JP2020151969A - 熱可塑性樹脂及び強化繊維を含む複合材料からなる中間基材及び成形体の製造方法、並びに当該中間基材及び当該成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂及び強化繊維を含む複合材料からなる中間基材及び成形体の製造方法、並びに当該中間基材及び当該成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂を母材として採用する繊維強化樹脂複合材料からなる成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させる。【解決手段】母材としての熱可塑性樹脂及び強化繊維を含む中間基材の製造方法において、熱可塑性樹脂及びナノセルロース(NC)が分散媒に分散されている分散液を強化繊維又は強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料に塗布し乾燥させる。これにより、強化繊維と母材との界面にNCを効率的に導入して、当該中間基材から製造される成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させることができる。NCはセルロースナノファイバ(CNF)であってもよい。NCは官能基によって修飾されていてもよい。【選択図】図18

Description

本発明は、熱可塑性樹脂及び強化繊維を含む複合材料からなる中間基材及び成形体の製造方、並びに当該中間基材及び当該成形体法に関する。
当該技術分野においては、例えば、軽量であり且つ高い機械的強度を有する材料として、例えば炭素繊維(CF:Carbon Fiber)等の強化繊維と母材としての樹脂(マトリックス樹脂)との複合材料である繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastic)等の繊維強化樹脂複合材料を始めとする「強化繊維及び樹脂を含む複合材料」(以降、「繊維強化樹脂複合材料」と称呼される場合がある。)の開発が盛んに行われている。強化繊維を母材に混入させて複合材料とすることにより、当該複合材料の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を向上させることができる。
上記のような繊維強化樹脂複合材料からなる成形体を得るための中間基材は、例えば、当該成形体に求められる形状及び機械的性質、並びに当該成形体を製造するための成形方法等に応じて、例えばペレット、コミングルヤーン及びプリプレグ等の様々な形態をとり得る。このような中間基材の製造過程においては、強化繊維の供給量の不安定化及び/又は強化繊維の切断等に起因する複合材料の物性低下の防止等を目的として、所謂「集束剤」(「サイジング剤」又は「バインダ」等と称呼される場合がある。)を強化繊維に塗布して適切な集束性を強化繊維に付与することが広く知られている。
しかしながら、従来の繊維強化樹脂複合材料においては、強化繊維と母材との界面における密着が不十分であり、ナノメートル(nm)レベルの隙間が生じがちであった。このため、図1に示すように、当該複合材料10からなる製品に応力が作用すると、強化繊維20と母材30との界面において剥離が生じ、当該剥離が亀裂に発展して、複合材料としての機能を充分に発揮することができない場合があった。
そこで、当該技術分野においては、ナノセルロース(NC:NanoCellulose)と所定の官能基を有する化合物とを含む集束剤をCFに予め塗布することも知られている(例えば、特許文献1を参照)。このようにNCを含む集束剤を強化繊維としてのCFと母材との間に介在させることにより、強化繊維と母材との界面における密着性を向上させ、強化繊維及び母材を含む複合材料からなる成形体の機械的強度を高めることができる。
ところで、当該技術分野においては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂のプレポリマーを強化繊維に含浸させることによって得られる中間基材であるプリプレグが多用されている。プレポリマーは最終的な樹脂として硬化される前の段階にあるため粘度が低く、強化繊維に容易に含浸させることができる。しかしながら、一般に、プレポリマーを硬化させて最終的な樹脂とするには長い時間を要するため、熱硬化性樹脂からなる成形体の生産効率は、熱可塑性樹脂からなる成形体の生産効率に比べて低い。
そこで、昨今では、例えば炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP:Carbon Fiber Reinforced ThermoPlastic)等、熱可塑性樹脂を母材として採用する繊維強化樹脂複合材料の開発が盛んに行われている。このような複合材料は、熱可塑性樹脂を母材として採用することにより、熱硬化性樹脂を母材として採用する繊維強化樹脂複合材料に比べて、成形に要する時間がより短く、成形体の生産効率がより高い。
特開2017−119936号公報 特許第6091589号公報
上述したように、熱硬化性樹脂を母材として採用する繊維強化樹脂複合材料に比べて、成形に要する時間がより短く、成形体の生産効率がより高いことから、熱可塑性樹脂を母材として採用する繊維強化樹脂複合材料の開発が近年盛んに行われている。このように熱可塑性樹脂を母材として採用する繊維強化樹脂複合材料においても、上述したようなナノセルロース(NC)を含む集束剤を強化繊維と母材との間に介在させることにより、強化繊維と母材との密着性を高め、当該複合材料からなる成形体の機械的強度を安定的且つ均一的に増大させることが期待される。
しかしながら、従来使用されてきた集束剤は、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を結合剤として含むものが一般的である。従って、このような集束剤にNCを添加した混合物を、熱可塑性樹脂を母材として採用する繊維強化樹脂複合材料に添加しても、例えば熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との熱特性及び/又は親和性の違い等に起因して、強化繊維と母材との界面にNCを効率的に導入することが困難である場合がある。この場合、強化繊維と母材との密着性を高めて、熱可塑性樹脂を母材として採用する繊維強化樹脂複合材料からなる成形体の機械的強度を十分に高めることが困難である。
上記のように、当該技術分野においては、熱可塑性樹脂を母材として採用する繊維強化樹脂複合材料を構成する強化繊維と母材との界面にNCを効率的に導入して、当該複合材料からなる成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させることができる技術が要求されている。
上記課題に鑑み、本発明者は、鋭意研究の結果、母材としての熱可塑性樹脂及び強化繊維を含む中間基材の製造方法において、熱可塑性樹脂及びナノセルロース(NC)が分散媒に分散されている分散液を強化繊維又は強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合材料に塗布することにより、強化繊維と母材との界面にNCを効率的に導入して、当該複合材料からなる成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させることができることを見出した。
本明細書の冒頭において述べたように、本発明は、熱可塑性樹脂及び強化繊維を含む複合材料からなる中間基材の製造方法、並びに当該中間基材に関する。
具体的には、本発明の1つの態様に係る中間基材の製造方法(以降、「本発明方法1」と称呼される場合がある。)は、熱可塑性樹脂である母材と、ナノセルロースと、強化繊維と、を含む中間基材の製造方法であって、以下に列挙する各工程を含む。
工程A:第1の熱可塑性樹脂及びナノセルロースが分散媒に分散されている分散液であるナノセルロース分散液を調製する。
工程B:ナノセルロース分散液を強化繊維の表面の少なくとも一部に塗布する。
工程C:強化繊維の表面の少なくとも一部に塗布されたナノセルロース分散液を乾燥させて分散媒を除去することにより、第1の熱可塑性樹脂の中にナノセルロースが分散されている部分である第1部分が強化繊維の表面の少なくとも一部に形成された被覆強化繊維を調製する。
工程D:被覆強化繊維と第2の熱可塑性樹脂とを組み合わせて中間基材を調製する。
また、本発明のもう1つの態様に係る中間基材の製造方法(以降、「本発明方法2」と称呼される場合がある。)は、第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にナノセルロースが分散されている部分である第1部分と、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と強化繊維とを含む部分である第2部分と、を含む中間基材の製造方法であって、以下に列挙する各工程を含む。
工程E:第1の熱可塑性樹脂及びナノセルロースが分散媒に分散されている分散液であるナノセルロース分散液を調製する。
工程F:ナノセルロース分散液を第2部分の表面の少なくとも一部に塗布する。
工程G:第2部分の表面の少なくとも一部に塗布されたナノセルロース分散液を乾燥させて分散媒を除去することにより、第2部分の表面の少なくとも一部に第1部分が形成された中間基材を調製する。
更に、本発明に係る中間基材(以降、「本発明基材」と称呼される場合がある。)は、 第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にナノセルロースが分散されている部分である第1部分と、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と、強化繊維と、を含む、中間基材である。
第1の熱可塑性樹脂、ナノセルロース、分散媒、第2の熱可塑性樹脂、及び強化繊維として選択される材料、並びに本発明基材の構成(例えば、本発明基材における第1の熱可塑性樹脂、第2の熱可塑性樹脂、ナノセルロース、及び強化繊維の配置等)等、本発明基材の具体的な構成については、本発明の種々の実施形態に関する説明において後述する。
一方、本明細書の冒頭において述べたように、本発明は、熱可塑性樹脂及び強化繊維を含む複合材料からなる成形体の製造方法、並びに当該成形体にも関する。
具体的には、本発明に係る成形体の製造方法(以降、「本発明方法3」と称呼される場合がある。)は、熱可塑性樹脂である母材と、強化繊維と、ナノセルロースと、を含む複合材料によって形成されており、母材と強化繊維との界面の少なくとも一部にナノセルロースが配設されている、成形体の製造方法であって、以下に列挙する各工程を含む。
工程H:上述した本発明基材を第1の熱可塑性樹脂である第1母材の融点及び第2の熱可塑性樹脂である第2母材の融点のうち高い方の融点以上の所定の温度に加熱する。
工程I:上記所定の温度及び所定の圧力において本発明基材を成形する。
更に、本発明に係る成形体(以降、「本発明成形体」と称呼される場合がある。)は、熱可塑性樹脂である母材と、強化繊維と、ナノセルロースと、を含む複合材料によって形成されており、母材と強化繊維との界面の少なくとも一部にナノセルロースが配設されている、成形体である。
上記のように、本発明基材は、第1の熱可塑性樹脂である第1母材とナノセルロース(NC)とを含む第1材料からなる第1部分と、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と、強化繊維と、を含む中間基材である。このように第1母材及び第2母材は何れも熱可塑性樹脂であるので、本発明基材を加熱及び加圧して所望の形状を有する成形体を製造する過程において、第1母材と第2母材とが容易に混ざり合い、強化繊維と母材との界面にNCを容易に到達させることができる。その結果、成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させることができる。
また、本発明基材の母材は熱可塑性樹脂によって構成されているため、従来技術に係る複合材料におけるように母材である熱硬化性樹脂の硬化に長時間を費やす必要が無いので、成形体の成形に要する時間が短く、成形体の生産効率が高い。
以上のように、本発明によれば、熱可塑性樹脂を母材として採用する繊維強化樹脂複合材料を構成する強化繊維と母材との界面にNCを効率的に導入して、当該複合材料からなる成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させることができる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
従来技術に係る複合材料からなる製品に応力が作用した場合に樹脂と炭素繊維との界面において剥離が生じて亀裂に発展する様子を示す模式的な断面図である。 本発明の第1実施形態に係る中間基材の製造方法(第1方法)の1つの例を示すフローチャートである。 ナノセルロース分散液の構成の一例を示す模式図である。 ナノセルロース分散液において分散媒に分散されていた第1の熱可塑性樹脂の微粒子とナノセルロースとが互いに凝集している部分として形成された第1部分の構成の一例を示す模式的な断面図である。 ナノセルロース分散液において分散媒に分散されていた第1の熱可塑性樹脂の微粒子が熔融して連続的な一体物となった母材の中にナノセルロースが分散されている部分として形成された第1部分の構成の一例を示す模式的な断面図である。 第1方法の工程Cにおいて調製される被覆強化繊維の構成の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第2実施形態に係る中間基材の製造方法(第2方法)の1つの例を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る中間基材である第3基材(1)の構成の1つの具体例を示す模式的な断面図である。 第3基材(1)の構成のもう1つの具体例を示す模式的な断面図である。 図9に示した第3基材(1)の構成を示す模式的な斜視図である。 第3基材(1)の構成のもう1つの具体例を示す模式的な断面図である。 本発明の第3実施形態に係るもう1つの中間基材である第3基材(2)を構成する第2部分の構成の1つの具体例を示す模式的な断面図である。 第3基材(2)の構成の1つの具体例を示す模式的な断面図である。 図13に示した第3基材(2)の構成の他の例を示す模式的な断面図である。 第3基材(2)を構成する第2部分の構成のもう1つの具体例を示す模式的な断面図である。 図15に示した第2部分の構成を示す模式的な斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る成形体の製造方法(第4方法)の1つの例を示すフローチャートである。 本発明の第5実施形態に係る成形体(第5成形体)における強化繊維近傍の構成の一例を示す模式的な拡大断面図である。 実施例1における引張特性試験によって得られた応力−歪み曲線を表すグラフである。 実施例1における3点曲げ衝撃試験によって得られた応力−歪み曲線を表すグラフである。 実施例2における引張特性試験によって得られた応力−歪み曲線を表すグラフである。
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る中間基材の製造方法(以降、「第1方法」と称呼される場合がある。)について説明する。尚、本明細書において、中間基材とは、最終的な成形体を得るための中間的な素材を意味する。
〈構成〉
第1方法は、熱可塑性樹脂である母材と、ナノセルロースと、強化繊維と、を含む中間基材の製造方法であって、以下に列挙する工程A乃至工程Dを含む。
工程A:第1の熱可塑性樹脂及びナノセルロースが分散媒に分散されている分散液であるナノセルロース分散液を調製する。
工程B:ナノセルロース分散液を強化繊維の表面の少なくとも一部に塗布する。
工程C:強化繊維の表面の少なくとも一部に塗布されたナノセルロース分散液を乾燥させて分散媒を除去することにより、第1の熱可塑性樹脂の中にナノセルロースが分散されている部分である第1部分が強化繊維の表面の少なくとも一部に形成された被覆強化繊維を調製する。
工程D:被覆強化繊維と第2の熱可塑性樹脂とを組み合わせて中間基材を調製する。
図2は、第1方法の1つの例を示すフローチャートである。図2に示すように、工程Aにおいては、第1の熱可塑性樹脂及びナノセルロース(NC)が分散媒に分散されている分散液であるナノセルロース分散液を調製する。図3に示すように、ナノセルロース分散液100においては、第1の熱可塑性樹脂111及びNC112が分散媒113に均一に分散されている。尚、図3は、あくまでもナノセルロース分散液100の構成の一例を示す模式図であり、第1の熱可塑性樹脂111及びNC112の大きさ及び存在頻度等、ナノセルロース分散液の構成を正確に表すものではない。
第1の熱可塑性樹脂は、第1方法によって製造される中間基材から製造される成形体の用途及び製造条件等に応じて、種々の熱可塑性樹脂の中から適宜選択することができる。具体的には、第1の熱可塑性樹脂は、当該技術分野において広く使用されている種々の汎用プラスチック、種々の汎用エンジニアリングプラスチック、及び種々のスーパーエンジニアリングプラスチックからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である。
汎用プラスチックの具体例としては、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂及びポリプロピレン(PP)樹脂を含むポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS)及びアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂を含むスチレン系樹脂等を挙げることができる。また、汎用エンジニアリングプラスチックの具体例としては、例えば、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂及びポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂を含むポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂等を挙げることができる。更に、スーパーエンジニアリングプラスチックの具体例としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、熱可塑性ポリイミド(TPI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリスルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂等を挙げることができる。
ナノセルロース(NC)としては、例えば、α−セルロース等の市販のセルロースを採用することができる。或いは、例えばTEMPO酸化等の手法によりセルロースをナノファイバ化することによって得られるミクロフィブリル等をNCとして採用してもよい。NCの直径は1nm乃至1000nm程度、平均長さは100nm乃至1000μm程度であることが望ましい。入手したセルロースの直径及び/又は長さが過大である場合は、例えばミル及びアトライタ等の微細化処理装置(粉砕機)を用いて微細化することができる。ミルの具体例としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、及びブレードミル等を挙げることができる。好ましくは、NCは、所定の直径及び長さ(例えば、3nm乃至4nmの直径及び100nm乃至数μmの長さ)を有するセルロースナノファイバ(CNF:Cellulose NanoFiber)である。
尚、ナノセルロース(NC)は官能基によって修飾されていてもよい。当業者に周知であるように、セルロースは、その分子構造における繰り返し単位当たり3個のヒドロキシ基を有する。その結果、分子全体として非常に多くのヒドロキシ基を有することから、セルロース分子間における水素結合に起因して非常に凝集し易く、一旦凝集したセルロース分子を分散させることは困難である。
そこで、セルロース分子が有するヒドロキシ基の少なくとも一部をヒドロキシ基よりも低い極性を有する官能基(例えば、アルカノイルオキシ基等)によって置き換えてセルロース分子間における水素結合を弱めることにより、ナノセルロース分散液におけるセルロース分子の凝集を低減することができる(例えば、特許文献2を参照)。或いは、同じ極性の電荷を有する官能基(例えば、カルボキシレートアニオン基(−COO)及びスルホネートアニオン基(−SO )等のアニオン性官能基並びにアンモニウムカチオン基(−NH )及び第4級アンモニウムカチオン基(−NR )等のカチオン性官能基等)をセルロース分子に導入することにより、セルロース分子同士の電荷反発(電気二重層斥力)によってナノセルロース分散液におけるセルロース分子の凝集を低減したり、水系の分散媒に対する親和性を高めたりすることができる。
また、第1の熱可塑性樹脂に対する高い親和性を有する官能基をセルロース分子に導入することにより、工程Cにおいて形成される第1部分におけるNCの分散性を向上させることもできる。具体的には、高い親水性を有する第1の熱可塑性樹脂が採用される場合、上記官能基としては、例えば、アルコール基、(第1級、第2級、第3級、及び第4級のアミノ基を含む)アミノ基、カルボキシ基、カルボキシレート基、及びカルボニル基等の親水性基を挙げることができる。逆に、高い疎水性を有する第1の熱可塑性樹脂が採用される場合、上記官能基としては、例えば、アルキル基(特に、長鎖アルキル基)及びアリール基等の疎水性基を挙げることができる。
更に、上記官能基は、第1方法によって製造される中間基材から製造される成形体の特性に何らかの悪影響を及ぼさない限り、第1の熱可塑性樹脂との反応により第1の熱可塑性樹脂を構成する分子との共有結合を生成することができる官能基であってもよい。このような官能基の具体例としては、例えば、アルコール基、(第1級、第2級、第3級、及び第4級のアミノ基を含む)アミノ基、カルボキシ基、カルボキシレート基、及びカルボニル基等を挙げることができる。
上記に加えて、第2の熱可塑性樹脂及び強化繊維に対する高い親和性を有する官能基をセルロース分子に導入することにより、第1方法によって製造される中間基材から製造される成形体において第2の熱可塑性樹脂と強化繊維との界面における密着性を向上させ、当該成形体の機械的強度を高めることもできる。具体的には、高い親水性を有する第2の熱可塑性樹脂及び強化繊維が採用される場合、上記官能基としては、例えば、アルコール基、(第1級、第2級、第3級、及び第4級のアミノ基を含む)アミノ基、カルボキシ基、カルボキシレート基、及びカルボニル基等の親水性基を挙げることができる。逆に、高い疎水性を有する第2の熱可塑性樹脂及び強化繊維が採用される場合、上記官能基としては、例えば、アルキル基(特に、長鎖アルキル基)及びアリール基等の疎水性基を挙げることができる。
更に、上記官能基は、第1方法によって製造される中間基材から製造される成形体の特性に何らかの悪影響を及ぼさない限り、当該成形体の製造過程において、第2の熱可塑性樹脂及び/又は強化繊維との反応により第2の熱硬化性樹脂及び/又は強化繊維を構成する分子との共有結合を生成することができる官能基であってもよい。このような官能基の具体例としては、例えば、アルコール基、(第1級、第2級、第3級、及び第4級のアミノ基を含む)アミノ基、カルボキシ基、カルボキシレート基、及びカルボニル等を挙げることができる。
尚、NCは、上述したような種々の官能基のうち異なる2種以上の官能基によって修飾されていてもよい。異なる2種以上の官能基によってNCが修飾されている場合、これらの異なる2種以上の官能基によって修飾された1種類のNCを使用してもよく、或いは、これらの異なる2種以上の官能基の何れか1種類のみによって修飾された2種以上のNCを組み合わせて使用してもよい。
分散媒は、第1の熱可塑性樹脂及びNCを均一に分散させることができる溶媒が選択される。具体的には、例えば、上述したように、第1の熱可塑性樹脂、第2の熱可塑性樹脂及び/又は強化繊維に対する高い親和性を有する官能基によってNCを変性し、当該官能基によって変性されたNCを均一に分散させることができる溶媒を分散媒として選択してもよい。
一方、工程Cにおいて分散媒は除去されなければならないので、例えば蒸発等により容易に除去することができる溶媒を分散媒として選択してもよい。このような分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール及び2−プロパノール等のアルコール、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等のアミド等を挙げることができる。これらの中で、取り扱いの容易さ、安全性の高さ、及び環境負荷の低さという観点からは水が好ましい。一方、第3工程における除去の容易さという観点からは低い沸点を有するアルコール及びケトンが好ましい。
第1の熱可塑性樹脂及びNCが分散媒に分散されている分散液であるナノセルロース分散液は、当該技術分野において周知の方法によって調製することができる。例えば、市販の熱可塑性樹脂の分散液に、所定の条件下において、市販のNCを配合して、ナノセルロース分散液を調製してもよい。このような市販の熱可塑性樹脂の分散液の具体例としては、例えば、セポルジョンPA(登録商標)(住友精化株式会社製。共重合ポリアミド樹脂−水系エマルジョン)等を挙げることができる。また、市販のNCの具体例としては、例えば、レオクリスタ(登録商標)(第一工業製薬株式会社製。CNF)等を挙げることができる。
次に、工程Bにおいて、上記のようにして調製されたナノセルロース分散液を強化繊維の表面の少なくとも一部に塗布する。ナノセルロース分散液の塗布方法は、ナノセルロース分散液を強化繊維の表面に塗布することが可能である限り特に限定されず、例えば、強化繊維の性状(例えば、機械的強度、柔軟性及び脆性等)及び形態(例えば、繊維、不織布及び織物等)並びに分散媒の性状(例えば、沸点及び粘度等)等に応じて適宜選択することができる。このような塗布方法の具体例としては、例えば、ディップコーティング、スプレーコーティング及び刷毛塗り等を挙げることができる。尚、強化繊維と母材との界面にNCを効率的に導入して第1方法によって製造される中間基材から製造される成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させる観点からは、強化繊維の表面のより多くの領域に、好ましくは全ての領域に、NCを均一に分布させることが可能な塗布方法を選択することが望ましい。
次に、工程Cにおいて、上記のようにして強化繊維の表面の少なくとも一部に塗布されたナノセルロース分散液を乾燥させて分散媒を除去することにより、第1の熱可塑性樹脂の中にNCが分散されている部分である第1部分が強化繊維の表面の少なくとも一部に形成された被覆強化繊維を調製する。
ナノセルロース分散液の乾燥方法は、強化繊維の表面に塗布されたナノセルロース分散液から分散媒を除去することが可能である限り特に限定されず、例えば、強化繊維の性状(例えば、機械的強度、柔軟性及び脆性等)及び形態(例えば、繊維、不織布及び織物等)並びに分散媒の性状(例えば、沸点及び粘度等)等に応じて、様々な乾燥方法の中から適宜選択することができる。
上記のような乾燥方法の具体例としては、例えば、ブロワーによって温風又は熱風を強化繊維に吹き付ける方法、強化繊維の加熱炉内への静置又は搬送、真空又は減圧オーブン内への強化繊維の静置等を挙げることができる。尚、工程Cにおける温度及び圧力等の乾燥条件は、例えば、強化繊維の性状(例えば、耐熱性等)及び分散媒の性状(例えば、沸点等)に応じて適宜設定することができる。また、周囲雰囲気への蒸散により環境への影響が懸念される溶媒を分散媒として使用する場合は、当該溶媒の蒸気を回収する手段を設けることが望ましいのは言うまでも無い。
上記のようにしてナノセルロース分散液を乾燥させた結果として形成される第1部分の構成は工程Cにおける温度及び圧力等の乾燥条件によって影響され得る。例えば、常温において工程Cを実行する場合は、図4に示すように、ナノセルロース分散液において分散媒に分散されていた第1の熱可塑性樹脂111の微粒子とNC112とが互いに凝集している部分として第1部分110が形成される。一方、第1の熱可塑性樹脂が部分的に熔融する温度において工程Cを実行する場合は、ナノセルロース分散液において分散媒に分散されていた第1の熱可塑性樹脂の微粒子とNCとが互いに溶着している部分として第1部分が形成される。更に、第1の熱可塑性樹脂が十分に熔融する温度において工程Cを実行する場合は、図5に示すように、ナノセルロース分散液において分散媒に分散されていた第1の熱可塑性樹脂111の微粒子が熔融して連続的な一体物となった母材の中にNC112が分散されている部分として第1部分110が形成される。
図6は、第1方法の工程Cにおいて調製される被覆強化繊維の構成の一例を示す模式的な断面図である。図6に示す被覆強化繊維123においては、第1の熱可塑性樹脂111の中にNC112が分散されている部分である第1部分110が強化繊維122の表面に形成されている。尚、第1部分110は、強化繊維122の表面の少なくとも一部に形成されていればよく、必ずしも強化繊維122の全ての表面に形成されている必要は無い。また、工程B及び工程Cを1回だけ実行したのでは十分な量のNCを強化繊維の表面に配置することが困難な場合は、工程B及び工程Cを複数回に亘って繰り返し実行してもよい。
次に、工程Dにおいて、上記のようにして得られた被覆強化繊維と第2の熱可塑性樹脂とを組み合わせて中間基材を調製する。第2の熱可塑性樹脂は、第1方法によって製造される中間基材から製造される成形体の用途及び製造条件等に応じて、種々の熱可塑性樹脂の中から適宜選択することができる。具体的には、第2の熱可塑性樹脂は、上述した第1の熱可塑性樹脂と同様に、当該技術分野において広く使用されている種々の汎用プラスチック、種々の汎用エンジニアリングプラスチック、及び種々のスーパーエンジニアリングプラスチックからなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である。
尚、第1方法によって製造される中間基材から成形体を製造する過程において第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂とが容易に混ざり合うことが可能である限り、第2の熱可塑性樹脂は第1の熱可塑性樹脂とは異なる熱可塑性樹脂であってもよい。好ましくは、第2の熱可塑性樹脂は、第1の熱可塑性樹脂と類似の熱特性及び第1の熱可塑性樹脂に対する高い親和性を有する熱可塑性樹脂である。より好ましくは、第2の熱可塑性樹脂は、第1の熱可塑性樹脂と同一の熱可塑性樹脂である。
工程Dにおいて調製される中間基材における被覆強化繊維と第2の熱可塑性樹脂との組み合わせの構成及び被覆強化繊維と第2の熱可塑性樹脂とを組み合わせる方法は、第1方法によって製造される中間基材から製造される成形体の用途及び製造条件等に応じて適宜選択することができる。
例えば、工程Dにおいて調製される中間基材は、比較的短い強化繊維から調製された被覆強化繊維が第2の熱可塑性樹脂の中に分散されている短繊維強化樹脂複合材料からなる中間基材であってもよい。このような中間基材は、例えば、強化繊維のチョップドファイバから調製された被覆強化繊維と第2の熱可塑性樹脂との混合物を例えば一軸押出機及び二軸押出機等の装置によって加熱及び混練して熔融物として押し出したものを所定の形状(例えば、ペレット及びシート等)に成形することによって得ることができる。
或いは、工程Dにおいて調製される中間基材は、比較的長い強化繊維から調製された被覆強化繊維が第2の熱可塑性樹脂の中に分散されている長繊維強化樹脂複合材料からなる中間基材であってもよい。このような中間基材は、例えば、所謂「LFT−D工法」によって得ることができる。当業者に周知であるように、LFT−D工法は、熔融押し出しされた熱可塑性樹脂と強化繊維の長繊維とを混練押出機に連続的に供給して両者を混練して押し出したものを所定の形状に成形する方法である。
或いは、工程Dにおいて調製される中間基材は、被覆強化繊維と第2の熱可塑性樹脂からなる繊維とが混繊されたコミングルヤーンであってもよく、このようなコミングルヤーンによって構成される不織布又は織物であってもよい。或いは、工程Dにおいて調製される中間基材は、第2の熱可塑性樹脂からなる層と被覆強化繊維からなる層との積層体であってもよい。或いは、工程Dにおいて調製される中間基材は、熔融状態にある第2の熱可塑性樹脂を被覆強化繊維によって構成される不織布又は織物に含浸させた後に冷却・固化させて第2の熱可塑性樹脂と被覆強化繊維とを一体化させた所謂「プリプレグ」又は「UD材」であってもよい。或いは、工程Dにおいて調製される中間基材は、第2の熱可塑性樹脂からなる粉末又は粒子と被覆強化繊維との混合物であってもよい。
尚、上記のような様々な構成を有する中間基材については、本発明の他の実施形態に関する説明において詳しく後述する。
〈効果〉
以上のように、第1方法によれば、第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にNCが分散されている部分である第1部分が強化繊維の表面の少なくとも一部に形成された被覆強化繊維と第2の熱可塑性樹脂である第2母材との組み合わせとして、中間基材が調製される。第1母材及び第2母材は何れも熱可塑性樹脂であるので、当該中間基材を加熱及び加圧して所望の形状を有する成形体を製造する過程において、第1母材と第2母材とが容易に混ざり合い、強化繊維と母材との界面にNCを容易に到達させることができる。その結果、成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させることができる。
尚、好ましくは、第1の熱可塑性樹脂及び第2の熱可塑性樹脂は何れもポリアミド系樹脂であり、より好ましくは、第1の熱可塑性樹脂は共重合ポリアミド樹脂であり且つ第2の熱可塑性樹脂はポリアミド6である。一方、ナノセルロース(NC)は、好ましくは、カルボキシレートアニオン基、スルホネートアニオン基、アルコール基、アミノ基、カルボキシ基、カルボキシレート基、及びカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を含む官能基によって修飾されており、より好ましくは、カルボキシレート基によって修飾されている。
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係る中間基材の製造方法(以降、「第2方法」と称呼される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
第2方法は、第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にナノセルロースが分散されている部分である第1部分と、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と強化繊維とを含む部分である第2部分と、を含む中間基材の製造方法であって、以下に列挙する各工程を含む。
工程E:第1の熱可塑性樹脂及びナノセルロースが分散媒に分散されている分散液であるナノセルロース分散液を調製する。
工程F:ナノセルロース分散液を第2部分の表面の少なくとも一部に塗布する。
工程G:第2部分の表面の少なくとも一部に塗布されたナノセルロース分散液を乾燥させて分散媒を除去することにより、第2部分の表面の少なくとも一部に第1部分が形成された中間基材を調製する。
上記のように、第2方法は、強化繊維単独ではなく、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と強化繊維とを含む部分である第2部分にナノセルロース分散液が塗布された後に乾燥されて第2部分の表面の少なくとも一部に第1部分が形成された中間基材が調製される点において、上述した第1方法と相違する。
図7は、第2方法の1つの例を示すフローチャートである。図7に示すように、工程Eにおいては、第1の熱可塑性樹脂及びナノセルロース(NC)が分散媒に分散されている分散液であるナノセルロース分散液を調製する。この工程Eは、上述した第1方法に含まれる工程Aと同様の工程であるので、工程Eについての説明は省略する。第1の熱可塑性樹脂、NC、及び分散媒についても、第1方法に関する説明において既に述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、工程Fにおいて、ナノセルロース分散液を第2部分の表面の少なくとも一部に塗布する。第2部分は、上述したように、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と強化繊維とを含む部分である。換言すれば、第2部分は、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と強化繊維とからなる複合材料である。第2部分における強化繊維と第2の熱可塑性樹脂との組み合わせの構成及び強化繊維と第2の熱可塑性樹脂とを組み合わせる方法は、第2方法によって製造される中間基材から製造される成形体の用途及び製造条件等に応じて適宜選択することができる。
例えば、第2部分は、比較的短い強化繊維のチョップドファイバが第2の熱可塑性樹脂の中に分散されている短繊維強化樹脂複合材料であってもよい。このような複合材料は、例えば、強化繊維のチョップドファイバと第2の熱可塑性樹脂との混合物を例えば一軸押出機及び二軸押出機等の装置によって加熱及び混練して熔融物として押し出したものを所定の形状(例えば、ペレット及びシート等)に成形することによって得ることができる。
或いは、第2部分は、比較的長い強化繊維が第2の熱可塑性樹脂の中に分散されている長繊維強化樹脂複合材料であってもよい。このような複合材料は、例えば、上述したLFT−D工法によって得ることができる。或いは、第2部分は、強化繊維と第2の熱可塑性樹脂からなる繊維とが混繊されたコミングルヤーンであってもよく、このようなコミングルヤーンによって構成される不織布又は織物であってもよい。或いは、或いは、第2部分は、熔融状態にある第2の熱可塑性樹脂を強化繊維によって構成される不織布又は織物に含浸させた後に冷却・固化させて第2の熱可塑性樹脂と強化繊維とを一体化させた所謂「プリプレグ」又は「UD材」であってもよい。或いは、第2部分は、第2の熱可塑性樹脂からなる粉末又は粒子と強化繊維との混合物であってもよい。
尚、強化繊維と母材との界面にNCを効率的に導入する観点からは、第2部分を構成する強化繊維の表面が第2母材(第2の熱可塑性樹脂)によって完全に覆われているのではなく、強化繊維の表面の少なくとも一部が露出していたり、強化繊維と第2母材との間に間隙のある部分が存在していたりすることが望ましい。例えば、第2部分がプリプレグである場合は、強化繊維によって構成される不織布又は織物が第2の熱可塑性樹脂によって完全に含浸されているのではなく、部分的に含浸されている所謂「半含浸」の状態にあることが望ましい。
尚、第2の熱可塑性樹脂及び強化繊維についても、第1方法に関する説明において既に述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。また、ナノセルロース分散液の塗布方法についても、第1方法に関する説明において既に述べた方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、工程Gにおいて、第2部分の表面の少なくとも一部に塗布されたナノセルロース分散液を乾燥させて分散媒を除去することにより、第2部分の表面の少なくとも一部に第1部分が形成された中間基材を調製する。第1部分は、上述したように、第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にNCが分散されている部分である。第1部分を構成する第1の熱可塑性樹脂の形態についても、第1方法に関する説明において既に述べた形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。更に、ナノセルロース分散液の乾燥方法についても、第1方法に関する説明において既に述べた方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
尚、上記のような様々な構成を有する中間基材については、本発明の他の実施形態に関する説明において詳しく後述する。
〈効果〉
以上のように、第2方法によれば、第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にNCが分散されている部分である第1部分が、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と強化繊維とを含む部分である第2部分の表面の少なくとも一部に形成された中間基材が調製される。第1母材及び第2母材は何れも熱可塑性樹脂であるので、当該中間基材を加熱及び加圧して所望の形状を有する成形体を製造する過程において、第1母材と第2母材とが容易に混ざり合い、強化繊維と母材との界面にNCを容易に到達させることができる。その結果、成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させることができる。
尚、第2方法においても、上述した第1方法と同様に、好ましくは、第1の熱可塑性樹脂及び第2の熱可塑性樹脂は何れもポリアミド系樹脂であり、より好ましくは、第1の熱可塑性樹脂は共重合ポリアミド樹脂であり且つ第2の熱可塑性樹脂はポリアミド6である。一方、ナノセルロース(NC)は、好ましくは、カルボキシレートアニオン基、スルホネートアニオン基、アルコール基、アミノ基、カルボキシ基、カルボキシレート基、及びカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を含む官能基によって修飾されており、より好ましくは、カルボキシレート基によって修飾されている。
《第3実施形態》
以下、本発明の第3実施形態に係る中間基材(以降、「第3基材」と称呼される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
第3基材は、第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にナノセルロースが分散されている部分である第1部分と、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と、強化繊維と、を含む中間基材である。第1の熱可塑性樹脂、ナノセルロース(NC)、第2の熱可塑性樹脂、及び強化繊維については、第1方法に関する説明において既に述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
第3基材は、以下に列挙する2つのタイプ、即ち、第3基材(1)及び第3基材(2)に大別することができる。
第3基材(1)は、図6に示したように、強化繊維の表面の少なくとも一部に第1部分が形成された被覆強化繊維と第2母材との組み合わせとして構成されている。このような構成を有する第3基材(1)は、例えば、上述した第1方法によって製造することができる。
第3基材(2)は、第2母材と強化繊維とを含む部分である第2部分の表面の少なくとも一部に第1部分が形成された構成を有する。このような構成を有する第3基材(2)は、例えば、上述した第2方法によって製造することができる。
第3基材(1)及び第3基材(2)の各々につき、以下に詳しく説明する。
[第3基材(1)]
上記のように、第3基材(1)は、強化繊維の表面の少なくとも一部に第1部分が形成された被覆強化繊維と第2母材との組み合わせとして構成されている。このような要件を満たす限り、第3基材(1)の構成は特に限定されない。第3基材(1)の構成の具体例としては、例えば、以下に列挙するような構成を挙げることができる。
[第3基材(1)の具体例1]
第3基材(1)の具体例1においては、上述した被覆強化繊維が第2母材の中に分散されている。具体的には、例えば図8に示す中間基材211においては、第2の熱可塑性樹脂121である第2母材の中に被覆強化繊維123が分散されている。被覆強化繊維123は、上述したように、第1の熱可塑性樹脂111である第1母材の中にNC112が分散されている部分である第1部分110が表面の少なくとも一部に形成された強化繊維122である。以降、第1の熱可塑性樹脂111である第1母材を「第2母材111」と称呼する場合がある。同様に、第2の熱可塑性樹脂121である第2母材を「第2母材121」と称呼する場合がある。
上記のような構成を有する中間基材は、前述したように、例えば、強化繊維のチョップドファイバから調製された被覆強化繊維と第2の熱可塑性樹脂との混合物を加熱及び混練して熔融物として押し出したものを所定の形状(例えば、ペレット及びシート等)に成形することによって得ることができる。或いは、上記のような構成を有する中間基材は、比較的長い強化繊維から調製された被覆強化繊維が第2の熱可塑性樹脂の中に分散されている長繊維強化樹脂複合材料からなる中間基材であってもよい。このような中間基材は、例えば、所謂「LFT−D工法」によって得ることができる。
[第3基材(1)の具体例2]
第3基材(1)の具体例2は、第2母材からなる繊維と被覆強化繊維との混合物として構成されている。具体的には、例えば図9及び図10に示す中間基材212のように、第2母材121の繊維と被覆強化繊維123とが混繊された混合繊維(例えば、コミングルヤーン)であってもよく、或いは、このような混合繊維によって構成される不織布又は織物であってもよい。
[第3基材(1)の具体例3]
第3基材(1)の具体例3は、被覆強化繊維からなる層と第2母材からなる層との積層体として構成されている。被覆強化繊維からなる層は、被覆強化繊維によって構成される不織布又は織物であってもよい。第2母材からなる層は、第2母材からなる繊維によって構成される不織布又は織物であってもよく、或いは、第2母材からなるシートであってもよい。
具体的には、例えば、図11の(a)は、第2母材121からなる層と被覆強化繊維123からなる層との積層体として構成された中間基材213の構成を示す模式的な断面図である。また、図11の(b)は、一対の第2母材121からなる層の間に被覆強化繊維123からなる層が挟まれた積層体として構成された中間基材213の構成を示す模式的な断面図である。更に、図11の(c)は、第2母材121とは異なる第3の熱可塑性樹脂121’である第3母材からなる層と第2母材121からなる層との間に被覆強化繊維123からなる層が挟まれた積層体として構成された中間基材213の構成を示す模式的な断面図である。
[第3基材(1)の具体例4]
第3基材(1)の具体例4においては、被覆強化繊維からなる層が第2母材によって少なくとも部分的に含浸されている。即ち、第3基材(1)の具体例4は、プリプレグとして構成されている。被覆強化繊維からなる層の構成は特に限定されず、不織布又は織物であってもよい。また、第3基材(1)の具体例4は、被覆強化繊維が単一の方向に配向しているUD材であってもよい。
[第3基材(1)の具体例5]
第3基材(1)の具体例5は、第2母材からなる粉末又は粒子と被覆強化繊維との混合物として構成されている。
以上説明してきた第3基材(1)においては、第1の熱可塑性樹脂の中にナノセルロースが分散されている部分である第1部分が強化繊維の表面に形成されている。従って、当該中間基材から成形体を製造する過程において、強化繊維と母材(第1母材と第2母材との混合物)との界面にNCを容易に配設することができる。
尚、第3基材(1)の具体例1乃至5は、あくまでも第3基材(1)の具体例として例示したものであり、第3基材(1)の具体例な構成は上記例示に限定されない。次に、第3基材のもう1つのタイプである第3基材(2)について以下に説明する。
[第3基材(2)]
上記のように、第3基材(2)においては、第2母材と強化繊維とを含む部分である第2部分が形成されており、当該第2部分の少なくとも一部の表面に第1部分が形成されている。ここで「第2部分の少なくとも一部の表面に第1部分が形成されている」状態は、「第2部分の表面の一部又は全体に第1部分が形成されている」状態のみならず、「第2部分の表面の一部又は全体のみならず強化繊維が第2母材によって覆われていない強化繊維の露出面及び/又は強化繊維と第2母材との間の間隙の少なくとも一部にも第1部分が形成されている」状態をも含み得る。このような要件を満たす限り、第3基材(2)の構成は特に限定されない。第3基材(2)の構成の具体例としては、例えば、以下に列挙するような構成を挙げることができる。
[第3基材(2)の具体例1]
第3基材(2)の具体例1においては、第2母材の中に強化繊維が分散されている部分として第2部分が構成されている。具体的には、例えば図12に示す第2部分120のように、第2の熱可塑性樹脂である第2母材121の中に強化繊維122が分散されている。
上記のような構成を有する中間基材は、前述したように、例えば、強化繊維のチョップドファイバから調製された被覆強化繊維と第2の熱可塑性樹脂との混合物を加熱及び混練して熔融物として押し出したものを所定の形状(例えば、ペレット及びシート等)に成形することによって得ることができる。或いは、上記のような構成を有する中間基材は、比較的長い強化繊維から調製された被覆強化繊維が第2の熱可塑性樹脂の中に分散されている長繊維強化樹脂複合材料からなる中間基材であってもよい。このような中間基材は、例えば、所謂「LFT−D工法」によって得ることができる。
そして、第3基材(2)の具体例1においては、上記のような第2部分120の少なくとも一部の表面に第1部分が形成されている。具体的には、例えば図13に示す中間基材221のように、第2母材121の中に強化繊維122が分散されている第2部分120の表面に、第1母材111の中にNC112が分散されている部分である第1部分110が形成されていてもよい。
尚、図13に例示した中間基材221においては、図4を参照しながら説明したように、ナノセルロース分散液において分散媒に分散されていた第1の熱可塑性樹脂111の微粒子とNC112とが互いに凝集している部分として第1部分110が第2部分120の1つの表面に形成されている。しかしながら、第3基材(2)の具体例1を構成する第1部分は、第1の熱可塑性樹脂の微粒子とNCとが互いに溶着している部分として形成されていてもよく、或いは、図5を参照しながら説明したように、連続的な一体物として形成された第1母材の中にNCが分散されている部分として形成されていてもよい。
図14の(a)は、連続的な一体物として形成された第1母材111の中にNC112が分散されている第1部分110からなる層が第2部分120からなる層との積層体として構成された中間基材221の構成を示す模式的な断面図である。また図14の(b)は、上記のような第1部分110からなる層が一対の第2部分120からなる層の間に挟まれた積層体として構成された中間基材213の構成を示す模式的な断面図である。更に、図14の(c)は、上記のような第1部分110からなる層が第2部分120とは異なる構成を有する第3の層130と第2部分120からなる層との間に挟まれた積層体として構成された中間基材221の構成を示す模式的な断面図である。
尚、図14の(c)において第3の層130は母材と当該母材中に分散された他の部分とからなる層として描かれているが、第3の層130の構成は特に限定されない。具体的には、第3の層130は、例えば、ステンレス鋼等の鉄系金属並びに金、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウム等の非鉄金属等の金属材料からなる層であってもよい。或いは、第3の層130は、例えば、前述したようなスーパーエンジニアリングプラスチック等からなる樹脂層であってもよい。このような第3の層を追加することにより、例えば、機械特性、審美性、耐熱性、耐薬品性、耐食性及び絶縁性等、優れた特性を第3基材及び第3基材から製造される成形体に付与することができる。
尚、第3基材(2)の具体例1においては、例えば図12に示したように、第2母材の中に強化繊維が分散されている部分として第2部分が構成されている。従って、上述した工程Fにおいて第2部分に塗布されるナノセルロース分散液が第2母材と強化繊維との間に入り込むことは容易ではないが、第1母材及び第2母材は何れも熱可塑性樹脂であるので、当該中間基材から成形体を製造する過程において、第1母材と第2母材とが容易に混ざり合い、強化繊維と母材との界面にNCを容易に配設することができる。
[第3基材(2)の具体例2]
第3基材(2)の具体例2においては、第2母材からなる繊維と強化繊維との混合物として第2部分が構成されている。具体的には、例えば図15及び図16に示す第2部分120のように、第2母材121の繊維と強化繊維122とが混繊された混合繊維(例えば、コミングルヤーン)であってもよく、或いは、このような混合繊維によって構成される不織布又は織物であってもよい。
そして、第3基材(2)の具体例2においては、上記のような第2部分120の少なくとも一部の表面に第1部分が形成されている。この場合、第2母材121の繊維と強化繊維122とが混繊された混合繊維として第2部分120が構成されているので、上述した工程Fにおいて第2部分に塗布されるナノセルロース分散液が第2母材121の繊維と強化繊維122との間に容易に入り込み、当該中間基材から成形体を製造する過程において、強化繊維122と母材(第1母材111と第2母材121との混合物)との界面にNCを容易に配設することができる。
[第3基材(2)の具体例3]
第3基材(2)の具体例3においては、強化繊維からなる層が第2母材によって少なくとも部分的に含浸された部分として第2部分が構成されている。即ち、第3基材(2)の具体例3における第2部分はプリプレグとして構成されている。また、第3基材(2)の具体例3は、第2部分を構成する強化繊維が単一の方向に配向しているUD材であってもよい。尚、前述したように、強化繊維と母材との界面にNCを効率的に導入する観点からは、第2部分を構成する強化繊維の表面が第2母材によって完全に覆われているのではなく、強化繊維の表面の少なくとも一部が露出していたり、強化繊維と第2母材との間に間隙のある部分が存在していたりすることが望ましい。即ち、第3基材(2)の具体例3においては、半含浸の状態にあるプリプレグとして第2部分が構成されていることが望ましい。
[第3基材(2)の具体例4]
第3基材(2)の具体例4においては、第2母材からなる粉末又は粒子と強化繊維とが混合されている部分として第2部分が構成されている。従って、第3基材(2)の具体例4においては、上述した工程Fにおいて第2部分に塗布されるナノセルロース分散液が第2母材121の粉末又は粒子と強化繊維122との間に容易に入り込み、当該中間基材から成形体を製造する過程において、強化繊維122と母材(第1母材111と第2母材121との混合物)との界面にNCを容易に配設することができる。
〈効果〉
以上のように、第3基材(1)は、第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にNCが分散されている部分である第1部分が強化繊維の表面の少なくとも一部に形成された被覆強化繊維と第2の熱可塑性樹脂である第2母材との組み合わせとして構成されている。従って、当該中間基材から成形体を製造する過程において、強化繊維と母材(第1母材と第2母材との混合物)との界面にNCを容易に配設することができる。その結果、成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させることができる。
一方、第3基材(2)においては、第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にNCが分散されている部分である第1部分が、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と強化繊維とを含む部分である第2部分の表面の少なくとも一部に形成されている。強化繊維と母材との界面にNCを効率的に導入する観点からは、第2部分を構成する強化繊維の表面が第2母材(第2の熱可塑性樹脂)によって完全に覆われているのではなく、強化繊維の表面が露出している部分及び/又は強化繊維と第2母材との間に間隙のある部分が存在していることが望ましい。しかしながら、このような部分が存在しない場合であっても、第1母材及び第2母材は何れも熱可塑性樹脂であるので、当該中間基材を加熱及び加圧して所望の形状を有する成形体を製造する過程において、第1母材と第2母材とが容易に混ざり合い、強化繊維と母材との界面にNCを容易に到達させることができる。その結果、成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させることができる。
また、第3基材を構成する第1母材及び第2母材は何れも熱可塑性樹脂によって構成されている。従って、熱硬化性樹脂を母材として含む従来技術に係る複合材料からなる中間基材に比べて、母材を硬化させることができる。従って、第3基材によれば、従来技術に比べて短い時間にて成形体を得ることができる。即ち、成形体の生産効率がより高い。
《第4実施形態》
以下、本発明の第4実施形態に係る成形体の製造方法(以降、「第4方法」と称呼される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
第4方法は、熱可塑性樹脂である母材と、強化繊維と、ナノセルロースと、を含む複合材料によって形成されており、母材と強化繊維との界面の少なくとも一部にナノセルロースが配設されている、成形体の製造方法であって、以下に列挙する工程H及び工程Iを含む。
工程H:上述した第3基材を第1の熱可塑性樹脂である第1母材の融点及び第2の熱可塑性樹脂である第2母材の融点のうち高い方の融点以上の所定の温度に加熱する。
工程I:上記所定の温度及び所定の圧力において第3基材を成形する。
上記のように、第4方法は、熱可塑性樹脂である母材と強化繊維とナノセルロース(NC)とを含む複合材料によって形成されており且つ母材と強化繊維との界面の少なくとも一部にNCが配設されている成形体を第3基材から製造する方法である。
図17は、第4方法の1つの例を示すフローチャートである。図17に示すように、工程Hにおいては、上記のように、第3基材を第1の熱可塑性樹脂である第1母材の融点及び第2の熱可塑性樹脂である第2母材の融点のうち高い方の融点以上の所定の温度に加熱する。尚、上記「所定の温度」は、第1母材及び第2母材の両方が熔融して次の工程Iにおける成形過程において両者が容易に混ざり合うことが可能な程度に高い流動性を呈するように設定される。但し、上記「所定の温度」は、第1母材及び第2母材並びに第3基材の他の構成要素(例えば強化繊維及びNC等)の品質の低下(例えば、変質、劣化、及び分解等)を招くことの無いように設定される必要がある。換言すれば、互いに近い融点を有する第1の熱可塑性樹脂及び第2の熱可塑性樹脂によって第1母材及び第2母材がそれぞれ構成されていることが望ましい。
次に、工程Iにおいては、上記所定の温度及び所定の圧力において第3基材を成形する。尚、上記「所定の温度」は、例えば第3基材から製造される成形体及び第3基材の構成等に応じて適宜定めることができる。上記のように第3基材を所定の温度に加熱することにより、第1母材及び第2母材の両方が熔融して流動性が高い状態となるので、工程Iにおける成形過程において両者が容易に混ざり合い、強化繊維と母材との界面にNCを効率的に導入することができる。
尚、工程Iにおいて実行される成形方法は、例えば第3基材から製造される成形体及び第3基材の構成等に応じて、当該技術分野において周知の様々な成形方法の中から適宜選択することができる。例えば、ペレット状の第3基材を用いる場合は、当該第3基材を例えば一軸押出機及び二軸押出機等の装置によって加熱及び混練して熔融物として押し出したものを所定の成形型に射出して所望の形状に成形することができる。或いは、プリプレグ、織物、及び不織布等のシート状の第3基材を用いる場合は、所謂「ホットスタンプ」(熱間プレス)により、第3基材から成形体を製造することができる。
〈効果〉
以上のように、第4方法によれば、第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にNCが分散されている部分である第1部分と、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と、強化繊維と、を含む第3基材を所定の温度及び所定の圧力において成形して、所望の形状を有する成形体を製造する。従って、第3基材から成形体を製造する過程において、強化繊維と母材(第1母材と第2母材との混合物)との界面にNCを容易に配設することができる。その結果、成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させることができる。
《第5実施形態》
以下、本発明の第5実施形態に係る成形体(以降、「第5成形体」と称呼される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
第5成形体は、熱可塑性樹脂である母材と、強化繊維と、ナノセルロースと、を含む複合材料によって形成されており、強化繊維と母材との界面の少なくとも一部にナノセルロースが配設されている、成形体である。
第5成形体は、例えば上述した第4方法によって第3基材から製造することができる。第3基材は、上述したように、第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にNCが分散されている部分である第1部分と、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と、強化繊維と、を含む中間基材である。従って、第5成形体を構成する母材は第1母材及び第2母材を含む。尚、第5成形体を構成する第1の熱可塑性樹脂、ナノセルロース(NC)、第2の熱可塑性樹脂、及び強化繊維については、第1方法に関する説明において既に述べたものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
図18は、第5成形体における強化繊維近傍の構成の一例を示す模式的な拡大断面図である。図18に示すように、第5成形体300は、熱可塑性樹脂である母材140と、強化繊維122と、ナノセルロース112と、を含む複合材料によって形成されている。母材140は、中間基材を構成していた第1母材111及び第2母材121に由来する母材である。更に、強化繊維122と母材140との界面の少なくとも一部にNC112が配設されている。尚、第5成形体においては、当該成形体の製造過程において母材中に拡散されたNC112が強化繊維と母材との界面のみならず当該界面以外の領域にも存在していてもよい。
〈効果〉
以上のように、第5成形体においては、熱可塑性樹脂である母材(第1母材と第2母材との混合物)と強化繊維との界面の少なくとも一部にナノセルロースが配設されている。このように、強化繊維と母材との界面にNCが介在することにより、強化繊維と母材との界面における密着性が向上される。その結果、成形体の引張強度及び曲げ強度等の機械的強度を効果的に向上させることができる。
上述したような熱可塑性樹脂を母材として採用する繊維強化樹脂複合材料からなる成形体の機械的強度における本発明による向上効果を確認すべく、従来技術に係る成形体である試料A及び本発明に係る成形体である試料Bを調製した。試料A及び試料Bの調製方法につき、以下に詳しく説明する。
〈試料の調製〉
試料Aは、3Kの炭素繊維(CF)を平織にした織物(以降、「3K平織CF」と略称される場合がある。)が熱可塑性ポリアミド樹脂であるポリアミド6(PA6)によって半含浸(セミ含浸)されたシート状のプリプレグを中間基材とし、当該中間基材を6層重ね合わせた積層体を、所定の温度及び圧力において熱間プレスによって成形した成形体である。即ち、試料Aは、上述した(第2母材及び強化繊維を含む)第2部分のみからなる従来技術に係る中間基材から製造された成形体である。
一方、試料Bは、試料Aと同一のプリプレグに本発明に係るナノセルロース分散液を塗布・乾燥させて中間基材とした後、試料Aと同様に、当該中間基材を6層重ね合わせた積層体を熱間プレスによって成形した成形体である。尚、試料Bの調製に用いたナノセルロース分散液は、前述した市販のセルロースナノファイバ(CNF)の分散液であるレオクリスタ(登録商標)を、前述した市販の共重合ポリアミド樹脂−水系エマルジョンであるセポルジョンPA(登録商標)によって希釈して、CNFの固形分濃度を0.2%としたものである。即ち、試料Bは、上述した(第2母材及び強化繊維を含む)第2部分のみならず、上述した(第1母材及びNCを含む)第1部分をも含む、本発明に係る中間基材から製造された成形体である。
〈試料の評価〉
上記のようにして得られた試料A及び試料Bにつき、JIS−K7164に準じた引張特性試験及びJIS−K7074に準じた3点曲げ衝撃試験を行った結果を、図19及び図20のグラフにそれぞれ示す。尚、何れの試験においても、試料A及び試料Bの各々につき2回ずつ測定を行った。
先ず、図19は、引張特性試験によって得られた応力−歪み曲線を表すグラフである。従来技術に係る試料A(破線)に比べて、本発明に係る試料B(実線)の方が、歪みに対する引張応力がより大きい(引張応力に対する歪みがより小さい)。即ち、本発明に係る成形体である試料Bは、従来技術に係る試料Aに比べて、より剛性が高いことが確認された。
次に、図20は、3点曲げ衝撃試験によって得られた応力−歪み曲線を表すグラフである。従来技術に係る試料A(破線)に比べて、本発明に係る試料B(実線)の方が、歪みに対する曲げ強度がより大きい(曲げ強度に対する歪みがより小さい)。即ち、本発明に係る成形体である試料Bは、従来技術に係る試料Aに比べて、より曲げ剛性が高いことが確認された。
〈結論〉
上述したように、試料Bは、上述した(第2母材及び強化繊維を含む)第2部分のみならず、上述した(第1母材及びNCを含む)第1部分をも含む、本発明に係る中間基材から製造された成形体である。このような構成を有する試料Bは、引張特性試験及び3点曲げ衝撃試験の何れにおいても、従来技術に係る試料Aよりも高い剛性を呈した。これは、熱可塑性樹脂である母材(第1母材であるPA6と第2母材である共重合ポリアミド樹脂との混合物)と強化繊維であるCFとの界面の少なくとも一部にNCが介在して、強化繊維と母材との界面における密着性が向上された結果として達成された効果であると考えられる。
〈試料の調製〉
実施例2においては、実施例1において使用した3K平織CFが熱可塑性ポリアミド樹脂であるPA6によって半含浸されたシート状のプリプレグを、強化繊維としてのCFが単一の方向に配向しており且つPA6によって半含浸されたシート状のUD材に置き換えた。更に、実施例2においては、このようなUD材を10層重ね合わせた積層体を、所定の温度及び圧力において熱間プレスによって成形した成形体として、試料C及び試料Dを調製した。
尚、試料Cは、上記UD材がそのままの状態で積層されている従来技術に係る成形体である。即ち、試料Cは、上述した(第2母材及び強化繊維を含む)第2部分のみからなる従来技術に係る中間基材から製造された成形体である。一方、試料Dは、試料Cと同一のプリプレグに本発明に係るナノセルロース分散液を塗布・乾燥させて中間基材とした後、試料Cと同様に、当該中間基材を10層重ね合わせた積層体を熱間プレスによって成形した成形体である。尚、試料Dの調製に用いたナノセルロース分散液は、実施例1において使用したナノセルロース分散液と同じである。
〈試料の評価〉
上記のようにして得られた試料C及び試料Dにつき、JIS−K7164に準じた引張特性試験を行った結果を図21のグラフに示す。尚、試料C及び試料Dの各々につき3回ずつ測定を行った。
図21は、引張特性試験によって得られた応力−歪み曲線を表すグラフである。従来技術に係る試料C(破線)に比べて、本発明に係る試料D(実線)の方が、歪みに対する引張応力がより大きく(引張応力に対する歪みがより小さく)且つ引張応力及び歪みの最大値がより大きいことが確認された。
〈結論〉
上述したように、試料Dは、上述した(第2母材及び強化繊維を含む)第2部分のみならず、上述した(第1母材及びNCを含む)第1部分をも含む、本発明に係る中間基材から製造された成形体である。このような構成を有する試料Dは、引張特性試験において、従来技術に係る試料Cよりも、引張応力及び歪みの最大値がより大きい。これは、熱可塑性樹脂である母材(第1母材であるPA6と第2母材である共重合ポリアミド樹脂との混合物)と強化繊維であるCFとの界面の少なくとも一部にNCが介在して、強化繊維と母材との界面における密着性が向上された結果として達成された効果であると考えられる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び実施例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
100…ナノセルロース分散液、110…第1部分、111…第1の熱可塑性樹脂(第1母材)、112…ナノセルロース(NC)、113…分散媒、120…第2部分、121……第2の熱可塑性樹脂(第2母材)、121’…第3の熱可塑性樹脂(第3母材)、122…強化繊維、123…被覆強化繊維、130…第3の層、140…母材(第1母材+第2母材)、211,212,213,221,222…中間基材、300…成形体。

Claims (31)

  1. 熱可塑性樹脂である母材と、ナノセルロースと、強化繊維と、を含む中間基材の製造方法であって、
    第1の熱可塑性樹脂及び前記ナノセルロースが分散媒に分散されている分散液であるナノセルロース分散液を調製すること、
    前記ナノセルロース分散液を前記強化繊維の表面の少なくとも一部に塗布すること、
    前記強化繊維の表面の少なくとも一部に塗布された前記ナノセルロース分散液を乾燥させて前記分散媒を除去することにより、前記第1の熱可塑性樹脂の中に前記ナノセルロースが分散されている部分である第1部分が前記強化繊維の表面の少なくとも一部に形成された被覆強化繊維を調製すること、並びに
    前記被覆強化繊維と第2の熱可塑性樹脂とを組み合わせて前記中間基材を調製すること、
    を含む、
    中間基材の製造方法。
  2. 第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にナノセルロースが分散されている部分である第1部分と、
    第2の熱可塑性樹脂である第2母材と強化繊維とを含む部分である第2部分と、
    を含む、
    中間基材の製造方法であって、
    前記第1の熱可塑性樹脂及び前記ナノセルロースが分散媒に分散されている分散液であるナノセルロース分散液を調製すること、
    前記ナノセルロース分散液を前記第2部分の表面の少なくとも一部に塗布すること、並びに
    前記第2部分の表面の少なくとも一部に塗布された前記ナノセルロース分散液を乾燥させて前記分散媒を除去することにより、前記第2部分の表面の少なくとも一部に前記第1部分が形成された前記中間基材を調製すること、
    を含む、
    中間基材の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された中間基材の製造方法であって、
    前記ナノセルロース分散液を乾燥させる工程において、前記第1の熱可塑性樹脂が少なくとも部分的に熔融する温度において前記ナノセルロース分散液を乾燥させる、
    中間基材の製造方法。
  4. 第1の熱可塑性樹脂である第1母材の中にナノセルロースが分散されている部分である第1部分と、第2の熱可塑性樹脂である第2母材と、強化繊維と、を含む、中間基材。
  5. 請求項4に記載された中間基材であって、
    前記ナノセルロースはセルロースナノファイバである、
    中間基材。
  6. 請求項4又は請求項5に記載された中間基材であって、
    前記ナノセルロースは官能基によって修飾されている、
    中間基材。
  7. 請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載された中間基材であって、
    前記強化繊維は、炭素繊維(CF)、ガラス繊維(GF)、セラミック繊維(CeF)、金属繊維(MF)、及び樹脂繊維(RF)からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維である、
    中間基材。
  8. 請求項7に記載された中間基材であって、
    前記セラミック繊維(CeF)は、シリカ繊維、アルミナ繊維、ムライト繊維、ジルコニア繊維及び炭化ケイ素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維であり、
    前記金属繊維(MF)は、鉄繊維、ステンレス鋼繊維、銅繊維、黄銅繊維、アルミニウム(Al)繊維及びチタン(Ti)繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維であり、
    前記樹脂繊維(RF)は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、及びポリアミドイミド繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維である、
    中間基材。
  9. 請求項4乃至請求項8の何れか1項に記載された中間基材であって、
    前記第1母材及び前記第2母材は、それぞれ、ポリエチレン(PE)樹脂及びポリプロピレン(PP)樹脂を含むポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS)及びアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂を含むスチレン系樹脂からなる汎用プラスチック、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂及びポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂を含むポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂からなる汎用エンジニアリングプラスチック、並びにポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、熱可塑性ポリイミド(TPI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリスルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂からなるスーパーエンジニアリングプラスチック、からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である、
    中間基材。
  10. 請求項4乃至請求項9の何れか1項に記載された中間基材であって、
    前記第1の熱可塑性樹脂及び前記第2の熱可塑性樹脂は何れもポリアミド系樹脂であり、
    前記ナノセルロースは、カルボキシレートアニオン基、スルホネートアニオン基、アルコール基、アミノ基、カルボキシ基、カルボキシレート基、及びカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を含む官能基によって修飾されている、
    中間基材。
  11. 請求項10に記載された中間基材であって、
    前記第1の熱可塑性樹脂は共重合ポリアミド樹脂であり、
    前記第2の熱可塑性樹脂はポリアミド6であり、
    前記ナノセルロースは、カルボキシレート基によって修飾されている、
    中間基材。
  12. 請求項4乃至請求項11の何れか1項に記載された中間基材であって、
    前記強化繊維の表面の少なくとも一部に前記第1部分が形成されてなる被覆強化繊維と、前記第2母材と、を含む、中間基材。
  13. 請求項12に記載された中間基材であって、
    前記被覆強化繊維が前記第2母材の中に分散されている、
    中間基材。
  14. 請求項12に記載された中間基材であって、
    前記第2母材からなる繊維と前記被覆強化繊維との混合物として構成されている、
    中間基材。
  15. 請求項12に記載された中間基材であって、
    前記被覆強化繊維からなる層と前記第2母材からなる層との積層体として構成されている、
    中間基材。
  16. 請求項12に記載された中間基材であって、
    前記被覆強化繊維からなる層が前記第2母材によって少なくとも部分的に含浸されている、
    中間基材。
  17. 請求項12に記載された中間基材であって、
    前記第2母材からなる粉末又は粒子と前記被覆強化繊維との混合物として構成されている、
    中間基材。
  18. 請求項4乃至請求項11の何れか1項に記載された中間基材であって、
    前記第2母材と前記強化繊維とを含む部分である第2部分が形成されており、
    前記第2部分の少なくとも一部の表面に前記第1部分が形成されている、
    中間基材。
  19. 請求項18に記載された中間基材であって、
    前記第2部分は、前記第2母材の中に前記強化繊維が分散されている部分として構成されている、
    中間基材。
  20. 請求項18に記載された中間基材であって、
    前記第2部分は、前記第2母材からなる繊維と前記強化繊維とが混合されている部分として構成されている、
    中間基材。
  21. 請求項18に記載された中間基材であって、
    前記第2部分は、前記強化繊維からなる層が前記第2母材によって少なくとも部分的に含浸された部分として構成されている、
    中間基材。
  22. 請求項18に記載された中間基材であって、
    前記第2部分は、前記第2母材からなる粉末又は粒子と前記強化繊維とが混合されている部分として構成されている、
    中間基材。
  23. 熱可塑性樹脂である母材と、強化繊維と、ナノセルロースと、を含む複合材料によって形成されており、前記母材と前記強化繊維との界面の少なくとも一部に前記ナノセルロースが配設されている、成形体の製造方法であって、
    請求項4乃至請求項22の何れか1項に記載された中間基材を前記第1母材の融点及び前記第2母材の融点のうち高い方の融点以上の所定の温度に加熱すること、及び
    前記所定の温度及び所定の圧力において前記中間基材を成形すること、
    を含む、
    成形体の製造方法。
  24. 熱可塑性樹脂である母材と、強化繊維と、ナノセルロースと、を含む複合材料によって形成されており、
    前記強化繊維と前記母材との界面の少なくとも一部に前記ナノセルロースが配設されている、
    成形体。
  25. 請求項24に記載された成形体であって、
    前記ナノセルロースはセルロースナノファイバである、
    成形体。
  26. 請求項24又は請求項25に記載された成形体であって、
    前記ナノセルロースは官能基によって修飾されている、
    成形体。
  27. 請求項24乃至請求項26の何れか1項に記載された成形体であって、
    前記強化繊維は、炭素繊維(CF)、ガラス繊維(GF)、セラミック繊維(CeF)、金属繊維(MF)、及び樹脂繊維(RF)からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維である、
    成形体。
  28. 請求項27に記載された成形体であって、
    前記セラミック繊維(CeF)は、シリカ繊維、アルミナ繊維、ムライト繊維、ジルコニア繊維及び炭化ケイ素繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維であり、
    前記金属繊維(MF)は、鉄繊維、ステンレス鋼繊維、銅繊維、黄銅繊維、アルミニウム(Al)繊維及びチタン(Ti)繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維であり、
    前記樹脂繊維(RF)は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、及びポリアミドイミド繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種の繊維である、
    成形体。
  29. 請求項24乃至請求項28の何れか1項に記載された成形体であって、
    前記母材は、ポリエチレン(PE)樹脂及びポリプロピレン(PP)樹脂を含むポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS)及びアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂を含むスチレン系樹脂からなる汎用プラスチック、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂及びポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂を含むポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂からなる汎用エンジニアリングプラスチック、並びにポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、熱可塑性ポリイミド(TPI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリスルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂からなるスーパーエンジニアリングプラスチック、からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂である、
    成形体。
  30. 請求項24乃至請求項29の何れか1項に記載された成形体であって、
    前記母材はポリアミド系樹脂であり、
    前記ナノセルロースは、カルボキシレートアニオン基、スルホネートアニオン基、アルコール基、アミノ基、カルボキシ基、カルボキシレート基、及びカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を含む官能基によって修飾されている、
    成形体。
  31. 請求項30に記載された成形体であって、
    前記母材は共重合ポリアミド樹脂及びポリアミド6を含み、
    前記ナノセルロースは、カルボキシレート基によって修飾されている、
    成形体。
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