以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
以下の実施の形態では、記録材特性検知装置が画像形成装置に搭載される場合について説明する。画像形成装置としては、たとえばMFP、プリンター、複写機、またはファクシミリなどが挙げられる。また記録材特性検知装置は、記録材の収納装置や後処理装置などの画像形成装置以外のものに搭載されてもよい。
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置1の構成を模式的に示す断面図である。
図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置1(記録材特性検知装置の一例)は、MFPであり、記録材搬送部10と、トナー像形成部20(画像形成手段の一例)と、定着装置30と、制御部40と、記録材特性検知センサー50とを備えている。
記録材搬送部10は、搬送経路TRに沿って矢印AR1で示す搬送方向に記録材Mを搬送する。記録材搬送部10は、給紙トレイ11と、給紙ローラー12と、複数の搬送ローラー13と、排紙ローラー14と、排紙トレイ15とを含んでいる。給紙トレイ11は、画像を形成するための記録材Mを収容する。給紙トレイ11は複数であってもよい。給紙ローラー12は、給紙トレイ11と搬送経路TRとの間に設けられている。複数の搬送ローラー13の各々は、搬送経路TRに沿って設けられている。排紙ローラー14は、搬送経路TRの最も下流の部分に設けられている。排紙トレイ15は画像形成装置本体1aの最上部に設けられている。
トナー像形成部20は、いわゆるタンデム方式でY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の4色の画像を合成し、搬送される記録材Mにトナー像を形成する。トナー像形成部20は、YMCK各色についての画像形成ユニット21と、中間転写ベルト22と、YMCK各色についての一次転写ローラー23と、二次転写ローラー24とを含んでいる。
YMCK各色の画像形成ユニット21は、感光体ドラム25と、帯電ローラー26と、露光装置27と、現像装置28と、クリーニング装置29などを含んでいる。感光体ドラム25は、図1中矢印αで示す方向に回転駆動される。感光体ドラム25の周囲には、帯電ローラー26、現像装置28、およびクリーニング装置29が設けられている。帯電ローラー26は、感光体ドラム25に近接して設けられている。露光装置27は、感光体ドラム25の下部に設けられている。
中間転写ベルト22は、YMCK各色の画像形成ユニット21の上部に設けられている。中間転写ベルト22は、環状であり、回転ローラー22aに架け渡されている。中間転写ベルト22は、図1中矢印βで示す方向に回転駆動される。一次転写ローラー23の各々は、中間転写ベルト22を挟んで感光体ドラム25の各々と対向している。二次転写ローラー24は、搬送経路TRにおいて中間転写ベルト22と接触している。
定着装置30は、トナー像を担持した記録材を把持しながら搬送経路TRに沿って搬送することで、記録材Mにトナー像を定着させる。
画像形成装置1は、感光体ドラム25を回転させて、感光体ドラム25の表面を帯電ローラー26によって帯電させる。画像形成装置1は、帯電された感光体ドラム25の表面に対して、露光装置27により画像形成情報に従った露光を行い、感光体ドラム25の表面に静電潜像を形成する。
次に画像形成装置1は、静電潜像が形成された感光体ドラム25に対して、現像装置28からトナーを供給して現像を行い、感光体ドラム25の表面にトナー像を形成する。
次に画像形成装置1は、一次転写ローラー23を用いて、感光体ドラム25に形成されたトナー像を、中間転写ベルト22の表面に順次転写する(一次転写)。フルカラー画像の場合、中間転写ベルト22の表面には、YMCK各色のトナー像が合成されたトナー像が形成される。
画像形成装置1は、中間転写ベルト22に転写されずに感光体ドラム25に残留したトナーを、クリーニング装置29により除去する。
続いて画像形成装置1は、中間転写ベルト22の表面に形成されたトナー像を、回転ローラー22aによって二次転写ローラー24と対向する位置まで搬送する。
一方、画像形成装置1は、給紙トレイ11に収容された記録材Mを、給紙ローラー12により給紙し、複数の搬送ローラー13の各々により搬送経路TRに沿って中間転写ベルト22と二次転写ローラー24との間に導く。そして画像形成装置1は、中間転写ベルト22の表面に形成されたトナー像を、二次転写ローラー24により記録材Mに転写する。
画像形成装置1は、トナー像が転写された記録材Mを定着装置30に導き、定着装置30によりトナー像を記録材Mに定着する。その後画像形成装置1は、トナー像が定着された記録材Mを、排紙ローラー14により排紙トレイ15に排紙する。
制御部40は、画像形成装置1全体を制御する。制御部40は、制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、CPUのワークエリアを構成するRAM(Random Access Memory)などにより構成されている。制御部40は、印刷対象となる記録材の特性を検知する特性検知部41(特性検知手段の一例)と、画像形成装置1の各部材を駆動する駆動部(アクチュエーター)43(変更手段および切替手段の一例)と、特性テーブル47などの各種情報を記憶する記憶部45とを含んでいる。
記録材特性検知センサー50は、制御部40の制御の下で、特性検知部41が記録材Mの特性を検知するのに必要な情報を取得する。トナー像形成部20は、特性検知部41にて検知した記録材Mの特性に基づいて、記録材Mに対して画像を形成する。
なお、記録材特性検知センサー50は、二次転写ローラー24よりも上流側の搬送経路TRに設けられていることが好ましい。記録材特性検知センサー50は、搬送中の記録材Mの情報を取得するものであってもよいし、搬送ローラー13などによって一旦搬送を停止した状態(静止した状態)の記録材Mの情報を取得するものであってもよい。
図2は、本発明の第1の実施の形態における記録材特性検知センサー50の構成を示す断面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態において、記録材Mの表面に対して垂直な方向から見た場合の記録材特性検知センサー50の一部の部材の位置関係を示す平面図である。図4は、図2における反射位置RG付近を拡大して示す断面図である。
なお、図面におけるx軸、y軸、およびz軸は、互いに直交している。図2、図4、図6〜図11、図13、および図14において、点線の矢印は記録材Mの透過光または拡散反射光を示しており、実線の矢印は記録材Mへの入射光または正反射光を示している。図2、図4、図6、図10、および図11では説明の便宜のために、反射光量センサー532および531が並べて図示されているが、反射光量センサー532および531は、実際には図3のような位置関係を有している。
図2および図3を参照して、本実施の形態における記録材特性検知センサー50は、光源51と、透過光量センサー52(透過光量測定手段の一例)と、反射光量センサー53(反射光量測定手段の一例)と、背面部材(白色背面板)54と、偏光板551〜553と、反射抑制部材561とを含んでいる。
光源51、反射光量センサー53、および偏光板551〜553は、記録材Mにおける表面側(図2中記録材Mよりも上側)に設けられている。透過光量センサー52、背面部材54、および反射抑制部材561は、記録材Mにおける裏面側(図2中記録材Mよりも下側)に設けられている。
光源51は、記録材Mの表面に光を照射する。光源51は、透過光用光源511と、反射光用光源512とを含んでいる。透過光用光源511は、記録材Mの表面に入射光L1を照射する。反射光用光源512は、記録材Mの表面に入射光L2を照射する。反射光用光源512から反射光量センサー53までの記録材Mの延在方向に沿った距離(図2中横方向の距離)は、透過光用光源511から反射光量センサー53までの記録材Mの延在方向に沿った距離よりも小さい。透過光用光源511から照射される入射光L1と、反射光用光源512から照射される入射光L2とは、同一の波長を有していてもよいし、互いに異なる波長を有していてもよい。
光源51は任意の光源であればよい。特に光源51がレーザー装置または白色LED(Light Emitting Diode)などよりなっている場合には、記録材Mの白色度を容易に測定することができる。
透過光量センサー52は、透過光用光源511から照射され記録材Mを透過した透過光L11の量を測定する。透過光量センサー52は、記録材Mを挟んで透過光用光源511と対向する位置に設けられている。透過光用光源511と透過光量センサー52とは、記録材Mの表面に対して垂直な方向から見た場合に互いに重なる位置に設けられている。これにより、透過光量センサー52は、光量の一番強い領域で透過光L11の量を測定することができる。また、透過光用光源511および透過光量センサー52の構成が容易になる。
反射光量センサー53は、反射光用光源512から照射され記録材Mの表面における所定の反射位置RGで反射した反射光(以降、反射位置RGでの反射光と記すことがある)の量を測定する。本実施の形態における反射光量センサー53は、互いに異なる部材よりなる2つの反射光量センサー531および532を含んでいる。反射光量センサー531および532は、記録材Mにおける光源51と同じ側(記録材Mにおける表面側)に設けられている。
反射光量センサー531(第1の反射光量測定手段の一例)は、反射位置RGでの反射光の第1の成分である第1の反射光の量を測定する。反射光量センサー532(第2の反射光量測定手段の一例)は、反射位置RGでの反射光の第1の成分とは異なる第2の成分である第2の反射光の量を測定する。反射光量センサー532は、たとえばフォトダイオードやCCD(Charge Coupled Device)センサーなどよりなっている。
偏光板551は、所定の振動方向の光のみを通過させる状態で、反射光用光源512と反射位置RGとの間に設けられている。
偏光板552(第1の反射光側偏光板の一例)は、反射位置RGでの反射光の正反射光L21の振動方向と同一の振動方向を有する反射光を遮断する状態で、反射位置RGと反射光量センサー531との間に設けられている。
偏光板553(第2の反射光側偏光板の一例)は、反射位置RGでの反射光の正反射光L21の振動方向と同一の振動方向を有する反射光を通過させる状態で、反射位置RGと反射光量センサー532との間に設けられている。言い換えれば、偏光板553は、反射位置RGでの反射光の正反射光L21の振動方向とは異なる特定の振動方向(ここでは、反射位置RGでの反射光の正反射光L21の振動方向から90度回転した方向の振動方向)を有する光を遮断する状態で設けられている。
図3で見た場合に、反射光量センサー531および532、ならびに偏光板552および553の各々は、反射光用光源512(反射光となる光を照射した光源51)を中心とした同一の円弧AC上に設けられている。これにより、反射光用光源512から反射光量センサー531および532の各々までの距離が互いに等しくなる。反射光用光源512からの光は放射状に照射されるため、同じ距離であれば反射光量センサー531および532の各々にはほぼ同じ量の反射光が入射する。その結果、偏光板の違いによる反射光量センサー531および532の各々の出力の違いを容易に比較することができる。
背面部材54は、記録材Mの反射位置RGの背面(記録材Mの裏面側の空間)に設けられている。記録材Mの表面に対して垂直な方向から見た場合に、背面部材54はたとえば円形状を有している。背面部材54は0%よりも高い白色度を有しており、たとえば80%以上の白色度を有する白色板よりなっている。背面部材54の表面は、硫化バリウムなどの高い反射率および拡散度を有する材料を含む塗料が塗布されていることが好ましい。
反射抑制部材561は、記録材Mの表面に対して垂直な方向から見た場合に、透過光量センサー52の周囲に設けられている。反射抑制部材561は背面部材54の白色度よりも低い白色度を有しており、低い光沢度を有している。反射抑制部材561は、たとえば白色度が20%以下である黒色板よりなっている。これにより、記録材Mの表面に対して垂直な方向から見た場合の透過光量センサー52の周囲の部分における透過光用光源511から照射される光の反射率は、背面部材54における透過光用光源511から照射される光の反射率よりも低くなる。ここでは、反射抑制部材561および背面部材54は、一つの部材の表面を白および黒で塗り分けたものであり、連続している。反射抑制部材561は、光沢度および反射率の低い材料(黒色の材料)よりなっていることが好ましい。
なお、周囲の背面部材54(白色板)での反射光が透過光量センサー52にて測定される透過光L11の量に悪影響を及ぼさないように、記録材Mの位置(通紙高さ)、光量、または透過光量センサー52の感度などに応じて反射抑制部材561の広さが最適化されることが好ましい。
続いて、本実施の形態における記録材特性検知センサー50の動作について説明する。
図2および図4を参照して、透過光用光源511から照射された入射光L1の一部は、記録材Mを透過して透過光L11となり、透過光量センサー52に入射する。透過光量センサー52は、受光した透過光L11の量に応じた電圧値を特性検知部41に出力する。
反射光用光源512は、透過光用光源511の照射タイミングと同じタイミングまたは異なるタイミングで、入射光L2を照射する。反射光用光源512から照射された入射光L2は、偏光板551を通過する際に所定の振動方向を有する直線偏光となり、記録材Mの表面の反射位置RGに入射する。反射光用光源512から反射位置RGに入射した光は、正反射光L21と屈折光とに分かれる。正反射光L21は、特定の方向に放射され同一の振動方向を有する直線偏光である。
屈折光の一部は、記録材Mを透過し、背面部材54で反射し、記録材Mを再度透過して記録材Mの表面側の外部に放射されて反射光L22となる。反射光L22は、主に背面部材54での拡散反射光により構成される。また反射光L22の一部は、記録材Mを再度透過する際に拡散される。
さらに、屈折光の一部は、記録材Mの内部で散乱を繰り返し、記録材Mで吸収されずに再び反射位置RGから記録材Mの表面側の外部に放射されて拡散反射光L23となる。拡散反射光L23は、等方的に放射される非偏光である。
したがって、反射位置RGから反射光量センサー53に向かう反射光は、主に正反射光L21と、反射光L22と、拡散反射光L23とにより構成される。反射位置RGでの正反射光L21の量に対する背面部材54での反射光L22の量の割合は、記録材Mが薄いほど高くなる。
反射位置RGから反射光量センサー53に向かう反射光のうち、正反射光L21は偏光板552によって遮断され、反射光L22および拡散反射光L23(正反射光L21と同一の振動方向を有する反射光L22および拡散反射光L23を除く部分)は偏光板552を通過する。その結果、反射光量センサー531に入射する第1の反射光は、主に反射光L22および拡散反射光L23(正反射光を含まない反射光の成分)により構成される。反射光量センサー531は、受光した第1の反射光の量に応じた電圧値を特性検知部41に出力する。
反射位置RGから反射光量センサー53に向かう反射光のうち、反射光L22および拡散反射光L23の一部は偏光板553によって遮断され、正反射光L21は偏光板553を通過する。その結果、反射光量センサー532に入射する第2の反射光は、主に正反射光L21(正反射光を含む反射光の成分)により構成される。反射光量センサー532は、受光した第2の反射光の量に応じた電圧値を特性検知部41に出力する。
特性検知部41は、透過光量センサー52および反射光量センサー53の各々から出力された電圧値に基づいて、特性テーブル47を用いて、記録材Mの特性(ここでは種類(白色度)および厚さ(坪量))を検知する。
図5は、本発明の第1の実施の形態における特性テーブル47を模式的に示す図である。図5(a)は、種類および厚さを判断するための第1の特性テーブルである。図5(b)は、光沢紙か否かを判断するための第2の特性テーブルである。
図5(a)を参照して、第1の特性テーブルは、透過光量センサー52の出力、ならびに反射光量センサー531および532の平均出力と、記録材Mの種類および厚さとの関係が記載されたものである。反射光量センサーの平均出力からは種類(白色度)が判断され、透過光量センサーの出力からは厚さ(坪量)が判断される。
具体的には、反射光量センサーの平均出力の項目は、0〜1V(ボルト)、1V〜2V、2V〜3V、および3V以上に区分されている。反射光量センサーの平均出力が0〜1Vである場合には、光の反射率が最も低い黒色紙であると判断される。反射光量センサーの平均出力が1〜2Vである場合には、光の反射率が2番目に低い色紙(黒色以外)であると判断される。反射光量センサーの平均出力が2〜3Vである場合には、光の反射率が2番目に高い再生紙であると判断される。反射光量センサーの平均出力が3V以上である場合には、光の反射率が最も高い普通紙であると判断される。
透過光量センサーの出力の項目は、0〜1V、1V〜2V、2V〜3V、3V〜4V、および4V以上に区分されている。一般的に、記録材Mの厚さが薄くなるほど透過光の量は増加するため、透過光量センサーの出力が大きくなるほどその記録材Mは薄い(その記録材Mの坪量区分が小さい)と判断される。例として、記録材Mの種類が再生紙であると判断された場合において、透過光量センサーの出力の項目が0〜1Vであるときは、極厚の再生紙であると判断される。透過光量センサーの出力の項目が1V〜2Vであるときは、厚い再生紙であると判断される。透過光量センサーの出力の項目が2V〜3Vであるときは、薄い再生紙であると判断される。透過光量センサーの出力の項目が3V〜4Vであるときは、極薄の再生紙であると判断される。また記録材Mの種類が普通紙であると判断された場合において、透過光量センサーの出力の項目が1V〜2Vであるときは、極厚の普通紙であると判断される。透過光量センサーの出力の項目が2V〜3Vであるときは、厚い普通紙であると判断される。透過光量センサーの出力の項目が3V〜4Vであるときは、薄い普通紙であると判断される。透過光量センサーの出力の項目が4V以上であるときは、極薄の普通紙であると判断される。なお、第1の特性テーブルにおける空欄に該当する場合には判断不能と判断される。
図5(b)を参照して、第2の特性テーブルは、反射光量センサー531の出力に対する反射光量センサー532の出力の比(以降、出力比と記すことがある)と、記録材Mが光沢紙であるか否かとの関係が記載されたものである。一般的に、記録材Mの光沢度が高いほど正反射光の量が増加し、反射光量センサー532に入射する第2の反射光(主に正反射光L21(正反射光を含む反射光の成分)により構成されている反射光)の量が増加するので、出力比は大きくなる。したがって、出力比によって記録材Mの光沢度が分かる。
ここでは、出力比が2以上である場合には、第2の反射光の量が多いため、光沢紙(グロスコート紙など)であると判断される。一方、出力比が2未満である場合には、第2の反射光の量が少ないため、非光沢紙であると判断される。
なお、光源51、透過光量センサー52、もしくは反射光量センサー53の機差、または背面部材54の経時変化などに起因する透過光量センサー52および反射光量センサー53の経年変化については、必要なタイミングで記録材Mが無い状態で光量を測定することにより校正されてもよい。また、記録紙Mの坪量区分を判断する方法の他の例として、て、透過光量センサー52、反射光量センサー531、および反射光量センサー532の各々の出力値をパラメータとして所定の数式に当てはめることで坪量を算出した後、算出した坪量が複数の坪量区分のうちいずれの坪量区分に属するかを判断する方法が採用されてもよい。この方法によれば、坪量区分が判別不能となることがなくなる。
本実施の形態においては、反射位置RGの背面に0より高い白色度を有する(黒色ではない)背面部材54が設けられているため、記録材Mを透過した光の一部が背面部材54で反射して反射光L22となり、反射位置RGで反射した正反射光L21および拡散反射光L23とともに反射光量センサー53に入射する。これにより、記録材Mが薄い場合に反射光量センサー53に入射する反射光の量を増加させることができ、記録材Mの種類(白色度)の検知精度を向上することができる。具体的には、図5(a)に示す特性テーブル47において、薄い普通紙や極薄の普通紙から得られる反射光量センサーの平均出力を増加させることができるので、薄い普通紙や極薄の普通紙が再生紙として誤検知される事態を回避することができる。加えて、透過光量センサー52の周囲に反射抑制部材561が存在しており、光源51から照射された光の拡散反射光が反射抑制部材561に吸収されるので、光源51から照射された光が透過光量センサー52の周囲の部材と記録材Mとの間で乱反射して透過光量センサー52に入射することを抑止することができる。これにより、透過光量センサー52による記録材Mの厚さの検知精度を向上することができる。その結果、透過光の量および反射光の量に基づいて、記録材Mの特性をより正確に検知することができる。
また本実施の形態によれば、反射光量センサー531を用いて第1の反射光の量を測定し、反射光量センサー532を用いて第2の反射光の量を測定することにより、記録材Mの光沢度を判断することができる。特に反射位置RGと反射光量センサー531との間に偏光板552を設けることにより、反射光量センサー531と反射光量センサー532との各々で互いに異なる成分の反射光の量を測定することができる。
また本実施の形態によれば、反射位置RGと反射光量センサー531との間に偏光板552を設け、反射位置RGと反射光量センサー532との間に偏光板553を設けることにより、反射光量センサー531に入射する第1の反射光と反射光量センサー532に入射する第2の反射光とがいずれも偏光板を通過した光となり、両者の光量の比較が容易になる。
また本実施の形態によれば、反射光用光源512と反射位置RGとの間に偏光板551を設けることにより、反射位置RGへの入射光が正反射光L21と同じ振動方向を有する光となり、反射光量センサー531に入射する第1の反射光と反射光量センサー532に入射する第2の反射光との差を一層明確にすることができる。
さらに本実施の形態によれば、記録材Mの特性を画像形成条件に反映させることができ、画像形成装置1が印刷する画像の品質を向上することができる。
なお、本実施の形態における記録材特性検知センサー50が搬送中の記録材Mの情報を取得する場合、記録材Mの搬送方向は、図2中x軸方向であってもよいし、y軸方向(紙面に対して垂直な方向)であってもよい。記録材Mの搬送方向がx軸方向であるときは、記録材Mにおける透過光となる入射光L1を照射する位置と、反射光となる入射光L2を照射する位置とを同じにすることで、記録材Mにおける同一箇所を測定対象とすることができ、記録材Mの面内での測定結果のばらつきを無くすことができる。また記録材Mの搬送方向がy軸方向であるときは、透過光の量と反射光の量とを同時に測定することができ、記録材Mの情報を取得するのに要する時間を短縮することができる。
また、本実施の形態の記録材特性検知センサー50においては、偏光板551が省略され、反射光用光源512から照射された光が非偏光のまま反射位置RGに入射してもよい。この場合にも反射位置RGでの反射光の正反射光L21およびL22は直線偏光となる。
[第1の実施の形態の変形例]
図6は、本発明の第1の実施の形態における記録材特性検知センサー50の第1の変形例の構成を示す断面図であって、反射位置RG付近を拡大して示す断面図である。
図6を参照して、本実施の形態の第1の変形例における記録材特性検知センサー50は、偏光板553(図4)を含んでいない。反射光量センサー532には、第2の反射光として偏光板を通過していない反射光が入射する。なお、反射光量センサー532に入射する第1の反射光が偏光板552を通過した光であるのに対して、反射光量センサー533に入射する第2の反射光は偏光板を通過していない光となるため、両者の光量は事前に補正されることが好ましい。
本実施の形態の第1の変形例によれば、偏光板を省略することができるので、装置構成の簡素化および省スペースを図ることができる。
図7は、本発明の第1の実施の形態における記録材特性検知センサー50の第2の変形例の構成を示す断面図であって、反射位置RG付近を拡大して示す断面図である。図7(a)は、偏光板554の第1の状態を示す図である。図7(b)は、偏光板554の第2の状態を示す図である。
図7を参照して、本実施の形態の第2の変形例の記録材特性検知センサー50において、反射光量センサー531および532は、同一の部材(反射光量センサー53)よりなっている。反射光量センサー53は、記録材Mにおける光源51と同じ側(表面側)に設けられている。
記録材特性検知センサー50は、偏光板552および553(図4)の代わりに偏光板554(反射光側偏光板の一例)を含んでいる。偏光板554は、反射位置RGと反射光量センサー53との間に設けられている。駆動部43(図1)は、記録材Mの表面に対して垂直な方向を回転軸AXとして偏光板554を回転させることにより、第1の状態(図7(a)の状態)と第2の状態(図7(b)の状態)との間で偏光板554の状態を変更させる。第1の状態は、反射位置RGでの反射光の正反射光L21の振動方向と同一の振動方向を有する反射光が反射光量センサー53に入射するのを遮断する状態である。第2の状態は、反射位置RGでの反射光の正反射光L21の振動方向と同一の振動方向を有する光を反射光量センサー53に入射させる状態である。本変形例では、第2の状態は、反射光量センサー53に入射する反射光が偏光板554を通過する状態(たとえば第1の状態から偏光板554が90度回転した状態)である。
偏光板554が第1の状態である場合、図7(a)に示すように、反射位置RGから反射光量センサー53に向かう反射光のうち、正反射光L21は偏光板554によって遮断され、反射光L22および拡散反射光L23(正反射光L21と同一の振動方向を有する反射光L22および拡散反射光L23を除く部分)は偏光板554を通過する。その結果、反射光量センサー531に入射する反射光は、主に反射光L22および拡散反射光L23(正反射光を含まない反射光の成分)により構成される第1の反射光となる。反射光量センサー53は、受光した第1の反射光の量に応じた電圧値を特性検知部41に出力する。
偏光板554が第2の状態である場合、図7(b)に示すように、反射位置RGから反射光量センサー53に向かう反射光のうち、反射光L22および拡散反射光L23の一部は偏光板554によって遮断され、正反射光L21は偏光板554を通過する。その結果、反射光量センサー53に入射する反射光は、主に正反射光L21(正反射光を含む反射光の成分)により構成される第2の反射光となる。反射光量センサー53は、受光した第2の反射光の量に応じた電圧値を特性検知部41に出力する。
つまり、反射光量センサー53は、偏光板554の状態を第1の状態として第1の反射光の量を測定し、次に駆動部43によって偏光板554を第2の状態に回転して第2の反射光の量を測定する。反射光量センサー53は、第1の反射光の量と第2の反射光の量とを異なるタイミングで測定する。
本実施の形態の第2の変形例によれば、1つの反射光量センサー53で異なる成分(振動方向)の反射光の量を測定することができる。これにより、反射光量センサーおよび偏光板の数を減らすことができるので、装置構成の簡素化を図ることができる。
図8は、本発明の第1の実施の形態における記録材特性検知センサー50の第3の変形例の構成を示す断面図であって、反射位置RG付近を拡大して示す断面図である。図8(a)は、偏光板554の第1の状態を示す図である。図8(b)は、偏光板554の第2の状態を示す図である。
図8を参照して、本実施の形態の第3の変形例の記録材特性検知センサー50は、本実施の形態の第2の変形例の記録材特性検知センサー50とほぼ同様の構成を有している。すなわち、反射光量センサー531および532は、同一の部材(反射光量センサー53)よりなっている。記録材特性検知センサー50は、偏光板552および553(図4)の代わりに偏光板554を含んでいる。
駆動部43(図1)は、偏光板554を移動させることにより、第1の状態(図8(a)の状態)と第2の状態(図8(b)の状態)との間で偏光板554の状態を変更させる。本変形例では、第2の状態は、反射光量センサー53に入射する反射光が偏光板554を通過しない状態(一例として、図8(a)の状態から図8中左方向に移動した状態)である。
偏光板554が第1の状態である場合、図8(a)に示すように、反射位置RGから反射光量センサー53に向かう反射光のうち、正反射光L21は偏光板554によって遮断され、反射光L22および拡散反射光L23(正反射光L21と同一の振動方向を有する反射光L22および拡散反射光L23を除く部分)は偏光板554を通過する。その結果、反射光量センサー531に入射する反射光は、主に反射光L22および拡散反射光L23(正反射光を含まない反射光の成分)により構成される第1の反射光となる。反射光量センサー53は、受光した第1の反射光の量に応じた電圧値を特性検知部41に出力する。
偏光板554が第2の状態である場合、図8(b)に示すように、反射位置RGから反射光量センサー53に向かう反射光は偏光板554によって遮断されない。その結果、反射光量センサー53に入射する反射光は、正反射光L21、反射光L22、および拡散反射光L23によって構成される第2の反射光となる。反射光量センサー53は、受光した第2の反射光の量に応じた電圧値を特性検知部41に出力する。
反射光量センサー53は、偏光板554の状態を第1の状態として第1の反射光の量を測定し、次に駆動部43によって偏光板554を第2の状態に移動して第2の反射光の量を測定する。反射光量センサー53は、第1の反射光の量と第2の反射光の量とを異なるタイミングで測定する。
本実施の形態の第3の変形例によれば、反射光量センサーおよび偏光板の数を減らすことができるので、装置構成の簡素化を図ることができる。
図9は、本発明の第1の実施の形態における記録材特性検知センサー50の第4の変形例の構成を示す断面図であって、透過光量センサー52付近を拡大して示す断面図である。
図9を参照して、本実施の形態の第4の変形例における記録材特性検知センサー50は、反射抑制部材561(図2)を含んでいない。背面部材54は、透過光量センサー52の位置まで図9中左方向に延在している。背面部材54は、記録材Mに面する開口部541を含んでいる。開口部541は十分な深さを有しており、透過光量センサー52は開口部541の底面に固定されている。記録材Mの表面に対して垂直な方向から見た場合に、開口部541は略円状を有しており、透過光量センサー52の周囲は開口部541の内部空間562によって取り囲まれている。その結果、記録材Mの表面に対して垂直な方向から見た場合の透過光量センサー52の周囲の部分(内部空間562)における透過光用光源511から照射される光の反射率は、背面部材54における透過光用光源511から照射される光の反射率よりも低くなっている。
なお、周囲の背面部材54(白色板)での反射光が透過光量センサー52にて測定される透過光L11の量に悪影響を及ぼさぬように、記録材Mの位置(通紙高さ)、光量、または透過光量センサー52の感度などに応じて開口部541の大きさや深さが最適化されることが好ましい。
開口部541の側面や底面での光の反射を効果的に抑止するために、開口部541の内壁面は黒色であることが好ましい。この場合、開口部541の内壁面には黒色の塗料が塗布されていてもよいし、黒色の部品などが設けられていてもよい。
本実施の形態の第4の変形例によれば、開口部541の側面や底面で反射した光を透過光量センサー52に入射する前に内部空間562で十分に減衰させることができるので、乱反射した光が透過光量センサー52に入射することを抑止することができる。また、簡易な構成で反射抑制構造を構成することができる。
図10は、本発明の第1の実施の形態における記録材特性検知センサー50の第5の変形例の構成を示す断面図である。
図10(a)を参照して、本実施の形態の第5の変形例の記録材特性検知センサー50において、背面部材54は、リブ542を含んでいる。リブ542は、記録紙Mの表面に対して垂直な方向から見た場合に反射位置RGの周囲に設けられており、記録材Mの方向に突出している。
図10(b)を参照して、本変形例においては、リブ542の代わりに保護材543が設けられていてもよい。保護材543は、反射位置RGの背面となる背面部材54を覆っており、透明な部材よりなっている。
本実施の形態の第5の変形例によれば、記録材Mと背面部材54との接触がリブ542または保護材543によって抑止されるので、記録材Mの通紙時の記録材Mと背面部材54との摩擦による背面部材54の白色度の経年変化を抑止することができる。
なお、本実施の形態の第1〜第5の変形例における上述以外の画像形成装置1および記録材特性検知センサー50の構成は、図1および図2に示す画像形成装置1および記録材特性検知センサー50の構成と同様であるため、その説明は繰り返さない。
[第2の実施の形態]
図11は、本発明の第2の実施の形態における記録材特性検知センサー50の構成を示す断面図である。図12は、本発明の第2の実施の形態において、記録材Mの表面に対して垂直な方向から見た場合の記録材特性検知センサー50の一部の部材の位置関係を示す平面図である。
図11および図12を参照して、本実施の形態における記録材特性検知センサー50と、図2に示す第1の実施の形態における記録材特性検知センサーとの主な相違点は、本実施の形態では透過光用光源511と反射光用光源512とが同一の部材(光源51)よりなっており、遮光部材58をさらに含んでいる点である。本実施の形態における記録材特性検知センサー50は、光源51と、透過光量センサー52(透過光量測定手段の一例)と、反射光量センサー53(反射光量測定手段の一例)と、背面部材54と、遮光部材58と、偏光板551〜553と、反射抑制部材561とを含んでいる。
光源51、反射光量センサー53、遮光部材58、および偏光板551〜553は、記録材Mにおける表面側(図11中記録材Mよりも上側)に設けられている。透過光量センサー52、背面部材54、および反射抑制部材561は、記録材Mにおける裏面側(図11中記録材Mよりも下側)に設けられている。偏光板551は、所定の振動方向の光のみを通過させる状態で、光源51と反射位置RGの間に設けられている。
図12で見た場合に、光源51は、透過光量センサー52と、反射光量センサー53(ここでは、反射光量センサー53が2つの反射光量センサー531および532よりなっているので、2つの反射光量センサー531および532の中間の位置)との間に設けられている。言い換えれば、光源51の一方側には透過光量センサー52が設けられており、光源51の他方側には反射光量センサー53が設けられている。
遮光部材58は、円筒形状を有しており、光源51の周囲を取り囲んでいる。遮光部材58は、光沢度および反射率の低い黒色の材料よりなっており、たとえば白色度が20%以下である材料よりなっている。
なお、本実施の形態の上述以外の画像形成装置1および記録材特性検知センサー50の構成は、図1および図2に示す画像形成装置1および記録材特性検知センサー50の構成と同様であるため、その説明は繰り返さない。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。加えて、透過光用光源511と反射光用光源512とが同一の部材(光源51)よりなっているので、光源の数を減らすことができ、装置構成の簡略化を図ることができる。さらに、光源51が透過光量センサー52と反射光量センサー53との間に設けられているので、十分な広さの反射抑制部材561を設けることができ、透過光量センサー52の周囲の部材と記録材Mとの間で乱反射した光が透過光量センサー52に入射することを抑止することができる。その結果、透過光量センサー52による反射光の測定精度を向上することができる。また、背面部材54を背面とする反射位置RGで反射した光を反射光量センサー53に入射させることができる。
また、遮光部材58を設けることにより、光源51から照射され、記録材Mにおける透過光量センサー52の周囲に設けられた反射抑制部材561が背面となる位置で反射し、反射光量センサー53に向かう光L31を遮断することができる。その結果、反射光量センサー53による反射光の測定精度を向上することができる。
[第3の実施の形態]
図13は、本発明の第3の実施の形態における記録材特性検知センサー50の構成を示す断面図である。なお図13は、記録材特性検知センサー50が記録材Mの透過光を測定する状態を示している。
図13を参照して、本実施の形態における記録材特性検知センサー50と、図2に示す第1の実施の形態における記録材特性検知センサーとの主な相違点は、本実施の形態では透過光量センサー52および反射光量センサー53が同一の部材(光量センサー60)よりなっている点である。本実施の形態における記録材特性検知センサー50は、光源51と、背面部材(白色背面板)54と、光量センサー60(本実施の形態における透過光量測定手段および反射光量測定手段の一例)と、黒色板62および63(第1および第2の黒色部材の一例)と、偏光板551とを含んでいる。光源51は、透過光用光源511と、反射光用光源512とを含んでいる。
背面部材54、黒色板62、および透過光用光源511は、記録材Mにおける裏面側(図13中記録材Mよりも上側)に設けられている。黒色板62は、凹部621と、リブ622(突出部分の一例)と、貫通孔623(第1の絞り部の一例)とを含んでいる。凹部621は反射位置RGの背面に設けられており、背面部材54は凹部621の内部に固定されている。背面部材54は、黒色板62における記録材M側の面の一部に設けられている。リブ622は、記録材Mの表面に対して垂直な方向から見た場合に背面部材54の周囲に設けられており、背面部材54よりも記録材M側に突出している。透過光用光源511は、貫通孔623を通じて記録材Mに透過光L11となる入射光L1を照射する。貫通孔623は、透過光用光源511から照射される入射光L1の量を調節する絞り部として機能する。
光量センサー60、黒色板63、および反射光用光源512は、記録材Mにおける表面側(図13中記録材Mよりも下側)に設けられている。黒色板63は、凹部631と、貫通孔632と、貫通孔633(第2の絞り部の一例)とを含んでいる。反射光用光源512および偏光板551は、凹部631の内部に固定されている。反射光用光源512は、偏光板551および貫通孔632を通じて記録材Mに入射光L2(図14)を照射する。反射光用光源512は、透過光用光源511の照射タイミングとは異なる照射タイミングで入射光L2を照射する。貫通孔632は凹部631の天井面に設けられており、反射光用光源512から照射される入射光L2の量を調節する絞り部として機能する。光量センサー60は、貫通孔633の内部に設けられており、透過光用光源511と対向する位置に設けられている。光量センサー60を貫通孔633の内部に設けることにより、記録材の表面に対して垂直な方向から見た場合の光量センサー60の周囲の部分における透過光用光源511から照射される入射光L1の反射率は、背面部材54における透過光用光源511から照射される入射光L1の反射率よりも低くなる。
偏光板554は、光量センサー60の付近において移動可能である。駆動部43(図1)は、偏光板554を移動させることにより、第1の状態(図13および図14(a)の状態)と第2の状態(図14(b)の状態)との間で偏光板554の状態を変更させる。
次に、本実施の形態における記録材特性検知センサー50の動作について説明する。
駆動部43(図1)は、偏光板554を移動させることにより、偏光板554の状態を第1の状態にする。第1の状態は、光量センサー60に入射する記録材Mの透過光L11が偏光板554を通過せず、かつ光量センサー60に入射する反射位置RGでの反射光L21(図14)が偏光板554を通過しない状態である。この状態で透過光用光源511は入射光L1を照射する。透過光用光源511から照射される入射光L1の一部は、記録材Mを透過した透過光L11となり、光量センサー60に入射する。光量センサー60は、受光した透過光L11の量に応じた電圧値を特性検知部41に出力する。
図14は、本発明の第3の実施の形態における記録材特性検知センサー50が反射光の量を測定する場合の動作を示す図である。図14(a)は、記録材特性検知センサー50が、第2の反射光の量を測定する場合の動作を示す図である。図14(b)は、記録材特性検知センサー50が、第1の反射光の量を測定する場合の動作を示す図である。
図14(a)を参照して、次に、偏光板554の状態を第1の状態にしたままで、反射光用光源512は入射光L2を照射する。反射光用光源512は、透過光用光源511の照射タイミングとは異なる照射タイミングで入射光L2を照射する。反射光用光源512から照射された入射光L2は、偏光板551を通過する際に所定の振動方向を有する直線偏光となり、記録材Mの表面の反射位置RGに入射する。反射位置RGから反射光量センサー53に向かう反射光は偏光板554を通過しない。その結果、反射光量センサー53に入射する反射光は、正反射光L21、反射光L22、および拡散反射光L23によって構成される第2の反射光となる。反射光量センサー53は、受光した第2の反射光の量に応じた電圧値を特性検知部41に出力する。
図14(b)を参照して、次に駆動部43は偏光板554を移動して第2の状態にする。この状態で反射光用光源512は入射光L2を照射する。反射位置RGから光量センサー60に向かう反射光のうち、正反射光L21は偏光板554によって遮断され、反射光L22および拡散反射光L23(正反射光L21と同一の振動方向を有する反射光L22および拡散反射光L23を除く部分)は偏光板554を通過する。その結果、光量センサー60に入射する反射光は、主に反射光L22および拡散反射光L23(正反射光を含まない反射光の成分)により構成される第1の反射光となる。反射光量センサー53は、受光した第1の反射光の量に応じた電圧値を特性検知部41に出力する。
つまり、光量センサー60は、偏光板554の状態を第1の状態として透過光の量および第2の反射光の量を測定し、次に駆動部43によって偏光板554を第2の状態に移動して第1の反射光の量を測定する。光量センサー60は、透過光の量と第1の反射光の量と第2の反射光の量とを異なるタイミングで測定する。
第1の反射光の量および第2の反射光の量を測定する際には、図7に示す第1の実施の形態の第2の変形例のように偏光板554を回転させることにより、第1の状態と第2の状態との間で偏光板554の状態を変更させてもよい。
なお、本実施の形態の上述以外の画像形成装置1および記録材特性検知センサー50の構成は、図1および図2に示す画像形成装置1および記録材特性検知センサー50の構成と同様であるため、その説明は繰り返さない。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、透過光量センサー52および反射光量センサー53が同一の部材(光量センサー60)よりなっているので、装置構成の簡素化を図ることができる。加えて、黒色板62および63が広い範囲に存在しており、光源51から照射された光の拡散反射光が黒色板62および63に吸収されるので、光源51から照射された光が透過光量センサー52の周囲の部材と記録材Mとの間で乱反射して透過光量センサー52に入射することを抑止することができる。これにより、透過光量センサー52による記録材Mの厚さの検知精度を向上することができる。その結果、透過光の量および反射光の量に基づいて、記録材Mの特性をより正確に検知することができる。
また本実施の形態によれば、透過光用光源511から照射される光が偏光板を通過しないので、入射光L1として減衰が少なく、高い出力の光を実現することができ、透過光L11の量を測定する際に周囲の影響を少なくすることができる。また、透過光用光源511および透過光量センサー52として安価なものを使用することができる。
さらに本実施の形態によれば、記録材Mと背面部材54との接触がリブ622によって抑止されるので、記録材Mの通紙時の記録材Mと背面部材54との摩擦による背面部材54の白色度の経年変化を抑止することができる。
なお、本実施の形態において、透過光用光源511または反射光用光源512のための絞りは、黒色板62または63とは別体で構成されていてもよい。また、透過光用光源511として指向性の強いものを採用し、図9に示す第1の実施の形態の第4の変形例のように透過光量センサー52の周囲を反射する部材の無い空間(内部空間562)にしてもよい。
[光源および光量センサーの変形例]
第1〜第3の実施の形態で使用される光源51は、上述のレーザー装置または白色LEDの他、次のようなものであってもよい。
図15は、本発明の第1〜第3の実施の形態における光源51の変形例の構成を示す図である。
図15を参照して、本変形例における光源51は、第1〜第3の実施の形態における透過光用光源511、反射光用光源512、および光源51のうち少なくとも1つに相当するものである。本変形例における光源51は、赤色(R)の光を照射する赤色光源641(第1の波長を有する光を照射する第1の光源の一例)と、緑色(G)の光を照射する緑色光源642(第2の波長を有する光を照射する第2の光源の一例)と、青色(B)の光を照射する青色光源643(第3の波長を有する光を照射する第3の光源の一例)と、固定板644とを含んでいる。赤色光源641、緑色光源642、および青色光源643は、いずれもLEDよりなっており、固定板644の表面に固定されている。赤色光源641、緑色光源642、および青色光源643の各々は、駆動部43(図1)の制御の下で、互いに異なるタイミングで記録材Mの表面に光を照射する。特性検知部41は、赤色光源641、緑色光源642、および青色光源643の各々から光を照射した場合に測定された透過光の量または反射光の量に基づいて、記録材Mの種類および厚さとともに色味を判断する。その結果、記録材Mの銘柄をも特定することができ、記録材Mの特性の検知精度をさらに向上することができる。
また、反射光用光源512として本変形例の光源を用いて記録材Mの色味を判断し、透過光用光源511として白色光源を用いて強い光量で透過光を測定するようにしてもよい。
第1〜第3の実施の形態で使用される光量センサー60は、次のようなものであってもよい。
図16は、本発明の第1〜第3の実施の形態における光量センサー60の変形例の構成を示す図である。
図16を参照して、本変形例における光量センサー60は、第1〜第3の実施の形態の透過光量センサー52、反射光量センサー531、反射光量センサー532、および光量センサー60のうち少なくとも1つに相当するものである。本変形例における光量センサー60には、赤色(R)の光を透過する赤色フィルター651(第1の波長を有する光を透過する第1のフィルターの一例)と、緑色(G)の光を透過する緑色フィルター652(第2の波長を有する光を透過する第2のフィルターの一例)と、青色(B)の光のみを透過する青色フィルター653(第3の波長を有する光を透過する第3のフィルターの一例)とが設けられている。青色フィルター651、緑色フィルター652、および赤色フィルター653は、光量センサー60へ入射する光L41の進行方向に対して直交する方向で互いに固定されている。
駆動部43(図1)は、赤色フィルター651、緑色フィルター652、および青色フィルター653を光L41の進行方向に対して直交する方向(図16中矢印AR2で示す方向)に移動させることにより、光L41が入射するフィルター(光量センサー60に入射する光L41が通過するフィルター)を赤色フィルター651、緑色フィルター652、および青色フィルター653の間で切り替える。特性検知部41は、それぞれのフィルターを用いた場合に測定された透過光の量または反射光の量に基づいて、記録材Mの種類および厚さとともに色味を判断する。その結果、記録材Mの銘柄をも特定することができ、記録材Mの特性の検知精度をさらに向上することができる。
[その他]
本発明の特性検知手段による記録材の特性の検知方法は、図5を用いて説明した方法に限られるものではなく、透過光量測定手段にて測定した透過光の量および反射光量測定手段にて測定した反射光の量に基づくものであればよい。
上述の実施の形態および変形例は、適宜組み合わせることが可能である。たとえば図11に示す第2の実施の形態の記録材特性検知センサー50の構成に対して、図6〜図10に示す第1の実施の形態の第1〜第5の変形例のような構成を適用してもよい。また第3の実施の形態の記録材特性検知センサー50の構成に対して、図7に示す第1の実施の形態の第2の変形例のような偏光板554を適用してもよいし、図9に示す第1の実施の形態の第4の変形例のような内部空間562によって光量センサーが取り囲まれた構成を適用してもよい。
上述の実施の形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。