一記号と同義である。
3は、単結合、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO2−、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、または前記炭化水素基中の少なくとも1つの炭素−炭素結合間に下記2価の基の群から選ばれる少なくとも1種を有する基であり、これらの基はハロゲン化されていてもよい。
前記2価の基の群は、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−、−SO2−、−C(=O)O−、−C(=O)S−、−OSO2−、−NR−、−C(=O)NR−、−OC(=O)NR−からなる。前記Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、前記炭化水素基はハロゲン化されていてもよい。Rにおける前記炭化水素基の具体例は、R1およびR2における炭化水素基と同様である。
3における炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基が挙げられ、これらはハロゲン化されていてもよい。
ハロゲン化されていてもよい炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エタン−1,1−ジイル基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基等のアルカンジイル基;ヘキサフルオロプロパン−2,2−ジイル基等のハロゲン化アルカンジイル基が挙げられる。鎖状炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。
ハロゲン化されていてもよい炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロへキサン、シクロオクタン等の単環式炭化水素;ノルボルナン、アダマンタン等の多環式炭化水素;これらのハロゲン化炭化水素;から2個の水素原子を除外してなる基が挙げられる。脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜10である。
ハロゲン化されていてもよい炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、ハロゲン化されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基が挙げられ、具体的には、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等のフェニレン基;メチルフェニレン基、t−ブチルフェニレン基等のアルキルフェニレン基;1,5−ナフチレン基等のナフチレン基;9,9−フルオレニル基等のフルオレニル基;フルオロフェニレン基、クロロフェニレン基、ブロモフェニレン基等のハロゲン化フェニレン基;トリフルオロメチルフェニレン基等のハロゲン化アルキルフェニレン基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、その他、1−フェニル−エタン−1,1−ジイル基が挙げられる。芳香族炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜10である。
3は、高温処理後であっても低い光透過率を維持することができることから、単結合、炭素数1〜20の2価の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基がより好ましい。
式(A3)中に現れるベンゼン環は、ベンゼン環に結合する1以上の置換基を有してもよい。前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基が挙げられ、前記炭化水素基はハロゲン化されていてもよい。前記炭化水素基の具体例は、R1およびR2における炭化水素基と同様である。
ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造を有する重合体(A)は、加熱を受けることにより、ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン環の開環重合反応が進行し、硬化する。
構造単位(A2)または(A3)の含有割合は、重合体(A)100質量%中、通常は80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。このような態様であれば、光照射に対する感度が高く、また遮光性、耐薬品性および分離性に優れる分離層(I)が得られる傾向にある。前記含有割合は、核磁気共鳴分光法(NMR)により測定することができる。
重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは2,000〜100,000である。このような態様であると、分離層(I)は充分な強度を有する。重合体(A)のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の値であり、測定条件の詳細は実施例に記載する。
重合体(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
仮固定用組成物の固形分100質量%中の重合体(A)の含有割合は、また、分離層(I)100質量%中の重合体(A)由来の構造(架橋体)の含有割合は、通常は20質量%以上、好ましくは25〜100質量%、より好ましくは40〜100質量%、さらに好ましくは60〜100質量%である。ここで「固形分」とは、溶剤以外の全成分をいう。このような態様であると、分離層(I)の接着性、分離性、遮光性、耐薬品性および耐熱性の点で好ましい。
重合体(A)は、例えば、ビスフェノール化合物と、少なくとも2つのNH2を有するアミン化合物と、ホルムアルデヒドとを原料として反応させることで得られる。例えば、特開2016−153476号公報に記載の方法が挙げられる。
ビスフェノール化合物としては、例えば、HO−Ar21−R3−Ar21−OHで表される化合物が挙げられる。R3は、式(A2)中の同一記号と同義であり、Ar21は、式(A2)中のAr2に対応する2価の基である。具体例を数例挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールAF、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールO、ビスフェノールAD、4,4−ジヒドロキシビフェニルが挙げられる。
少なくとも2つのNH2を有するアミン化合物としては、ジアミン化合物が好ましく、例えば、NH2−Ar1−NH2で表される化合物が挙げられる。Ar1は、式(A2)中の同一記号と同義である。具体例を数例挙げれば、p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンが挙げられる。これらの芳香族ジアミンから得られる重合体(A)は、耐熱性が高い。
ホルムアルデヒドは、パラホルムアルデヒドとして用いることもできる。
前記反応における反応条件は、例えば以下のとおりである。前記反応では、ビスフェノール化合物1モルに対して、少なくとも2つのNH2を有するアミン化合物を通常は1〜2モル、ホルムアルデヒドを通常は2〜10モル用いる。反応温度は、通常は0〜250℃、好ましくは50〜150℃である。反応時間は、通常は0.5〜40時間、好ましくは1〜30時間である。反応中、反応条件は適宜変えることができる。反応は常圧、加圧または減圧下で行うことができる。反応終了後は、公知の精製方法、例えば、再沈殿法および液洗浄法により精製することが好ましい。
前記反応は、通常は反応溶媒中で行われる。前記反応溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶媒;キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒;シクロヘキサノン等のケトン溶媒;N−メチル−2−ピロリドン等のアミド溶媒が挙げられる。
〈他の光吸収剤〉
仮固定用組成物、したがってそれから形成される分離層(I)は、重合体(A)に加えて、他の光吸収剤を含有してもよい。他の光吸収剤は、例えば、以下の(a),(b)のいずれか一方または双方の機能を有する:(a)工程(3)の光照射処理で使用される光を吸収し、分離層(I)において構成成分の分解・変質等を発生させる。(b)積層体中の各要素を配置・積層する際の、分離層(I)の検知や各要素のアライメントのために用いられる計測光(通常、600〜900nmの波長の光)を吸収する。
他の光吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系光吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系光吸収剤、ベンゾフェノン系光吸収剤、サリチル酸系光吸収剤、感放射線性ラジカル重合開始剤、および光感応性酸発生剤等の有機系光吸収剤;フェノール化合物とアルデヒド化合物との反応生成物;C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントブラック31、C.I.ピグメントブラック32、およびC.I.ピグメントブラック35等の黒色顔料、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド245、およびC.I.ピグメントレッド254等の非黒色顔料、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.アシッドイエロー11、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、およびC.I.ダイレクトレッド83等の染料が挙げられる。
仮固定用組成物または分離層(I)中の他の光吸収剤の含有量は、分離層(I)において重合体(A)およびその架橋体が光照射処理で使用される光を吸収し分解または変質する限り特に限定されないが、重合体(A)およびその架橋体100質量部に対して、好ましくは20質量部以下である。また、一実施形態では、仮固定用組成物または分離層(I)中の他の光吸収剤の含有量は、重合体(A)およびその架橋体100質量部に対して、例えば、20〜400質量部または50〜300質量部である。例えば前記計測光を吸収する他の光吸収剤をこのような範囲で用いることにより、積層体中の各要素のアライメントを良好に行うことができる。
〈その他の成分〉
仮固定用組成物は、必要に応じて、粘着付与樹脂、酸化防止剤、重合禁止剤、密着助剤、界面活性剤、ポリスチレン架橋粒子、架橋剤および金属酸化物粒子から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。粘着付与樹脂としては、例えば、石油樹脂およびテルペン樹脂が挙げられる。金属酸化物粒子としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素が挙げられる。
〔接着剤層(II)〕
接着剤層(II)は、対象物を仮固定するための公知の接着剤を用いて形成することができる。接着剤層(II)は、支持体、分離層(I)、接着剤層(II)および対象物の順に前記各層を有する積層体の場合は、対象物を支持体上に仮固定し、また、対象物の表面を覆い保護する。
接着剤としては、例えば、熱可塑性樹脂系、エラストマー系または熱硬化性樹脂系の接着剤が挙げられ、これらから選ばれる2種以上の混合系であってもよい。接着剤は、溶剤型、エマルジョン型またはホットメルト型のいずれであってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、シクロオレフィン樹脂、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、石油樹脂、ノボラック樹脂、(メタ)アクリル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリベンゾオキサゾール樹脂が挙げられる。
接着剤層(II)は、耐熱性の観点からは、シクロオレフィン樹脂を含有することが好ましい。また、接着剤層(II)は、耐薬品性の観点からは、シクロオレフィン樹脂、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂および石油樹脂から選ばれる少なくとも1種の成分を含有することが好ましい。
エラストマーとしては、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、スチレンブタジエンゴムが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、レゾール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、(メタ)アクリロイル基含有樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱硬化性ポリベンゾオキサゾール樹脂が挙げられる。
接着剤は、必要に応じて、酸化防止剤、重合禁止剤、密着助剤、界面活性剤、ポリスチレン架橋粒子および金属酸化物粒子から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。金属酸化物粒子としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素が挙げられる。
〈仮固定用組成物および接着剤の製造〉
仮固定用組成物および接着剤は、必要に応じて樹脂組成物の加工に用いる公知の装置、例えば、二軸押出機、単軸押出機、連続ニーダー、ロール混練機、加圧ニーダー、バンバリーミキサーを用いて、各成分を混合することにより製造することができる。また、異物を除く目的で、適宜、濾過を行うこともできる。
仮固定用組成物および接着剤の製造には、これらの粘度を塗布に適した範囲に設定するため、溶剤を用いてもよい。溶剤としては、例えば、炭化水素溶剤、アルコール/エーテル溶剤、エステル/ラクトン溶剤、ケトン溶剤、アミド溶剤、ホスホルアミド溶剤、ピロリドン溶剤、スルホキシド溶剤が挙げられる。
仮固定用組成物および接着剤が溶剤を含有することにより、これらの粘度を調整することが容易となり、したがって対象物または支持体上に仮固定材を形成することが容易となる。例えば、溶剤は、仮固定用組成物および接着剤の固形分濃度が、それぞれ独立に、通常は5〜70質量%、より好ましくは5〜50質量%となる範囲で用いることができる。ここで「固形分濃度」とは、溶剤以外の全成分の合計濃度である。
2.対象物の処理方法
本発明の対象物の処理方法は、(1)前記積層体を形成する工程と、ここで前記対象物は前記仮固定材上に保持されており、(2)前記対象物を加工し、および/または前記積層体を移動する工程と、(3)前記支持体側から、前記分離層(I)に光を照射する工程と、(4)前記支持体と前記対象物とを分離する工程とを有する。
以下、前記各工程をそれぞれ、工程(1)〜工程(4)ともいう。
〈2−1.工程(1)〉
工程(1)では、例えば、(1-1)支持体および/または対象物の表面に、前記仮固定材を形成し、前記仮固定材を介して対象物と支持体とを貼り合せることにより、対象物を支持体上に仮固定する。また、(1-2)支持体の表面に、前記仮固定材を形成し、前記仮固定材上に樹脂塗膜、配線層等の対象物を形成することにより、対象物を支持体上に仮固定してもよい。対象物は、必要に応じて表面処理されていてもよい。
上述の仮固定材の形成方法としては、例えば、(α)仮固定材が有する各層を、支持体上および/または対象物上に直接形成する方法、(β)離型処理が施されたフィルム上に仮固定用組成物または接着剤を用いて一定膜厚で成膜した後、各層を支持体および/または対象物へラミネート方式により転写する方法が挙げられる。膜厚均一性の点から、前記(α)の方法が好ましい。
仮固定材が有する各層を形成する仮固定用組成物および接着剤の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、インクジェット法が挙げられる。
仮固定用組成物を塗布して塗膜を形成した後は、必要に応じて加熱して、溶剤を蒸発させることにより、分離層(I)を形成する。加熱の条件は、溶剤の沸点に応じて適宜決定され、例えば、加熱温度が通常は100〜350℃であり、加熱時間が通常は1〜60分である。
接着剤を塗布して塗膜を形成した後は、必要に応じて加熱して、溶剤を蒸発させることにより、接着剤層(II)を形成する。上述したように、仮固定材は接着剤層(II)を有しなくともよい。加熱の条件は、溶剤の沸点に応じて適宜決定され、例えば、加熱温度が通常は100〜300℃であり、加熱時間が通常は1〜60分である。
塗膜の加熱は、必要に応じて多段階で行ってもよい。
前記(α)の方法において、対象物と支持体とを貼り合せる方法としては、支持体、分離層(I)、接着剤層(II)および対象物の順に前記各要素を有する積層体の場合は、以下の方法が挙げられる。例えば、対象物面上に層(II)を形成し、支持体面上に層(I)を形成し、これらを層(I)および層(II)が接するようにして貼り合わせる方法1;対象物面上に層(II)および層(I)を順次形成し、層(I)上に支持体を貼り合わせる方法2;支持体面上に層(I)および層(II)を順次形成し、層(II)上に対象物を貼り合わせる方法3が挙げられる。この際の温度は、仮固定用組成物および接着剤の含有成分、塗布方法等に応じて適宜選択される。これらの中でも、各層の形成中に層(I)および層(II)が混和することを避ける観点から、前記方法1が好ましい。
対象物と支持体との仮固定材を介した圧着条件は、例えば、好ましくは室温以上400℃以下、より好ましくは150〜400℃で1〜20分間、0.01〜100MPaの圧力を各層の積層方向に付加することにより行えばよい。圧着後、さらに150〜300℃で10分〜3時間加熱処理してもよい。このようにして、対象物が支持体上に仮固定材を介して強固に保持される。
加工(移動)対象である前記処理対象物としては、例えば、半導体ウエハ、半導体チップ、ガラス基板、樹脂基板、金属基板、金属箔、研磨パッド、樹脂塗膜、配線層が挙げられる。半導体ウエハおよび半導体チップには、バンプ、配線、スルーホール、スルーホールビア、絶縁膜および各種の素子から選ばれる少なくとも1種が形成されていてもよい。前記基板には、各種の素子が形成または搭載されていてもよい。樹脂塗膜としては、例えば、有機成分を主成分として含有する層が挙げられ;具体的には、感光性材料から形成される感光性樹脂層、絶縁性材料から形成される絶縁性樹脂層、感光性絶縁樹脂材料から形成される感光性絶縁樹脂層が挙げられる。
支持体としては、工程(3)で支持体側から光照射をして分離層(I)を変質させるため、光照射で用いられる光に対して透明な基板が好ましく、例えば、ガラス基板、石英基板および透明樹脂製基板が挙げられる。
以下では、配線層を少なくとも有する処理対象物について説明する。このプロセスでは、支持体上に仮固定材を形成し、配線層を少なくとも有する処理対象物を、例えば半導体ウエハ又はチップから独立した層として、仮固定材上に先に形成し、続いて後述する工程(2)において前記配線層上に、ウエハ基板に半導体素子が複数形成された半導体ウエハ、又は半導体チップを配置する。前記配線層は、半導体ウエハ又はチップと電気的に接続されることによって、半導体ウエハ又はチップの再配線層として機能する。本発明は、このようなFO−WLP(Fan-Out Wafer Level Package)技術におけるRDL(Redistribution Layer)−First構造にも適用することができる。
配線層は、例えば、絶縁部と、配線部と、半導体ウエハ又はチップの電極に接続し得る接続用導体部とを有する。配線層上に半導体ウエハ又はチップを配置し、配線層の接続用導体部と、半導体ウエハ又はチップの電極とを、はんだ、異方導電性ペースト、異方導電性フィルム等の接合部材により電気的に接続する。半導体ウエハ又はチップと配線層との間に間隙が生じる場合は、アンダーフィル材料を充填してもよい。
配線層における内部構造は、特に限定はされない。配線部および接続用導体部の材料としては、例えば、銅、金、銀、白金、鉛、錫、ニッケル、コバルト、インジウム、ロジウム、クロム、タングステン、ルテニウム等の金属、およびこれらの2種類以上からなる合金が挙げられる。絶縁部の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の公知の合成樹脂が挙げられる。配線層の厚さは、通常は1〜1,000μmである。
続いて、例えば、工程(2)において半導体ウエハ又はチップを樹脂封止し、工程(4)において仮固定材と配線層とを分離することにより、半導体ウエハ又はチップと配線層(すなわち再配線層)とを有する半導体装置を得ることができる。
仮固定材を対象物上に形成するに際して、仮固定材の面内への広がりを均一にするため、対象物面(例えば回路面)を予め表面処理することもできる。表面処理の方法としては、例えば、対象物面に予め表面処理剤を塗布する方法が挙げられる。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤等のカップリング剤が挙げられる。
なお、仮固定材上への対象物の配置、または配線層形成プロセスにおける配線層上への半導体ウエハ又はチップの配置は、計測光を用いて得られた各要素の位置情報に基づき位置合わせを行った後に行ってもよい。
計測光としては、処理対象物の変質を抑制する観点から、波長600〜900nmの光が好ましく、計測光は、波長633nm、670nmまたは830nmの光を含むことが特に好ましい。計測光の光源としては、例えば、可視半導体レーザー、発光ダイオードが好ましく用いられる。
位置合わせは、例えば、以下のようにして行う。分離層(I)として、計測光を吸収する他の光吸収剤を含有する層を用いる。ここで計測光を照射し、分離層(I)が前記計測光を吸収した場合にその計測光の強度減少を観測し、この強度減少から分離層(I)の位置情報を得る。計測光の照射・観測に用いられる光センサの設置位置は特に限定されない。得られた位置情報から仮固定材および対象物の位置合わせ、または配線層および半導体ウエハ又はチップの位置合わせを行う。
発光部の光源としては、例えば、可視半導体レーザー、発光ダイオードが挙げられ、受光部としては、例えば、フォトダイオードやフォトトランジスタ等のフォトセンサ;CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等のイメージセンサが挙げられる。各構成要素を移動する手段としては、例えば、ロボットアームが挙げられる。
〈2−2.工程(2)〉
工程(2)は、支持体上に仮固定された対象物を加工し、および/または得られた積層体を移動する工程である。移動工程は、半導体ウエハ等の対象物を、ある装置から別の装置へ支持体とともに移動する工程である。支持体上に仮固定された対象物の加工処理としては、例えば、ダイシング、裏面研削等の対象物の薄膜化、フォトファブリケーション、半導体チップの積層、各種素子の搭載、樹脂封止が挙げられる。フォトファブリケーションは、例えば、レジストパターンの形成、エッチング加工、スパッタ膜の形成、メッキ処理およびメッキリフロー処理から選ばれる1つ以上の処理を含む。エッチング加工およびスパッタ膜の形成は、例えば、25〜300℃程度の温度範囲で行われ、メッキ処理およびメッキリフロー処理は、例えば、225〜300℃程度の温度範囲で行われる。対象物の加工処理は、仮固定材の保持力が失われない温度で行えば特に限定されない。
分離層(I)は、加工処理中に用いられることのある薬品に対する耐性(耐薬品性)を有する。前記薬品としては、例えば、アセトン、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、過酸化水素が挙げられる。
例えば上述したRDL−Firstでは、工程(1)で仮固定材上に配線層を少なくとも有する処理対象物が形成されており、工程(2)で前記配線層上に半導体ウエハおよび半導体チップから選ばれる少なくとも1種を配置し、続いて配線層と半導体ウエハ又はチップとを電気的に接続する。続いて、必要に応じて半導体ウエハ又はチップの樹脂封止を行う。
〈2−3.工程(3)〉
対象物の加工処理または積層体の移動後は、仮固定材が有する分離層(I)に、支持体側から、光を照射する。光照射により、分離層(I)の含有成分である重合体(A)およびその架橋体が光を吸収し、分離層(I)の強度および接着力が低下する。したがって、分離層(I)に対する光照射の後であれば、仮固定材の加熱処理を特に必要とすることなく、支持体と対象物とを容易に分離することができる。
光照射には紫外線を用いることが好ましく、例えば波長10〜400nmの紫外線が採用され、波長300〜400nmの紫外線が特に好ましい。照射光の光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、レーザーが挙げられる。
これらの中でも、レーザーが好ましい。支持体側から、レーザーを走査させながら分離層(I)の全面に照射することが好ましく、レーザーを分離層(I)に焦点を絞って照射することがより好ましい。走査方法としては特に限定されず、例えば、分離層(I)のXY平面において、X軸方向にレーザーを線状に照射し、Y軸方向に照射部を順次移動させて全面を照射する方法や、レーザーを角周状に照射し、中心部から周縁部へ外側に又は周縁部から中心部へ内側に照射部を順次移動させて全面を照射する方法が挙げられる。
レーザーとしては、例えば、固体レーザー(例:光励起半導体レーザーを用いた全固体レーザー、YAGレーザー)、液体レーザー(例:色素レーザー)、ガスレーザー(例:エキシマレーザー)が挙げられる。これらの中でも、光励起半導体レーザーを用いた全固体レーザー(波長:355nm)、YAGレーザー(波長:355nm)およびエキシマレーザーが好ましい。
エキシマレーザーとしては、例えば、F2エキシマレーザー(波長:157nm)、ArFエキシマレーザー(同193nm)、KrFエキシマレーザー(同248nm)、XeClエキシマレーザー(同308nm)、XeFエキシマレーザー(同351nm)が挙げられる。
光照射の条件は光源等の種類によって異なるが、光励起半導体レーザーを用いた全固体レーザー、およびYAGレーザーの場合、通常は1mW〜100W、積算光量が通常は1.4×10-7〜1.4×107mJ/cm2である。
〈2−4.工程(4)〉
工程(4)では、対象物または支持体に力を付加することで、前記支持体から前記対象物を剥離するなどして、両者を分離する。なお、工程(3)の光照射を終えた後に、工程(4)の分離を行うことが好ましいが、工程(3)の光照射を行いながら、工程(4)の分離を行ってもよい。
分離方法としては、例えば、支持体面または対象物面に対して平行方向に対象物または支持体に力を付加して両者を分離する方法;対象物または支持体の一方を固定し、他方を支持体面または対象物面に対して平行方向から一定の角度を付けて持ち上げることで両者を分離する方法が挙げられる。
前者の方法では、対象物を支持体の表面に対して水平方向にスライドさせると同時に、支持体を固定する、または前記対象物に付加される力に拮抗する力を支持体に付加することによって、支持体と対象物とを分離する方法が挙げられる。
後者の方法では、支持体面または対象物面に対して略垂直方向に力を付加して、支持体と対象物とを分離することが好ましい。「支持体面または対象物面に対して略垂直方向に力を付加する」とは、支持体面または対象物面に対して垂直な軸であるz軸に対して、通常は0°〜60°の範囲、好ましくは0°〜45°の範囲、より好ましくは0°〜30°の範囲、さらに好ましくは0°〜5°の範囲、特に好ましくは0°、すなわち支持体面または対象物面に対して垂直の方向に力を付加することを意味する。分離方式としては、例えば、対象物または支持体の周縁を持ち上げ、支持体面または対象物面に対して略垂直方向に力を加えながら、前記周縁から中心に向けて順に剥離する方法(フックプル方式)で行うことができる。
前記分離は、通常は5〜100℃、好ましくは10〜45℃、さらに好ましくは15〜30℃で行うことができる。また、分離をする際、対象物の破損を防ぐため、対象物における支持体との仮止め面と反対側の面に補強テープ、例えば市販のダイシングテープを貼付してもよい。
本発明では、上述したように、仮固定材が分離層(I)を有し、主に分離層(I)において対象物と支持体との分離が起こる。対象物がバンプを有する場合、分離工程時にバンプの破損を防止することができる。
なお、支持体と対象物とを分離した後には、仮固定材が対象物上に残存している場合がある。分離工程後の対象物上に残存する仮固定材は、剥離処理により除去することができ、また、溶剤で洗浄して除去することができる。
仮固定材の剥離には、好ましくは、対象物と仮固定材との接着力よりも高い接着力を仮固定材との間に形成することができる粘着テープを用いることができる。粘着テープを仮固定材上に積層し、粘着テープを仮固定材とともに剥離することで、仮固定材を除去することができる。
洗浄方法としては、例えば、対象物を溶剤に浸漬する方法、対象物に溶剤をスプレーする方法、対象物を溶剤に浸漬しながら超音波を加える方法が挙げられる。溶剤の温度は特に限定されないが、好ましくは20〜80℃、より好ましくは20〜50℃である。洗浄に使用できる溶剤としては、仮固定用組成物および接着剤の製造の欄で説明した溶剤を例示することができる。
以上のようにして、支持体と対象物とを分離することができる。分離後の対象物に対して、さらなる加工処理を行ってもよい。例えば上述したRDL−Firstでは、配線層へのバンプ形成、ダイシングによる個々のパッケージへの切り出し等を行ってもよい。
3.半導体装置およびその製造方法
本発明の半導体装置は、本発明の対象物の処理方法により対象物を加工することにより、製造することができる。前記仮固定材は、対象物を加工して得られた半導体装置(例:半導体素子)を支持体から分離した後、剥離処理または溶剤処理により容易に除去できる。このため、本発明の半導体装置では、分離時の光照射による劣化が小さく、また仮固定材による、シミおよび焦げ等の汚染が低減されたものとなっている。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
重合体の重量平均分子量(Mw)は、東ソー(株)製のGPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を使用し、ポリスチレン換算で、測定装置「HLC−8220−GPC」(東ソー(株)製)を用いて測定した。
<1.仮固定用組成物および接着剤の製造>
[合成例1]重合体(A−1)の合成
2.74gのビスフェノールAおよび1.3gのp−フェニレンジアミンを8gのシクロヘキサノンに溶解してなる溶液を10分間窒素ガスでバブリングした。バブリング後、前記溶液を90℃まで昇温し、1.74gのパラホルムアルデヒドを加え、90℃で4時間加熱した。加熱後の溶液を、水および少量のメタノールを加えて、液−液抽出し、有機層をエバポレーターで濃縮して、下記式(A3−1)に示す構造単位を有する、ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造含有重合体(A−1)を得た。重合体(A−1)のMwは6,000であった。構造確認は、1H NMRを用いて行った。
Figure 0006926891
[合成例2]重合体(cA−1)の合成
2.74gのビスフェノールAおよび0.72gのエチレンジアミンを6.9gのシクロヘキサノンに溶解してなる溶液を10分間窒素ガスでバブリングした。バブリング後、前記溶液を90℃まで昇温し、1.74gのパラホルムアルデヒドを加え、90℃で4時間加熱した。加熱後の溶液を、水および少量のメタノールを加えて、液−液抽出し、有機層をエバポレーターで濃縮して、下記式(A3−2)に示す構造単位を有する、ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造含有重合体(cA−1)を得た。
Figure 0006926891
[合成例3]重合体(cA−2)の合成
2,6−ジヒドロキシナフタレン10g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10g、およびパラホルムアルデヒド5gを混合し、シュウ酸2gを添加し、脱水しながら120℃で5時間加熱した。反応溶液に水を加え攪拌を行った。沈殿物を回収した後、水にて洗浄し、50℃にて17時間乾燥して、2,6−ジヒドロキシナフタレン/ホルムアルデヒド縮合物(重合体(cA−2))を得た。重合体(cA−2)のMwは1,550であった。
[製造例1〜4]仮固定用組成物(I−1)〜(I−4)の製造
表1に示す成分を、表1に示す配合量で混合し、仮固定用組成物(I−1)〜(I−4)を製造した。表1中の各成分の詳細は、後述するとおりである。
Figure 0006926891
A−1:前記ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造含有重合体(A−1)
cA−1:前記ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造含有重合体(cA−1)
cA−2:前記重合体(cA−2)
cA−3:m−クレゾール/p−クレゾール=60/40(モル比)からなる
クレゾールノボラック樹脂(Mw=6,500)
B1:4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
C1:シクロヘキサノン
C2:メトキシプロピルアセテート
[製造例5]接着剤(II−1)の製造
80部のシクロオレフィン系重合体(商品名「ARTON RX4500」、JSR(株)製)と、20部の水添テルペン樹脂(商品名「CLEARON P150」、ヤスハラケミカル(株)製)と、20部の液状スチレンブタジエンゴム(商品名「L−SBR−820」、クラレ(株)製)と、3部のヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「IRGANOX1010」、BASF社製)と、300部のメシチレンとを混合することにより、接着剤(II−1)を製造した。
<2.透過率の測定>
4インチのガラスウエハに仮固定用組成物(I−1)〜(I−4)をスピンコートし、ホットプレートにて、180℃で1分間、次いで、300℃で2分間加熱し、厚さ0.6μmの均一な層(I−1)〜(I−4)を得た。得られた層(I−1)〜(I−4)について、紫外可視近赤外分光光度計(JASCO,V−7000)を用いて波長355nmでの透過率(初期透過率)を測定した。
層(I−1)〜(I−4)を有するガラスウエハを、350℃で10分間、オーブンにて加熱した。加熱後の層(I−1)〜(I−4)について、紫外可視近赤外分光光度計(JASCO,V−7000)を用いて波長355nmでの透過率(加熱後透過率)を測定した。その結果を表2に示す。
<3.積層体の製造およびその評価>
4インチのガラスウエハ(基板1)に仮固定用組成物(I−1)〜(I−4)をスピンコートし、その後、ホットプレートにて、180℃で1分間、次いで、300℃で2分間加熱し、厚さ0.6μmの均一な分離層(I−1)〜(I−4)を有する基板1を得た。また、4インチのシリコンウエハ(基板2)に接着剤(II−1)をスピンコートし、その後、ホットプレートを用いて160℃で5分間加熱後、さらに230℃で10分間加熱し、厚さ0.6μmの均一な接着剤層(II−1)を有する基板2を作製した。
前記基板1および前記基板2をそれぞれ縦1cm、横1cmに切断した後、分離層(I)と接着剤層(II)とが接するように貼り合わせ、ダイボンダー装置を用いて、350℃で15MPaの圧力を5分間加え、基板1と基板2とが仮固定材を介して積層された積層体を得た。
得られた試験用積層体に、レーザー微細加工機(商品名「Genesis CX355 STM Compact」、コヒレント・ジャパン(株)製)にて、出力100mW、積算光量2.08×10-4mJ/cm2で基板1側からUVレーザー(波長355nm)を照射した。光照射後の試験用積層体に対して、万能ボンドテスター(商品名「デイジ4000」、デイジ社製)を用いて、フックプル方式で、基板1面に対して垂直な軸(z軸)方向に力(500μm/秒の速度、23℃)を付加し、層(I)と層(II)の界面で剥離を行った。この剥離の際の剥離強度を測定し、下記評価基準にて剥離性を評価した。評価結果を表2に示す。
A:剥離強度が0〜5N/m2
B:剥離強度が5N/m2を超えて20N/m2未満
C:剥離強度が20〜100N/m2
<4.耐薬品性>
前記<3.積層体の製造およびその評価>で製造した積層体を、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイドを10質量%、過酸化水素を10質量%含有する水溶液に25℃で10分間浸漬した。浸漬後の分離層(I)の状態を光学顕微鏡で観察し、下記評価基準にて耐薬品性を評価した。評価結果を表2に示す。
A:分離層の溶解はなかった。
B:分離層の一部が溶解し、膜が荒れていた。
C:分離層がほぼ無くなっていた。
Figure 0006926891
実験例1Aが実施例に、実験例2A〜4Aが比較例に相当する。

Claims (13)

  1. (1)支持体と仮固定材と処理対象物とを有する積層体を形成する工程、
    ここで前記仮固定材は、少なくとも、式(A1)に示す部分構造を有する重合体(A)を含有する組成物から形成された層(I)を有しており、かつ
    前記対象物は前記仮固定材上に保持されており;
    (2)前記対象物を加工し、および/または前記積層体を移動する工程;
    (3)前記支持体側から、前記層(I)に光を照射する工程;ならびに
    (4)前記支持体と前記対象物とを分離する工程;
    を有する、対象物の処理方法。
    Figure 0006926891
    [式(A1)中、Ar1は、芳香族環を有する2価の基であり、Nは、Ar1中の芳香族環に結合し、Ar2は、O、NおよびR1,R2が結合する炭素原子とともにジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造を構成する芳香族環を有する3価の基であり、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、前記炭化水素基はハロゲン化されていてもよい。]
  2. 前記仮固定材が、接着剤層(II)をさらに有する請求項1に記載の対象物の処理方法。
  3. 前記積層体が、前記支持体、前記層(I)、前記接着剤層(II)および前記処理対象物の順に前記各要素を有する請求項2に記載の対象物の処理方法。
  4. 前記工程(1)において、仮固定材上に配線層を少なくとも有する処理対象物を形成する請求項1〜3のいずれか1項に記載の対象物の処理方法。
  5. 前記工程(2)における加工が、前記配線層上に半導体ウエハおよび半導体チップから選ばれる少なくとも1種を配置することを含む請求項4に記載の対象物の処理方法。
  6. 前記工程(3)における光が、紫外線である請求項1〜5のいずれか1項に記載の対象物の処理方法。
  7. 前記紫外線が、波長300〜400nmの紫外線である請求項6に記載の対象物の処理方法。
  8. 前記層(I)の厚さが、0.01〜500μmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の対象物の処理方法。
  9. 少なくとも、式(A1)に示す部分構造を有する重合体(A)を含有する仮固定用組成物。
    Figure 0006926891
    [式(A1)中、Ar1は、芳香族環を有する2価の基であり、Nは、Ar1中の芳香族環に結合し、Ar2は、O、NおよびR1,R2が結合する炭素原子とともにジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造を構成する芳香族環を有する3価の基であり、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、前記炭化水素基はハロゲン化されていてもよい。]
  10. 溶剤をさらに含有する請求項9に記載の仮固定用組成物。
  11. 前記仮固定用組成物の固形分100質量%中、前記重合体(A)の含有割合が、20質量%以上である請求項9または10に記載の仮固定用組成物。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の処理方法により対象物を加工して、半導体装置を製造する、半導体装置の製造方法。
  13. (1)支持体と仮固定材と配線層とを有する積層体を形成する工程、
    ここで前記仮固定材は、少なくとも、式(A1)に示す部分構造を有する重合体(A)を含有する組成物から形成された層(I)を有しており、かつ
    前記配線層は前記仮固定材上に保持されており;
    (2)前記配線層上に半導体ウエハおよび半導体チップから選ばれる少なくとも1種を配置することを含む工程;
    (3)前記支持体側から、前記層(I)に光を照射する工程;ならびに
    (4)前記支持体と前記配線層とを分離する工程;
    を有する、半導体装置の製造方法。
    Figure 0006926891
    [式(A1)中、Ar1は、芳香族環を有する2価の基であり、Nは、Ar1中の芳香族環に結合し、Ar2は、O、NおよびR1,R2が結合する炭素原子とともにジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン構造を構成する芳香族環を有する3価の基であり、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、前記炭化水素基はハロゲン化されていてもよい。]
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