JP6788351B2 - 建物 - Google Patents
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二重壁を備えた建物においては、部屋を広くするため、界壁と壁板との間の間隔(以下、「二重壁の空気層の間隔」という)を70mm以下程度にしていたが、この場合、界壁と壁板との間の閉じた空間により形成された空気層の空気ばねによる共振周波数が125Hz帯域となるため、125Hz帯域における遮音性能の低下が生じていた。
そこで、二重壁の空気層の空気ばねによる共振周波数をオクターブバンドで63Hz帯域以下とするために二重壁の空気層の間隔を90mm以上程度にして、オクターブバンドの125Hz帯域における遮音性能低下を抑制するようにしていた。
しかしながら、二重壁の空気層の間隔を90mm以上程度にした場合、部屋が狭くなる。
本発明は、二重壁の125Hz帯域での遮音性能の低下を抑制できるとともに、二重壁の空気層の間隔を小さくできて部屋を広くできるようにした建物を提供する。
において、m=6.2kg/m2〜11.5kg/m2、h=0.07m以下、という条件を満たす場合に、天井裏空間及び床下空間と空気層とを空気が流通可能なように連通させ、床下空間と空気層とを連通させる連通路は、床スラブの上に所定の間隔で配置された複数の支持脚の上に形成された床板構成部の下面より上方に位置された付加壁を構成する壁板の下端と床スラブに固定された床側ランナーとの間の間隔で形成された開口により構成されたことを特徴とするので、二重壁の空気層の空気ばねによる共振の影響を小さくすることができて、二重壁の125Hz帯域での遮音性能低下を抑制できるようになるとともに、二重壁の空気層の間隔を小さくできて部屋を広くできるようになる。
また、互いに隣接する部屋の二重壁の空気層同士を空気が流通可能なように連通させたことを特徴とするので、二重壁の空気層の空気ばねによる共振の影響を小さくすることができて、二重壁の125Hz帯域での遮音性能低下を抑制できるようになるとともに、二重壁の空気層の間隔を小さくできて部屋を広くできるようになる。
さらに、空気を流通可能とする開口の面積が、部屋の界壁の面積の10%以上であることを特徴とするので、二重壁の空気層の空気ばねによる共振の影響を小さくすることができて、二重壁の125Hz帯域での遮音性能低下を抑制できるようになるとともに、二重壁の空気層の間隔を小さくできて部屋を広くできるようになる。
図1,2に示すように、実施形態1の建物1は、床構造としての二重床2と、界壁5の前方に空気層6を介して壁板7を設けて形成された付加壁75を有した構造である二重壁3と、天井構造4とを備え、空気層6が閉じた空間である場合の二重壁3の共振周波数fを算出するための以下の算出式(1)、(2)において、
m=6.2kg/m2〜11.5kg/m2、
h=0.07m以下、
という条件を満たす場合に、天井裏空間8及び床下空間9の少なくとも一方の空間と二重壁3の空気層6とを空気が流通可能なように連通させた構造の建物である。
つまり、支持脚13は、支柱16の上部の外周面に形成された雄ねじ部の雄ねじと筒体18gの内周面に形成された雌ねじ部の雌ねじとのねじ嵌合により、台座17が支柱16に対して上下に移動可能に構成され、台座17のレベル(高さ)を調整して床板構成部14のレベル(高さ)を調整できる構成である。
基材18と台座17とが図外の固定手段により固定され、基材18と下地材19とが図外の固定手段により固定される。尚、当該固定手段及び後述する固定手段としては、例えば、釘、スクリュー釘、タッカー針、ビス等が用いられる。
基材18は、複数の支持脚13の台座17上に載置されて水平面を形成するように並べられ固定手段により台座17に固定された複数の板材により構成される。基材18を構成する板材としては、例えば、パーティクルボード、構造用合板等を用いる。
下地材19は、基材18の上に載置されて水平面を形成するように並べられ固定手段により基材18に固定された複数の板材により構成される。下地材19を構成する板材としては、例えば、パーティクルボード、強化パーティクルボード(通常のパーティクルボードよりもプレス圧を大きくして硬く形成されたパーティクルボード)、構造用合板、せっこうボード、珪酸カルシウム板、ガラス繊維不織布入りせっこうボード等を用いる。
下地材19の上面に床仕上げ材20が取付けられる。床仕上げ材20は、フローリング床材、カーペット、タイル、絨毯、石板、畳等により構成される。
せっこうボード70は、床側ランナー31の凹部及び天井側ランナー32の凹部に建て込まれた複数の下地柱(スタッド)33により形成された下地面34に図外のビス等で取付けられる。そして、下地面34に取付けられたせっこうボード70の表面に壁仕上げ材71が設けられて付加壁75が構築される。
天井側ランナー32は、凹部の開口を下に向けて天井スラブ41のスラブ面における複数の下地柱33の上端の設置予定位置に配置されて天井スラブ41にアンカーボルト等の固定手段39により固定される。
床先行工法により構築された建物1の場合、床側ランナー31は、凹部の開口を上に向けて下地材19上における複数の下地柱33の下端の設置予定位置に配置されて下地材19に図外のスクリュー釘等の固定手段38により固定される。
また、壁先行施工により構築された建物1の場合、床側ランナー31は、凹部の開口を上に向けて床スラブ12上における複数の下地柱33の下端の設置予定位置に配置されて床スラブ12に図外のアンカーボルト等の固定手段39により固定される。
また、天井構造4の天井裏空間8と二重壁3の空気層6とを連通させる連通路は、例えば図1,図2に示すように、二重壁3を形成するせっこうボード70の上端70tと天井スラブ41との間の間隔で形成された開口により形成される。
尚、当該開口の開口面積は、部屋の界壁の面積の10%以上とすることが好ましい。
即ち、実施形態1では、上述した算出式(1)、(2)における、付加壁の面密度m=6.2kg/m2〜11.5kg/m2、二重壁の空気層6の間隔h=0.07m以下、という条件を満たす場合に、天井裏空間8及び床下空間9の少なくとも一方の空間と二重壁3の空気層6とを空気が流通可能なように連通させた二重壁3を備えた建物1とした。
上述した算出式(1)、(2)において、m=6.2kg/m2〜11.5kg/m2、h=0.07m以下、という条件を満たす場合に、互いに隣接する部屋の二重壁3,3の空気層6,6同士を空気が流通可能なように連通させた構成の建物1としてもよい。
例えば、図3及び図3のA部の詳細図に示すように、居室10と浴室11とが互いに隣接するように形成されている場合において、居室10の戸境壁50側に形成された二重壁3の空気層6と浴室11の戸境壁50側に形成された二重壁3の空気層6とが連通するように形成する。
例えば、居室10と浴室11とを区切るために間柱81の両面にせっこうボード82,82等を取付けて構成された間仕切り壁80の端面80sを戸境壁50に突き当てずに、当該間仕切り壁80の端面80sと二重壁3を形成するせっこうボード70の戸境壁50側板面70sとが例えば同一平面上に位置され、当該間仕切り壁80の端面80sと戸境壁50との間の間隔で形成された開口により、居室10の戸境壁50側に形成された二重壁3の空気層6と浴室11の戸境壁50側に形成された二重壁3の空気層6とが矢印Fに示すように連通するように構成されている。
尚、当該開口の開口面積は、部屋の界壁の面積の10%以上とすることが好ましい。
このように、互いに隣接する部屋の二重壁3の空気層6同士を空気が流通可能なように連通させた構成とすることで、互いに隣接する各部屋の二重壁3の空気層6の空気ばねによる共振の影響を小さくすることができて、実施形態1と同様に、二重壁3の125Hz帯域での遮音性能低下を抑制できるようになるとともに、二重壁3の空気層6の間隔を小さくできて部屋を広くできるようになる。
即ち、実施形態2では、上述した算出式(1)、(2)における、付加壁の面密度m=6.2kg/m2〜11.5kg/m2、二重壁の空気層6の間隔h=0.07m以下、という条件を満たす場合に、互いに隣接する部屋の二重壁3の空気層6同士を空気が流通可能なように連通させた二重壁3を備えた建物1とした。
実施形態1の内容と実施形態2の内容とを組み合わせることにより、二重壁3の125Hz帯域での遮音性能低下をより抑制できるようになるとともに、二重壁3の空気層6の間隔を小さくできて部屋を広くできるようになる。
即ち、実施形態3では、上述した算出式(1)、(2)における、付加壁の面密度m=6.2kg/m2〜11.5kg/m2、二重壁の空気層6の間隔h=0.07m以下、という条件を満たす場合に、天井裏空間8及び床下空間9の少なくとも一方の空間と二重壁3の空気層6とを空気が流通可能なように連通させるとともに、互いに隣接する部屋の二重壁3の空気層6同士を空気が流通可能なように連通させた二重壁3を備えた建物1とした。
即ち、上述した算出式(1)、(2)における、付加壁の面密度m=6.2kg/m2〜11.5kg/m2、二重壁の空気層6の間隔h=0.07m以下、という条件を満たす二重壁3を作製し、音響透過損失を測定する実験を行った。
二重壁Bは、図4(b)に示すように、付加壁75を形成するせっこうボード70の上辺縁70aと貫通孔の上縁面60aとの間、付加壁75を形成するせっこうボード70の下辺縁70bと貫通孔の下縁面60bとの間、付加壁75を形成するせっこうボード70の左辺縁70cと貫通孔の左縁面60cとの間、付加壁75を形成するせっこうボード70の右辺縁70dと貫通孔の右縁面60dとの間に、それぞれ100mmの間隔Sを設けて構築された二重壁である。二重壁Bにおいて、当該間隔Sによる開口の面積は、音源室の壁と受音室の壁とに形成された貫通孔を塞ぐ厚さ100mmのRC壁(界壁5)の面積の10%とした。
二重壁Cは、図4(c)に示すように、付加壁75Aを形成するせっこうボード70の上辺縁70aと貫通孔の上縁面60aとの間に900mmの間隔S1を設けるとともに、付加壁75Aを形成するせっこうボード70の下辺縁70bと貫通孔の下縁面60bとの間、付加壁75Aを形成するせっこうボード70の左辺縁70cと貫通孔の左縁面60cとの間、付加壁75Aを形成するせっこうボード70の右辺縁70dと貫通孔の右縁面60dとの間に、それぞれ100mmの間隔Sを設けて構築された二重壁である。
測定結果からわかるように、せっこうボード70の外縁面と貫通孔の縁面との間に間隔を設けない二重壁Aと比べて、せっこうボード70の外縁面と貫通孔の縁面との間に間隔を設けた二重壁B,Cの場合、音響透過損失の1/3オクターブバンドの100Hz帯域(オクターブバンドの125Hz帯域に含まれる)の音響透過損失の値が大きくなり、遮音性能に優れた二重壁が得られることが判明した。即ち、せっこうボード70の外縁面と貫通孔の縁面との間に間隔(開口)を設けた場合、オクターブバンドの125Hz帯域での遮音性能の低下を抑制できるとともに、空気層の間隔を小さくできて部屋を広くできる二重壁を構築できることがわかった。
また、二重壁Bの音響透過損失測定結果からわかるように、間隔で形成された貫通孔の面積を、音源室の壁と受音室の壁とに形成された貫通孔を塞ぐ厚さ100mmのRC壁(界壁5)の面積の10%以上とすることで、音響透過損失の1/3オクターブバンドの100Hz帯域の音響透過損失の値が大きくなり、オクターブバンドの125Hz帯域での遮音性能の低下を抑制できる遮音性能に優れた二重壁が得られ、かつ、二重壁Cの音響透過損失測定結果からわかるように、空気を連通させる間隔、即ち開口の面積を大きくするほど、音響透過損失の1/3オクターブバンドの100Hz帯域の音響透過損失の値が大きくなり、オクターブバンドの125Hz帯域での遮音性能の低下をより抑制できる遮音性能に優れた二重壁が得られることが判明した。
S,S1 間隔(開口)。
Claims (3)
- 鉄筋コンクリート壁により形成された界壁の前方に空気層を介して壁板を設けて形成された付加壁を有した構造である二重壁を備えた建物であって、
空気層が閉じた空間である場合の二重壁の共振周波数を算出するための以下の算出式(1)、(2)において、
m=6.2kg/m2〜11.5kg/m2、
h=0.07m以下、
という条件を満たす場合に、天井裏空間及び床下空間と空気層とを空気が流通可能なように連通させ、
床下空間と空気層とを連通させる連通路は、床スラブの上に所定の間隔で配置された複数の支持脚の上に形成された床板構成部の下面より上方に位置された付加壁を構成する壁板の下端と床スラブに固定された床側ランナーとの間の間隔で形成された開口により構成されたことを特徴とする建物。
- 互いに隣接する部屋の二重壁の空気層同士を空気が流通可能なように連通させたことを特徴とする請求項1に記載の建物。
- 空気を流通可能とする開口の面積が、部屋の界壁の面積の10%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建物。
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