JP6915107B2 - 微細セルロース含有樹脂組成物 - Google Patents
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すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[2] さらにヘミセルロース(C)を含む、上記態様1に記載の樹脂組成物。
[3] 部分加水分解された微細セルロース(A)が、繊維長/繊維径のアスペクト比30以上の微細セルロース繊維である、上記態様1又は2に記載の樹脂組成物。
[4] 部分加水分解された微細セルロース(A)が、重合度450以上に相当するピークトップ分子量を有し、
部分加水分解された微細セルロース(A)において、前記ピークトップ分子量以下の分子量を有する低分子量成分の量をS1、前記ピークトップ分子量を超える分子量を有する高分子量成分の量をS2としたとき、S1/S2が1.00より大きい、上記態様1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] 前記S1/S2が、1.00より大きく、3.00以下である、上記態様4に記載の樹脂組成物。
[6] 部分加水分解された微細セルロース(A)の平均繊維径が4〜3000nmである、上記態様1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] 部分加水分解された微細セルロース(A)/熱可塑性樹脂(B)の質量比(A)/(B)が0.01〜1である、上記態様1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] 前記樹脂組成物がヘミセルロース(C)を含み、ヘミセルロース(C)/部分加水分解された微細セルロース(A)の質量比(C)/(A)が0.001〜0.2である、上記態様1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] 前記樹脂組成物がヘミセルロース(C)及びリグニン(D)を含み、リグニン(D)/ヘミセルロース(C)の質量比(D)/(C)が0.001〜10である、上記態様1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10] 熱可塑性樹脂(B)がポリアミド系樹脂である、上記態様1〜9のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11] 上記態様1〜10のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法であって、
微細セルロース及び/又は植物繊維を、水を含む状態かつ酸素濃度18体積%以下の雰囲気下で加熱することによって、部分加水分解された微細セルロース(A)を含む配合成分を得ること、及び
前記配合成分と前記熱可塑性樹脂(B)とを組合せること、
を含む、方法。
[12] 上記態様1〜10のいずれかに記載の樹脂組成物の成形体である、摺動性部材。
一態様において、樹脂組成物は、部分加水分解された微細セルロース(A)、及び熱可塑性樹脂(B)を含む。一態様において、樹脂組成物は、部分加水分解された微細セルロース(A)、熱可塑性樹脂(B)、及びヘミセルロース(C)を含む。
部分加水分解された微細セルロース(A)は種々の原料に由来してよい。原料となるセルロースとしては、天然セルロース及び再生セルロースが挙げられる。
一態様において、樹脂組成物は、ヘミセルロース(C)及び/又はリグニン(D)(より典型的には、ヘミセルロース(C)及びリグニン(D)の両者)を更に含む。通常、植物由来の微細セルロースには、ミクロフィブリル同士の間、及びミクロフィブリル束同士の間に、ヘミセルロースと総称される多糖類や、リグニンと総称される芳香族化合物が残存している。本発明においては、微細セルロースの製造工程でこれらの成分を完全に除去するのではなく、好適な範囲内の含有量で残存させることが好ましい。ヘミセルロースは、マンナンやキシランなどの糖で構成される多糖類であり、セルロースと水素結合して、ミクロフィブリル間を結びつける役割を果たしている。また、ヘミセルロースの溶解度パラメータ(SP値)はセルロースよりも疎水性側にあることから、ヘミセルロースは、熱可塑性樹脂と微細セルロースとのSP値差を緩和する効果を有すると考えられる。
また、リグニン(D)の量は、リグニンの含有率が高い天然木材原料に対して、精製処理を施すことで所望の量に減らして調整することもできるし、リグニンの含有率が低い原料を用いた場合は、別の原料から抽出処理して得られたリグニンを添加することで所望の量に調整することができる。このときリグニンの末端などの構造が、精製や抽出処理によって部分的に天然物と異なる形になっていても構わない。
熱可塑性樹脂(B)としては、100℃〜350℃の範囲内に融点を有する結晶性樹脂、又は、100〜250℃の範囲内にガラス転移温度を有する非晶性樹脂が挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、その他の成分として、例えば、酸化防止剤;結晶核剤;相溶化剤;可塑剤;着色剤;香料;顔料;流動調整剤;レベリング剤;導電剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;紫外線分散剤;消臭剤;殺菌剤;難燃剤等の添加剤を配合してもよい。任意の添加剤の含有割合は、本発明の所望の効果が損なわれない範囲で適宜設定してよい。
本発明の樹脂組成物は、種々の製造方法で製造でき、予め重合された市販ポリマー(熱可塑性樹脂(B)として)を微細セルロースと混練してもよいし、微細セルロースの共存下で、熱可塑性樹脂(B)の原料モノマーを重合して樹脂組成物としてもよい。
微細セルロース及び/又は植物繊維を、水を含む状態かつ低酸素濃度雰囲気下で加熱することによって、部分加水分解された微細セルロース(A)を含む配合成分を得ること、及び
該配合成分と熱可塑性樹脂(B)とを組合せること、
を含む。本開示の「低酸素濃度雰囲気」とは、酸素濃度が、好ましくは18体積%以下、より好ましくは10体積%以下、さらに好ましくは5体積%以下、特に好ましくは1体積%以下である雰囲気である。一態様において、上記配合成分は、部分加水分解された微細セルロース(A)の原料由来の、又は別途添加された、ヘミセルロース(C)及び/又はリグニン(D)を更に含む。
微細セルロースの分散液、又は樹脂組成物から樹脂を溶解除去して得た微細セルロースの再分散液を、濃度0.01質量%に希釈してシリコンウェハー上に滴下、乾燥させてから、無作為に選んだ10箇所について、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を微細セルロースの繊維径に応じて10000〜100000倍相当の倍率で行った。得られたSEM画像において、互いに直角をなす縦横2方向のラインを引き、当該ラインに交差する繊維の繊維径を拡大画像から実測し、当該ラインに交差する繊維の個数と各繊維の繊維径とを数えた。こうして得られた、一つの画像につき縦横2系列の測定結果を用いて、数平均繊維径を算出した。さらに抽出した別の9箇所のSEM画像についても同様に数平均繊維径を算出した。10箇所の画像の結果を数平均し、対象とする試料の平均繊維径とした。
上記(1)と同様に、無作為に選んだ10箇所のSEM観察を行った。得られたSEM画像において、互いに直角をなす縦横2方向のラインを引き、当該ラインに交差する繊維の繊維長及び繊維径を拡大画像から実測し、当該ラインに交差する繊維の個数と各繊維の繊維径とを数えた。得られた繊維長及び繊維径からアスペクト比を求め、低アスペクト比の微細セルロースが含まれているか否かを判定した。アスペクト比が高い場合、微細セルロースが屈曲していたり、画像内に全体が収まらないなどして正確なアスペクト比を求められないことがある。しかし、本発明の樹脂組成物においては高アスペクト比であれば効果を発現するため、低アスペクト比の微細セルロースを観察できればよい。アスペクト比を、下記基準で判定した。
◎:10箇所の観察エリアの全てにおいて、アスペクト比30以下の微細セルロースが含まれない。
〇:10箇所の観察エリアのいずれかにおいて、アスペクト比30以下の微細セルロースが含まれる。
△:10箇所の観察エリアの全てにおいて、アスペクト比30以下の微細セルロースが含まれる。
微細セルロースの分子量分布測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で行った。微細セルロースの分散液、又は樹脂組成物から樹脂を溶解除去して得た微細セルロースの再分散液から分散媒を除去し、セルロース残渣をLiCl含有ジメチルアセトアミド溶離液に溶解させ、PTFEカートリッジフィルターでろ過して試料溶液を作製した。
HLC−8120GPC(東ソー製)に、TSKgel guardcolumn Super AW−H(4.6mmI.D.×3.5cm)+Tskgel Super AWM−H(6.0mmI.D.×15cm)×2本(いずれも東ソー製)を接続し、RI検出器でピークを検出した。検量線は標準プルラン(Shodex製)を用いた1次近似直線を使用して、プルラン換算値の分子量を求めた。なお、該分子量をセルロースのモノマー単位である無水グルコースユニット分子量(162)で除することで重合度に換算することもできる。
ヘミセルロースの定量分析は、以下の方法で行った。微細セルロースの分散液、又は樹脂組成物から樹脂を溶解除去して得た微細セルロースの再分散液から分散媒を除去し、セルロース残渣を回収して、105℃で乾燥して得た乾燥試料の質量を、以下の方法で測定した。
ホロセルロース(%)=ホロセルロース画分(g)/試料(無水ベース)(g)×100
αセルロース(%)=αセルロース画分(g)/試料(無水ベース)(g)×100
ヘミセルロース(%)=ホロセルロース(%)−αセルロース(%)
リグニンの定量分析は、以下の方法で行った。上記のヘミセルロース定量分析中に得た脱脂試料300mgに、72質量%硫酸3mLを加え、30℃で1時間静置した後、蒸留水84mLで耐圧びん(125mL容量)に流し入れた。120℃で1時間のオートクレーブ処理を行い、冷める前にガラスフィルターでろ過して酸不溶性リグニンをろ別し、ろ液も回収した。酸不溶性リグニンは蒸留水で洗浄して105℃で乾燥後、酸不溶性リグニン画分の質量を測定し、ろ液は紫外可視分光光度計で吸光度を測定した。
酸不溶性リグニン(%)=酸不溶性リグニン画分(g)/試料量(無水ベース)(g)×100
酸可溶性リグニン(%)=((d×v×(As−Ab))/(a×w))×100
リグニン(%)=酸不溶性リグニン(%)+酸可溶性リグニン(%)
d : 希釈倍率
v : ろ液定容量(L)
As: 試料溶液の吸光度
Ab: ブランク溶液の吸光度
a : リグニンの吸光係数(110L/g・cm)
w : 試料量(無水ベース)(g)
熱可塑性樹脂の数平均分子量測定は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で行った。樹脂種に応じて公知の溶離液を使用できる。ポリアミド樹脂を例に挙げると、樹脂組成物の原料に用いた熱可塑性樹脂をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解、又は樹脂組成物をHFIPに溶解して得た溶液をPTFEカートリッジフィルターでろ過して試料溶液を作製した。溶離液にはトリフルオロ酢酸ナトリウムを0.1mol/%溶解させたヘキサフルオロイソプロパノールを用いた。
HLC−8320GPC(東ソー製)にTSKgel guardcolumn HHR−L(6mmI.D.×4cm)+TSKgel−G2000HHR(7.8mmI.D.×30cm)+TSKgel−G3000HHR(7.8mmI.D.×30cm)各1本(いずれも東ソー製)を接続し、RI検出器でピークを検出し、ポリメタクリル酸メチル換算値の数平均分子量を求めた。
ISO294−3、及びJIS K6920−2に準拠した条件で多目的試験片を射出成型し、原料樹脂(すなわち熱可塑性樹脂単独)及び樹脂組成物(すなわち微細セルロース含有樹脂組成物)の各々について、ISO527に準拠して引張降伏強度を測定した。
なお、ポリアミド系材料は、吸湿による変化が起きるため、成形直後にアルミ防湿袋に保管し、吸湿を抑制した。
上記成形条件で得られた多目的試験片について、往復動摩擦摩耗試験機(東洋精密(株)製AFT−15MS型)、相手材料として、SUS304試験片(直径5mmの球)を用いて、線速度50mm/sec、往復距離50mm、温度23℃、湿度50%で、摺動試験を実施した。摩擦係数は荷重9.8N、往復回数10,000回の試験終了時の値を採用した。また摩耗量は摺動試験後のサンプルの摩耗量(摩耗深さ)を、共焦点顕微鏡(OPTELICS(登録商標) H1200、レーザーテック(株)社製)を用いて測定した。摩耗深さはn=4で測定した数値の平均値とし、小数点第一位で四捨五入した。測定箇所は摩耗痕の端より12.5mmの等しい間隔をあけて実施した。また摩耗深さは数値が低い方が摩耗特性に優れると評価した。
上記成形条件で得られた多目的試験片の色調を目視で評価した。
コットンリンターパルプを裁断後、水で洗浄して不純物を除去した精製パルプを、固形分率が1.5質量%になるように純水中に加え、叩解処理により高度に短繊維化及びフィブリル化させた後、そのままの濃度で高圧ホモジナイザー(操作圧:85MPaにて10回処理)により解繊することにより解繊セルロースを得た。ここで、叩解処理においては、ディスクリファイナーを用い、カット機能の高い叩解刃(以下カット刃と称す)で2.5時間処理した後に解繊機能の高い叩解刃(以下解繊刃と称す)を用いてさらに2時間叩解を実施し、微細セルロース原料1の分散液を得た。
コットンリンターパルプを裁断後、水で洗浄して不純物を除去した精製パルプを、さらに5%水酸化カリウム水溶液に1晩浸漬してヘミセルロースを除去した精製パルプを原料に用いたほかは、製造例1と同様に叩解と高圧ホモジナイザーによる微細化処理を実施し、微細セルロース原料2の分散液を得た。
[製造例3](微細セルロース原料3の調製)
アバカパルプを原料に用いたほかは、製造例1と同様に叩解と高圧ホモジナイザーによる微細化処理を実施し、微細セルロース原料3の分散液を得た。
レンチング・ファイバーズ社より供給されたテンセル(登録商標)カット糸(3mm長)の油剤を水中、界面活性剤添加系での数回の洗浄により十分に落とした短繊維原糸を原料に用いたほかは、製造例1と同様に叩解と高圧ホモジナイザーによる微細化処理を実施し、微細セルロース原料4の分散液を得た。
市販DPパルプ(平均重合度1600)を裁断し、10質量%塩酸水溶液中で、105℃で5分間加水分解した後、濾過、洗浄した中間体を原料に用いたほかは、製造例1と同様に叩解と高圧ホモジナイザーによる微細化処理を実施し、微細セルロース原料5の分散液を得た。
特表平11−513425号の実施例1に記載の方法に従って、細かく刻んだホヤの鞘を水酸化ナトリウムと亜塩素酸ナトリウム溶液で漂白し、ミキサーで撹拌して1質量%の懸濁液を得た。この懸濁液を高圧ホモジナイザー(APV GAULIN社製15MR−8TA)を用いて、45MPaの圧力で15回処理を実施し、微細セルロース原料6の分散液を得た。
コットンリンターパルプを裁断後、水で洗浄して不純物を除去した精製パルプを、固形分率が1.5質量%になるように純水中に加え、叩解処理により短繊維化及びフィブリル化させて、高圧ホモジナイザー処理を行わずに、微細セルロース原料7の分散液を得た。
(実施例1)
微細セルロース原料1の水分散液173質量部と、熱可塑性樹脂モノマー(ε−カプロラクタム)216質量部と、アミノカプロン酸44質量部と、亜リン酸0.59質量部とを、均一な分散液となるまでミキサーで攪拌、混合した。続いて、密閉した反応容器内に窒素を流して空気を置換した。この混合分散液を徐々に加熱し、加熱の途中において水蒸気を排出しながら微細セルロースの部分加水分解を行い、240℃まで温度を上げ、240℃にて1時間攪拌し、重合反応を行った。
重合が終了した時点で得られた樹脂組成物を払い出し、これを切断してペレットとした。得られたペレットを95℃の熱水で精錬し、乾燥させた。射出成形条件は、シリンダ温度250℃、金型温度70℃とした。各種評価を行った結果を表1に示す。
微細セルロース原料1の水分散液520質量部を用いた他は、実施例1と同様に樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
微細セルロース原料1の水分散液867質量部を用いた他は、実施例1と同様に樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
微細セルロース原料1の水分散液1733質量部を用いた他は、実施例1と同様に樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
微細セルロース原料1の水分散液2600質量部を用いた他は、実施例1と同様に樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
微細セルロース原料1の水分散液3467質量部を用いた他は、実施例1と同様に樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
微細セルロース原料2の水分散液867質量部を用いた他は、実施例1と同様に樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
微細セルロース原料3の水分散液520質量部を、240℃、5MPaの条件で1分間処理してから用いた他は、実施例1と同様に樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
微細セルロース原料3の水分散液867質量部を、240℃、5MPaの条件で1分間処理してから用いた他は、実施例1と同様に樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
微細セルロース原料4の水分散液867質量部を用いた他は、実施例1と同様に樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
亜リン酸を添加しなかった他は、実施例4と同様に樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
微細セルロース原料1の水分散液200質量部と、酢酸5質量部とを、オートクレーブに投入し、密閉した反応容器内に窒素を流して空気を置換した。この混合分散液を120℃、3時間加熱した後、室温まで冷却してから遠心脱液、洗浄して、固形分濃度5質量%の含水ケーキを得た。この工程を繰り返し行い、固形分濃度5質量%の含水ケーキを300質量部得た。
シリンダーブロック数が13個ある二軸押出機(STEER社製 OMEGA30H、L/D=60)のシリンダー6に圧力コントロール型の液体注入ノズルを設置し、シリンダー1を水冷、シリンダー2を80℃、シリンダー3を150℃、シリンダー4〜13及びダイスを250℃に設定した。シリンダー1より熱可塑性樹脂PA610を11.4kg/時間の流量で供給し、シリンダー6の液体注入ノズルより、前記固形分濃度5質量%の含水ケーキをポンプで200cc/分の流量で押出機に液添した。シリンダー12で大気圧開放して押出し、微細セルロース含有樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットを95℃の熱水で精錬し、乾燥させた。射出成形条件は、シリンダ温度250℃、金型温度70℃とした。各種評価を行った結果を表1に示す。
熱可塑性樹脂(PA12)を用いた他は、実施例12と同様に樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
微細セルロース原料1の水分散液を遠心脱液して、固形分濃度5質量%の含水ケーキを得た後、密閉式プラネタリーミキサー(株式会社小平製作所製、商品名「ACM−5LVT」、撹拌羽根はフック型)中、70rpmで撹拌し、−0.1MPaの減圧条件で、40℃の温浴をセットし、307rpmで5時間、減圧乾燥処理を行い、微細セルロース原料1の乾燥粉体を得た。該乾燥粉体と熱可塑性樹脂(PA6)とを5:95の割合で混合し、溶融混練しストランド状に押出しして樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
微細セルロース原料1の乾燥粉体と平均分子量が低い熱可塑性樹脂(PA6)とを10:90(質量比)の割合で混合して用いた他は、比較例1と同様に樹脂組成物を製造し、成形と評価を行った。
市販の熱可塑性樹脂(PA6:比較例3)、(PA610:比較例4)、(PA12:比較例5)をそれぞれ単独で用いて、シリンダ温度250℃、金型温度70℃で射出成形し、評価を行った。
各成分及び成形体の性状を表1に示す。
Claims (12)
- 部分加水分解された微細セルロース(A)、熱可塑性樹脂(B)及びヘミセルロース(C)を含む、樹脂組成物の製造方法であって、
前記部分加水分解された微細セルロース(A)は、ミクロフィブリル又はミクロフィブリル束を加水分解処理する工程により、ミクロフィブリル又はミクロフィブリル束の表層の一部のセルロースが加水分解されており、
ヘミセルロース(C)/部分加水分解された微細セルロース(A)の質量比(C)/(A)が0.001〜0.2である、樹脂組成物の製造方法。 - 部分加水分解された微細セルロース(A)、熱可塑性樹脂(B)、ヘミセルロース(C)及びリグニン(D)を含む、樹脂組成物の製造方法であって、
前記部分加水分解された微細セルロース(A)は、ミクロフィブリル又はミクロフィブリル束を加水分解処理する工程により、ミクロフィブリル又はミクロフィブリル束の表層の一部のセルロースが加水分解されており、
リグニン(D)/ヘミセルロース(C)の質量比(D)/(C)が0.001〜10である、樹脂組成物の製造方法。 - 部分加水分解された微細セルロース(A)が、繊維長/繊維径のアスペクト比30以上の微細セルロース繊維である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 部分加水分解された微細セルロース(A)が、重合度450以上に相当するピークトップ分子量を有し、
部分加水分解された微細セルロース(A)において、前記ピークトップ分子量以下の分子量を有する低分子量成分の量をS1、前記ピークトップ分子量を超える分子量を有する高分子量成分の量をS2としたとき、S1/S2が1.00より大きい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。 - 前記S1/S2が、1.00より大きく、3.00以下である、請求項4に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 部分加水分解された微細セルロース(A)の平均繊維径が4〜3000nmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 部分加水分解された微細セルロース(A)/熱可塑性樹脂(B)の質量比(A)/(B)が0.01〜1である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 熱可塑性樹脂(B)がポリアミド系樹脂である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記部分加水分解された微細セルロース(A)は、ミクロフィブリル又はミクロフィブリル束において、内層が加水分解されていない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法で樹脂組成物を得ること、及び
前記樹脂組成物を成形して摺動性部材を得ること、
を含む、摺動性部材の製造方法。 - 部分加水分解された微細セルロース(A)、熱可塑性樹脂(B)及びヘミセルロース(C)を含む、樹脂組成物であって、
前記部分加水分解された微細セルロース(A)は、ミクロフィブリル又はミクロフィブリル束が加水分解処理されることでミクロフィブリル又はミクロフィブリル束の表層の一部のセルロースが加水分解されており、
ヘミセルロース(C)/部分加水分解された微細セルロース(A)の質量比(C)/(A)が0.001〜0.2である、樹脂組成物。 - 部分加水分解された微細セルロース(A)、熱可塑性樹脂(B)、ヘミセルロース(C)及びリグニン(D)を含む、樹脂組成物であって、
前記部分加水分解された微細セルロース(A)は、ミクロフィブリル又はミクロフィブリル束が加水分解処理されることでミクロフィブリル又はミクロフィブリル束の表層の一部のセルロースが加水分解されており、
リグニン(D)/ヘミセルロース(C)の質量比(D)/(C)が0.001〜10である、樹脂組成物。
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