JP2005075323A - 車両用換気機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、省エネルギーで、車室内に発生するVOCを自然換気によって低減することができ、特に、車室内に発生するVOCを夜間にも低減することができる車両用換気機構を提供することを目的とする。
【解決手段】 上記課題を解決するために、本発明の車両用換気機構では、車室内空気が1時間に車室外空気と自然換気で入れ替わる回数である換気回数が1回/h以上となる換気口と、該換気口の開閉扉を車両のエンジンの停止時に開き且つ該エンジンの始動時に閉じる換気口開閉手段と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】 上記課題を解決するために、本発明の車両用換気機構では、車室内空気が1時間に車室外空気と自然換気で入れ替わる回数である換気回数が1回/h以上となる換気口と、該換気口の開閉扉を車両のエンジンの停止時に開き且つ該エンジンの始動時に閉じる換気口開閉手段と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
本発明は、車室内の空気を換気する換気口を有する車両用換気機構に関する。特に、車室内に発生する揮発性有機化合物(以下、「揮発性有機化合物」を「VOC」とする。)の換気を行う換気機構に関する。
昼間の炎天下の駐車時には車室内温度は60℃にも達する。そこで、車室内温度を下げることを目的とし車室内空気を換気する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)
ここで、特許文献1係る考案について説明する。この考案は、太陽電池を利用し、主に車両の駐車中に車室内空気の換気を行う車両用換気装置に関するもので、昼間の炎天下の駐車時に上昇する車室内温度を低下させる目的がある。具体的には、車室内と車室外とを連通させる換気口及び電動のファンを備え、換気口を開くと同時にファンを駆動し、車室内空気を機械的に換気する。太陽電池は、ファンを駆動するためのものである。従来の換気装置では、ファンを駆動するために車両に搭載されたバッテリーを使用することによる「バッテリー上り」が問題とされており、これを解消することができる。上記構成により、昼間の炎天下の駐車時の車室内空気を効率よく換気することができる。そして、上記考案は、昼間の車室内温度を低下させる冷却目的のため多量の換気空気が必要であるのでファンを駆動する構成となっている。冷却目的であるから昼間のみの使用で事足りるため昼間のみ発電する太陽電池を使用している。
実開昭57−200410号公報
近年、室内環境を向上させるために、室内で発生するVOCを低減することに関心が高まっている。自動車の車室内も、車室内の気密性が向上したことにより、車室の内装材から発生するVOCが滞留しやすい環境である。また、炎天下の駐車時には、車室内温度が上昇することでVOCが車室の内装材からさらに発生しやすくなり、車室内のVOCの濃度が高くなることがあった。そのため、車室内のVOCを低減する必要がある。
従来では、活性炭や光触媒などによってVOCを除去する方法があるが、この方法では、自動車等の車両の車室内では、VOCが上記方法による除去能力を超えて発生するため、十分に除去することができない。そこで、特許文献1の換気装置の使用も考えられるが、ファンの駆動に太陽電池を使用するため夜間にも発生して滞留したままのVOCを低減する効果は得ることができない。また、特許文献1の換気装置では車室内温度を低下させることが目的となっている。そのため、大きな換気能力を必要とし、車室内空気の換気に対するエネルギーの消費が大きい。また車両に太陽電池の設置が必要となるため製造費用増等の問題もある。したがって、車室内に発生するVOCの低減を目的とする換気機構は存在しなかった。
上記問題を解決するために、本発明では、省エネルギーで、車室内に発生するVOCを自然換気によって充分に低減することができ、特に、車室内に発生するVOCを夜間にも低減することができる車両用換気機構を提案することを目的とする。
従来、車両の組み立て誤差等によりできる、車室内と車室外とが連通する隙間の総面積は5cm2程度である。この面積は、自然換気による換気回数に換算すると約0.1回/hに相当する。発明者らは、車室内に発生したVOCの低減効果を得るために必要な車室内空気の自然換気による換気回数が1回/h以上であることを見出した。ここで、自然換気による換気回数とは、任意の大きさの空間に対して、一定時間内に空間内の空気が空間外の空気と自然に入れ替わる回数をいう。本発明では、換気回数を車室内空気が車室外空気と1時間あたりに入れ替わる回数で定義し、単位を回/hとする。以下、本明細書において同様である。
具体的には、上記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。本発明に係る車両用換気機構は、車室内空気が1時間に車室外空気と自然換気で入れ替わる回数である換気回数が1回/h以上となる換気口と、該換気口の開閉扉を車両のエンジンの停止時に開き且つ該エンジンの始動時に閉じる換気口開閉手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る車両用換気機構は、合計面積が50cm2以上で車室内空気と車両外空気とを自然換気で換気する少なくとも1つの換気口と、該換気口の開閉扉を車両のエンジンの停止時に開き且つ該エンジンの始動時に閉じる換気口開閉手段と、を有することを特徴とする車両用換気機構である。
上記2つの発明においては、エンジン停止時は通常無人で密室状態となるため、このときに昼夜を問わず、所定の換気能力または所定面積の換気口を開扉させることでVOCの低減を図るものである。
また、本発明に係る車両用換気機構は、車室内空気が1時間に車室外空気と自然換気で入れ替わる回数である換気回数が1回/h以上となる換気口と、該換気口の開閉扉を車両のエンジンの停止状態で車室内温度が40℃以上のとき開き且つ40℃未満のとき閉じる換気口開閉手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る車両用換気機構は、合計面積が50cm2以上で、車室内空気と車両外空気とを自然換気で換気する少なくとも1つの換気口と、該換気口の開閉扉を車両のエンジンの停止状態で車室内温度が40℃以上のとき開き且つ40℃未満のとき閉じる換気口開閉手段と、を有することを特徴とする。
上記2つの発明においては、VOCは、車室内温度が40℃以上で発生量が増加することから、この発生特性に合わせて換気することでVOCを低減するものである。
前記車両用換気機構では、前記換気口を、HVACユニットの内外気箱の外気導入路の側壁のうち、インテークドアが外気導入口を閉扉する位置よりも空気流れ上流側の側壁に設けることが望ましい。
HVACユニットの空気通路は車室外と連通しているので、本発明の車両用換気機構をHVACユニットに設置することで車室外空気を車室内に効率よく取り込むことができる。
また、前記車両用換気機構では、前記開閉扉は弾性体の弾性力により自動閉扉する扉であり、且つ前記インテークドアが前記外気導入口を閉扉する位置からさらに空気流れ上流側に回動しうる回動シロを設け、前記換気口開閉手段を、該回動シロにおける前記インテークドアの回動力を前記開閉扉に伝達させて該開閉扉を開扉する手段とすることが望ましい。
インテークドアの回動力を利用して換気口の開閉を行う形態を提案するものである。
また、前記車両用換気機構では、前記換気口を、HVACユニットの外気導入口からブロアまたはフィルタのいずれか近い方に至るまでの空気流路の側壁に設けるとともにHVACユニットのインテークドアが内気導入口を閉扉する状態とすることでもよい。
また、本発明に係る車両用換気機構は、バイメタルの熱によるたわみによって開口部の開口面積が可変し、車室内温度が40℃以上のときは車室内空気が1時間に車室外空気と自然換気で入れ替わる回数である換気回数が1回/h以上となり、40℃未満のときは略0回/hとなる換気口を備えることを特徴とする。
換気口の開閉を動力源なしに実現するとともに、車両の運転時には、自動で換気口を閉扉させることができる。
前記車両用換気機構では、前記換気口を、HVACユニットの内外気箱の外気導入路の側壁のうち、インテークドアが外気導入口を閉扉する位置よりも空気流れ上流側の側壁に設けることが望ましい。
HVACユニットの空気通路は車室外と連通しているので、本発明の車両用換気機構をHVACユニットに設置することで車室外空気を車室内に効率よく取り込むことができる。
また、前記車両用換気機構では、前記換気口を、HVACユニットの外気導入口からブロアまたはフィルタのいずれか近い方に至るまでの空気流路の側壁に設けるとともにHVACユニットのインテークドアが内気導入口を閉扉する状態とすることでもよい。
本発明の車両用換気機構は、省エネルギーで、車室内に発生するVOCを自然換気によって低減することができ、特に、車室内に発生するVOCを夜間にも低減することができる。
以下、添付の図面を参照して、本願発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
(実施の形態1)
まず、第1の実施の形態について説明する。本実施の形態では、車両用換気機構において、車室内空気が1時間に車室外空気と自然換気で入れ替わる回数である換気回数が1回/h以上となる換気口と、該換気口の開閉扉を車両のエンジンの停止時に開き且つエンジンの始動時に閉じる換気口開閉手段と、を有することを特徴としている。
図1は、第1の実施の形態による車両用換気機構を示した概略図である。本実施の形態による換気口11は、車室内24と車室外25とを遮断する壁19に設けられ、車室内24と車室外25とを連通させている。また、換気口11には、換気口の開閉扉12が備えられている。ここでは、開閉扉12は軸18を中心に回動する回動式となっているが、スライド式等の開閉扉を適用してもよく、適用条件に合わせて選択可能である。例えば、スライド式の開閉扉を用いることにより、開閉扉の開閉部分を省スペース化することが可能となる。開閉扉12は、開閉扉12を開閉するリンクシステム13によって開閉される。
リンクシステム13は動力源によって駆動されるが、ここでは説明を簡潔にするため、サーボモータ14によって駆動されるものとする。また、リンクシステム13は、通常考えられるリンク、ギア等を含むリンク機構となっており、ここでは、サーボモータ14の回動力を一定の動きに変換する機能を有している。
サーボモータ14はCPU等を搭載したCPUボード15が出力する信号41によってPWM(パルス幅変調)等の通常用いられる制御方法によって制御される。
CPUボード15には、エンジン16の始動または停止を表す信号42が入力され、エンジン16の始動または停止に応じてサーボモータ14を駆動する信号41を出力する。エンジン16は、始動または停止するたびそれぞれ異なる信号42を出力する。ここで、車両が赤信号等でアイドリング状態のときエンジン16を停止させる機能を有する場合には、エンジン16が数分停止した後に信号42を出力するように設定してもよい。
ここで、簡単にCPUボード15の構成について説明する。図2はCPUボードの構成と、信号の流れを示した概略図である。まず、エンジン16から出力された信号42をCPUボード15に入力する。次に、入力された信号42によってエンジン16が始動または停止いずれかの状態であるかを判断する。エンジン停止の場合、前述の開閉扉12を開扉するための「開閉扉オープン」の処理を行い、エンジン始動の場合、開閉扉12を閉扉するための「開閉扉クローズ」の処理を行う。その後、上記処理結果を出力した信号をサーボモータ(不図示)を駆動するサーボモータ駆動ボード251へ入力する。サーボモータ駆動ボード251には、パルスカウントボード252が出力した信号も入力され、サーボモータの回転角度が目標角度となるように信号41を出力する。パルスカウントボード252には、サーボモータに備えられたエンコーダ(不図示)が出力するパルス44が入力される。パルスカウントボード252は、入力されたパルス44のパルス数をカウントし、サーボモータの回転角度を検出してサーボモータの回転角度を表す信号を出力する。上記のようにCPUボード15を構成すれば、扉開閉12の開閉を制御することができる。なお、CPUボード15の構成は上記構成に限られるものではない。
本実施の形態では、換気口11を設け、換気口11の自然換気による換気回数を1回/h以上とすると車室内24に発生するVOCを低減することが可能となる。また、好ましくは換気口11の自然換気による換気回数を5回/h以上とするとよい。従来、車両の組み立て誤差等によりできる、車室内24と車室外25とが連通する隙間の総面積は5cm2程度である。この面積は、自然換気による換気回数に換算すると約0.1回/hに相当しVOCを低減するほどには換気をすることができない。そこで、換気口11を設けることで、自然換気による換気回数を増加させ、換気能力を向上させることによりVOCを充分に低減させるほどに換気をすることができる。
換気口11の自然換気による換気回数は、換気口11の開口部の大きさによって変化し、大きくなるほど換気回数も増大する。換気口11が大きくなると車室外空気と車室内空気との接触頻度が高くなるためである。しかし、あまり開口部を大きくすると、換気口11を設ける場所が限られるため、換気口11の開口部の大きさの最小値を求めることは極めて重要で、VOCの低減効果を得るための換気口11の開口部の大きさの最小値は自然換気による換気回数で1回/hに相当する。自然換気による換気回数を5回/h以上とすることがより好ましいが、換気口11の設置場所を考慮すると最大でも8回/hとすることが好ましい。
一方、換気口11の開口部の面積を50cm2以上とすることでもVOCの低減効果を得ることできる。上記同様、換気口11の開口部の面積をあまり大きくすると換気口を設ける場所が限られるため、換気口11の開口部の面積の最小値を求めることは極めて重要で、VOCの低減効果を得るための換気口の開口部の面積の最小値は50cm2である。換気口11の開口部の面積を250cm2以上とすることがより好ましいが、換気口11の設置場所を考慮すると最大でも400cm2とすることが好ましい。
また、換気口11の開口部の形状はどのような形状でもよく、換気口11は複数あってもよいし各換気口の自然換気による換気回数を合計して1回/h以上となれば、VOCの低減効果を得ることができるため、換気口を複数設けた場合は、各換気口の大きさを小さくすることが可能である。また、換気口によって車室外と車室内とが連通すれば、車両のいずれの場所に設けてもよい。図15は車室内の後部座席周辺を示す。換気口は、例えば、図15に示す車室内後部のリアトレイ99に設けてもよい。
また、本実施の形態では、開閉扉12を車両のエンジン16の停止時に開き且つエンジン16の始動時に閉じる換気口開閉手段を有している。開閉扉12が開くのが、エンジン16が停止したときとしたのは、車室内が無人となり車室内に発生したVOCが滞留するためである。また、車両の走行時に、開閉扉12が開いたままであると、車室内24の気密性を確保できず、車両に搭載されているエアコン(不図示)の冷却効率を下げてしまう可能性等の問題があるためである。車両の走行時に開閉扉12を閉じた状態とするために、エンジン16の始動時に開閉扉12を閉じる構成とした。上記扉開閉手段を用いることにより、車両の走行時には車室内の気密性を確保し、エンジン停止時には車室内に発生するVOCを低減できるほどに換気することが可能となる。CPUボード15等の電子制御機器を搭載することにより搭乗者によって手動で行うものではなく、電気的に上記扉開閉手段を自動で行うことができる。
ここで、本実施の形態による車両用換気機構の換気手順について図1を参照して説明する。まず、エンジン16を停止させたとき、エンジン16からエンジン16の停止を表す信号42が出力され、CPUボード15に入力される。CPUボード15は信号42を処理し、サーボモータ14を制御する信号41を出力する。サーボモータ14は、入力された信号41に応じた回転角を出力し、動力としてリンクシステム13に伝達する。リンクシステム13は伝達された動力に応じた量だけ運動し、開閉扉12を開扉する。開閉扉12を開くことで、換気口11が開き、車室内に発生するVOCを自然換気によって換気することができる。CPUボード15での信号42の処理を変えることによって、サーボモータ14の回転角度は自由に変えることが可能で、換気口11の開口部の大きさを可変することができる。例えば、VOCセンサ(不図示)を車室内に搭載すれば、車室内のVOCの濃度に応じて換気口11の大きさを変えることで、エンジン16を停止させるたびに換気口11を全開するのに比べ、VOCを低減できるほどに換気するためのエネルギー消費を抑えることができる。
次に、エンジン16を始動させたとき、エンジン16からエンジン16の始動を表す信号42が出力され、CPUボード15に入力される。CPUボード15は信号42を処理し、サーボモータ14を制御する信号41を出力する。サーボモータ14は、入力された信号41に応じて上記と反対方向に回転角を出力し、動力としてリンクシステム13に伝達する。リンクシステム13は伝達された動力に応じて開いた状態の開閉扉12を閉扉する。開閉扉12を閉じることで、車両走行時の車室内の気密性を確保することができる。
(実施の形態2)
(実施の形態2)
図3は、第2の実施の形態による車両用換気機構を示した概略図である。本実施の形態では、換気口11をHVACユニットの内外気箱31の外気導入路35の側壁のうち、インテークドア36が外気導入口34を閉扉する位置36aよりも空気流れ上流側の側壁に設けることを特徴としている。
図3に示すHVACユニットは、ブロアユニット32、クーラーユニット33からなり、この他に、不図示のヒーターユニット等も備えられる。HVACユニットは、車室内24と車室外25とを遮断するファイアーウォール30に取り付けられている。
ブロアユニット32は、内外気箱31とブロア39とを有する。内外気箱31の空気の通路である外気導入路35に、車室外空気を取り入れる外気導入口34、車室内空気を取り入れる内気導入口38が設けてある。インテークドア36は軸37を中心に回動する回動式となっており、車室内空気または車室外空気の取り入れを切り替える。すなわち、インテークドア36を外気導入口34を閉扉する位置36aへ回動させると、車室内空気を取り入れることができ、内気導入口38を閉扉する位置へ回動させると、車室外空気を取り入れることができる。また、インテークドア36の位置によって車室内空気と車室外空気との混合空気の混合比率を調節できるようになっている。切り替えは、一般的に電気的に行うものと機械的に行うものがある。前者は、車室内のコントロールパネル(不図示)上の内外気スイッチからの信号をエアコン用コンピュータ(不図示)を経由してサーボモータ(不図示)に送り、このサーボモータが駆動力となりインテークドア36を必要な位置へ回動させるもので、後者は、コントロールパネル上の手動によるレバーの動きを駆動力としてインテークドア36を回動させるものである。
ブロア39は、回転することによって外気導入口34からの空気流れ53aまたは内気導入口38からの空気流れ53cを作り、空気流れ53dとしてクーラーユニット33へ空気を送る。
クーラーユニット33は、ブロアユニット32の側から送られてきた空気を冷却するエバポレータ(不図示)を有している。
換気口11は、開閉扉12を開扉することで、外気導入口34を通して車室外25と車室内24とが連通し、外気導入口34から換気口11を通る空気流れ53bによって車室外空気を車室内24に導入することができる。HVACユニットは、外気導入口34から車室外空気を取り入れる機能を有していることから、HVACユニットに換気口11を設けることで容易に車室内24に車室外空気を取り入れることが可能である。
ここで、本実施の形態による車両用換気機構の換気手順について説明する。第1の実施の形態(図1)で説明したように、エンジンを停止させると、エンジンから出力されるエンジン停止を表す信号によって、開閉扉12が開扉する。開閉扉12が開くことによって換気口11が開く。車室外空気が外気導入口34から換気口11を通って空気流れ53bとして車室内24に導入し、車室内に発生するVOCを低減できるほどに換気することができる。
このとき、インテークドア36は外気導入口34を閉扉する位置36aに回動させておくのが望ましい。インテークドア36を内気導入口38を閉扉する位置に回動させておくと、車室外空気の空気流れ53aが換気口11への空気流れ53bとブロア39の側への空気流れ53dへと分かれてしまう。外気導入口34と車室内24とは連通しているため、ブロア39への空気流れは最終的に車室内24に達するが、ブロア39やクーラーユニット33の内部のエバポレータによって空気流れが妨げられ、車室内24に達する車室外空気の量は極わずかとなってしまう。そこで、インテークドア36を外気導入口34を閉扉する位置36aに回動させておくことで、外気導入口34から導入する車室外空気をすべて車室内24へ導入することが望ましく、VOCを効果的に換気することができる。
次に、エンジンを始動させると、エンジンから出力されるエンジン始動を表す信号によって、開閉扉12が閉扉し、通常のHVACユニットの機能を確保することができる。
上記述べたように、本実施の形態による車両用換気機構を用いることで、車両のエンジン停止時にサーボモータを駆動させることで自動的に換気口が開き、自然換気によって車室内に昼夜問わず発生するVOCの低減を行うことができる。特に、車室内に発生するVOCを夜間にも換気することができる。また、本実施の形態による車両用換気機構は、自然換気によって車室内に発生するVOCを低減できるほどに換気することを目的とし、電動式のファン等の電気機器を設ける必要がなく、省エネルギーである。
(実施の形態3)
(実施の形態3)
図4は、第3の形態による車両用換気機構の換気口開閉手段の概略構成図で、図4(a)は換気口の開閉扉を閉扉した状態で、図4(b)は換気口の開閉扉を開扉した状態を示した図である。図4は、前記内外気箱31の概略構成図を示している。換気口11には、開閉扉12が設けられている。
本実施の形態は、第2の実施の形態(図3)において、開閉扉12は弾性体61の弾性力により自動閉扉する扉であり、且つインテークドア36が外気導入口34を閉扉する位置36aからさらに空気流れ上流側に回動しうる回動シロ64を設け、換気口開閉手段を、回動シロ64におけるインテークドア36の回動力を開閉扉12に伝達させて開閉扉12を開扉する手段とすることに特徴を有している。すなわち、第1の実施の形態におけるリンクシステム(図1、符号13)としてHVACユニットのインテークドア36を用いる構成とするものである。
開閉扉12には開閉扉12を開閉させる冶具62が取り付けられており、冶具62が軸63を中心に回動するのと連動して開閉扉12が開閉する。冶具62には弾性体61が設けられ、弾性体61の弾性力により冶具62が常に図中反時計回りに回転するように引っ張られている。すなわち、開閉扉12は自動で閉扉する。インテークドア36には、回動シロ64が設けられ、インテークドア36の外気導入口34を閉扉する位置36aから回動シロ64の分だけさらに図中反時計回りに回動させることができる。冶具62とインテークドア36とはインテークドア36が外気導入口34を閉扉する位置36aで接触する。
ここで、本実施の形態による換気口開閉手段について説明する。予め、エンジンの始動または停止と、インテークドア36の開閉が連動するように、前述したインテークドア36を開閉させるエアコン用のコンピュータに処理を記憶させておく。この場合、第1の実施の形態で説明したCPUボード(図1、符号15)と、エアコン用のコンピュータを兼ね、またインテークドア36を開閉するサーボモータを前述の開閉扉12を開閉するサーボモータ(図1、符号14)と兼ねることができるため、前記扉開閉手段を簡単な構成とすることができる。
まず、エンジン停止時に、インテークドア36が外気導入口34を閉扉する位置36aへと移動し、さらにその位置から回動シロ64の位置へ回動する。インテークドア36は外気導入口34を閉扉する位置で冶具62と接触し、インテークドア36の回動力が接触部分から冶具62に伝達される。冶具62に伝達された回動力によって冶具62が図中時計回りに回動し、開閉扉12が開く。
次に、エンジン始動時に、インテークドア36は、回動シロ64の位置から外気導入口34を閉扉する位置36aへと戻る。冶具62は弾性体61によって、常に図中反時計回りに回転するように引っ張られているため、インテークドア36が外気導入口34を閉扉する位置36aへと戻ると共に冶具62が図中反時計回りに回動し開閉扉12が閉扉する。
(実施の形態4)
(実施の形態4)
図5に、第4の実施の形態による車両用換気機構の概略図を示す。本実施の形態は、第1(図1)、第2(図3)または第3(図4)の実施の形態における扉開閉手段を、エンジン16の始動または停止を表す信号42のほかに車室内温度を表す信号43を使用して、換気口11の開閉扉12を車両のエンジン16の停止状態で車室内温度が40℃以上のとき開き且つ40℃未満のとき閉じる換気口開閉手段とすることを特徴を有している。
図5に示す車両用換気機構は、車室内温度を検知する温度センサ17を設けたほかは、第1の実施の形態の説明において使用した図1の構成と同様である。
温度センサ17は、車室内温度を検知し、信号43を出力する。例えば、車室内のインパネ(不図示)に搭載されたエアコン用の内気センサや別に設けたバイメタル等の温度センサを用いることができる。ここで、バイメタルは、熱膨張率の異なる金属を2種類以上重ね合わせると、それぞれの金属が膨張するときに異なる内部応力を発生し、内部応力がつりあう位置までたわむ性質を持っている。例えば、温度センサ17としてバイメタルを用いた場合、バイメタルをスイッチと連動させて0または1の信号を出力するように構成する。車室内温度が40℃以上となったらバイメタルが変形しスイッチが入った状態となり、信号43として1を出力する。一方、車室内温度が40℃未満となったら、変形したバイメタルが元の状態に戻りスイッチが切れた状態となり、信号43として0を出力する構成とする。
ここで、CPUボード15の構成について簡単に説明する。図6は、CPUボードの構成と、信号の流れを示した概略図である。まず、エンジン16から出力された信号42と温度センサ17から出力された信号43とをCPUボード15に入力する。次に、入力された信号42によってエンジン16が始動または停止いずれかの状態であるかを判断する。エンジン停止の場合、エンジン16の停止を表す状態を記憶しておき、温度センサ17からの信号43から、車室内温度40℃以上となったとき、前述の開閉扉12を開扉するための「開閉扉オープン」の処理を行う。エンジン始動の場合、温度センサ17からの信号43にかかわらず、開閉扉12を閉扉するための「開閉扉クローズ」の処理を行う。その後、上記処理結果を出力した信号をサーボモータ(不図示)を駆動するサーボモータ駆動ボード251へ入力する。サーボモータ駆動ボード251には、パルスカウントボード252が出力した信号も入力され、サーボモータの回転角度が目標角度となるように信号41を出力する。パルスカウントボード252には、サーボモータに備えられたエンコーダ(不図示)が出力するパルス44が入力される。パルスカウントボード252は、入力されたパルス44のパルス数をカウントし、サーボモータの回転角度を検出してサーボモータの回転角度を表す信号を出力する。上記のようにCPUボード15を構成すれば、扉開閉12の開閉を制御することができる。なお、CPUボード15の構成は上記構成に限られるものではない。
VOCは、車室内温度が上昇し、40℃以上となると急激に発生する傾向にある。そのため、本実施の形態による車両用換気機構によれば、予め開閉扉12を開く温度を設定しておくことで、車室内温度があまり高くならないときには、換気口11を開扉しなくてもよい場合があり、余分なバッテリーの電力を消費する必要が無く省エネルギーにつながる。
(実施の形態5)
(実施の形態5)
図7は、第5の実施の形態による車両用換気機構を示した概略図である。本実施の形態では、前記換気口11を、HVACユニットの外気導入口34からブロア39またはフィルタのいずれか近い方に至るまでの空気流路の側壁に設けるとともにHVACユニットのインテークドア36が内気導入口38を閉扉する状態とすることを特徴としている。
図7に示すHVACユニットでは、不図示のフィルタがブロア39とクーラーユニット33内の不図示のエバポレータとの間に設けられている。しかし、フィルタを図中、ブロア39と内気導入口38との間に設けるHVACユニットもあるため、その場合は、換気口11をフィルタより空気流れ上流側の空気流路の側壁に設けることが望ましい。外気導入口34から、換気口11までの間に空気流れを阻害するものがあると、車室内24に車室外空気を効率的に導入できない可能性があるからである。なお、HVACユニットの内の不図示のフィルタの設置位置に関しては、以下同様である。
また、HVACユニットの構成は、換気口11を設ける位置の違い以外は第2の実施の形態(図3)で説明したものと同様である。
ここで、本実施の形態による車両用換気機構の換気手順について図7を参照して説明する。まず、エンジン停止時に、インテークドア36を内気導入口38を閉扉する位置に回動させる。前述のインテークドア36を開閉させるためのコンピュータの処理によって、エンジン停止時にインテークドア36で内気導入口38を閉扉させることができる。次に、第1の実施の形態(図1)で説明したように、エンジンを停止させると、エンジンから出力されるエンジン停止を表す信号によって、開閉扉12が開扉する。開閉扉12が開くことによって換気口11が開き、車室外空気が外気導入口34から換気口11を通って車室内24に導入し(53a、53b)、車室内24に発生するVOCを低減できるほどに換気することができる。
次に、エンジンを始動させると、エンジンから出力されるエンジン始動を表す信号によって、開閉扉12が閉扉し、通常のHVACユニットの機能を確保することができる。
上記述べたように、本実施の形態による車両用換気機構を用いることで、車両のエンジン停止時にサーボモータを駆動させることで自動的に換気口が開き、自然換気によって車室内に昼夜問わず発生するVOCの低減を行うことができる。特に、車室内に発生するVOCを夜間にも換気することができる。また、本実施の形態による車両用換気機構は、自然換気によって車室内に発生するVOCを低減できるほどに換気する機構で、電動式のファン等の電気機器を設ける必要がなく、省エネルギーである。
(実施の形態6−1)
(実施の形態6−1)
図8は、第6−1の実施の形態による車両用換気機構を示した概略図で、図8(a)は、開閉扉が閉じた状態を表した図で、図8(b)は、開閉扉が開いた状態を表した図である。本実施の形態は、車室内空気を換気する車両用換気機構において、バイメタル73a及び73bの熱によるたわみによって開口部の開口面積が可変し、車室内温度が40℃以上のときは、車室内空気が1時間に車室外空気と自然換気で入れ替わる回数である換気回数が1回/h以上となり、40℃未満のとき略0回/hとなる換気口11を備えることを特徴としたものである。
例えば、図8(a)及び(b)に示したものを適用することができる。車室内24と車室外25とを遮断する壁19に孔78を設け、換気口11の開閉扉としてのバイメタル73a及び73bを、熱によるたわみによってそれぞれが反対方向にたわむことで観音開きするように斜めに備えた形態である。この場合、換気口11は、開閉扉としてのバイメタル73a及び73bが開いた部分である。また、開閉扉としてのバイメタル73a及び73bを観音開きするように斜めに設けたため、開閉扉としてのバイメタル73a及び73bが閉じたときに車室内空気が車室外25へと漏れないようにゴム製等の空気を通さないカバー74a及び74bを備えた。バイメタル73a及び73bを斜めに備えたのはバイメタルの熱によるたわみが小さくても所望の大きさの換気口11を確保するためである。
なお、バイメタルを用いた実施の形態は上記の構成に限られるものではなく、種々のものを適用することができる。
前述したようにバイメタルは、所定の温度で所定のたわみを発生するように製作することが可能で、本実施の形態のように、40℃以上で換気口11の自然換気による換気回数が1回/h以上となるようにバイメタル73a及び73bのたわみが発生するように製作することができる。
ここで、本実施の形態による換気機構の換気手順について図8(a)及び(b)を参照して説明する。まず、エンジンが停止して車室内が無人となると、しばらくして車室内24の温度が上昇する。車室内温度が40℃以上となるとバイメタル73a及び73bがたわみ始め、換気口11が開く。換気口11が開くことによって、車室外空気が車室内24に導入し、車室内に発生するVOCを低減できるほどに換気することができる。
次に、エンジンを始動させ車両を使用すると、搭乗者の出入りや車両に搭載されたエアコン(不図示)を使用することで車室内温度が40℃未満となり、換気口11は常時自然に閉じた状態となり、車室内24の気密性を確保することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、車室内温度が40℃以上となったときに自動的に換気口11が開き、車室内に発生するVOCを低減できるほどに換気することが可能で、換気口11の開閉扉を開閉するのに電力を必要とせず、より簡単な構成とすることが可能となる。また、エンジンの始動または停止を表す信号を処理する機能等を有する電子機器も搭載する必要がなく、開閉扉を開閉させるための構成を簡単なものとすることが可能となる。
(実施の形態6−2)
(実施の形態6−2)
図9は、第6−2の実施の形態による車両用換気機構を示した概略図で、図9(a)は、開閉扉が閉じた状態を表した図で、図9(b)は、開閉扉が開いた状態を表した図である。本実施の形態は、第6−1の実施の形態の別の例で、バイメタルを換気口の開閉扉を開閉する動力源として用いたものである。
車室内24と車室外25とを遮断する壁19に換気口11を設け、開閉扉12にバイメタル75が備えられている。また、開閉扉12が閉じたときに、車室内24からの空気漏れがないようにゴム製等の空気を通さないシールド76を換気口11の周囲に備えた。
なお、バイメタルを用いた実施の形態は上記の構成に限られるものではなく、種々のものを適用することができる。
ここで、本実施の形態による換気機構の換気手順について図9(a)及び(b)を参照して説明する。まず、エンジンが停止して車室内が無人となると、しばらくして車室内24の温度が上昇する。車室内温度が40℃以上となるとバイメタル75がたわみ始める。バイメタル75がたわむと、バイメタル75に取り付けられている開閉扉12が開扉し、換気口11が開く。換気口11が開くことによって、車室外空気が車室内24に導入し、車室内24に発生するVOCを低減できるほどに換気することができる。
次に、エンジンを始動させ車両を使用すると、搭乗者の出入りや車両に搭載されたエアコン(不図示)を使用することで車室内温度が40℃未満となり、バイメタル75が戻ると共に開閉扉12は常時自然に閉じた状態となり、車室内24の気密性を確保することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、車室内温度が40℃以上となったときに自動的に換気口11が開き、車室内に発生するVOCを低減できるほどに換気することが可能で、換気口11の開閉扉を開閉するのに電力を必要とせず、より簡単な構成とすることが可能となる。また、エンジンの始動または停止を表す信号を処理する機能等を有する電子機器も搭載する必要がなく、開閉扉を開閉させるための構成を簡単なものとすることが可能となる。
(実施の形態7)
(実施の形態7)
図10は、第7の実施の形態による車両用換気機構を示した概略図である。本実施の形態は、前記換気口11を、図10に示すHVACユニットの内外気箱31の外気導入路35の側壁のうち、インテークドア36が外気導入口34を閉扉する位置よりも空気流れ上流側の側壁に設けることを特徴としている。すなわち、第2の実施の形態(図3)で説明した換気口を第6−2(図9)の実施の形態で説明した換気口とした形態である。なお、第6−1(図8)の実施の形態による換気口を適用してもよい。
図10に示したHVACユニットの構成は、開閉扉12を開閉するバイメタル77を設けた以外は第2の実施の形態(図3)で説明したものと同様であるため説明を省略する。また、換気口11、開閉扉12、開閉扉12を開閉するバイメタル77の構成は第6−2の実施の形態(図9)で説明したものと同様であるため説明を省略する。
ここで、本実施の形態による換気機構の換気手順について図10を参照して説明する。まず、エンジン(不図示)が停止して車室内が無人となると、しばらくして車室内24の温度が上昇する。車室内温度が40℃以上となるとバイメタル77がたわみ始める。バイメタル77がたわむと、バイメタル77に取り付けられている開閉扉12が開扉し、換気口11が開く。換気口11が開くことによって、車室外空気が空気流れ53bとして車室内24に導入し、車室内に発生するVOCを低減できるほどに換気することができる。
このとき、インテークドア36は外気導入口34を閉扉する位置36aに回動させておくのが望ましい。インテークドア36を内気導入口38を閉扉する位置に回動させておくと、車室外空気の空気流れ53aが換気口11への空気流れ53bとブロア39の側への空気流れ53dへと分かれてしまう。外気導入口34と車室内24とは連通しているため、ブロア39への空気流れは最終的に車室内24に達するが、ブロア39やクーラーユニット33の内部のエバポレータによって空気流れが妨げられ、車室内24に達する車室外空気の量は極わずかとなってしまう。そこで、インテークドア36を外気導入口34を閉扉する位置36aに回動させておくことで、外気導入口34から導入する車室外空気をすべて車室内24へ導入することが望ましく、VOCを効果的に低減することができる。
次に、エンジンを始動させ車両を使用すると、搭乗者の出入りや車両に搭載されたエアコン(不図示)を使用することで車室内温度が40℃未満となり、バイメタル77が戻ると共に開閉扉12は常時自然に閉じた状態となり、車室内24の気密性を確保することができる。
以上説明したように、HVACユニットは、外気導入口34から車室外空気を取り入れる機能を有していることから、HVACユニットに換気口11を設けることで容易に車室内24に車室外空気を取り入れることが可能である。また、本実施の形態によれば、車室内温度が40℃以上となったときに自動的に換気口11が開き、車室内に発生するVOCを低減できるほどに換気することが可能で、換気口11の開閉扉を開閉するのに電力を必要とせず、より簡単な構成とすることが可能となる。
(実施の形態8)
(実施の形態8)
図11は、第8の実施の形態による車両用換気機構を示した概略図である。本実施の形態は、前記換気口11を、HVACユニットの外気導入口34からブロア39またはフィルタのいずれか近い方に至るまでの空気流路の側壁に設けるとともにHVACユニットのインテークドア36が内気導入口38を閉扉する状態とすることを特徴としている。すなわち、第5の実施の形態(図7)で説明した換気口を第6−2(図9)の実施の形態で説明した換気口とした形態である。なお、第6−1(図8)の実施の形態による換気口を適用してもよい。
図11に示したHVACユニットの構成は、開閉扉を開閉するバイメタル77を設けた以外は第5の実施の形態(図7)で説明したものと同様であるため説明を省略する。また、換気口11、開閉扉12、開閉扉12を開閉するバイメタル77の構成は第6−2の実施の形態(図9)で説明したものと同様であるため説明を省略する。
ここで、本実施の形態による換気機構の換気手順について図11を参照して説明する。まず、エンジン(不図示)停止時に、インテークドア36を内気導入口38を閉扉する位置に回動させる。前述のコンピュータの処理によって、エンジン停止時にインテークドア36を閉扉させることができる。エンジンが停止して車室内24が無人となると、しばらくして車室内24の温度が上昇する。車室内温度が40℃以上となるとバイメタル77がたわみ始める。バイメタル77がたわむと、バイメタルに取り付けられている開閉扉12が開扉し、換気口11が開く。換気口11が開くことによって、車室外空気が車室内24に導入し、車室内に発生するVOCを低減できるほどに換気することができる。
次に、エンジンを始動させ車両を使用すると、搭乗者の出入りや車両に搭載されたエアコン(不図示)を使用することで車室内温度が40℃未満となり、バイメタル77が戻ると共に開閉扉12は常時自然に閉じた状態となり、車室内24の気密性を確保することができる。
以上説明したように、HVACユニットは、外気導入口34から車室外空気を取り入れる機能を有していることから、HVACユニットに換気口11を設けることで容易に車室内24に車室外空気を取り入れることが可能である。また、本実施の形態によれば、車室内温度が40℃以上となったときに自動的に換気口11が開き、車室内に発生するVOCを低減できるほどに換気することが可能で、換気口11の開閉扉を開閉するのに電力を必要とせず、より簡単な構成とすることが可能となる。
図12、図13、図14を用いて、本願発明の実施例について説明する。図12は、HVACユニットの外気導入路を示した図である。本実施例では、換気口11をHVACユニットの内外気箱の外気導入路35の側壁のうち、インテークドアが外気導入口34を閉扉する位置よりも空気流れ上流側の側壁に設けた。
図13は、7月の某日に上記のHVACユニットを搭載した車両を屋内に60時間連続で放置したときの、車室内温度と、車室内に発生するVOCの濃度とを30分ごとに測定したグラフを示した図である。図13において、横軸は経過時間(h)、縦軸は温度(℃)及びVOCの濃度(mg/m3)をそれぞれ示している。また、外気温の推移81に対して、車室内温度の推移82を示し、また、以下に示す3通りの、車室内に発生するVOCの濃度の推移のグラフを示している。
(比較例)換気口11を完全に閉じ、車両の組み立て誤差等によってできる車両の隙間によって車室内24に発生するVOCを自然換気する場合。この場合、自然換気による換気回数は0.1回/hに相当する。
(実施例1)換気口11を開き、自然換気による換気回数を1回/hとして、車室内24に発生するVOCを自然換気する場合。
(実施例2)換気口11をさらに開き、自然換気による換気回数を5回/hとして、車室内24に発生するVOCを自然換気する場合。
(比較例)換気口11を完全に閉じ、車両の組み立て誤差等によってできる車両の隙間によって車室内24に発生するVOCを自然換気する場合。この場合、自然換気による換気回数は0.1回/hに相当する。
(実施例1)換気口11を開き、自然換気による換気回数を1回/hとして、車室内24に発生するVOCを自然換気する場合。
(実施例2)換気口11をさらに開き、自然換気による換気回数を5回/hとして、車室内24に発生するVOCを自然換気する場合。
図13の外気温の推移81及び車室内温度の推移82から、外気温が上昇して35℃程度となると、車室内温度は、約60℃に達することがわかる。このとき、換気口11を完全に閉じ、自然換気による換気回数が0.1回/hの場合(比較例)では、VOCの濃度の推移83から、13時間付近で車室内温度が約40℃に達すると車室内24にVOCが急激に発生し、最大で18mg/m3になることがわかる。その後、外気温が下がると共に車室内温度も下がり、車室内24に発生するVOCの濃度も下がり、最小で15mg/m3となる。42時間付近で再び外気温の上昇と共に車室内24の温度も上昇し、車室内24に発生するVOCの濃度も上昇する。車室内24に発生するVOCの濃度が上昇すると、自然換気による換気回数が0.1回/hの場合ではVOCが滞留し、低減することができない。
次に、自然換気による換気回数を1回/hとした場合(実施例1)では、VOCの濃度の推移84から、外気温の上昇と共に車室内に発生するVOCの濃度も上昇するが、最大で約3mg/m3程度である。しかし、自然換気による換気回数が0.1回/hの場合(比較例)に比べ、車室内24に発生するVOCの濃度を約1/6まで大幅に低減することができることがわかる。
次に、自然換気による換気回数を5回/hとした場合(実施例2)では、VOCの濃度の推移85から、外気温の上昇と共に上昇する車室内24に発生するVOCの濃度は極わずかで、最大で2mg/m3未満である。つまり、自然換気による換気回数を5回/hとすると、車室内24に発生するVOCの濃度を略0となるまで換気することができる。
よって、自然換気による換気回数を1回/h以上とすれば、自然換気によっても車室内24に発生するVOCの濃度を大幅に低減する効果を得ることができる。
図14は、換気口11の開口部の面積と、車室内空気の自然換気による換気回数との対応関係を示した図である。図14において、縦軸は換気回数(回/h)、横軸は換気口11の開口部面積(cm2)をそれぞれ表し、換気口11の開口部面積と換気回数との対応関係を示したグラフを示している。
図14から、換気口11の開口部面積が増加するにつれて換気回数は増加することがわかる。車室内空気の換気回数が1回/h以上となる換気口11の開口部の面積は、約50cm2である。また、換気回数を5回/hとするには、換気口11の開口部の面積を約250cm2とすればよいことがわかる。また、換気口11の設置面積を考慮すると、換気口11の面積は最大でも400cm2とすることが好ましく、図14から、換気回数にして約8回/hとなる。
本発明は、換気口の大きさを室内の大きさに応じて調節することにより、家屋等の室内に発生するVOCの低減にも適用可能である。
11 換気口
12 換気口の開閉扉
13 リンクシステム
14 サーボモータ
15 CPUボード
251 サーボモータ駆動ボード
252 パルスカウントボード
16 エンジン
17 温度センサ
18 軸
19 壁
24 車室内
25 車室外
30 ファイアーフォール
31 内外気箱
32 ブロアユニット
33 クーラーユニット
34 外気導入口
35 外気導入路
36 インテークドア
36a 外気導入口を閉扉する位置
37 軸
38 内気導入口
39 ブロア
41、42、43、44 信号
53a、53b、53c、53d 空気流れ
61 弾性体
62 冶具
63 軸
64 回動シロ
73a、73b バイメタル
74a、74b カバー
75、77 バイメタル
76 シールド
78 孔
99 リアトレイ
12 換気口の開閉扉
13 リンクシステム
14 サーボモータ
15 CPUボード
251 サーボモータ駆動ボード
252 パルスカウントボード
16 エンジン
17 温度センサ
18 軸
19 壁
24 車室内
25 車室外
30 ファイアーフォール
31 内外気箱
32 ブロアユニット
33 クーラーユニット
34 外気導入口
35 外気導入路
36 インテークドア
36a 外気導入口を閉扉する位置
37 軸
38 内気導入口
39 ブロア
41、42、43、44 信号
53a、53b、53c、53d 空気流れ
61 弾性体
62 冶具
63 軸
64 回動シロ
73a、73b バイメタル
74a、74b カバー
75、77 バイメタル
76 シールド
78 孔
99 リアトレイ
Claims (10)
- 車室内空気が1時間に車室外空気と自然換気で入れ替わる回数である換気回数が1回/h以上となる換気口と、該換気口の開閉扉を車両のエンジンの停止時に開き且つ該エンジンの始動時に閉じる換気口開閉手段と、を有することを特徴とする車両用換気機構。
- 合計面積が50cm2以上で車室内空気と車両外空気とを自然換気で換気する少なくとも1つの換気口と、該換気口の開閉扉を車両のエンジンの停止時に開き且つ該エンジンの始動時に閉じる換気口開閉手段と、を有することを特徴とする車両用換気機構。
- 車室内空気が1時間に車室外空気と自然換気で入れ替わる回数である換気回数が1回/h以上となる換気口と、該換気口の開閉扉を車両のエンジンの停止状態で車室内温度が40℃以上のとき開き且つ40℃未満のとき閉じる換気口開閉手段と、を有することを特徴とする車両用換気機構。
- 合計面積が50cm2以上で、車室内空気と車両外空気とを自然換気で換気する少なくとも1つの換気口と、該換気口の開閉扉を車両のエンジンの停止状態で車室内温度が40℃以上のとき開き且つ40℃未満のとき閉じる換気口開閉手段と、を有することを特徴とする車両用換気機構。
- 前記換気口が、HVACユニットの内外気箱の外気導入路の側壁のうち、インテークドアが外気導入口を閉扉する位置よりも空気流れ上流側の側壁に設けられていることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の車両用換気機構。
- 前記開閉扉は弾性体の弾性力により自動閉扉する扉であり、且つ前記インテークドアが前記外気導入口を閉扉する位置からさらに空気流れ上流側に回動しうる回動シロを設け、前記換気口開閉手段は、該回動シロにおける前記インテークドアの回動力を前記開閉扉に伝達させて該開閉扉を開扉する手段であることを特徴とする請求項5に記載の車両用換気機構。
- 前記換気口を、HVACユニットの外気導入口からブロアまたはフィルタのいずれか近い方に至るまでの空気流路の側壁に設けるとともにHVACユニットのインテークドアが内気導入口を閉扉する状態としたことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の車両用換気機構。
- バイメタルの熱によるたわみによって開口部の開口面積が可変し、車室内温度が40℃以上のときは車室内空気が1時間に車室外空気と自然換気で入れ替わる回数である換気回数が1回/h以上となり、40℃未満のときは略0回/hとなる換気口を備えることを特徴とする車両用換気機構。
- 前記換気口が、HVACユニットの内外気箱の外気導入路の側壁のうち、インテークドアが外気導入口を閉扉する位置よりも空気流れ上流側の側壁に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の車両用換気機構。
- 前記換気口を、HVACユニットの外気導入口からブロアまたはフィルタのいずれか近い方に至るまでの空気流路の側壁に設けるとともにHVACユニットのインテークドアが内気導入口を閉扉する状態としたことを特徴とする請求項8に記載の車両用換気機構。
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JP2003312283A JP2005075323A (ja) | 2003-09-04 | 2003-09-04 | 車両用換気機構 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019017412A (ja) * | 2017-07-11 | 2019-02-07 | トヨタ自動車株式会社 | 空気浄化方法 |
US10556488B2 (en) | 2015-01-26 | 2020-02-11 | Ford Global Technologies, Llc | Volatile organic compound purge system for a motor vehicle |
-
2003
- 2003-09-04 JP JP2003312283A patent/JP2005075323A/ja active Pending
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