JP6651824B2 - 硬化性組成物およびその用途 - Google Patents

硬化性組成物およびその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP6651824B2
JP6651824B2 JP2015239261A JP2015239261A JP6651824B2 JP 6651824 B2 JP6651824 B2 JP 6651824B2 JP 2015239261 A JP2015239261 A JP 2015239261A JP 2015239261 A JP2015239261 A JP 2015239261A JP 6651824 B2 JP6651824 B2 JP 6651824B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
curable composition
group
adhesive
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015239261A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017105896A (ja
Inventor
西村 功
功 西村
晋太郎 藤冨
晋太郎 藤冨
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2015239261A priority Critical patent/JP6651824B2/ja
Publication of JP2017105896A publication Critical patent/JP2017105896A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6651824B2 publication Critical patent/JP6651824B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Phenolic Resins Or Amino Resins (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、硬化性組成物、および硬化性組成物を用いたフィルム状接着剤などへの用途に関する。
繊維強化複合材料は、高強度と軽量化とを両立させた材料であるので、船舶、自動車、航空機、建材、及びスポーツ用品などに用いられることが多い。
繊維強化複合材料は、繊維に熱硬化性樹脂組成物を含浸させて、半硬化させて得られるプリプレグと呼ばれるフィルム状の構造物を、必要に応じて、アルミニウム等の金属等の他の部材とともに、フィルム状の接着剤を介して積層し、これらを硬化させて製造されている。
このようなフィルム状接着剤に用いられる熱硬化性樹脂組成物には、たとえば特許文献1に示されるような、接着時の収縮が少ないジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン化合物と、金属等の他の部材と強固に接着できるようにするための硬化促進触媒とを含有する熱硬化性樹脂組成物が用いられる。
特表2013−503243号公報
製造現場では、フィルム状接着剤は長時間室温で保管されることから、フィルム状接着剤には長時間の室温保管の後でも接合性能を維持できること、すなわち高い保存安定性が求められる。しかし、強固な接着を実現するために硬化促進能の高い硬化促進触媒を用いると、フィルム状接着剤の保存安定性は低下するという問題が生じる。
つまり、フィルム状接着剤には、強固に接着できるだけでなく、長時間の室温保管後であっても接合性能を維持できるという、二律背反の関係にある2つの性能が必要になる。
本発明の目的は、フィルム状接着剤などに用いた場合に、前記二律背反の関係にある接合性と保存安定性とを両立させることが可能な硬化性組成物、およびフィルム状接着剤の提供、並びにフィルム状接着剤を用いた積層体を提供することにある。
前記目的を達成する本発明は、たとえば以下の[1]〜[9]である。
[1]ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン環を有する化合物(A)、および環状アミジンを有する化合物と有機酸との塩(B)を含有することを特徴とする硬化性組成物。
[2]前記有機酸が、スルホン酸基を有する有機化合物である前記[1]に記載の硬化性組成物。
[3]前記環状アミジンを有する化合物が、ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、および5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7から選ばれる少なくとも1種である前記[1]または[2]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[4]前記化合物(A)が、ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン環を2個有する化合物である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5]さらに、エポキシ基を有する化合物(C)を含有する前記[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6]硬化性組成物中に含まれる前記化合物(A)と前記エポキシ基を有する化合物(C)との含有量を100質量部とするとき、前記塩(B)の含有量が、0.1〜10質量部である前記[5]に記載の硬化性組成物。
[7]前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の硬化性組成物の半硬化物からなるフィルム状接着剤。
[8]繊維からなるフィルムと、該繊維間に含有される、前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の硬化性組成物の半硬化物とからなるフィルム状接着剤。
[9]フィルム状材料を硬化させてなる接着剤層と、該接着剤層により接着されるフィルム状材料とからなる積層体。
本発明の硬化性組成物を用いると、二律背反の関係にある接合性と保存安定性とをともに兼ね備えたフィルム状接着剤等の接着剤を得ることができる。この接着剤と繊維強化プラスチック等とから、繊維強化複合材料として利用できる積層体を得ることができる。
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン環を有する化合物(A)(以下、「化合物(A)」ともいう)、および環状アミジンを有する化合物と有機酸との塩(B)(以下、「塩(B)」ともいう)を含有する。
本発明の硬化性組成物において、化合物(A)は熱により開環重合する。この開環重合によって組成物を半硬化させることにより、本組成物から接着剤が得られる。本発明の硬化性組成物において、塩(B)は化合物(A)の硬化促進触媒として機能する。
本発明は、ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン環を有する化合物(A)に、硬化促進触媒として、環状アミジンを有する化合物と有機酸との塩(B)を組み合わせたことにより、二律背反の関係にある接合性と保存安定性とをともに兼ね備えた接着剤を得ることに成功したものである。
[化合物(A)]
本発明の硬化性組成物において、化合物(A)は熱により開環重合し、組成物を半硬化させる成分である。
化合物(A)としては、例えば、特開2006−335671号公報、特開2008−195907号公報、特開2012−036318号公報、および特開2009−001755号公報に記載の化合物のように、ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン環を少なくとも1つ以上有し、ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン環の開環重合反応により半硬化する化合物であれば特に制限されない。
これらの中でも化合物(A)は、ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン環を2個有する化合物であることが、剪断強度およびピール強度に優れたフィルム状接着剤を得ることができる点で好ましい。
ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン環を2個有する化合物(A)としては、下記式(1)で示される化合物が、フィルム状接着剤の接合性と保存安定性の点で好ましい。
Figure 0006651824
(式(1)中、R1は単結合また2価の有機基を示す。R2は芳香族環に結合する基を示し、それぞれ独立に炭化水素基または炭化水素基の水素原子を置換基で置き換えてなる基を示す。nはそれぞれ独立に0〜4の整数を示す。)
1が示す2価の有機基としては、下記式(2)に示す2価の有機基が挙げられる。
Figure 0006651824
(式(2)中、R3は、酸素、又は硫黄を示す。mは0または1を示す。R4は炭素数1〜20のアルカンジイル基、炭素数6〜20のアリーレン基、−R5−R6−(R5)q−で示される基、又は−R6−R5−(R6)q−で示される基を示す。R5はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルカンジイル基を示す。R6はそれぞれ独立に炭素数6〜20のアリーレン基を示す。qはそれぞれ独立に0又は1を示す。*は結合手を示す。)
前記R5及びR6が示す炭素数1〜20のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基およびデカン−1,10−ジイル基等を挙げられる。R6は同一であっても異なっていてもよい。
前記R5およびR6が示す炭素数6〜20のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基および1,5−ナフチレン基等が挙げられる。
2が示す炭化水素基および炭化水素基の水素原子を置換基で置き換えてなる基としては、炭素数1〜20アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアリール基、並びにこれらの基の水素原子の1又は2以上を、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、及び水酸基から選ばれるいずれかの基で置換した基、が挙げられる。
前記R2が示す炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、及びn−オクチル基等が挙げられる。
前記R2が示す炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
前記R2が示す炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、ピリジル基、およびピロール基等が挙げられる。
化合物(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化性組成物中の固形分中に含まれる、化合物(A)の含有割合は、通常、30質量%以上、好ましくは30〜80質量%である。このような態様は、フィルム状接着剤の接合性と保存安定性の点で好ましい。ここで「固形分」とは、溶剤以外の全成分をいう。
[塩(B)]
塩(B)は化合物(A)や後述のエポキシ基を有する化合物(C)の硬化促進触媒として機能する成分である。
環状アミジンを有する化合物と有機酸との塩(B)における環状アミジンを有する化合物としては、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、メチルイミダゾールおよびフェニルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、メチルイミダゾリン、ジメチルイミダゾリンおよび1,2,4−トリメチルイミダゾリン等のイミダゾリン誘導体、1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジンおよび1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン等のテトラヒドロピリミジン誘導体、ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンならびに5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7が挙げられる。
これらの中でも、ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン(DBU)、ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、および5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7が硬化性組成物の接合性と保存安定性の点から好ましい。
前記環状アミジンを有する化合物は、1種単独でも2種以上の組み合わせであってもよい。
環状アミジンを有する化合物と有機酸との塩(B)における有機酸としては、例えば、スルホン酸基を有する化合物、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、等のヒドロキシ酸、安息香酸、サリチル酸、没食子酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シトラマル酸、イソクエン酸およびトリメリット酸等のカルボン酸誘導体ならびにメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸等のスルホン酸誘導体が挙げられる。
これらの中でも、スルホン酸誘導体等のスルホン酸基を有する有機化合物が、硬化性組成物の接合性と保存安定性の点から好ましい。
前記有機酸は、1種単独でも2種以上の組み合わせであってもよい。
上記に示したとおり、環状アミジンを有する化合物と有機酸との塩(B)としては、ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセンとトルエンスルホン酸等との塩が特に好ましい。
本発明の硬化性組成物において、化合物(A)の含有量を100質量部とするとき、塩(B)の含有量は0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましく、0.1〜3質量部であることがさらに好ましい。塩(B)の含有量が前記範囲であると、接合性と保存安定性とがともに向上する。
塩(B)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、硬化性組成物中に、後述するエポキシ基を有する化合物(C)を含有する場合、前記化合物(A)と前記エポキシ基を有する化合物(C)との含有量を100質量部とするとき、前記塩(B)の含有量が0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜7質量部であることがより好ましい。塩(B)の含有量が前記範囲であると、接合性と保存安定性とがともに向上する。
[エポキシ基を有する化合物(C)]
本発明の硬化性組成物は、上記化合物(A)及び塩(B)の他に、必要に応じて、エポキシ基を有する化合物(C)を含有することができる。
エポキシ基を有する化合物(C)は、本発明の硬化性組成物の硬化速度を調節する目的や接着強度を向上させる目的で用いられる。
エポキシ基を有する化合物(C)としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂のエポキシ樹脂;レゾルシノールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレン/ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレン/ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;が挙げられる。
これらの中でも、接着強度の観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ基を有する化合物は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の硬化性組成物において、エポキシ基を有する化合物(C)の含有量は、化合物(A)100質量部に対して、通常1〜500質量部、好ましくは10〜300質量部、より好ましくは50〜150質量部である。エポキシ基を有する化合物(C)の含有量が前記範囲である場合、高い接着強度を有する硬化物を得ることができる。
[その他成分]
本発明の硬化性組成物は、上記化合物(A)、塩(B)およびエポキシ基を有する化合物(C)の他に、必要に応じて、有機粒子および溶剤等のその他の成分を含有することができる。
前記有機粒子は、硬化性組成物から製造されるフィルム状接着剤の靱性を向上させる目的で用いられる。
有機粒子としては、オレフィン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、テフロン(登録商標)樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、及びシアナミド樹脂等の樹脂を粒子化したものが挙げられる。有機粒子の市販品としては、ゼフィアックF−320、F−301、F−340、F−325、F−351(以上、ガンツ化成社製)、アクリル系微粒子MP−300(綜研化学社製)等が挙げられる。
有機粒子として、特開2010−084083号公報、特開2012−224733号公報、及び特開2012−052051号公報等に記載のコアシェル型粒子を用いることもできる。有機粒子は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
有機粒子の一次粒径は、通常0.001〜50μmである。前記一次粒径は、透過型電子顕微鏡により測定することができる。
有機粒子の含有量は、化合物(A)100質量部に対して、好ましくは1〜600質量部、より好ましくは10〜200質量部、更に好ましくは50〜100質量部である。
前記溶剤は、化合物(A)、及びその他の成分を均一に混合し、取り扱い性を向上させたり、硬化性組成物の粘度を調節したり、保存安定性を向上させる目的で用いられる。
溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ブチルカルビトール等のカルビトール類;乳酸エチル、等の乳酸エステル類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;γ-ブチロラクン等のラクトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;が挙げられる。これらの中でも、重合体(A)を均一に溶解させることができることから、ケトン類、エーテル類が好ましい。
溶剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
溶剤の含有量は、通常、本発明の硬化性組成物の固形分濃度が1〜90質量%になる量であり、組成物の目的や用途により適宜定められる。
本発明の硬化性組成物には、本発明の特定を損なわない範囲で、上記成分以外のその他の成分を含有することができる。
その他成分としては、例えば、硬化物の接合性を向上させるために、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1,3,5−N−トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、及び1,2,3−ベンゾトリアゾール等の接着助剤;硬化物の難燃性を向上させるために、ホスファゼン化合物、および臭化物等の難燃剤;硬化物に色を付与するために、染料、および顔料等の着色剤;炭素繊維、ガラス繊維、合成樹脂繊維等の繊維類;ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエーテルスルホンおよびポリウレタン等の熱可塑性樹脂;耐擦傷性、クラック耐性を向上させるために、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、モンモリロナイト等の無機粒子;が挙げられる。
[組成物の製造]
本発明の組成物は、化合物(A)及び塩(B)、必要により化合物(C)、粒子、溶剤、及びその他成分を混合することで製造できる。また、混合後、組成物中に含まれるゴミをフィルター等により取り除いてもよい。
<フィルム状接着剤>
本発明のフィルム状接着剤は、前記硬化性組成物の半硬化物からなる。すなわち、本発明のフィルム状接着剤は、本発明の硬化性組成物を、硬化の程度が半硬化状態(Bステージ)となるように、熱硬化して得られる半硬化物を含むフィルム状の接着剤である。「半硬化」とは、所望の形状が保持され、かつ接合性が維持される程度の硬化を意味する。本発明のフィルム状接着剤は、前記硬化性組成物をフィルム状に成形し、これを半硬化させて製造することができる。また、本発明のフィルム状接着剤は、繊維からなるフィルムと、該繊維間に含有される前記硬化性組成物の半硬化物とからなるフィルム状接着剤であってもよい。このようなフィルム状接着剤は、不繊布等の繊維類に前記硬化性組成物を含浸させて、該組成物を半硬化させて製造することができる。
硬化条件は、通常、50℃以上で、0.1〜2時間である。硬化は、硬化時に0.01〜1MPa程の圧力で、組成物または組成物含浸繊維を押圧しながら行っても良い。前記熱硬化の前に、予備硬化として、150℃より低い温度で加熱してもよい。本発明のフィルム状接着剤は、本発明の硬化性組成物を剥離フィルム上で熱硬化して製造することもできる。
本発明のフィルム状接着剤は、本発明の硬化性組成物を用いて製造されることから、二律背反の関係にある接合性と保存安定性とを兼ね備える。
<積層体>
本発明の積層体は、前記フィルム状接着剤を硬化させてなる接着剤層と、該接着剤層により接着されるフィルム状材料とからなる。本発明の積層体は、フィルム状の材料を、前記フィルム状接着剤を介して積層してなる。本発明の積層体は、例えば、金属材料、繊維強化プラスチック等のフィルム状材料を、前記フィルム状接着剤を介して積層し、該接着剤を硬化させて製造される。本積層体における層の数には特に制限はない。本積層体は、繊維強化複合材料として利用することができる。本発明の積層体は、本発明の硬化性組成物から得られる接着材を用いて積層されているので、剪断強度が高く、層間剥離しにくいという特性を有する。
本発明の積層体は、剪断強度が高く、層間剥離しにくいという特性を有することから、船舶、自動車、航空機、建材、及びスポーツ用品などに好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」の意味で用いる。
[1.硬化性組成物の製造]
[実施例1A]
2.5mmφジルコニアビースを使用したペイントシェイカーにて、下記表1に示す成分を2−ブタノールで固形分濃度70質量%となるよう混合し、実施例1Aの硬化性組成物を製造した。
[比較例1A〜4A]
実施例1Aと同様の手法にて下記表1に示す成分を2−ブタノールで固形分濃度70質量%となるよう混合し、比較例1A〜4Aの硬化性組成物を製造した。
実施例および比較例で用いた各成分の詳細は以下のとおりである。
A1:下記式(3)に示す化合物
Figure 0006651824
B1:p−トルエンスルホン酸とジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセンとの塩(商品名「U−CAT SA506」、サンアプロ(株)製)
BR1:ジシアンジアミド
BR2:5−ニトロイソフタル酸により包接された含有率50.8質量%の2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(商品名「HIPA−2P4MHZ」、日本曹達(株)製)
BR3:イミダゾール
C1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「jER828」、三菱化学(株)製)
C2+D1:商品名「カネエースMX−153」(カネカ(株)製、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂にコアシェルゴム粒子を33質量%分散させた組成物)
Figure 0006651824
[2.フィルム状接着剤の製造および評価]
[実施例1B]
実施例1Aの組成物に、不織布(日本バイリーン社製のナイロン製不織布、膜厚40um、目付量13g/m2)をディップコーティングした後、50℃で10分加熱し、次いで、0.04MPaで押圧しながら、70℃で30分加熱して前記組成物を半硬化させることにより実施例2のフィルム状接着剤を得た。
フィルム状接着剤の貯蔵安定性は、フィルム状接着剤の剪断強度にて評価した。フィルム状接着剤の剪断強度は以下の方法にて行った。実施例1Bのフィルム状接着剤を、25mm×12.5mmの大きさに切断した後、2枚のクロム処理アルミニウム板(サイズ:25mm×100mm、厚さ:2mm)の間に挟み、180℃で2時間加熱することにより剪断強度評価用サンプルを作製した。剪断強度はJIS K6850に準拠して測定し、引張速度1nm/分で試験片を引っ張ったときの最大荷重を剪断強度とした。
次いで、フィルム状接着剤を60℃で14日間および60℃で35日間保管した後、上記と同様に剪断強度を評価した。評価結果を表2に示す。
フィルム状接着剤の接合性は、ピール強度にて評価した。ピール強度は、以下の方法にて測定した。実施例1Bのフィルム状接着剤を、25mm×140mmの大きさに切断した後、2枚のクロム処理アルミニウム板(サイズ:25mm×200mm、厚さ:0.5mm)の間に挟み、180℃で2時間加熱することによりピール強度評価用サンプルを作製した。ピール強度はJIS K6854−3に準拠して測定し、引張速度100mm/分で試験片を引っ張ったときの、100〜200mm間の剥離に必要な荷重の平均値をピール強度とした。評価結果を表2に示す。
フィルム状接着剤の耐熱性は、ガラス転移温度にて評価した。実施例2のフィルム状接着剤をポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に載置し、180℃で2時間加熱することによりガラス転移温度評価用サンプルを作成した。サンプルを、DMS試験器にて、23℃〜350℃の温度範囲内で、1Hzの測定条件で測定した際に得られたTanδをガラス転移温度とした。評価結果を表2に示す。
[比較例1B〜4B]
比較例1A〜4Aの組成物を使用し、実施例1Bと同様にフィルム状接着剤を製造し、剪断強度、ピール強度、及びガラス転移温度を評価した。評価結果を表2に示す。
なお、表2中「−」は測定を実施していないことを示す。
Figure 0006651824

Claims (8)

  1. ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン環を有する化合物(A)、および環状アミジンを有する化合物と、スルホン酸基を有する有機化合物である有機酸との塩(B)を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記環状アミジンを有する化合物が、ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、および5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7から選ばれる少なくとも1種である請求項に記載の硬化性組成物。
  3. 前記化合物(A)が、ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサジン環を2個有する化合物である請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. さらに、エポキシ基を有する化合物(C)を含有する請求項1〜のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. 硬化性組成物中に含まれる前記化合物(A)と前記エポキシ基を有する化合物(C)との合計の含有量を100質量部とするとき、前記塩(B)の含有量が、0.1〜10質量部である請求項に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の硬化性組成物の半硬化物からなることを特徴とするフィルム状接着剤。
  7. 繊維からなるフィルムと、該繊維間に含有される、請求項1〜のいずれか一項に記載の硬化性組成物の半硬化物とからなるフィルム状接着剤。
  8. 請求項又はに記載のフィルム状接着剤を硬化させてなる接着剤層と、該接着剤層により接着されるフィルム状材料とからなる積層体。
JP2015239261A 2015-12-08 2015-12-08 硬化性組成物およびその用途 Active JP6651824B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015239261A JP6651824B2 (ja) 2015-12-08 2015-12-08 硬化性組成物およびその用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015239261A JP6651824B2 (ja) 2015-12-08 2015-12-08 硬化性組成物およびその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017105896A JP2017105896A (ja) 2017-06-15
JP6651824B2 true JP6651824B2 (ja) 2020-02-19

Family

ID=59059010

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015239261A Active JP6651824B2 (ja) 2015-12-08 2015-12-08 硬化性組成物およびその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6651824B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6926891B2 (ja) * 2017-09-25 2021-08-25 Jsr株式会社 対象物の処理方法、仮固定用組成物、半導体装置およびその製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5685030B2 (ja) * 2010-09-13 2015-03-18 積水化学工業株式会社 電子部品用接着剤
JP2014101430A (ja) * 2012-11-19 2014-06-05 Sekisui Chem Co Ltd 接着フィルム
JP2014148562A (ja) * 2013-01-31 2014-08-21 Nippon Zeon Co Ltd 硬化性樹脂組成物、フィルム、プリプレグ、及び硬化物
WO2014157329A1 (ja) * 2013-03-27 2014-10-02 リンテック株式会社 半導体チップの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017105896A (ja) 2017-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102508061B1 (ko) 섬유강화 플라스틱 성형용 재료, 그 제조방법 및 성형물
JP6987761B2 (ja) 複合構造物のための表面材
RU2657298C2 (ru) Композиции огнестойких эпоксидных смол и их использование
CN100390233C (zh) 用于环氧树脂的硬化剂组合物
KR101237166B1 (ko) 실록산을 사용한 난연제 조성물
JPWO2018124215A1 (ja) 金属−繊維強化樹脂材料複合体、その製造方法及び接着シート
JP4723865B2 (ja) 難燃性エポキシ樹脂組成物、同組成物を含有するプリプレグ、積層板およびプリント配線板
JP5505776B2 (ja) ホットメルト型接着剤及びrtm成形方法
JP2019502573A (ja) 複合材部材のための離型性表面材
JP5717019B2 (ja) 接着剤組成物およびそれを用いた接着シート
JP2013006974A (ja) 接着剤組成物およびそれを用いた接着シート
JP2023116516A (ja) 樹脂組成物及びその製造方法、プリプレグ、レジンシート、積層板、金属箔張積層板、並びにプリント配線板
CN107286325B (zh) 树脂组合物及其应用
US20220325073A1 (en) Matrix resin for laminates with high transparency, low yellowing and high glass transition temperatures
JP5743211B2 (ja) 接着剤組成物およびそれを用いた接着シート
JP6651824B2 (ja) 硬化性組成物およびその用途
JP6610196B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物、およびその用途
US20220145151A1 (en) Resin sheet
TWI820016B (zh) 纖維強化塑膠用樹脂組合物、其硬化物、及包含該硬化物之纖維強化塑膠
JP2021528526A (ja) エポキシ樹脂配合物
JP2004346092A (ja) プリプレグ用樹脂組成物
JP2007297547A (ja) プリプレグシート用樹脂組成物、プリプレグシートおよび繊維強化複合材料
JP2017179307A (ja) カルボジイミド化合物、樹脂組成物、プリプレグ、樹脂シート及び積層板
JP2013018804A (ja) エポキシ樹脂組成物
CA1243445A (en) Preimpregnated reinforcements and high strength composites therefrom

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180730

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190611

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190712

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191224

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200106

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6651824

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250