JP6786859B2 - 湿度応答性透湿シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明において用いる微細化セルロースは、その構造の少なくとも一辺がナノメートルオーダーであればよく、その調製方法については特に限定されない。通常、セルロースナノファイバーはミクロフィブリル構造由来の繊維形状をとるため、本発明に用いるセルロースナノファイバーとしては、以下に示す範囲にある繊維形状のものが好ましい。
本発明で用いられる木材由来のCSNFは、木材系天然セルロースを酸化する工程と、微細化し分散液化する工程とを経ることにより得られる。また、CSNFに導入されるカルボキシ基量は、0.1mmol/g以上、5.0mmol/g以下が好ましく、0.5mmol/g以上、3.0mmol/g以下がより好ましい。CSNFに導入されるカルボキシ基量が0.1mmol/g未満であると、セルロースミクロフィブリル間に静電的な反発力および浸透圧効果が働かないため、セルロースを微細化して均一に分散させることは難しい。また、CSNFに導入されるカルボキシ基量が5.0mmol/gを超えると、化学処理に伴う副反応によりセルロースミクロフィブリルが低分子化するため、高結晶性の剛直なセルロースナノファイバー構造をとることができず、シート化した際に湿度応答性を発揮することができない。
木材系天然セルロースの繊維表面にカルボキシ基を導入する方法としては、特に限定されない。例えば、高濃度アルカリ水溶液中でセルロースをモノクロロ酢酸又はモノクロロ酢酸ナトリウムと反応させることによりカルボキシメチル化を行っても良く、オートクレーブ中でガス化したマレイン酸やフタル酸等の無水カルボン酸系化合物とセルロースを直接反応させてカルボキシ基を導入しても良い。
セルロースを微細化する方法としてはまず、セルロースに水性媒体を加えて懸濁させる。水性媒体としては、前述と同様のものが挙げられ、水が特に好ましい。必要に応じて、セルロースや生成するCSNFの分散性を上げるために、アルカリ水溶液を用いて懸濁液のpH調整を行ってもよい。pH調整に用いられるアルカリ水溶液としては、上記した酸化処理の説明で挙げたアルカリ水溶液と同様のものが挙げられる。
本発明の湿度応答性透湿シートの形成は、公知の方法と同様にして実施できる。例えば、水性媒体中に繊維表面にカルボキシ基を有するCSNFを分散させたCSNF分散液を調製し、これを基材上に塗布する等によって該CSNF分散液からなる塗膜を形成し、該塗膜を乾燥することによりCSNFを含む湿度応答性透湿シートを形成できる。湿度応答性透湿シートは積層体のまま、あるいはCSNFを含む層を基材より剥離してCSNF自立シートとして用いることができる。該CSNF分散液の基材上への塗布は、公知の塗布方法を用いて実施できる。例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター、スピンコーター等のコーターを用いて塗布できる。また、CSNF分散液の乾燥は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射など、公知の乾燥方法を用いて実施できる。乾燥条件としては、特に限定しないが、乾燥温度としては20℃以上200℃以下が好ましく、30℃以上150℃以下がより好ましい。乾燥温度が20℃以下では、CSNF分散液の水性媒体の除去に時間がかかりすぎてしまう。また、乾燥温度が200度以上では、セルロースナノファイバーが熱分解し黄変してしまうおそれがある。セルロースナノファイバーを含む層(以下、「湿度応答性透湿層」とも称する)の厚み(乾燥後の厚み)は、所望の透湿性に応じて適宜設定でき特に限定されないが、0.1〜5μmが好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。湿度応答性透湿層の厚みが0.1μm以上であると、低湿度条件下における透湿性低下の効果が充分に得られる。また、湿度応答性透湿層の厚みが5μm以下であると、高湿度条件下における透湿性向上の効果が十分に得られる。湿度応答性透湿層の厚みは、CSNF分散液の塗布量、塗布回数等によって調整できる。また、湿度応答性透湿層は、基材の片面のみに設けてもよく、両面に設けてもよい。
(a)基材/湿度応答性透湿層
(b)湿度応答性透湿層
(c)基材/湿度応答性透湿層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
(d)基材/湿度応答性透湿層/印刷層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
(e)基材/湿度応答性透湿層/ラミネート用接着剤層/中間フィルム層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
(f)湿度応答性透湿層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層。
(g)湿度応答性透湿層/印刷層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
(h)湿度応答性透湿層/ラミネート用接着剤層/中間フィルム層/ラミネート用接着剤層/ヒートシール層
<木材系天然セルロースのTEMPO酸化>
針葉樹クラフトパルプ70gを蒸留水3500gに懸濁し、蒸留水350gにTEMPOを0.7g、臭化ナトリウムを7g溶解させた溶液を加え、20℃まで冷却した。ここに2mol/L、密度1.15g/mLの次亜塩素酸ナトリウム水溶液450gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。系内の温度は常に20℃に保ち、反応中のpHの低下は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH10に保ち続けた。
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプを固形分重量で0.1g量りとり、1%濃度で水に分散させ、塩酸を加えてpHを2.5とした。その後、0.5M水酸化ナトリウム水溶液を用いた電導度滴定法により、カルボキシ基量(mmol/g)を求めた。結果は、1.6mmol/gであった。
上記TEMPO酸化で得た酸化パルプ1gを99gの蒸留水に分散させ、ジューサーミキサーで30分間微細化処理し、CSNF濃度1%のCSNF分散液を得た。該CSNF分散液に含まれるCSNFの数平均短軸径は3nm、数平均長軸径は1110nmであった。また、レオメーターを用いて定常粘弾性測定を行ったところ、該CSNF分散液はチキソトロピック性を示した。
上記解繊処理で得たCSNF分散液を、膜厚50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にバーコーター#100を用いて塗布し、120℃で10分乾燥して、CSNFを含む層(湿度応答性透湿層)を形成した。さらに形成した湿度応答性透湿層の膜厚を、反射分光式膜厚計(FE-3000、大塚電子社製)を用いて測定したところ、約1μmの膜厚であった。次に、形成された湿度応答性透湿層の端部にセロハンテープを貼り、セロハンテープを起点に該湿度応答性透湿層を基材から剥離させて、湿度応答性透湿シートを作製した。この湿度応答性透湿シートに対し、JISZ0208に記載のカップ法を適用し、測定時の湿度がそれぞれ40%RHおよび90%RHの場合の透湿量を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、CSNF分散液の塗工用基材として不織布(TFW−50)を用い、セロハンテープによる剥離を行わずそのまま積層体として用いた以外は実施例1と同様の方法で測定時の湿度がそれぞれ40%RHおよび90%RHの場合の透湿量を測定した。結果を表1に示す。なお、膜厚は測定していないが、塗工条件は実施例1と同様のため、不織布上に形成されたCSNF含有層の膜厚は実施例1と同程度だと予想される。
実施例1において、湿度応答性シートとして21μmのセロハンを用いた以外は、実施例1と同様の方法で膜厚と測定時の湿度がそれぞれ40%RHおよび90%RHの場合の透湿量を測定した。結果を表1に示す。
Claims (10)
- 湿度応答性透湿シートであって、
セルロースI型結晶であるセルロースナノファイバーを含み、湿度上昇に伴い透湿量が増加する、厚みが0.2〜3μmの湿度応答性透湿層を備える、湿度応答性透湿シート。 - 前記セルロースナノファイバーの形状が、天然セルロースのミクロフィブリル構造由来の繊維状であることを特徴とする、請求項1に記載の湿度応答性透湿シート。
- 前記セルロースナノファイバーの数平均短軸径が1nm以上100nm以下、数平均長軸径が50nm以上、かつ、前記数平均長軸径が前記数平均短軸径の10倍以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の湿度応答性透湿シート。
- 前記セルロースナノファイバーの結晶表面にイオン性官能基が導入されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の湿度応答性透湿シート。
- 前記イオン性官能基がカルボキシ基であることを特徴とする、請求項4に記載の湿度応答性透湿シート。
- 前記カルボキシ基の含有量が、セルロースナノファイバー1g当たり0.1mmol以上5.0mmol以下であることを特徴とする、請求項5に記載の湿度応答性透湿シート。
- 少なくとも層構成の一部に銀を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の湿度応答性透湿シート。
- 湿度応答性透湿シートの製造方法であって、
基材の少なくとも一方の面にセルロースナノファイバーを含む分散液を塗布して乾燥させることにより、セルロースI型結晶であるセルロースナノファイバーを含み、湿度上昇に伴い透湿量が増加する、厚みが0.2〜3μmの湿度応答性透湿層を形成する工程を具備することを特徴とする、湿度応答性透湿シートの製造方法。 - 前記セルロースナノファイバーの結晶表面に、N−オキシル化合物による酸化反応によってカルボキシ基を導入する工程をさらに具備することを特徴とする、請求項8に記載の湿度応答性透湿シートの製造方法
- 前記湿度応答性透湿層を前記基材から剥離する工程をさらに具備することを特徴とする、請求項8または9に記載の湿度応答性透湿シートの製造方法。
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