JP2019006997A - 繊維強化樹脂組成物、繊維強化成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量で、且つ強度特性に優れる、繊維強化樹脂組成物、その成形体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース(MFC)系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物であって、前記(A)化学修飾MFC及び前記(B)無機フィラーが下記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物:(a)(A)化学修飾MFCが、下式(1):(Lg)Cell-O-R・・・(1)で表される化学修飾セルロース系高分子で構成される繊維のミクロフィブリル化繊維である。(b)(B)無機フィラーが、ガラス繊維、グラスウール、炭素繊維等からなる群から選ばれる1種又は2種以上のフィラーである。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化樹脂組成物、繊維強化成形体及びその製造方法に関する。
更に詳細には、本発明は、セルロース系繊維及び無機フィラーを含有する繊維強化熱可塑性樹脂組成物、その成形体及びその製造方法に関する。
地球環境の維持又は改善のために、力学特性及び機能性が確保されると同時に、製造、使用及び廃棄時に人及び環境に負荷の少ない素材の開発が要望されている。
繊維強化樹脂組成物は、金属材料に比べて製造時のエネルギー負荷が小さくまた軽量であることから、金属材料に代えて自動車部品、航空機内部品、家庭用機器、建設材料等の広い分野で使用されてきた。
自動車業界では、地球温暖化対策(炭酸ガス対策)、内燃エンジン搭載車の燃費向上対策、ハイブリッド車並びに電池搭載車のエネルギー効率向上等のために、車体の軽量化が急務である。自動車業界では、従来の鉄鋼製構造体から繊維強化樹脂組成物製の構造体への代替が加速化されている。
このような繊維強化樹脂組成物に使用されるマトリクス樹脂については、種々の樹脂の中でも熱可塑性樹脂が、生産性及び汎用性に優れることからその利用が注目されている。
繊維強化樹脂組成物の成形法として、射出成形法、プレス成形法、RTM(Resin Transfer Molding)法、オートクレーブ法、プリプレグ法等が挙げられる。この中でも射出成形法は、成形速度が高い(生産性が高い)ことから成形工程におけるコストが低く、また複雑な形状の成形が容易であることから、生産性及び製造コストの点で優れている。
このような繊維強化樹脂組成物の構造体(成形体)に用いる繊維には、構造体(成形体)の高剛性、高強度及び耐衝撃性等の性能が要求されることから、ガラス繊維(GF)、炭素繊維(CF)等が幅広く適用されている。しかしながら、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維は、製造時に多大なエネルギーを消費することに加えて、廃棄及びリサイクルシステムが未だ充分には確立されていない。
そこで、更に構造体の軽量化も考えて、これらの無機繊維よりも比重の小さな天然繊維を用いた天然繊維強化樹脂、無機繊維と天然繊維とを併用した繊維強化樹脂組成物等が提案されている。
特許文献1には、微細セルロース繊維又はガラス繊維を含有する樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、炭素繊維及び樹脂を含む複合樹脂組成物が開示され、更に木材繊維、木綿等の天然繊維を複合してもよいことが開示されている。
特許文献3には、ガラス繊維、セルロース及び熱可塑性樹脂からなる組成物が開示されている。
特許文献4には、熱可塑性樹脂と、ガラス繊維1〜6重量%と、繊維長が0.3mm以下の植物繊維10〜40重量%とを含有する樹脂成形体が開示されている。
特許文献5には、ポリオレフィン、及びガラス繊維に加えて、粒度が約2〜500μmの木粉、セルロース繊維、金属粉、酸化物等の群から選択される充填剤を含む複合材料が開示されている。
特許文献6には、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維、ケナフ、セルロース繊維等の植物系繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリイミド繊維等の合成繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維(フィラー)と生分解性高分子とを混練してなる組成物が開示されている。
特許文献7には、炭素繊維、ケナフ、麻、セルロース系の植物繊維及びバイオマス樹脂を含む繊維強化樹脂成形体が開示され、使用される植物繊維の平均直径は5μm〜30μmであることが開示されている。
特許文献8及び9には、ポリアミド11と、シリカ、ウォラストナイト、植物繊維、ガラスフレーク、ガラス繊維、及びタルクからなる群から選択された少なくとも1種類の添加物とからなる植物系樹脂含有組成物が開示されている。
上記特許文献1〜9は、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維とセルロース繊維(植物繊維)とを繊維強化樹脂組成物に使用できることを開示している。しかしながら、上記特許文献1〜9では、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維とフィブリル化されたセルロース繊維(フィブリル化された植物繊維)とを併用することについて具体的に記載されてもいなければ、その併用により奏される効果についても記載されていない。
特許文献10には、20〜79質量%の半芳香族ポリアミド、1〜15質量%の少なくとも1つの耐衝撃性改良剤、20〜60質量%の炭素繊維、及び0〜5質量%の添加剤(ガラス繊維、鉱物粉末等)を含む、ポリアミド成形用組成物が開示されている。しかしながら、特許文献10の組成物は、セルロース系繊維を含有するものではない。
特許文献11には、生物起源の強化材(植物繊維、動物繊維、生物起源のポリマー、生物起源の炭素繊維、生物起源のカーボンナノチューブ等)と芳香族ポリアミドとを含有する組成物が開示され、植物繊維としてセルロースミクロフィブリルを使用した実施例が記載されている。しかしながら、特許文献11には、無機繊維(炭素繊維又はガラス繊維等)とミクロフィブリル化セルロースとを併用した組成物は記載されておらず、また二種の繊維を併用した場合の効果についても記載されていない。
特許文献12及び13には、ガラス繊維、セルロース繊維、炭素繊維及びその組み合わせを含むエポキシ樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献12及び13に記載されている発明は、セルロース繊維として、ミクロフィブリル化セルロース又は化学修飾セルロースを使用する技術ではない。
特許文献14は、発明者の中に本発明者が含まれる特許である。特許文献14には、特定の置換度のカルボキシアルキル基で修飾された、ミクロフィブリル化セルロース繊維を含有する、繊維強化熱硬化樹脂が開示されている。
特許文献15は、発明者の中に本発明者が含まれる特許である。特許文献15には、アセチル基で修飾されたミクロフィブリル化セルロース繊維又はミクロフィブリル化リグノセルロース繊維を含有する、繊維強化熱可塑性樹脂が開示されている。
しかしながら、特許文献14及び15には、ガラス繊維又は炭素繊維を含む樹脂組成物について開示されていない。
特開2013-181084号公報 特開2014-101459号公報 特開2010-155970号公報 特再公表2013-183440号公報 特開平11-323036号公報 特開2005-138458号公報 特再公表2008-105225号公報 特開2011-236443号公報 特再公表2007-34905号公報 特表2016-538390号公報 特表2012-509381号公報 特表2014-517126号公報 特開2014-118576号公報 特許第5622412号(特開2011-195738号公報) 特許第6091589号(特開2016-176052号公報)
上記の各文献には(1)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース繊維又は化学修飾ミクロフィブリル化リグノセルロース繊維と(2)ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維とを含有する繊維強化樹脂組成物について開示されておらず、また、(1)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース繊維又は化学修飾ミクロフィブリル化リグノセルロース繊維と(2)ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維とを、樹脂組成物の強化材として併用した場合の効果についての具体的な開示もない。
本発明は、軽量で、且つ強度特性に優れる、繊維強化樹脂組成物、その成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の目的は、(A)特定の化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー、及び(C)熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする繊維強化樹脂組成物、並びにその成形体、並びにそれらの製造方法によって達成される。
本発明で使用される用語は夫々、次の意味を有する。
「セルロース系高分子」は、セルロース、ホロセルロース及びリグノセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種類の高分子を意味し、一般式「(Lg)Cell-OH」で表示する。ここで、「(Lg)Cell-」は、セルロース、ホロセルロース及びリグノセルロースからなる高分子群から選ばれる少なくとも1種類の高分子を構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を意味する。
「セルロース系繊維」は、セルロース、ホロセルロース及びリグノセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種類の高分子で構成される繊維を意味する。即ち、本発明で言うセルロース系繊維とは、セルロース系高分子「(Lg)Cell-OH」からなる繊維を意味する。
「ミクロフィブリル化セルロース系繊維」は、セルロース系繊維がミクロフィブリル化されたものを意味する。以下、「ミクロフィブリル化セルロース系繊維」を「MFC」と記載することもある。
「化学修飾セルロース系繊維」は、セルロース系繊維を構成する「(Lg)Cell-OH」中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が官能基(R)により置換された高分子からなる繊維を意味する。本明細書では「化学修飾セルロース系繊維」を「(Lg)Cell-O-R」と表記する。
「化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維」は、化学修飾セルロース系繊維がミクロフィブリル化された状態の繊維を意味する。また、ミクロフィブリル化セルロース系繊維中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が官能基(R)により置換された繊維でもある。以下、「化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維」を「化学修飾MFC」と記載することもある。
「リグノセルロース」は、リグニン含有量の多少にかかわらず植物中に存在するリグニンとセルロースが結合した物質、及び/又は、リグニンとセルロースとの混合物を意味する。以下、「リグノセルロース」を「LC」と記載することもある。
「リグノパルプ」は、リグノセルロースを含有するパルプを意味する。以下、「リグノパルプ」を「LP」と記載することもある。
「セルロース系パルプ」は、植物から分離した、セルロース系高分子からなる繊維を意味する。これには、リグニンを含まないパルプ(セルロースからなるパルプ、ホロセルロースからなるパルプ等)及びリグニンを含むパルプ(リグノパルプ)が包含される。以下、「セルロース系パルプ」を「CP」と記載することもある。
本発明は、下記の各項に記載の、化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び無機フィラーを含有する繊維強化樹脂組成物、その成形体及びその製造方法に関する。
繊維強化樹脂組成物
項1. 繊維強化樹脂組成物であって、
当該繊維強化樹脂組成物は、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有し、
前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが下記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物:
(a)(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維が、
下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子で構成される繊維のミクロフィブリル化繊維である。
(b)(B)無機フィラーが、ガラス繊維、グラスウール、炭素繊維、ガラス微細粉、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カオリン及びナノクレイからなる群から選ばれる1種又は2種以上のフィラーである。
項2.
前記(a)要件の式(1)におけるRが、アセチル基、プロピオニル基、カルボキシメチル基、カルボキシメチル基の塩、カルボキシエチル基、カルボキシエチル基の塩、カルボキシエチルカルボニル基、カルボキシエチルカルボニル基の塩、カルボキシビニルカルボニル基、又はカルボキシビニルカルボニル基の塩である、前記項1に記載の繊維強化樹脂組成物。
項3.
前記(a)要件の式(1)におけるRが、アセチル基である前記項1又は2に記載の繊維強化樹脂組成物。
項4.
前記(b)要件の(B)無機フィラーが、ガラス繊維又は炭素繊維である、前記項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。
項5.
前記(a)要件の式(1)における(Lg)Cell-が、リグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基である、前記項1〜4のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。
項6.
前記(C)熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリオレフィン、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート−ABSアロイ(PC-ABSアロイ)及び変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である、前記項1〜5のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。
成形体
項7.
前記項1〜6のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物からなる成形体。
繊維強化樹脂組成物の製造方法
項8.
繊維強化樹脂組成物の製造方法であって、
(i)下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子からなる化学修飾セルロース系パルプ、
(ii)(B)無機フィラー、及び
(iii)(C)熱可塑性樹脂
を溶融混練することで、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物を製造する方法であり、 前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが下記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物の製造方法:
(a)(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維が、下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子で構成される繊維のミクロフィブリル化繊維である。
(b)(B)無機フィラーが、ガラス繊維、グラスウール、炭素繊維、ガラス微細粉、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カオリン及びナノクレイからなる群から選ばれる1種又は2種以上のフィラーである。
項8(2).
前記項1〜6のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物の製造方法であって、
(i)下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子からなる化学修飾セルロース系パルプ、
(ii)(B)無機フィラー、及び
(iii)(C)熱可塑性樹脂
を溶融混練することで、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物を製造する方法であり、 前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが前記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物の製造方法。
項9.
繊維強化樹脂組成物の製造方法であって、
工程(1):
下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子からなる化学修飾セルロース系パルプ、及び (C)熱可塑性樹脂を混練する工程、及び
工程(2):
前記工程(1)で得られた混練物と、(B)無機フィラーと熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物とを溶融混練する工程
を含む方法により、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物を製造する方法であり、
前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが下記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物の製造方法:
(a)(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維が、下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子で構成される繊維のミクロフィブリル化繊維である。
(b)(B)無機フィラーが、ガラス繊維、グラスウール、炭素繊維、ガラス微細粉、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カオリン及びナノクレイからなる群から選ばれる1種又は2種以上のフィラーである。
項9(2).
前記項1〜6のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物の製造方法であって、
工程(1):
下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子からなる化学修飾セルロース系パルプ、及び (C)熱可塑性樹脂を混練する工程、及び
工程(2):
前記工程(1)で得られた混練物と、(B)無機フィラーと熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物とを溶融混練する工程
を含む方法により、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物を製造する方法であり、
前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが前記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物の製造方法。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、特定の化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、及び、ガラス繊維、炭素繊維等の無機フィラーを含有する。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、従来の無機フィラーのみを含有する繊維強化樹脂組成物に比べ、比重が低減し、その成形体の強度特性(弾性率及び強度)が高い。
即ち、樹脂組成物に化学修飾フィブリル化セルロース系繊維と無機フィラーとの双方を含有させることによって、本発明の繊維強化樹脂組成物の成形体は、特に密度当たりの曲げ弾性率(曲げ弾性率/密度)の向上に相乗効果が認められる。
例えば、従来のグラスファイバー(GF)20Wt%含有PA6組成物(従来品)からなる成形体の密度当たりの曲げ弾性率(MPa/組成物密度)を基準に比較したところ、本発明の組成物からなる成形体PA6-429(PA6/AcNBKP/GF = 85/5/10)、PA6-431(PA6/AcNBKP/GF = 85/10/5)、及びPA6-432(PA6/AcNBKP/GF = 80/10/10)の密度当たりの曲げ弾性率は、1.20〜1.42倍である。
更に、従来品に比べて、上記組成物からなる本発明の成形体の密度当たりの曲げ強度(MPa/組成物密度)も、1.07〜1.16倍となる(後記表5参照)。
グラスウール(GW)を含む組成物についても、従来のGW20Wt%含有PA6組成物からなる成形体の密度当たりの曲げ弾性率(MPa/組成物密度)を基準に比較したところ、本発明品の組成物からなる成形体の密度当たりの曲げ弾性率(MPa/組成物密度)は1.31〜1.78倍となり、密度当たりの曲げ強度(MPa/組成物密度)は1.35〜1.48倍となった。
(後記表9の試験番号参照:PA6-448 (PA6/AcNBKP/GW = 90/5/5)、PA6-449 (PA6/AcNBKP/GW = 85/5/10)、PA6-451 (PA6/AcNBKP/GW = 85/10/5)、及びPA6-452 (PA6/AcNBKP/GW = 80/10/10)。
また、本発明の繊維強化樹脂組成物は、射出成形方法により成形できるので、その成形体の生産性が高く、製造コストも安く製造することができる。
そして、本発明の繊維強化樹脂組成物において、化学修飾フィブリル化セルロース系繊維と無機フィラーとを併用した場合には、複素粘度が低くなるので、成形加工性が良好である。
また、本発明の繊維強化樹脂組成物は、その製造において化学修飾セルロース系繊維、無機フィラー及び樹脂を溶融混練する工程を採用することによって、溶融混練と化学修飾セルロース系繊維(化学修飾パルプ)のミクロフィブリル化とを同時に行うこともできるので、生産性も高い。
アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.69)とガラス繊維(GF)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ弾性率との関係を示す図である。 アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.69)とガラス繊維(GF)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ強度との関係を示す図である。 アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.67)とガラス繊維(GF)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ弾性率との関係を示す図である。 アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.67)とガラス繊維(GF)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ強度との関係を示す図である。 アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.67)とグラスウール(GW)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ弾性率との関係を示す図である。 アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.67)とグラスウール(GW)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ強度との関係を示す図である。 アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.67)とガラス繊維(GF)とを含有するPC-ABSアロイ成形体の密度と曲げ弾性率との関係を示す図である。 アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.67)とガラス繊維(GF)とを含有するPC-ABSアロイ成形体の密度と曲げ強度との関係を示す図である。 アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.62)と炭素繊維(CF)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ弾性率との関係を示す図である。 アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.62)と炭素繊維(CF)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ強度との関係を示す図である。 試験番号PA6-430の成形体に使用したAcNBKP(PA6と溶融混練する前のAcNBKP)の電子顕微鏡観察像である。 試験番号PA6-430の成形体から調製した試料中の繊維の電子顕微鏡観察像である。 試験番号PA6-431の成形体から調製した試料中の繊維の電子顕微鏡観察像である。 試験番号PA6-451の成形体から調製した試料中の繊維の電子顕微鏡観察像である。
(1)繊維強化樹脂組成物
本発明の繊維強化樹脂組成物は、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー、及び(C)熱可塑性樹脂を含有する。
本発明は、前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが、下記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物である。
要件(a)
(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維が、
下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子で構成される繊維のミクロフィブリル化繊維である。
要件(b)
(B)無機フィラーが、ガラス繊維、グラスウール、炭素繊維、ガラス微細粉、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カオリン及びナノクレイからなる群から選ばれる1種又は2種以上のフィラーである。
(1-1)(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維(化学修飾MFC)
本発明では、セルロース、ホロセルロース及びリグノセルロースからなる群(高分子群)から選ばれる少なくとも1種の高分子を、セルロース系高分子と称し、一般式「(Lg)Cell-OH」と記載する。
ここで、「(Lg)Cell-」は、セルロース、ホロセルロース及びリグノセルロースからなる高分子群から選ばれる少なくとも1種類の高分子を構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を意味する。
本発明に使用される化学修飾セルロース系繊維は、(Lg)Cell-OH中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が官能基R(Rの詳細は後述する)により置換された高分子、即ち、下式(1): (Lg)Cell-O-R・・・・(1)
により表される化学修飾セルロース系高分子で構成される繊維である。
本発明に使用される化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維(化学修飾MFC)は、上記式(1)で表される化学修飾セルロース系繊維がミクロフィブリル化された繊維である。
また、本発明に使用される化学修飾MFCは、セルロース系高分子からなる繊維(セルロース系繊維)のミクロフィブリル化繊維(ミクロフィブリル化セルロース系繊維、MFC)を構成するセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロース中の多糖及びリグニンの一部の水酸基の水素原子が官能基Rにより置換された繊維でもあるということもできる。
本発明に使用される化学修飾MFCは、セルロース系パルプ(CP)を化学修飾して化学修飾CPとした後に、これを解繊しミクロフィブリル化するか、又は、MFCを化学修飾することによって得ることができる(製造方法は後記を参照)。
置換基(R)
前記の式(1)(Lg)Cell-O-R における置換基Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH(カルボキシアルキル基)、-CO(CH2)nCOOH(カルボキシアルキルカルボニル基)、-COCH=CHCOOH(3-カルボキシプロペノイル基)、-(CH2)n-1COO-X+(カルボキシアルキル基の塩)、-CO(CH2)nCOO-X+(カルボキシアルキルカルボニル基の塩)及び-COCH=CHCOO-X+(3-カルボキシプロペノイル基の塩)からなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
前記nは2〜4の整数である。
前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。
置換基Rとして、炭素数2〜3のアシル基(アセチル基、及びプロピオニル基)が更に好ましい。
置換基Rとして、製造の容易さ及び製造コストの点からアセチル基が最も好ましい。
カルボキシ基を有する置換基Rとして、-CH2COOH(カルボキシメチル基)、-(CH2)2COOH(カルボキシエチル基)、-CO(CH2)2COOH(3-カルボキシプロピオニル基、カルボキシエチルカルボニル基ともいう。)、-CO(CH2)3COOH(4-カルボキシブタノイル基、カルボキシプロピルカルボニル基ともいう。)、-COCH=CHCOOH(3-カルボキシプロペノイル基、カルボキシビニルカルボニル基ともいう。)、及びそれらの塩が更に好ましい。
上記に記載のそれらの塩とは、カルボキシメチル基の塩、カルボキシエチル基の塩、カルボキシエチルカルボニル基の塩、カルボキシプロピルカルボニル基の塩、カルボキシビニルカルボニル基の塩等である。
カルボキシ基を有する置換基Rとして、-CH2COOH(カルボキシメチル基)、-CO(CH2)2COOH(3-カルボキシプロピオニル基、カルボキシエチルカルボニル基ともいう。)、-COCH=CHCOOH(3-カルボキシプロペノイル基、カルボキシビニルカルボニル基ともいう。)、及びそれらの塩が最も好ましい。
前記カルボキシ基を有する置換基Rのカルボキシ基が夫々無機又は有機塩の状態になった基(-COO-X+)である場合も好ましい。
前記無機塩として、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、銅塩等の2価の金属塩;アルミニウム塩等の3価の金属塩等が好ましい。
前記有機塩として、1〜4級のアンモニウム塩、及びポリアミンとの塩も好ましい。
上記の各種の置換基を有する化学修飾MFCは、繊維強化樹脂組成物中での分散性が良好であることから好ましい。
置換基Rが異なる2種の化学修飾MFCを組み合わせて(併用して)、本発明の繊維強化樹脂組成物に含有させることもできる。
例えば、Rがアセチル基のミクロフィブリル化セルロース系繊維(アセチルMFC)と、Rがカルボキシメチル基のミクロフィブリル化セルロース系繊維(カルボキシメチルMFC)、3-カルボキシプロピオニル基のミクロフィブリル化セルロース系繊維(3-カルボキシプロピオニルMFC)又は3-カルボキシプロペノイル基のミクロフィブリル化セルロース系繊維(3-カルボキシプロペノイルMFC)とを併用することが好ましい。
置換基Rが異なる2種の化学修飾MFCを併用することで、繊維強化樹脂組成物中において、これら化学修飾MFCを良好に分散させることができる。
化学修飾MFCの原料
本発明に使用する化学修飾MFCの原料として、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、綿、ビート、農産物残廃物、古紙又は編織布等の天然植物から得られるパルプが好ましく用いられる。
パルプとは、木材、竹、稲わら等の植物中に含まれる植物繊維を分離したものであって、セルロース、ヘミセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを含む。
パルプ原料の木材には、例えば、シトカスプルース、マツ(トドマツ、アカマツ等)、スギ、ヒノキ、ユーカリ、アカシア等の針葉樹又は広葉樹由来の木材が好ましく用いられる。パルプ原料としての古紙としては、脱墨古紙、段ボール古紙、雑誌、コピー用紙等が好ましい。パルプ原料は、これらに限定されるものではない。パルプは1種単独でも用いてもよく、これらから選ばれた2種以上を用いてもよい。
本発明に使用される化学修飾MFCの原料であるパルプには、リグニンを含まないパルプ、及びリグニンを含むパルプ(即ち、リグノセルロースを含むパルプ)のいずれも使用することができる。
本発明に使用される化学修飾MFCの原料であるパルプには、リグニンを含むパルプ(即ち、リグノセルロースを含むパルプ)も使用することが好ましい。つまり、前記(a)要件の式(1)における(Lg)Cell-が、リグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基であることが好ましい。
リグノセルロースは、樹木細胞壁を構成する複合炭化水素高分子(天然高分子混合物)である。リグノセルロースは、主に多糖類のセルロース、ヘミセルロース及び芳香族高分子であるリグニンから構成されていることが知られている(下記の参照例1及び参照例2参照)。
参照例1:
Review Article Conversion of Lignocellulosic Biomass to Nanocellulose: Structure and Chemical Process H. V. Lee, S. B. A. Hamid, and S. K. Zain, Scientific World Journal Volume 2014,、Article ID 631013, 20 pages, http://dx.doi.org/10.1155/2014/631013
参照例2:
New lignocellulose pretreatments using cellulose solvents: A review, Noppadon Sathitsuksanoh, Anthe George and Y-H Percival Zhang, J Chem Technol Biotechnol 2013; 88: 169-180
本明細書で使用される「リグノセルロース」の用語は、植物中に天然に存在する化学構造のリグノセルロース、人工的に改変されたリグノセルロース、又はこれらの混合物を意味する。これは、植物、例えば木材を機械的及び/又は化学的に処理して得られる種々のパルプ中に含まれ、天然化学構造のリグノセルロース、化学的若しくは機械的に改変を受けたリグノセルロース、又はこれらの混合物である。
本発明で使用されるリグノセルロースからなる繊維は、天然に存在する化学構造のリグノセルロースからなる繊維に限定されるものではない。また、リグノセルロース中のリグニン含有量も限定されるものではない。本発明で使用されるリグノセルロース及びリグノパルプの用語は、リグニン成分の含量が微量であっても、夫々、リグノセルロース、及びリグノパルプとして解釈される。
化学修飾MFCの原料としては、トカスプルース、松(トドマツ、アカマツ等)、スギ、ヒノキ、ユーカリ、アカシア等の針葉樹又は広葉由来の木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、バガス、藁、ビート絞りかす等に含まれる植物性原料由来の原料を、機械パルプ化法、化学パルプ化法、又は機械パルプ化法と化学パルプ化法との組み合わせにより処理して得られるリグノパルプを使用することができる。
このようなパルプとして、各種クラフトパルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹酸素漂白クラフトパルプ(NOKP)、及び針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP))が好ましい。また、砕木パルプ(GP)、リファイナーGP(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の機械パルプ(MP)も好ましい。
クラフトパルプの中にはリグニンを含んでいないものもあるが、その含有量に拘わらず化学修飾MFCの原料として使用可能である。
この中でもリグニンを含むパルプ(リグノパルプ)は、リグニンを含まないセルロース繊維又はパルプに比べて、その製造工程数が少ないこと、その原料(例えば木材)からの収率が良好であること、その製造に要する化学薬剤が少ないこと、並びに少ないエネルギーで製造できることから、製造コストの点で有利である。よって、リグノパルプを、本発明に有利に使用することができる。
更には、針葉樹のパルプの中でも、トドマツ、アカマツ、又はスギから得られるリグノパルプは、それを使用して作製した化学修飾リグノMFCを含有させることで強度特性に優れた繊維強化樹脂組成物が得られることから好ましい。
リグノセルロース及びリグノパルプのリグニン量は、クラーソン法で定量することができる。本発明では、リグニンを0.1〜40質量%程度含むリグノパルプを使用することが好ましい。リグノパルプのリグニン含有量は、0.1〜35質量%程度が更に好ましく、0.1〜30質量%程度が特に好ましい。
化学修飾MFCの製造方法
本発明に使用される化学修飾MFCは、セルロース系パルプ(CP)を化学修飾して化学修飾セルロース系パルプ(化学修飾CP)を得、これを解繊することで得られる。
本発明に使用される化学修飾MFCは、セルロース系パルプ(CP)を解繊してミクロフィブリル化植物繊維(MFC)を得、これを化学修飾することによっても得ることができる。
先ず、セルロース系パルプ(CP)を化学修飾して化学修飾セルロース系パルプ(化学修飾CP)を得る方法を説明する。セルロース系パルプ(CP)又は化学修飾CPの解繊方法は後述する。
化学修飾セルロース系パルプ(化学修飾CP)の製造方法
アシル化セルロース系パルプ(アシル化CP)
前記式:(Lg)Cell-O-R (1)で示される化学修飾セルロース系高分子からなる化学修飾パルプのうち、置換基Rがアシル基である化学修飾セルロース系高分子からなるパルプ(アシル化CP)は、原料のセルロース系パルプ(CP)の繊維表面又は非晶部分に存在する水酸基(セルロース、ヘミセルロース及びリグニンの水酸基等)をアシル化することによって得られる。
このアシル化は、原料のCP中に元々存在するセルロース結晶構造を壊さないように、CPの繊維表面又は非晶部分に存在する水酸基、例えばセルロース、ヘミセルロース、及びリグニンの水酸基等をアシル化することが好ましい。
アシル化反応は、原料のCPを膨潤させることのできる無水非プロトン性極性溶媒、例えばN-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等の中に原料を懸濁し、対応するアシル基を有するカルボン酸無水物又は酸塩化物で、塩基の存在下に、従来の方法(特開2016-176052等に記載の方法)で行うことができる。
前記式(1)におけるRによる置換度(以下に詳しく説明する)の測定方法は、従来の方法(特開2016-176052等に記載の方法)に従うことができる。置換度は、上記アシル化におけるアシル化剤の量、反応温度、反応時間等を調節することにより調整することができる。
カルボキシアルキル化セルロース系パルプ(カルボキシアルキル化CP)
前記式:(Lg)Cell-O-R (1)においてRがカルボキシアルキル基〔-(CH2)n-1COOH〕又はその塩〔-(CH2)n-1COO-X+〕である化学修飾セルロース系パルプ(カルボキシアルキル化CP)は、従来の方法(特開2011-195738等に記載の方法)に従い製造することができる。すなわち、原料のCPに、対応するハロゲン化アルキルを反応させ、原料繊維(CP)の繊維表面又は非晶部分に存在する水酸基(セルロース、ヘミセルロース及びリグニンの水酸基等)をカルボキシアルキル化することにより、カルボキシアルキル化CPを製造することができる。
カルボキシアルキルカルボニル化セルロース系パルプ(カルボキシアルキルカルボニル化CP)
前記式:(Lg)Cell-O-R (1)においてRがカルボキシアルキルカルボニル基〔-CO(CH2)nCOOH〕又はその塩〔-CO(CH2)nCOO-X+〕である化学修飾セルロース系パルプ(カルボキシアルキルカルボニル化CP)は、文献(Biomacromolecules 2017, 18, 242-248)に記載の方法に準じて製造することができる。すなわち、原料のCPに、対応する酸無水物(例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物等)を反応させることにより、カルボキシアルキルカルボニル化CPを製造することができる。
3-カルボキシプロペノイル化セルロース系パルプ(3-カルボキシプロペノイル化CP,CPのマレイン酸モノエステル)
前記式:(Lg)Cell-O-R (1)においてRが3-カルボキシプロペノイル基(-COCH=CHCOOH)又はその塩〔-COCH=CHCOO-X+〕である化学修飾セルロース系パルプ(3-カルボキシプロペノイル化CP)は、文献(ACS Macro Lett. 2015, 4, 80-83)に記載の方法に従い製造することができる。すなわち、無水マレイン酸を、原料のCPに反応させることにより、3-カルボキシプロペノイル化CPを製造することができる。
なお、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を化学修飾して、化学修飾MFCを製造する場合は、セルロース系パルプ(CP)の代わりにMFCを使用して、上記と同様の方法で、MFCを化学修飾することにより化学修飾MFCを得ることができる。
置換基Rによる修飾程度(置換度、DS)
置換基Rによる化学修飾CP又は化学修飾MFCの修飾程度(置換度、「DS」ともいう)は、前記式(1)で表される化学修飾セルロース系高分子の残基〔(Lg)Cell-〕の1単位(繰り返し単位)に存在する水酸基の水素原子が置換基Rで置換された程度である。
化学修飾セルロース系高分子が全てセルロースで構成されている場合(セルロースの場合)は、この繰り返し単位はグルコピラノース残基であり、この1単位にあたりの水酸基数は3であるので、置換度の上限は3である。
一方、セルロース系高分子がリグノセルロースの場合、リグノセルロースは、セルロースと共にヘミセルロースとリグニンとを含む。へミセルロースに含まれるキシランにおけるキシロース残基又はアラビノガラクタンにおけるガラクトース残基の水酸基数は2であり、また、標準的なリグニン残基の水酸基数も2である。よって、これらの水酸基数は3より小さい。
従って、リグノパルプにおける置換基Rによる置換度の上限は3より小さい。この置換度の上限は、リグノパルプが含有するヘミセルロース及びリグニンの含量に依存して、2.7〜2.8程度である。
また、セルロース系高分子がホロセルロースの場合も、ホロセルロースはセルロースと共にヘミセルロースを含むので、この平均的な繰り返し単位中の水酸基数は3よりも小さい。よって、置換度の上限値は3より小さい。
上記のようにセルロース系繊維中のヘミセルロース又はリグニンの含量に依存するものの、化学修飾セルロース系パルプ(化学修飾CP)、及び化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維(化学修飾MFC)の前記置換基Rによる置換度(DS)は、0.3〜2.55程度が好ましい。置換度(DS)を0.3〜2.55程度に設定することによって、適度の結晶化度及びSP(溶解度パラメーター)を有する化学修飾MFCを得ることができる。
置換基Rがアシル基の場合、置換度(DS)は0.4〜2.55程度がより好ましく、0.56〜2.52が更に好ましい。置換基Rがアセチル基の場合、好ましいDSは0.56〜2.52である。その範囲のDSであれば結晶化度を42.7%程度以上に保つことが可能である。
置換基Rが、カルボキシアルキル基、カルボキシアルキルカルボニル基、3-カルボキシプロペノイル基、又はこれらカルボキシ基を有する置換基の塩の場合、置換度(DS)は、Rがアシル基である場合のDSよりも小さいほうが好ましい。置換基Rがカルボキシメチル基である場合のDSは、0.1〜0.5が好ましい。
置換度(DS)は、元素分析、中和滴定法、FT-IR、二次元NMR(1H及び13C-NMR)等の各種分析方法等により分析することができる。
化学修飾CPの解繊方法
化学修飾CPの解繊及びミクロフィブリル化は、例えば、化学修飾CPを懸濁液又はスラリーとし、リファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸又は多軸混練機(好ましくは二軸混練機)、ビーズミル等による機械的な摩砕又は叩解等の公知手段を使用することにより行うことができる。
化学修飾CPを使用して本発明の繊維強化樹脂組成物を作製する時、化学修飾CPは熱可塑性樹脂と共に一軸又は多軸混練機(好ましくは多軸混練機)で、加熱下に溶融し混練することが好ましい。化学修飾CPは混練中のせん断力により解繊されてミクロフィブリル化し、熱可塑性樹脂中で化学修飾MFCとすることができる。このようにして化学修飾CPを熱可塑性樹脂と溶融混練して熱可塑樹脂中で解繊することが有利である。
化学修飾MFCを使用して本発明の繊維強化樹脂組成物を作製する時は、先ずCPの繊維を解繊してミクロフィブリル化セルロース系繊維(MFC)を調製する。次いでこれを前記の方法で化学修飾し、樹脂と混練することにより、本発明の繊維強化樹脂組成物を調製することができる。
この際、CPの解繊は、CPを懸濁液又はスラリーとし、リファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸又は多軸混練機(好ましくは二軸混練機)、ビーズミル等による機械的な摩砕又は叩解等の公知手段を使用することにより行うことができる。
MFC及び化学修飾MFCの繊維径
化学修飾MFCは、前記の化学修飾セルロース系パルプ(例えば、化学修飾リグノパルプ等)中の繊維をナノサイズレベルまで解きほぐした(解繊した)ものである。
繊維強化樹脂組成物に含有される化学修飾MFCの平均繊維径(繊維幅)は、4〜200nm程度の範囲が好ましく、4〜150nm程度がより好ましい。繊維長の平均値は5μm程度以上であることが好ましい。
前記範囲の平均繊維径を有する化学修飾MFCを、樹脂に含有させることにより、強度特性の優れた繊維強化樹脂組成物を製造することができる。
なお、化学修飾CPを使用して本発明の繊維強化樹脂組成物を作製する時は、化学修飾CPを熱可塑性樹脂と溶融混練して、混練と同時に化学修飾CPを化学修飾MFCに解繊することができる。
この際、化学修飾CPの解繊が不十分で、解繊後の繊維径が上記の繊維径よりも大きな化学修飾MFCが樹脂組成物に含まれていたとしても、本発明の目的を達成する限り、そのような化学修飾MFC含有樹脂組成物は本発明に包含される。
例えば、化学修飾MFC含有樹脂組成物の曲げ弾性率が、未修飾MFC含有樹脂組成物の曲げ弾性率に対し1.1倍以上の曲げ弾性率を示す限り、これは本発明の化学修飾MFC含有樹脂組成物である。
MFCを使用して化学修飾MFCを調製する場合、このMFCの平均繊維径及び平均繊維長の夫々の好ましい範囲、更に好ましい範囲についても、上記の化学修飾MFCのそれらと同様である。
MFC及び化学修飾MFCの繊維径及び繊維長は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定することができる。繊維径の平均値(平均繊維径)及び繊維長の平均値(平均繊維長)は、走査型電子顕微鏡の視野内のMFC又は化学修飾MFCの少なくとも50本以上について測定した時の平均値として求める。
MFC及び化学修飾MFCの比表面積
走査型電子顕微鏡(SEM)で繊維を観察することにより、繊維の解繊状態を観察することもできる。
化学修飾MFCの比表面積は、70〜300m2/g程度が好ましく、70〜250m2/g程度がより好ましく、100〜200m2/g程度が更に好ましい。化学修飾MFCの比表面積を大きくすることで、樹脂(マトリックス)と組み合わせて組成物とした場合に、接触面積を大きくすることができ、それにより樹脂成形材料の強度を向上させることができる。また、化学修飾MFCは樹脂組成物の樹脂中で凝集しないことから、樹脂成形材料の強度を向上させることができる。
化学修飾MFCの結晶化度
本発明に使用する化学修飾MFCは、原料パルプ中に存在していたセルロースの結晶構造ができる限り保持された状態で、原料パルプ(CP)のセルロース及びヘミセルロースの水酸基(糖鎖水酸基)が、化学修飾されていることが好ましい。
本発明に使用する化学修飾MFCは、元来、原料パルプに存在するセルロース結晶構造が壊れないように原料繊維の表面に存在する水酸基、例えばセルロースの水酸基、ヘミセルロースの水酸基等が化学修飾されていることが好ましい。
その化学修飾処理により、MFC本来の優れた力学的特性を有する化学修飾MFCを得ることができる。更に、樹脂中での化学修飾MFCの分散性が促進され、樹脂に対する化学修飾MFCの補強効果が向上する。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、組成物中に含まれる化学修飾MFCの結晶化度が42.7%程度以上で、その結晶型はセルロースI型結晶を有することが好ましい。前記「結晶化度」とは、全セルロース中の結晶(主にセルロースI型結晶)の存在比である。化学修飾MFCの結晶化度(好ましくはセルロースI型の結晶)は、50%程度以上が好ましく、55%程度以上がより好ましく、55.6%程度以上が更に好ましく、60%程度以上がなお更に好ましく、69.5%程度以上が特に好ましい。
化学修飾MFCの結晶化度の上限は、80%程度である。化学修飾MFCは、セルロースI型の結晶構造を維持し、高強度、低熱膨張性等の性能を発現する。
セルロースI型結晶構造とは、例えば朝倉書店発行の「セルロースの辞典」新装版第一刷81〜86頁、或いは93〜99頁に記載の通りのものである。ほとんどの天然セルロースはセルロースI型結晶構造である。これに対して、セルロースI型結晶構造ではなく、例えばセルロースII、III、又はIV型構造のセルロース繊維は、セルロースI型結晶構造を有するセルロースから誘導されるものである。I型結晶構造は他の構造に比べて結晶弾性率が高い。
化学修飾MFCがI型結晶構造であることは、その広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14〜17°付近及び2θ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークを有することから判定することができる。
セルロースは、β-1,4結合により直線的に伸びたセルロースが何本かの束になって、分子内或いは分子間の水素結合で固定され、伸びきり鎖となった結晶を形成している。
セルロースの結晶には、多くの結晶形が存在していることが、X線回折又は固体NMRによる解析で明らかになっている。天然セルロースの結晶形はI型のみである。
X線回折等から、セルロースにおける結晶領域の比率は、木材パルプで約50〜60%、バクテリアセルロースはこれより高く約70%程度と推測されている。セルロースは、伸びきり鎖結晶であることに起因して、弾性率が高いだけでなく、鋼鉄の5倍の強度、及びガラスの1/50以下の線熱膨張係数を示す。
(1-2)(B)無機フィラー
本発明の繊維強化樹脂組成物が含有する(B)無機フィラーは、ガラス繊維、グラスウール、炭素繊維、ガラス微細粉、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カオリン及びナノクレイからなる群から選ばれる1種又は2種以上の無機フィラーである。
無機フィラーは、ガラス繊維、グラスウール及び炭素繊維からなる群から選ばれる1種又は2種以上の繊維状の無機フィラーが好ましい。更に、ガラス繊維、及び炭素繊維からなる群から選ばれる1種又は2種の繊維状の無機フィラーが好ましい。
ガラス繊維及びグラスウールは、本発明の繊維強化樹脂組成物中の樹脂との親和性を持たせるため、表面が化学修飾されているものが好ましい。
ガラス繊維として、市販されているものを使用することができる。ガラス繊維として、例えば、日東紡績(株)製のCSX3J、CSF3PE等を、好ましく用いることができる。
ガラス繊維の平均繊維径は、9〜15μm程度が好ましく、11〜13μm程度がより好ましい。ガラス繊維の平均繊維長は3〜10mm程度が好ましい。
グラスウールとして、市販されているものを使用することができる。グラスウールとして、例えば、旭ファイバーガラス(株)製のホワイトウール等を、好ましく用いることができる。
グラスウールの平均繊維径は、5〜10μm程度が好ましく、7〜8μm程度がより好ましい。グラスウールの平均繊維長は20〜100mm程度が好ましい。
炭素繊維は、本発明の繊維強化樹脂組成物中の樹脂との親和性を持たせるため、表面処理されているものが好ましい。
炭素繊維として、市販されているものを使用することができる。炭素繊維として、例えば、東レ(株)製のトレカ(登録商標)、東邦テナックス(株)製のテナックス(登録商標)等を、好ましく用いることができる。
炭素繊維の平均繊維径は、5〜18μm程度が好ましく、5〜7μm程度がより好ましい。炭素繊維の平均繊維長は3〜25mm程度が好ましい。
(1-3)(C)熱可塑性樹脂
本発明の繊維強化樹脂組成物は、(A)化学修飾MFC、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含む。この繊維強化樹脂組成物を用いることで、強度に優れる成形体を作製することができる。
(C)熱可塑性樹脂として、力学的特性、耐熱性、表面平滑性及び外観に優れるという点から、ポリアミド、ポリオレフィン、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート−ABSアロイ(PC-ABSアロイ)、及び変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂として、前記樹脂を単独で使用してもよく、2種以上の混合樹脂として用いてもよい。
また、上記以外の樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、、(熱可塑性)ポリウレタン、ビニルエーテル樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂(例えばトリアセチル化セルロース、ジアセチル化セルロース等)等も好ましく使用することができる。
ポリアミド(PA)として、ポリアミド6(ナイロン6、PA6)、ポリアミド66(ナイロン66、PA66)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド46、ポリアミドXD10(PAXD10)、ポリアミドMXD6(PAMXD6)等を好ましく用いることができる。
ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)との共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)、ポリエチレン(PE、特に高密度ポリエチレンHDPE)等を好ましく用いることができる。
前記ポリプロピレン(PP)として、イソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)等を好ましく用いることができる。
脂肪族ポリエステルとして、ジオール類とコハク酸、吉草酸等の脂肪族ジカルボン酸との重合体又は共重合体(例えば、ポリブチレンサクシネート(PBS))、グリコール酸又は乳酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体又は共重合体(例えばポリ乳酸、ポリε-カプロラクトン(PCL)等)、並びにジオール類、脂肪族ジカルボン酸及び前記ヒドロキシカルボン酸の共重合体等を好ましく使用することができる。
芳香族ポリエステルとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等のジオール類とテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸との重合体等を好ましく使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)等を好ましく用いることができる。
ポリアセタール(ポリオキシメチレンともいう、POM)としては、パラホルムアルデヒドの均一重合体に加えて、パラホルムアルデヒドとオキシエチレンとの共重合体も好ましく使用することができる。
ポリカーボネート(PC)には、ビスフェノールA又はその誘導体であるビスフェノール類と、ホスゲン又はフェニルジカーボネートとの反応物を好ましく使用することができる。
ポリスチレン(PS)として、汎用PS(GPPS)に加えて、PSマトリックスにゴム成分を分散させて耐衝撃性を改良したPS(HIPS)を好適に使用することができる。ポリスチレン(PS)に加えて、スチレンの共重合体(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ABS樹脂)は、本発明の繊維強化樹脂組成物のマトリクスとして好ましい樹脂である。
ポリカーボネート(PC)とABSとのブレンド品(PC-ABSアロイ)は、耐衝撃性、耐候性及び成形加工性に優れているので、用いることが好ましい。
PPEとPSとのブレンド品(PPE-PSブレンド品)は、ポリフェニレンエーテル(PPE)の変性品(m-PPE)の一種である。PPE-PSブレンド品は、耐熱性が高く、また軽量であることから、用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂の中でも、力学的特性、耐熱性、表面平滑性及び外観に優れるという点から、PA、POM、PP、MAPP、PE、ポリ乳酸、乳酸共重合樹脂、PBS、PET、PPT、PBT、PS、ABS樹脂及びPC-ABSアロイからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を用いることが好ましい。
(2)繊維強化樹脂組成物の配合組成
本発明の繊維強化樹脂組成物は、(A)化学修飾MFC、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含む。
本発明の繊維強化樹脂組成物中の(A)化学修飾MFCの含有割合は、(C)熱可塑性樹脂100質量部に対し、3〜60質量部程度が好ましく、5〜50質量部程度がより好ましく、5〜40質量部程度が更に好ましい。繊維強化樹脂組成物中の(A)化学修飾MFCの含有割合は、5〜30質量部程度であることが最も好ましい。
(A)化学修飾MFCとしては、アセチル化MFCが好ましい。
本発明の繊維強化樹脂組成物中の(B)無機フィラーの含有割合は、(C)熱可塑性樹脂100質量部に対し、3〜60質量部程度が好ましく、5〜50質量部程度がより好ましく、5〜40質量部程度が更に好ましい。繊維強化樹脂組成物中の(B)無機フィラー(好ましくはガラス繊維又は炭素繊維)の含有割合は、5〜30質量部程度であることが最も好ましい。
(B)無機フィラーとしては、ガラス繊維及び/又は炭素繊維が好ましい。
本発明の繊維強化樹脂組成物中の(B)無機フィラーに対する(A)化学修飾MFCの割合は、質量比で0.25〜4、好ましくは0.3〜3、更に好ましくは、0.5〜2である。つまり、(A)化学修飾MFCの配合量/(B)無機フィラーの配合量が、質量比として、0.25〜4、好ましくは0.3〜3、更に好ましくは、0.5〜2である。
(A)化学修飾MFCを(C)熱可塑性樹脂に配合することにより、力学的特性、耐熱性、表面平滑性及び外観に優れる繊維強化樹脂組成物を得ることができる。
(A)化学修飾MFCを(B)無機フィラーと共に(C)熱可塑性樹脂に配合することによって、(B)無機フィラーのみを配合する場合に比べて、軽量で力学的特性に優れた繊維強化樹脂組成物を得ることができる。
(A)化学修飾MFCは、植物繊維と同様に、軽量で優れた強度を有し、低線熱膨張係数を有する。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、(A)化学修飾MFC及び(B)無機フィラーを含んでいても、汎用のプラスチックと同様に、加熱すると軟化して成形し易いことから、良好な成形加工性を発現することができる。
本発明の繊維強化樹脂組成物には、前記(A)化学修飾MFC、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂に加え、例えば、相溶化剤;界面活性剤;酸化防止剤;難燃剤;タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末等の無機化合物;着色剤;可塑剤;香料;顔料;流動調整剤;レベリング剤;導電剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;紫外線分散剤;消臭剤等の添加剤を任意に配合してもよい。
前記添加剤の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜調整することができる。
本発明の繊維強化樹脂組成物は、(A)化学修飾CMFを含むので、この繊維同士が水素結合によって自己凝集することを抑制することができる。よって、(A)化学修飾MFC、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を混合しても、(A)化学修飾MFC同士の凝集が抑制され、(A)化学修飾MFCと(B)無機フィラーとが(C)熱可塑性樹脂中で良好な分散性を示す。その結果、本発明の繊維強化樹脂組成物は、力学的特性、耐熱性、表面平滑性及び外観に優れる。
本発明の繊維強化樹脂組成物において、(A)化学修飾MFCは、その溶解パラメータ(SP)が(C)熱可塑性樹脂のSPに近い方が好ましい。
(C)熱可塑性樹脂として極性の高い樹脂を用いて繊維強化樹脂組成物のマトリクスとする場合、置換基Rが例えばアセチル基の時は、その置換度(DS)が0.4〜1.2程度で、その溶解度パラメータが12〜15程度であるアセチル化MFCを樹脂中に含有させることが好ましい。
極性の高い樹脂として、例えば、PA、POM、ポリ乳酸等が好ましい。
(C)熱可塑性樹脂として極性の小さい樹脂を用いて繊維強化樹脂組成物のマトリクスとする場合、置換度(DS)が1.2程度以上であり、溶解度パラメータが8〜12程度である化学修飾MFCを樹脂中に含有させることが好ましい。
極性の小さい樹脂として、例えば、PP、PE等が好ましい。化学修飾MFCとしてはアセチル化MFCが好ましい。
(3)繊維強化樹脂組成物の製造方法
製法1
本発明の繊維強化樹脂組成物は、(A)化学修飾MFC、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂(マトリックス材料)を、溶融混練し、(A)化学修飾MFCと(B)無機フィラーとを(C)熱可塑性樹脂中に分散させるすることにより製造することができる。
そして、その繊維強化樹脂組成物を成形することにより繊維強化樹脂組成物の成形体を作製することができる。
製法2
本発明の繊維強化樹脂組成物は、混練機等を用いて、化学修飾セルロース系パルプ(化学修飾CP)、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を一括して混練し、それらを複合化することにより製造することが好ましい。つまり、製法2は、化学修飾セルロース系パルプ、無機フィラー及び熱可塑性樹脂の三者を同時に溶融混練する方法である。
製法2は、繊維強化樹脂組成物の製造方法であって、
(i)下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子からなる化学修飾セルロース系パルプ、
(ii)(B)無機フィラー、及び
(iii)(C)熱可塑性樹脂
を溶融混練することで、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物を製造する方法であり、 前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが下記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物の製造方法である。
(a)(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維が、下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子で構成される繊維のミクロフィブリル化繊維である。
(b)(B)無機フィラーが、ガラス繊維、グラスウール、炭素繊維、ガラス微細粉、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カオリン及びナノクレイからなる群から選ばれる1種又は2種以上のフィラーである。
製法2では、混練中のせん断応力により化学修飾CPのフィブリル化が良好に進行する。混練中に、化学修飾CPは樹脂中で(A)化学修飾MFCに良好に解繊される。製法2によれば、(A)化学修飾MFCと(B)無機フィラーとが(C)熱可塑性樹脂中に、良好に分散した繊維強化樹脂組成物を製造することができる。
製法3
本発明の繊維強化樹脂組成物は、化学修飾セルロース系パルプ(化学修飾CP)と(C)熱可塑性樹脂とを混練して混練物を得、次いで、得られた混練物と、(B)無機フィラーと熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物とを溶融混練する方法によって製造することが好ましい。製法3は、化学修飾セルロース系パルプ及び熱可塑性樹脂を溶融混練した後、無機フィラーを含有する樹脂組成物を加えて溶融混練する方法、すなわち二段階で混練する方法である
製法3は、繊維強化樹脂組成物の製造方法であって、
工程(1):
下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子からなる化学修飾セルロース系パルプ、及び (C)熱可塑性樹脂を混練する工程、及び
工程(2):
前記工程(1)で得られた混練物と、(B)無機フィラーと熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物とを溶融混練する工程
を含む方法により、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物を製造する方法であり、
前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが下記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物の製造方法である。
(a)(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維が、下式(1):
(Lg)Cell-O-R・・・・(1)
〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
で表される化学修飾セルロース系高分子で構成される繊維のミクロフィブリル化繊維である。
(b)(B)無機フィラーが、ガラス繊維、グラスウール、炭素繊維、ガラス微細粉、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カオリン及びナノクレイからなる群から選ばれる1種又は2種以上のフィラーである。
製法3では、混練中のせん断応力により化学修飾CPのフィブリル化が良好に進行する。混練中に、化学修飾CPは樹脂中で(A)化学修飾MFCに良好に解繊される。製法3によれば、(A)化学修飾MFCと(B)無機フィラーとが(C)熱可塑性樹脂中に、良好に分散した繊維強化樹脂組成物を製造することができる。
製法3に用いられる、無機フィラーと熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物として、(I)(イ)無機フィラーと(ロ)熱可塑性樹脂との溶融混合物(市販品を使用することもある)、及び(II)(イ)無機フィラーと(ロ)熱可塑性樹脂との粉末混合物のどちらも使用することができる。
各製法における溶融混練時の加熱設定温度は、本発明に使用する熱可塑性樹脂を供給する業者が推奨する、最低加工温度(A℃)から、この推奨加工温度より20℃高い温度(A+20℃)の範囲が好ましい。
PA6を使用する場合、溶融混練時の加熱設定温度は225〜240℃が好ましい。
POMを使用する場合、溶融混練時の加熱設定温度はは170〜190℃が好ましい。
PP及びMAPPを使用する場合、溶融混練時の加熱設定温度は160〜180℃が好ましい。
混合温度をこの温度範囲に設定することにより、(A)化学修飾MFC又は化学修飾パルプと(B)無機フィラーと(C)熱可塑性樹脂とを均一に混合することができる。
上記製造法のうち、製法2及び製法3では、未解繊の化学修飾CPを樹脂と混合しながら混練機の剪断応力で解繊を行うため、製造費用の低コスト化を図ることができる。また、製法2及び製法3によれば、化学修飾CPから、繊維のダメージが少ない化学修飾MFCを、熱可塑性樹脂中に分散した状態で調製することができる。
製法2及び製法3によれば、この化学修飾MFCが分散した高性能な繊維強化樹脂組成物を得ることが可能となる。
(4)繊維強化樹脂組成物の成形体
本発明の成形体は繊維強化樹脂組成物からなる。
本発明の繊維強化樹脂組成物を用いて、成形体を製造することができる。
本発明の繊維強化樹脂組成物を、必要に応じて、フィルム状、シート状、板状、ペレット状、粉末状等の形状に整えて、成形材料を調製し、この成形材料を成形体の製造に供することができる。
本発明の繊維強化樹脂組成物(成形材料)を、金型成形、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等の各種公知の成形方法で成形して、板状、棒状、立体構造等の各種形状の成形体を製造することができる。
本発明の成形体は、(A)化学修飾MFC、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物から成形されるので、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維のみを含有する繊維強化樹脂組成物から成形される成形体と比べて、より軽量で、且つ強度特性に優れる。
本発明の成形体を、自動車、電車、船舶、飛行機等の輸送機の内装材、外装材、構造材等に使用することにより、輸送機のエネルギー効率の向上及び排ガスの低減を達成することができる。
本発明の成形体を、パソコン、テレビ、電話等の電化製品等の筺体、構造材、内部部品等に使用することにより、それらの軽量化を図ることができる。軽量化によって、それら電化製品の輸送時のエネルギー消費を低減することができ、また、電化製品を快適に使用することができる。
本発明の成形体を、建築材に使用することにより、建築物の耐震性を改善することが可能となる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例において、パルプ、化学修飾パルプ、化学修飾MFC、熱可塑性樹脂等における各種成分含量は、特に断りがない限り質量%で表示する。
そして、本明細書において、組成物中のセルロース系繊維の含有割合は、組成物全質量中の繊維成分(セルロース+ヘミセルロース)の質量割合で表示する。したがって、組成物中の化学修飾セルロース系繊維の含有割合は、非化学修飾繊維に換算した質量の含有割合(含有%)で示される。
I.試験方法
実施例及び比較例等で使用した試験方法は以下の通りである。
(1)リグニンの定量方法(クラーソン法)
ガラスファイバーろ紙(GA55)を110℃オーブンで恒量になるまで乾燥させ、デシケータ内で放冷後、計量した。110℃で絶乾させた試料(約0.2g)を精秤し、50mL容チューブに入れた。
72%濃硫酸3mL加え、内容物が均一になるようにガラス棒で適宜押しつぶしながら、30℃の温水にチューブを入れて1時間保温した。次いで、チューブ内容物と蒸留水84gとを三角フラスコに注ぎ込み混合した後、オートクレーブ中で、120℃で1時間反応させた。
放冷後、内容物をガラスファイバーろ紙で濾過し不溶物をろ取し、200mLの蒸留水で洗浄した。110℃オーブンで恒量になるまで乾燥させ計量した。
(2)セルロース及びへミセルロースの定量方法(糖分析)
ガラスファイバーろ紙(GA55)を110℃オーブンで恒量になるまで乾燥させ、デシケータ内で放冷後、計量した。110℃で絶乾させた試料(約0.2g)を精秤し、50mL容チューブに入れた。
72%濃硫酸3mL加え、内容物が均一になるようにガラス棒で適宜押しつぶしながら、30℃の温水にチューブを入れて1時間保温した。次いで、チューブ内容物と蒸留水84gとを加え定量的に三角フラスコに注ぎ込み混合した後、混合物1.0mLを耐圧試験管に入れ、内部標準として0.2%イノシトール溶液100μL加えた。
メスピペットを用いて72%濃硫酸(7.5μL)を加え、オートクレーブ中で120℃で1時間反応させた。
放冷後、反応液100μLを超純水で希釈し、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製イオンクロマトグラフ分析に供し、試料に含まれていた糖成分を分析した。
(3)セルロース又はヘミセルロース水酸基の化学修飾度(DS)の測定方法
(3-1)逆滴定方法
セルロース、ヘミセルロース及びリグノセルロースの水酸基がアシル化(エステル化)された試料のDS測定方法を、アセチル化された試料を例にとり以下に説明する。
他のアシル化の場合も同様である。
準備、秤量及び加水分解
試料を乾燥し、0.5g(A)を正確に秤量した。そこにエタノール75mL、及び0.5NのNaOH 50mL(0.025mol)(B)を加え、3〜4時間撹拌した。
これをろ過、水洗、乾燥し、ろ紙上の試料のFT-IR測定を行い、エステル結合のカルボニルに基づく吸収ピークが消失していること、つまりエステル結合が加水分解されていることを確認した。このろ液を下記の逆滴定に用いた。
逆滴定
ろ液には加水分解の結果生じた酢酸ナトリウム塩及び過剰に加えられたNaOHが存在する。このNaOHの中和滴定を1NのHCl及びフェノールフタレインを用いて行った。
・0.025mol(B)‐(中和に使用したHClのモル数) = セルロース等の水酸基にエステル結合していたアセチル基のモル数(C)
・(セルロース繰り返しユニット分子量162×セルロース繰り返しユニットのモル数(未知(D)))+(アセチル基の分子量43×(C))=秤量した試料0.5g(A)
によりセルロースの繰り返しユニットのモル数(D)が算出される。
DSは、
・DS=(C)/(D)
により算出される。
(3-2)赤外線(IR)吸収スペクトルによるDSの測定方法
エステル化セルロース/リグノセルロースのDSは、赤外線(IR)吸収スペクトルを測定することにより求めることもできる。
セルロース/リグノセルロースがエステル化されると1733cm-1付近にエステルカルボニル(C=O)に由来する強い吸収帯が現れるので、この吸収帯の強度(面積)を横軸に、上記のが逆滴定法で求めたDSの値を横軸にプロットした検量線をまず作成する。
そして、試料のDS値は、吸収帯の強度を測定し、この値及び検量線から求める。このようにしてDSを迅速かつ簡便に測定することができる。
(4)セルロース等の結晶化度の測定
木質科学実験マニュアル4.微細構造(1)X線による構造解析(P.198-202)に記載された方法に準じた。機種Rigaku ultraX18HF((株)リガク製)を使用して、試料(リファイナー処理済みパルプ及びこの化学修飾物)の広角X線回折を測定し、試料の結晶化度を求める。
X線はCuKα線、30kV/200mAの出力にて、2θ=5〜40°を測定する。
(5)強度試験方法
万能試験機(オートグラフAG5000E型,(株)島津製作所製)を用いて、3点曲げ試験を実施した。試験条件は曲げ速度10mm/min、支点間距離64mmとした。
(6)Izod衝撃試験
Izod衝撃試験機((株)東洋精機製作所製)を用いてIzod衝撃試験を実施した。試験片中央部に深さ2mmの切り欠き(ノッチ)を挿入した。2.75J-N試験では2.75Jのハンマーを用いてノッチ側を打撃し、ノッチから亀裂を進展させ、その特に衝撃強度を算出した。5.5J-R試験では5.5Jのハンマーを用いてノッチと反対側を打撃し、ノッチのない成形品表面から亀裂を進展させ、その時の衝撃強度を算出した。
(7)樹脂組成物の粘度測定方法
組成物の粘度の測定には溶融粘弾性測定装置(ティーエーインスツルメント製)を用いた。測定条件は、温度250℃、周波数628rad/sec、ひずみ0.05%とした。
(8)繊維の顕微鏡観察(繊維長及び繊維径の観察)
電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)、日本電子製JSM-7800Fにより繊維試料を観察した。測定条件は、加速電圧1.5kV、倍率200〜5000倍とした。
試料の調製方法は以下の通りである。
1)樹脂を複合する前の繊維試料の調製
1-1)サンプルを、エタノールの入ったガラスの小瓶に入れ、超音波攪拌を行ってエタノール中に繊維を懸濁させた。
1-2)繊維のエタノール懸濁液の少量を銅板上に垂らし、エタノールを室温で蒸発させた。
1-3)スパッタリング装置(JEOL SEC-3000FC オートファインコーター)を用いて、サンプルにプラチナコートした。
2)樹脂複合体中の繊維の顕微鏡観察
セルロースナノファイバー(CNF)を含むナイロン6(PA6)組成物(PA6/CNF=90/10)の成形体中のCNFを例にとり、顕微鏡観察用試料の調製方法を説明する。
2-1)射出成形品から4x2x1.2mmの試験片を切り出した。
2-2)試験片をNMP400mlに加えて190℃で2〜4時間浸漬し、PA6を溶出させた。
2-3)PA6溶出後の残渣(繊維)を、エタノールの入ったガラスの小瓶に入れ、超音波攪拌を行ってエタノール中に繊維を懸濁させた。その後は、上記1-2)及び1-3)に従い顕微鏡観察用試料を調製した。
II.使用材料
A.原料パルプ
(1)針葉樹由来漂白クラフトパルプ(NBKP)
針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP、入手先:王子ホールディングス(株))のスラリー(パルプスラリー濃度3質量%の水懸濁液)を、シングルディスクリファイナー(相川鉄工(株)製)に通液させ、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)値が50mLになるまで、繰返しリファイナー処理により解繊処理を行った。
走査型電子顕微鏡(SEM)で繊維を観察した。直径がサブミクロンオーダーの繊維も見られるが、直径数10から数100μmの粗大な繊維径を有している繊維が散見された。
糖分析の結果、その組成(質量%)は、以下の通りであった。
B.化学修飾パルプ
(1)アセチル化NBKP(AcNBKP)
含水NBKP(リファイナー処理済)を濃縮し、N-メチルピロリドン(NMP)を加え、加熱下で減圧脱水した。NBKPのNMP懸濁液(固形分20%)に無水酢酸(0.58モル当量)、及びK2CO3(0.3モル当量)を加えて80℃で90分間加熱撹拌して反応させた。反応が終了した後、混合物を濃縮し、固形分を水で洗浄し、アセチル化NBKP(AcNBKP)のスラリーを得た。
アセチル化の置換度(DS)は、AcNBKPにアルカリを添加し、エステル結合を加水分解することにより発生した酢酸量を滴定(逆滴定法)することにより算出した。
3つのロット(夫々、DS:0.62、DS:0.67及びDS:0.69)のAcNBKPが得られ、これを以下の繊維強化樹脂組成物及び成形体の製造に使用した。
C.無機フィラー
(1)ガラス繊維(GF)として、日東紡製GF(CSX3J、繊維長3mm、繊維径11μm)を使用した。
(2)グラスウール(GW)として、旭ファイバーグラス株式会社製GW(ホワイトウール、繊維径7〜8μm、繊維長(L)30〜50mm)を使用した。
D.樹脂
(1)粉状ポリアミド6(「PA6粉」と記載することもある)として、ユニチカ株式会社製ポリアミド(パウダータイプ、グレードA1020LP)を使用した。
(2)ペレット状ポリアミド6(「PA6ペレット」とも記載する)として、ユニチカ株式会社製のペレット状ポリアミド6(グレード:A1020BRL)を使用した。
(3)粉状ポリカーボネート(PC-ABSアロイ(「PC-ABSアロイ粉」と記載することもある)として、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製の粉状PC-ABSアロイ(グレード:MB8700)を使用した。
(4)ペレット状ポリカーボネート(PC)−ABSアロイ(「PC-ABSアロイペレット」と記載することもある)として、三菱エンジニアリングプラスチック製のペレット状PC-ABSアロイ(グレード:MB8700)を使用した。
E.無機フィラー含有マスターバッチ(MB)
(1)ガラス繊維(GF)含有PA6ペレット(「GF強化PA6ペレット」と記載することもある)には、ユニチカ株式会社製のガラス繊維強化PA(グレード:A1030GFL、ガラス繊維30%強化)をマスターバッチとして使用した。
(2)グラスウール(GW)含有ペレット状PA6マスターバッチ(「GW30%PA6ペレットMB」(V)と記載することもある)を、以下の方法で製造した。上記のPA6粉及び上記グラスウール(GW)をPA6/GW = 70/30の割合で混合した後、二軸押し出し機に供給して溶融混練することにより、GWを30質量%含有するペレット状PA6組成物を得た。これを「GW30%PA6ペレットMB」と称する。
(3)炭素繊維(CF)含有PA6ペレットには、テラボウ株式会社製の炭素繊維強化PA6(PATR-120XCF30)をマスターバッチとして使用した(「CF30%PA6ペレット」と記載することもある)。
使用した押し出し機型式:KZW15-60MG-KIK((株)テクノベル製)
運転条件:二軸シリンダー設定温度200〜215℃
スクリュー回転数:200rpm
(4)ガラス繊維(GF)30wt%強化ポリカーボネート(「GF30%PCペレット」とも記載する)として、三菱エンジニアリングプラスチックス製のペレット状GF-30wt%強化PC(グレードGSH2030M)を使用した。
F.AcNBKP含有マスターバッチ(MB)
以下、「マスターバッチ」を「MB」と記載する。
(1)AcNBKPを含有する粉状PA6-MB
上記PA6粉及びAcNBKPを使用し、以下の粉状PA6-MB(i)及び(ii)を作製した。
AcNBKP15%含有PA6粉状MB(i)
これは、NBKP換算で15質量%に相当するAcNBKPを含有するPA6組成物である。
NBKP換算での含有量が15質量%の、AcNBKPとPA6とからなる粉状組成物を得るために、AcNBKPのスラリーと粉状PA6とをスラリーとして混合した。混合比は、DS=0.69のAcNBKPを用いているので、乾燥重量比でPA6:AcNBKP = 82.31:17.69である。
スラリー混合物をろ過して、その後乾燥させることによって、PA6とAcNBKPとからなる粉状混合物を調製した。
化学修飾セルロース系繊維及びそれを含有する樹脂組成物(又は混合物)に関する、化学修飾繊維の種類とその含量(質量部)との組み合わせによる表示方法は、本明細書では、化学修飾繊維の種類を示す表示(略称)とその未修飾繊維としての含量比(質量部)との組み合わせで表示される。
従って、上記のPA6と化学修飾NBKP(AcNBKP)との混合物について、その化学修飾NBKPの種類(AcNBKP)とその未修飾繊維としての含量とを使用して表示すると、この混合物の組成比の表示は、PA6/AcNBKP = 85/15(質量部)となる。
AcNBKP30%含有PA6粉状MB(ii)
これは、NBKP換算で30質量%に相当するAcNBKPを含有するPA6組成物である。
NBKP換算での含有量が30質量%の、AcNBKPとPA6とからなる粉状組成物を得るために、上記(i)と同様にPA6粉とAcNBKPスラリーとから、AcNBKPとPA6とからなる粉状スラリー混合物を調製した。DS=0.69のAcNBKPを用いているので、PA6とAcNBKPとの混合比は、乾燥重量比でPA6:AcNBKP = 64.62:35.38である。
組成比の表示は、PA6/AcNBKP = 70/30(質量部)である。
(2)AcNBKP含有ペレット状PA6-MB
上記のAcNBKP30%含有粉状PA6-MB(ii)(PA6/AcNBKP = 70/30)及び粉状PA6を、下表の割合で混合してから二軸押出機の供給口に供給して溶融混練し、下記のペレットMB(iii)及びペレットMB(iv)を作成した。
AcNBKP10%PA6ペレットMB(iii)
NBKPとして10質量%を含有するペレット状のAcNBKPとPA6とからなる組成物を作製した。
AcNBKP15%PA6ペレットMB(iv)
NBKPとして15質量%を含有するペレット状のAcNBKPとPA6とからなる組成物を作製した。
これらのペレット状PA6-MB中のAcNBKPは、PA6との溶融混練中にミクロフィブリル化する。
上記PA6-MBの調製に使用した二軸押出機の機種、及び運転条件は以下の通りである。
押し出し機型式:KZW15-60MG-KIK((株)テクノベル製)
押出機の運転条件:二軸シリンダー設定温度200〜215℃
スクリュー回転数:200rpm
(3)AcNBKP30%含有PC-ABSアロイ粉状MB(vi)
NBKP換算で30質量%に相当するAcNBKPを含有する粉状PC-ABSアロイ組成物を作製した。
NBKP換算での含有量が30質量%の、AcNBKPとABSアロイとからなる粉状組成物を得るために、AcNBKPのスラリーと前記の粉状ポリカーボネート−ABSアロイ(PC-ABSアロイ)とを混合した。混合比は、DS=0.67のAcNBKPを用いているので、乾燥重量比でPC-ABSアロイ:AcNBKP = 64.77:35.23である。
スラリー混合物をろ過し、その後乾燥させることによって、PC-ABSアロイとAcNBKPとからなる粉状混合物が得られた。
組成比の表示は、PC-ABSアロイ/AcNBKP = 70/30(質量部)である。
(4)AcNBKPを含有するペレット状PC-ABSアロイMB
AcNBKPを含有するペレット状PC-ABSアロイMBを、AcNBKP含有ペレット状PC-ABSアロイMBと表記する。
上記NBKP30%含有PC-ABSアロイ粉状MB(vi)(PC-ABSアロイ/AcNBKP = 70/30)及び前記のPC-ABSアロイペレットを、下表の割合で混合した。
NBKP30%含有PC-ABSアロイ粉状MB(vi)及び前記のPC-ABSアロイペレットの混合物を二軸押出機の供給口に供給し、二軸押出機により溶融混練し、下記のAcNBKP10% PC-ABSアロイペレットMB(vii)、及びAcNBKP15% PC-ABSアロイペレットMB(viii)を調製した。押し出し機の型式及びその運転条件は下記参照。
AcNBKP10% PC-ABSアロイペレットMB(vii)
これは、NBKPとして10質量%を含有するペレット状のAcNBKPとPC-ABSアロイからなる組成物である。
AcNBKP15% PC-ABSアロイペレットMB(viii)
これは、NBKPとして15質量%を含有するペレット状のAcNBKPとPC-ABSアロイからなる組成物である。
これらのAcNBKPを含有するペレット状PC-ABSアロイMB中のAcNBKPは、PC-ABSアロイとNBKP30%含有PC-ABSアロイ粉状MBとの溶融混練中にミクロフィブリル化が進行する。押し出し機の型式及びその運転条件は以下の通りである。
押し出し機型式:KZW15-60MG-KIK((株)テクノベル製)
押出機の運転条件:二軸シリンダー設定温度210〜220℃
スクリュー回転数:200rpm
III.繊維強化樹脂組成物の製造及び評価結果
(1)AcNBK及びGFを含有するPA6組成物、及びその成形体の製造
(1-1)PA6、AcNBK及びGFを一括して供給し混練して組成物を製造する方法
組成物の製造
AcNBKP15%粉MB(i)(PA6/AcNBKP = 85/15)、AcNBKP30%粉MB(ii)(PA6/AcNBKP = 70/30)、(1)PA6粉、(2)NBKP、及び(4)GFを、表4に示す混合割合で、夫々室温で混合した。
得られた混合物を、夫々二軸押出機に供給して、これらの成分を一括で溶融混練することにより、試験番号が夫々PA6-433、PA6-15、PA6-430、PA6-428、PA6-429、PA6-431、及びPA6-432である複合化ペレットを作製した。
溶融混練条件
シリンダー設定温度:200〜215℃
スクリュー回転数:200rpm
製造された組成物中のAcNBKP成分は、混練中にミクロフィブリル化されている。
成形体の製造
得られた複合化ペレットを射出成形(使用した射出成形機NPX7(日精樹脂工業(株)製))し、幅×長さ×厚み=10×80×4mmの短冊型試験片(成形体)を得た。
射出機のシリンダー設定温度を、210〜230℃とした。
成形体の試験結果
上記の成形体(試験片)について曲げ弾性率及び曲げ強度を測定した。
測定結果を表5に示す。また、成形体の密度と曲げ弾性率との関係、及び、成形体の密度と曲げ強度との関係を夫々、図1及び図2に示した。
なお、成形体の密度は、それを構成する各組成の密度と質量比率とから計算することができる。
動的粘弾性試験結果
また、本発明の組成物の成形性を評価するために、その動的粘弾性試験を行い、628rad/secにおける複素粘度を表5に示した。
図1は、アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.69)とガラス繊維(GF)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ弾性率との関係を示す図である。
図2は、アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.69)とガラス繊維(GF)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ強度との関係を示す図である。
図1及び2では、PA6成形体は、PA6、AcNBKP及びGFを一括して混練機に供給し溶融混練し、これを射出成形して製造した。
いずれの図においても、PA6/AcNBKP/GF複合材の曲げ弾性率又は曲げ強度を密度に対してプロットした点(赤色◆印)は、非強化PA6とPA6/GF = 80/20とを結んだ直線上の数値よりも同一密度において高い数値を示した。このことからPA6/AcNBKP/GF複合材では、その同じ密度において、GF単独での補強効果よりもAcNBKPとGFとによる補強効果が高いことがわかる。
更に、グラスファイバー(GF)20Wt%含有PA6組成物(試験番号PA6-433)の密度当たりの曲げ弾性率(MPa/組成物密度)を基準に、各試料の密度当たりの曲げ弾性率及び密度当たりの曲げ強度を比較した。
表5に示すように、試験No.PA6-428(PA6/AcNBKP/GF = 90/5/5)、PA6-429(PA6/AcNBKP/GF = 85/5/10)、PA6-431(PA6/AcNBKP/GF = 85/10/5)及びPA6-432(PA6/AcNBKP/GF = 80/10/10)の密度当たり弾性率比は、基準値(GF20Wt%含有PA6組成物の密度当たり弾性率)に比べて、1.05〜1.42倍であった。
試験番号PA6-429〜PA6-432の組成物の密度当たりの曲げ強度(密度当たり強度比)は、基準値に比べて1.07〜1.16倍となった。
つまりGF強化PA6に比べて、PA6/AcNBKP材料及びPA6/AcNBKP/GF材料は軽量であり、高強度及び高弾性率の材料である。
PA6-430(PA6/AcNBKP=90/10)の密度当たり弾性率比は、基準(PA6/GF=80/20)のそれに比べて、1.10である。
一方、PA6-429、PA6-431及びPA6-432の密度当たり弾性率比は、基準(PA6/GF=80/20)のそれに比べて夫々1.20,1.24及び1.42倍である。このことから、AcNBKPだけを含むPA6-430に比べても、AcNBKPとGFとのハイブリッド化により、軽量で、高弾性率化が達成できたといえる。
PA6-430の密度当たり強度比は、基準(PA6/GF=80/20)のそれに比べて1.09である。
これに比べて、PA6-431及びPA6-432の密度当たり強度比は高い値である(夫々1.12及び1.16)。このことから、AcNBKPだけを含むPA6-430に比べてもAcNBKPとCNFとのハイブリッド化により、軽量で高強度化が達成できたといえる。
本発明の組成物の成形加工性を動的粘弾性の観点から比較すると、本発明の組成物(PA6-429及びPA6-431)は、対照(PA6-430)に比べて複素粘度が低く、成形加工性が良好であるといえる。
(1-2)AcNBKP/PA6ペレットとGF/PA6ペレットとを射出機で溶融混合して射出成形する方法
AcNBKP10wt%ペレットMB(iii)(PA6/AcNBKP = 90/10)、AcNBKP15wt%ペレットMB(iv)(PA6/AcNBKP = 85/15)、(4)PA6-GF30wt%ペレット、及び(5)PA6ペレットを、表6の混合割合で夫々混合した。
得られた混合物を、夫々射出成形機に供給し、これらを溶融して射出成形することにより、幅×長さ×厚み=10×80×4mmの短冊型試験片(PA6-437、438、439、440、441及び442)を得た。なお、射出機の型番は、NPX7(日精樹脂工業(株)製)である。
射出機のシリンダー設定温度を、210〜230℃とした。
成形体の試験結果
上記の成形体(試験片)について曲げ弾性率及び曲げ強度を測定した。
測定結果を表7に示す。また、成形体の密度と曲げ弾性率との関係、及び、成形体の密度と曲げ強度との関係を夫々、図3及び図4に示した。
また、本発明の組成物の成形性を評価するために、その動的粘弾性試験を行い、628rad/secにおける複素粘度を表7に示した。
図3は、アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.67)とガラス繊維(GF)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ弾性率との関係を示す図である。
図4は、アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.67)とガラス繊維(GF)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ強度との関係を示す図である。
図3及び4のアセチル化NBKPとガラス繊維(GF)とを含有するPA6成形体は、AcNBKP含有PA6ペレット及びGF含有PA6ペレットの混合物を射出成形機に供給して溶融混合し、これを射出成形して製造した。
図3の曲げ弾性率については、非強化PA6とPA6/GF = 80/20とを結んだ直線上の値に比べて、それと同一密度のPA6/AcNBKP/GF複合材の曲げ弾性率は高かった。このことからPA6/AcNBKP/GF複合材は、同じ密度において、GFによる補強効果よりも、AcNBKPとGFとによる補強効果が高いことがわかる。
図4の密度と曲げ強度との関係図において、非強化PA6とPA6/GF = 80/20とを結んだ直線上の値に比べて、それと同密度のPA6/AcNBKP/GF複合材の曲げ強度が大きいことから、GFによる補強効果よりもAcNBKPとGFとによる補強効果が高いことがわかる。
更に、グラスファイバー(GF)20Wt%含有PA6組成物(試験番号PA6-442)の密度当たりの曲げ弾性率(密度当たり弾性率比)を基準に、各試料の密度当たり弾性率比を比較した。
表7に示すように、試験No.PA6-438(PA6/AcNBKP/GF = 85/5/10)、PA6-440(PA6/AcNBKP/GF = 85/10/5)及びPA6-441(PA6/AcNBKP/GF = 80/10/10)の密度当たり弾性率比は、基準値に比べて、1.03〜1.21倍であった。
GF強化PA6に比べて、PA6/AcNBKP/GF材料は軽量であり、高弾性率の材料である。
AcNBKPのみを含有するPPA6-439(PA6/AcNBKP=90/10)の密度当たり弾性率比は、基準に対して0.96である。
一方、試験番号PA6-438(PA6/AcNBKP/GF = 85/5/10)、PA6-440(PA6/AcNBKP/GF = 85/10/5)及びPA6-441(PA6/AcNBKP/GF = 80/10/10)の密度当たり曲げ弾性率比は、1.03〜1.21であって、AcNBKPのみを含有するPA6-439(PA6/AcNBKP=90/10)のそれ(0.96)に比べて大きい。このように、AcNBKPのみを含有する成形体と比較してもAcNBKPとGFとのハイブリッド化により、軽量で高弾性率化を達成できた。
成形加工性については、本発明の組成物(PA6-438、PA6-440、及びPA6-441)は、対照(PA6-439)に比べて複素粘度が低いので、成形加工性が良好であるといえる。
(2)AcNBK及びGWを含有するPA6組成物及びその成形体の製造
AcNBKP10wt%ペレットMB(iii)、AcNBKP15wt%ペレットMB(iv)、GW30wt%ペレットMB(v)、及び(5)PA6ペレットを、表8の組成割合で夫々混合した。
得られた混合物を、夫々射出機に供給して溶融し、AcNBKP、及びGWを含むPA6組成物を作製した。これを射出成形(NPX7(日精樹脂工業(株)製))することにより、幅×長さ×厚み=10×80×4mmの短冊型成形体(試験片の試験番号、PA6-448、449、450、451、452及び453)を作製した。
使用した射出機の型番は、NPX7(日精樹脂工業(株)製)である。射出機のシリンダー設定温度を、210〜230℃とした。
成形体の試験結果
上記の成形体(試験片)について曲げ弾性率及び曲げ強度を測定した。
測定結果を表9に示す。また、成形体の密度と曲げ弾性率との関係、及び、成形体の密度と曲げ強度との関係を夫々、図5及び図6に示した。
また、本発明の組成物の成形性を評価するために、その動的粘弾性試験を行い、628rad/secにおける複素粘度を表9に示した。
図5は、アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.67)とグラスウール(GW)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ弾性率との関係を示す図である。
図6は、アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.67)とグラスウール(GW)とを含有するPA6成形体の密度と曲げ強度との関係を示す図である。
図5及び6では、AcNBKPとGWとを含有するPA6成形体は、AcNBKP含有PA6ペレット及びGW含有PA6ペレットの混合物を射出成形機に供給して溶融混合し、これを射出成形して製造した。
いずれの図においても、非強化PA6とPA6/GW = 80/20とを結んだ直線上の値に比べて、それと同一密度のPA6/AcNBKP/GW複合材の物性値が高かったことから、複合材の同じ密度において、GWによる補強効果よりも、AcNBKPとGWとによる補強効果が高いことがわかる。
GW20Wt%含有PA6成形体(試験番号PA6-453)の密度当たりの曲げ弾性率(密度当たり曲げ弾性率(MPa/組成物密度))及び密度当たりの曲げ強度(密度当たり曲げ強度)を基準に、AcNBK及びGWを含有するPA6組成物の成形体の密度当たり曲げ弾性率及び密度当たり曲げ強度を比較した。
表9に示されるように、AcNBK及びGWを含有するPA6組成物の成形体である、試験番号PA6-448(PA6/AcNBKP/GW = 90/5/5)、PA6-449(PA6/AcNBKP/GW = 85/5/10)、PA6-451(PA6/AcNBKP/GW = 85/10/5)、及びPA6-452(PA6/AcNBKP/GW = 80/10/10)の密度当たり弾性率比は、上記基準値に対し1.31〜1.78倍となり、密度当たり強度比は上記基準値に対し1.35〜1.48倍となった。
このように、GW強化PA6に比べて、PA6/AcNBKP材料及びPA6/AcNBKP/GW材料は、軽量であり、高強度及び高弾性率の材料である。
PA6-450の密度当たり曲げ弾性率比は1.55である。
一方、PA6-451及びPA6-452のそれは各々1.69及び1.78である。このようにAcNBKPだけのPA6-450に比べても、AcNBKPとGWとのハイブリッド化により、軽量かつ高弾性率化を達成することができた。
本発明の繊維強化組成物の成形加工性については、本発明の組成物(PA6-451)は、対照(PA6-450)に比べて複素粘度が低く、成形加工性が良好であるといえる。
(3)AcNBK、GF及びPC-ABSアロイを含有する組成物及びその成形体の製造
CNF10wt%ペレットMB(vii)、CNF15wt%ペレットMB(viii)、GF30wt%強化PCペレット、及び(11)PC-ABSアロイペレットを夫々表10に示す組成割合で混合した。
得られた混合物を射出機に供給して溶融し、これを射出成形することにより、幅×長さ×厚み=10×80×4mmの短冊型の本発明の成形体及び対照成形体(試験片)を作製した。
試験片の試験番号は夫々PC-19、20、21、22、23及び24とした。
射出機のシリンダー設定温度を210〜250℃とした。
AcNBK、GF及びPC-ABSアロイを含有する組成物、及びその成形体中のAcNBKPは、ナノフィブリル化されている。
成形体の試験結果
上記の成形体(試験片)について曲げ弾性率及び曲げ強度を測定した。
測定結果を表11に示す。また、成形体の密度と曲げ弾性率との関係、及び、成形体の密度と曲げ強度との関係を夫々、図7及び図8に示した。
図7は、アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.67)とガラス繊維(GF)とを含有するPC-ABSアロイ成形体の密度と曲げ弾性率との関係を示す図である。
図8は、アセチル化NBKP(AcNBKP、DS=0.67)とガラス繊維(GF)とを含有するPC-ABSアロイ成形体の密度と曲げ強度との関係を示す図である。
図7及び8では、PC-ABSアロイ成形体は、AcNBKP含有PC-ABSアロイペレット及びGF含有PCペレットの混合物を射出成形機に供給して溶融混合し、これを射出成形して製造した。
いずれの図においても、非強化PC-ABSアロイとPC-ABSアロイ/GF = 80/20とを結んだ直線上の数値に比べて、PC-ABSアロイ/AcNBKP/GF複合材の曲げ弾性率又は曲げ強度値を密度に対してプロットした値(赤色◆印)は、同一密度において、高い値を示した。このことから、PC-ABSアロイ/AcNBKP/GF複合材は、同じ密度において、GFによる補強効果よりもAcNBKPとGFとによる補強効果が高いことがわかる。
更に、表11のデータをもとに、グラスファイバー(GF)20Wt%含有PC-ABSアロイ組成物(試験番号PC-24)の密度当たりの曲げ弾性率(密度当たり曲げ弾性率)を基準に比較した。
その基準値(密度当たり弾性率比1.00)に比べて、試験番号PC-20(アロイ/AcNBKP/GF = 85/5/10)、PC-22(アロイ/AcNBKP/GF = 85/10/5)及びPC-23(アロイ/AcNBKP/GF = 80/10/10)の密度当たり弾性率比は、1.04〜1.21である。これより、GF強化PC-ABSアロイに比べて、アロイ/AcNBKP/GF複合材料が軽量であり、高弾性率の材料であることがわかる。
成形体の密度当たりの曲げ強度(密度当たり強度比)では、試験番号PC-20(アロイ/AcNBKP/GF = 85/5/10)が、PC-24(アロイ/GF=80/20)と同等である。
PC-6(アロイ/AcNBKP=90/10)の密度当たり弾性率比は0.98である。
これに対して、PC-20、PC-22及びPC-23の密度当たり弾性率比は各々1.04、1.11及び1.21であった。よって、AcNBKPだけの複合化PC-6(アロイ/AcNBKP=90/10)に比べて、AcNBKPとGFとのハイブリッド化により、軽量で高弾性率化を達成できた。
PC-6の密度当たり強度比は0.84である。
これに対し、PC-19、PC-20、PC22及びPC-23の密度当たり強度比は、各々0.91、1.01、0.87及び0.93であった。よって、AcNBKPだけのPC-6(アロイ/AcNBKP=90/10)に比べて、AcNBKPとGFのハイブリッド化により、軽量化及び高強度化が達成できた。
(4)AcNBKP/ PA6ペレットとCF/P6ペレットとを射出成形機で溶融混合して射出成形する方法
PA6-GF30%ペレットの代わりにCF30%PA6ペレットを用いて、前記「(1-2)AcNBKP/PA6ペレットとGF/PA6ペレットとを射出機で溶融混合して射出成形する方法)」で記載した方法に準じて、AcNBKP10wt%ペレット(PA6/AcNBKP = 90/10)、AcNBKP15wt%ペレット(PA6/AcNBKP = 85/15)、CF30%PA6ペレット及びPA6ペレットを表6の混合割合に準じて夫々混合し、夫々射出成形機に供給してこれらを溶融し、射出成形することによって、幅×長さ×厚み=10×80×4mmの短冊型試験片(PA6-571〜576及び585)を得た。
射出機の型番は、NPX7(日精樹脂工業(株)製)である。射出機のシリンダー設定温度は、210〜230℃とした。
成形体の試験結果
上記の成形体(試験片)について、曲げ弾性率及び曲げ強度を測定した。
測定結果を表12に示す。また、成形体の密度と曲げ弾性率との関係、及び、成形体の密度と曲げ強度との関係を夫々、図9及び図10に示した。
また、本発明の組成物の成形性を評価するためにその動的粘弾性試験を行い、628rad/secにおける複素粘度を表12に示した。
表12からわかるように、PA6に炭素繊維を複合化すると、曲げ弾性率も曲げ強度も大きく上昇する。例えば、CFを10%含有するPA6組成物(PA6-585=PA6/CF=90/10) の曲げ弾性率は7460MPaであり、曲げ強度は162MPaであって、AcNBKPを10%含有するPA6組成物(PA6-573=PA6/AcNBKP=90/10) のそれら(曲げ弾性率4910MPa、及び曲げ強度129MPa)よりも大きい。
そして、これらの密度当たりの曲げ弾性率及び密度当たりの曲げ強度を比較しても、前者の密度当たりの曲げ弾性率は、後者の1.5倍であり、前者の密度当たりの曲げ強度は、後者の1.25倍である。
このデータから見ると、一見、炭素繊維と化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維(AcNBKP)とを繊維強化組成物に併用する効果が不明である。
しかしながら、PA6、PA6-585(PA6/CF-90/10)及びPA6-576(PA6/CF-90/20)のそれぞれの密度と曲げ弾性率との関係から求めた回帰直線の上の値は、AcNBKPとCFとを含有するPA6組成物の密度当たり曲げ弾性率に極めて近似していることから(図9参照)、AcNBKPとCFとを含有するPA6組成物は、密度当たり曲げ弾性率において、CF含有組成物並みの性能を発揮しているといえる。
また、AcNBKPとCFとを含有するPA6組成物の密度当たりの曲げ強度についても、CF含有組成物並みの性能を発揮しているといえる(図10参照)。このことは、製造に高いエネルギー及びコストを要する炭素繊維を使用する代わりに、化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維と炭素繊維とを併用することによって、省エネルギー化及び低コスト化が図れる可能性があるといえる。
(5)樹脂と複合(溶融混練)する前のAcNBKP、及び樹脂複合体中のAcNBKPそれぞれの繊維長及び繊維径の測定結果
100〜1000倍までの低倍率及び5000倍の高倍率で、繊維の顕微鏡観察を行った。
低倍率での観察では、いくつかの倍率及び視野において観察を行うことにより、多くの粗大な繊維を見出し、その繊維径及び繊維長の計測を行った。
高倍率での観察では、解繊が進んでいる繊維を観察し、その繊維径及び繊維長の計測を行った。このような観察方法により、試料に含まれる解繊した繊維から未解繊の繊維までの繊維径及び繊維長を網羅して観察することができた。
試験番号PA6-430の成形体に使用したAcNBKP(PA6と溶融混練する前のAcNBKP)の電子顕微鏡観察像を図11に示す。また、試験番号PA6-430の成形体から調製した試料中の繊維の電子顕微鏡観察像を図12に示し、試験番号PA6-431の成形体から調製した試料中の繊維の電子顕微鏡観察像を図13に示し、試験番号PA6-451の成形体から調製した試料中の繊維の電子顕微鏡観察像を図14に示す。
このようにして観察したところ、樹脂と溶融混練する前のAcNBKPの直径は、細いもので数十nm〜5μm程度、太いものでは20〜50μmであった(図11の樹脂混練前のAcNBKPの顕微鏡観察像参照)。
前記の成形体(夫々、PA6-430、PA6-431及びPA6-451)からPA6を溶出し、除去した残渣の繊維について、上記のような低倍率観察及び高倍率観察を行ったところ、その直径は細いもので数十nm〜1μm程度、太いものでは10〜30μmであった(図12〜14参照)。
以上のことから、化学修飾セルロース系繊維は、樹脂との溶融混練時に解繊が進み、フィブリル化することがわかる。
上記の通り、本発明により、軽量で、且つ強度特性に優れる、繊維強化樹脂組成物、及びその成形体を提供することができた。

Claims (9)

  1. 繊維強化樹脂組成物であって、
    当該繊維強化樹脂組成物は、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有し、
    前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが下記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物:
    (a)(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維が、
    下式(1):
    (Lg)Cell-O-R・・・・(1)
    〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
    式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
    式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
    で表される化学修飾セルロース系高分子で構成される繊維のミクロフィブリル化繊維である。
    (b)(B)無機フィラーが、ガラス繊維、グラスウール、炭素繊維、ガラス微細粉、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、カオリン及びナノクレイからなる群から選ばれる1種又は2種以上のフィラーである。
  2. 前記(a)要件の式(1)におけるRが、アセチル基、プロピオニル基、カルボキシメチル基、カルボキシメチル基の塩、カルボキシエチル基、カルボキシエチル基の塩、カルボキシエチルカルボニル基、カルボキシエチルカルボニル基の塩、カルボキシビニルカルボニル基、又はカルボキシビニルカルボニル基の塩である、請求項1に記載の繊維強化樹脂組成物。
  3. 前記(a)要件の式(1)におけるRが、アセチル基である請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂組成物。
  4. 前記(b)要件の(B)無機フィラーが、ガラス繊維又は炭素繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。
  5. 前記(a)要件の式(1)における(Lg)Cell-が、リグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。
  6. 前記(C)熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリオレフィン、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート−ABSアロイ(PC-ABSアロイ)及び変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物からなる成形体。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物の製造方法であって、
    (i)下式(1):
    (Lg)Cell-O-R・・・・(1)
    〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
    式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
    式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
    で表される化学修飾セルロース系高分子からなる化学修飾セルロース系パルプ、
    (ii)(B)無機フィラー、及び
    (iii)(C)熱可塑性樹脂
    を溶融混練することで、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物を製造する方法であり、 前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが前記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化樹脂組成物の製造方法であって、
    工程(1):
    下式(1):
    (Lg)Cell-O-R・・・・(1)
    〔式中、(Lg)Cell-は、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニンから水酸基を除いた残基を示す。
    式中、-O-Rは、セルロース系高分子中のセルロース、ホロセルロース及び/又はリグノセルロースを構成する多糖及びリグニン中の一部の水酸基の水素原子が置換基Rにより置換されていることを示す。
    式中、Rは、炭素数2〜4のアシル基、-(CH2)n-1COOH、-CO(CH2)nCOOH、-COCH=CHCOOH、-(CH2)n-1COO-X+、-CO(CH2)nCOO-X+及び-COCH=CHCOO-X+からなる群から選ばれる1種又は2種以上を示し、nは2〜4の整数を示す。前記COO-X+は、カルボキシ基が無機又は有機塩の状態になった基を示す。〕
    で表される化学修飾セルロース系高分子からなる化学修飾セルロース系パルプ、及び (C)熱可塑性樹脂を混練する工程、及び
    工程(2):
    前記工程(1)で得られた混練物と、(B)無機フィラーと熱可塑性樹脂とを含む樹脂組成物とを溶融混練する工程
    を含む方法により、(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維、(B)無機フィラー及び(C)熱可塑性樹脂を含有する繊維強化樹脂組成物を製造する方法であり、
    前記(A)化学修飾ミクロフィブリル化セルロース系繊維及び前記(B)無機フィラーが前記(a)及び(b)の要件を満たす繊維強化樹脂組成物の製造方法。
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