本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[A.装置構成]
まず、本発明の実施の形態に従う画像形成装置の構成について説明する。画像形成装置としては、複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)、複写機、ファクシミリ、プリンターといったどのような形態で実装されてもよい。
図1は、本実施の形態に従う画像形成装置1の装置構成を示す断面模式図である。図1には、電子写真方式の画像形成装置の一例として、タンデム式の4色カラー方式を示すが、これらに限られることなく、モノクロ方式であってもよいし、ロータリー式のカラー方式であってもよい。
図1を参照して、画像形成装置1は、媒体(以下、「用紙S」とも称する。)上に画像を形成するための構成として、トナー像を形成して用紙S上に転写する画像プロセス部2と、用紙Sを搬送するシート保持部20と、用紙Sに転写されたトナー像を定着させる定着装置30とを含む。これらの構成を制御するための構成として、画像形成装置1は、全体制御を司る制御部100と、ユーザーなどからの操作を受け付ける入力部110と、画像プロセス部2を制御して画像形成を管理する画像形成部120とを含む。
画像形成装置1は、例えば、ネットワーク(典型的には、LAN(Local Area Network))に接続された外部の端末装置(図示しない)からのプリントジョブ(以下、単に「ジョブ」とも称する。)の実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の各色からなるカラーのトナー画像を用紙S上に形成する。
画像プロセス部2は、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kと、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kにて形成されたそれぞれのトナー像が転写される中間転写ベルト16とを含む。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、それぞれY,M,C,K色の単色トナー像をそれぞれ形成し、これらの単色のトナー像が中間転写ベルト16を介して順次積層される。
Y色のトナーによるトナー画像を形成する画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム11Yと、その周囲に配設された帯電器12Y、露光部13Y、現像器14Yとを有する。画像形成ユニット10Yは、帯電工程、露光工程、現像工程を順番に経て、感光体ドラム11Y上にY色のトナー画像を形成する。他の画像形成ユニット10M,10C,10Kについても、画像形成ユニット10Yと同様の構成になっており、M,C,Kのトナー画像を感光体ドラム11M,11C,11K上にそれぞれ形成する。中間転写ベルト16を挟んでそれぞれの感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kに対向配置された一次転写ローラー15Y,15M,15C,15Kによって、感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kに形成されたそれぞれのトナー画像は、中間転写ベルト16上における同一の転写領域に多重転写される。そして、中間転写ベルト16上に多重転写されたトナー像は、中間転写ベルト16の端部に配置された一対の二次転写ローラー18によって、中間転写ベルト16から用紙Sへ転写される。
シート保持部20は、画像プロセス部2の下方に設けられた給紙カセット22を有する。給紙カセット22に関連付けて配置された一対の給紙ローラー24は、画像プロセス部2における画像形成プロセスに関連付けて、給紙カセット22内に収容された用紙Sを搬送経路28に沿って順次供給する。搬送経路28に沿って配置された一対のタイミングローラー26が用紙Sを一対の二次転写ローラー18に供給するタイミングを制御する。一対の給紙ローラー24および一対のタイミングローラー26は、画像プロセス部2に用紙を供給する搬送機構に相当する。
一対の二次転写ローラー18によってトナー像が転写された用紙Sは、搬送経路28に沿って定着装置30へと搬送される。定着装置30は、用紙Sを加熱および加圧することによって、用紙S上に転写されたトナー像を定着させる。トナー像が定着された後の用紙Sは、一対の排出ローラー32によって、排出トレイ34上に排出される。
制御部100、入力部110および画像形成部120は、互いに通信可能に接続されている。制御部100は、後述するような本実施の形態に従う各種処理を担当する。
制御部100は、画像形成部120などの指令を与えることで、画像プロセス部2および用紙Sを搬送するための搬送機構(一対の給紙ローラー24および一対のタイミングローラー26など)を制御する。
入力部110は、画像形成装置1の前面部などに設けられたユーザーインターフェイスとして実現され、典型的には、表示ディスプレイ、タッチパネル、各種入力ボタン、表示インジケーターなど含む操作パネルなどを含む。ユーザーは、入力部110を介して、用紙に係る設定などを入力することもできる。
画像形成部120は、制御部100などからの指令に従って、ジョブに従う画像を形成するための各種命令を生成し、画像プロセス部2へ与える。
画像形成部120および制御部100の各々は、主たるコンポーネントとして、予め定められた順序でプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、プログラムの実行に必要なワーキング領域を提供するRAM(Random Access Memory)と、プログラムを提供するROM(Read Only Memory)などを有していてもよい。さらに、画像形成部120および/または制御部100の全部または一部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードワイヤード回路を用いて実装してもよい。
[B.本実施の形態に従う画像形成プロセスの概要]
次に、本実施の形態に従う画像形成プロセスの概要について説明する。
本実施の形態に従う画像形成装置1においては、ジョブの実行前に、用紙についてのサイズ、重さ(坪量)、用紙厚み、表面加工の有無などの特性が事前に設定されているとする。これらの用紙に係る設定の全般を、以下では「用紙設定」とも称する。すなわち、本明細書において、「用紙設定」は、用紙に係る任意の1または複数の設定値を総称する用語である。
本明細書において、実際に処理の対象となる用紙Sの特性(サイズ、重さ(坪量)、用紙厚み、表面加工の有無など)を「用紙種」とも称する。すなわち、「用紙種」は、対象となる用紙Sの属性値を包含する用語である。
本明細書において、「画像形成条件」とは、処理の対象となる用紙Sの特性(すなわち、用紙設定)に応じて調整される、画像形成プロセスに係る1または複数の条件または設定を総称する用語である。
図2は、本実施の形態に従う画像形成プロセスの概要を説明するためのタイムチャートである。図2(A)には、事前の用紙設定と実際に供給される用紙Sの用紙種とが適合している場合のタイムチャートの一例を示し、図2(B)には、事前の用紙設定と実際に供給される用紙Sの用紙種とが適合していない場合のタイムチャートの一例を示す。
本実施の形態に従う画像形成装置1は、何らかのジョブが入力されると、当該時点での用紙設定に従ってジョブに基づく画像形成を開始する。この画像形成においては、例えば、用紙設定に応じて、トナー像の濃度、用紙の搬送速度、バイアス電圧などの画像形成条件が適宜調整される。つまり、画像プロセス部2は、用紙設定に応じた画像形成条件に従ってトナー像を形成する。そのため、画像形成条件とは異なる用紙種の用紙Sがシート保持部20から供給されると、ジャム、画像不良、定着不良などの不具合を生じる可能性がある。
図2(A)および図2(B)に示すように、画像形成装置1は、実際に供給される用紙Sの用紙種が事前設定された用紙設定と適合しているか否かを判断することなく、トナー像の形成処理を開始する。そして、形成されたトナー像を用紙Sに転写する前段階において、実際に供給された用紙Sの用紙種が現在の用紙設定に適合しているか否かを判断する。
なお、本明細書において、「用紙種が用紙設定に適合している」とは、検出された用紙Sの用紙種が用紙設定において選択されている用紙種と一致している場合に加えて、用紙種は一致していないが、用紙設定に従って選択される画像形成条件に従って、対象となる用紙Sに対する印字を適切に行なうことができる場合を含む。すなわち、検出された用紙種と用紙設定として選択されている用紙種とが一致するものではないが、同一の画像形成条件を用いることができる場合には、両者が適合しているとみなす。
図2(A)に示すように、実際に供給された用紙Sの用紙種が現在の用紙設定に適合している場合には、通常の画像形成プロセスと同様に、そのままトナー像を用紙Sに転写するとともに、当該トナー像を定着して排出トレイ34上に排出する。
より具体的には、図2(A)に示すように、時刻t1においてジョブ1が入力されると、画像プロセス部2は、その時点での用紙設定に基づいて、当該入力されたジョブ1に従ってトナー像の形成を開始する(画像形成1)。トナー像の形成中またはトナー像の形成後の時刻t2において、シート保持部20から用紙Sの搬送が開始される。時刻t3において、用紙Sが所定位置に到着すると、当該到着した用紙Sの用紙種が検出され、検出された用紙の用紙種が現在の用紙設定と適合しているか否かが判断される。両者が適合していると、用紙Sに対するトナー像の転写が開始される。転写の完了後、時刻t4において、定着装置30でのトナー像の定着処理が開始され、トナー像が定着された用紙Sの排出は時刻t5で完了する。
なお、定着処理中または排出処理中(時刻t6)に、次のジョブ2を受け付けて、当該ジョブ2に従ってトナー像の形成を開始してもよい。
一方、図2(B)に示すように、実際に供給された用紙Sの用紙種が現在の用紙設定に適合している場合には、実際に供給された用紙Sに応じた用紙設定に変更するとともに、その変更後の用紙設定に従って、再度トナー像を形成する。そして、再形成されたトナー像は用紙Sに転写されるとともに、当該トナー像を用紙Sに定着した上で用紙Sを排出トレイ34上に排出する。
より具体的には、図2(B)に示すように、時刻t1においてジョブ1が入力されると、画像プロセス部2は、その時点での用紙設定に基づいて、当該入力されたジョブ1に従ってトナー像の形成を開始する(画像形成1)。トナー像の形成中またはトナー像の形成後の時刻t2において、シート保持部20から用紙Sの搬送が開始される。時刻t3において、用紙Sが所定位置に到着すると、当該到着した用紙の用紙種が検出され、検出された用紙種が現在の用紙設定と適合しているか否かが判断される。両者が適合していなければ、先に形成されたトナー像が像担持体(図1に示す構成においては、中間転写ベルト16)上からクリーニングされた上で、検出された用紙種に基づいて、ジョブ1に従うトナー像が再度形成される(画像形成1’)。このトナー像の再形成が完了して用紙Sへの転写ができるまで、用紙Sの搬送は待機状態になる。
その後、時刻t3’において再形成されたトナー像の転写が可能になると、用紙Sに対するトナー像の転写が開始される。転写の完了後、時刻t4’において、定着装置30でのトナー像の定着処理が開始され、トナー像が定着された用紙Sの排出は時刻t5’で完了する。
なお、定着処理中または排出処理中(時刻t6’)に、次のジョブ2を受け付けて、当該ジョブ2に従ってトナー像の形成を開始してもよい。
本実施の形態に従う画像形成装置1は、事前の用紙設定と実際の用紙Sの用紙種とが適合しているか否かを判断した上で、当該事前の用紙設定に従って形成されたトナー像を転写および定着させる処理を採用することで、用紙の特性と画像形成プロセスとが適合していないことにより生じるジャム、画像不良、定着不良を回避できる。併せて、事前の用紙設定と実際の用紙Sの用紙種とが適合している限りにおいては、上述したような用紙設定と用紙Sの用紙種との適合を確認する機能をもたない画像形成プロセスと同様の、スループットおよびFCOTを実現できる。
すなわち、事前の用紙設定と実際の用紙Sの用紙種とが適合していれば、FCOTは、図2(A)に示す時刻t1〜t5の間の時間となり、そうでなければ、FCOTは、図2(B)に示す時刻t1〜t5’の間の時間となる。
上述したように、画像形成装置1の制御部100は、画像プロセス部2に、現在の用紙設定に応じた画像形成条件に従ってトナー像を形成させるとともに、搬送機構(一対の給紙ローラー24および一対のタイミングローラー26など)に、用紙Sの供給を開始させる。そして、画像形成装置1の制御部100は、用紙種検出センサーからの検出結果に基づいて、供給された用紙Sの用紙種と現在の用紙設定とが適合するか否かを判断し、供給された用紙Sの用紙種と現在の用紙設定とが適合する場合に、供給された用紙Sに対する形成されたトナー像の転写を継続する。一方、画像形成装置1の制御部100は、供給された用紙Sの用紙種と現在の用紙設定とが適合しない場合に、画像プロセス部2に供給された用紙Sの用紙種に応じた画像形成条件に従ってトナー像を再形成させた上で、当該再形成されたトナー像を供給された用紙Sに転写する。
[C.要部構成]
次に、本実施の形態に従う画像形成プロセスを実現するための要部構成について説明する。図3は、本実施の形態に従う画像形成装置1における要部構成を示す断面模式図である。図3を参照して、シート保持部20から二次転写ローラー18までの搬送経路28に沿って、上流側から、給紙ローラー24、用紙種検出センサー(印字面側センサー40および非印字面側センサー42)、タイミングローラー26がその順で配置される。給紙ローラー24と用紙種検出センサーとの間には、手差しトレイに配置された用紙Sを供給するための、手差し給紙ローラー36およびその搬送経路28が設けられる。
なお、シート保持部20は、1または複数の給紙カセット22で構成される場合もあり、そのような場合には、各給紙カセット22に給紙ローラー24がそれぞれ設けられる。すなわち、図3には図示しない給紙カセット22に関連付けて配置された給紙ローラーから用紙Sが供給されることもある。
用紙種検出センサーは、画像プロセス部2により形成されるトナー像を用紙Sに転写する前段階に配置されている。より具体的には、用紙種検出センサーは、搬送経路28上に配置されたタイミングローラー26の上流側に配置される。一例として、用紙種検出センサーは、用紙Sを挟み込むように配置された、一対の印字面側センサー40および非印字面側センサー42からなる。用紙種検出センサーからの検出結果に基づいて、供給される用紙Sの用紙種が検出される。
タイミングローラー26は、二次転写ローラー18への用紙Sの供給タイミングを制御するための機構であり、上述したように、トナー像が再形成される場合などには、タイミングローラー26が用紙Sを挟み込んだ状態で待機し、トナー像の再形成が完了するタイミングに応じて、タイミングローラー26を回転駆動することで、適時のタイミングで用紙Sが二次転写ローラー18へ供給される。
本実施の形態に従う画像形成装置1においては、タイミングローラー26の上流側に用紙種検出センサーを配置するとともに、検出された用紙種に応じて、画像プロセス部2(図1参照)およびタイミングローラー26の処理および動作を制御することで、本実施の形態に従う画像形成プロセスを実現する。
このように、本実施の形態においては、搬送機構は、画像プロセス部2に用紙Sを供給するタイミングローラー26を含む。そして、用紙種検出センサーは、タイミングローラー26より上流側に配置されている。画像形成装置1の制御部100は、用紙Sをタイミングローラー26より上流側に停止させた状態で、トナー像を再形成させる。
[D.用紙種検出センサー]
次に、用紙種検出センサー(図3参照)について説明する。用紙種検出センサーとしては、任意の方式を採用することができる。用紙種を検出する方法の一例として、用紙Sの用紙厚みを計測し、その計測された用紙厚みに基づいて用紙種を決定することができる。
このように、用紙種検出センサーとしては、用紙厚みを検出するセンサーを採用してもよい。用紙種検出センサーとして用紙厚みを検出するセンサーを採用することにより、用紙Sの用紙厚みから簡単に用紙種を検出できる。
このような用紙Sの用紙厚みを計測する方法として、例えば、非接触式および接触式のセンサーを用いることができる。
非接触式のセンサーとしては、例えば、レーザー光源などを用いた光学式センサーを用いることができる。具体的には、到着した用紙Sの一方の面側に配置して投光部からレーザー光を照射し、反対側の面側に配置された受光部にて検出される光の強度(透光量または透光率)に基づいて、用紙Sの用紙厚みを計測できる。
あるいは、用紙Sの両側にレーザー光などを用いる距離センサーをそれぞれ配置しておき、それぞれの距離センサーにより計測された距離の総和と距離センサー間の配置間隔との差に基づいて、用紙Sの用紙厚みを計測できる。
以上のように、レーザー光などを用いて、用紙Sの用紙厚みを非接触で計測することができる。
図3には、一例として、接触式のセンサーの構成例を示す。具体的には、搬送経路28の両側に印字面側センサー40および非印字面側センサー42が対向配置されている。印字面側センサー40および非印字面側センサー42は、用紙を挟み込むように配置されるとともに、搬送経路28を横切る方向に変位が与えられる変位センサーである。印字面側センサー40および非印字面側センサー42の少なくとも一方には、搬送経路28を横切る方向に変位を与えるためのアクチュエータが配置されている、用紙Sを挟んだ状態で、印字面側センサー40および/または非印字面側センサー42に生じる変位に基づいて、用紙厚みが計測される。印字面側センサー40のアクチュエータおよび/または非印字面側センサー42のアクチュエータを用いて用紙Sに接触させた状態における、両センサーに生じる変位量に基づいて、用紙厚みが計測される。
このように、画像形成装置においては、用紙厚み検出センサーとして、用紙Sの印字面側および非印字面側にそれぞれセンサーを配置するとともに、両側のセンサーとそれぞれ接続されたアクチュエータとを、互いに接触可能な状態で搬送経路28に配置される。つまり、用紙厚みを検出するセンサーは、用紙の印字面側および非印字面側にそれぞれ配置された一対のセンサーからなり、当該一対のセンサーは、アクチュエータにより用紙を挟み込むように搬送経路上に配置される。このような構成を採用することで、用紙Sの姿勢によらず正確に用紙厚みを計測できる。
[E.制御構造]
次に、本実施の形態に従う画像形成プロセスを実現するための制御構造の一例について説明する。図4は、本実施の形態に従う画像形成装置1における制御構造の一例を示す模式図である。図4に示す制御構造は、典型的には、画像形成装置1の制御部100(図1参照)によって提供される。より具体的には、制御部100がプロセッサを含んで構成される場合には、当該プロセッサが制御プログラムを実行することで実現されてもよいし、制御部100がASICなどのハードワイヤード回路を含んで構成される場合には、当該ASICに図4に示す機能を実現するための回路構成を実装してもよい。なお、図4に示す制御構造を、制御部100だけではなく、画像形成部120(図1参照)や外部装置などと連携して実現するようにしてもよい。本発明における制御構造の実装形態は、特定のハードウェア構成に限定されるものではない。
図4を参照して、制御部100は、制御構造のコンポーネントとして、用紙設定管理部102と、用紙種検出部104と、プロセス制御部106とを含む。
用紙設定管理部102は、用紙設定103の登録、更新、削除などの管理機能を提供する。具体的には、用紙設定管理部102は、入力部110(図1参照)を介してユーザー操作を受け付けるとともに、当該ユーザー操作に応じて用紙設定103の登録、更新、削除などを行なう。用紙設定管理部102は、保持している用紙設定103を参照して、プロセス制御部106に対して用紙設定の内容を出力する。
用紙種検出部104は、用紙種検出センサー(図3参照)にて計測された用紙厚みに基づいて、対象の用紙Sの用紙種を決定する。具体的には、用紙種検出部104は、用紙厚みと用紙種とを対応付けた、用紙種情報テーブル105を有しており、用紙種検出部104は、用紙種検出センサーからの用紙厚みの計測結果に基づいて、用紙種情報テーブル105を参照して、用紙種を決定する。用紙種検出部104は、検出した用紙種をプロセス制御部106へ出力する。
プロセス制御部106は、入力されたジョブに従って、画像形成部120(図1参照)に対して必要な指令を出力する。より具体的には、プロセス制御部106は、用紙設定および/または用紙種に基づいて、対象となる用紙Sに応じたトナー像が形成されるように、トナー像を描画するためのビットマップ指令、用紙Sを搬送するための搬送指令、各種バイアス(帯電バイアス、転写バイアス、など)を設定するためのバイアス指令などを出力する。
プロセス制御部106は、プロセス設定テーブル107を保持しており、入力されるジョブに対して、用紙設定および/または用紙種に基づいてプロセス設定テーブル107を参照することで、当該ジョブに適した設定値などを決定する。
プロセス制御部106は、上述したように、検出された用紙の用紙種が現在の用紙設定と適合していない場合には、トナー像の再形成などを画像形成部120へ指示する。
[F.ユーザーによる用紙設定の変更]
本実施の形態に従う画像形成プロセスにおいては、実際に供給される用紙Sの用紙種が事前設定された用紙設定と適合していない場合において、当該検出された用紙種に応じた用紙設定をした上で、トナー像を自動的に再形成するようにしてもよい。あるいは、自動的に画像形成をやり直すのではなく、ユーザーに再設定を促すようにしてもよい。
図5は、本実施の形態に従う画像形成装置1におけるユーザーに対して用紙設定の変更を促すユーザーインターフェイス画面の一例を示す図である。図5には、事前の用紙設定と実際に供給される用紙Sの用紙種とが適合していない場合に提供されるユーザーインターフェイス画面の一例を示す。
図5(A)に示すユーザーインターフェイス画面200には、現在の用紙設定と実際に提供される用紙Sの用紙種とが適合していないことを通知するとともに、用紙設定の変更をユーザーに促すためのメッセージ202が提示されている。ユーザーは、ユーザーインターフェイス画面200において、給紙カセット22に装填されている用紙Sの用紙種に対応する用紙設定をアイコン204の中から選択する。
このように、事前に選択されている用紙設定とは異なる用紙種の用紙Sが供給されることで、当該用紙Sがタイミングローラー26の上流側で停止された状態において、ユーザーに対して、用紙設定を再度行なうように促すユーザーインターフェイス画面200が提供される。つまり、画像形成装置1の制御部100は、供給された用紙Sの用紙種と現在の用紙設定とが適合しない場合に、用紙Sをタイミングローラー26より上流側に停止させた状態で、ユーザーに対して、用紙設定の変更を促す。このようなユーザーインターフェイス画面200をユーザーに提供することで、用紙設定が誤っていることをユーザーに気付かせることができる。
図5(B)に示すユーザーインターフェイス画面210には、現在の用紙設定と実際に提供される用紙Sの用紙種とが適合していないことを通知するとともに、用紙設定の変更をユーザーに促すためのメッセージ212が提示されている。さらに、ユーザーインターフェイス画面210には、現在の用紙設定を示すアイコン214に加えて、変更後の候補となるそれぞれの用紙設定を示すアイコン群216が表示されている。
アイコン群216に含まれるアイコンのうち、実際に供給された用紙Sについての検出結果に応じて、選択されるのが好ましい用紙設定のアイコン218が異なる表示態様で提示される。異なる表示態様としては、配色や点滅の有無などを異ならせてもよいし、何らかの付加的なメッセージを表示するようにしてもよい。
このように、本実施の形態においては、事前の用紙設定と実際に供給される用紙Sの用紙種が異なっており、ユーザーに対して用紙設定の再設定を促す場合には、用紙Sの検出された用紙種に対応する用紙設定をユーザーに対して推奨するようにしてもよい。つまり、画像形成装置1の制御部100は、供給された用紙Sの用紙種に対応する用紙設定への変更を推奨する。このように、事前の用紙設定が誤っていることで、用紙設定を再設定する必要がある場合には、検出された用紙種をユーザーに対して推奨することで、次回以降の用紙設定などにおいて、ユーザーが誤って用紙設定を行なうことを防止できる。
[G.プロセス速度の切り替え]
本実施の形態に従う画像形成プロセスにおいては、トナー像が再形成される場合があり、そのような場合には、トナー像の再形成に好適な、プロセス速度の切り替えを行なってもよい。
図6は、本実施の形態に従う画像形成プロセスにおける要部の挙動を説明するためのタイムチャートである。図6には、事前の用紙設定と実際に供給される用紙Sの用紙種とが適合していない場合のタイムチャートの一例を示す。
図6を参照して、時刻t1においてジョブ1が入力されると、画像プロセス部2は、その時点での用紙設定に基づいて、当該入力されたジョブ1に従ってトナー像の形成を開始する(画像形成1)。トナー像の形成中またはトナー像の形成後の時刻t2において、シート保持部20から用紙Sの搬送が開始される。時刻t3において、用紙Sが用紙種検出センサーの検出範囲に到着すると、当該到着した用紙の用紙種が検出され、検出された用紙種が現在の用紙設定と適合しているか否かが判断される。図6に示す例においては、両者が適合していないので、先に形成されたトナー像が像担持体(図1に示す構成においては、中間転写ベルト16)上からクリーニングされた上で、検出された用紙種に基づいて、ジョブ1に従うトナー像が再度形成される(画像形成1’)。このトナー像の再形成が完了して用紙Sへの転写ができるまで、用紙Sの搬送は待機状態になる。
このトナー像が像担持体上からクリーニングされる過程において、クリーニングを短時間で終了させるために、プロセス速度をより高くしてもよい。プロセス速度は、画像プロセス部2における画像形成に係る速度であり、典型的には、像担持体である中間転写ベルト16の回転速度などに相当する。
例えば、時刻t3において、供給された用紙Sの用紙種が用紙設定に適合していないと判断されると、画像プロセス部2のプロセス速度は、選択可能な用紙種に設定されているプロセス速度のうち最大値を採用してもよい。このように、画像形成装置1においては、ジョブの1枚目の用紙において用紙設定と用紙種とが適合していないと判断されると、プロセス速度を各用紙種に設定されているもののうち、最高速に切り替えてもよい。すなわち、供給された用紙Sの用紙種と現在の用紙設定とが適合しない場合に、画像プロセス部2におけるプロセス速度を各用紙種に設定されているプロセス速度のうち最高速のプロセス速度に切り替えてもよい。このような構成を採用することで、像担持体である中間転写ベルト16上のトナー像を早くクリーニングでき、再度の画像形成への復帰時間を短縮できる。
上述したようなプロセス速度を高くした後、以下のような条件またはタイミングおいて、元のプロセス速度に戻す、または、検出された用紙種に対応するプロセス速度に切り替えればよい。
例えば、検出された用紙種が現在の用紙設定と適合していないと判断されると、中間転写ベルト16上に形成されているトナー像が二次転写ローラー18を通過した後である、時刻t4において、検出された用紙種に対応するプロセス速度に切り替えるようにしてもよい。つまり、画像プロセス部2が、形成される像を担持する中間転写ベルト16および二次転写ローラー18を含んでいる構成において、画像形成装置1の制御部100は、供給された用紙Sの用紙種と現在の用紙設定とが適合しない場合に、中間転写ベルト16上に先に形成されたトナー像が二次転写ローラー18を通過した後に、プロセス速度を供給された用紙Sの用紙種に応じた速度に切り替えるようにしてもよい。このようなプロセス速度の切り替え手順は、二次転写ローラー18を圧接離間可能な構成に好適である。
このような構成を採用することで、像担持体である中間転写ベルト16上のトナー像を早くクリーニングでき、再度の画像形成への復帰時間を短縮できる。
あるいは、検出された用紙種が現在の用紙設定と適合していないと判断されると、二次転写ローラー18のクリーニングに必要な所定のクリーニング時間の経過後である、時刻t4において、検出された用紙種に対応するプロセス速度に切り替えるようにしてもよい。すなわち、二次転写ローラー18を離間できない場合には、中間転写ベルト16上のトナー像の一部が二次転写ローラー18に移るので、これをクリーニングするための時間が必要となる。このようなプロセス速度の切り替え手順は、二次転写ローラー18を圧接離間できない構成に好適である。つまり、画像プロセス部2が二次転写ローラー18を含んでいる構成において、画像形成装置1の制御部100は、供給された用紙Sの用紙種と現在の用紙設定とが適合しない場合に、二次転写ローラー18に対するクリーニングに要する所定時間の経過後に、プロセス速度を供給された用紙Sの用紙種に応じた速度に切り替えるようにしてもよい。
このような構成を採用することで、像担持体である中間転写ベルト16上のトナー像を早くクリーニングでき、再度の画像形成への復帰時間を短縮できる。また、中間転写ベルト16を本来のプロセスで回転駆動することで、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの一次転写ローラー15Y,15M,15C,15Kにより生じる画像不良の発生を防止できる。
また、二次転写ローラー18を圧接離間可能な構成を採用している場合には、検出された用紙種が現在の用紙設定と適合していないと判断されると、二次転写ローラー18を離間するようにしてもよい。例えば、時刻t3において、供給された用紙Sの用紙種が用紙設定に適合していないと判断されると、二次転写ローラー18は離間状態に変更される。その後、時刻t5において、二次転写ローラー18は元の圧接状態に戻される。つまり、画像形成装置1の制御部100は、供給された用紙Sの用紙種と現在の用紙設定とが適合しない場合に、二次転写ローラー18を離間させるようにしてもよい。なお、時刻t5ではなく、中間転写ベルト16上に形成されているトナー像が二次転写ローラー18を通過した後、または、所定のクリーニング時間の経過後に、二次転写ローラー18を圧接状態に戻すようにしてもよい。
このような構成を採用することで、像担持体である中間転写ベルト16上に形成されているトナー像によって、二次転写ローラー18が汚損されることを防止できる。
その後、時刻t5において再形成されたトナー像の転写が可能になると、時刻t6において用紙Sに対するトナー像の転写が開始される。転写の完了後、時刻t7において、定着装置30でのトナー像の定着処理が開始され、トナー像が定着された用紙Sの排出は時刻t8で完了する。
なお、図6に示すタイムチャートにおいては、検出された用紙種が現在の用紙設定と適合していないと判断されると直ぐに、プロセス速度の高速化および/または二次転写ローラー18の離間が実施される例を示すが、先に処理されている用紙Sの排出が完了していない場合には、その排出が完了した後に、プロセス速度の高速化および/または二次転写ローラー18の離間を実施してもよい。図6においては、時刻t2において、プロセス速度の高速化および/または二次転写ローラー18の離間が開始されているが、この開始タイミングを先行して処理された用紙Sの排出完了タイミングに変更してもよい。つまり、画像形成装置1の制御部100は、供給された用紙Sの用紙種と現在の用紙設定とが適合しない場合に、先に処理されている用紙Sが存在するときには、当該先に処理されている用紙についての処理が完了した後に、画像プロセス部2におけるプロセス速度を切り替えるようにしてもよい。
このように、用紙種が現在の用紙設定と適合していないと判断された用紙Sより前に処理されている用紙Sの画像形成処理が完了してから、プロセス速度の切り替え、または、二次転写ローラー18の離間を実施してもよい。このような構成を採用することで、先に処理された、正しく設定された用紙に対する印字へ影響を与えることを防止できる。
[H.処理手順]
次に、上述したような本実施の形態に従う画像形成プロセスに係る処理手順について説明する。図7は、本実施の形態に従う画像形成プロセスに係る処理手順を示すフローチャートである。図7に示す各ステップは、制御部100がプロセッサを含んで構成される場合には、当該プロセッサが制御プログラムを実行することで実現される。
図7を参照して、画像形成装置1は、印字を指示するジョブを受信すると(ステップS100)、現在の用紙設定に基づいて、受信したジョブに従って露光処理および現像処理を実施してトナー像を形成する(ステップS102)。続いて、画像形成装置1は、用紙Sの給紙動作を開始する(ステップS104)。
供給された用紙Sが用紙種検出センサーの検出範囲に到達すると、画像形成装置1は、用紙種検出センサーからの検出結果に基づいて、供給された用紙Sの用紙種を検出する(ステップS106)。そして、画像形成装置1は、現在の用紙設定と検出された用紙Sの用紙種とが一致しているか否かを判断する(ステップS108)。
現在の用紙設定と検出された用紙Sの用紙種とが一致している場合(ステップS108においてYESの場合)には、画像形成装置1は、供給された用紙Sに対して、形成されたトナー像の転写処理、転写されたトナー像の定着処理、トナー像が定着された後の用紙Sの排出処理を実施する(ステップS112)。そして、画像形成装置1は、受信したジョブについて次の印刷が必要か否かを判断する(ステップS140)。
受信したジョブについて次の印刷が必要な場合(ステップS140においてYESの場合)には、ステップS102以下の処理が繰り返される。一方、受信したジョブについて次の印刷が必要ではない場合(ステップS140においてNOの場合)には、処理は終了する。
現在の用紙設定と検出された用紙Sの用紙種とが一致していない場合(ステップS108においてNOの場合)には、画像形成装置1は、検出された用紙Sの用紙種に対して、現在の用紙設定に対応する画像形成条件下で印字が可能であるか否かを判断する(ステップS110)。現在の用紙設定に対応する画像形成条件下で印字が可能である場合(ステップS110においてYESの場合)には、ステップS112以下の処理が実行される。
ステップS108およびS110においては、現在の用紙設定と検出された用紙種とを比較し、間違っていない場合にはそのまま画像形成処理が継続され、仮に間違っている場合であっても、画像形成条件が大きく異なっておらず、そのまま画像形成処理を継続しても問題ない場合は画像形成処理を継続する。すなわち、供給された用紙Sの用紙種と現在の用紙設定に含まれる用紙種とが一致しない場合であっても、現在の用紙設定に応じた画像形成条件に従う画像形成が可能であるときには、トナー像を再形成することなく、トナー像の転写が継続される。
これに対して、現在の用紙設定に対応する画像形成条件下で印字が可能ではない場合(ステップS110においてNOの場合)には、ステップS114以下の処理が実施される。すなわち、そのまま画像形成を継続すると、ジャム、画像不良、定着不良などの不具合を生じる可能性がある場合には、一旦画像形成処理を中止し、対象の用紙Sに適した画像形成条件にて印字を行なう。
まず、画像形成装置1は、受信したジョブの1枚目の印字であるか否かを判断する(ステップS114)。受信したジョブの1枚目の印字ではない場合(ステップS114においてNOの場合)には、先に処理されている用紙Sに対する、形成されたトナー像の転写処理、転写されたトナー像の定着処理、トナー像が定着された後の用紙Sの排出処理を継続する(ステップS116)。
受信したジョブの1枚目の印字である場合(ステップS114においてYESの場合)、または、先に処理されている用紙Sの排出処理の完了後(ステップS116の実施後)、画像形成装置1は、対象の用紙Sの搬送処理および当該用紙Sに対する画像形成処理を停止する(ステップS118)。
続いて、画像形成装置1は、二次転写ローラー18を離間する(ステップS120)。そして、画像形成装置1は、ユーザーに対して、現在の用紙設定と実際に提供される用紙Sの用紙種とが適合していないことを通知する(ステップS122)。さらに、ユーザーに対して、用紙設定の変更をユーザーに促すようにしてもよい。
続いて、画像形成装置1は、プロセス速度を最高速に切り替え(ステップS124)、像担持体である中間転写ベルト16上に形成されているトナー像をクリーニングする(ステップS126)。そして、画像形成装置1は、画像形成条件を検出された用紙Sの用紙種に応じたものに変更し(ステップS128)、先の画像形成処理によって生成されたトナー像が二次転写ローラー18を通過した後に、プロセス速度を変更された画像形成条件に応じた速度に切り替え(ステップS130)、二次転写ローラー18を圧接する(ステップS132)。
そして、画像形成装置1は、切り替え後の画像形成条件に基づいて、受信したジョブに従って露光処理および現像処理を実施してトナー像を再形成する(ステップS134)。続いて、画像形成装置1は、再形成されるトナー像と同期させて、用紙Sの給紙動作を再開する(ステップS136)。そして、ステップS112以下の処理が実施される。
以上のように、ジョブの1枚目で画像形成をやり直す必要がある場合には、タイミングローラー26にて用紙Sを停止させ、プロセス速度を最高速に切り替えて、中間転写ベルト16に対するクリーニングを開始する。その際に、二次転写ローラー18に圧接離間する機構がある場合は離間して、中間転写ベルト16上にあるトナー像の二次転写ローラー18の通過を素早く行ない、通過後にタイミングローラー26を圧接して画像形成をやり直す。なお、二次転写ローラー18の圧接離間ができない場合には、二次転写ローラー18に付着したトナーをクリーニングした上で、画像形成をやり直すようにしてもよい。
2枚目以降のジョブで画像形成をやり直す必要がある場合には、新たなに供給された用紙Sをタイミングローラー26の位置に停止させたまま、正しい設定の先行の用紙に対する画像形成を完了させてから、クリーニングおよび画像形成の再形成を実施する。
以上のような処理手順によって、本実施の形態に従う画像形成プロセスを実現できる。
[I.自動設定モード]
上述の説明は、事前の用紙設定と実際に供給される用紙Sの用紙種との適合の有無を判断する処理に関するものであったが、このような処理に加えて、供給される用紙Sの用紙種を検出した上で、画像形成を開始するようなモード(以下、「自動設定モード」とも称する。)を実装してもよい。以下、自動設定モードについて説明する。
自動設定モードにおいては、シート保持部20から供給された用紙Sの用紙種を検出した後に、画像形成(トナー像の形成)を開始する。この自動設定モードは、画像形成装置1の前面部などに設けられたタッチパネル上に表示される用紙種設定画面において、用紙種を自動設定するための自動設定モードの有効または無効が選択できるようにしてもよい。このように、自動設定モードが選択されている場合は、用紙種が検出された後に画像形成が開始される。
図8は、本実施の形態に従う画像形成装置1の自動設定モードを説明するためのタイムチャートである。図8を参照して、自動設定モードが選択されている場合には、時刻t1においてジョブ1が入力されると、シート保持部20から用紙Sの搬送が開始される。時刻t2において、用紙Sが所定位置に到着すると、当該到着した用紙Sの用紙種が検出され、検出された用紙種に応じて用紙設定が更新される。そして、画像プロセス部2は、その更新後の用紙設定に基づいて、当該入力されたジョブ1に従ってトナー像の形成を開始する(画像形成1)。このとき、用紙Sは、タイミングローラー26に挟み込まれた状態で待機する。
トナー像の形成後(時刻t3)、用紙Sの搬送が再開され、時刻t4において、用紙Sに対するトナー像の転写が開始される。転写の完了後、時刻t5において、定着装置30でのトナー像の定着処理が開始され、トナー像が定着された用紙Sの排出は時刻t6で完了する。
このような自動設定モードを採用することで、実際に供給される用紙Sの用紙種に応じた用紙設定を行なった上で画像形成を開始できる。つまり、画像形成装置1の制御部100は、供給された用紙Sの用紙種の検出結果に応じて画像形成条件を決定する自動設定モードが選択されている場合には、用紙種検出センサーによる検出結果が得られた後に、画像プロセス部2でのトナー像の形成を開始させる。上述したように、予め設定された用紙設定に従って先に画像形成を開始したもの、実際に供給された用紙Sの用紙種が当該用紙設定と適合しないことが判明した場合には、形成されたトナー像を像担持体からクリーニングする必要が生じるが、自動設定モードにおいては、そのような処理は必要なく、早期に用紙種を検出して適切な用紙設定に従う画像形成処理を開始できる。
なお、自動設定モードが選択されている場合には、最初の用紙Sの用紙種が検出されるまでは、用紙Sに対する搬送速度として、選択可能な用紙種に設定されている搬送速度のうち最低値を採用してもよい。すなわち、自動設定モードが選択されている場合には、シート保持部20から用紙種検出センサーまでの搬送速度は、各用紙種に設定されている最低の搬送速度で搬送するようにしてもよい。つまり、用紙Sを用紙種検出センサーの検出範囲まで搬送する際の搬送速度を、各用紙種に設定されている搬送速度のうち最低速の搬送速度に切り替えてもよい。
このように、用紙Sの用紙種が検出されるまでは、最低の用紙速度で用紙Sを搬送することで、用紙Sが用紙種検出センサーに到達するまでに発生するジャムの可能性を低減できる。
なお、定着処理中または排出処理中(時刻t7)に、次のジョブ2を受け付けて、当該ジョブ2に従ってトナー像の形成を開始してもよい。このジョブ2については、ジョブ1において検出された用紙種に対応する用紙設定に従って画像形成を行なうようにしてもよい。つまり、最初のジョブの処理時に検出された用紙種に応じて、用紙設定が一旦更新されると、その更新後の用紙設定に従って、後続のジョブを順次処理するようにしてもよい。
図9は、本実施の形態に従う画像形成装置1の自動設定モードにおける用紙設定の状態を説明するための図である。図9を参照して、自動設定モードの選択後、供給された用紙Sの用紙種が検出され、その検出された用紙種に応じて用紙設定が更新されたとする。以後入力されるジョブは、この更新された用紙設定に従って処理される。この更新後の用紙設定は、供給される用紙Sの用紙種が変更される可能性が生じるまで継続してもよい。このような供給される用紙Sの用紙種が変更される可能性の一例として、例えば、給紙カセット22が脱着されたことの検出が考えられる。すなわち、給紙カセット22が引き出された、新たな用紙Sが補給されるような場合には、先の処理において供給されていた用紙Sの用紙種とは異なる用紙種の用紙Sが供給される可能性があるので、このような場合には、一旦、用紙設定をリセットした上で、新たに用紙種の検出を行なうようにしてもよい。
このように、自動設定モードが選択された状態において、用紙種を検出したジョブの後から給紙カセットが脱着されるまでの間は、検出された用紙種に応じた用紙設定が維持される。つまり、画像形成装置1の制御部100は、自動設定モードが選択されている場合には、検出された用紙の用紙種に応じた画像形成条件を、給紙カセットの着脱が行なわれるまで維持したまま、後続のジョブを処理するようにしてもよい。用紙種を検出したジョブの後から給紙カセットが脱着されるまでの間は、検出された用紙種に応じた用紙設定を維持することにより、用紙種が変更されていないとの仮定の下で、先に決定された用紙設定に従う画像形成が可能となり、ファーストコピー時間を短縮できる。
図10は、本実施の形態に従う画像形成プロセスに係る自動設定モードにおける処理手順を示すフローチャートである。図10に示す各ステップは、制御部100がプロセッサを含んで構成される場合には、当該プロセッサが制御プログラムを実行することで実現される。
図10を参照して、画像形成装置1は、自動設定モードが選択されているか否かを判断する(ステップS200)。自動設定モードが選択されていなければ(ステップS200においてNOの場合)には、図7に示すフローチャートのステップS100以下の処理が実行される。
自動設定モードが選択されていれば(ステップS200においてYESの場合)には、画像形成装置1は、用紙Sの給紙動作を開始する(ステップS202)。供給された用紙Sが用紙種検出センサーの検出範囲に到達すると、画像形成装置1は、用紙種検出センサーからの検出結果に基づいて、供給された用紙Sの用紙種を検出する(ステップS204)。そして、画像形成装置1は、画像形成条件を検出された用紙Sの用紙種に応じたものに変更する(ステップS206)。
画像形成装置1は、対象の用紙Sの搬送処理を停止し(ステップS208)、切り替え後の画像形成条件に基づいて、受信したジョブに従って露光処理および現像処理を実施してトナー像を再形成する(ステップS210)。続いて、画像形成装置1は、形成されるトナー像と同期させて、用紙Sの給紙動作を再開する(ステップS212)。画像形成装置1は、供給された用紙Sに対して、形成されたトナー像の転写処理、転写されたトナー像の定着処理、トナー像が定着された後の用紙Sの排出処理を実施する(ステップS214)。
そして、画像形成装置1は、受信したジョブについて次の印刷が必要か否かを判断する(ステップS216)。受信したジョブについて次の印刷が必要ではない場合(ステップS216においてNOの場合)には、処理は終了する。
一方、受信したジョブについて次の印刷が必要な場合(ステップS216においてYESの場合)には、画像形成装置1は、給紙カセット22が脱着されたか否かを判断する(ステップS218)。給紙カセット22が新たに脱着されるまで、先に決定した画像形成条件が維持される。すなわち、給紙カセット22が脱着されていれば(ステップS218においてYESの場合)、ステップS202以下の動作が繰り返される。一方、給紙カセット22が脱着されていなければ(ステップS218においてNOの場合)、画像形成装置1は、図7に示すステップS102以下の処理を実施する。さらに、ステップS216以下の処理が実施される。
以上のように、自動設定モードを設けており、自動設定モードが選択されている場合には、画像形成処理の前に最低速にて給紙を開始してもよい。そして、タイミングローラー26の上流側にて用紙種を検出した上で、タイミングローラー26の位置で用紙Sを停止させておき、正しい画像形成条件にて画像形成を開始して用紙Sとトナー画像の位置が合うタイミングで再度搬送を開始し、転写処理、定着処理、排出処理を実施する。また、自動設定モードにおいて、一旦用紙種を検出した後には、同一の給紙カセット内の用紙は同一種類であると推定し、給紙カセットが開閉されるまでは検出した用紙種として、自動設定モードが選択されていない通常と同様の処理を行なってもよい。
なお、自動設定モードが実装されていない構成であっても、設定された用紙設定と検出された用紙種とが一致していないときには、画像形成をやり直すようにしてもよい。
[J.用紙種と用紙設定との適合の監視]
本実施の形態に従う画像形成装置1においては、実際に供給される用紙Sの用紙種と用紙設定との適合性が判断される。この用紙種と用紙設定との適合性の判断は、上述したような自動設定モードの選択有無に関わらず、各ジョブの実行時に行なうようにしてもよい。
すなわち、自動設定モードが選択されていない場合には、各ジョブの処理時に適合性を判断し、自動設定モードが選択されている場合には、用紙設定を行なうための最初のジョブが処理された後に処理される後続の各ジョブの処理時に適合性を判断するようにしてもよい。つまり、画像形成装置1の制御部100は、自動設定モードが選択されていない場合であっても、用紙種検出センサーからの検出結果に基づいて、供給された用紙Sの用紙種と現在の用紙設定とが適合するか否かを判断するようにしてもよい。
このような監視処理を採用することで、給紙カセット22に互いに異なる用紙種の用紙Sが装填されている場合であっても、ジャム、画像不良、定着不良の発生を抑制できる。
本実施の形態に従う画像形成装置1においては、自動設定モードが選択されていない場合であっても、供給される用紙Sの用紙種を検出し、その検出された用紙種が現在の用紙設定に適合しているか否かを判断するとともに、現在の用紙設定に適合しない用紙種の用紙Sが供給されてきた場合には、タイミングローラー26の上流側でその用紙Sを停止するとともに、検出された用紙種に応じた用紙設定に従ってトナー像の形成をやり直すようにしてもよい。
このように、自動設定モードが選択されていない場合であっても、供給される用紙Sの用紙種を監視して、設定されている用紙設定とは異なる画像形成条件の用紙が供給されてきた場合には、タイミングローラー26の上流側でその用紙Sを停止させ、用紙種を再設定した上でトナー像の形成をやり直すことにより、用紙の混載や間違った設定による、ジャム、画像不良、定着不良などを防止できる。
[K.まとめ]
用紙種に応じた画像形成条件に従って画像形成を行なわなければ、ジャム、画像不良、定着不良などの不具合を生じる可能性がある。そのため、一般的には、厚紙などの用紙種を変更して印刷する場合には、用紙種をユーザーに設定してもらうことになっている。しかしながら、厚紙で印刷する場合においても用紙種が設定されていないためジャムなどが発生する場合ある。このような課題に対して、本実施の形態に従う画像形成装置は、上述したような構成および処理を採用することで、正しく用紙種を設定している場合は、短いファーストコピー時間で印刷し、用紙種が不明、または、間違っている場合のみ、ファーストコピー時間を長くして、正しい画像形成条件で印刷することができる。
本実施の形態に従う画像形成装置1は、以下のような局面の技術思想を有する。
第1の局面に従えば、用紙種によって、プロセス設定、搬送速度、定着設定などの画像形成条件を異ならせる画像形成装置において、給紙ローラーの下流側に配置された用紙種検出センサーで用紙種を検出し、選択されている用紙種と異なる画像形成条件でなければ通紙し、画像保障できない用紙の場合には、用紙を一旦停止させ、用紙種を設定し直し再度画像の形成をやり直す。給紙ローラーの下流側に配置された用紙種検出センサーで用紙種を検出し、選択されている用紙種と異なる画像形成条件でなければ通紙し、画像保障できない用紙の場合には、用紙を一旦停止させ、用紙種を設定し直し再度画像の形成をやり直すことにより、不適切な設定の用紙に印字することによるジャム、画像不良、定着不良を防止できる。自動で再設定を行なうため、ユーザーがプリントされた用紙をみた後に画像形成をやり直すという不都合も発生せず、また、ユーザーに再設定をしてもらう不便を防止できる。
第2の局面に従えば、画像形成装置において、用紙種検出センサーは、タイミングローラーの上流側に配置されており、画像形成条件が異なる用紙種である場合にはタイミングローラーの位置よりも上流側で用紙を停止させた状態で画像の再形成を開始してもよい。用紙種検出センサーがタイミングローラーの上流側に配置されており、画像形成条件が異なる用紙種である場合には、タイミングローラーの位置よりも上流側で用紙を停止させた状態で画像の再形成を開始することにより、画像の先端位置ずれを防止できる。
第3の局面に従えば、画像形成装置において、画像形成装置において、用紙種検出センサーで検出した用紙種と、選択されている用紙種とが同じ画像形成条件で印字できる場合には、設定どおりの画像形成条件のまま印字を継続してもよい。用紙種検出センサーで検出した用紙種と、選択されている用紙種とが同じ画像形成条件で印字できる場合には、設定どおりの画像形成条件のまま印字を継続することにより、印字に問題ないことを確認した上で用紙に印字することが可能となる。
第4の局面に従えば、画像形成装置において、用紙種設定画面に用紙種を自動設定する自動設定モードを設け、自動設定モードが選択されている場合には、用紙種を検出後に画像形成を開始するようにしてもよい。用紙種設定画面に用紙種を自動設定する自動設定モードを設け、自動設定モードが選択されている場合には、用紙種を検出後に画像形成を開始することにより、中間転写ベルト上のトナーをクリーニングする必要がなく、素早く用紙種を検出し画像形成に移行することができる。
第5の局面に従えば、画像形成装置において、用紙種設定画面に用紙種を自動設定するモードを設け、自動設定モードが選択されている場合は、用紙種センサーまでの用紙搬送速度は各用紙種の最低速度で搬送されてもよい。自動設定モードが選択されている場合は、用紙種検出センサーまでの用紙搬送速度を各用紙種の最低速度で搬送することにより、用紙種検出センサーに到達するまでのジャムを防止できる。
第6の局面に従えば、画像形成装置において、用紙種設定画面に用紙種を自動設定するモードを設け、自動設定モードにおいて用紙種を検出したジョブ後から給紙カセット脱着までの間は、用紙種検出センサーで検出した用紙種の設定に切り替えてもよい。自動設定モードにおいて用紙種を検出したジョブ後から給紙カセット脱着までの間は、用紙種検出センサーで検出した用紙種の設定に切り替えることにより、用紙種が変更されていないと仮定して検出後におけるジョブの1枚目の用紙排出速度を早くすることができる。
第7の局面に従えば、画像形成装置において、自動設定モードが選択されていない場合にも用紙種を監視し、選択している用紙種と異なる画像形成条件の用紙が通紙されてきた場合は、タイミングローラーの上流側で用紙を停止させ、自動で用紙種を設定し直し画像の形成をやり直してもよい。自動設定モードが選択されていない場合にも用紙種を監視し、選択している用紙種と異なる画像形成条件の用紙が通紙されてきた場合は、タイミングローラーの上流側で用紙を停止させ、自動で用紙種を設定し直し画像の形成をやり直すことにより、用紙の混載や間違った設定時のジャム、画像不良、定着不良を防止できる。
第8の局面に従えば、画像形成装置において、ジョブの1枚目の用紙で画像形成条件が異なる用紙であることを検出した場合は、プロセス速度を各用紙種の最高速に切り替えて回転してもよい。ジョブの1枚目の用紙で画像形成条件が異なる用紙であることを検出した場合は、プロセス速度を各用紙種の最高速に切り替えて回転することにより、中間転写ベルト上のトナーを早くクリーニングでき、再画像形成への復帰時間を早くできる。
第9の局面に従えば、二次転写ローラーを圧接離間可能な画像形成装置において、用紙種検出センサーで画像形成条件が異なる用紙であることを検出した場合は、二次転写ローラーを離間してもよい。二次転写ローラーが圧接離間可能な画像形成装置である場合は、用紙種検出センサーで画像形成条件が異なる用紙であることを検出した場合に、二次転写ローラーを離間することで、二次転写ローラーの汚れを防止できる。
第10の局面に従えば、画像形成装置において、用紙種検出センサーで画像形成条件が異なる用紙であることを検出した場合は、中間転写ベルト上のトナーが二次転写ローラー位置を通過してから用紙種に合わせたプロセス速度に切り替えてもよい。二次転写ローラーが圧接離間可能な画像形成装置である場合は、用紙種検出センサーで画像形成条件が異なる用紙であることを検出した場合に、中間転写ベルト上のトナーが二次転写ローラー位置を通過するまでは各用紙種の最高速で駆動し、二次転写ローラー位置を通過後に用紙種に合わせたプロセス速度に切り替えることで再画像形成への復帰時間を早くできる。
第11の局面に従えば、二次転写ローラーが圧接離間できない画像形成装置において、画像形成条件が異なる用紙であることを検出した場合は、二次転写ローラーのクリーニング時間経過後に、用紙種に合わせたプロセス速度に切り替えてもよい。二次転写ローラーが圧接離間できない画像形成装置において、画像形成条件が異なる用紙であることを検出した場合に、二次転写ローラーのクリーニング時間経過後に、用紙種に合わせたプロセス速度に切り替えることにより、一次転写ローラーなどでの画像不良の発生を防止できる。
第12の局面に従えば、画像形成装置において、2枚目以降の用紙で画像形成条件が異なる用紙であることを検出した場合は、異なることを検出した用紙より前の画像形成処理を完了してからプロセス速度を切り替えてもよい。ジョブの2枚目以降の用紙で画像形成条件が異なる用紙であることを検出した場合は、異なることを検出した用紙より前の画像形成処理を完了してからプロセス速度を切り替えることにより、正しく設定された用紙の印字に影響を与えることを防止できる。
第13の局面に従えば、画像形成装置において、自動設定モードが選択されていない場合に、選択されている用紙種と異なる用紙が通紙されてきた場合は、タイミングローラー上流側で用紙を停止させ用紙種の再設定をユーザーに促すようにしてもよい。自動設定モードが選択されていない場合に、選択されている用紙種と異なる用紙が通紙されてきた場合は、タイミングローラー上流側で用紙を停止させ用紙種の再設定をユーザーに促すことにより、ユーザーに間違った設定をしていることを理解してもらうことが可能となる。
第14の局面に従えば、画像形成装置において、用紙種が異なり用紙種の再設定を促す場合は、用紙種検出センサーで検出した用紙種を推奨するようにしてもよい。用紙種が異なり用紙種の再設定を促す場合は、用紙種検出センサーで検出した用紙種を推奨することにより、次回以降の用紙種選択時に間違いを防止できる。
第15の局面に従えば、画像形成装置において、用紙種検出センサーは用紙厚みを検出するセンサーであってもよい。用紙種検出センサーとして、用紙厚みを検出するセンサーとすることにより、用紙厚みから簡単に用紙種を算出して設定できる。
第16の局面に従えば、画像形成装置において、用紙厚み検出センサーを用紙の印字面側および非印字面側に配置し、両側のセンサーにつながるアクチュエータを接触させ搬送経路に配置してもよい。用紙厚み検出センサーを用紙の印字面側および非印字面側に配置し、両側のセンサーにつながるアクチュエータを接触させ搬送経路に配置することにより、用紙の姿勢によらず正確に用紙厚みを検出することが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。