JP6918416B2 - 二重壁 - Google Patents

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本発明は、界壁と、界壁の前方に空気層を介して壁板を設けて形成された付加壁とを備えた壁構造である二重壁に関する。
戸境壁、間仕切り壁等の界壁と、界壁の前方に空気層を介してせっこうボード等の壁板を設けて形成された付加壁とを備えた、所謂、二重壁が知られている(特許文献1等参照)。
特開2009−203639号公報
従来の二重壁においては、部屋を広くするために、界壁と壁板との間で形成される空気層の間隔を小さくした場合、空気層の空気ばねによる共振周波数が低くなる。例えば、空気層の間隔を50mm程度にした場合、空気層の空気ばねによる共振周波数が100Hz帯域となるため、100Hz帯域における遮音性能の低下が生じていた。
本発明は、部屋を広くできるとともに、空気層の空気ばねによる共振周波数の影響に基づく遮音性能の低下を抑制できる二重壁を提供する。
本発明に係る二重壁は、界壁と、界壁の前方に空気層を介して壁板を設けて形成された付加壁とを備え、かつ、空気層の空気ばねによる共振周波数が100Hz帯域〜125Hz帯域となる壁構造である二重壁において、空気層に、密度8kg/m〜密度16kg/mの多孔質繊維吸音材を備えたことを特徴とするので、部屋を広くできるとともに、空気層の空気ばねによる共振周波数の影響に基づく遮音性能の低下、即ち、100Hz帯域〜125Hz帯域における遮音性能の低下を抑制できる二重壁を提供できる。
また、付加壁を構成する壁板の上端面と天井スラブ面とを離間させるとともに、付加壁を構成する壁板の下端面と床面とを離間させたことを特徴としたり、付加壁を構成する壁板の上端面と天井スラブ面とを接触させるとともに、付加壁を構成する壁板の下端面と床面とを接触させたことを特徴としたり、付加壁を構成する壁板の上端面と天井スラブ面との間、付加壁を構成する壁板の下端面と床面との間のうち、一方を離間させ、他方を接触させたことを特徴とするので、部屋を広くできるとともに、空気層の空気ばねによる共振周波数の影響に基づく遮音性能の低下、即ち、100Hz帯域〜125Hz帯域における遮音性能の低下を抑制できる二重壁を提供できる。
た、多孔質繊維吸音材は、不織布、又は、グラスウール、又は、ロックウールであることを特徴とするので、部屋を広くできるとともに、空気層の空気ばねによる共振周波数の影響に基づく遮音性能の低下、即ち、100Hz帯域〜125Hz帯域における遮音性能の低下を抑制できる二重壁を提供できる。
二重壁を備えた建物を示す縦断面図。 二重壁を備えた建物を示す縦断面図。 二重壁を備えた建物を示す縦断面図。 音響透過損失の測定実験に用いた二重壁を説明するための正面図。 音響透過損失の測定実験に用いた二重壁を説明するための側面図。 音響透過損失の測定実験結果を示す数値データ表。 音響透過損失の測定実験結果を示すグラフ。 音響透過損失の測定実験結果を示すグラフ。
実施形態1
図1乃至図3に示すように、実施形態1の二重壁3を備えた建物1は、床構造2と、二重壁3と、天井構造4と、部屋10とを備える。
図1,図2に示すように、床構造2としての二重床は、床スラブ12と、床スラブ12の上に所定の間隔で配置された防振ゴム付きの複数の支持脚13と、複数の支持脚13の上に形成された床板構成部14とを備えた構成であり、床下空間9は、床スラブ12と床板構成部14との間の空間である。
支持脚13は、床スラブ12上に設置される防振ゴム15と、下部が防振ゴム15に取付けられて防振ゴム15に支持される支柱16と、支柱16の上端部に設けられた台座17とを備える。支柱16の上部の外周面は図外の雄ねじ部に形成される。台座17は、例えば、パーティクルボード、あるいは、構造用合板で形成される。台座17は、台座17の上下面に貫通する図外の貫通孔を備え、この貫通孔内には当該貫通孔を上下に貫通する筒体18gが固定され、この筒体18gの内周面は図外の雌ねじ部に形成される。
つまり、支持脚13は、支柱16の上部の外周面に形成された雄ねじ部の雄ねじと筒体18gの内周面に形成された雌ねじ部の雌ねじとのねじ嵌合により、台座17が支柱16に対して上下に移動可能に構成され、台座17のレベル(高さ)を調整して床板構成部14のレベル(高さ)を調整できる構成である。
床板構成部14は、支持脚13の上に形成された基材18と、基材18の上に形成された下地材19と、下地材19の上に形成された床仕上げ材20とを備える。
基材18と台座17とが図外の固定手段により固定され、基材18と下地材19とが図外の固定手段により固定される。尚、当該固定手段及び後述する固定手段としては、例えば、釘、スクリュー釘、タッカー針、ビス等が用いられる。
基材18は、複数の支持脚13の台座17上に載置されて水平面を形成するように並べられ固定手段により台座17に固定された複数の板材により構成される。基材18を構成する板材としては、例えば、パーティクルボード、構造用合板等を用いる。
下地材19は、基材18の上に載置されて水平面を形成するように並べられ固定手段により基材18に固定された複数の板材により構成される。下地材19を構成する板材としては、例えば、パーティクルボード、強化パーティクルボード(通常のパーティクルボードよりもプレス圧を大きくして硬く形成されたパーティクルボード)、構造用合板、せっこうボード、珪酸カルシウム板、ガラス繊維不織布入りせっこうボード等を用いる。
下地材19の上面に床仕上げ材20が取付けられる。床仕上げ材20は、フローリング床材、カーペット、タイル、絨毯、石板、畳等により構成される。
図3に示すように、床構造2としての直貼り床は、躯体床としての床スラブ12の床面に、フローリング床材、カーペット、タイル、絨毯、石板、畳等の床仕上げ材20を直接貼り付けた直貼り工法によって形成された床構造であって、床下空間を備えない床構造である。当該直貼り床の場合、床仕上げ材20により床板構成部14が構成される。
二重壁3は、例えば、RC(鉄筋コンクリート)壁により形成された界壁5としての戸境壁50と、当該戸境壁50と対向するように戸境壁50の前方に空気層6を介して壁板7としてのせっこうボード70を設けて形成された付加壁75とを備え、かつ、戸境壁50とせっこうボード70との間に形成された空気層6の空気ばねによる共振周波数が100Hz帯域となる壁構造であって、空気層6に、密度8kg/m〜密度16kg/mの多孔質繊維吸音材としての不織布60を備えた壁構造である。
例えば、空気層6の間隔が50.5mm、せっこうボード70のボード厚が9.5mm、戸境壁50の表面からせっこうボード70の室内側表面までの距離(=仕上げ厚さ)が60mmであり、せっこうボード70の界壁側表面(裏面)の全面に、厚さ50mmの板状に形成された密度8kg/m又は密度16kg/mの不織布60が貼り付けられたことにより、空気層6に、密度8kg/m又は密度16kg/mの不織布60が設けられた構成の二重壁3とした。
付加壁75は、床板構成部14又は床スラブ12に取付けられた床側ランナー31、天井スラブ41に取付けられた天井側ランナー32、床側ランナー31及び天井側ランナー32に取付けられた複数の下地柱(スタッド)33、下地柱33に取付けられた壁板7としてのせっこうボード70、せっこうボード70の表面に設けられたクロス,塗装等の壁仕上げ材71により構成された壁である。
せっこうボード70は、床側ランナー31の凹部及び天井側ランナー32の凹部に建て込まれた複数の下地柱33により形成された下地面34に図外のビス等で取付けられる。そして、下地面34に取付けられたせっこうボード70の表面に壁仕上げ材71が設けられて付加壁75が構築される。即ち、界壁5の前方に設けられる壁下地材は、床側ランナー31と、天井側ランナー32と、床側ランナー31及び天井側ランナー32に取付けられた複数の下地柱33,33…とで構成される。
尚、下地面34に取付けられたせっこうボード70の下端側の表面には巾木76が取り付けられる。この巾木76の下端面とせっこうボード70の下端面とがほぼ同一面上に位置される。
また、巾木76の下端面及びせっこうボード70の下端面と床板構成部14の上面とが間隔S1を隔てて離間するように構成される(図1乃至図3参照)。
界壁5の前方に設けられた壁下地材の一部を構成する床側ランナー31、及び、天井側ランナー32は、例えば、長尺な方向と直交する方向に切断された断面が凹形状の長尺材により形成される。即ち、床側ランナー31、及び、天井側ランナー32は、長尺な帯板状の基板(底板)35と、基板35の両方の長辺縁より同じ方向に延長して当該基板に対して垂直又は略垂直に設けられた側板36,37とを有し、当該基板35と両方の側板36,37とで囲まれた凹部を備えた構成である。
天井側ランナー32は、凹部の開口を下に向けて天井スラブ41のスラブ面における複数の下地柱33の上端の設置予定位置に配置されて基板35がアンカーボルト等の固定手段39により天井スラブ41に固定される。
尚、図1は、床施工を先行する床先行工法により構築された建物1を示し、図2は、壁施工を先行する壁先行工法により構築された建物1を示している。
床先行工法により構築された建物1の場合、床側ランナー31は、凹部の開口を上に向けて下地材19における戸境壁50に近い端面側の下地材19上における複数の下地柱33の下端の設置予定位置に配置されて基板35が図外のスクリュー釘等の固定手段38により当該下地材19に固定される。そして、床仕上げ材20における戸境壁50に近い端面と床側ランナー31の部屋10側の側板36とが間隔S2を隔てて離間するように構成される。また、基材18及び下地材19における戸境壁50に近い端面と戸境壁50とが間隔S3を隔てて離間するように構成される。
また、壁先行施工により構築された建物1の場合、床側ランナー31は、凹部の開口を上に向けて床スラブ12上における複数の下地柱33の下端の設置予定位置に配置されて基板35がアンカーボルト等の固定手段39により床スラブ12に固定される。そして、床板構成部14における戸境壁50に近い端面と下地柱33の前面(部屋10側の表面)とが間隔S4を隔てて離間するように構成される。
さらに、図3に示したような、床構造2が直貼り床により構成された建物1の場合、床側ランナー31は、凹部の開口を上に向けて床スラブ12上における複数の下地柱33の下端の設置予定位置に配置されて基板35がアンカーボルト等の固定手段39により床スラブ12に固定される。そして、床仕上げ材20(床板構成部14)における戸境壁50に近い端面と床側ランナー31の部屋10側の側板36とが間隔S5を隔てて離間するように構成される。
天井構造4は、天井スラブ41に設けられた吊ボルト42と、吊ボルト42に取付けられた野縁受保持具としてのハンガー43、野縁受44、野縁取付具45、野縁46、野縁46に取付けられた天井ボード、化粧板等の天井板47を備えた構成であり、天井裏空間8は、天井スラブ41と天井板47との間の空間である。即ち、天井構造4は、天井スラブ41に埋設されたインサートナット48に吊ボルト42を締結して吊ボルト42を天井スラブ41より下方に突出するように設け、吊ボルト42にハンガー43を取付け、ハンガー43に野縁受44を取付け、野縁取付具45により野縁46を野縁受44に取付け、そして、野縁46の下に天井板47がビス等で取付けられて構成される。
図1に示した床先行工法により構築された建物1では、空気層6と天井裏空間8、及び、空気層6と床下空間9とを空気が流通可能なように連通させ、かつ、二重壁3の空気層6に、密度8kg/m又は密度16kg/mの多孔質繊維吸音材としての不織布60を備えた構成とした。この場合、空気層6と天井裏空間8とを連通させる連通手段は、せっこうボード70の上端70tと天井側ランナー32の部屋10側の側板36の下端と下地柱33との間の開口により形成され、かつ、空気層6と床下空間9とを連通させる連通手段は、上述した間隔S3で形成された開口により形成される。尚、当該床先行工法により構築された建物1においては、図1の床側ランナー31の部屋10側の側板36に図外の貫通孔を形成して、当該貫通孔、及び、上述した間隔S2,S1を介して空気層6と室内空間10Xとを空気が流通可能なように連通させる構成としてもよい。
また、図2に示した壁先行工法により構築された建物1では、空気層6と天井裏空間8、空気層6と床下空間9、及び、空気層6と室内空間10Xとを空気が流通可能なように連通させ、かつ、二重壁3の空気層6に、密度8kg/m〜密度16kg/mの多孔質繊維吸音材としての不織布60を備えた構成とした。この場合、空気層6と天井裏空間8とを連通させる連通手段は、せっこうボード70の上端70tと天井側ランナー32の部屋10側の側板36の下端と下地柱33との間の開口により形成され、かつ、空気層6と床下空間9とを連通させる連通手段は、せっこうボード70の下端と床側ランナー31の部屋10側の側板36の上端と下地柱33との間の開口により形成され、さらに、空気層6と室内空間10Xとを連通させる連通手段は、上述した間隔S4,S1で形成された開口により形成される。
また、図3に示したような、床構造2が直貼り床により構成された建物1では、空気層6と天井裏空間8、及び、空気層6と室内空間10Xとを空気が流通可能なように連通させ、かつ、二重壁3の空気層6に、密度8kg/m〜密度16kg/mの多孔質繊維吸音材としての不織布60を備えた構成とした。この場合、空気層6と天井裏空間8とを連通させる連通手段は、せっこうボード70の上端70tと天井側ランナー32の部屋10側の側板36の下端と下地柱33との間の開口により形成され、かつ、空気層6と室内空間10Xとを連通させる連通手段は、上述した床側ランナー31の部屋10側の側板36に形成された図外の貫通孔、及び、上述した間隔S5,S1で形成された開口により形成される。この場合、床側ランナー31の図外の貫通孔は、例えば、床側ランナー31の部屋10側の側板36において床仕上げ材20の端部の端面と対向する位置に形成される。
また、せっこうボード70を天井側ランナー32の位置まで延長させて、せっこうボード70の上端側の裏面と天井側ランナー32の部屋10側の側板36の外面とを接触させる構造とする場合がある。この場合、天井側ランナー32の部屋10側の側板36に図外の貫通孔を設け、当該貫通孔を介して空気層6と天井裏空間8とを空気が流通可能なように連通させた構成としてもよい。
また、図2に示した壁先行工法により構築された建物1の場合において、せっこうボード70を床側ランナー31の位置まで延長させて、せっこうボード70の下端側の裏面と床側ランナー31の部屋10側の側板36の外面とを接触させる構造とする場合がある。この場合、床側ランナー31の部屋10側の側板36に図外の貫通孔を設け、当該貫通孔を介して空気層6と床下空間9とを空気が流通可能なように連通させた構成としてもよい。
実施形態2
実施形態1では、空気層6と天井裏空間8、及び、空気層6と室内空間10Xとを空気が流通可能なように連通させた構成の二重壁3、即ち、付加壁75を構成するせっこうボード70(壁板7)の上端面と天井スラブ面とを離間させた構成(せっこうボード70の上端面と天井スラブ面との間に間隔(隙間=開口)を設けた構成)とするとともに、付加壁75を構成するせっこうボード70の下端面と床面とを離間させた構成(せっこうボード70の下端面と床面との間に間隔(隙間=開口)を設けた構成)の二重壁3を説明したが、付加壁75を構成するせっこうボード70の下端面と床面とを接触させた構成、あるいは、付加壁75を構成するせっこうボード70の上端面と天井スラブ面と接触させた構成、あるいは、付加壁75を構成するせっこうボード70の下端面と床面と接触させるとともに付加壁75を構成するせっこうボード70の上端面と天井スラブ面と接触させた構成の二重壁3としてもよい。
即ち、付加壁75を構成するせっこうボード70(壁板7)の上端面と天井スラブ面との間、付加壁75を構成するせっこうボード70の下端面と床面との間のうち、一方を離間させ、他方を接触させた構成の二重壁3としたり、あるいは、付加壁75を構成するせっこうボード70の上端面と天井スラブ面とを接触させるとともに(せっこうボード70の上端面と天井スラブ面との間に間隔(隙間=開口)を設けないような構成とするとともに)、付加壁75を構成するせっこうボード70の下端面と床面とを接触させた構成とした(せっこうボード70の下端面と床面との間に間隔(隙間=開口)を設けないような構成とした)二重壁3としてもよい。
例えば、空気層6と天井裏空間8とを空気が流通しにくい構成とした二重壁3、あるいは、空気層6と室内空間10Xとを空気が流通しにくい構成とした二重壁3、あるいは、空気層6と天井裏空間8とを空気が流通しにくい構成とするとともに、空気層6と室内空間10Xとを空気が流通しにくい構成とした二重壁3であってもよい。
各実施形態1,2における二重壁3の遮音性能を実証するための実験を行った。
即ち、図5に示すように、二重壁3の付加壁75のせっこうボード70のボード厚が9.5mmであり、二重壁3の空気層6の間隔Wが50.5mm(仕上げ厚さ60mm−せっこうボード9.5mm)であって、空気層6の共振周波数fが96Hzとなる二重壁において、空気層6に、異なる密度の多孔質繊維吸音材を設けた複数の二重壁を作製して、当該各二重壁の音響透過損失(値が大きいほど遮音性能が優れている)を測定する実験を行った。即ち、実験に用いた二重壁は、空気層6の空気ばねによる共振周波数が100Hz帯域となる壁構造である。
音響透過損失の測定は、JIS A 1416:2000「実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法」に準拠して行った。測定は固定マイクロホン法を用いて行い、測定対象周波数範囲は1/3オクターブバンド中心周波数63Hz〜4000Hzとした。
具体的には、音源室Mの壁と受音室Lの壁とにそれぞれを10mの四角形の開口となる貫通孔を形成し、当該音源室Mの貫通孔の中心と受音室Lの貫通孔の中心とが一致するようにこれら貫通孔を向かい合わせて、これら貫通孔の間にこれら貫通孔を塞ぐ厚さ100mmのRC壁X(界壁5)を構築し、このRC壁の受音室L側に仕上げ厚さ60mmとなるように複数のせっこうボード70,70…を取付けて付加壁75を形成するようにして(図5参照)、以下の条件を満たす二重壁A群(二重壁A,A1,A2,A3,A4)及びB群(二重壁B,B1,B2,B3,B4)を構築し、これら二重壁の音響透過損失を測定した。また、上述した音源室M及び受音室Lの貫通孔を塞ぐ厚さ100mmのRC壁Xのみの場合の音響透過損失を測定した。尚、付加壁75は、303mm間隔に配置された複数の下地柱(スタッド)33に、910mm×1820mmの大きさのせっこうボード70を複数並ぶように取付けて構築した。
二重壁A群は、図4(a),図5(a)に示すように、付加壁75を形成するせっこうボード70の上辺縁70aと上述した貫通孔の上縁面60a(天井スラブ面)との間、付加壁75を形成するせっこうボード70の下辺縁70bと貫通孔の下縁面60b(床面)との間、付加壁75を形成するせっこうボード70の左辺縁70cと貫通孔の左縁面60cとの間、付加壁75を形成するせっこうボード70の右辺縁70dと貫通孔の右縁面60dとの間に、間隔(隙間=開口)を設けないように、せっこうボード70(壁板7)の上端面と天井スラブ面とを接触させるとともに、せっこうボード70の下端面と床面とを接触させた構成の二重壁群であり、各二重壁の構成は以下のとおりである。
・二重壁A=空気層6に多孔質繊維吸音材を備えていない二重壁
・二重壁A1=せっこうボード70の界壁側表面(裏面)の全面に厚さ50mmの板状に形成された密度8kg/mの多孔質繊維吸音材としての不織布60を貼り付けることにより、空気層6に密度8kg/mの不織布60を備えた構成の二重壁
・二重壁A2=せっこうボード70の界壁側表面の全面に厚さ50mmの板状に形成された密度16kg/mの多孔質繊維吸音材としての不織布60を貼り付けることにより、空気層6に密度16kg/mの不織布60を備えた構成の二重壁
・二重壁A3=せっこうボード70の界壁側表面の全面に厚さ50mmの板状に形成された密度24kg/mの多孔質繊維吸音材としての不織布60を貼り付けることにより、空気層6に密度24kg/mの不織布60を備えた構成の二重壁
・二重壁A4=せっこうボード70の界壁側表面の全面に厚さ50mmの板状に形成された密度48kg/mの多孔質繊維吸音材としてのグラスウール60Aを貼り付けることにより、空気層6に密度48kg/mのグラスウール60Aを備えた構成の二重壁
二重壁B群は、図4(b),図5(b)に示すように、付加壁75を形成するせっこうボード70の上辺縁70aと貫通孔の上縁面60a(天井スラブ面)との間、付加壁75を形成するせっこうボード70の下辺縁70bと貫通孔の下縁面60b(床面)との間に、それぞれ100mmの間隔(隙間)Sを設けて構築された二重壁群(即ち、せっこうボード70(壁板7)の上端面と天井スラブ面とを離間させるとともに、せっこうボード70の下端面と床面とを離間させた構成の二重壁群)であり、各二重壁の構成は以下のとおりである。
・二重壁B=空気層6に多孔質繊維吸音材を備えていない二重壁
・二重壁B1=せっこうボード70の界壁側表面の全面に厚さ50mmの板状に形成された密度8kg/mの多孔質繊維吸音材としての不織布60を貼り付けることにより、空気層6に密度8kg/mの不織布60を備えた構成の二重壁
・二重壁B2=せっこうボード70の界壁側表面の全面に厚さ50mmの板状に形成された密度16kg/mの多孔質繊維吸音材としての不織布60を貼り付けることにより、空気層6に密度16kg/mの不織布60を備えた構成の二重壁
・二重壁B3=せっこうボード70の界壁側表面の全面に厚さ50mmの板状に形成された密度24kg/mの多孔質繊維吸音材としての不織布60を貼り付けることにより、空気層6に密度24kg/mの不織布60を備えた構成の二重壁
・二重壁B4=せっこうボード70の界壁側表面の全面に厚さ50mmの板状に形成された密度48kg/mの多孔質繊維吸音材としてのグラスウール60Aを貼り付けることにより、空気層6に密度48kg/mのグラスウール60Aを備えた構成の二重壁
RC壁X、及び、二重壁A群、二重壁B群の音響透過損失の測定結果による数値データを図6に示し、RC壁X、及び、二重壁A群の音響透過損失の測定結果によるグラフを図7に示し、RC壁X、及び、二重壁B群の音響透過損失の測定結果によるグラフを図8に示す。
測定結果からわかるように、二重壁A群における、中心周波数が100Hzの1/3オクターブバンドの音響透過損失の値を比較してみると、二重壁Aは33.7、二重壁A1は33.2、二重壁A2は33.4、二重壁A3は31.3、二重壁A4は29.7である。即ち、密度8kg/mの不織布60を備えた二重壁A1、密度16kg/mの不織布60を備えた二重壁A2は、密度24kg/mの不織布60を備えた二重壁A3、密度48kg/mのグラスウール60Aを備えた二重壁A4と比べて、100Hz帯域での遮音性能が優れていることがわかる。
尚、空気層6に多孔質繊維吸音材を備えない二重壁Aは、100Hz以下の帯域において遮音性能に優れているが、125Hz帯域〜500Hz帯域の遮音性能が二重壁A1,A2,A3よりも劣っている。
即ち、密度8kg/mの不織布60を備えた二重壁A1や密度16kg/mの不織布60を備えた二重壁A2は、125Hzよりも高い帯域において、RC壁Xよりも遮音性能が高く、125Hz以下の帯域においても、RC壁Xよりも遮音性能が若干低いだけであるので、遮音性能に優れているが、密度24kg/mの不織布60を備えた二重壁A3や密度48kg/mのグラスウール60Aを備えた二重壁A4では、100Hz帯域において遮音性能が低くなるという結果となった。
従って、当該実験によって、せっこうボード70の下端面と床面との間やせっこうボード70の上端面と天井スラブ面との間に隙間を設けないように、せっこうボード70(壁板7)の上端面と天井スラブ面とを接触させるとともに、せっこうボード70の下端面と床面とを接触させて、且つ、空気層6の共振周波数が100Hz帯域となる二重壁において、当該二重壁の空気層6に、密度8kg/m又は密度16kg/mの多孔質繊維吸音材としての不織布60を備えた構成の二重壁、即ち、実施形態2の二重壁によれば、二重壁の空気層の間隔を小さくできて部屋を広くできるようになるとともに、空気層6の空気ばねによる共振周波数が100Hz帯域となる壁構造において、100Hz帯域の遮音性能、及び、100Hz帯域以外の遮音性能に優れた二重壁となることが実証された。
即ち、多孔質繊維吸音材として、密度の大きいものを用いた方が、遮音性能が良いと考えられていたが、密度の小さいものを用いても良好な遮音性能が得られることが、実験により明らかになった。
また、測定結果からわかるように、二重壁B群における、中心周波数が100Hzの1/3オクターブバンドの音響透過損失の値を比較してみると、二重壁Bは35.0、二重壁B1は34.2、二重壁B2は34.5、二重壁B3は32.5、二重壁B4は30.3である。即ち、密度8kg/mの不織布60を備えた二重壁B1、密度16kg/mの不織布60を備えた二重壁B2は、密度24kg/mの不織布60を備えた二重壁B3、密度48kg/mのグラスウール60Aを備えた二重壁B4と比べて、100Hz帯域での遮音性能が優れていることがわかる。
尚、空気層6に多孔質繊維吸音材を備えない二重壁Bは、100Hz以下の帯域において遮音性能に優れているが、125Hz〜1000Hzの帯域の遮音性能が二重壁B1,B2,B3よりも劣っている。
即ち、密度8kg/mの不織布60を備えた二重壁B1や密度16kg/mの不織布60を備えた二重壁B2は、125Hzよりも高い帯域において、RC壁Xよりも遮音性能が高く、125Hz以下の帯域においても、RC壁Xよりも遮音性能が若干低いだけであるので、遮音性能に優れているが、密度24kg/mの不織布60を備えた二重壁B3や密度48kg/mのグラスウール60Aを備えた二重壁B4では、100Hz帯域において遮音性能が低くなるという結果となった。
従って、当該実験によって、せっこうボード70の下端面と床面との間やせっこうボード70の上端面と天井スラブ面との間にそれぞれ100mmの間隔Sが設けられて、且つ、空気層6の共振周波数が100Hz帯域となる二重壁において、当該二重壁の空気層6に、密度8kg/m又は密度16kg/mの多孔質繊維吸音材としての不織布60を備えた構成の二重壁、即ち、実施形態1の二重壁によれば、二重壁の空気層の間隔を小さくできて部屋を広くできるようになるとともに、空気層6の空気ばねによる共振周波数が100Hz帯域となる壁構造において、100Hz帯域の遮音性能、及び、100Hz帯域以外の遮音性能に優れた二重壁となることが実証された。
尚、付加壁75を構成するせっこうボード70(壁板7)の上端面と天井スラブ面との間、付加壁75を構成するせっこうボード70の下端面と床面との間のうち、一方を離間させ、他方を接触させた構成の二重壁については、実験を行わなかったが、上述の実験結果から、当該構成の二重壁であっても、部屋を広くできるとともに、空気層の空気ばねによる共振周波数の影響に基づく遮音性能の低下を抑制できる二重壁となると考えられる。
尚、上記では、二重壁の空気層6に、密度8kg/m又は密度16kg/mの不織布60を備えた構成の二重壁を例示したが、二重壁の空気層6に、密度8kg/m又は密度16kg/mのグラスウール、又は、ロックウール等のその他の多孔質繊維吸音材を備えた構成の二重壁としてもよい。
また、二重壁の空気層6に、密度8kg/m〜密度16kg/mの多孔質繊維吸音材を備えた構成の二重壁としてもよい。尚、例えば、板状に形成された不織布としては、密度16kg/m密度24kg/m、密度32kg/m、密度40kg/m、密度48kg/m、密度64kg/m、密度96kg/mのものが市販されているが、密度8kg/m〜密度16kg/mの範囲中の任意の密度の不織布を作製して用いればよい。
また、上記では、空気層6の空気ばねによる共振周波数が100Hz帯域となる二重壁の空気層6に、密度8kg/m〜密度16kg/mの多孔質繊維吸音材を備えた構成の二重壁を例示したが、例えば、二重壁の空気層の間隔が、60.5mm(仕上げ厚さ70mm−せっこうボード9.5mm)〜50.5mm(仕上げ厚さ60mm−せっこうボード9.5mm)であって、空気層の共振周波数が125Hz帯域となる二重壁の空気層6に、密度8kg/m〜密度16kg/mの多孔質繊維吸音材を備えた構成の二重壁としてもよい。
以上のような構成の二重壁であっても、二重壁の空気層の間隔を小さくできて部屋を広くできるようになるとともに、空気層の空気ばねによる共振周波数が100Hz帯域〜125Hz帯域となる壁構造において、100Hz帯域〜125Hz帯域の遮音性能、及び、100Hz帯域〜125Hz帯域以外の遮音性能に優れた二重壁を得られると推測できる。
5 界壁、6 空気層、7 壁板、60 不織布(多孔質繊維吸音材)、
60A グラスウール(多孔質繊維吸音材)。

Claims (5)

  1. 界壁と、界壁の前方に空気層を介して壁板を設けて形成された付加壁とを備え、かつ、空気層の空気ばねによる共振周波数が100Hz帯域〜125Hz帯域となる壁構造である二重壁において、
    空気層に、密度8kg/m〜密度16kg/mの多孔質繊維吸音材を備えたことを特徴とする二重壁。
  2. 付加壁を構成する壁板の上端面と天井スラブ面とを離間させるとともに、付加壁を構成する壁板の下端面と床面とを離間させたことを特徴とする請求項1に記載の二重壁。
  3. 付加壁を構成する壁板の上端面と天井スラブ面とを接触させるとともに、付加壁を構成する壁板の下端面と床面とを接触させたことを特徴とする請求項1に記載の二重壁。
  4. 付加壁を構成する壁板の上端面と天井スラブ面との間、付加壁を構成する壁板の下端面と床面との間のうち、一方を離間させ、他方を接触させたことを特徴とする請求項1に記載の二重壁。
  5. 多孔質繊維吸音材は、不織布、又は、グラスウール、又は、ロックウールであることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の二重壁。
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