JP2017050322A - 基材の処理方法、半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

基材の処理方法、半導体装置およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】仮固定材を介して支持体上に基材を仮固定した状態で基材の加工等を行う方法において、基材の反りを低減でき、支持体から基材を良好に分離することができる、基材の処理方法を提供する。
【解決手段】支持体と仮固定材と基材とを有する積層体であり、仮固定材が、基材における支持体側の面と接し、且つ1分子当たりアルケニル基およびシクロアルケニル基を合計で少なくとも2個有するポリシロキサン(A)、1分子当たりケイ素原子結合水素原子を少なくとも2個有するポリシロキサン(B)、およびヒドロシリル化反応用触媒(C)を含有する硬化性組成物の硬化層(I)と、層(I)における支持体側の面上に形成され、且つ光吸収剤を含有する層(II)とを有する仮固定材である積層体を形成する工程;基材を加工等する工程;層(II)に光を照射する工程;支持体から基材を分離する工程を有する基材の処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、基材の処理方法、半導体装置およびその製造方法に関する。
半導体ウエハ等の基材をガラス基板等の支持体上に仮固定材を介して接合した状態で、基材に対して、裏面研削およびフォトファブリケーション等の加工処理を行う方法が提案されている。この仮固定材には、加工処理中において支持体上に基材を仮固定することができ、加工処理後には支持体から基材を容易に分離できることが必要である。
上記分離処理において、紫外線および赤外線等の放射エネルギーを、支持体と仮固定材と基材とを有する積層体中の前記仮固定材に照射することによって、仮固定材の接着力を低減させて、続いて支持体から基材を分離する方法が提案されている。
例えば特許文献1では、透明な支持体と半導体ウエハとが、剥離層および接合層を含む仮固定材により仮固定された積層体が開示されており、透明な支持体の側からレーザーをスキャンしながら剥離層に照射することで、剥離層の接着力を低減させて、続いて支持体から基材を剥離する方法が提案されている。
米国公開特許第2014/0106473号公報
従来の、支持体から基材を剥離する方法では、透明な支持体の側からレーザーを剥離層に照射するため、剥離層でレーザー照射により高熱が発生することがある。また、基材の加工処理中にも、仮固定材に熱負荷がかかる工程がある。これらの熱により、仮固定材が収縮し、基材に反りが発生するため、光照射により剥離層の接着力を充分に低減できず、支持体から基材を良好に分離できないことがある。
本発明は、仮固定材を介して支持体上に基材を仮固定した状態で基材の加工・移動処理を行う方法において、基材の反りを低減でき、よって支持体から基材を良好に分離することができる、基材の処理方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下の構成を有する基材の処理方法により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、例えば以下の[1]〜[6]に関する。
[1](1)支持体と仮固定材と基材とを有する積層体であって、前記仮固定材が、前記基材における支持体側の面と接し、且つ1分子当たりアルケニル基およびシクロアルケニル基を合計で少なくとも2個有するポリシロキサン(A)、1分子当たりケイ素原子結合水素原子を少なくとも2個有するポリシロキサン(B)、およびヒドロシリル化反応用触媒(C)を含有する硬化性組成物の硬化層(I)と、前記層(I)における支持体側の面上に形成され、且つ光吸収剤を含有する仮固定材層(II)とを有する仮固定材である積層体を形成する工程;(2)前記基材を加工し、および/または前記積層体を移動する工程;(3)前記仮固定材層(II)に光を照射する工程;ならびに(4)前記支持体から前記基材を分離する工程;を有する基材の処理方法。
[2]前記仮固定材層(II)が、熱分解性樹脂をさらに含有する前記[1]に記載の基材の処理方法。
[3]前記工程(3)において、前記仮固定材層(II)に照射される光が、紫外線である前記[1]または[2]に記載の基材の処理方法。
[4]前記紫外線が、波長300〜400nmの紫外線である前記[3]に記載の基材の処理方法。
[5]前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の基材の処理方法により基材を加工して、半導体装置を製造する、半導体装置の製造方法。
[6]前記[5]に記載の製造方法によって得られる半導体装置。
本発明によれば、仮固定材を介して支持体上に基材を仮固定した状態で基材の加工・移動処理を行う方法において、基材の反りを低減でき、よって支持体から基材を良好に分離することができる、基材の処理方法を提供することができる。
図1は、本発明で形成される積層体に係る実施形態の断面図である。
以下、本発明で形成される積層体について、前記積層体を構成する仮固定材の原料組成物である硬化性組成物および仮固定用組成物を含めて説明した後、基材の処理方法、半導体装置およびその製造方法について説明する。
本発明において仮固定材とは、基材を加工および/または移動するに際して、支持体から基材がずれて動かないように支持体上に基材を仮固定するために用いられる材料のことである。
1.積層体
本発明で形成される積層体において、加工または移動対象である基材が、仮固定材を介して、支持体上に仮固定されている。前記仮固定材は、一実施態様において、基材および支持体により挟持されている。前記仮固定材は、前記基材における支持体側の面と接する硬化層(I)(以下「仮固定材層(I)」ともいう)と、前記層(I)における支持体側の面上に形成された仮固定材層(II)とを有する。
仮固定材層(I)は、特定のポリシロキサンを含有する付加硬化型シリコーン組成物を硬化して形成されている。基材に接する層(I)は、前記硬化層であることから、耐熱性に優れる。支持体と基材との分離処理の際に層(II)に対する光照射で発生する熱や、基材の加工処理中に仮固定材にかかる熱負荷に対して、層(I)は高い耐性を有することから、本発明での各工程を行う際に、基材に発生する反りを低減することができる。
仮固定材層(II)は、光吸収剤を含有し、好ましくは熱分解性樹脂をさらに含有する。層(II)に対して光を照射すると、層(II)の含有成分である光吸収剤が光を吸収し、層(II)において構成成分の分解・変質等が発生し、仮固定材層(II)の強度および接着力が低下する。また、基材、したがって層(II)の反りが小さいことから、層(II)に対する光照射を均質に行うことができる。積層体に外力を加えることにより、層(II)内で凝集破壊が起こり、または層(II)と当該層に接する層との間で界面破壊が起こる。このため、光照射処理後の積層体に外力を加えることにより、加熱処理を特に必要とすることなく、支持体から基材を容易に分離することができる。
仮固定材は、層(I)と、この層(I)に直接接してまたは他の層を挟んで形成された層(II)とを有する。このように2層以上の層を有する仮固定材は、基材が有する回路面の保護、基材と支持体との接着性、支持体からの基材の分離性、および加工処理時・光照射処理時における耐熱性等の機能をバランス良く有することができる。
上記積層体の例を図1に示す。この積層体1は、支持体10と、支持体10上に形成された仮固定材20と、仮固定材20によって支持体10に仮固定された基材30とを有する。仮固定材20は、基材30に接した仮固定材層(I)21と、前記層(I)21上に形成され、支持体10に接した仮固定材層(II)22とを有する。
上記積層体において、仮固定材は、層(I)および層(II)の他に、任意の他の層を有していてもよい。例えば層(I)と層(II)との間に中間層を設けてもよく、また層(II)と支持体との間に他の層を設けてもよい。特に、層(I)および層(II)からなる2層の仮固定材が好ましい。
上記仮固定材の全厚さは、基材の仮固定面のサイズ、加工処理および光照射処理で要求される耐熱性、ならびに基材と支持体との密着性の程度に応じて、任意に選択することができる。上記仮固定材の全厚さは、通常は0.2〜1000μm、好ましくは2〜500μm、より好ましくは2〜300μmである。また、層(I)および層(II)の各層の厚さは、それぞれ独立に、通常は0.1〜500μm、好ましくは1〜250μm、より好ましくは1〜150μmである。これらの厚さが前記範囲にあると、仮固定材が基材を仮固定するための充分な保持力を有し、加工処理または移動処理中に仮固定面から基材が脱落することもない。
上記仮固定材は、現代の経済活動の場面で要求される様々な加工処理、例えば各種材料表面の微細化加工処理、各種表面実装、半導体ウエハおよび半導体チップの運搬等の際に、基材の仮止め材として好適に用いられる。
〔仮固定材層(I)〕
仮固定材層(I)は、以下に説明する硬化性組成物(I)の硬化層であり、前記組成物(I)を硬化して形成することができる。硬化性組成物(I)は、1分子当たりアルケニル基およびシクロアルケニル基を合計で少なくとも2個有するポリシロキサン(A)と、1分子当たりケイ素原子結合水素原子を少なくとも2個有するポリシロキサン(B)と、ヒドロシリル化反応用触媒(C)とを含有する。
「ポリシロキサン」とは、シロキサン単位(Si−O)が2個以上結合した分子骨格を有する化合物を意味する。なお、ポリシロキサン(A)および(B)の構造は、29Si NMRおよび13C NMRにより確認することができる。
〈ポリシロキサン(A)〉
ポリシロキサン(A)は、1分子当たり、アルケニル基およびシクロアルケニル基を合計で少なくとも2個有する。「アルケニル基およびシクロアルケニル基を合計で少なくとも2個有する」ポリシロキサンは、アルケニル基を2個以上有し、シクロアルケニル基を有さないポリシロキサン、シクロアルケニル基を2個以上有し、アルケニル基を有さないポリシロキサン、アルケニル基を1個以上、およびシクロアルケニル基を1個以上有するポリシロキサンのいずれでもよい。ポリシロキサン(A)とポリシロキサン(B)とのヒドロシリル化反応により、組成物(I)は硬化する。
本明細書において、アルキル基およびシクロアルキル基を総称して「(シクロ)アルキル基」ともいい、アルケニル基およびシクロアルケニル基を総称して「(シクロ)アルケニル基」ともいう。
ポリシロキサン(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリシロキサン(A)は、ポリシロキサン(B)と同一の化合物であってもよい。すなわち、ポリシロキサン(A)およびポリシロキサン(B)は、同一分子内に少なくとも2個の(シクロ)アルケニル基と少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子とを有するポリシロキサンであってもよい。このようなポリシロキサンは、組成物(I)の主剤であると同時に架橋剤として機能する。
ポリシロキサン(A)が有する(シクロ)アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜30のアルケニル基;シクロヘキセニル基等の炭素数5〜30のシクロアルケニル基が挙げられる。これらの中でも、アルケニル基が好ましく、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基が特に好ましい。
ポリシロキサン(A)中の(シクロ)アルケニル基の含有割合は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.05〜5質量%である。(シクロ)アルケニル基の含有割合が前記範囲内であると、ポリシロキサン(A)とポリシロキサン(B)とのヒドロシリル化反応が良好に進み、強度の高い仮固定材層(I)が得られる。
ポリシロキサン(A)は、式(A1)に示すポリシロキサンであることが好ましい。
Figure 2017050322
式(A1)中、各記号の意味は以下のとおりである。
1、R2およびR3は、それぞれ独立に、置換又は非置換の1価の炭化水素基、または(メタ)アクリロイルオキシ含有基を示す。ただし、1分子中の全てのR1、R2およびR3のうち少なくとも2つは(シクロ)アルケニル含有基であり、すなわち、式(A1)に示すポリシロキサン1分子中に少なくとも2つの(シクロ)アルケニル含有基が存在する。(シクロ)アルケニル含有基としては、(シクロ)アルケニル基そのもの、(メタ)アクリロイルオキシ含有基等が挙げられる。
非置換の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基、(シクロ)アルケニル基、および炭素数6〜30のアリール基等が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。
(シクロ)アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜30のアルケニル基;シクロヘキセニル基等の炭素数5〜30のシクロアルケニル基等が挙げられる。これらの中でも、アルケニル基が好ましく、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基が好ましい。
炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。
置換の1価の炭化水素基としては、前記非置換の1価の炭化水素基に含まれる少なくとも1つの水素原子を、ハロゲン原子、水酸基、およびエポキシ環を有する基から選ばれる少なくとも1種に置き換えた基が挙げられる。前記エポキシ環を有する基としては、グリシジル基、エポキシシクロヘキシル基等が挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ含有基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基そのもの、−RA−OC(O)−C(RB)=CH2(式中、RAは2価の基であり、RBは水素原子またはメチル基である)等が挙げられる。
同一のSiに結合する3つのR1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。aが2以上の整数である場合、各シロキサン単位R1 3SiO1/2は、それぞれ同一であってもであっても異なっていてもよい。R2およびbと、R3およびcについても、R1およびaと同様である。
ポリシロキサン(A)は、末端に2個以上の(シクロ)アルケニル含有基が存在する末端型ポリシロキサンでもよく、側鎖および末端に(シクロ)アルケニル含有基が存在する側鎖/末端型ポリシロキサンでもよく、側鎖に2個以上の(シクロ)アルケニル含有基が存在する側鎖型ポリシロキサンでもよい。
例えば、1つのシロキサン単位R1 3SiO1/2に存在する3個のR1のうちの1個が(シクロ)アルケニル含有基であり、そのシロキサン単位が2個以上存在するポリシロキサンでもよく;1つのシロキサン単位R1 3SiO1/2に存在する3個のR1のうちの2個以上が(シクロ)アルケニル含有基であり、そのシロキサン単位が1個以上存在するポリシロキサンでもよく;1つのシロキサン単位R1 3SiO1/2に存在する3個のR1のうちの1個が(シクロ)アルケニル含有基であり、そのシロキサン単位が1個存在し、1つのシロキサン単位R2 2SiO2/2に存在する2個のR2のうちの1個が(シクロ)アルケニル含有基であり、そのシロキサン単位が1個以上存在するポリシロキサンでもよい。
Xは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
a〜eは、それぞれ独立に、0以上の整数である。
a〜eの合計を100%とした場合、aは、好ましくは0〜80%、より好ましくは0〜40%であり;bは、好ましくは0%以上100%未満、より好ましくは20〜99.9%であり;cは、好ましくは0〜80%、より好ましくは0〜40%であり;dは、好ましくは0〜50%、より好ましくは0〜20%であり;eは、好ましくは0〜40%、より好ましくは0〜10%である。
ポリシロキサン(A)の具体例としては、R1 3SiO1/2単位とR2 2SiO2/2単位とからなるポリシロキサンが挙げられ、ただし、1分子中の全てのR1およびR2のうち少なくとも2つは(シクロ)アルケニル含有基である。
ポリシロキサン(A)は、ポリジアルキルシロキサン骨格、ポリジアリールシロキサン骨格、またはポリジアルキルシロキサン−ポリジアリールシロキサン骨格を有することが好ましく、ポリジメチルシロキサン骨格を有することが特に好ましい。
ポリシロキサン(A)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常は100〜1,000,000、好ましくは500〜100,000である。Mwが前記範囲にあるポリシロキサン(A)は、硬化性組成物を用いて仮固定材層(I)を形成する際に取り扱いやすく、また硬化性組成物から得られる仮固定材層(I)は充分な強度を有する。
ポリシロキサン(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、東ソー(株)製のGPCカラム(TSK−gel MultiporeHXL−M)を使用し、測定装置「HLC−8120C」(東ソー(株)製)を用いて測定することができる。
ポリシロキサン(A)の製造方法としては、特開平6−9659号公報、特開2003−183582号公報、特開2007−008996号公報、特開2007−106798号公報、特開2007−169427号公報および特開2010−059359号公報等に記載された公知の方法が挙げられる。例えば、適当な溶剤中で各単位源となるクロロシランやアルコキシシランを共加水分解縮合する方法や、得られた共加水分解縮合物をアルカリ金属触媒などにより平衡化反応する方法が挙げられる。
硬化性組成物(I)の固形分100質量%中、ポリシロキサン(A)の含有量は、通常は50〜98質量%である。ここで「固形分」とは、溶剤以外の全成分をいう。ポリシロキサン(A)の含有量が前記範囲にあると、仮固定材層(I)の接着性、剥離性および耐熱性の点で好ましい。
〈ポリシロキサン(B)〉
ポリシロキサン(B)は、1分子当たり、「ケイ素原子に結合した水素原子」すなわち「ケイ素原子結合水素原子」を少なくとも2個有する。すなわちポリシロキサン(B)は、1分子当たりSi−H基(ヒドロシリル基)を少なくとも2個有する。ポリシロキサン(B)は、ポリシロキサン(A)に対する架橋剤であり、ポリシロキサン(A)とのヒドロシリル化反応により硬化物を形成する。
ポリシロキサン(B)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリシロキサン(B)としては、従来のヒドロシリル系ポリシロキサン組成物において架橋剤として使用されている、1分子当たりケイ素原子結合水素原子を少なくとも2個有するポリシロキサンであればよい。ポリシロキサン(B)1分子中のケイ素原子の数は、好ましくは2〜1,000、より好ましくは2〜100である。また、上述したとおり、ポリシロキサン(B)はポリシロキサン(A)と同一の化合物であってもよい。
ポリシロキサン(B)としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられ、具体的には、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン等のシロキサンオリゴマー;R2(H)SiO1/2単位とR2SiO2/2単位とを有するポリシロキサン、R3SiO1/2単位とR(H)SiO2/2単位とを有し、R2SiO2/2単位を有してもよいポリシロキサン、R2(H)SiO1/2単位とR(H)SiO2/2単位とを有し、R2SiO2/2単位および/またはR3SiO1/2単位を有してもよいポリシロキサン;R2(H)SiO1/2単位とSiO4/2単位とを有し、R3SiO1/2単位、R2SiO2/2単位、R(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2単位およびRSiO3/2単位から選ばれる少なくとも1種の単位を有してもよいシリコーンレジンが挙げられる。
上記各単位中、Rは、それぞれ独立に置換又は非置換の1価の炭化水素基であり、その具体例は式(A1)で記載した基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基および炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくはメチル基およびフェニル基である。
上記各単位を有するポリシロキサンとしては、具体的には、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖(フェニル)(メチル)シロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖(フェニル)(メチル)シロキサン・ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖(フェニル)(メチル)シロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖(フェニル)(メチル)シロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖(フェニル)(メチル)シロキサン・ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体が挙げられる。
ポリシロキサン(B)の具体例としては、特開2007−99835号公報(特に段落[0054]〜[0061]に記載された化合物)および特開2007−103494号公報(特に段落[0046]〜[0053]に記載された化合物)に記載されたオルガノハイドロジェンポリシロキサンを挙げることもできる。前記公報に例示されたオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、本明細書において援用する。
ポリシロキサン(B)の製造方法としては、特開2007−99835号公報、特開2007−103494号公報、特開2013−018850号公報等に記載された公知の方法が挙げられる。例えば、適当な溶剤中で各単位源となるクロロシランやアルコキシシランを共加水分解縮合する方法や、得られた共加水分解縮合物をアルカリ金属触媒などにより平衡化反応する方法が挙げられる。
ポリシロキサン(B)のSi−H基当量(g/mol)は、好ましくは500以下、より好ましくは10〜200である。
硬化性組成物(I)におけるポリシロキサン(B)の含有量としては、ポリシロキサン(A)中の(シクロ)アルケニル基の合計量に対するポリシロキサン(B)中のケイ素原子結合水素原子の合計量(モル比)が0.1〜5となる量であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2、さらに好ましくは0.7〜1.4となる量である。ポリシロキサン(B)の含有量が前記範囲内であると、組成物(I)の硬化が充分に進行し、また、得られる硬化物は充分な耐熱性を有する。
〈ヒドロシリル化反応用触媒(C)〉
ヒドロシリル化反応用触媒(C)は、ヒドロシリル化反応を促進するための触媒である。触媒(C)としては、従来のヒドロシリル系ポリシロキサン組成物においてヒドロシリル化反応用触媒として使用されている触媒であれば、特に制限されることなく使用することができる。
触媒(C)としては、例えば、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が挙げられる。これらの中でも、組成物(I)の硬化促進の観点から白金系触媒が好ましい。白金系触媒としては、例えば、白金−アルケニルシロキサン錯体が挙げられる。アルケニルシロキサンとしては、例えば、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサンが挙げられる。特に、錯体の安定性の観点から、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。
触媒(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化性組成物(I)におけるヒドロシリル化反応用触媒(C)は、ポリシロキサン(A)とポリシロキサン(B)とのヒドロシリル化反応が現実的に進行する量、例えば、硬化性組成物(I)中、0.01〜10000wtppmの量で用いることができる。
〈添加剤〉
硬化性組成物(I)は、本発明の目的が達成されるかぎり、必要に応じて、例えば、フュームドシリカ、石英粉末等の微粒子状シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機充填剤、エチニルシクロヘキサノール、シクロ−テトラメチルテトラビニルテトラシロキサン等の反応遅延剤、ジフェニルビス(ジメチルヒドロキシシロキシ)シラン等の希釈剤、顔料、難燃剤、耐熱剤、酸化防止剤等から選ばれる1種または2種以上の添加剤を含有することができる。
〈硬化性組成物(I)の製造〉
硬化性組成物(I)は、上記各成分、すなわちポリシロキサン(A)、ポリシロキサン(B)およびヒドロシリル化反応用触媒(C)、ならびに必要に応じて添加剤および/または溶剤を、ミキサー等の公知の方法により均一に混合することにより製造することができる。不純物を除く目的で、適宜、濾過を行うこともできる。
硬化性組成物(I)は、ポリシロキサン(A)およびポリシロキサン(B)をそれぞれ溶剤中で合成し、得られたポリシロキサン含有合成溶液の濃縮物を、ヒドロシリル化反応用触媒(C)等の他の成分に混合することによって製造することもできる。
上記溶剤としては、例えば、炭化水素化合物が挙げられ、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の飽和脂肪族炭化水素化合物;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の飽和脂環式炭化水素化合物;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物が挙げられる。炭化水素化合物以外の溶剤を用いることもでき、例えば、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグライム等のアルコール/エーテル溶剤が挙げられる。
硬化性組成物(I)の25℃における粘度は、好ましくは1〜1000000mPa・sであり、より好ましくは10〜10000mPa・sである。粘度がこの範囲内であると、硬化性組成物(I)の操作性が向上する。粘度は、E型粘度計により測定することができる。
硬化性組成物(I)は、1液として調製することもできるし、2液に分けて調製し、使用時に2液を混合して使用することもできる。必要に応じて、アセチレンアルコール等の硬化抑制剤を少量添加してもよい。
硬化性組成物(I)は付加硬化型シリコーン組成物であり、一実施態様では、前記組成物からシリコーンエラストマー層が形成される。前記層は伸び物性に優れ、この点も、基材の反り低減に寄与すると考えられる。
〔仮固定材層(II)〕
仮固定材層(II)は、例えば、光吸収剤を含有する仮固定用組成物(II)から形成することができる。組成物(II)は、熱分解性樹脂を更に含有することが好ましい。組成物(II)は、溶剤を含有してもよい。
〈光吸収剤〉
光吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系光吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系光吸収剤、ベンゾフェノン系光吸収剤、サリチル酸系光吸収剤、感放射線性ラジカル重合開始剤、および光感応性酸発生剤等の有機系光吸収剤;フェノールノボラック、およびナフトールノボラック等の縮合多環芳香族環を有する樹脂;C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントブラック31、C.I.ピグメントブラック32、およびC.I.ピグメントブラック35等の黒色顔料(例えばカーボンブラック);C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド245、およびC.I.ピグメントレッド254等の非黒色顔料;C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.アシッドイエロー11、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、およびC.I.ダイレクトレッド83等の染料;が挙げられる。
なお、上記縮合多環芳香族環を有する樹脂の中には、後述する熱分解性樹脂として機能する樹脂もある。このような樹脂については、光吸収剤にも熱分解性樹脂にも該当するものとして、後述する含有量を計算するものとする。
これらの中でも、支持体からの基材の分離性が向上することから、黒色顔料が好ましい。本発明では、黒色顔料として、カーボンブラック単体の他、MHIブラック#201、#209、#220、#273(以上、御国色素(株)製)等のカーボンブラック分散体を用いることができる。
光吸収剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
仮固定用組成物(II)の固形分100質量%中、光吸収剤の含有量は、通常は1〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。ここで「固形分」とは、溶剤以外の全成分をいう。光吸収剤の含有量が前記範囲にあると、支持体からの基材の分離性の観点から好ましい。
〈熱分解性樹脂〉
仮固定用組成物(II)は、熱分解性樹脂をさらに含有することが好ましい。熱分解性樹脂が光照射で発生した熱により分解または変質することで、支持体からの基材の分離性がより向上すると考えられる。
本明細書において「熱分解性樹脂」とは、5%重量減少温度が300℃以下の樹脂をいう。熱分解性樹脂の5%重量減少温度は、好ましくは250℃〜150℃である。前記樹脂の5%重量減少温度は、熱重量分析法(TGA)により、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて測定することができる。
熱分解性樹脂としては、例えば、シクロオレフィン系重合体、アクリル系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、ノボラック樹脂、およびエラストマーが挙げられる。これらの中でも、シクロオレフィン系重合体、テルペン系樹脂、石油樹脂、およびエラストマーが好ましい。
シクロオレフィン系重合体としては、例えば、環状オレフィン系化合物と非環状オレフィン系化合物との付加共重合体、1種または2種以上の環状オレフィン系化合物の開環メタセシス重合体、前記開環メタセシス重合体を水素化して得られる重合体が挙げられる。
環状オレフィン系化合物としては、例えば、ノルボルネン系オレフィン、テトラシクロドデセン系オレフィン、ジシクロペンタジエン系オレフィン、およびこれらの誘導体が挙げられる。前記誘導体としては、例えば、アルキル基、アルキリデン基、アラルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アセチル基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、芳香環、エーテル結合、およびエステル結合から選ばれる1種または2種以上を有する置換誘導体が挙げられる。
非環状オレフィン系化合物としては、例えば、炭素数2〜20、好ましくは2〜10の直鎖状または分岐鎖状のオレフィンが挙げられ、より好ましくはエチレン、プロピレン、ブテンであり、特に好ましくはエチレンである。
シクロオレフィン系重合体の、GPC法によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常は10,000〜100,000、好ましくは30,000〜100,000である。
テルペン系樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、芳香族変性水添テルペン樹脂が挙げられる。
石油樹脂としては、例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5系/C9系混合石油樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、ビニル置換芳香族化合物の重合体、オレフィンとビニル置換芳香族化合物との共重合体、シクロペンタジエン系化合物とビニル置換芳香族化合物との共重合体、これらの水素添加物、およびこれらから選ばれる2種以上の混合物が挙げられる。
エラストマーとしては、例えば、常温(25℃)で液体状態の、液状ブタジエンゴム、液状イソプレンゴム、液状スチレンブタジエンゴム、液状スチレンイソプレンゴム等の共役ジエン重合体ゴムが挙げられる。エラストマーの、GPC法によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常は1,000〜100,000である。
熱分解性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、東ソー(株)製のGPCカラム(TSK−gel MultiporeHXL−M)を使用し、測定装置「HLC−8120C」(東ソー(株)製)を用いて測定することができる。
熱分解性樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シクロオレフィン系重合体、テルペン系樹脂、石油樹脂、およびエラストマーから選ばれる少なくとも1種を含有する層は、フォトファブリケーションで用いられる薬液、例えば極性の高い有機溶剤または水系の薬液、に対して高い耐性を有する。このため、基材を加工および/または移動するに際して、薬液により仮固定材層(II)が劣化して、支持体から基材がずれて動くトラブルを防ぐことができる。
仮固定用組成物(II)の固形分100質量%中、熱分解性樹脂の含有量は、通常は10〜95質量%、好ましくは30〜90質量%、より好ましくは50〜80質量%である。ここで「固形分」とは、溶剤以外の全成分をいう。前記樹脂の含有量が前記範囲にあると、支持体上に基材を仮固定する際の温度を低温化する点や、基材を加工および移動するに際して、支持体から基材がずれて動かないようにする点で好ましい。
〈その他の成分〉
仮固定用組成物(II)は、必要に応じて、酸化防止剤、重合禁止剤、密着助剤、界面活性剤、ポリスチレン架橋粒子、ならびに酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンおよび酸化ケイ素等の金属酸化物粒子から選ばれる1種または2種以上を含有してもよい。
〈仮固定用組成物(II)の製造〉
仮固定用組成物(II)は、必要に応じて樹脂組成物の加工に用いる公知の装置、例えば、二軸押出機、単軸押出機、連続ニーダー、ロール混練機、加圧ニーダー、バンバリーミキサーを用いて、各成分を混合することにより製造することができる。また、不純物を除く目的で、適宜、濾過を行うこともできる。
仮固定用組成物(II)の製造には、当該組成物の粘度を塗布に適した範囲に設定する点で、溶剤を用いてもよい。溶剤としては、例えば、キシレン、リモネン、メシチレン、ジペンテン、ピネン、ビシクロヘキシル、シクロドデセン、1−tert−ブチル−3,5−ジメチルベンゼン、ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素溶剤;アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグライム等のアルコール/エーテル溶剤;炭酸エチレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン等のエステル/ラクトン溶剤;シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン溶剤;N−メチル−2−ピロリジノン等のアミド/ラクタム溶剤が挙げられる。
溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
仮固定用組成物(II)が溶剤を含有することにより、その粘度を調整することが容易となり、したがって仮固定材層(II)を形成することが容易となる。例えば、溶剤は、仮固定用組成物(II)の固形分濃度が、通常は5〜70質量%、より好ましくは15〜50質量%となる範囲で用いることができる。ここで「固形分濃度」とは、溶剤以外の全成分の合計濃度である。
2.基材の処理方法
本発明の基材の処理方法は、(1)上記積層体を形成する工程と、(2)前記基材を加工し、および/または前記積層体を移動する工程と、(3)前記仮固定材層(II)に光を照射する工程と、(4)前記支持体から前記基材を分離する工程とを有し、さらに(5)前記分離後に前記基材上に残存した仮固定材がある場合は、当該仮固定材を前記基材から剥離する工程を有してもよい。
以下、上記各工程をそれぞれ、工程(1)〜工程(5)ともいう。
〈2−1.工程(1)〉
工程(1)では、例えば、(1-1)支持体および/または基材の表面に、上記仮固定材を形成し、前記仮固定材を介して基材と支持体とを貼り合せることにより、基材を支持体上に仮固定することができる。また、(1-2)支持体の表面に、上記仮固定材を形成し、前記仮固定材上に樹脂塗膜等の基材を形成することにより、基材を支持体上に仮固定することもできる。基材は、必要に応じて表面処理されていてもよい。
上述の仮固定材の形成方法としては、例えば、(α)仮固定材が有する各層を、支持体上および/または基材上に直接形成する方法、(β)離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム等のフィルム上に硬化性組成物(I)または仮固定用組成物(II)を用いて一定膜厚で成膜した後、各層を支持体および/または基材へラミネート方式により転写する方法が挙げられる。膜厚均一性の点から、前記(α)の方法が好ましい。
仮固定材が有する各層を形成する硬化性組成物(I)および仮固定用組成物(II)の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、インクジェット法が挙げられる。スピンコート法では、例えば、回転速度が300〜3,500rpm、好ましくは500〜1,500rpm、加速度が500〜15,000rpm/秒、回転時間が30〜300秒という条件のもと、前記組成物をスピンコーティングする方法が挙げられる。
硬化性組成物(I)を塗布して塗膜を形成した後は、例えば加熱して、溶剤を蒸発させることにより、仮固定材層(I)を形成する。加熱の条件は、溶剤の沸点に応じて適宜決定され、例えば、加熱温度が通常は50〜350℃であり、加熱時間が通常は1〜180分である。
仮固定用組成物(II)を塗布して塗膜を形成した後は、例えば加熱して、溶剤を蒸発させることにより、仮固定材層(II)を形成する。加熱の条件は、溶剤の沸点に応じて適宜決定され、例えば、加熱温度が通常は100〜300℃であり、加熱時間が通常は1〜60分である。
上記塗膜の加熱は、必要に応じて多段階で行ってもよい。
上記(α)の方法において、基材と支持体とを貼り合せる方法としては、例えば、基材面上に層(I)を形成し、支持体面上に層(II)を形成し、これらを層(I)および層(II)が接するようにして貼り合わせる方法1;基材面上に層(I)および層(II)を順次形成し、層(II)上に支持体を貼り合わせる方法2;支持体面上に層(II)および層(I)を順次形成し、層(I)上に基材を貼り合わせる方法3が挙げられる。この際の温度は、硬化性組成物(I)および仮固定用組成物(II)の含有成分、塗布方法等に応じて適宜選択される。これらの中でも、各層の形成中に層(I)および層(II)が混和することを避ける観点から、前記方法1が好ましい。
基材と支持体との圧着条件は、例えば、好ましくは室温以上400℃以下、より好ましくは150〜400℃で1〜20分間、0.01〜100MPaの圧力を各層の積層方向に付加することにより行えばよい。圧着後、さらに150〜300℃で10分〜3時間加熱処理してもよい。このようにして、基材が支持体上に仮固定材を介して強固に保持される。
仮固定材層(II)中、光吸収剤の含有量は、通常は1〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。光吸収剤の含有量が前記範囲にあると、支持体からの基材の分離性の観点から好ましい。仮固定材層(II)中、熱分解性樹脂の含有量は、通常は10〜95質量%、好ましくは30〜90質量%、より好ましくは50〜80質量%である。
加工(移動)対象である前記基材としては、例えば、半導体ウエハ、半導体チップ、ガラス基板、樹脂基板、金属基板、金属箔、研磨パッド、樹脂塗膜が挙げられる。半導体ウエハおよび半導体チップには、バンプ、配線、絶縁膜および各種の素子から選ばれる少なくとも1種が形成されていてもよい。前記基板には、各種の素子が形成または搭載されていてもよい。樹脂塗膜としては、例えば、有機成分を主成分として含有する層が挙げられ;具体的には、感光性材料から形成される感光性樹脂層、絶縁性材料から形成される絶縁性樹脂層、感光性絶縁樹脂材料から形成される感光性絶縁樹脂層が挙げられる。
支持体としては、工程(3)で支持体側から光照射をして仮固定材層(II)を変質させる場合、光照射で用いられる光に対して透明な基板が好ましく、例えば、ガラス基板、石英基板および透明樹脂製基板が挙げられる。
層(I)を基材上に形成するに際して、仮固定材の面内への広がりを均一にするため、基材面(例えば回路面)を予め表面処理することもできる。表面処理の方法としては、例えば、基材面に予め表面処理剤を塗布する方法が挙げられる。上記表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤等のカップリング剤が挙げられる。
〈2−2.工程(2)〉
工程(2)は、支持体上に仮固定された基材を加工し、および/または得られた積層体を移動する工程である。移動工程は、半導体ウエハ等の基材を、ある装置から別の装置へ支持体とともに移動する工程である。支持体上に仮固定された基材の加工処理としては、例えば、ダイシング、裏面研削等の基材の薄膜化、フォトファブリケーション、半導体チップの積層、各種素子の搭載が挙げられる。フォトファブリケーションは、例えば、レジストパターンの形成、エッチング加工、スパッタ膜の形成、メッキ処理およびメッキリフロー処理から選ばれる1つ以上の処理を含む。エッチング加工およびスパッタ膜の形成は、例えば、25〜300℃程度の温度範囲で行われ、メッキ処理およびメッキリフロー処理は、例えば、225〜300℃程度の温度範囲で行われる。基材の加工処理は、仮固定材の保持力が失われない温度で行えば特に限定されない。
〈2−3.工程(3)〉
基材の加工処理または積層体の移動後は、仮固定材が有する仮固定材層(II)に、例えば支持体側から、光を照射する。光照射により、仮固定材層(II)の含有成分である光吸収剤が光を吸収し、仮固定材層(II)の強度または接着力が低下する。したがって、仮固定材層(II)に対する光照射の後であれば、仮固定材の加熱処理を特に必要とすることなく、支持体から基材を容易に分離することができる。
光照射には紫外線を用いることが好ましく、例えば波長10〜400nmの紫外線が採用され、波長300〜400nmの紫外線が特に好ましい。照射光の光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、レーザーが挙げられる。
これらの中でも、レーザーが好ましい。支持体側から、レーザーを走査させながら仮固定材層(II)の全面に照射することが好ましく、レーザーを仮固定材層(II)に焦点を絞って照射することがより好ましい。上述したように、基材の加工処理中に仮固定材にかかる熱負荷およびレーザー照射で発生する熱に対して、層(I)は高い耐性を有することから、基材に発生する反りは小さく、層(II)に発生する反りも小さい。このため、層(II)に対するレーザーの焦点深度を一定に合わせることができ、レーザー照射により層(II)の接着力を充分に低減することができる。したがって、支持体から基材を良好に分離することができる。
レーザーの走査方法としては特に限定されず、例えば、仮固定材層(II)のXY平面において、X軸方向にレーザーを線状に照射し、Y軸方向に照射部を順次移動させて全面を照射する方法や、レーザーを角周状に照射し、中心部から周縁部へ外側に又は周縁部から中心部へ内側に照射部を順次移動させて全面を照射する方法が挙げられる。
レーザーとしては、例えば、固体レーザー(例:光励起半導体レーザーを用いた全固体レーザー、YAGレーザー)、液体レーザー(例:色素レーザー)、ガスレーザー(例:エキシマレーザー)が挙げられる。これらの中でも、光励起半導体レーザーを用いた全固体レーザー(波長:355nm)、YAGレーザー(波長:355nm)およびエキシマレーザーが好ましい。
エキシマレーザーとしては、例えば、F2エキシマレーザー(波長:157nm)、ArFエキシマレーザー(同193nm)、KrFエキシマレーザー(同248nm)、XeClエキシマレーザー(同308nm)、XeFエキシマレーザー(同351nm)が挙げられる。
光照射の条件は光源等の種類によって異なるが、光励起半導体レーザーを用いた全固体レーザー、およびYAGレーザーの場合、通常は1mW〜100Wである。
〈2−4.工程(4)〉
工程(4)では、基材または支持体に力を付加することで、前記支持体から前記基材を剥離するなどして、両者を分離する。なお、工程(3)の光照射を終えた後に、工程(4)の分離を行うことが好ましいが、工程(3)の光照射を行いながら、工程(4)の分離を行ってもよい。
例えば、基材面に対して平行方向に基材または支持体に力を付加して両者を分離する方法;基材または支持体の一方を固定し、他方を基材面に対して平行方向から一定の角度を付けて持ち上げることで両者を分離する方法が挙げられる。
前者の方法では、基材を支持体の表面に対して水平方向にスライドさせると同時に、支持体を固定する、または前記基材に付加される力に拮抗する力を支持体に付加することによって、基材を支持体から分離する方法が挙げられる。
後者の方法では、基材面に対して略垂直方向に力を付加して、支持体から基材を分離することが好ましい。「基材面に対して略垂直方向に力を付加する」とは、基材面に対して垂直な軸であるz軸に対して、通常は0°〜60°の範囲、好ましくは0°〜45°の範囲、より好ましくは0°〜30°の範囲、さらに好ましくは0°〜5°の範囲、特に好ましくは0°、すなわち基材面に対して垂直の方向に力を付加することを意味する。分離方式としては、例えば、基材または支持体の周縁を持ち上げ(当該周縁の一部または全部を仮固定材から剥離し)、基材面に対して略垂直方向に力を加えながら、基材または支持体の周縁から中心に向けて順に剥離する方法(フックプル方式)で行うことができる。
上記分離は、通常は5〜100℃、好ましくは10〜45℃、さらに好ましくは15〜30℃で行うことができる。ここでの温度は、支持体の温度を意味する。また、分離をする際、基材の破損を防ぐため、基材における支持体との仮止め面と反対側の面に補強テープ、例えば市販のダイシングテープを貼付してもよい。
本発明では、上述したように、仮固定材が層(I)および層(II)を有し、基材が層(I)により保護され、主に層(II)において基材と支持体との分離が起こる。基材がバンプを有する場合、分離工程時にバンプの破損を防止することができる。
〈2−5.工程(5)〉
支持体から分離後の基材上に仮固定材が残存している場合、特に上述の仮固定材層(I)が残存している場合は、仮固定材を基材から剥離することができる。なお、前記層(I)は、付加硬化型シリコーン組成物の硬化層であり、耐熱性が高いため、加工処理時における前記層(I)の変質は少ないと考えられる。このため、前記変質が剥離処理に与える影響は少ないと考えられる。
剥離方法としては、例えば、基材から仮固定材層(I)を基材面に対して略垂直方向に剥離する方法が挙げられ、具体的には、基材面に対して略垂直方向に力を加えながら、基材の周縁から中心に向けて順に仮固定材層(I)を剥離する方法(フックプル方式)が挙げられる。略垂直方向の意味は、工程(4)の欄で説明したとおりである。
以上のようにして、支持体から基材を分離することができる。
3.半導体装置およびその製造方法
本発明の半導体装置は、本発明の基材の処理方法により基材を加工することにより、製造することができる。本発明では、基材を加工して得られた半導体装置(例:半導体素子)を、その反りが小さいことから支持体から良好に分離することができ、したがって各種性能が良好な半導体装置を製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」の意味で用いる。
1.硬化性組成物および仮固定用組成物の製造
[製造例1〜2]硬化性組成物(I−1)および(I−2)の製造
表1に示す成分を、表1に示す配合量で混合し、硬化性組成物(I−1)および(I−2)を製造した。表1中の各成分の詳細は、後述する通りである。
Figure 2017050322
以下に挙げるシロキサン単位は、次に示す記号で示す。
M(Vi):(ViMe2SiO1/2
M(Ac):(AcMe2SiO1/2
M(Me):(Me3SiO1/2
D(Me):(Me2SiO2/2
D(H):(HMeSiO2/2
上記各記号中、Meはメチル基、Viはビニル基、AcはCH2=CH−C(O)−O−R−(Rは2価の基である)を示す。
A1:M(Vi)およびD(Me)からなるアルケニル基含有ポリシロキサン
(商品名「DMS−V41」、アヅマックス(株)製)
A2:M(Ac)およびD(Me)からなるアルケニル基含有ポリシロキサン
(商品名「X−22−2445」、信越化学工業(株)製)
B1:M(Me)、D(H)、およびD(Me)からなるポリシロキサン
(商品名「HMS−151」、アヅマックス(株)製)
B2:メチルハイドロジェンポリシロキサン
(商品名「KF−9901」、信越化学工業(株)製)
C1:白金と1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとの錯体
(白金金属量4質量%)
D1:トルエン
[製造例3]硬化性組成物(I−3)
100部のジペンタエリスリトールポリアクリレート(商品名「A−9550」、新中村化学(株)製)と、5部の4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと、85部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと、を混合することにより、硬化性組成物(I−3)を製造した。
[製造例4]仮固定用組成物(II−1)の製造
80部のシクロオレフィン系重合体(商品名「ARTON RX4500」、JSR(株)製)と、20部の水添テルペン樹脂(商品名「CLEARON P150」、ヤスハラケミカル(株)製)と、20部の液状スチレンブタジエンゴム(商品名「L−SBR−820」、クラレ(株)製)と、3部のヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「IRGANOX1010」、BASF社製)と、125部のカーボンブラック分散液(商品名「MHIブラック#209」、御国色素(株)製、固形分35質量%)と、367部のメシチレンと、を混合することにより、仮固定用組成物(II−1)を製造した。
[実施例1]
4インチのシリコンウエハ(基板1)に硬化性組成物(I−1)をスピンコートし、その後、ホットプレートを用いて、90℃で5分間、次いで110℃で3分間加熱し、さらに対流式オーブンを用いて、180℃で1時間加熱し、厚さ10μmの均一な仮固定材層(I−1)を有する基板1を得た。仮固定材層(I−1)の厚さは、触針式膜厚計により測定した。その他の仮固定材層の厚さについても、以下同様である。
仮固定材層(I−1)を有する基板1を内部応力測定用サンプルとして用い、シリコンウエハの内部応力を応力測定装置(装置名「FLX−2320−s」、TOHOテクノロジー社製)にて測定した。次いで、前記サンプルを、300℃で10分間加熱し、加熱後のシリコンウエハの内部応力を前記応力測定装置にて測定した。加熱前後での内部応力の差は、5MPaであった。
また、4インチのガラスウエハ(基板2)に仮固定用組成物(II−1)をスピンコートし、その後、ホットプレートを用いて、160℃で5分間加熱後、さらに230℃で10分間加熱し、厚さ3μmの均一な仮固定材層(II−1)を有する基板2を作製した。
前記基板1および前記基板2をそれぞれ縦1cm、横1cmに切断した後、仮固定材層(I−1)と仮固定材層(II−1)とが接するように貼り合わせ、ダイボンダー装置を用いて、230℃の圧着温度で15MPaの圧力を5分間加え、基板1と基板2とが仮固定材層を介して積層された試験用積層体を得た。
得られた試験用積層体に、全固体高出力レーザー装置(商品名「Genesis CX 355 STM Compact」、コヒレント・ジャパン(株)製)にて、出力100mWで基板2側からUVレーザー(波長355nm)を照射した。光照射後の試験用積層体に対して、万能ボンドテスター(商品名「デイジ4000」、デイジ社製)を用いて、フックプル方式で、基板1面に対して垂直な軸(z軸)方向に力(500μm/秒の速度、23℃)を付加し、仮固定材層(I−1)と仮固定材層(II−1)との界面での剥離を行い、基板1と基板2を分離した。この剥離の際の剥離強度を測定したところ、9N/m2であった。
[実施例2]
実施例1において、硬化性組成物(I−1)の代わりに硬化性組成物(I−2)を用いて仮固定材層(I−2)を形成した以外は、実施例1と同様の方法にて、内部応力を測定するとともに、試験用積層体を製造し、仮固定材層(I−2)と仮固定材層(II−1)との界面で剥離する際の剥離強度を測定した。内部応力の差は、8MPaであった。剥離強度は、10N/m2であった。
[比較例1]
4インチのシリコンウエハ(基板1)に硬化性組成物(I−3)をスピンコートし、その後、ホットプレートを用いて、90℃で5分間、次いで110℃で3分間加熱し、塗膜を形成した。塗膜を、露光装置(装置名「MA−200」、Suss社製)を用いて、全面露光し(高圧水銀灯、500mJ/cm2)、さらに対流式オーブンを用いて、180℃で1時間加熱し、厚さ10μmの均一な仮固定材層(I−3)を有する基板1を得た。
仮固定材層(I−3)を有する基板1を内部応力測定用サンプルとして用い、上記と同様にシリコンウエハの内部応力を測定した。加熱前後での内部応力の差は、22MPaであった。
また、4インチのガラスウエハ(基板2)に仮固定用組成物(II−1)をスピンコートし、その後、ホットプレートを用いて、160℃で5分間加熱後、さらに230℃で10分間加熱し、厚さ3μmの均一な仮固定材層(II−1)を有する基板2を作製した。
前記基板1および前記基板2をそれぞれ縦1cm、横1cmに切断した後、仮固定材層(I−3)と仮固定材層(II−1)とが接するように貼り合わせ、ダイボンダー装置を用いて、230℃の圧着温度で15MPaの圧力を5分間加え、基板1と基板2とが仮固定材層を介して積層された試験用積層体を得た。
得られた試験用積層体に、全固体高出力レーザー装置(商品名「Genesis CX 355 STM Compact」、コヒレント・ジャパン(株)製)にて、出力100mWで基板2側からUVレーザー(波長355nm)を照射した。光照射後の試験用積層体に対して、万能ボンドテスター(商品名「デイジ4000」、デイジ社製)を用いて、フックプル方式で、基板1面に対して垂直な軸(z軸)方向に力(500μm/秒の速度、23℃)を付加し、仮固定材層(I−3)と仮固定材層(II−1)との界面での剥離を行い、基板1と基板2を分離した。この剥離の際の剥離強度を測定したところ、29N/m2であった。
2.評価
実施例1〜2は比較例1に比べ、加熱前後でのウエハの内部応力差が小さいことから、基板1の反りは小さいものと予想される。よって、実施例1および2では比較例1に比べ積層体の反りが小さいため、UVレーザーの焦点が合い、良好に基板1と基板2を分離できたものと推定できる。
1・・・積層体
10・・・支持体
20・・・仮固定材
21・・・仮固定材層(I)
22・・・仮固定材層(II)
30・・・基材

Claims (6)

  1. (1)支持体と仮固定材と基材とを有する積層体であって、前記仮固定材が、前記基材における支持体側の面と接し、且つ1分子当たりアルケニル基およびシクロアルケニル基を合計で少なくとも2個有するポリシロキサン(A)、1分子当たりケイ素原子結合水素原子を少なくとも2個有するポリシロキサン(B)、およびヒドロシリル化反応用触媒(C)を含有する硬化性組成物の硬化層(I)と、前記層(I)における支持体側の面上に形成され、且つ光吸収剤を含有する仮固定材層(II)とを有する仮固定材である積層体を形成する工程;
    (2)前記基材を加工し、および/または前記積層体を移動する工程;
    (3)前記仮固定材層(II)に光を照射する工程;ならびに
    (4)前記支持体から前記基材を分離する工程;
    を有する基材の処理方法。
  2. 前記仮固定材層(II)が、熱分解性樹脂をさらに含有する請求項1に記載の基材の処理方法。
  3. 前記工程(3)において、前記仮固定材層(II)に照射される光が、紫外線である請求項1または2に記載の基材の処理方法。
  4. 前記紫外線が、波長300〜400nmの紫外線である請求項3に記載の基材の処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の基材の処理方法により基材を加工して、半導体装置を製造する、半導体装置の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法によって得られる半導体装置。
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