JP6926748B2 - 空気浄化方法 - Google Patents

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本発明は、空気浄化方法に関する。
一般的には、自動車の内部の空間では、臭気物質が発生し、かつ滞留している。臭気物質は、人間によっては悪臭物質とみなされるものもあるため、これを浄化又は除去する空気浄化手段が、所望されている。
従来、空気浄化手段として、送風機、フィルタ、イオン発生器及び除菌装置などで構成される、電気式の空気清浄装置、及びシートなどの内装材に酸化チタン等の光触媒を担持しておき、これに、光、例えば、太陽光等を照射することで空気を浄化する光触媒式空気清浄装置が、知られている。
特に、光触媒に太陽光を照射することによって、空気中の臭気物質を浄化する光触媒式空気清浄装置は、電気を使用しないため、環境フレンドリーであり、かつ経済的である。
ここで、晴天の日中のような太陽光の出力が大きい場合には、光触媒は効率的に機能する一方で、雨天及び曇天では太陽光の出力は十分でないため、光触媒の機能は低減される。さらには、暗闇、例えば、夜間等では、光が実質的に無いため、光触媒は機能しない。
これに関して、従来、光触媒と、空気中の臭気物質(未浄化物質)を吸着する吸着剤とを組み合わせた複合触媒を用いることが提案されている。この複合触媒では、光触媒の空気浄化能力(例えば、空気浄化速度)を超えた分の未浄化物質、又は光触媒が機能していない場合に発生した未浄化物質を、吸着剤が予め吸着し、この吸着された未浄化物質を、逐次的に、又は光触媒が十分に機能するようになった後で、浄化している。
したがって、典型的には、この複合触媒による空気浄化の速度及び量は、吸着剤の吸着量がその飽和量に達していない場合には、光触媒のみによる空気浄化の速度及び量よりも高くかつ多い。なお、ここでの「飽和量」とは、吸着剤が配置されている空間条件(例えば、温度、気圧、及び湿度等)における吸着剤の最大吸着量を意味している。
このように、光触媒や複合触媒を用いた空気浄化方法が開示されているが、空気浄化に関して、未だ検討の余地がある。
特許文献1の脱臭素子では、構造体、吸着剤、光触媒、及び加温手段からなり、吸着剤と光触媒が、構造体の表面に均一に担持され、加温手段が構造体に熱を伝達することが可能な形態で設置されており、加温手段は、臭気物質を吸着した吸着剤に対し、臭気物質の脱離が起きないレベルのエネルギーを加えるように設定されている。特許文献1には、この加温手段によって、吸着剤に吸着されている臭気物質が光触媒へ拡散する速度が向上して臭気物質が迅速に分解され、これによって、吸着剤の吸着能力の低下を抑制し、かつこの吸着能力を再生する技術が開示されている。
特開2001−9015号公報
本発明者らは、光触媒と、吸着剤とを含む複合触媒を車内空間で使用する場合に、光触媒が機能しない明るさ(暗闇の間、例えば、夜間等)、又は光触媒に光が照射された直後(例えば、夜明け頃又は朝方)では、車内の空気中に未浄化物質が高濃度で充満している可能性があることを見出した。この未浄化物質は、臭気(例えば悪臭)を伴うものもあり、問題である。
特に、車両未使用時の車内空間は密閉状態であるため、光触媒が機能しない夜間等に車の内装材から揮発した未浄化物質を吸着剤が吸着することによって、吸着剤がその飽和量に達し、車内の空気中に未浄化物質が高濃度で充満している可能性がある。
また、車内空間において、光触媒に光が照射された直後には、光触媒によって、吸着剤に吸着されている未浄化物質を浄化するのに時間がかかるため、空気中の未浄化物質を十分に浄化できていない可能性がある。
したがって、本発明は、車内空間の空気を浄化する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下の手段により、上記の課題を解決できることを見出した。
〈1〉光が照射されて未浄化物質を浄化する光触媒と、上記光触媒の近傍にある又は上記光触媒に接触している吸着剤と、を含む複合触媒が配置されている車内空間において、上記光触媒が機能しない条件下では、換気を行うことを含む、空気浄化方法。
本発明によれば、車内空間の空気を浄化する方法を提供することができる。
図1は、第一、第二、及び第三の未浄化物質の脱離反応を示すアレニウス型の変形式を、未浄化物質の濃度nの自然対数ln(n)と絶対温度の逆数(1/T)を軸として、プロットした模式図である。 図2(a)は、未浄化物質が吸着剤の表面にある無数の吸着サイトを移動している状態を示す模式図であり、図2(b)は、未浄化物質が吸着剤から脱離している状態を示す模式図である。 図3は、本発明の方法の第一の実施形態を示すフローチャート図である。 図4は、本発明の方法の第二の実施形態を示すフローチャート図である。 図5は、本発明の方法の第三の実施形態を示すフローチャート図である。 図6は、第三の実施形態に関する未浄化物質の脱離反応を示すアレニウス型の変形式を、未浄化物質の濃度nの自然対数ln(n)と絶対温度の逆数(1/T)を軸として、プロットした模式図である。 図7は、本発明の方法の第四の実施形態を示すフローチャート図である。 図8は、第四の実施形態に関する未浄化物質の脱離反応を示すアレニウス型の変形式を、未浄化物質の濃度nの自然対数ln(n)と絶対温度の逆数(1/T)を軸として、プロットした模式図である。
以下、本発明の方法の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明の方法は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
《空気浄化方法》
空気を浄化する本発明の方法は、光が照射されて未浄化物質を浄化する光触媒と、上記光触媒の近傍にある又は上記光触媒に接触している吸着剤と、を含む複合触媒が配置されている車内空間において、上記光触媒が機能しない条件下では、換気を行うことを含む。
換気を行うことによって、複合触媒が配置されている車内空間の内部の未浄化物質を、車内空間の外部へと排出することができる。したがって、本発明の方法によれば、光触媒が機能しない条件下(例えば、夜間等の暗闇の間)、又は光触媒が機能する光が差した直後(例えば、夜明け頃又は朝方)における、車内空間の内部の未浄化物質の濃度を低減することが可能である。
すなわち、光触媒が機能しない夜間等に車の内装材から揮発した未浄化物質を、効率的に車内空間の外部へと排出し、吸着剤における未浄化物質の吸着量をその飽和量未満に抑制することが可能である。
これによって、例えば、臭気を伴う未浄化物質の濃度を低減することが可能となり、車両の使用者(搭乗者)が快適に自動車を使用することができる。
また、本発明の方法によれば、光触媒が機能する条件下(例えば、昼間)で、光触媒と、吸着剤とを含む複合触媒が十分に機能し、さらには、その機能を維持することができる。
〈吸着剤に熱を加える工程〉
また、本発明の方法は、任意選択的に、光触媒が機能しない条件下において、吸着剤に熱、例えば、吸着剤に吸着されている未浄化物質を脱離して放出する量の熱を加える工程をさらに含んでよい。
これによって、吸着剤に吸着されている未浄化物質の量をさらに低減することが可能となり、結果として、吸着剤の吸着性能の低下を抑制できるのみならず、光触媒が機能する条件が充足された後において、吸着剤に吸着されている残りの未浄化物質を浄化する時間を実質的に短くすることができる。
なお、本明細書において「脱離」とは、吸着剤の表面にファンデルワールス力やその他の相互作用によって吸着していた分子、例えば、未浄化物質の分子が、表面から離れることを意味している。
吸着剤に吸着されている未浄化物質の脱離の状態を、下記のアレニウス式(I)で表現することができる:
k=Aexp(−E/RT) (I)
[式中
kは、脱離反応速度定数、
Aは、比例係数、
は、脱離反応の活性化エネルギー、
Rは、気体定数、
Tは、絶対温度。]
上記の式(I)の脱離反応速度定数kは、車内空間中の未浄化物質の濃度nと比例関係にあり、下記の式(II)で表現することができ、既に説明した式中の変数及び定数については、その説明を省略している:
k=nB (II)
[式中、
nは、車内空間中の未浄化物質の濃度、
Bは、比例定数。]
上記の式(I)及び(II)から、下記の式(III)を導出することができる:
n=Cexp(−E/RT) (III)
[式中、Cは、比例定数であり、A/Bで表現される。]
また、上記の式中の脱離反応の活性化エネルギーEは、特定の未浄化物質に対応した定数である。したがって、上記の式(III)の両辺を自然対数で表現することにより、下記の式(IV)が導出される:
ln(n)=(−E/R)×(1/T)+D (IV)
[式中、Dは、自然対数の定数であり、ln(C)で表現される。]
上記の式(IV)を、図1で表現している。具体的には、図1は、第一、第二、及び第三の未浄化物質の脱離反応を示すアレニウス型の変形式を、未浄化物質の濃度nの自然対数ln(n)と絶対温度の逆数(1/T)を軸として、プロットした模式図である。
図1において、第一、第二、及び第三の未浄化物質で示される直線は、それぞれ、それらの未浄化物質の脱離反応の活性化エネルギーEa1、Ea2、及びEa3(各未浄化物質に固有の定数)に対応している。また、これらの直線は、各未浄化物質が吸着剤に吸着され、かつ吸着剤から脱離される下記の反応式(V)の平衡状態を、示している:
Figure 0006926748
[式中、
αは、未浄化物質、
βは、吸着剤。]
上記の式(IV)で示されるように、これらの直線の傾きは、「−E/R」で表現され、Eの値が小さいほど、左上から右下に伸びる直線の傾きが緩くなる。すなわち、脱離反応の活性化エネルギーEの値が小さいほど、脱離し易く、かつ吸着し難いことを意味している。例えば、脱離反応の活性化エネルギーEa1、Ea2、及びEa3は、Ea1<Ea2<Ea3の関係であるため、第一の未浄化物質が最も吸着剤から脱離され易く、かつ第三の未浄化物質が最も吸着剤から脱離され難い。
図1に示す直線に関して、未浄化物質の濃度nの自然対数ln(n)を一定とみなす場合には、温度Tが高温である(すなわち、(1/T)の値が小さい)ほど、未浄化物質の脱離が促進されることが理解される。また、温度Tを一定とみなす場合には、未浄化物質の濃度nの自然対数ln(n)が小さいほど、未浄化物質の脱離が促進されることが理解される。
上記アレニウスの式から明らかなように、これによって、吸着剤に吸着されている未浄化物質を、効率的に脱離し、そして、この吸着剤から放出された未浄化物質を換気によって車内空間の内部から車内空間の外部へと排出することができる。
換気の工程、及び吸着剤に熱を加える工程の順序は、特に限定されず、かつこれらの工程を同時に行ってもよい。
〈未浄化物質の濃度を判定する工程〉
また、本発明の方法は、任意選択的に、車内空間の内部の未浄化物質の濃度を測定して、その濃度が所定の数値以上である場合に換気を行う条件設定を含んでよい。
この条件設定により、不要不急な換気を回避することが可能となり、結果として、例えば、エネルギーの消費を回避することができる。
この条件の判定の順序は、特に限定されない。例えば、光触媒が機能しない条件を判定した後に、未浄化物質の濃度の判定を行ってよく、かつ、その逆の順序でもよい。
未浄化物質の濃度を判定する手段の例としては、特に限定されないが、半導体式センサー、水晶振動子式センサー、及び膜型表面応力センサーを挙げることができる。
〈人間の存在の有無を判定する工程〉
また、本発明の方法は、任意選択的に、車内空間に人間が存在するか否かを判定して、人間が存在する場合に換気を行う条件設定を含んでよい。
この条件設定により、不要不急な換気を回避することが可能となり、結果として、例えば、エネルギーの消費を回避することができる。
この条件の判定の順序は、特に限定されない。例えば、光触媒が機能しない条件を判定をした後に、車内における人間の存在の有無の判定を行ってよく、かつ、その逆の順序でもよい。
人間の存在を判定する手段の例としては、特に限定されないが、光電管型センサー、光伝導型センサー、光起電力型センサー、焦電素子型センサー、熱電対型センサー、ボロメータ型センサーを挙げることができる。その他、自動車に特有のセンサー、例えば、シートベルト着用判定用センサー、又はシートの圧力センサー等を挙げることができる。
以下、本発明の方法の構成等を詳細に説明する。
〈未浄化物質〉
未浄化物質は、車内空間中に滞留しており、直接的に、又は吸着剤に吸着されてから、光触媒で分解される。
未浄化物質の例は、それが光触媒で分解可能な物質であれば特に限定されないが、トリメチルアミン、メチルメルカプタン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、アンモニア、トルエン、トリエチルアミン、スチレン、硫化水素、硫化メチル、硫化ジメチル、ノネナール、イソ吉草酸、ベラルゴン酸、及びジアセチルを挙げることができる。
未浄化物質の例の中でも、比較的に揮発性が高いものは、本発明の方法で好適に車内空間の外部へと排出することが可能である。比較的に揮発性が高い未浄化物質の例としては、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、アンモニア、トルエン、トリエチルアミン、硫化ジメチル、及びジアセチルを挙げることができる。
換気を行うのが好ましい、車内空間中の未浄化物質の濃度は、例えば、アセトアルデヒドの場合には30ppb以上、ホルムアルデヒドの場合には80ppb以上、アンモニアの場合には1000ppb以上、トルエンの場合には70ppb以上、トリエチルアミンの場合には5ppb以上、硫化ジメチル又はジアセチルの場合には、5ppb以上、30ppb以上、70ppb以上、80ppb以上、又は1000ppb以上でよい。
〈複合触媒〉
複合触媒は、光触媒と、光触媒の近傍にある又は光触媒に接触している吸着剤と、を含む。この複合触媒では、光触媒が機能する条件下において、光触媒が、車内空間中の未浄化物質を浄化し、かつ/又は吸着剤に吸着されている未浄化物質を浄化する。
また、この複合触媒では、光触媒が機能しない条件下において、吸着剤が、車内空間中の未浄化物質を吸着する。吸着剤の最大吸着量(飽和量)は、吸着剤が配置されている空間条件(例えば、温度、気圧、及び湿度等)に依存してよい。
(光触媒)
光触媒の例は、特に限定されないが、チタン系光触媒、例えば、二酸化チタン、アパタイト被覆二酸化チタン、窒素ドープ二酸化チタン、銅担持二酸化チタン、白金担持二酸化チタン;亜鉛系光触媒、例えば、酸化亜鉛;タングステン系光触媒、例えば、酸化タングステン;カドミウム系光触媒、例えば、硫化カドミウム;並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。
光触媒に照射される光の例としては、特に限定されないが、自然光、例えば、太陽光、並びに人工光、例えば、LED(Light Emitting Diode)照明及び蛍光灯を挙げることができる。
本発明の方法において、「光触媒が機能しない条件」とは、光触媒に照射される光の照度及び/若しくは波長、又は光触媒が機能する光が照射されない時間を意味する。
光触媒に照射される光の照度(ルクス)の例は、特に限定されないが、100ルクス以下、150ルクス以下、200ルクス以下、250ルクス以下、300ルクス以下、350ルクス以下、400ルクス以下、450ルクス以下、又は500ルクス以下でよい。
光触媒に照射される光の照度は、光触媒の種類、及び光触媒を機能させる光の波長に応じて変更することができる。光触媒の種類の例については、上記で例示されている光触媒の例を参照されたい。
光触媒に照射される光の照度を検知する手段は、特に限定されないが、光強度センサー、例えば、光度計(フォトレジスタやフォトダイオードを搭載したもの)でよい。
また、光触媒に照射される光の波長の例は、二酸化チタンの場合には、382nm以下、アパタイト被覆二酸化チタンの場合には382nm以下、窒素ドープ二酸化チタンの場合には500nm以下、銅担持二酸化チタンの場合には382nm以下、白金担持二酸化チタンの場合には382nm以下、酸化亜鉛の場合には387nm以下、酸化タングステンの場合には496nm以下、又は硫化カドミウムの場合には496nm以下でよい。
光触媒が機能しない時間の例は、特に限定されないが、0時以降、1時以降、2時以降、3時以降、4時以降、5時以降、6時以降、7時以降、8時以降、9時以降、10時以降、11時以降、12時以降、13時以降、14時以降、15時以降、16時以降、17時以降、18時以降、19時以降、20時以降、21時以降、若しくは23時以降でよく、かつ24時以前、23時以前、22時以前、21時以前、20時以前、19時以前、18時以前、17時以前、16時以前、15時以前、14時以前、13時以前、12時以前、11時以前、10時以前、9時以前、8時以前、7時以前、6時以前、5時以前、4時以前、3時以前、2時以前、若しくは1時以前でよい。
光触媒が機能しない時間は、例えば、太陽光が照射される日中の時間帯でよい。この場合には、光触媒が機能しない時間は、季節、場所、及び天候等によって異なってよい。この時間を、例えば、タイマー等によって設定することもできる。
(吸着剤)
吸着剤の例としては、特に限定されないが、多孔質系吸着剤、例えば、活性炭、シリカゲル、アパタイト、及び活性アルミナ、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。
吸着剤に加えられる熱エネルギー、すなわち、吸着剤から未浄化物質を脱離して放出するための熱エネルギーの例としては、面ヒーター、電熱コイルヒーター、及び誘導加熱等の熱エネルギーを挙げることができる。エネルギー源としては、特に限定されないが、自動車のバッテリー等が例示される。
吸着剤に加えるエネルギーの量は、特に限定されないが、ある程度大きいことが好ましい。例えば、上記の式(I)〜(V)及び図1の説明にあるように、未浄化物質の濃度が一定である場合には、温度Tが高いほど脱離は進行し易くなる一方で、温度Tがそれほど高くない(つまり、吸着剤に加えられた熱エネルギーが小さい)場合には、ファンデルワールス力等の引力圏内から未浄化物質が実質的に抜け出せないため、脱離は進行し難い。結果として、未浄化物質が吸着剤の表面にある無数の吸着サイトを移動する速度(拡散速度)が向上する一方で、未浄化物質が吸着剤から脱離する速度(脱離速度)は実質的には向上し難い。
したがって、吸着剤から未浄化物質を脱離して放出する温度(吸着剤に加えられる熱エネルギーの量)の例としては、活性炭の場合には105℃以上、シリカゲルの場合には150℃以上、アパタイトの場合には150℃以上が例示される。これらの温度は、上記の脱離速度の向上を達成するのに好ましい温度である。
吸着剤の温度を測定する手段の例としては、特に限定されないが、非接触式温度計、例えば、放射温度計及び赤外線サーモグラフィ等、並びに接触式温度計、例えば、熱電対等を挙げることができる。
以下では、未浄化物質の分子の拡散と脱離の関係を説明する。図2(a)は、未浄化物質が吸着剤の表面にある無数の吸着サイトを移動している状態を示す模式図であり、図2(b)は、未浄化物質が吸着剤から脱離している状態を示す模式図である。
図2(a)において、Eは基底状態のエネルギーであり、Eは吸着剤の吸着サイト間を未浄化物質の分子が移動するのに必要なエネルギーであり、Eは未浄化物質の分子が吸着剤から脱離するのに必要な活性化エネルギーであり、かつRTはこの系の温度エネルギー(吸着剤に加えられる熱エネルギー)を意味している。
図2(a)では、温度エネルギーRTが、Eaよりも小さいため、未浄化物質が吸着剤から脱離することが出来ない一方で、RTがEよりも大きいため、拡散速度が向上している。
図2(b)において、E、E、E、及びRTの説明は、図2(a)のものと同様であるので、省略する。図2(b)では、温度エネルギーRTが、Eaよりも大きいため、未浄化物質が吸着剤、すなわち、吸着剤の吸着サイトから脱離することが出来る。
図2(a)及び(b)からは、E>RT>Eの状態では、拡散が優勢であり、かつ脱離は実質的に生じないことが理解される。また、RT>Eの状態では、脱離が生じることが理解される。
〈車内空間〉
本発明の方法において、「車内空間」とは、自動車等の乗員が搭乗する空間を意味している。
〈換気〉
車内空間を換気する手段の例は、特に限定されないが、機械式の換気、例えば、換気用ファン又は既存のエアーコンディショナーを用いる手段、及び、開放式の換気、例えば、換気用開放窓又は通気口を用いる手段を挙げることができる。
開放式の換気の具体例は、例えば自動車等の場合には、サイドガラスを開放する換気でよい。かかる換気では、雨天又は雪空等の天候をセンサーで判定し、換気を行うか否かを判定してもよい。
以下、本発明の方法の種々の実施形態を例示して説明している。本発明の方法は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の方法の要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
《本発明の方法の第一の実施形態》
図3は、本発明の方法の第一の実施形態を示すフローチャート図である。システムを開始した後に、車内の照度情報を取得し(S1)、照度が所定の値以下(S2)である場合には、換気を開始する(S3)。
そして、断続的に車内の照度情報を取得して(S4)、照度が所定の値以上(S5)である場合には、換気の終了処理を行い(S6)、照度が所定の値以上でない場合には、換気の継続処理を行う(S3)。
この第一の実施形態によれば、光触媒が機能しない条件下で換気を行うことによって、複合触媒が配置されている車内空間の内部の未浄化物質を、光触媒が機能する前に車内空間の外部へと排出することができる。
したがって、例えば、光触媒が機能しない夜間等に車の内装材から揮発した未浄化物質を、効率的に車内空間の外部へと排出し、これによって、車内の空気中の未浄化物質の濃度を低減することが可能である。
《本発明の方法の第二の実施形態》
図4は、本発明の方法の第二の実施形態を示すフローチャート図である。システムを開始した後に、車内の照度情報を取得して(S1)照度が所定の値以下であることを判定する(S2)、車内の未浄化物質の濃度を取得して(S3)未浄化物質の濃度が所定の値以上であることを判定し(S4)、かつ車内の人の存在の情報を取得して(S5)人が存在していないことを判定する(S6)。これらの条件を全て充足している場合に、換気を開始する(S7)。
そして、車内の人の存在情報を取得して(S8)車内に人が存在していないこと(S9)、車内の照度情報を取得して(S10)照度が所定の値以下であること(S11)、かつ車内の未浄化物質の濃度を取得して(S12)未浄化物質の濃度が所定の値以上(S13)であること、を断続的に判定する。すなわち、これらの条件を全て充足している場合に、換気の継続処理を行う(S7)。他方、これらの条件のうち一つでも充足しない場合には、換気の終了処理を行う(S14)。
この第二の実施形態によれば、この条件設定により、不要不急な換気を回避することが可能となり、結果として、例えば、自動車の有限なエネルギー(例えば、バッテリー等)の消費を回避することができる。
《本発明の方法の第三の実施形態》
図5は、本発明の方法の第三の実施形態を示すフローチャート図である。図5のS1〜S6の処理は、図4のS1〜S6の処理と同様である。照度(S2)、濃度(S4)、及び人の存在(S6)の条件を全て充足している場合に、換気を開始する(S7)。
そして、車内の未浄化物質の濃度情報を取得して(S8)その濃度が所定の値以下であることを判定し(S9)、加温処理を開始する(S10)。すなわち、換気によって、車内の未浄化物質の濃度が低下したことを判定してから、加温の処理を開始する。
次に、吸着剤の温度情報を取得して(S11)その温度が所定の値以上であるかを判定する(S12)。具体的には、所定の値未満である場合には加温処理を継続し(S10)、所定の値以上である場合には、次の段階の車内の照度情報の取得を行う(S13)。
車内の照度情報を取得した後に(S13)、その照度が所定の値以上であるか判定する(S14)。具体的には、その照度が所定の値未満である場合には、換気の継続処理を行い(S7)、その照度が所定の値以上である場合には、換気の終了処理(S15)及び加温の終了処理(S16)を行う。
この第三の実施形態によれば、換気によって、車内の未浄化物質の濃度が低下した後に、吸着剤を加熱して、これに吸着されている未浄化物質を脱離することができる。したがって、吸着剤に吸着されている未浄化物質の量を低減することが可能となり、結果として、光触媒が機能する条件が充足された後において、吸着剤に吸着されている残りの未浄化物質を浄化する時間を実質的に短くすることができる。
図6は、第三の実施形態に関する未浄化物質の脱離反応を示すアレニウス型の変形式を、未浄化物質の濃度nの自然対数ln(n)と絶対温度の逆数(1/T)を軸として、プロットした模式図である。
図6の「1.換気」及び「2.換気+加温」は、それぞれ、第三の実施形態のステップS7及びS10に対応している。図6からは、「1.換気」において、車内の未浄化物質の濃度(ln(n))の値が低下して脱離反応が優勢となることが分かる。また、同図からは、「2.換気+加温」において、未浄化物質の濃度が低下することに加えて、吸着剤の温度が上昇することにより、脱離反応が一段と優勢となることが分かる。
《本発明の方法の第四の実施形態》
図7は、本発明の方法の第四の実施形態を示すフローチャート図である。図7のS1〜S6の処理は、図4のS1〜S6の処理と同様である。照度(S2)、濃度(S4)、及び人の存在(S6)の条件を全て充足している場合に、加温を開始する(S7)。
そして、吸着剤の温度情報を取得して(S8)その温度が所定の値以上であることを判定し(S9)、換気処理を開始する(S10)。
次いで、車内の照度情報を取得して(S11)その照度が所定の値以上であるかを判定する(S12)。照度が所定の値未満である場合には、加温処理(S7)及びその判定(S8及びS9)、並びに換気処理(S10)を繰り返す。照度が所定の値以上である場合には、換気の終了処理(S13)及び加温の終了処理(S14)を行う。
第四の実施形態によれば、加温によって吸着剤から未浄化物質が脱離し易い状態を作り出し、換気処理によって、吸着剤からの脱離が容易な未浄化物質を脱離し、脱離した未浄化物質を車外に排出する。
図8は、第四の実施形態に関する未浄化物質の脱離反応を示すアレニウス型の変形式を、未浄化物質の濃度nの自然対数ln(n)と絶対温度の逆数(1/T)を軸として、プロットした模式図である。
図8の「1.加温」及び「2.加温+換気」は、それぞれ、第四の実施形態のステップS7及びS10に対応している。図8からは、「1.加温」において、吸着剤の温度が上昇して脱離反応が優勢となることが分かる。また、同図からは、「2.加温+換気」において、吸着剤の温度が上昇することに加えて、車内の未浄化物質の濃度が低下することにより脱離反応が一段と優勢となることが分かる。

Claims (1)

  1. 光が照射されて未浄化物質を浄化する光触媒と、前記光触媒の近傍にある又は前記光触媒に接触している吸着剤と、を含む複合触媒が配置されている車内空間において、
    (i)前記車内の照度が所定の値以下である場合に、換気を開始し、
    (ii)断続的に前記車内の前記照度を取得して、前記照度が所定の値以上である場合には、前記換気を終了し、かつそうではない場合には、前記換気を継続する、
    空気浄化方法。
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