JP6915733B2 - トウプリプレグおよび複合材料補強圧力容器の製造方法 - Google Patents

トウプリプレグおよび複合材料補強圧力容器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、トウプリプレグ、複合材料補強圧力容器及びその製造方法に関するものであり、例えば、圧力容器、及び、スポーツ用品、自動車、航空機、緊張材等の一般産業用途に好適に利用することができるトウプリプレグ、複合材料補強圧力容器及びその製造方法に関するものである。
自動車等の移動体に搭載する圧縮天然ガスや水素の貯蔵タンクには、その軽量性からタンクライナー(以下、「ライナー」という。)を繊維強化複合材料で補強した圧力容器が利用されている。繊維強化複合材料に使用される強化繊維としてはガラス繊維、炭素繊維等がある。中でも炭素繊維は比強度が高いため圧力容器軽量化のメリットが大きく、特に圧縮天然ガスの貯蔵タンクよりも高い耐圧性能が要求される、水素の貯蔵タンクに好適に使用されている。
繊維強化複合材料を用いた圧力容器(以下、「複合材料補強圧力容器」と称することがある。)は一般に、フィラメントワインディング(FW)成形によって製造される。FW成形とは、1本、又は複数本引き揃えた強化繊維束にマトリックス樹脂組成物を供給し、含浸させたものを、回転するライナー等のマンドレルへ所定の張力、角度で巻き付けた後、該マトリックス樹脂組成物を硬化させる成形法である。多くの場合は、強化繊維束にマトリックス樹脂組成物を供給して、含浸させる工程(含浸工程)に引き続き、回転するライナー等のマンドレルにこれを巻き付ける工程(FW工程)を連続して行う。
またFW工程の直前で、強化繊維束にマトリックス樹脂組成物を供給し含浸させるのではなく、予め強化繊維束にマトリックス樹脂組成物を含浸させたトウプリプレグを作製しておき、これをFW工程で使用することもできる。この場合、トウプリプレグを回転するマンドレルへ所定の張力、角度で巻き付けていく。
FW成形においてトウプリプレグを使用することで、様々な利点を得ることができる。例えば、トウプリプレグを用いれば、圧力容器の製造過程で未硬化のマトリックス樹脂組成物を取り扱う必要がないため作業環境を向上させることができる。加えて含浸工程を有さないため、FW工程の工程速度を向上させることができる。さらに、マトリックス樹脂組成物の含有率が管理されたトウプリプレグを使用することで、安定的に高性能な成形品を得ることができる。
通常、トウプリプレグは紙管等のボビンに巻き取られ、使用する際には巻かれた状態から解舒される。このとき、高速で解舒するためにはトウプリプレグのタック(べたつき)が弱くなければならない。トウプリプレグのタックを弱くする方法の1つに、強化繊維束に含浸させるマトリックス樹脂組成物として低粘度の樹脂組成物を使用する方法がある(特許文献1)。また、トウプリプレグのタックを弱くし、かつトウプリプレグの柔軟性を良好に保つ方法として、マトリックス樹脂組成物の粘度をトウプリプレグの使用環境温度(通常室温)でべたつかない程度まで高くする方法がある(特許文献2)。
特開平9−087365号公報 特開昭55−015870号公報
トウプリプレグから圧力容器等の製品を製造するに当たり、次の特性が要求される。つまり、所定の量のマトリックス樹脂組成物が強化繊維束に十分含浸されていること、スプールに巻かれた状態から高速で解舒できること、FW工程中にトウプリプレグが折りたたまれたまま、ライナーに巻き付けられる等の不具合が生じないように優れた形態保持性を有すること、FW工程においてガード、ロール等を通過する際に強化繊維束が疵付かない工程通過性を有することが要求される。
しかし、特許文献1に記載された技術のように、単に粘度の低いマトリックス樹脂組成物を使用するだけでは、FW工程中にガイドロール等でトウプリプレグが折りたたまれ、その形態が大きく変化してしまう場合がある。
なお、通常トウプリプレグは数百gから1kg程度の張力をかけて紙管に巻き取るが、この際にトウプリプレグからマトリックス樹脂組成物が絞り出され、紙管側に位置するトウプリプレグより、他方(外周側)に位置するトウプリプレグの方がマトリックス樹脂組成物の含有量が高くなる問題も起きる(以後、当該現象を「巻き絞り」と称す)。
一方、特許文献2に記載された高粘度のマトリックス樹脂組成物等は、強化繊維束に十分含浸させることが困難である。特許文献2ではマトリックス樹脂組成物を溶剤に溶かして強化繊維束に含浸させた後、加熱し乾燥することにより溶剤を除去しているが、この方法では得られたトウプリプレグ中に、溶剤が少なからず残存してしまう。残存した溶剤は当該トウプリプレグを使用して作製した繊維強化複合材料中に空隙を発生させ、その強度、品質を大きく落とす原因となってしまう。
本発明は係る背景に鑑みて成されたものであり、強化繊維束に容易に含浸させることができるマトリックス樹脂組成物によって、スプールからの解舒性、FW工程における工程通過性及び形態保持性に優れたトウプリプレグを得ることを課題とする。
上記課題を解決するため、鋭意検討の結果、本発明者らは特定の条件を満たすトウプリプレグを使用することにより上記課題を解決しうることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係るトウプリプレグは、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含むマトリックス樹脂組成物が強化繊維束に含浸されてなるものである。
成分(A):エポキシ樹脂
成分(B):エポキシ樹脂硬化剤
成分(C):粒子状の塩化ビニル系共重合体。
下記成分(A)、成分(B)及び成分(C’)を含むマトリックス樹脂組成物が含浸しており、かつ、当該マトリックス樹脂組成物が硬化している強化繊維束を補強層とした複合材料補強圧力容器。
成分(A):エポキシ樹脂
成分(B):エポキシ樹脂硬化剤
成分(C’):塩化ビニル系共重合体。
また、本発明に係る複合材料補強圧力容器の製造方法は、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含むマトリックス樹脂組成物を強化繊維束に含浸させる含浸工程と、マトリックス樹脂組成物が含浸した強化繊維束をライナーに巻き付けるフィラメントワインディング工程と、強化繊維束が巻き付いたライナーを加熱し、強化繊維束に含浸したマト
リックス樹脂組成物を硬化させる硬化工程とを含む。
成分(A):エポキシ樹脂
成分(B):エポキシ樹脂硬化剤
成分(C):粒子状の塩化ビニル系共重合体。
本発明によれば、強化繊維束に容易に含浸させることができるマトリックス樹脂組成物によって、スプールからの解舒性、FW工程における工程通過性及び形態保持性に優れたトウプリプレグを提供できるという効果を奏する。
成分(C)としてペースト塩化ビニル樹脂を採用した形態における、加熱温度と粘度の増加との関係を示したグラフである。
<トウプリプレグ>
本発明に係るトウプリプレグは、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含むマトリックス樹脂組成物が強化繊維束に含浸されてなるものである。
成分(A):エポキシ樹脂
成分(B):エポキシ樹脂硬化剤
成分(C):粒子状の塩化ビニル系共重合体。
成分(C):粒子状の塩化ビニル系共重合体は、常温ではマトリックス樹脂組成物中に粒子として存在する。この粒子によって、単繊維同士が密に充填することを防ぐ効果が得られる。これにより強化繊維束中の空隙の体積を大きくして、強化繊維束中により多くのマトリックス樹脂組成物を包含することが可能となる。従って、マトリックス樹脂組成物を強化繊維束に容易に十分な量を含浸させることができる。
また、強化繊維束中により多くのマトリックス樹脂組成物を包含することが可能となることで、トウプリプレグ表層に露出するマトリックス樹脂組成物を減らすことができる。トウプリプレグ表層に露出するマトリックス樹脂組成物を減らすことで、トウプリプレグのタックを抑えることができる。このようにタックが抑えられるので、スプールからの解舒性、FW工程における工程通過性及び形態保持性に優れたトウプリプレグを提供できる。
トウプリプレグとは、数千〜数万本の強化繊維のフィラメントが一方向に配列した強化繊維束に、マトリックス樹脂組成物を含浸させた後、これを紙管等のボビンに巻き取ることにより得られる細幅の中間基材である。なお、本明細書において、このようにボビンに巻き取られたもの、又は、巻き取られた後解舒されたものを「トウプリプレグ」といい、単にマトリックス樹脂組成物が含浸された強化繊維束を「樹脂含浸強化繊維束」という。つまり、「樹脂含浸強化繊維束」にはトウプリプレグから巻き出された、マトリックス樹脂組成物が含浸された強化繊維束も包含される。
本発明に係るトウプリプレグは、後述するマトリックス樹脂組成物を強化繊維束に含浸させることにより得られる。この強化繊維束を構成するフィラメントの繊維径及び本数に特に制限は無いが、繊維径は3μm以上であることが好ましく、また、100μm以下であることが好ましく、本数は1,000本以上であることが好ましく、また、70,000本以下であることが好ましい。なお、本明細書における「繊維径」とは、それぞれの繊維の断面の等面積円相当直径のことである。
繊維径が3μm以上であれば十分な強度が得られ、例えばフィラメントが、各種加工プロセスにおいて、ロール及びボビン等の表面で横移動(繊維の長さ方向と直交する方向への移動。以下同様)を起こす際に、切断したり毛羽だまりが生じたりすることを抑制できる。繊維径が、100μm以下であれば、フィラメントが柔軟性を有するため、良好な屈曲性を有する。
本発明における強化繊維束としては、ガラス繊維、炭素繊維(なお本発明では、黒鉛繊維も炭素繊維に含まれるものとする)、アラミド繊維、ボロン繊維等、通常の繊維強化複合材料に使用される強化繊維を使用することができる。なかでも好ましくはJIS R 7601に準拠したストランド強度が3500MPa以上の炭素繊維、より好ましくはストランド強度4500MPa以上の炭素繊維、より一層好ましくはストランド強度が5000MPa以上の炭素繊維である。特に圧力容器や緊張材として使用する場合、使用する炭素繊維束のストランド強度は、強いほど好ましい。
なお、強化繊維束が炭素繊維束である場合、フィラメントの繊維径は3μm以上であることが好ましく、また、12μm以下であることが好ましい。また、本数は1,000本以上であることが好ましく、また、70,000本以下であることが好ましい。繊維径が3μm以上であれば十分な強度が得られ、例えばフィラメントが、各種加工プロセスにおいて、ロールやスプール等の表面で横移動を起こす際に、切断したり毛羽だまりが生じたりすることを抑制できる。上限については、炭素繊維の製造が容易であるという理由から、通常12μm程度である。
また、本明細書において「エポキシ樹脂」は、分子内に1つ以上のエポキシ基を有する樹脂をいう。
<トウプリプレグの解舒性>
トウプリプレグの製造方法に関しては後述するが、トウプリプレグはシート状のプリプレグとは異なり、フィルム又は離型紙で表面を覆われることなく、ガラス繊維束や炭素繊維束と同様にそのまま紙管等に巻き取って製造すればよい。そして紙管等に巻かれたトウプリプレグを解舒して使用すればよい。
トウプリプレグのタック(べたつき)が強すぎると、解舒時の抵抗が強く高速で解舒ができなかったり、強化繊維束の単糸が取られて上手く解舒できなかったりする問題が生じるが、本発明によって、良好なタックを有するトウプリプレグを提供できる。
<トウプリプレグの形態保持性>
また、トウプリプレグは紙管に、紙管の軸方向に往復させられながら巻き取られていることが多い。このため解舒する際には、解舒されるトウプリプレグの位置が紙管の軸方向に動くため、トウプリプレグの位置を固定するためのガイドを使用する必要がある。使用されるガイドの形状は様々であるが、一般に表面に周方向の溝を有し自由回転するロール又は櫛状のものが使用される。解舒されたトウプリプレグは、ロール表面の溝又は櫛の歯を通過することでその位置が固定される。ロール又は櫛に接触する際にトウプリプレグが折りたたまれることがあるが、トウプリプレグのタックが強いと折りたたまれたまま開かなくなってしまう。また、マトリックス樹脂組成物の粘度が低すぎる等の理由によりトウプリプレグが柔らかすぎると、ロール又は櫛に接触する際のトウプリプレグの形状が変化する場合がある。トウプリプレグの形状が大きく変化してしまうと、これを巻き付け、硬化させて得られる複合材料補強圧力容器の破壊圧力や耐圧サイクル特性に悪影響を及ぼす場合がある。しかし、本発明によれば形態保持性の優れたトウプリプレグを提供することができる。本明細書において「形態保持性」とは、トウプリプレグが他のものと接触した際に形態を保持する性質をいう。例えば、「形態保持性に優れている」とは、他のものと接触したときに、形態が崩れ難いこと、又は、形態が変形しても元の形態に戻り易いことを意味し、「形態保持性に劣る」とは、他のものと接触したときに形態が崩れ易いこと、又は、変形した後に元の形態に戻り難いことを意味する。
<トウプリプレグの工程通過性>
FW工程において、一般にトウプリプレグはガイド又はいくつかのロールを通過してマンドレルへ巻き付けられる。トウプリプレグのタックが強すぎると工程中のロール表面等でトウプリプレグが強く擦過し、強化繊維束が疵付けられる場合がある。強化繊維束が疵付くと、これを用いて作製される複合材料補強圧力容器の破壊圧力や耐圧サイクル特性に悪影響を及ぼす場合がある。しかし、本発明によれば工程通過性の優れたトウプリプレグを提供することができる。本明細書において「工程通過性」とは、このようにトウプリプレグが加工される工程において、当該加工に用いる装置内を通過する際に、強化繊維束が損傷し難い性質をいう。例えば、「工程通過性に優れている」とは、加工等の工程のための装置内を通過した際に損傷が生じ難いことをいい、「工程通過性に劣る」とは、加工等の工程のための装置内を通過した際に損傷が生じ易いことをいう。
<トウプリプレグのタック>
トウプリプレグのタックは、平均最大ストレス値で表すことができる。なお、ストレス値とは、プランジャーと試料の接触面に生じる引張応力を意味し、平均最大ストレス値とは、以下に述べるタック試験により得られる値である。
(タック試験)
装置:タックテスターTA−500(株式会社ユービーエム製)
プランジャーの試料との接触面積:約3.1cm
プランジャー押しつけ時間:10秒間
プランジャー押しつけ圧力:90,000Pa
プランジャー上昇速度:1mm/秒
測定環境温度:23℃
測定環境湿度:50%RH
手順:
(1)トウプリプレグを試料台に置き固定する。この際、プランジャーと接触するトウプリプレグの面は、当該トウプリプレグが紙管に巻かれていたときの内側面(すなわち紙管側の面)とする。
(2)プランジャーに90,000Paの圧力をかけ、トウプリプレグに10秒間押し当てる。
(3)プランジャーを1mm/秒で上昇させる。
(4)プランジャーを上昇させる間のストレス値の最大値を最大ストレス値とし、合計3回測定して、得られた最大ストレス値の平均値を平均最大ストレス値とする。
本発明に係るトウプリプレグにおける平均最大ストレス値は、2kPa以上とすることが好ましく、10kPa以上とすることがより好ましく、また、65kPa以下とすることが好ましく、50kPa以下とすることがさらに好ましい。2kPaより大きくすることで、FW工程においてマンドレルに対する適度な粘着性を有することができ、マンドレルへの巻き付け時に滑る等の問題を回避できる。また平均最大ストレス値を65kPaより小さくすることで、ボビン巻きからの高速解舒が可能になり、また、解舒後のトウプリプレグが折りたたまれたまま、ライナーに巻き付けられることを防止できる。
<トウプリプレグを使用する環境温度におけるマトリックス樹脂組成物の粘度>
トウプリプレグのタックの強弱に影響を与える大きな因子として、トウプリプレグが含有するマトリックス樹脂組成物の粘度が挙げられる。特にトウプリプレグを使用する環境温度でのマトリックス樹脂組成物の粘度が、トウプリプレグのタックに大きな影響を与える。スプールからの解舒性やFW工程における工程通過性、及び形態保持性に優れたトウプリプレグを得るためには、マトリックス樹脂組成物の30℃における粘度が3Pa・sec以上であることが好ましく、5Pa・sec以上であることがより好ましく、また、300Pa・sec以下であることが好ましく、200Pa・sec以下であることがより好ましい。
マトリックス樹脂組成物の30℃における粘度を300Pa・sec以下とすることで、トウプリプレグのタックが強くなりすぎない。またトウプリプレグが適度なドレープ性を有するため、隣接するトウプリプレグ間に空隙を生じさせることなくライナーに巻き付けることができる。また、マトリックス樹脂組成物の30℃における粘度を3Pa・sec以上とすることで、これを含むトウプリプレグは適度なタックを有し、マンドレルに対する適度な粘着性を有することができるため、マンドレルへの巻き付け時に滑る等の問題を回避することができる。またトウプリプレグが柔らかくなりすぎないため、FW工程におけるガイド通過時のトウプリプレグの形状変化を防ぐことができる。
ただし30℃におけるマトリックス樹脂組成物の粘度が3Pa・s以上、300Pa・s以下であったとしても、当該マトリックス樹脂組成物が成分(C)粒子状の塩化ビニル系共重合体を含まない場合、マトリックス樹脂組成物の表面張力の影響が大きくなるため、上述のトウプリプレグの形態保持性、工程通過性、解舒性が低下してしまう。
<マトリックス樹脂組成物の含有量>
トウプリプレグのタックの強弱に影響を与える他の大きな因子として、マトリックス樹脂組成物の含有量が挙げられる。
本発明に係るトウプリプレグにおけるマトリックス樹脂組成物の含有量は、20質量%以上が好ましく、また、40質量%以下が好ましい。20質量%以上にすることで、強化繊維束中に、十分な量のマトリックス樹脂組成物を容易に行き渡らせることができ、成形品に多くの空隙が発生することを防ぐことができる。マトリックス樹脂組成物の含有量を40質量%以下にすることで、タックが強くなりすぎることを防ぐことができる。また繊維強化複合材料の繊維含有体積率を高くできるため、所望の機械的特性を効果的に発現できる。解舒性、工程通過性、形態保持性がより優れ、かつ機械的特性をより効果的に発現させるためには、トウプリプレグにおけるマトリックス樹脂組成物の含有量を20質量%以上、30質量%以下とすることがより好ましい。
<マトリックス樹脂組成物>
本発明に係るトウプリプレグに含まれるマトリックス樹脂組成物、及び、後述の本発明に係る複合材料補強圧力容器の製造方法で用いるマトリックス樹脂組成物は、下記の成分(A)〜(C)を含む。
成分(A):エポキシ樹脂
成分(B):エポキシ樹脂硬化剤
成分(C):粒子状の塩化ビニル系共重合体。
<成分(A)>
成分(A)はエポキシ樹脂であればよい。
成分(A)としては、エポキシ樹脂の中でも、分子内に芳香族環を有する2官能のエポキシ樹脂を主として使用することが好ましい。分子内に芳香族環を有する2官能のエポキシ樹脂を使用することにより、マトリックス樹脂組成物の粘度を適した範囲に調整することができ、かつ硬化物の機械的特性を適正な範囲に調整することができる。なお、「主として」とは、最も量が多いことを意味し、ここでは、成分(A)を2官能のエポキシ樹脂単独とするか、或いは複数種のエポキシ樹脂を含む場合には2官能のエポキシ樹脂の量を最も多くすることが好ましいという意味である。
また、本明細書において「2官能のエポキシ樹脂」とは、分子内に2個のエポキシ基を有する化合物を意味する。
分子内に芳香族環を有する2官能のエポキシ樹脂における芳香族環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環等が挙げられる。
分子内に芳香族環を有する2官能のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ヒドロキノンジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テレフタル酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ノボラックグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、エポキシ樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上のエポキシ樹脂を併用してもよい。
分子内に芳香族環を有する2官能のエポキシ樹脂中でも、マトリックス樹脂組成物の粘度を適した範囲に調整することができ、かつ、硬化物の機械的特性を適正な範囲に調整することができる点から、エポキシ当量が170g/eq以上、200g/eq以下である液状のビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が特に好ましい。
ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂以外にも、耐熱性向上及び粘度調整を目的として、各種のエポキシ樹脂を用いることができる。例えば、3官能以上のエポキシ樹脂、脂肪族骨格をもつエポキシ樹脂等が挙げられる。
3官能のエポキシ樹脂としては、例えば、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、アミノクレゾール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
4官能以上のエポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
脂肪族骨格をもつエポキシ樹脂としては、例えば、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
<成分(B)>
成分(B)は、エポキシ樹脂硬化剤であればよい。エポキシ樹脂硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂を硬化させ得るものであればどのような構造のものでもよい。例えば、アミン、酸無水物(カルボン酸無水物)、フェノール(ノボラック樹脂等)、メルカプタン、ルイス酸アミン錯体、オニウム塩、イミダゾール等が挙げられる。これらの中でも、マトリックス樹脂組成物に均一に相溶可能であること、ポットライフに優れることから、酸無水物及びルイス酸アミン錯体が好ましい。
酸無水物としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物等が挙げられる。
ルイス酸アミン錯体としては、例えば、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等が挙げられ、具体的には、例えば、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・トリエタノールアミン錯体等の三フッ化ホウ素アミン錯体、三塩化ホウ素・オクチルアミン錯体等の三塩化ホウ素アミン錯体が挙げられる。これらのルイス酸アミン錯体の中でも、特に、エポキシ樹脂に対する溶解性が優れ、マトリックス樹脂組成物としたときのポットライフに優れ、硬化性に優れている点で、三塩化ホウ素アミン錯体が好ましい。
<成分(C)>
成分(C)は粒子状の塩化ビニル系共重合体であればよい。成分(C)は、これを含むマトリックス樹脂組成物中に溶解せず、該マトリックス樹脂組成物を強化繊維束に含浸させた後も、粒子状のまま強化繊維束中に存在する。
成分(C)の粒子状の塩化ビニル系共重合体として、好ましくは粒子状のいわゆるペースト塩化ビニル樹脂が挙げられる。ペースト塩化ビニル樹脂は、可塑剤、安定剤等と混合することによりペースト状(塩化ビニルゾル)になる特性を持つ。ペースト塩化ビニル樹脂の製造方法としては、例えば、一般に乳化重合、ミクロ懸濁重合、又は、これの重合方法により得られた粒子を種粒子としてさらに肥大化させるシード乳化重合、シードミクロ懸濁重合で得られる塩化ビニル樹脂ラテックスを噴霧乾燥することにより製造する方法が挙げられる。
ペースト塩化ビニル樹脂は前述した通り可塑剤、安定剤等と混合することによりペースト状(塩化ビニルゾル)になる特性を持つが、エポキシ樹脂と混合し加熱することでも、加熱され低粘度化したエポキシ樹脂が可塑剤の役割を果たし同様にペースト状になる。
トウプリプレグ、及びトウプリプレグを介さず複合材料補強圧力容器の製造する際に形成される樹脂含浸強化繊維束では、成分(C)の粒子状の塩化ビニル系共重合体として使用したペースト塩化ビニル樹脂は粒子状で存在している。粒子として存在するペースト塩化ビニル樹脂を強化繊維束中に含むことで単繊維同士が密に充填することを防ぐ効果が得られる。これにより強化繊維束中の空隙の体積を大きくして、強化繊維束中により多くのマトリックス樹脂組成物を包含することが可能となる。従って、マトリックス樹脂組成物を強化繊維束に容易に十分な量を含浸させることができる。
また、十分な量のマトリックス樹脂組成物が強化繊維束に含浸されていればトウプリプレグ表層に露出するマトリックス樹脂組成物を減らすことができる。トウプリプレグ表層に露出するマトリックス樹脂組成物を減らすことで、トウプリプレグのタックを抑えることができる。このようにタックが抑えられるので、紙管等のスプールからの解舒性、FW成形等の加工工程における工程通過性、及び、形態保持性に優れたトウプリプレグを提供できる。
また、成分(C)は、常温では粒子として存在し、常温より高い温度で、より好適にはトウプリプレグの製造温度より高い温度で、且つ、マトリックス樹脂組成物の硬化温度より低い温度で、マトリックス樹脂組成物中の成分(A)に相溶するものであることがより好ましい。例えば、成分(C)は、このような温度で、成分(A)によって膨潤することにより、成分(C)と成分(A)とが相溶するもの、又は、このような温度で、成分(A)に溶解することで相溶するものであることより好ましい。また、相溶した際にはより均一に混ざり合う物同士であることがさらに好ましい。成分(A)及び成分(C)が十分に混ざった状態で硬化させることができるので、良好に成形物を製造することができる。例えば、質が安定し、かつ、破壊圧力が高い複合材料補強圧力容器を製造することができる。つまり、本発明に係るトウプリプレグとして、常温より高い温度、より好適にはトウプリプレグの製造温度より高く、マトリックス樹脂組成物の硬化温度より低い温度で成分(A)に相溶するものを用いることにより、解舒性、FW工程における工程通過性及び形態保持性に優れたトウプリプレグを使用することができ、且つ、優れた複合材料補強圧力容器を提供することができる。また、上述のペースト塩化ビニル樹脂は、常温では粒子として存在するが、常温より高い温度で、より好適にはトウプリプレグの製造温度より高い温度で、成分(A)のエポキシ樹脂によりペースト塩化ビニル樹脂が膨潤して、成分(A)のエポキシ樹脂と相溶することとなる。なお、上記のトウプリプレグの製造温度とは、例えば強化繊維束に対してマトリックス樹脂組成物を含浸させるときの温度であり、50℃以上150℃以下が好ましく、80℃以上130℃以下がより好ましい。
トウプリプレグの製造方法、及び複合材料補強圧力容器の製造方法に関しては後述するが、強化繊維束へマトリックス樹脂組成物を供給、含浸させる際にはマトリックス樹脂組成物の粘度をより低くするために加温することがより好ましい。成分(C)としてペースト塩化ビニル樹脂を採用する場合には、当該加温の温度で塩化ビニルゾルとならないことがより好ましい。具体的にはエポキシ当量が170g/eq以上、200g/eq以下である液状のビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂中へ均一にペースト塩化ビニル樹脂を分散させたペースト塩化ビニル樹脂分散エポキシ樹脂が、40℃環境下で1時間加温されても塩化ビニルゾルとならない性質のものであることがより好ましい。当該性質を有することにより、トウプリプレグの製造時、又は、複合材料補強圧力容器の製造時における、マトリックス樹脂組成物の増粘を防止できるため、強化繊維束へマトリックス樹脂組成物を供給、含浸させることが容易となる。
また、トウプリプレグ、及びトウプリプレグを介さず直接、樹脂含浸強化繊維束から所望の成形物を得るためには、例えばマンドレルに巻かれたトウプリプレグ又は樹脂含浸強化繊維束に含まれるマトリックス樹脂組成物が硬化するよう加熱する。成分(C)が、この加熱によって成分(A)に相溶することを確認することがより好ましい。
成分(C)が、加熱によって成分(A)に相溶することを確認する方法としては特に限定されないが、例えば、成分(C)としてペースト塩化ビニル樹脂を採用する場合、当該ペースト塩化ビニル樹脂が成分(A)に相溶しているかどうかは、未硬化のマトリックス樹脂組成物を昇温粘度測定することにより概ね判断可能である。具体的には以下の条件でマトリックス樹脂組成物の昇温粘度測定を行い、図1に示すように硬化反応に起因する粘度増加が生じるまでに、ペースト塩化ビニル樹脂が成分(A)に相溶することに起因する粘度増加が生じていれば、成形時の加熱・硬化の際に、当該ペースト塩化ビニル樹脂が成分(A)に概ね相溶可能であると判断できる。
〔マトリックス樹脂組成物の昇温粘度測定条件〕
装置:AR−G2(ティー・エー・インスツルメント社製)
使用プレート:35mmΦパラレルプレート
プレートギャップ:0.5mm
測定周波数:10rad/秒
昇温速度:2℃/分
ストレス:3000dynes/cm
なお、図1は、成分(C)としてペースト塩化ビニル樹脂を採用した形態において、成分(A)に相溶することを確認するために、加熱温度と粘度の増加との関係を示したグラフである。図1において、グラフ上の実線は成分(C)としてペーストPVC(塩化ビニル樹脂)を添加したマトリックス樹脂組成物の温度と粘度との関係を示し、破線は成分(C)を含まないマトリックス樹脂組成物の温度と粘度との関係を示す。図1に示すように、成分(C)としてペーストPVCを添加したマトリックス樹脂組成物の場合には、マトリックス樹脂組成物の硬化反応に起因する増粘が起こる温度より低い温度で、ペースト塩化ビニル樹脂が成分(A)に相溶することに起因する粘度増加が生じる。
成分(C)が、常温では粒子として存在し、常温より高い温度で、且つ、マトリックス樹脂組成物の硬化温度より低い温度で、マトリックス樹脂組成物中の成分(A)に相溶する性質を有するものである場合、常温、すなわち比較的低温のマトリックス樹脂組成物中には粒子状で存在する。そのため、当該マトリックス樹脂組成物を含浸させてなるトウプリプレグは、表面のタックが高くなり過ぎず、結果的に解舒性や取扱い性に優れたトウプリプレグが得られる。また、成分(C)として当該性質を有する物を用いて繊維強化複合材料を製造することで、成分(C)と成分(A)とが十分に混和されるので、粒子の存在に起因するボイドが発生することなく高強度な成形品を得ることができる。従って、本発明に係るトウプリプレグを用いて製造された複合材料補強圧力容器は、高い破壊圧力を達成することもできる。
成分(C)としては、上述の通りペースト塩化ビニル樹脂が望ましく、中でも好適に使用可能であるペースト塩化ビニル樹脂の、重合体組成、分子量、ガラス転移温度、溶解度パラメーター等の各種因子については特に限定されるものではないが、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合により得られたペースト塩化ビニル樹脂がより好ましい。このようなペースト塩化ビニル樹脂は、成分(A)との膨潤による相溶をより容易に実現できる。従って、100℃以上、120℃以下の比較的低温から成分(A)と成分(B)との反応が進行する場合には、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合により得られたペースト塩化ビニル樹脂がより好適に使用可能である。また、さらに成分(C)として2種以上のペースト塩化ビニル樹脂を併用してもよい。
マトリックス樹脂組成物中の成分(C)の配合量は、成分(A)100質量部に対して1質量部以上であることがより好ましく、また、30質量部以下であるがより好ましい。トウプリプレグが含むマトリックス樹脂組成物の含有量が多くなるほど、また、トウプリプレグが含むマトリックス樹脂組成物の粘度が高くなるほど、トウプリプレグのタックを上述の好適な範囲とするために成分(C)の粒子状の塩化ビニル系共重合体の配合量を多くする必要がある。成分(C)の配合量を、成分(A)100質量部に対して1質量部以上とすることで、トウプリプレグのタックが強くなりすぎることを防ぐことができ、30質量部以下とすることで、トウプリプレグのタックが弱くなりすぎることを防ぐことができ、また、当該トウプリプレグを使用して作製した成形品に空隙が多量に生じることを防ぐことができる。
成分(C)をマトリックス樹脂組成物の他の成分と混練する際には、公知の混練装置を用いることができる。当該公知の混練装置としては、例えば、らいかい機、アトライタ、プラネタリミキサー、ディゾルバー、三本ロール、ボールミル及びビーズミルが挙げられる。また、これらは2種以上を併用することができる。
本発明に係るトウプリプレグに含まれるマトリックス樹脂組成物を得るための混練を行う場合には、成分(C)をマトリックス樹脂組成物中に均一に分散させるために、成分(C)を比較的濃度の高い(希釈率の低い)配合で混練を行なってマスターバッチ化しておき、後で他成分を追加することが好ましい。また、混練による剪断発熱等で、系内の温度が上がる場合には、冷却しながら混練する等の、混練中に温度を上げない操作をすることが好ましい。
成分(C)として好適に使用可能なペースト塩化ビニル樹脂は、市販品ではPCH−72、PCH−12、PCH−843、PCH−175、PSL−31、PSL−275、PSL−290R等のカネカ株式会社製のペーストPVC、R750、R751、R850、R950、R650等の東ソー株式会社製のリューロンペースト等が挙げられる。
<任意成分>
本発明に係るトウプリプレグに含まれるマトリックス樹脂組成物、及び、後述の本発明に係る複合材料補強圧力容器の製造方法で用いるマトリックス樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、周知の各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤とは、熱可塑性エラストマー、エラストマー微粒子、コアシェル型エラストマー微粒子、希釈剤、シリカ等の無機粒子、カーボンナノチューブ等の炭素質成分、リン化合物等の難燃剤、脱泡剤等であるがこれらに限らない。
また、マトリックス樹脂組成物の耐熱性を低下させることなく靱性を向上させるために、コアシェル型エラストマー微粒子を添加することが好ましい。コアシェル型エラストマー微粒子として市販品として入手可能なものとしては「メタブレン」(三菱レイヨン株式会社製)や、「スタフィロイド」(アイカ工業株式会社製)、「パラロイド」(ダウケミカル社製)等が挙げられる。コアシェル型エラストマー微粒子はエポキシ樹脂に予め分散されたマスターバッチ型のエポキシ樹脂としても入手することができ、このようなコアシェル型エラストマー分散エポキシ樹脂としては、「カネエース」(株式会社カネカ製)や「アクリセットBPシリーズ」(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。マトリックス樹脂組成物の調製時間を短縮するだけでなく、マトリックス樹脂組成物中のゴム粒子の分散状態を良好にすることができるのでコアシェル型エラストマー分散エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
<トウプリプレグの製造方法>
本発明のトウプリプレグは公知の製造方法で作製することができるが、中でも以下の工程(1)〜(4)を経て製造することが好ましい。
工程(1):スプールから引き出した強化繊維束に張力をかけ、(必要に応じて加熱して)拡幅する。
工程(2):拡幅された強化繊維束の少なくとも片面に、(必要に応じて加熱した)マトリックス樹脂組成物を定量(強化繊維束単位量当たり、マトリックス樹脂組成物が所定の量となるように)供給する。
工程(3):供給したマトリックス樹脂組成物を強化繊維束へ含浸させ、樹脂含浸強化繊維束とする。
工程(4):樹脂含浸強化繊維束を(必要に応じて室温程度まで冷却して)紙管等のボビンに巻き取る。
マトリックス樹脂組成物を含浸させる強化繊維束は、拡幅され扁平形状であることが好ましい。強化繊維束が拡幅され扁平形状であれば、マトリックス樹脂組成物との接触面積が広くなる。
強化繊維束を拡幅する方法としては、円筒バーで擦過させる方法;振動を加える方法;押しつぶす方法等が挙げられる。さらに強化繊維束を拡幅する際は加熱しておくことが好ましい。加熱の温度は炭素繊維に付着しているサイズ剤の種類によるが、50℃以上がより好ましく、また、150℃以下がより好ましい。また拡幅時に強化繊維束を加熱しておくことにより、続く工程(3)において該強化繊維束に含浸させるマトリックス樹脂組成物の温度が低下しないという効果もある。加熱方法としては加熱体との接触加熱、及び赤外線加熱、雰囲気加熱等の非接触加熱法がいずれも使用可能である。
強化繊維束の拡幅はインラインで実施してもオフラインで実施してもよい。例えば市販の拡幅されたテープ状強化繊維束はオフラインで拡幅された強化繊維束とみなされる。
強化繊維束へのマトリックス樹脂組成物の供給方法としては、トウをレジンバス内に通過させてマトリックス樹脂組成物を含浸させた後、オリフィス、ロール等によって余剰のマトリックス樹脂組成物を搾り取り樹脂含有量を調整する「レジンバス法」;回転ロール上にマトリックス樹脂組成物層を形成し、これをトウに転写するような転写ロール式の含浸法(例えばドクターブレードを持つ回転ドラムによる含浸法)である「回転ロール法」;紙上にマトリックス樹脂層を形成し、トウに転写する「紙上転写法」;特開平09−176346号公報、特開2005−335296号公報、特開2006−063173号公報等に記載された「ノズル滴下法」;特開平08−073630号公報、特開平09−031219号公報等に記載された「樹脂接触並びにトウ移動法」;等が挙げられる。
これらの中でも、マトリックス樹脂組成物の供給量の制御や実施の容易さの点で、回転ロール法及び樹脂接触並びにトウ移動法が、マトリックス樹脂組成物の供給方法として好ましい。また、強化繊維束の幅は通常安定しておらず、その広がり方にはばらつきがある。従って、特開平8−73630号公報に記載の通り、強化繊維束を拡幅した後、マトリックス樹脂組成物の接触直前又は接触時にトウ幅を狭めて安定化することが効果的である。具体例としては、樹脂吐出口部、塗工部、又はその直前の位置に所定幅の溝を設けて、強化繊維束を、該溝内を走行させて強化繊維束の幅を狭める方法がある。
強化繊維束へのマトリックス樹脂組成物の含浸方法は、公知の含浸方法を使用することができる。中でも加熱ロール又は熱板等の加熱体に擦過させる方法;マトリックス樹脂組成物が供給された強化繊維束を、加熱炉内すなわち加熱雰囲気内を空走させる方法;赤外線加熱等の非接触加熱手段で加熱する方法;が好ましい。強化繊維束へマトリックス樹脂組成物が供給されてから加熱体により加熱されるまでの間、及び加熱体と加熱体との間で強化繊維束やマトリックス樹脂組成物の温度が下がらないように、非接触加熱手段で加熱しておくことがより一層好ましい。
また、強化繊維束へマトリックス樹脂組成物を含浸させる工程において、強化繊維束へ外力を加えて強化繊維束を構成するフィラメントをロール表面で横移動させること等により、強化繊維束の断面形状を変化させることが好ましい。このような操作により、フィラメント同士の相対位置を変化させて、マトリックス樹脂組成物とフィラメントの接触機会を増やすことができる。結果、単なる加圧や毛細管現象による含浸効果を上回る、均一な含浸効果を上げることができる。
フィラメント同士の相対位置を変化させる操作として、具体的には、強化繊維束を折り畳む、強化繊維束を拡幅する、強化繊維束を縮幅する、又は強化繊維束を加撚する等が挙げられる。これらの操作において、折り畳み操作及び加撚操作は、縮幅操作と同様に強化繊維束の幅を狭める傾向にある。そして強化繊維束の幅を狭める作用を有する操作と、強化繊維束の幅を拡大する操作とを併用すると、均一含浸の効果がより高くなる。なお、加撚はマトリックス樹脂組成物の含浸時に行なえばよく、含浸後に撚りのない状態が必要である場合には、含浸後に撚り戻しをすればよい。また、加撚と同時に又は直後に擦過を加えれば、強化繊維束の幅は広がる傾向となり、更に強化繊維束の厚さ方向にマトリックス樹脂組成物が移動するため、含浸の均一性は高くなる。
フィラメントをロール表面で横移動させる際、強化繊維束の走行速度未満の周速で回転するロールに強化繊維束を接触させて擦過させることは、毛羽の堆積防止及びロールのクリーニングの面から有用である。擦過されていれば強化繊維束はロール表面で絡まりつくこともなく、またロールは強化繊維束で擦られ、かつ回転しているので強化繊維束と接触する面は常にクリーニングされている状態となる。ただし、ロールの周速は強化繊維束の走行速度の50%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、また、99%以下が好ましく、95%以下がより好ましい。ロールの周速が強化繊維束の走行速度に対し50%以上とすることで、擦過の力が弱くなるため強化繊維束の毛羽立ちを抑制することができる。従って、後の工程での巻き付きの発生を抑え、ボビンに巻き取られたトウプリプレグを良好に解舒することができる。
マトリックス樹脂組成物が強化繊維束に均一に含浸されると、作製した繊維強化複合材料の機械的特性が向上し、本発明の効果が十分に得られる。
マトリックス樹脂組成物を均一に含浸させた強化繊維束は、紙管への巻取り工程までに冷却体への擦過や非接触冷却手段等の公知の冷却手段を使用して室温程度まで冷却しておくことが好ましい。冷却することで、紙管等のボビンに巻き取る際に、マトリックス樹脂組成物が好適な高さの粘度を有するため、巻き取る際に滑って巻き形態が乱れることを抑制して、良好に巻き取ることができる。また、冷却することで、トウプリプレグのシェルフライフを長期に延ばすことができる。トウプリプレグのスプールの中では、温度が高い状態が比較的長時間続いてしまい、温度の高い部分が周囲に与える影響でシェルフライフが短くなるおそれがあるが、冷却しておけばこのような問題を生じないからである。
<複合材料補強圧力容器の製造方法>
本発明に係る複合材料補強圧力容器の製造方法は、上述したマトリックス樹脂組成物を強化繊維束に含浸させる含浸工程と、マトリックス樹脂組成物が含浸した強化繊維束をライナーに巻き付けるフィラメントワインディング工程(FW工程)と、強化繊維束が巻き付いたライナーを加熱し、強化繊維束に含浸したマトリックス樹脂組成物を硬化させる硬化工程とを含む。
また、本発明に係る複合材料補強圧力容器の製造方法は、含浸工程とFW工程との間に、マトリックス樹脂組成物が含浸した樹脂含浸強化繊維束をボビンに巻き取る巻き取り工程を有していてもよい。巻き取り工程によりボビンに巻き取られた樹脂含浸強化繊維束は、ライナーに巻き付けられるまでトウプリプレグとして保管される。
複合材料補強圧力容器の製造方法が巻き取り工程を有さない場合、樹脂含浸強化繊維束はトウプリプレグを経ずにライナーに巻き付けられる。一方、複合材料補強圧力容器の製造方法が巻き取り工程を有する場合、樹脂含浸強化繊維束はトウプリプレグとしてライナーに巻き付けられる。
(含浸工程)
含浸工程は、マトリックス樹脂組成物を強化繊維束に含浸させる工程である。
複合材料補強圧力容器の製造方法が巻き取り工程を有さない場合、強化繊維束へのマトリックス樹脂組成物の供給方法及び含浸方法としては特に制限されないが、例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、ドクターブレード等を使用して円柱状のドラムに一定厚さのマトリックス樹脂組成物を塗工して、その上に強化繊維束を接触させてマトリックス樹脂組成物を供給し、ローラー等によりマトリックス樹脂組成物を内部に含浸させる方法;マトリックス樹脂組成物を貯留した容器に強化繊維束を浸漬させた後、バー又はガイド等により不要なマトリックス樹脂組成物をそぎ落とす方法;ディスペンサー等で定量的にマトリックス樹脂組成物を送液して強化繊維束に塗布する方法;等が挙げられる。強化繊維束に余分な樹脂を供給せず、含浸量を目標とする値に正確に管理しつつマトリックス樹脂組成物を強化繊維束に塗布できる点で、ドラム又はディスペンサーを使用する方法が好ましい。
一方、複合材料補強圧力容器の製造方法が巻き取り工程を有する場合も、強化繊維束へのマトリックス樹脂組成物の供給方法及び含浸方法としては、巻き取り工程を有さない場合として前述したマトリックス樹脂組成物の供給方法及び含浸方法が挙げられる。
(巻き取り工程)
巻き取り工程は、樹脂含浸強化繊維束を紙管等のボビンに巻き取る工程である。樹脂含浸強化繊維束をボビンに巻き取る方法としては特に制限されない。ボビンに巻き取られた樹脂含浸強化繊維束は、トウプリプレグとして保管される。
(FW工程)
FW工程は、樹脂含浸強化繊維束(トウプリプレグから巻き出された樹脂含浸強化繊維束を含む)を回転するライナーに巻き付ける工程である。なお、樹脂含浸強化繊維束をライナーに巻き付けて得られたものを「圧力容器中間体」と称すことがある。
上述したように、FW工程では、トウプリプレグを経ずに樹脂含浸強化繊維束をライナーに巻き付けてもよいし、紙管等のボビンに巻き取られた樹脂含浸強化繊維束(トウプリプレグ)をボビンから引き出しながらライナーに巻き付けてもよい。
FW工程で用いるフィラメントワインディング機(FW機)としては、従来公知のものを使用できる。複合材料補強圧力容器を作製する場合には、ライナーをマンドレルとして樹脂含浸強化繊維束を巻き付ける。FW機は、1本の樹脂含浸強化繊維束をマンドレルに巻き付けるものであってもよいし、複数本の樹脂含浸強化繊維束をマンドレルに同時に巻き付けるものであってもよい。
ライナーに樹脂含浸強化繊維束を巻き付ける際には、樹脂含浸強化繊維束の異方性材料としての特質を生かすため、異なる特性を有する複合材料が積層された構造となるように巻き付けることが好ましい。樹脂含浸強化繊維束からなる層、又は、該層が硬化したものを複合材料層という。
本発明においては、複合材料層の構成や厚さ、樹脂含浸強化繊維束をライナーへ巻き付ける角度や張力は、容器の用途や形状、内容物の種類等によって自由に選択することができる。
樹脂含浸強化繊維束の巻き付け方としては、フープ巻きとヘリカル巻きが知られている。慣用として、鏡部及び胴部を補強する繊維強化複合材料層を「ヘリカル層」、胴部を補強する繊維強化複合材料層を「フープ層」と称する。
(硬化工程)
硬化工程は、圧力容器中間体を加熱し、樹脂含浸強化繊維束に含まれるマトリックス樹脂組成物を硬化させる工程である。硬化温度、硬化時間は、マトリックス樹脂組成物の配合組成に応じて決定される。加熱する方法は、真空バッグとヒーターを用いる方法、ラッピングテープを巻き付けて圧力を付与しオーブン中で加熱する方法、圧力容器内部に加圧物質を充填し内圧をかけながら加熱する方法等が用いられる。
<複合材料補強圧力容器>
以上のようにして得られる複合材料補強圧力容器も本発明の範疇である。つまり、本発明に係る複合材料補強圧力容器は、強化繊維束を備え、前記強化繊維束には、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C’)を含むマトリックス樹脂組成物が含浸しており、かつ、当該マトリックス樹脂組成物が硬化している強化繊維束を補強層としている。
成分(A):エポキシ樹脂
成分(B):エポキシ樹脂硬化剤
成分(C’):塩化ビニル系共重合体
成分(C’)は、上述の成分(C)に起因するものであり、複合材料補強圧力容器の一部となっているときには粒子状であった成分(C)が、溶解するなどして非粒子状となっており、好ましくは成分(A)と相溶している。
〔付記事項〕
以上のように、本発明に係るトウプリプレグでは、前記マトリックス樹脂組成物の30℃における粘度が3Pa・s以上、300Pa・s以下であることがより好ましい。
また、本発明に係るトウプリプレグは、前記成分(B)が三塩化ホウ素アミン錯体であることがより好ましい。
また、本発明に係るトウプリプレグでは、前記成分(B)の配合量が、前記成分(A)100質量部に対して5質量部以上、20質量部以下であり、かつ、前記成分(C)の配合量が、前記成分(A)100質量部に対して1質量部以上、30質量部以下であることがより好ましい。
また、本発明に係るトウプリプレグでは、前記成分(C)は、常温で粒子状であり、常温より高い温度で、且つ、前記マトリックス樹脂組成物の硬化温度より低い温度で、前記成分(A)と相溶するものであることがより好ましい。
また、本発明に係るトウプリプレグでは、前記強化繊維束が炭素繊維束であることがより好ましい。
また、本発明に係る複合材料補強圧力容器では、前記トウプリプレグを硬化したものが、金属ライナー又は樹脂ライナーに巻き付いているものであることがより好ましい。
各例で用いた樹脂組成物の原料、調製方法、及び各物性の測定方法を以下に示す。各マトリックス樹脂組成物の組成、及び物性の測定結果を表1〜3にまとめて示す。なお、表1〜3中の各成分の数値は、マトリックス樹脂組成物に配合する各成分の質量部数を表す。但し、本発明の範囲を実施例に限定するものではない。
<原料>
<成分(A)>
・jER828
「製品名」jER828
「成分」ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能エポキシ樹脂;ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂)
(エポキシ当量:189g/eq)
「供給元」三菱化学株式会社
・CY184
「製品名」アラルダイト
「成分」ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル
(エポキシ当量:158g/eq)
「供給元」ハンツマン・ジャパン株式会社。
<任意成分を成分(A)に分散したマスターバッチ型のゴム粒子分散エポキシ樹脂>
・MX−257
「製品名」カネエースMX−257
「成分」ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2官能エポキシ樹脂。エポキシ当量:189g/eq):63質量%、及びブタジエン系コアシェル型ゴム粒子(体積平均粒径:200nm):37質量%
「供給元」株式会社カネカ。
<成分(B)>
・DY9577
「製品名」DY9577
「成分」三塩化ホウ素アミン錯体
「供給元」ハンツマン・ジャパン株式会社。
<成分(C)>
・PSL−290R
「製品名」PSL−290R(ペーストPVC)
「成分」塩化ビニル重合物
「供給元」株式会社カネカ
・PSL−675
「製品名」PSL−675(ペーストPVC)
「成分」塩化ビニル重合物
「供給元」株式会社カネカ
・PSH−24
「製品名」PSH−24(ペーストPVC)
「成分」塩化ビニル重合物
「供給元」株式会社カネカ
・PCH−72
「製品名」PCH−72(ペーストPVC)
「成分」塩化ビニル・酢酸ビニル共重合物
「供給元」株式会社カネカ
・PCH−12
「製品名」PCH−12(ペーストPVC)
「成分」塩化ビニル・酢酸ビニル共重合物
「供給元」株式会社カネカ
・PCH−843
「製品名」PCH−843(ペーストPVC)
「成分」塩化ビニル・酢酸ビニル共重合物
「供給元」株式会社カネカ。
<成分(C)に該当しない粒子>
・102A
「製品名」ポラライト102A
「成分」表面アミノシラン処理カオリン
「供給元」株式会社イメリス ミネラルズ・ジャパン。
<任意成分>
・BYK−A506
「製品名」BYK−A506
「成分」破泡性ポリシロキサン溶液
「供給元」ビックケミージャパン株式会社。
〔実施例及び比較例〕
<実施例1>
(マトリックス樹脂組成物の調製)
75質量部のカネエースMX−257に対して5質量部のペースト塩化ビニル樹脂PCH−12を混合した。当該混合物を、三本ロールミルを使用してさらに混合して、マスターバッチとした。ガラスフラスコにマスターバッチと、25質量部のアラルダイトCY184と、10質量部のDY9577と、0.3質量部のBYK−A506とを秤量し、ウォーターバスを用いて40℃〜50℃程度に加温しながら均一になるまで撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
(トウプリプレグの作製)
強化繊維束として、フィラメント数30,000本の炭素繊維「37−800WD」(三菱レイヨンカーボンファイバーアンドコンポジッツ株式会社製、引張強度5520MPa、引張弾性率255GPa)を用いてトウプリプレグを作製した。
具体的な作製方法を以下に示す。クリールから強化繊維束を送り出し、表面温度が100℃程度に加温された開繊バーを通し、幅を10mmから15mmに拡幅させた。拡幅された強化繊維束を、40℃程度に加温されたマトリックス樹脂組成物が塗工されたタッチロールに接触させ、強化繊維束にマトリックス樹脂組成物を供給した。マトリックス樹脂組成物が供給された強化繊維束を、50〜60℃程度に加温された含浸ロールに擦過させることにより、マトリックス樹脂組成物を強化繊維束内部まで含浸させた後、ワインダーにて紙管に巻き取りトウプリプレグを得た。なお、ドクターブレードとタッチロールとの間のクリアランスを調整することによって、強化繊維束に対する樹脂の付着量(すなわちトウプリプレグの樹脂含有率)を約24質量%に調整した。
(複合材料補強圧力容器の製造)
得られたトウプリプレグを、FW装置を用いて、容量9リットルのアルミニウム製ライナー(全長:540mm、胴部長さ:415mm、胴部外径:163mm、胴部の中央での肉厚:3mm)に巻き付けた。使用したアルミニウム製のライナーは、JIS H 4040のA6061−T6に規定されるアルミニウム素材に熱処理を施した材料からなるものである。
トウプリプレグを、紙管から巻き出し、ガイドロールを介して位置を調整した後に、以下のようにしてライナーへ巻き付けた。
まず、ライナーの胴部に接する一層目として、胴部上にライナーの回転軸方向に対し88.6°をなすよう、トウプリプレグを巻き付けた。その後、ライナーの回転軸方向に対し11.0°の角度でトウプリプレグを巻き付け、ライナーの鏡部を補強するヘリカル層を積層し、以降、表4に示す「ラミネートNo.3〜8」に記載の角度でトウプリプレグ順次をライナーに巻き付けて、圧力容器中間体を作製した。
得られた圧力容器中間体をFW装置から外し、加熱炉内に吊り下げて、炉内温度を2℃/分で110℃まで昇温した後、110℃で2時間保持して硬化させた。その後、炉内温度を1℃/分で60℃まで冷却し、複合材料補強圧力容器を得た。
(トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価)
上記の通りに複合材料補強圧力容器を製造する際、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、及び工程通過性のいずれも問題が生じることなく複合材料補強圧力容器を製造できた場合は「○」、少し問題はあるが凡そ安定して複合材料補強圧力容器を製造できた場合は「△」、いずれかに明らかな問題が生じた場合は「×」と評価した。結果を表2に示す。
(複合材料補強圧力容器の破壊圧力測定試験)
水圧破壊試験機に複合材料補強圧力容器をセットし、複合材料補強圧力容器内に水を満たした後、昇圧速度15MPa/分で複合材料補強圧力容器に水圧を負荷し、複合材料補強圧力容器が破裂したときの水圧を記録して複合材料補強圧力容器の破壊圧力とした。結果を表3に示す。
(タック試験)
トウプリプレグのタックは以下のタック試験で測定した。
装置:タックテスターTA−500(株式会社ユービーエム製)
プランジャーの試料(測定対象であるトウプリプレグ)との接触面積:3.131cm
プランジャー押しつけ時間:10秒間
プランジャー押しつけ圧力:90,000Pa
プランジャー上昇速度:1mm/秒
測定温度:23℃
測定湿度:50%RH
手順:
(1)トウプリプレグを試料台に置き固定する。この際、プランジャーと接触するトウプリプレグの面は当該トウプリプレグが紙管に巻かれていたときに見えていなかった面(すなわち紙管側の面)とする。
(2)プランジャーを、トウプリプレグに90,000Paの圧力をかけて10秒間押し当てる。
(3)プランジャーを1mm/秒で上昇させる。
(4)プランジャーを上昇させる間のストレス値の最大値を最大ストレス値とし、合計5回測定して得られた最大ストレス値の平均値を平均最大ストレス値とした。結果を表1、2、3に示す。
<実施例2>
実施例1で用いたペースト塩化ビニル樹脂PCH−12の配合量を10質量部とした以外は実施例1と同様にマトリックス樹脂組成物を調製し、トウプリプレグの作製、複合材料補強圧力容器の製造、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価、タック試験を行った。結果を表1、2に示す。
<実施例3>
実施例1で用いたペースト塩化ビニル樹脂PCH−12の配合量を15質量部とした以外は実施例1と同様にマトリックス樹脂組成物を調製し、トウプリプレグの作製、タック試験を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
(マトリックス樹脂組成物の調製)
jER828とペースト塩化ビニル樹脂PCH−72とを1:1の比で混合した。当該混合物を三本ロールミルを使用してさらに混合して、マスターバッチとした。ガラスフラスコにマスターバッチ、jER828、DY9577、及びBYK−A506を表2に示す量になるように秤量し、ウォーターバスを用いて40℃〜50℃程度に加温しながら均一になるまで撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
(トウプリプレグの作製、複合材料補強圧力容器の製造、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価、破壊圧力測定試験、タック試験)
実施例1と同様に行った。結果を表1、2、3に示す。
<実施例5>
(マトリックス樹脂組成物の調製)
jER828とペースト塩化ビニル樹脂PCH−72とを1:1の比で混合した。当該混合物を三本ロールミルを使用してさらに混合して、マスターバッチとした。ガラスフラスコにマスターバッチ、jER828、CY184、DY9577、及びBYK−A506を表2に示す量になるように秤量し、ウォーターバスを用いて40℃〜50℃程度に加温しながら均一になるまで撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
(トウプリプレグの作製、複合材料補強圧力容器の製造、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価、タック試験)
実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<実施例6>
(マトリックス樹脂組成物の調製)
75質量部のカネエースMX−257に対して10質量部のペースト塩化ビニル樹脂PCH−72を混合した。当該混合物を三本ロールミルを使用してさらに混合して、マスターバッチとした。ガラスフラスコにマスターバッチ、CY184、DY9577、及びBYK−A506を表2に示す量になるように秤量し、ウォーターバスを用いて40℃〜50℃程度に加温しながら均一になるまで撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
(トウプリプレグの作製、複合材料補強圧力容器の製造、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価、タック試験)
実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<実施例7>
(マトリックス樹脂組成物の調製)
75質量部のカネエースMX−257に対して5質量部のペースト塩化ビニル樹脂PCH−843を混合した。当該混合物を三本ロールミルを使用してさらに混合して、マスターバッチとした。ガラスフラスコにマスターバッチ、CY184、DY9577、及びBYK−A506を表2に示す量になるように秤量し、ウォーターバスを用いて40℃〜50℃程度に加温しながら均一になるまで撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
(トウプリプレグの作製、複合材料補強圧力容器の製造、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価、破壊圧力測定試験、タック試験)
実施例1と同様に行った。結果を表2、3に示す。
<実施例8>
(マトリックス樹脂組成物の調製)
75質量部のカネエースMX−257に対して10質量部のペースト塩化ビニル樹脂PCH−843を混合した。当該混合物を三本ロールミルを使用してさらに混合して、マスターバッチとした。ガラスフラスコにマスターバッチ、CY184、DY9577、及びBYK−A506を表2に示す量になるように秤量し、ウォーターバスを用いて40℃〜50℃程度に加温しながら均一になるまで撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
(トウプリプレグの作製、複合材料補強圧力容器の製造、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価、タック試験)
実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<実施例9>
(マトリックス樹脂組成物の調製)
75質量部のカネエースMX−257に対して10質量部のペースト塩化ビニル樹脂PSL−290Rを混合した。当該混合物を三本ロールミルを使用してさらに混合して、マスターバッチとした。ガラスフラスコにマスターバッチ、CY184、DY9577、及びBYK−A506を表2に示す量になるように秤量し、ウォーターバスを用いて40℃〜50℃程度に加温しながら均一になるまで撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
(トウプリプレグの作製、複合材料補強圧力容器の製造、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価、タック試験)
実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<実施例10>
(マトリックス樹脂組成物の調製)
75質量部のカネエースMX−257に対して10質量部のペースト塩化ビニル樹脂PSL−675を混合した。当該混合物を三本ロールミルを使用してさらに混合して、マスターバッチとした。ガラスフラスコにマスターバッチ、CY184、DY9577、及びBYK−A506を表2に示す量になるように秤量し、ウォーターバスを用いて40℃〜50℃程度に加温しながら均一になるまで撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
(トウプリプレグの作製、複合材料補強圧力容器の製造、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価、タック試験)
実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<実施例11>
(マトリックス樹脂組成物の調製)
75質量部のカネエースMX−257に対して10質量部のペースト塩化ビニル樹脂PSH−24を混合した。当該混合物を三本ロールミルを使用してさらに混合して、マスターバッチとした。ガラスフラスコにマスターバッチ、CY184、DY9577、及びBYK−A506を表2に示す量になるように秤量し、ウォーターバスを用いて40℃〜50℃程度に加温しながら均一になるまで撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
(トウプリプレグの作製、複合材料補強圧力容器の製造、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価、タック試験)
実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<比較例1>
(マトリックス樹脂組成物の調製)
ガラスフラスコにカネエースMX−257、CY184、DY9577、及びBYK−A506を表2に示す量になるように秤量し、ウォーターバスを用いて40℃〜50℃程度に加温しながら均一になるまで撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
(トウプリプレグの作製、複合材料補強圧力容器の製造、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価、タック試験)
実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<比較例2>
(マトリックス樹脂組成物の調製)
ガラスフラスコにjER828、DY9577、及びBYK−A506を表2に示す量になるように秤量し、ウォーターバスを用いて40℃〜50℃程度に加温しながら均一になるまで撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
(トウプリプレグの作製、複合材料補強圧力容器の製造、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価、タック試験)
実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<比較例3>
(マトリックス樹脂組成物の調製)
75質量部のカネエースMX−257に対して5質量部のポラライト102Aを混合した。当該混合物を三本ロールミルを使用してさらに混合して、マスターバッチとした。ガラスフラスコにマスターバッチ、CY184、DY9577、及びBYK−A506を表3に示す量になるように秤量し、ウォーターバスを用いて40℃〜50℃程度に加温しながら均一になるまで撹拌し、マトリックス樹脂組成物を得た。
(トウプリプレグの作製、複合材料補強圧力容器の製造、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の評価、破壊圧力測定試験、タック試験)
実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
Figure 0006915733
Figure 0006915733
Figure 0006915733
Figure 0006915733
表1から、マトリックス樹脂組成物中の成分(C)の添加量の増加に伴い、トウプリプレグの平均最大ストレス値(タック)が低下しており、マトリックス樹脂組成物への成分(C)の添加によりトウプリプレグの平均最大ストレス値(タック)を適正な範囲に調整可能であると分かる。
表2から、マトリックス樹脂組成物の30℃のときの粘度、及びトウプリプレグの平均最大ストレス値(タック)が上述の好ましい範囲である場合に、トウプリプレグの解舒性、形態保持性、及び工程通過性が好ましい状態にあることが分かる。比較例1はマトリックス樹脂組成物中に成分(C)を含まないためタックが強く、FW行程中にトウが折りたたまれたまま開かなくなる等の形態保持性、工程通過性で大きな問題が生じた。また、比較例2ではマトリックス樹脂組成物の30℃のときの粘度が低すぎるため、作製したトウプリプレグは非常に柔らかく、さらに成分(C)を含まないためトウプリプレグの平均最大ストレス値(タック)が上述の好ましい範囲であるにもかかわらず、FW行程中にトウプリプレグが折りたたまれたり、張力がかかったりすると、マトリックス樹脂組成物の表面張力の影響によりトウが非常に細くなり、形態保持性、及び工程通過性で大きな問題が生じた。またさらに、比較例2のトウプリプレグには上述の巻き絞りの現象も見られた。
表3から、本発明に係る複合材料補強圧力容器は高品位であるため優れた破壊圧力を示すことが分かる。比較例3は成分(C)に含まれない粒子として無機粒子のポラライト102Aを使用した。無機粒子はトウプリプレグの解舒性、形態保持性、工程通過性の適正化といった観点では成分(C)と同様の効果を有していることが分かる。しかし、無機粒子のポラライト102Aは成分(C)と異なり複合材料補強圧力容器を成形した後もその粒子形状を維持しており、これに起因した多数空隙が比較例3の複合材料補強圧力容器中に生じている。当該空隙は複合材料補強圧力容器に内圧が付加された際に破壊の起点となるため複合材料補強圧力容器の破壊圧力を著しく低下させてしまう。実際に、比較例3の複合材料補強圧力容器の破壊圧力は低かった。
なお、いずれの実施例においても、上述の方法で容易に強化繊維束にマトリックス樹脂組成物を十分に含浸させることができた。
本発明に係るトウプリプレグ、複合材料補強圧力容器及びその製造方法は、圧力容器に利用することができ、また、スポーツ用品、自動車、航空機、緊張材等の一般産業用途にも利用することができる。

Claims (4)

  1. マトリックス樹脂組成物を含み、
    前記マトリックス樹脂組成物が下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、
    前記成分(C)が、前記成分(C)を含むマトリックス樹脂組成物中に溶解していない、
    トウプリプレグ。
    成分(A):エポキシ樹脂
    成分(B):エポキシ樹脂硬化剤
    成分(C):粒子状の塩化ビニル系共重合体
  2. 前記成分(B)の配合量が、前記成分(A)100質量部に対して5質量部以上、20質量部以下であり、かつ、前記成分(C)の配合量が、前記成分(A)100質量部に対して1質量部以上、30質量部以下である請求項1に記載のトウプリプレグ。
  3. 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含むマトリックス樹脂組成物を強化繊維束に含浸させる含浸工程と、
    マトリックス樹脂組成物が含浸した強化繊維束をライナーに巻き付けるフィラメントワインディング工程と、
    強化繊維束が巻き付いたライナーを加熱し、強化繊維束に含浸したマトリックス樹脂組成物を硬化させる硬化工程とを含み、
    前記成分(C)が、前記成分(C)を含むマトリックス樹脂組成物中に溶解していない、複合材料補強圧力容器の製造方法。
    成分(A):エポキシ樹脂
    成分(B):エポキシ樹脂硬化剤
    成分(C):粒子状の塩化ビニル系共重合体
  4. 前記成分(B)の配合量が、前記成分(A)100質量部に対して5質量部以上、20質量部以下であり、かつ、前記成分(C)の配合量が、前記成分(A)100質量部に対して1質量部以上、30質量部以下である請求項3に記載の複合材料補強圧力容器の製造方法。
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