JP6926571B2 - 鮮度保持シートおよび鮮度保持シートの製造方法 - Google Patents

鮮度保持シートおよび鮮度保持シートの製造方法 Download PDF

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本発明は、銀イオンを含む分散液中で、セルロースナノファイバーに銀微粒子を還元析出させることにより得られる銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体を含むことを特徴とする鮮度保持シートに関する。
野菜や果物といった青果物の包装材として、内容物の鮮度を保持する機能が付与された鮮度保持シートが用いられている。
鮮度保持シートが備える機能として湿度応答型透湿性が挙げられる。青果物の場合、採果後の鮮度保持については保存環境の湿度に留意し、野菜表面からの水分蒸散を適度に抑制することが課題となる。そのため、野菜を包装した際に、包装内部の湿度を高く保つことができれば水分の蒸散が抑制されて野菜の瑞々しさを保つことが可能になる。すなわちこのような場合、包材にはある程度の水蒸気バリア性が必要となる。一方で、包装内部の湿度が高くなりすぎると、包材の内側や野菜表面上に結露が発生し水腐れやカビ発生の原因となる。すなわち、生鮮食品用の包材として、包材内部の湿度が低い場合には透湿性が低くなり、包材内部の湿度が高くなると透湿性が高くなる特性、すなわち湿度応答型透湿性が要求される。
湿度応答型透湿性を有するシートとしては、例えば特許文献1に示されるように、再生セルロース膜を用いた例が開示されている。これは再生セルロースがセルロースII型結晶構造であるため、非晶領域が湿度依存的に膨潤し、透湿性が変化することを利用している。しかしながら、非晶領域が存在するといっても再生セルロース膜は一様な高分子膜であることには変わりは無く、透湿には膜内に水蒸気ガスが溶解、拡散する一連のプロセスが必要であり、非晶領域の膨潤に由来する透湿能力の変化量では、十分な湿度応答性を有しているとは言えない。また、特許文献1で用いているビスコースは、製造過程で二硫化炭素を使用するため、環境負荷が高いという問題がある。
また、鮮度保持シートとしては、青果物の成熟・老化を防止する機能も重要である。青果物の成熟・老化の原因物質は青果物自身が放出するエチレンガスが知られており、このエチレンガスを直ちに吸着・分解し、系内のエチレンガス濃度を低く保つことが鮮度保持には有効である。例えば特許文献2および特許文献3に示されるように、銀を含有する鮮度シートを用いることによってエチレンガスの作用を抑制する例が開示されている。特に銀を用いた場合には、エチレンガスの抑制に加えて抗菌性も発現するため、水腐れやカビ発生防止の観点からも好ましい。しかしながら、特許文献2のように凝集固着によって繊維シートに銀を固着させるだけでは銀の粒子が脱落する可能性があり、青果物の包装材としては好ましくない。また、銀ゼオライトを含む反応液中に繊維を浸漬する工程を含むため、銀の歩留まりが低く、コストが高くなってしまうという問題もある。特許文献3においては繊維に対する銀ナノ粒子の定着力が改善されているものの、やはり多量の銀ナノ粒子を含む浸漬液を必要とするため、銀の歩留まりが低くコストが高くなってしまう。
一方近年、化石資源の枯渇問題の解決を目指して、持続的に利用可能な環境調和型材料であるバイオマスを用いた機能性材料の開発が盛んに行われている。その中でも木材の主成分であるセルロースは、地球上で最も大量に蓄積された天然高分子材料であることから、資源循環型社会への移行に向けたキーマテリアルとして期待が寄せられている。
木材中では、数十本以上のセルロース分子が束になって高結晶性でナノメートルオーダーの繊維径を持つ微細繊維(ミクロフィブリル)を形成しており、さらに多数の微細繊維が互いに水素結合してセルロース繊維を形成し、植物の支持体となっている。
このように安定な構造を有することから、木材に含まれる天然のセルロースは、特殊な溶媒以外には不溶であり、成形性にも乏しく、機能性材料としては扱いにくい面があった。そこで、木材中のセルロース繊維を微細化しやすいように化学処理したのち、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーになるまで機械処理により微細化して、微細化セルロース繊維、すなわちセルロースナノファイバーとして利用しようとする試みが活発に行われている。
前記化学処理の方法は特に限定されないが、セルロース繊維をアニオン変性して微細化し易くする方法が好ましい。前記アニオン変性の方法としては特に限定されないが、例えば、特許文献4に示されるように、比較的安定なN−オキシル化合物である2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル(TEMPO)を触媒として用い、セルロースの微細繊維表面を選択的に酸化する方法が報告されている。また、特許文献5にはリン酸エステル化処理を用いて、セルロースの微細繊維表面を選択的にリン酸エステル化処理する方法が開示されている。また、特許文献6には、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行う方法が開示されている。また、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入しても良い。反応の制御のしやすさや、セルロースI型結晶構造の維持のしやすさから、TEMPO酸化反応がより好ましい。
TEMPO酸化反応は水系、常温、常圧で進行する環境調和型の化学改質が可能で、木材中のセルロースに適用した場合、結晶内部には反応が進行せず、結晶表面のセルロース分子鎖が持つアルコール性1級炭素のみを選択的にカルボキシ基へと変換することができる。
このように結晶表面に導入されたカルボキシ基同士の静電的な反発により、水溶媒中で一本一本のセルロースミクロフィブリル単位に分散させた、セルロースナノファイバーの一種であるセルロースシングルナノファイバー(以下CSNFとも称する)を得ることが可能となる。
木材からTEMPO酸化によって得られる木材由来のCSNFは短軸径3nm前後、長軸径数十nm〜数μmに及ぶ高アスペクト比を有する構造体であり、その水分散液および積層体は高い透明性を有することが報告されている。CSNFの用途としては、例えば特許文献7に示されるように、透明基材に積層することによってガスバリア膜を形成し、植物由来の新規透明包装材料として用いた応用例が報告されている。
さらに、特許文献8において、CSNF表面のカルボキシ基に金属イオンを接触させた状態で還元剤を加えることによって、CSNF表面上に直接金属微粒子を析出させ、金属ナノ粒子担持CSNFを得ることが開示されている。CSNF上に直接金属ナノ粒子を析出することによって、高比表面積を保持した状態のまま金属ナノ粒子を安定的に分散させることが可能となるため、該金属ナノ粒子担持CSNFを触媒として用いる例が開示されている。
また、青果物の鮮度保持には内容物の発芽抑制機能などが求められる場合もある。例えば一般的に種子の発芽は580〜700nmの波長の光によって促進され、特に波長660nmの光によって促進されることが知られている。よって、鮮度保持シートに特定の波長の光を遮蔽あるいは透過するような光学的フィルター特性を持たせることによって、より好適な青果物向け保存シートを提供することが可能になる。
一方、特許文献9には、CSNF表面に銀微粒子を析出する際に、該銀微粒子の形状を制御して選択的に平板形状の銀微粒子として析出せしめることにより、該平板状の銀微粒子と少なくとも一つ以上のセルロースナノファイバーとが複合化された、平板状銀微粒子とセルロースナノファイバーとの複合体について開示されている。該平板状銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体は、特許文献9の記載に拠れば平板状銀微粒子部分のアスペクト比(粒子径/粒子厚み)を制御することによって、可視光から近赤外線領域における特定の波長の光を選択的に吸収・散乱することが示されている。
このように、カーボンニュートラル材料であるセルロースナノファイバーを用いた高機能部材開発に関して様々な検討がなされている。しかしながら、湿度応答型透湿性を有し、とエチレンガスを吸着・分解可能で、さらに光学的フィルター特性を有する鮮度保持シートは実現されていない。
そのため、このセルロースナノファイバー(CSNF)を用いた湿度応答型透湿性を備えた基材に、エチレンガスを吸着・分解可能で、さらに光学的フィルター特性な機能が備えられた鮮度保持シートが待望されている。
特開2014−800号公報 特開2000−325450号公報 実用新案登録第3156597号公報 特開2008−1728号公報 国際公開第2014/185505号 国際公開第2014−088072号 国際公開第2013/042654A1号 特許第5566368号公報 国際公開第2015/170613号
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、包装材料として用いたときの内側が低湿度の場合と高湿度の場合とで透湿性の変化量が十分に大きい湿度応答型調湿性と、エチレンガス吸着・分解性とを有し、あるいはさらに光学的フィルター特性をも有する機能性粒子を内包し、それらの粒子が脱落することなく、高比表面積なため粒子の使用量も少量で済み、かつ、製造が簡単で安全に形成できる、環境配慮型の鮮度保持シートを提供することを目的とする。
上記課題の解決のため鋭意検討を重ねたところ、銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体を構成に含む鮮度保持シートによって、前記の課題が解決されることを見出し、本発明に至った。さらに該銀微粒子は平板状銀微粒子であっても良い。すなわち、本発明の構成は以下のようになる。
本発明の請求項1に記載の発明は、青果物を包装するためにその鮮度を保持する鮮度保持シートであって、少なくとも、基材を含む層構成の一部に不織布を備えており、さらに、セルロースI型結晶であるセルロースナノファイバー表面上に銀微粒子が担持された複合体を含む層を備え、前記セルロースI型結晶であるセルロースナノファイバー表面上に銀微粒子が担持された複合体を含む層は、厚みが0.1以上5μm以下であり、25℃、湿度40%RHの場合の透湿量に対する25℃、湿度90%RHの場合の透湿量の変化量が2000g/m ・day以上であることを特徴とすることを特徴とする鮮度保持シートである。
また、本発明の請求項2に記載の発明は、少なくとも不織布の片方の面に隣接して、前記セルロースI型結晶であるセルロースナノファイバー表面上に銀微粒子が担持された複合体を含む層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鮮度保持シートである。
さらに、本発明の請求項3に記載の発明は、前記銀微粒子が平板状銀微粒子であって、該平板状銀微粒子と少なくとも一つ以上のセルロースナノファイバーとが複合化された、平板状銀微粒子とセルロースナノファイバーとの複合体を含む層を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の鮮度保持シートである。
本発明の請求項4に記載の発明は、前記平板状銀微粒子の粒子径が、当該平板状銀微粒子の粒子厚みの2倍以上であることを特徴とする請求項3に記載の鮮度保持シートである。
本発明の請求項5に記載の発明は、前記セルロースナノファイバーにおいて、その数平均短軸径が1nm以上100nm以下であり、数平均長軸径が50nm以上であり、かつ、前記数平均長軸径が前記数平均短軸径の10倍以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鮮度保持シートである。
本発明の請求項6に記載の発明は、前記セルロースナノファイバーの結晶表面にアニオン性官能基が導入されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鮮度保持シートである。
本発明の請求項7に記載の発明は、前記アニオン性官能基がカルボキシ基であることを特徴とする請求項6に記載の鮮度保持シートである。
本発明の請求項8に記載の発明は、前記カルボキシ基の含有量が、セルロースナノファイバー1g当たり0.1mmol以上5.0mmol以下であることを特徴とする請求項7に記載の鮮度保持シートである。
本発明の請求項9に記載の発明は、前記不織布が紙であることを特徴とする請求項1〜
8のいずれかに記載の鮮度保持シートである
本発明の請求項1に記載の発明は、鮮度保持シートの製造方法であって、
基材の少なくとも一方の面に、セルロースI型結晶であるセルロースナノファイバー表面上に銀微粒子が担持された複合体を含む分散液を塗布する工程と、
塗布した分散液を乾燥させることにより、厚みが0.1以上5μm以下であり、25℃、湿度40%RHの場合の透湿量に対する25℃、湿度90%RHの場合の透湿量の変化量が2000g/m ・day以上であることを特徴とする湿度応答性を有する層を形成工程と、を具備することを特徴とする鮮度保持シートの製造方法である。
本発明の請求項1に記載の発明は、鮮度保持シートの製造方法であって、基材の少なくとも一方の面に、前記銀微粒子が平板状銀微粒子であって、該平板状銀微粒子と少なくとも一つ以上のセルロースナノファイバーとが複合化された、平板状銀微粒子とセルロースナノファイバーとの複合体を含む分散液を塗布する工程と、塗布した分散液を乾燥する工程と、を具備することを特徴とする請求項1に記載の鮮度保持シートの製造方法である。
本発明の請求項1に記載の発明は、前記基材が不織布であることを特徴とする請求項1または1に記載の鮮度保持シートの製造方法である。
本発明の請求項1に記載の発明は、前記不織布が紙であることを特徴とする請求項1に記載の鮮度保持シートの製造方法である。
本発明によれば、包装材料として用いたときの内側が低湿度の場合と高湿度の場合とで透湿性の変化量が十分に大きい湿度応答型調湿性と、エチレンガス吸着・分解性とを有し、あるいはさらに光学的フィルター特性をも有する機能性粒子を内包し、それらの粒子が脱落することなく、高比表面積なため粒子の使用量も少量で済み、かつ、製造が簡単で安全に形成できる、環境配慮型の鮮度保持シートを提供することが可能となる。
本発明に係るセルロースナノファイバーを含む湿度応答性透湿シートが湿度応答性を発揮するメカニズムを説明する概略説明図である。 実施例1にて作製した銀ナノ粒子/CSNF複合体の、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を使用して撮影した透過電子像(TE像)の一例である。 実施例1にて得られた銀ナノ粒子/CSNF複合体の分光透過スペクトルの一例である。
以下に、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
<セルロースナノファイバーとその製造方法>
本発明において用いるセルロースナノファイバーは、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーであればよく、その調製方法については特に限定されない。通常、セルロースナノファイバーはミクロフィブリル構造由来の繊維形状をとるため、本発明に用いるセルロースナノファイバーとしては、以下に示す範囲にある繊維形状のものが好ましい。
すなわち、本発明において用いるセルロースナノファイバーの形状は繊維状が好ましく、短軸径において数平均短軸径が1nm以上100nm以下であればよく、好ましくは2nm以上50nm以下であればよい。数平均短軸径が1nm未満では、高結晶性の剛直なセルロースナノファイバー構造をとることができず、そのように結晶性が損なわれた状態では湿度応答性を発揮することができないうえ、銀微粒子の表面がセルロースによって覆われてしまい、十分なエチレンガス分解性や抗菌性を発揮することができない。一方、数平均短軸径が100nmを超えると、緻密な膜構造を形成できないため、やはり湿度応答性を発揮することができないうえ、銀微粒子に対してサイズが大きくなり過ぎるため、均質な複合体を得ることが難しい。さらには、透明性も低下するため、内容物の視認が可能なシートを作製する場合には好ましくない。なおここでは、繊維形状と繊維状とは、同じ意味で使用している。
また、数平均長軸径においては特に制限はないが、好ましくは50nm以上、かつ、数平均短軸径の10倍以上であればよい。数平均長軸径が数平均短軸径の10倍未満である場合には、やはり高結晶性の剛直なセルロースナノファイバー構造をとることができず、十分な湿度応答性、エチレンガス分解性および抗菌性を発揮することができない。
セルロースナノファイバーの数平均短軸径は、透過型電子顕微鏡観察または原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の短軸径(最小径)を測定し、その平均値として求められる。一方、セルロースナノファイバーの数平均長軸径は、透過型電子顕微鏡観察または原子間力顕微鏡観察により100本の繊維の長軸径(最大径)を測定し、その平均値として求められる。
本発明におけるセルロースナノファイバーの原料としては、セルロースI型結晶からな
る原料を用いることができる。例えば、木材系天然セルロースに加えて、コットンリンター、竹、麻、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、バロニアセルロースといった非木材系天然セルロースを用いることができる。材料調達の容易さから木材系天然セルロースを原料とすることが好ましい。木材系天然セルロースとしては、特に限定されず、針葉樹パルプや広葉樹パルプ、古紙パルプ、など、一般的にセルロースナノファイバーの製造に用いられるものを用いることができる。精製および微細化のしやすさから、針葉樹パルプが好ましい。
セルロースの微細化方法も特に限定されないが、TEMPO酸化処理やリン酸エステル化処理等による化学処理を施したのち、グラインダーや高圧ホモジナイザーを用いた機械処理を行うのが好ましい。
また、特許文献4に記載の方法に従い、各種セルロースをTEMPO酸化処理することにより得られるセルロースシングルナノファイバー(CSNF)を用いた場合、低湿度下ではより緻密な膜を形成するため透湿性が大きく低下する上に、高湿度下においては結晶表面に導入されたカルボキシ基によりCSNF間に水蒸気が浸透しやすくなるため透湿性が大きく上昇する。すなわち、より高い湿度応答性を有する透湿シートを作製することができる。また、CSNFは、シート化した際の透明性が高いため、本発明に記載の湿度応答性透湿シートにおいて、内容物の視認性を向上させたい場合などにも好適に用いることができる。また、CSNF表面のカルボキシ基に銀イオンを接触させた状態で還元剤を加えることによって、CSNF表面上に直接銀微粒子を析出させ、銀ナノ粒子担持CSNFを簡便に得ることも可能である。本技術において銀微粒子はCSNF表面上に直接還元析出されるため、銀ナノ微粒子とCSNFは不可分の状態で完全な複合体を形成しており、銀ナノ微粒子がCSNFから脱落することなく用いることができる。また、銀微粒子がCSNF上に固定化されているため、銀微粒子同士の凝集も妨げられることから高比表面積な状態で銀微粒子を用いることが出来、銀の使用量が少ないにもかかわらず、良好なエチレンガス抑制効果や抗菌性を発揮することが可能である。
以上の理由から、本発明で用いるセルロースナノファイバーとしては、カルボキシ基が導入されたセルロースナノファイバーが好ましく、価格および供給の面から木材系天然セルロースをTEMPO酸化することで得られるCSNFがより好ましい。また、カルボキシ基の代わりに、イオン性官能基としても良い。
<セルロースシングルナノファイバー(CSNF)の製造方法>
本発明で用いられる木材由来のCSNFは、木材系天然セルロースを酸化する工程と、微細化し分散液化する工程とを経ることにより得られる。また、CSNFに導入されるカルボキシ基量は、0.1mmol/g以上、5.0mmol/g以下が好ましく、0.5mmol/g以上、3.0mmol/g以下がより好ましい。CSNFに導入されるカルボキシ基量が0.1mmol/g未満であると、セルロースミクロフィブリル間に静電的な反発力および浸透圧効果が働かないため、セルロースを微細化して均一に分散させることが難しい。また、CSNFに導入されるカルボキシ基量が5.0mmol/gを超えると、化学処理に伴う副反応によりセルロースミクロフィブリルが低分子化するため、高結晶性の剛直なセルロースナノファイバー構造をとることができず、シート化した際に湿度応答性や、十分なエチレンガス分解性・抗菌性を発揮することができない。
<セルロースを酸化する(セルロースにカルボキシ基を導入する)工程>
木材系天然セルロースの繊維表面にカルボキシ基を導入する方法としては、特に限定されない。例えば、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行っても良く、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入しても良い。
さらには、水系の比較的温和な条件で、可能な限りセルロースI型結晶構造を保ちながら、アルコール性一級炭素の酸化に対する選択性が高い、N−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いた手法を用いてもよい。
N−オキシル化合物としては、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシラジカル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−エトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、等が挙げられる。中でも、カルボキシ基導入部位の選択性および環境負荷の問題からTEMPOを使用することがより好ましい。N−オキシル化合物の使用量は、触媒としての量でよく、特に限定されない。通常、N−オキシル化合物の使用量は、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して、0.01〜5.0質量%程度である。
N−オキシル化合物を用いた酸化方法としては、木材系天然セルロースを水中に分散させ、N−オキシル化合物の共存下で酸化処理する方法が挙げられる。また、酸化処理を温和な条件で行うことにより、セルロースI型の結晶構造を維持しやすくなる。このとき、N−オキシル化合物と共に、共酸化剤を併用することが好ましい。この場合、反応系内において、N−オキシル化合物が順次共酸化剤により酸化されてオキソアンモニウム塩が生成し、該オキソアンモニウム塩によりセルロースが酸化される。かかる酸化処理によれば、温和な条件でも酸化反応が円滑に進行し、カルボキシ基の導入効率が向上する。
共酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸、またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、酸化反応を推進することが可能であれば、いずれの酸化剤も用いることができる。入手の容易さや反応性から、共酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。また、共酸化剤の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、共酸化剤の使用量は、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して1〜200質量%程度である。
N−オキシル化合物および共酸化剤と共に、臭化物およびヨウ化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物をさらに併用してもよく、これにより、酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシ基の導入効率を向上することができる。該化合物としては、臭化ナトリウムまたは臭化リチウムが好ましく、コストや安定性から、臭化ナトリウムがより好ましく、該化合物の使用量は、酸化反応を促進することができる量でよく、特に限定されない。通常、該化合物の使用量は、酸化処理する木材系天然セルロースの固形分に対して、1〜50質量%程度である。
酸化反応の反応温度は、4〜80℃が好ましく、10〜70℃がより好ましく、酸化反応の反応温度が、4℃未満であると、試薬の反応性が低下し反応時間が長くなってしまう。酸化反応の反応温度が、80℃を超えると副反応が促進されて試料が低分子化して高結晶性の剛直なセルロースナノファイバー構造が崩壊し、シート化した際に湿度応答性や十分なエチレンガス分解性・抗菌性を発揮することができない。また、酸化処理の反応時間は、反応温度、導入する所望のカルボキシ基量等を考慮して適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10分〜5時間程度である。
酸化反応時の反応系のpHは、9〜11が好ましく、pHが9以上であると反応を効率よく進めることができ、pHが11を超えると副反応が進行し、試料の分解が促進されてしまうおそれがある。
酸化処理においては、酸化が進行するにつれて、カルボキシ基が生成されることにより系内のpHが低下してしまうため、酸化処理中、反応系のpHを9〜11に保つことが好ましい。反応系のpHを9〜11に保つ方法としては、pHの低下に応じてアルカリ水溶液を添加する方法が挙げられる。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液、水酸化テトラブチルアンモニウム水溶液、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム水溶液などの有機アルカリなどが挙げられる。中でも、コストなどの面から、水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
N−オキシル化合物による酸化反応は、反応系にアルコールを添加することにより停止させることができる。このとき、反応系のpHを上記の範囲内に保つことが好ましく、添加するアルコールとしては、反応をすばやく終了させるためメタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量のアルコールが好ましく、反応により生成される副産物の安全性などから、エタノールが特に好ましい。
酸化処理後の反応液は、そのまま、後述するセルロースを微細化し分散液化する工程に供してもよいが、N−オキシル化合物等の触媒、不純物等を除去するために、反応液に含まれる酸化セルロースを回収し、洗浄液で洗浄することが好ましい。
酸化セルロースの回収は、ガラスフィルターや20μm孔径のナイロンメッシュを用いたろ過等の公知の方法により実施できる。酸化セルロースの洗浄に用いる洗浄液としては純水が好ましい。
<セルロースを微細化し分散液化する工程>
セルロースを微細化する方法としてはまず、セルロースに水性媒体を加えて懸濁させる。水性媒体としては、前述と同様のものが挙げられ、水が特に好ましい。必要に応じて、セルロースや生成するCSNFの分散性を上げるために、アルカリ水溶液を用いて懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、上記した酸化処理の説明で挙げたアルカリ水溶液と同様のものが挙げられる。
続いて、該懸濁液に物理的解繊処理を施して、セルロースを微細化する。物理的解繊処理としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。
このような物理的解繊処理を、例えば、前述のTEMPO酸化したセルロースに行うことで、懸濁液中のセルロースが微細化され、繊維表面にカルボキシ基を有するCSNFの分散液を得ることができる。この時の物理的解繊処理の時間や回数を設定することにより、得られるCSNF分散液に含まれるCSNFの数平均短軸径および数平均長軸径を調整できる。
上記のようにして、カルボキシ基が導入されたCSNF分散液が得られる。得られた分散液を、そのまま、または希釈、濃縮等して、本発明に記載の鮮度保持シート作製のための組成物として扱うことができる。
CSNF分散液には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロースお
よびpH調整に用いた成分以外の他の成分を含有させてもよい。該他の成分としては、特に限定されず、鮮度保持シートの要求特性に応じて、公知の添加剤の中から適宜選択できる。
具体的には、公知の添加剤として、アルコキシシラン等の有機金属化合物またはその加水分解物、無機層状化合物、無機針状鉱物、消泡剤、無機系粒子、有機系粒子、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、架橋剤等が挙げられる。
続いて、銀微粒子とCSNFとの複合体を作製する工程について説明する。なお、本発明は下記例に制限されない。
<銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体を製造する工程>
銀ナノ粒子は多菌種に対し抗菌性を有しながらも人体に対し不活性であることから、保存性、安全性の良好な組成物を得ることができる。前記木材由来のCSNFと複合化する金属種としては複数の金属種を用いても良く、銀以外の金属種としては特に限定しないが、例えば白金やパラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、金、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属、金属塩、金属錯体およびこれらの合金、または酸化物、複酸化物等が挙げられる。
木材由来のCSNF分散液中に金属微粒子を析出させ複合体を製造する方法としては、特に限定しないが、銀をはじめとする前記金属または合金、酸化物、複酸化物等の溶液とCSNF分散液を混合した状態で、還元剤を添加すれば容易に析出させることができる。
また、銀微粒子を析出させる際に、銀微粒子の形状を制御して選択的に平板状の銀微粒子を析出させてもよい。ここで、平板状銀微粒子を選択的に析出させる方法については特に限定しないが、例えば前記特許文献9に記載されている方法を用いることができる。
還元を行う際に用いる銀イオンを含む水溶液の種類には特に制限はないが、入手の容易さと取り扱い易さの点から硝酸銀水溶液が好ましい。用いる還元剤に関しても特に限定はなく、例えばアスコルビン酸、クエン酸、ヒドロキノン、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン等が用いられるが、安全性や価格の面からアスコルビン酸、クエン酸、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
前記木材由来のCSNFの分散に用いる溶媒は、50%以上の水を含み、水以外の溶媒としては親水性溶媒が好ましい。水の割合が50%以下になると木材由来のCSNFの分散が阻害され、金属微粒子と木材由来のCSNFの均一な複合体形成が難しくなる。親水性溶媒については特に制限はないが、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類が好ましい。
調製に用いるCSNFの分散液中の濃度は特に限定しないが、0.0001%以上20%未満が好ましい。0.0001%未満では溶媒過多となってしまうため生産性が低下し、20%以上ではセルロースナノファイバー繊維同士の絡み合いで粘度が急激に上昇し、均一な複合体形成が難しくなる。
同様に用いる銀イオンを含む溶液中の銀イオン濃度も限定しないが、分散液中の銀イオン量がCSNF表面に存在するカルボキシ基量未満となるように調整することが好ましい。分散液中の銀イオン量がCSNF表面に存在するカルボキシ基量を上回ってしまうとCSNFが凝集してしまうためである。
こうして得られた前記銀微粒子/CSNF複合体はCSNF表面上に直接還元析出されるため、銀ナノ微粒子とCSNFは不可分の状態で完全な複合体を形成しており、銀ナノ微粒子がCSNFから脱落することなく用いることができる。また、銀ナノ微粒子がCSNF上に固定化されているため、銀ナノ微粒子同士の凝集も妨げられることから高比表面積な状態で銀ナノ微粒子を用いることが出来、銀の使用量が少ないにもかかわらず、良好なエチレンガス抑制効果や抗菌性を発揮することが可能である。
続いて、前記銀微粒子/CSNF複合体を含む鮮度保持シートを作成する工程について説明する。なお、本発明は下記の例に制限されない。
<銀微粒子/CSNF複合体を含む鮮度保持シートの形成方法>
本発明の鮮度保持シートの形成は、公知の方法と同様にして実施できる。例えば、水性媒体中に銀微粒子/CSNF複合体を分散させた分散液を調製し、これを基材上に塗布する等によって該銀微粒子/CSNF複合体分散液からなる塗膜を形成し、該塗膜を乾燥することにより銀微粒子/CSNF複合体を含む鮮度保持シートを形成できる。該銀微粒子/CSNF複合体分散液の基材上への塗布は、公知の塗布方法を用いて実施できる。例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター、スピンコーター等のコーターを用いて塗布できる。また、銀微粒子/CSNF複合体分散液の乾燥は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射など、公知の乾燥方法を用いて実施できる。乾燥条件としては、特に限定しないが、乾燥温度としては20℃以上200℃以下が好ましく、30℃以上150℃以下がより好ましい。乾燥温度が20℃以下では、CSNF分散液の水性媒体の除去に時間がかかりすぎてしまう。また、乾燥温度が200℃以上では、CSNFが熱分解し黄変してしまうおそれがある。銀微粒子/CSNF複合体を含む層(以下、「鮮度保持層」とも称する)の厚み(乾燥後の厚み)は、所望の透湿性や抗菌性に応じて適宜設定でき特に限定されないが、0.1〜5μmが好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。鮮度保持層の厚みが0.1μm未満であると、低湿度条件下における透湿性低下の効果が充分に得られなくなる。鮮度保持層の厚みが5μmを超えると、高湿度条件下における透湿性向上の効果が十分に得られなくなる。鮮度保持層の厚みは、銀微粒子/CSNF複合体分散液の塗布量、塗布回数等によって調整できる。また、鮮度保持層は、基材の片面のみに設けてもよく、両面に設けてもよい。また、銀微粒子/CSNF複合体分散液にさらにCSNFを添加して、鮮度保持層の厚みを制御することも可能である。
基材としては、特に限定されるものではないが、不織布を用いることができる。不織布を構成する材料としては特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル系(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、セルロース系(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等)、ポリアミド系(6−ナイロン、6,6−ナイロン等)、アクリル系(ポリメチルメタクリレート等)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール等の有機高分子化合物が挙げられる。また、これらの有機高分子化合物の中から、少なくとも1種以上の成分を持つ、或いは共重合成分に持つ、或いはそれらの化学修飾体を成分に持つ有機高分子材料も不織布の材料として用いることができる。また、ポリ乳酸、バイオポリオレフィンなど植物から化学合成されるバイオプラスチック、ヒドロキシアルカノエートなど微生物が生産するプラスチック等を不織布の材料として用いることができる。セルロース系基材は、セルロース系材料から構成される基材であり、セルロース系材料としては、紙、セロハン、アセチル化セルロース、セルロース誘導体、セルロースナノファイバー繊維等が挙げられる。特に、本発明における銀微粒子/CSNF複合体を含む塗工膜を積層する際、銀微粒子/CSNF複合体を含む塗工膜は剛直な結晶性ナノファイバーの積層膜として形成されるため、不織布内部にまで銀微粒子/CSNF複合体が染み込むことなく、不織布表面に直接塗工層を設けることが可能であるため、簡便な工程にて鮮度保持シートを製造することができる。
以上のような製造工程により、基材として不織布を使用する場合は、少なくとも不織布の片方の面にセルロースI型結晶であるセルロースナノファイバー表面上に銀微粒子が担持された複合体を含む層が隣接して設けられた構成となる。
また、不織布の厚さは、当該積層体の用途等に応じて適宜設定でき特に限定されないが、通常、1〜1000μm程度であることが好ましい。
本発明の鮮度保持シートは、基材および鮮度保持層に加えて、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂層(以下、「ヒートシール層」ともいう)をさらに有しても良い。ヒートシール層は、袋状包装体などを形成する際に密封層として設けられるものである。ヒートシール層としては、公知のものを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体またはそれらの金属架橋物等の樹脂の1種からなるフィルムが用いられる。ヒートシール層の積層方法としては、ヒートシール層を形成するフィルムを、ラミネート用接着剤層を形成するための接着剤(2液硬化型ウレタン樹脂など)を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いることが一般的であるが、これに限定されず、公知の方法により積層することができる。また、ヒートシール層の厚さは、目的とする透湿性に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲であることが好ましい。また、基材が不織布の場合、ヒートシール層を設けなくても超音波シール法によりシールが可能であるため、必ずしもヒートシール層を設ける必要は無い。
また、本発明の鮮度保持シートは、必要に応じて、基材、鮮度保持層およびヒートシール層以外の他の層をさらに有してもよい。ただし、ヒートシール層を有する場合、該ヒートシール層は、当該鮮度保持シートの少なくとも一方の最外層に配置させる。他の層としては、例えば、鮮度保持層または基材とヒートシール層との間に設けられる中間フィルム層、印刷層等が挙げられる。また、各層をドライラミネート法やウェットラミネート法で積層する場合には、該積層のための接着層(ラミネート用接着剤層)を有してもよい。また、ヒートシール層を溶融押し出し法で積層する場合には、該積層のためのプライマー層やアンカーコート層などを有してもよい。
中間フィルム層は、破袋強度を高めるために設けられる。中間フィルム層としては、機械強度及び熱安定性の面から、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロレンフィルムの内から選ばれる少なくとも1種から構成されるフィルムが好ましい。中間フィルム層の積層方法としては、ラミネート用接着剤層を形成するための接着剤(2液硬化型ウレタン樹脂など)を用いて貼り合わせるドライラミネート法を用いることができる。また、中間フィルム層の厚さは、材質や要求品質等に応じて決められるが、通常10〜30μmの範囲であることが好ましい。
印刷層は、包装袋などとして実用的に用いるために形成される。印刷層は、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤などが添加されてなるインキにより構成される層であり、文字、絵柄等が形成された様態となっている。印刷層は、グラビア印刷、フレキソ印刷等の公知の印刷法により形成できる。
ラミネート用接着剤層として用いられる接着剤としては、積層される各層の材質に応じてアクリル系、ポリエステル系、エチレン−酢酸ビニル系、ウレタン系、塩化ビニル−酢酸ビニル系、塩素化ポリプロピレン系などの公知の接着剤を用いることができる。ラミネート用接着剤層を形成するための接着剤の塗布方法としては、公知の塗布法を用いることができる。例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター等を採用することができる。また、接着剤の塗布量としては、1〜10g/mが好ましい。
本発明の鮮度保持シートの層構成は、当該鮮度保持シートの用途等を考慮して適宜設定できる。包装材料として用いる場合の本発明の鮮度保持シートの好ましい層構成例(a)〜(h)を以下に示す。ただし本発明の鮮度保持シートはこれらの層構成例に限定されるものではない。
(a)基材/鮮度保持層
(b)鮮度保持層
(c)基材/鮮度保持層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
(d)基材/鮮度保持層/印刷層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
(e)基材/鮮度保持層/ラミネート用接着剤層/中間フィルム層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
(f)鮮度保持層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
(g)鮮度保持層/印刷層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
(h)鮮度保持層/ラミネート用接着剤層/中間フィルム層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
本発明の鮮度保持シートは、上述のようにして基材の少なくとも一方の面に鮮度保持層を形成し、乾燥させることにより製造できる。また、必要に応じて、基材と剥離してもよいし、あるいは基材と剥離せずに積層体のままであってもよい。さらにヒートシール層および他の層を、所望の層構成となるように積層してもよい。
このようにして形成された鮮度保持シートは、多数の銀微粒子/CSNF複合体が緻密に積層した構造を有する銀微粒子/CSNF複合体積層膜を含むシートであり、包装材料として用いたときの内側が低湿度の場合と高湿度の場合とで透湿性の変化量が十分に大きい湿度応答型調湿性と、エチレンガス吸着・分解性を有する機能性粒子を内包し、それらの粒子が脱落することなく、高比表面積なため粒子の使用量も少量で済み、かつ、製造が簡単で安全に形成できる、環境配慮型の鮮度保持シートを提供することが可能となる。
ここで、本発明に記載の銀微粒子/CSNF複合体を含む鮮度保持シートが、優れた湿度応答性を示す理由を図1に示した。図1に示すように、低湿度下においては、セルロースI型結晶構造を有するセルロースナノファイバーが緻密に積層することによって、水蒸気の透過を防ぎ、低透湿性を発現する。一方で、高湿度下においては、セルロースナノファイバー間に水蒸気が浸透し、透湿性が向上する。とくにセルロースナノファイバーとして、結晶表面にカルボキシ基が導入されたセルロースシングルナノファイバー(CSNF)を用いた場合は、セルロースミクロフィブリル表面にカルボキシ基が導入されているために、急激にCSNF間隙に水蒸気が浸透して、透湿量が劇的に増加する。また、本発明において銀微粒子はCSNF表面上に直接還元析出されるため、銀ナノ微粒子とCSNFは不可分の状態で完全な複合体を形成しており、銀ナノ微粒子がCSNFから脱落することなく用いることができる。特許文献1のように、再生セルロースを用いた場合、再生セルロースがセルロースII型結晶構造であるため、確かに高湿度化における非晶領域の膨潤を利用することで透湿性を変化させることは可能であるが、非晶領域と結晶領域は連続的に存在するため、非晶領域の膨潤は限定的となり透湿性の変化量が小さくなってしまう。一方、本発明に記載のセルロースナノファイバーを含む鮮度保持シートの場合は、高湿度下においてセルロースナノファイバー間隙に直接水蒸気が浸透するため、透湿性の変化量が大きくなり、優れた湿度応答性を発揮することができる。また、本発明の鮮度保持シートに用いるセルロースナノファイバーは、セルロースI型結晶のままであるため、セルロースII型結晶のように溶解・再生処理を必要とせず、環境調和性の観点からも好ましい。
また、本発明における鮮度保持シートにおいては、銀微粒子がCSNF上に固定化されているため、銀微粒子同士の凝集も妨げられることから高比表面積な状態で銀微粒子を用いることが出来、銀の使用量が少ないにもかかわらず、良好なエチレンガス抑制効果や抗菌性を発揮することが可能である。特に銀を用いた場合には、エチレンガスの抑制に加えて抗菌性も発現するため、水腐れやカビ発生防止の観点からも好ましい。
さらに本発明においては、銀微粒子/CSNF複合体を含む分散液を基材に塗工することによって、湿度応答型透湿性とエチレンガス分解性・抗菌性を有する鮮度保持層を一液塗工によって形成することが可能であることから、簡便な工程によって鮮度保持シートを提供することが可能となる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。以下の各例において、「%」は、特に断りのない限り、質量%(w/w%)を示す。
<実施例1>
(木材系天然セルロースのTEMPO酸化)
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。
セルロースの重量に対して、水酸化ナトリウムの添加量の合計が3.50mmol/gに達した時点で、約100mLのエタノールを添加し反応を停止させた。その後、ガラスフィルターを用いて蒸留水によるろ過洗浄を繰り返し、酸化パルプを得た。
(酸化パルプのカルボキシ基量測定)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプを固形分重量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを2.5とした。その後、0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いた電導度滴定法により、カルボキシ基量(mmol/g)を求めた。結果は、1.6mmol/gであった。
(酸化パルプの解繊処理によるセルロースナノファイバーの調製)
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプ1gを99gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、CSNF濃度1%のCSNF分散液を得た。該CSNF分散液に含まれるCSNFの数平均短軸径は3nm、数平均長軸径は1110nmであった。また、レオメーターを用いて定常粘弾性測定を行ったところ、該CSNF分散液はチキソトロピック性を示した。
(硝酸銀水溶液の調製)
硝酸銀16.41mgを蒸留水10mLに溶解させ、硝酸銀水溶液を調製した。
(水素化ホウ素ナトリウム水溶液の調製)
水素化ホウ素ナトリウム50mgを蒸留水10mLに溶解させ、水素化ホウ素ナトリウム水溶液を調製した。
(銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体の作製)
前記1%CSNF水分散液50gを温度一定(25℃)に保ち攪拌しながら前記硝酸銀水溶液0.1mLを添加した。5分攪拌を続けたのち、前記水素化ホウ素ナトリウム水溶液を2mL添加し、さらに60分ほど攪拌を続けることによって銀微粒子/セルロースナノファイバーを含む分散液を作製した。
(銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体の形状観察)
前記銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体の水分散液をTEM観察用カーボン支持膜付銅グリッド上にキャストして風乾し、走査透過型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、S−4800)をもちいて銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体を観察した。結果を図2に示す。その結果、銀微粒子がCSNF表面に結合して複合体となっている様子が確認された。該CSNF表面に付着している銀微粒子の直径は数nm程度であった。
(銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体の分光透過スペクトル測定)
前記銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体の水分散液を光路長1cmの石英セルに入れ、分光光度計(島津製作所社製、UV−3600)を用いて分光透過スペクトルの測定を行った結果を図3に示した。分光透過スペクトルにおいて、実施例1のスペクトルは波長約400nmに銀微粒子の表面局在プラズモン共鳴に由来する共振ピークが確認され、CSNFとの複合化により銀微粒子が安定して分散状態を維持していることが確認された。
(鮮度保持シートの作製)
前記銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体分散液を、市販PP製SMS不織布(坪量15g/m)上にバーコーター#100を用いて塗布し、120℃で10分乾燥して、不織布上に銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体を含有する鮮度保持層を設けた鮮度保持シートを形成した。さらに形成した形成した鮮度保持層を樹脂に包埋したのちガラスナイフで切削し、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、S−4800)を用いて断面を観察したところ、鮮度保持層の膜厚は約1μmであった。
(鮮度保持性の評価)
前記鮮度保持シートに対し、JISZ0208に記載のカップ法を適用し、測定時の湿度がそれぞれ40%RHおよび90%RHの場合の透湿量を測定した。さらに、前記鮮度保持シートの端部を超音波シールによってシールして製袋し、さらに内部にりんご1個と未成熟のバナナ(青いバナナ)1本をそれぞれ投入し、さらに超音波シールにより袋を密封した。この状態で25℃、40%RHで保管し、バナナが成熟(青い部分が無くなり、全体が黄色へと変化)するまでの期間を測定した。結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1において、基材として市販PP製スパンボンド不織布(坪量20g/m)を用いた以外は実施例1と同様の方法で鮮度保持シートを作製・評価した。
<実施例3>
実施例1において、銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体分散液1質量部に対し、1%CSNF水分散液をさらに9質量部加えたものを均一に攪拌したのち、基材上に塗工した以外は、実施例1と同様の方法で鮮度保持シートを作製・評価した。
<実施例4>
実施例1と同様の方法で、(木材系天然セルロースのTEMPO酸化)から(水素化ホウ素ナトリウム水溶液の調製)の工程までを実施した。
(銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体の作製)
実施例1と同様の方法にて得られた1%CSNF水分散液50gを温度一定(15℃)に保ち攪拌しながら前記硝酸銀水溶液0.1mLを添加した。5分攪拌を続けたのち、前記水素化ホウ素ナトリウム水溶液を2mL添加し、さらに60分ほど攪拌を続けることによって、平板状銀微粒子/セルロースナノファイバーを含む分散液を作製した。
(銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体の形状観察)
前記銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体の水分散液をTEM観察用カーボン支持膜付銅グリッド上にキャストして風乾し、走査透過型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、S−4800)をもちいて銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体を観察した。その結果、平板状銀微粒子がCSNFと結合して複合体となっている様子が確認された。該CSNFと複合化されている平板状銀微粒子の面相当粒子径は50nm程度であった。
(銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体の分光透過スペクトル測定)
前記銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体の水分散液を光路長1cmの石英セルに入れ、分光光度計(島津製作所社製、UV−3600)を用いて分光透過スペクトルの測定を行った結果を図3に示した。分光透過スペクトルにおいて、実施例4のスペクトルは波長約700nmに平板状銀微粒子の表面局在プラズモン共鳴に由来する共振ピークが確認され、CSNFとの複合化により平板状銀微粒子が安定して分散状態を維持していることが確認された。
(鮮度保持シートの作製)
前記銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体分散液を、市販PP製SMS不織布(坪量15g/m)上にバーコーター#100を用いて塗布し、120℃で10分乾燥して、不織布上に銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体を含有する鮮度保持層を設けた鮮度保持シートを形成した。さらに形成した形成した鮮度保持層を樹脂に包埋したのちガラスナイフで切削し、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、S−4800)を用いて断面を観察したところ、鮮度保持層の膜厚は約1μmであった。
(鮮度保持性の評価)
前記鮮度保持シートに対し、JISZ0208に記載のカップ法を適用し、測定時の湿度がそれぞれ40%RHおよび90%RHの場合の透湿量を測定した。さらに、前記鮮度保持シートの端部を超音波シールによってシールして製袋し、さらに内部にりんご1個と未成熟のバナナ(青いバナナ)1本をそれぞれ投入し、さらに超音波シールにより袋を密封した。この状態で25℃、40%RHで保管し、バナナが成熟(青い部分が無くなり、全体が黄色へと変化)するまでの期間を測定した。
<比較例1>
実施例1において、基材上に鮮度保持層を設けずに、基材上に膜厚21μmのセロハンを貼り合わせたこと以外は、実施例1と同様の方法で鮮度保持シートを作製・評価した。
<比較例2>
実施例1において、銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体分散液の代わりに1%CSNF水分散液を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で鮮度保持シートを作製・評価した。以上の結果を表1に示す。
Figure 0006926571
表1に示した結果から、実施例1〜4の銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体を用いた鮮度保持シートは、膜厚が薄いにも関わらず、湿度に対する透湿性の変化量が、比較例1のセロハンを用いたシートよりも大きく、湿度応答性が優れていることが示された。これは、低湿度下においてはセルロースI型結晶構造に由来する緻密な積層膜構造が透湿性を抑えているのに対し、高湿度下においてはCSNF間隙に水蒸気が吸着することによって急激に透湿性が上昇しているためと考えられる。
また表1において、比較例2では、CSNFを鮮度保持層として設けることにより優れた湿度応答性を発揮しているものの、比較例2においては銀微粒子が鮮度保持層に含まれていないため、実施例1〜3に比べ鮮度保持日数が短く、鮮度保持シートとして十分な特性を有しているとはいえない。
さらに表1において実施例1と実施例3を比較すると、実施例3の銀担持量が実施例1の1/10になっているにもかかわらず鮮度保持日数にはほぼ違いが無いことから、銀微粒子/セルロースナノファイバー複合体は少ない添加量でも十分に鮮度保持効果を発揮することが示された。これは銀微粒子が剛直な繊維であるCSNFに担持された状態で分散しているため、銀微粒子の高比表面積状態を保ったまま鮮度保持シートとして利用することが出来るためであると予想される。
加えて実施例4においては、透湿性に加えて、図3に示したように、該実施例で得られた平板状銀微粒子/CSNF複合体の局在表面プラズモン共鳴により波長700nmの光を選択的に遮蔽するシートを得られることが示された。すなわち、本実施例によれば光学的フィルター特性をさらに付与することが可能であることが示されている。
本発明によれば、包装材料として用いたときの内側が低湿度の場合と高湿度の場合とで透湿性の変化量が十分に大きい湿度応答型調湿性と、エチレンガス吸着・分解性と、さらに光学的フィルター特性と、を有する機能性粒子を内包し、それらの粒子が脱落することなく、高比表面積なため粒子の使用量も少量で済み、かつ、製造が簡単で安全に形成できる、環境配慮型の鮮度保持シートとして利用することが可能である。

Claims (13)

  1. 青果物を包装するためにその鮮度を保持する鮮度保持シートであって、
    少なくとも、基材を含む層構成の一部に不織布を備えており、
    さらに、セルロースI型結晶であるセルロースナノファイバー表面上に銀微粒子が担持された複合体を含む層を備え、
    前記セルロースI型結晶であるセルロースナノファイバー表面上に銀微粒子が担持された複合体を含む層は、厚みが0.1以上5μm以下であり、25℃、湿度40%RHの場合の透湿量に対する25℃、湿度90%RHの場合の透湿量の変化量が2000g/m ・day以上であることを特徴とする鮮度保持シート。
  2. 少なくとも不織布の片方の面に隣接して、前記セルロースI型結晶であるセルロースナノファイバー表面上に銀微粒子が担持された複合体を含む層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鮮度保持シート。
  3. 前記銀微粒子が平板状銀微粒子であって、該平板状銀微粒子と少なくとも一つ以上のセルロースナノファイバーとが複合化された、平板状銀微粒子とセルロースナノファイバーとの複合体を含む層を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の鮮度保持シート。
  4. 前記平板状銀微粒子の粒子径が、当該平板状銀微粒子の粒子厚みの2倍以上であることを特徴とする請求項3に記載の鮮度保持シート。
  5. 前記セルロースナノファイバーにおいて、その数平均短軸径が1nm以上100nm以下であり、数平均長軸径が50nm以上であり、かつ、前記数平均長軸径が前記数平均短軸径の10倍以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鮮度保持シート。
  6. 前記セルロースナノファイバーの結晶表面にアニオン性官能基が導入されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鮮度保持シート。
  7. 前記アニオン性官能基がカルボキシ基であることを特徴とする請求項6に記載の鮮度保持シート。
  8. 前記カルボキシ基の含有量が、セルロースナノファイバー1当たり0.1mmol以上5.0mmol以下であることを特徴とする請求項7に記載の鮮度保持シート。
  9. 前記不織布が紙であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の鮮度保持シート。
  10. 鮮度保持シートの製造方法であって、
    基材の少なくとも一方の面に、セルロースI型結晶であるセルロースナノファイバー表面上に銀微粒子が担持された複合体を含む分散液を塗布する工程と、
    塗布した分散液を乾燥させることにより、厚みが0.1以上5μm以下であり、25℃、湿度40%RHの場合の透湿量に対する25℃、湿度90%RHの場合の透湿量の変化量が2000g/m ・day以上であることを特徴とする湿度応答性を有する層を形成する工程と、を具備することを特徴とする鮮度保持シートの製造方法。
  11. 鮮度保持シートの製造方法であって、
    前記銀微粒子が平板状銀微粒子であって、前記分散液が該平板状銀微粒子と少なくとも一つ以上のセルロースナノファイバーとが複合化された、平板状銀微粒子とセルロースナノファイバーとの複合体を含む分散液であることを特徴とする請求項1に記載の鮮度保持シートの製造方法。
  12. 前記基材が不織布であることを特徴とする請求項1または1に記載の鮮度保持シートの製造方法。
  13. 前記不織布が紙であることを特徴とする請求項1に記載の鮮度保持シートの製造方法。
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