JP6083119B2 - 光学センサ及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光学センサ及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、対象物を特定するのに好適な光学センサ、及び該光学センサを備える画像形成装置に関する。
デジタル複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置は、印刷用紙に代表される記録媒体の表面にトナー像を転写し、所定の条件で加熱及び加圧することでその像を定着させ画像を形成している。画像形成において考慮しなければならないのがこの定着時の加熱量や圧力の条件であり、特に高品質の画像形成を行うには、定着条件を記録媒体に応じて個別に設定する必要がある。
これは、記録媒体における画像品質が、その材質、厚さ、湿度、平滑性、及び塗工状態などに大きく影響されるためである。例えば平滑性に関しては、定着の条件によっては印刷用紙表面の凹凸において凹部分のトナーの定着率が低くなってしまう。そこで、記録媒体に応じた正しい条件で定着を行わないと色むらが生じてしまう。
さらに、近年の画像形成装置の進歩と表現方法の多様化に伴い、記録媒体の種類は印刷用紙だけでも数百種類以上存在し、さらにそれぞれの種類において坪量や厚さなどの仕様の違いで多岐にわたる銘柄がある。高品質の画像形成のためにはこれら銘柄の1つ1つに応じた細かな定着条件を設定する必要がある。
また、近年、普通紙、グロスコート紙、マットコート紙、アートコート紙に代表される塗工紙、プラスチックシート、表面にエンボス加工が施された特殊紙に関しても銘柄が増加している。
現在の画像形成装置では、印刷時にユーザ自身が定着条件を設定しなければならない。このため、ユーザに紙の種類を識別するための知識が求められる上、その紙の種類に応じた設定内容をそのつど自分で入力しなければならない煩わしさがあった。そして、その設定内容を誤ると最適な画像を得ることができなかった。
ところで、特許文献1には、記録材表面に当接して走査することにより該記録材表面の表面性を識別するセンサを備える表面性識別装置が開示されている。
特許文献2には、圧力センサが用紙に当接して検出した圧力値から、用紙種類を判別する印刷装置が開示されている。
特許文献3には、反射光と透過光とを用いて記録材の種類を判別する記録材判別装置が開示されている。
特許文献4には、移動中のシート材の材質をシート材の表面で反射した反射光量とシート材を透過した透過光量に基づいて判別するシート材材質判別装置が開示されている。
特許文献5には、反射型光学センサからの検出出力に基づいて、給紙部に収容された記録材の有無と給紙部の有無とを判別する判別手段を有する画像形成装置が開示されている。
特許文献6には、記録媒体に光を照射してその反射光の2つの偏光成分の光量をそれぞれ検出して記録媒体の表面性を判別する画像形成装置が開示されている。
しかしながら、高コスト化及び大型化を招くことなく、対象物を細かく特定するのは困難であった。
本発明は、複数の発光部を有する面発光レーザアレイを有する光源と、前記光源からの光をコリメートするコリメートレンズと、前記コリメートレンズを介して対象物に照射され該対象物で正反射された光の強度を検出する光検出器と、を備え、前記コリメートレンズを介した光の前記対象物への入射角は、80°であり、前記複数の発光部は同時に点灯され、前記光検出器は、前記正反射された光の光路からずれた光路上に配置され、前記コリメートレンズを介して前記対象物に照射される光は、第1の偏光方向の直線偏光であり、前記対象物における入射面内で、前記対象物で拡散反射された光の光路上に配置され、前記第1の偏光方向に直交する第2の偏光方向の直線偏光成分を分離する光学素子、及び該光学素子で分離された光を受光する別の光検出器を更に備える光学センサである。
本発明の光学センサによれば、高コスト化及び大型化を招くことなく、対象物を従来よりも細かく特定することができる。
本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を説明するための図である。 図1における光学センサの構成を説明するための図である。 面発光レーザアレイを説明するための図である。 記録紙への入射光の入射角を説明するための図である。 2つの受光器の配置位置を説明するための図である。 図6(A)は正反射角を説明するための図であり、図6(B)は深い反射角を説明するための図であり、図6(C)は浅い反射角を説明するための図である。 図7(A)は表面正反射光を説明するための図であり、図7(B)は表面拡散反射光を説明するための図であり、図7(C)は内部拡散反射光を説明するための図である。 ゴニオフォトメータによる計測結果を説明するための図である。 各受光器で受光される光を説明するための図である。 S1及びS2と、記録紙の銘柄との関係を説明するための図である。 スペックルパターンのコントラスト比に及ぼす発光部数の影響を説明するための図である。 発光部数を変化させたときと、各発光部の光量を変化させたときにおける、スペックルパターンのコントラスト比と総光量との関係を説明するための図である。 光源の駆動電流を変えたときのスペックルパターンの光強度分布を説明するための図である。 光源の駆動電流を高速に変化させたときのスペックルパターンの実効的な光強度分布を説明するための図である。 光学センサの変形例1を説明するための図である。 光学センサの変形例2を説明するための図である。 発光部間隔が等間隔ではない面発光レーザアレイを説明するための図である。 発光部間隔が等間隔のときのスペックルパターンの光強度分布を説明するための図である。 発光部間隔が等間隔ではないときのスペックルパターンの光強度分布を説明するための図である。 光学センサの変形例3を説明するための図(その1)である。 光学センサの変形例3を説明するための図(その2)である。 光学センサの変形例4を説明するための図(その1)である。 光学センサの変形例4を説明するための図(その2)である。 光学センサの変形例5を説明するための図(その1)である。 光学センサの変形例5を説明するための図(その2)である。 S4/S1及びS3/S2と、記録紙の銘柄との関係を説明するための図である。 図27(A)及び図27(B)は、それぞれ外乱光の影響を説明するための図である。 光学センサの変形例6を説明するための図である。 光学センサの変形例7を説明するための図である。 厚さとS1との関係を説明するための図である。 密度とS1との関係を説明するための図である。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図14に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、給紙コロ2054、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、光学センサ2245、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、増幅回路、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置からの画像情報を光走査装置2010に送る。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて色毎に変調された光で、対応する帯電された感光体ドラムの表面をそれぞれ走査する。これにより、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジ(図示省略)からのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされて多色のカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出す。該記録紙は、所定のタイミングで転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出される。これにより、転写ベルト2040上のトナー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
光学センサ2245は、給紙トレイ2060内に収容されている記録紙の銘柄を特定するのに用いられる。
この光学センサ2245は、一例として図2に示されるように、光源11、コリメートレンズ12、2つの受光器(13、15)、偏光フィルタ14、及びこれらが収納される暗箱16などを有している。
暗箱16は、金属製の箱部材、例えば、アルミニウム製の箱部材であり、外乱光及び迷光の影響を低減するため、表面に黒アルマイト処理が施されている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、記録紙の表面に直交する方向をZ軸方向、記録紙の表面に平行な面をXY面として説明する。そして、光学センサ2245は、記録紙の+Z側に配置されているものとする。
光源11は、同一の基板上に形成された複数の発光部を有している。各発光部は、垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。すなわち、光源11は、面発光レーザアレイ(VCSELアレイ)を含んでいる。ここでは、一例として図3に示されるように、9個の発光部が2次元配列されている。
光源11は、記録紙に対してS偏光の直線偏光が射出されるように配置されている。また、光源11からの光の記録紙への入射角θ(図4参照)は、80°である。
コリメートレンズ12は、光源11から射出された光の光路上に配置され、該光を略平行光とする。コリメートレンズ12を介した光は、暗箱16に設けられている開口部を通過して記録紙を照明する。なお、以下では、記録紙の表面における照明領域の中心を「照明中心」と略述する。また、コリメートレンズ12を介した光を「照射光」ともいう。
ところで、光が媒質の境界面に入射するとき、入射光線と入射点に立てた境界面の法線とを含む面は「入射面」と呼ばれている。そこで、入射光が複数の光線からなる場合は、光線毎に入射面が存在することとなるが、ここでは、便宜上、照明中心に入射する光線の入射面を、記録紙における入射面ということとする。すなわち、照明中心を含みXZ面に平行な面が記録紙における入射面である。
偏光フィルタ14は、照明中心の+Z側に配置されている。この偏光フィルタ14は、P偏光を透過させ、S偏光を遮光する偏光フィルタである。なお、偏光フィルタ14に代えて、同等の機能を有する偏光ビームスプリッタを用いても良い。
受光器13は、偏光フィルタ14の+Z側に配置されている。ここでは、図5に示されるように、照明中心と偏光フィルタ14の中心と受光器13の中心とを結ぶ線L1と、記録紙の表面とのなす角度ψ1は90°である。すなわち、線L1は、照明中心での記録紙表面の法線と一致する。
受光器15は、X軸方向に関して、照明中心の+X側に配置されている。そして、照明中心と受光器15の中心とを結ぶ線L2と、記録紙の表面とのなす角度ψ2(図5参照)は165°である。ところで、正反射方向と記録紙の表面とのなす角度は170度である。そこで、線L2と正反射方向とのなす角度は5度である。以下では、正反射角よりも小さい反射角を「深い反射角」ともいい、正反射角よりも大きい反射角を「浅い反射角」ともいう(図6(A)〜図6(C)参照)。
ここでは、受光器15は、深い反射角で反射された光の光路上に配置されている。また、深い反射角で反射された光の進行方向を「深い反射方向」ともいい、浅い反射角で反射された光の進行方向を「浅い反射方向」ともいう(図6(A)〜図6(C)参照)。
光源11の中心と、照明中心と、偏光フィルタ14の中心と、受光器13の中心と、受光器15の中心は、ほぼ同一平面上に存在する。
ところで、記録紙を照明したときの記録紙からの反射光は、記録紙の表面で反射された反射光と記録紙の内部で反射された反射光とに分けて考えることができる。また、記録紙の表面で反射された反射光は、正反射された反射光と拡散反射された反射光とに分けて考えることができる。以下では、便宜上、記録紙の表面で正反射された反射光を「表面正反射光」、拡散反射された反射光を「表面拡散反射光」ともいう(図7(A)及び図7(B)参照)。
記録紙の表面は、平面部と斜面部とで構成され、その割合で記録紙表面の平滑性が決定される。平面部で反射された光は表面正反射光となり、斜面部で反射された光は表面拡散反射光となる。表面拡散反射光は、完全に散乱反射された反射光であり、その反射方向は等方性があるとみなせる。そして、平滑性が高くなるほど表面正反射光の光量が増加する。
表面にコーティングなどを施していない普通紙(通常、平滑度にして、10secから120sec程度まで)では、上記平面部がほとんど無く、上記斜面部が占める割合が大きくなる。このため、正反射方向に反射された光は、表面正反射光のみではなく、表面拡散反射光が混在することとなる。
ゴニオフォトメータは、入射角を固定したまま、紙からの反射光強度の検出角度依存性を測定することができる装置である。図8には、3種類の紙(A、B、C)について該ゴニオフォトメータで測定した結果が示されている。入射角は80度である。図8における横軸は検出角度であり、その基準面は、上記角度ψ2(図5参照)と同じである。また、紙Aは平滑度が5200secのコート紙、紙Bは平滑度が40secの普通紙、紙Cは平滑度が120secの普通紙である。なお、わかりやすくするため、検出角度を反射角に変換した値が図8に付加されている。
図8からわかるように、コート紙では、検出方向が正反射方向にほぼ一致するときに反射光強度のピークがあるが、普通紙では、検出方向が正反射方向から5°程度ずれたときに反射光強度のピークがある。これは、凹凸表面を微小傾斜面と仮定するマイクロファセット理論と、入射角が浅くなる(大きくなる)と反射率が高くなるフレネルの式からも理解できる物理現象である。
ところで、図8において、検出角度が172度(反射角でいえば82度)の付近では、3種類の紙(A、B、C)の各反射光強度は、ほぼ同じになる。仮に、光学センサにおいて、このように複数種類の記録紙の信号強度が同じになると、紙種の判別が困難になる。
上記ゴニオフォトメータは、検出角度の測定精度が0.1°である。一方、光学センサ2245では、受光器15までの反射光の光路長が短いため、受光器15で受光される光の入射角の範囲(取込角幅)は数度と大きい。
例えば、取込角幅が±5°であると、受光器15を正反射方向(ここでは、反射角が80度の方向)に配置しても、受光器15で受光される光は、反射角が75度〜85度の光となる。この場合、紙種の判別精度が最も低下する反射光である反射角が82度の反射光も受光される。また、図8において、検出角度が172度を越えると、紙Aでは反射光強度が低下している。そこで、検出角度が165度〜175度(反射角でいえば75度〜85度)の範囲で反射光強度を積分すると、3種類の紙(A、B、C)の積分値の差は小さい。すなわち、仮に、受光器15が正反射方向(ここでは、反射角が80度の方向)に配置されていると、紙種の判別精度が低下する。
本実施形態では、受光器15の取込角幅を考慮しても、検出角度が172度付近の反射光を受光しないようにするため、照明中心と受光器15の中心とを結ぶ線L2と、記録紙の表面とのなす角度ψ2(図5参照)を165°(反射角でいえば75度)とした。
特に、図8において、検出角度が170度以下のときは、3種類の紙(A、B、C)のいずれにおいても、検出角度が大きくなると反射光強度も大きくなるため、取込角幅の範囲で反射光強度を積分すると、3種類の紙(A、B、C)の積分値の差は大きい。すなわち、紙種の判別精度が向上する。
但し、図8からわかるように、検出角度が小さくなると反射光強度も小さくなり、受光器15での受光光量が低下しS/Nが悪くなるため、検出角度160度(反射角でいえば70度)程度が限界である。そこで、検出角度の上限値は170度、下限値は160度となる。本実施形態では、前記ψ2を165°とし、検出角度でいえば160度〜170度の反射光が受光器15で受光されるようにした。
記録紙の内部からの反射光は、該記録紙が一般の印刷用紙である場合、その内部の繊維中で多重散乱するため拡散反射光のみとなる。以下では、便宜上、記録紙の内部からの反射光を「内部拡散反射光」ともいう(図7(C)参照)。この内部拡散反射光も、表面拡散反射光と同様に、完全に散乱反射された反射光であり、その反射方向は等方性があるとみなせる。
表面正反射光及び表面拡散反射光の偏光方向は、入射光の偏光方向と同じである。ところで、記録紙の表面で偏光方向が回転するには、入射光がその入射方向に対して該回転の向きに傾斜した面で反射されなくてはならない。ここでは、光源の中心と照明中心と各受光器の中心とが同一平面上にあるため、記録紙の表面で偏光方向が回転した反射光は、いずれの受光器の方向にも反射されない。
一方、内部拡散反射光の偏光方向は、入射光の偏光方向に対して回転している。これは、繊維中を透過し、多重散乱される間に旋光し、偏光方向が回転するためと考えられる。
そこで、偏光フィルタ14には、表面拡散反射光及び内部拡散反射光が入射する。表面拡散反射光の偏光方向は、入射光の偏光方向と同じS偏光であるため、表面拡散反射光は、偏光フィルタ14で遮光される。一方、内部拡散反射光の偏光方向は、入射光の偏光方向に対して回転しているため、内部拡散反射光に含まれるP偏光成分が、偏光フィルタ14を透過する。すなわち、内部拡散反射光に含まれるP偏光成分が受光器13で受光される(図9参照)。
なお、以下では、便宜上、内部拡散反射光に含まれるP偏光成分を「内部拡散反射光のP偏光成分」ともいう。また、内部拡散反射光に含まれるS偏光成分を「内部拡散反射光のS偏光成分」ともいう。
内部拡散反射光のP偏光成分の光量は、記録紙の厚みや密度に相関を持つことが発明者らによって確認されている。これは、該P偏光成分の光量が、記録紙の繊維中を通過する際の経路長に依存するためである。
受光器15には、表面正反射光と、表面拡散反射光及び内部拡散反射光のごく一部が入射する。
受光器13及び受光器15は、それぞれ受光光量に対応する電気信号(光電変換信号)をプリンタ制御装置2090に出力する。なお、以下では、光源11からの光が記録紙に照射されたときの、受光器13の出力信号における信号レベルを「S1」、受光器15の出力信号における信号レベルを「S2」という。
ここでは、カラープリンタ2000が対応可能な複数銘柄の記録紙に関して、予め調整工程等の出荷前工程で記録紙の銘柄毎にS1及びS2の値を計測し、該計測結果を「記録紙判別テーブル」としてプリンタ制御装置2090のROMに格納している。図10には、国内で販売されている30銘柄の記録紙について、S1及びS2の計測値が示されている。なお、図10における枠は、同一銘柄のばらつき範囲が示されている。例えば、S1及びS2の計測値が「◇」であれば、銘柄Dと特定される。また、S1及びS2の計測値が「■」であれば、最も近い銘柄Cと特定される。また、S1及びS2の計測値が「◆」であれば、銘柄Aあるいは銘柄Bのいずれかである。
このときは、例えば、銘柄Aでの平均値と計測値との差、及び銘柄Bでの平均値と計測値との差を演算し、その演算結果が小さいほうの銘柄に特定される。また、銘柄Aであると仮定して該計測値を含めてばらつきを再計算するとともに、銘柄Bであると仮定して該計測値を含めてばらつきを再計算し、再計算されたばらつきが小さいほうの銘柄を選択しても良い。
従来は、正反射光の光量から記録紙表面の光沢度を検出し、正反射光の光量と拡散反射光の光量の比から記録紙表面の平滑度を検出し、記録紙を識別しようとしていた。これに対し、本実施形態では、記録紙表面の光沢度及び平滑度のみならず、記録紙の他の特性である厚さ及び密度も含んだ情報を反射光から検出し、識別可能な記録紙の種類を従来よりも拡大させている。
例えば、従来の識別方法で用いられていた記録紙表面の情報のみでは、普通紙とマットコート紙の区別は困難であった。本実施形態では、記録紙表面の情報に、記録紙内部の情報を加えることにより、普通紙とマットコート紙の区別だけでなく、普通紙の複数銘柄、及びマットコート紙の複数銘柄もそれぞれ区別することが可能となった。
すなわち、本実施形態では、光沢度、平滑度、厚さ、及び密度の少なくともいずれかが異なる複数の記録紙のなかから対象物の銘柄を特定することが可能である。
また、カラープリンタ2000が対応可能な複数銘柄の記録紙に関して、予め調整工程等の出荷前工程で記録紙の銘柄毎に各ステーションでの最適な現像条件及び転写条件を決定し、該決定結果を「現像・転写テーブル」としてプリンタ制御装置2090のROMに格納している。
プリンタ制御装置2090は、カラープリンタ2000の電源が入れられたとき、及び給紙トレイ2060に記録紙が供給されたときなどに、記録紙の紙種判別処理を行う。このプリンタ制御装置2090によって行われる紙種判別処理について以下に説明する。
(1)光学センサ2245の複数の発光部を同時に発光させる。
(2)受光器13及び受光器15の出力信号からS1及びS2の値を求める。
(3)記録紙判別テーブルを参照し、得られたS1及びS2の値から記録紙の銘柄を特定する。
(4)特定された記録紙の銘柄をRAMに保存し、紙種判別処理を終了する。
プリンタ制御装置2090は、ユーザからの印刷ジョブ要求を受け取ると、RAMに保存されている記録紙の銘柄を読み出し、該記録紙の銘柄に最適な現像条件及び転写条件を、現像・転写テーブルから求める。
そして、プリンタ制御装置2090は、最適な現像条件及び転写条件に応じて各ステーションの現像装置及び転写装置を制御する。例えば、転写電圧やトナー量を制御する。これにより、高い品質の画像が記録紙に形成される。
ところで、記録紙からの拡散反射光には、A:「表面拡散反射光」、B:「内部拡散反射光のS偏光成分」、C:「内部拡散反射光のP偏光成分」が含まれている。
従来のセンサを用いた装置では、拡散反射光(A+B+C)の光量に基づいて、2ないし3種類のなかから記録紙の種類を特定していた。一方、本実施形態では、内部拡散反射光のP偏光成分の光量に基づいて、少なくとも10種類のなかから記録紙の種類を特定している。すなわち、本実施形態では、従来に比べて5倍以上の詳細な紙判別を行っている。
照射光がS偏光のとき、拡散反射光(A+B+C)の光量における内部拡散反射光のP偏光成分の光量の割合は最大40%程度である。また、一般的なセンサに搭載されるような安価な偏光フィルタは透過率が低く、該偏光フィルタによって80%程度に減衰される。そこで、内部拡散反射光のP偏光成分は、偏光フィルタで分離される際に減衰され、実質30%程度になる。
内部拡散反射光のP偏光成分の光量が、拡散反射光(A+B+C)の実質30%程度に減衰されるため、照射光量としては、従来の光量の3.3倍は必要となる。さらに、従来に比べ5倍の詳細な紙判別を行うためには、従来よりも、3.3×5倍の光量を照射する必要がある。なお、分解能の高い受光素子を用いれば、これより低い光量でも詳細な紙判別が可能であるが、高コスト化を招く。
LED(light−emitting diodes)のような無偏光光源を用いる場合、記録紙にS偏光を照射するため、照射前に偏光フィルタを通して直線偏光(S偏光)にする必要がある。この際、上記と同様な安価な偏光フィルタを使用すると、記録紙に照射される光量は、LEDから射出される光量の約40%(=50%(P偏光のカット分)×80%(偏光フィルタでの減衰分))となる。
従って、LEDを用いる場合、従来よりも40倍(=3.3×5÷0.4)以上の照射光量が必要となる。しかしながら、従来の安価なLEDの照射光量は数mW程度(代表値として1mW)であり、その40倍(少なくとも40mW)の照射光量をLEDで確保するのは困難である。
一方、面発光レーザアレイでは、複数の発光部を同時に点灯させることによって、所望の照射光量を容易に確保することができる。
また、内部拡散反射光のP偏光成分を精度良く検出するには、以下の2つの受光条件が満足されるのが好ましい。
(1)内部拡散反射光のP偏光成分の検出は、少なくとも表面正反射光が含まれる方向では行わない。
これは、実際には照射光を完全にS偏光だけにすることは困難であり、表面での反射光もP偏光成分を含んでしまうことによる。このため、表面正反射光が含まれる方向では、内部拡散反射光のP偏光成分よりも、照射光にもともと含まれていて表面で反射されたP偏光成分のほうが大きくなってしまう。そこで、仮に表面正反射光が含まれる方向に偏光フィルタ14及び受光器13を配置すると、記録紙内部の情報が含まれる反射光量を精度良く検出することができない。
ところで、照射光を完全にS偏光だけにするために、消光比の高い偏光フィルタを用いることも考えられるが、高コスト化を招く。
(2)内部拡散反射光のP偏光成分の検出を、記録紙における照明中心の法線方向で行う。
これは、内部拡散反射光が完全拡散反射とみなせるため、検出方向に対する反射光量はランバート分布で近似でき、照明中心の法線方向が最も反射光量が多くなることによる。そこで、照明中心の法線方向に偏光フィルタ14及び受光器13を配置すると、S/Nが高く、最も精度が高い。
次に、スペックルパターンの抑制方法について説明する。
反射光量から印刷用紙の表面状態を検出するセンサでは、S/Nを向上させるために、光源に半導体レーザを用いることが好ましいが、この場合、該半導体レーザから射出されたコヒーレント光は、記録紙の表面のような粗面の各点で乱反射され、互いに干渉することによりスペックルパターンが発生する。
スペックルパターンは光の照射部位によって異なるため、受光器における受光光量のばらつきの原因となり識別精度の低下を招く。そのため、従来は、光源としてLED等が一般的に用いられていた。
発明者らは、複数の発光部が2次元配列された垂直共振器型の面発光レーザアレイ(VCSELアレイ)を光源に用い、発光部数とスペックルパターンのコントラスト比との関係を求めた(図11参照)。ここでは、スペックルパターンの観測強度における最大値と最小値の差を規格化した値を、スペックルパターンのコントラスト比として定義する。なお、以下では、便宜上、スペックルパターンのコントラスト比を単に「コントラスト比」ともいう。
スペックルパターンの観測は、Y軸方向(拡散方向)に関してビームプロファイラを用いて行い、ビームプロファイラによる観測結果からコントラスト比を算出した。試料には、互いに平滑度が異なる3種類の普通紙(普通紙A、普通紙B、普通紙C)と光沢紙とを用いた。普通紙Aは、王研式平滑度が33秒の普通紙であり、普通紙Bは、王研式平滑度が50秒の普通紙であり、普通紙Cは、王研式平滑度が100秒の普通紙である。
図11から、発光部数が増加するとコントラスト比が減少する傾向にあることがわかる。また、この傾向は紙種には依存しないことがわかる。
また、発明者らは、このコントラスト比を低減する効果が、総光量の増加によるものではなく、発光部数の増加によるものであることを確認するための実験も行った。
図12には、各発光部の光量は一定(1.66mW)で発光部の数を変えた場合と、発光部の数を30個に固定して各発光部の光量を変えた場合とについて、総光量とコントラスト比との関係が示されている。
発光部数を固定して各発光部の光量を変えた場合は、光量によらずコントラスト比が一定であるのに対し、各発光部の光量を固定して発光部数を変えた場合は、発光部数が少ないときにはコントラスト比が大きく、発光部数の増加とともにコントラスト比が減少している。このことから、コントラスト比の低減効果は、光量の増加によるものではなく発光部数の増加によるものであることが確認できる。
また、発明者らは、光源から射出される光の波長を時間的に変化させることでスペックルパターンを抑制することができるか否かの検討を行った。
面発光レーザ(VCSEL)では、駆動電流によって射出光の波長を制御することができる。これは、駆動電流が変化すると面発光レーザ内部の温度変化によって屈折率が変化し、実効的な共振器長が変化するためである。
図13には、光源11の駆動電流を変えて射出光量を1.4mW〜1.6mWに変化させたときのスペックルパターンをビームプロファイラで観測して得られた光強度分布が示されている。この図13から、駆動電流の変化に伴って、すなわち、光源11から射出される光の波長の変化に伴って、光強度分布が変化することが確認できる。
図14には、駆動電流を高速に変化させた場合の実効的な光強度分布が示されている。この光強度分布は、図13に示されている複数の駆動電流における光強度分布の平均値と同等であり、光強度の変動が抑制されている。このように駆動電流を高速に変化させた場合のコントラスト比は0.72となり、駆動電流を一定にした場合のコントラスト比0.96よりも低減されている。
つまり、射出光の波長を時間的に変化させることで、スペックルパターンが抑制されることがわかった。そこで、面発光レーザの駆動電流を、例えば三角波形状のように電流値が時間的に変化する駆動電流にすれば、コントラスト比を低減することが可能である。
本実施形態では、光学センサ2245の光源11が、9個の発光部が2次元配列されている面発光レーザアレイを含み、プリンタ制御装置2090のCPUは、三角波形状の駆動電流を面発光レーザアレイに供給している。これにより、スペックルパターンが抑制され、正確な反射光量の検出が可能になる。そして、記録紙の識別精度を高めることができる。
ところで、特許文献1に開示されている表面性識別装置、及び特許文献2に開示されている印刷装置では、記録材の表面を傷つけ、表面特性そのものを変化させてしまう恐れがあった。
特許文献3に開示されている記録材判別装置で判別できるのは、平滑性が異なる記録材だけであり、平滑性が同じで厚みが異なる記録材を区別することはできなかった。
特許文献4に開示されているシート材材質判別装置では、正反射された光の光量に基づいて判別している。すなわち、対象物の内部を考慮することなく、正反射光の絶対光量だけからシート材の材質を判別している。
特許文献5に開示されている画像形成装置では、対象物からの反射光の光量を複数方向で検知している。この場合も、対象物の内部を考慮することなく、正反射光と拡散反射光の比から光沢性を検出し、紙種を判別している。
特許文献6に開示されている画像形成装置では、正反射光を2つの偏光成分に分けて検知し、それらの光量差から紙の表面の平滑性を求め、紙種を判別している。この場合、偏光を利用しているが、正反射光が含まれる方向で検出されており、これもまた対象物の内部を考慮していない。
すなわち、特許文献4に開示されているシート材材質判別装置、特許文献5及び特許文献6に開示されている画像形成装置では、識別(判別)可能なのは、非塗工紙と塗工紙とOHPシートの違いのみであり、高品質の画像形成に必要な銘柄までの特定はできなかった。
このように、従来は、非塗工紙と塗工紙とOHPシートの判別を行っており、銘柄レベルでの判別は不可能であった。
また、例えば、反射型光学センサのほかに、透過光や超音波等を利用して記録材の厚さを検出するセンサ、記録材の抵抗値を検出するセンサ、及び温度センサなど様々なセンサを別途とりつけることで、識別レベルをさらに細分化することは可能であるが、部品点数が増加し、高コスト化及び大型化を招くという不都合があった。
本実施形態における記録紙の判別法は、従来の判別法に、これまで考慮されていなかった記録紙内部の情報が含まれる内部拡散光の光量による判別法を新たに加えたものである。この場合、従来の記録紙表面の光沢度(平滑性)に加え、記録紙の厚さや密度の情報も得ることができ、識別レベルの細分化が可能となった。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光学センサ2245では、光源11とコリメートレンズ12によって本発明の照射系が構成され、受光器15によって本発明の第1の光検出系が構成され、偏光フィルタ14と受光器13によって本発明の第2の光検出系が構成されている。
以上説明したように、本実施形態に係る光学センサ2245によると、光源11、コリメートレンズ12、受光器13、偏光フィルタ14、受光器15、及び暗箱16などを有している。
そして、記録紙への照射光の入射角を80度とし、反射角が70度〜80度の反射光が受光器15で受光されるように設定されている。この場合は、受光器15は、記録紙の平滑度に対応した信号を精度良く出力することができる。また、受光器13は、内部拡散反射光のP偏光成分を大きい光量で受光するように配置されている。この場合は、従来は微弱で分離することが困難であった記録紙内部からの反射光を高精度で分離することができる。記録紙内部からの反射光は、記録紙の内部状態に関する情報を含んでいる。
光源11は、複数の発光部を有する面発光レーザアレイを含んでいる。この場合は、照射光を直線偏光にするための偏光フィルタが不要である。また、照射光を平行光にするための調整が容易になる。そこで、光学センサの小型化及び低コスト化を図ることが可能となる。
また、面発光レーザアレイでは、従来用いられてきたLED等では困難であった複数の発光部の高密度な集積化が可能となる。そこで、コリメートレンズの光軸付近に全てのレーザ光を集中できるため、入射角を一定にして複数の光を略平行にすることが可能となり、容易にコリメート光学系を実現することができる。
プリンタ制御装置2090は、面発光レーザアレイの複数の発光部を同時に発光させている。このため、内部拡散反射光のP偏光成分の光量を増加させることができるとともに、コントラスト比を低減させることができる。また、プリンタ制御装置2090は、光源11から射出される光の波長を時間的に変化させている。このため、スペックルパターンを抑制することができる。
そして、プリンタ制御装置2090は、受光器13の出力信号と受光器15の出力信号とから、記録紙の銘柄を特定している。すなわち、記録紙の内部状態に関する情報を加味することにより、紙種の判別レベルを、従来困難であった銘柄のレベルまで向上させている。
また、複数種類のセンサを組み合わせることなく、簡潔な部品構成であるため、低コストで、小型の光学センサを実現することができる。
そこで、光学センサ2245によると、高コスト化及び大型化を招くことなく、記録紙の銘柄を従来よりも細かく特定することができる。
そして、本実施形態に係るカラープリンタ2000は、光学センサ2245を備えているため、結果として、高コスト化及び大型化を招くことなく、高品質の画像を形成することができる。さらに従来の手動で設定しなければならない煩わしさや設定ミスによる印刷の失敗が解消される。
ところで、オフィスで利用されるプリンタや複写機では、記録紙として普通紙が最も多く使用されている。この場合、光学センサの感度を普通紙に合わせても良い。図8において、紙Aの反射光強度と紙Bの反射光強度がほぼ一致する検出角度である172度よりも、検出角度が大きくても、普通紙である紙Bと紙Cの反射光強度は、いずれも増加している。但し、検出角度が178度を越えると、紙Bと紙Cの反射光強度はほぼ同じとなる。そこで、受光器15の取込角幅を±3度とし、検出角度が172度〜178度(反射角でいうと、82度〜88度)の反射光が受光器15で受光されるように設定すると(図15参照)、感度を普通紙に合わせることができる。これにより、普通紙の銘柄を更に細かく特定することができる。
なお、上記実施形態において、受光器15の取込角幅が所望の取込角幅よりも小さい場合には、該受光器15の前方に集光レンズを設けても良い。
また、上記実施形態では、記録紙に照射される光がS偏光の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、記録紙に照射される光がP偏光であっても良い。但し、この場合は、前記偏光フィルタ14に代えて、S偏光を透過させる偏光フィルタが用いられる。
また、上記実施形態において、光学センサ2245の識別レベルが、非塗工紙か塗工紙かOHPシートかを特定するレベルで十分な場合は、図16に示されるように、前記偏光フィルタ14がなくても良い。
また、上記実施形態において、面発光レーザアレイにおける複数の発光部は、少なくとも一部の発光部間隔が、他の発光部間隔と異なっていても良い(図17参照)。つまり、隣り合う発光部の間隔が相違していても良い。
5個の発光部を1次元配列した面発光レーザアレイを含む光源において、発光部間隔を等間隔とした場合のスペックルパターンをビームプロファイラで観測して得られた光強度分布が図18に示されている。この場合、発光部配置の規則性に対応した周期的な光強度の振動が確認され、コントラスト比は0.64であった。
また、5個の発光部を1次元配列した面発光レーザアレイを含む光源において、発光部間隔の比を1.0:1.9:1.3:0.7と不規則にした場合のスペックルパターンをビームプロファイラで観測して得られた光強度分布が図19に示されている。この場合、周期的な光強度の振動は抑制され、コントラスト比は0.56であった。
そこで、複数の発光部における発光部間隔を等間隔ではない配置とすることで、スペックルパターンの規則性が乱され、コントラスト比を更に低減することが可能である。
ところで、外乱光や迷光の影響で、誤った紙種判別をする恐れがある場合には、光検出系を増やしても良い。
例えば、図20に示されるように、第3の光検出系として、受光器17を更に有していても良い。この受光器17は、表面拡散反射光及び内部拡散反射光を受光する位置に配置されている。光源11の中心と、照明中心と、偏光フィルタ14の中心と、受光器13の中心と、受光器15の中心と、受光器17の中心は、ほぼ同一平面上に存在する。そして、照明中心と受光器17の中心とを結ぶ線L3と、記録紙の表面とのなす角度ψ3は120°である(図21参照)。
この場合に、プリンタ制御装置2090によって行われる紙種判別処理について以下に説明する。なお、以下では、光源11からの光が記録紙に照射されたときの、受光器17の出力信号における信号レベルを「S3」という。
(1)光学センサ2245の複数の発光部を同時に発光させる。
(2)各受光器の出力信号からS1、S2及びS3の値を求める。
(3)S3/S2の値を求める。
(4)記録紙判別テーブルを参照し、得られたS1及びS3/S2の値から記録紙の銘柄を特定する。
(5)特定された記録紙の銘柄をRAMに保存し、紙種判別処理を終了する。
なお、この場合は、カラープリンタ2000が対応可能な複数銘柄の記録紙に関して、予め調整工程等の出荷前工程で記録紙の銘柄毎にS1及びS3/S2の値を計測し、該計測結果を「記録紙判別テーブル」としてプリンタ制御装置2090のROMに格納している。
また、例えば、図22に示されるように、第3の光検出系として、偏光フィルタ18と受光器19を更に有していても良い。偏光フィルタ18は、表面拡散反射光及び内部拡散反射光の光路上に配置されている。この偏光フィルタ18は、P偏光を透過させ、S偏光を遮光する偏光フィルタである。受光器19は、偏光フィルタ18を透過した光の光路上に配置されている。そこで、受光器19は、内部拡散反射光に含まれるP偏光成分を受光する。
また、光源11の中心と、照明中心と、偏光フィルタ14の中心と、受光器13の中心と、受光器15の中心と、偏光フィルタ18の中心と、受光器19の中心は、ほぼ同一平面上に存在する。そして、照明中心と偏光フィルタ18及び受光器19の中心とを結ぶ線L4と、記録紙の表面とのなす角度ψ4は150°である(図23参照)。
この場合に、プリンタ制御装置2090によって行われる紙種判別処理について以下に説明する。なお、以下では、光源11からの光が記録紙に照射されたときの、受光器19の出力信号における信号レベルを「S4」という。
(1)光学センサ2245の複数の発光部を同時に発光させる。
(2)各受光器の出力信号からS1、S2及びS4の値を求める。
(3)S4/S1の値を求める。
(4)記録紙判別テーブルを参照し、得られたS4/S1及びS2の値から記録紙の銘柄を特定する。
(5)特定された記録紙の銘柄をRAMに保存し、紙種判別処理を終了する。
なお、この場合は、カラープリンタ2000が対応可能な複数銘柄の記録紙に関して、予め調整工程等の出荷前工程で記録紙の銘柄毎にS4/S1及びS2の値を計測し、該計測結果を「記録紙判別テーブル」としてプリンタ制御装置2090のROMに格納している。
また、例えば、図24及び図25に示されるように、上記受光器17と上記偏光フィルタ18と上記受光器19とを更に有していても良い。すなわち、受光器17によって構成される第3の光検出系と、偏光フィルタ18と受光器19によって構成される第4の光検出系を更に有していても良い。
この場合に、プリンタ制御装置2090によって行われる紙種判別処理について以下に説明する。
(1)光学センサ2245の複数の発光部を同時に発光させる。
(2)各受光器の出力信号からS1、S2、S3及びS4の値を求める。
(3)S4/S1、S3/S2の値を求める。
(4)記録紙判別テーブルを参照し、得られたS4/S1及びS3/S2の値から記録紙の銘柄を特定する(図26参照)。
(5)特定された記録紙の銘柄をRAMに保存し、紙種判別処理を終了する。
なお、この場合は、カラープリンタ2000が対応可能な複数銘柄の記録紙に関して、予め調整工程等の出荷前工程で記録紙の銘柄毎にS4/S1及びS3/S2の値を計測し、該計測結果を「記録紙判別テーブル」としてプリンタ制御装置2090のROMに格納している。
このように、互いに異なる方向に反射された拡散光をそれぞれ検出する複数の受光系を設け、各受光系での検出値の比などの演算した値を用いて記録紙を判別することにより、外乱光や迷光などがあっても正確な判別が可能である。
また、この場合に、プリンタ制御装置2090は、S1とS2を用いておおまかに紙種を絞り込み、S4/S1とS3/S2を用いて記録紙の銘柄を特定しても良い。
なお、ここでは、S1とS4を用いた演算方法としてS4/S1を用いたが、これに限定されるものではない。同様に、S2とS3を用いた演算方法についても、S3/S2に限定されるものではない。
図27(A)及び図27(B)には、S1とS2のみを用いて紙種判別する場合と、S4/S1とS3/S2を用いて紙種判別する場合とについて、外乱光の影響を調べた結果が示されている。S1とS2のみを用いて紙種判別する場合は、図27(A)に示されるように、外乱光があると各受光系での検出値が大きくなり、誤った紙種判別をする恐れがある。一方、S4/S1とS3/S2を用いて紙種判別する場合は、図27(B)に示されるように、外乱光があってもS4/S1及びS3/S2は、外乱光がないときとほとんど変化せず、正しい紙種判別をすることができる。
この場合に、上記第3の光検出系が複数の受光器を有していても良い。また、上記第4の光検出系が複数の偏光フィルタ及び受光器を有していても良い。
例えば、上記第3の光検出系が2つの受光器を有し、上記第4の光検出系が2組の偏光フィルタと受光器を有している場合に、第3の光検出系の各受光器の出力レベルを「S3」と「S5」、第4の光検出系の各受光器の出力レベルを「S4」と「S6」とすると、(S4/S1+S6/S1)の値と、(S3/S2+S5/S2)の値とを用いて、紙種判別を行っても良い。また、S4/S1の値と、S6/S1の値と、S3/S2の値と、S5/S2の値とを用いて、紙種判別を行っても良い。
なお、当然ながら、紙種判別に用いられる演算方法に応じた「記録紙判別テーブル」が、予め調整工程等の出荷前工程で作成され、プリンタ制御装置2090のROMに格納されている。
また、上記実施形態において、光学センサ2245は、一例として図28に示されるように、2つのミラー(21、22)を更に備えていても良い。
ここでは、光源11は、Z軸に平行な方向に光を射出し、コリメートレンズ12は、光軸がZ軸に平行となるように配置されている。
そして、ミラー21は、コリメートレンズ12を介した光を、記録紙での入射角が80°となるように、その光路を曲げる。
ミラー22は、ミラー21と同等のミラーであり、X軸方向に関して、開口部を挟んでミラー21と対向する位置に配置されている。そこで、記録紙からの表面正反射光は、その進行方向がZ軸に平行になるように、その光路が曲げられる。
そして、受光器15は、ミラー22の+Z側に配置され、ミラー22で光路が曲げられた反射光を受光する。なお、この場合においても、反射角が70度〜80度の反射光が受光されるように受光器15を配置する。
この場合は、光源11、コリメートレンズ12及び受光器15を傾斜した状態でそれぞれ支持する部材が不要であり、かつ電気回路を簡素化することができる。これにより、低コスト及び小型化を促進することができる。
なお、3つ以上の受光器が設けられている場合においても、ミラーを用いて各受光器に向かう光の進行方向をZ軸に平行な方向とすることで、光学センサの小型化を促進することができる。
また、上記実施形態では、光源11が9個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、光源11から直線偏光が射出される場合について説明したが、これに限定されるものではない。但し、この場合は、一例として図29に示されるように、照射光をS偏光にするための偏光フィルタ23が必要となる。
また、上記実施形態において、受光器13の前方に集光レンズが配置されていることがより好ましい。この場合は、受光器13での受光光量の変動を低減することができる。
また、上記実施形態において、光学センサ2245に処理装置を設け、プリンタ制御装置2090での処理の一部を該処理装置で行っても良い。
また、上記実施形態では、給紙トレイが1つの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、給紙トレイが複数あっても良い。この場合は、給紙トレイ毎に光学センサ2245を設けても良い。
また、上記実施形態において、搬送中に記録紙の銘柄を特定しても良い。この場合は、光学センサ2245は搬送路近傍に配置される。例えば、光学センサ2245を、前記給紙コロ2504と前記転写ローラ2042の間の搬送路近傍に配置しても良い。
また、光学センサ2245によって識別される対象物は、記録紙に限定されるものではない。
なお、上記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、モノクロ画像を形成するレーザプリンタであっても良い。また、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置が4つの感光体ドラムを有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、5つの感光体ドラムを有するプリンタであっても良い。
また、上記実施形態では、トナー像が感光体ドラムから転写ベルトを介して記録紙に転写される画像形成装置について説明したが、これに限定されるものではなく、トナー像が感光体ドラムから記録紙に直接転写される画像形成装置であっても良い。
また、光学センサ2245は、記録紙にインクを吹き付けて画像を形成する画像形成装置にも適用可能である。
なお、光学センサ2245を対象物の厚さ検出へ応用することができる(図30参照)。従来の厚さセンサは透過型の構成となっており、必ず対象物を挟んだ双方向に光学系をそれぞれ配置しなければならなかった。そのため、支持部材などが必要であった。一方、光学センサ2245では、反射光のみで厚さを検出するため、対象物の一側にのみ光学系を配置すれば良い。そこで、部品点数を少なくすることができ、低コスト化及び小型化が可能となる。そして、対象物の厚さ検出を必要とする画像形成装置内に設置するには最適である。
また、光学センサ2245を対象物の密度検出へ応用することができる(図31参照)。従来の密度センサは透過型の構成となっており、必ず対象物を挟んだ双方向に光学系をそれぞれ配置しなければならなかった。そのため、支持部材などが必要であった。一方、光学センサ2245では、反射光のみで密度を検出するため、対象物の一側にのみ光学系を配置すれば良い。そこで、部品点数を少なくすることができ、低コスト化及び小型化が可能となる。そして、対象物の密度検出を必要とする画像形成装置内に設置するには最適である。
さらに、光学センサ2245を対象物の平滑度検出へ応用することができる。この場合は、記録紙の厚さや密度、平滑度など記録紙の基本特性を取り込むことができ、最適な画像形成条件を類推することが可能となる。
11…光源、12…コリメートレンズ、13…受光器(第2の光検出器)、14…偏光フィルタ(光学素子)、15…受光器(第1の光検出器)、16…暗箱、17…受光器、18…偏光フィルタ、19…受光器、21,22…ミラー、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、2030a,2030b,2030c,2030d…感光体ドラム(像担持体)、2032a,2032b,2032c,2032d…帯電装置、2033a,2033b,2033c,2033d…現像ローラ、2040…転写ベルト、2042…転写ローラ、2050…定着装置、2090…プリンタ制御装置(処理部、調整装置)、2245…光学センサ。
特開2002−340518号公報 特開2003−292170号公報 特開2005−156380号公報 特開平10−160687号公報 特開2006−062842号公報 特開平11−249353号公報

Claims (10)

  1. 複数の発光部を有する面発光レーザアレイを有する光源と、
    前記光源からの光をコリメートするコリメートレンズと、
    前記コリメートレンズを介して対象物に照射され該対象物で正反射された光の強度を検出する光検出器と、を備え、
    前記コリメートレンズを介した光の前記対象物への入射角は、80°であり、
    前記複数の発光部は同時に点灯され
    前記光検出器は、前記正反射された光の光路からずれた光路上に配置され、
    前記コリメートレンズを介して前記対象物に照射される光は、第1の偏光方向の直線偏光であり、
    前記対象物における入射面内で、前記対象物で拡散反射された光の光路上に配置され、前記第1の偏光方向に直交する第2の偏光方向の直線偏光成分を分離する光学素子、及び該光学素子で分離された光を受光する別の光検出器を更に備える光学センサ。
  2. 前記ずれた光路と前記正反射された光の光路とのなす角度は、10度以内であることを特徴とする請求項1に記載の光学センサ。
  3. 前記光検出器が、正反射方向より浅い方向に配置してあり、その正反射方向からのずれ量が、10°以内であることを特徴とする請求項1に記載の光学センサ。
  4. 前記光学素子及び前記別の光検出器は、前記対象物の表面の法線方向に拡散反射された光の光路上に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学センサ。
  5. 前記光検出器の出力と前記別の光検出器の出力とに基づいて、前記対象物を特定する処理部を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学センサ。
  6. 前記対象物における入射面内で、前記対象物で拡散反射された光の光路上に配置された少なくとも1つの更なる別の光検出器と、
    前記更なる別の光検出器と前記光検出器の出力の比と、前記別の光検出器の出力とに基づいて、前記対象物を特定する処理部と、を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学センサ。
  7. 前記対象物における入射面内で、前記対象物で拡散反射された光の光路上に配置され、前記第2の偏光方向の直線偏光を透過させる少なくとも1つの光学素子、及び該少なくとも1つの光学素子を透過した光を受光する少なくとも1つの更なる別の光検出器と、
    前記更なる別の光検出器と前記別の光検出器の出力の比と、前記光検出器の出力とに基づいて、前記対象物を特定する処理部と、を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学センサ。
  8. 前記対象物における入射面内で、前記対象物で拡散反射された光の光路上に配置された少なくとも1つの第1の光検出器と、
    前記対象物における入射面内で、前記対象物で拡散反射された光の光路上に配置され、前記第2の偏光方向の直線偏光を透過させる少なくとも1つの光学素子、及び該少なくとも1つの光学素子を透過した光を受光する少なくとも1つの第2の光検出器と、
    前記第1の光検出器と前記光検出器の出力の比と、前記第2の光検出器と前記別の光検出器の出力の比とに基づいて、前記対象物を特定する処理部と、を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学センサ。
  9. 前記光源は、2次元的に配列されている複数の発光部を有する面発光レーザアレイを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学センサ。
  10. 記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、
    前記記録媒体を対象物とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学センサと、
    前記光学センサの出力に基づいて前記記録媒体の銘柄を特定し、該特定された銘柄に応じて画像形成条件を調整する調整装置と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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