JP7342142B2 - セルロース樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロース繊維と樹脂とを含む樹脂組成物に関する。
近年、自動車、電化製品等の分野において、製品軽量化のために部品を金属から樹脂へ代替することが積極的になされている。このような用途において、樹脂単体では機械特性及び寸法安定性が不十分であることが多く、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレイ等の各種無機材料がフィラーとして添加されるのが一般的である。しかし、これらのフィラーは比重が大きいため、樹脂成形体の重量が大きくなるという課題がある。
これに対しセルロースは、アラミド繊維に匹敵する高い弾性率と、ガラス繊維よりも低い線膨張係数とを有することが知られている。また、真密度が1.56g/cm3と、低く、一般的なフィラーとして使用されるガラス(密度2.4~2.6g/cm3)及びタルク(密度2.7g/cm3)と比較し圧倒的に軽い材料である。そして、天然資源として地球上に大量に存在し、かつ、カーボンニュートラルの観点から環境調和型材料とされ、樹脂強化用のフィラーとして期待されている。中でも、近年、セルロース繊維を高レベルで叩解及び粉砕して、繊維径1000nm以下まで微細化(フィブリル化)させたセルロースナノファイバーがフィラーとして注目を浴びている。
セルロース繊維と樹脂とを含む樹脂組成物において、マトリックスを形成する樹脂は疎水性である場合が多い一方、セルロース繊維は親水性であるため、マトリックス樹脂中でセルロース繊維を均一に分散させ、マトリックス樹脂とセルロース繊維との界面の親和性を向上させるための試みが種々行われてきた。
例えば、特許文献1は、粉末状のナノファイバー(例えばセルロースナノファイバー)に対し、分散剤を固形分換算で1~40重量%配合してなり、かつ嵩密度が90~200g/Lである粉末状ナノファイバーによってナノファイバーのマトリックス成分中での分散性を高めることを記載し、分散剤として、P-OH基、-COOH基、-SO3H基、及び/又はそれらの金属塩基、並びにイミダゾリン基の群から選ばれた少なくとも1種が結合した分散剤を記載する。
特開2017-210596号公報
特許文献1に記載される技術は、分散剤によってセルロースナノファイバーの樹脂中での分散性を改善し得るものであるが、そのような分散性向上のみでセルロースナノファイバーによる樹脂組成物の物性向上効果を得るには限界がある。近年、セルロース繊維、特にセルロースナノファイバーをフィラーとして用いた樹脂組成物には、従前にも増して高度な物性(機械強度等)が求められており、そのような高い要求特性を満足するセルロース繊維含有樹脂組成物の提供が望まれている。また、セルロース繊維は、樹脂組成物の物性向上効果に優れる材料であるが、天然物由来であることから多量に使用すると色調等の樹脂組成物の性状に影響する場合があり、その使用量を必要最小限に抑えつつ樹脂組成物に良好な物性を与えることも望まれている。
本発明は上記の課題を解決し、セルロース繊維の使用量が抑えられつつ良好な物性を有する樹脂組成物を提供することを目的とする。
本開示は以下の態様を包含する。
[1] セルロース繊維と、樹脂と、ハロゲン含有化合物とを含む、樹脂組成物。
[2] 前記樹脂組成物は、前記ハロゲン含有化合物の少なくとも一部をハロゲン化物イオンとして含む、上記態様1に記載の樹脂組成物。
[3] 前記セルロース繊維の量が、前記樹脂100質量部に対して5質量部~50質量部であり、
前記ハロゲン含有化合物のハロゲンの量が、前記セルロース繊維100質量部に対して0.01質量部~1000質量部である、上記態様1又は2に記載の樹脂組成物。
[4] 前記ハロゲン含有化合物のハロゲンが、ヨウ素及び臭素からなる群から選択される1種以上である、上記態様1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] 前記ハロゲン含有化合物の少なくとも一部がアルカリ金属を含む、上記態様1~4のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] 前記アルカリ金属の少なくとも一部がアルカリ金属イオンである、上記態様5に記載の樹脂組成物。
[7] 前記アルカリ金属が、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択される1種以上である、上記態様5又は6に記載の樹脂組成物。
[8] 前記ハロゲン含有化合物が、ハロゲン含有無機塩及びその電離生成物からなる群から選択される1種以上である、上記態様1~7のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] 前記セルロース繊維の数平均繊維径が、2nm~1000nmである、上記態様1~8のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10] 前記セルロース繊維が、重量平均分子量(Mw)100000以上、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)6以下を有する、上記態様1~9のいずれかに記載の樹脂組成物。
[11] 前記セルロース繊維が、アルカリ可溶多糖類平均含有率12質量%以下、及び結晶化度60%以上を有する、上記態様1~10のいずれかに記載の樹脂組成物。
[12] 前記セルロース繊維が、化学修飾されている、上記態様1~11のいずれかに記載の樹脂組成物。
[13] 前記化学修飾がアシル化であり、前記セルロース繊維のアシル置換度(DS)が0.1~1.0である、上記態様12に記載の樹脂組成物。
[14] 前記樹脂が、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群から選択される1種以上である、上記態様1~13のいずれかに記載の樹脂組成物。
[15] 分散剤を更に含む、上記態様1~14のいずれかに記載の樹脂組成物。
[16] 前記樹脂が、前記樹脂総量の50質量%超を占めるベース樹脂と、前記ベース樹脂とは異なる追加樹脂とで構成される、上記態様1~15のいずれかに記載の樹脂組成物。
[17] 前記樹脂100質量部に対する前記追加樹脂の量が、0.01~25質量部である、上記態様16に記載の樹脂組成物。
[18] 前記追加樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6,I、ポリアミド610、ポリアミド66/6I、ポリプロピレン、及びポリアセタールからなる群から選択される1種以上である、上記態様16又は17に記載の樹脂組成物。
[19] 以下の関係:
5MPa≦(SA-SB)/A≦100MPa
(式中、Aは前記樹脂組成物中のハロゲン含有化合物の含有率(単位:質量%)であり、SAは前記樹脂組成物の引張降伏強度(単位:MPa)であり、SBはハロゲン含有化合物を含まない他は前記樹脂組成物と同組成である比較樹脂組成物の引張降伏強度(単位:MPa)である。)
を満たす、上記態様1~18のいずれかに記載の樹脂組成物。
[20] 上記態様1~19のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法であって、
セルロース繊維とハロゲン塩とを混合してマスターバッチを調製する工程、及び
前記マスターバッチと樹脂とを混合する工程
を含む、方法。
[21] 上記態様1~19のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法であって、
樹脂とハロゲン塩とを混合してマスターバッチを調製する工程、及び
前記マスターバッチとセルロース繊維とを混合する工程
を含む、方法。
[22] 上記態様1~19のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法であって、
セルロース繊維と、ハロゲン塩と、樹脂とを混合する工程を含む、方法。
[23] 前記樹脂が熱可塑性樹脂であり、前記混合が溶融混練である、上記態様20~22のいずれかに記載の方法。
[24] 前記樹脂組成物の引張降伏強度が、ハロゲン塩を用いない他は前記樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張降伏強度の1.05倍以上である、上記態様20~23のいずれかに記載の方法。
[25] 前記樹脂組成物の引張弾性率が、ハロゲン塩を用いない他は前記樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張弾性率の1.02倍以上である、上記態様20~24のいずれかに記載の方法。
[26] セルロース繊維と樹脂とを含む樹脂組成物の製造において、樹脂組成物材料にハロゲン塩を添加することを含む、樹脂組成物の物性を向上させる方法であって、
前記物性が向上された樹脂組成物が、上記態様1~19のいずれかに記載の樹脂組成物である、方法。
[27] 前記物性が向上された樹脂組成物の引張降伏強度が、ハロゲン塩を用いない他は前記樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張降伏強度の1.05倍以上である、上記態様26に記載の方法。
[28] 前記物性が向上された樹脂組成物の引張弾性率が、ハロゲン塩を用いない他は前記樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張弾性率の1.02倍以上である、上記態様26又は27に記載の方法。
[29] 上記態様1~19のいずれかに記載の樹脂組成物より形成される、樹脂ペレット。
[30] 上記態様1~19のいずれかに記載の樹脂組成物より形成される、樹脂成形体。
本発明の一態様によれば、セルロース繊維の使用量が抑えられつつ良好な物性を有する樹脂組成物が提供され得る。
IRインデックス1730及びIRインデックス1030の算出法の説明図である。 セルロースの水酸基の平均置換度の算出法の説明図である。 熱分解開始温度(TD)及び1%重量減少温度(T1%)の測定法の説明図である。
本発明の例示の態様について以下具体的に説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
≪樹脂組成物≫
本発明の一態様は、セルロース繊維と、樹脂と、ハロゲン含有化合物とを含む、樹脂組成物を提供する。
<ハロゲン含有化合物>
一態様において、樹脂組成物はハロゲン含有化合物を含む。本発明者らは、セルロース繊維と樹脂とを含む樹脂組成物中にハロゲン含有化合物を添加することで、樹脂組成物中のセルロース繊維量を変えることなく樹脂組成物の物性を顕著に向上できることを見出した。その理由は定かでないが、セルロース繊維及び/又は樹脂とハロゲン含有化合物とに何らかの相互作用が生じることで、樹脂中に分散しているセルロース繊維による物性向上効果が顕著に高まり、樹脂組成物の物性が向上しているものと考えられる。
ハロゲン含有化合物が含むハロゲンは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)から選択でき、好ましくは塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(I)からなる群から選択される1種以上であり、より好ましくは臭素(Br)及びヨウ素(I)からなる群から選択される1種以上である。一態様において、樹脂組成物は、ハロゲン含有化合物の少なくとも一部をハロゲン化物イオンとして含む。ハロゲン化物イオンは、フッ化物イオン(F-)、塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)及びヨウ化物イオン(I-)から選択でき、好ましくは塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)及びヨウ化物イオン(I-)からなる群から選択される1種以上であり、より好ましくは臭化物イオン(Br-)及びヨウ化物イオン(I-)からなる群から選択される1種以上である。
一態様においては、ハロゲン含有化合物の少なくとも一部がアルカリ金属を含む。アルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)及びセシウム(Cs)から選択でき、好ましくはナトリウム(Na)及びカリウム(K)からなる群から選択される1種以上である。また一態様においては、当該アルカリ金属の少なくとも一部がアルカリ金属イオンである。アルカリ金属イオンは、リチウムイオン(Li+)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、ルビジウムイオン(Rb+)及びセシウムイオン(Cs+)から選択でき、好ましくはナトリウムイオン(Na+)及びカリウムイオン(K+)からなる群から選択される1種以上である。
一態様においては、ハロゲン含有化合物の少なくとも一部がアルカリ土類金属を含む。アルカリ土類金属は、ベリリウム(Be)、マグネシウム、(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、及びラジウム(Ra)からなる群から選択される1種以上であり、好ましくはカルシウム(Ca)である。一態様においては、当該アルカリ土類金属の少なくとも一部がアルカリ土類金属イオンである。
一態様においては、ハロゲン含有化合物の少なくとも一部が遷移金属を含む。一態様において、遷移金属は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、銅、銀、錫、パラジウム、鉛及び金からなる群から選択される1種以上であり、樹脂組成物中でのイオン分散性の観点から、好ましくは、鉄、コバルト、ニッケル、及び銅からなる群から選択される1種以上であり、特に好ましくは銅である。一態様においては、当該遷移金属の少なくとも一部が遷移金属イオンである。
一態様において、ハロゲン含有化合物は、ハロゲン塩(好ましくはハロゲン含有無機塩)及びその電離生成物(すなわちハロゲン塩が電離して生成しているイオン)から選択される。一態様においては、樹脂組成物中に、ハロゲン化物イオンと、その対イオンとが存在する。対イオンの好適例は、前述で例示したアルカリ金属イオンである。上記ハロゲン塩は、好ましくはアルカリ金属ハロゲン化物であり、より好ましくは、臭化ナトリウム(NaBr)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、臭化カリウム(KBr)及びヨウ化カリウム(KI)からなる群から選択される1種以上である。
ハロゲン含有化合物は、樹脂組成物の調製において、例えばハロゲン塩の存在下でセルロース繊維と樹脂とを混合することによって、樹脂組成物に含有させることができる。ハロゲン塩の水溶性が高いことは、セルロース繊維及び/又は樹脂とハロゲン塩との親和性の点で好ましい。一態様において、25℃の水100mlに対するハロゲン塩の溶解度は、好ましくは10g以上500g以下、より好ましくは40g以上300g以下、更に好ましくは100g以上200g以下である。
ハロゲン化物イオンの中で、イオン半径がより大きい(すなわち単体金属の原子量がより大きい)と比較的イオン結合エネルギーが小さいため、樹脂、特に極性基をもつ樹脂中での安定分散が可能となり、セルロースと樹脂との相互作用を強化する効果が大きくなる傾向がある。このような観点からも、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンは好ましい。
樹脂組成物中、セルロース繊維100質量部に対するハロゲン含有化合物のハロゲンの量は、好ましくは0.01質量部~1000質量部である。上記量は、樹脂組成物の物性向上効果を良好に得る観点から、好ましくは、0.01質量部以上、又は0.1質量部以上、又は1質量部以上であり、ハロゲン含有化合物によるセルロースや樹脂の劣化を防止する観点から、好ましくは1000質量部以下、又は500質量部以下、又は300質量部以下、又は200質量部以下、又は100質量部以下、又は10質量部以下である。樹脂組成物中のハロゲン含有化合物の種類及び量は、樹脂組成物の溶媒抽出物をイオンクロマトグラフィーなどの組成分析で確認できる。
<セルロース繊維>
セルロース繊維は、天然セルロース及び再生セルロースから選ばれる各種セルロース繊維原料から得られるものであってよい。天然セルロースとしては、木材種(広葉樹又は針葉樹)から得られる木材パルプ、非木材種(綿、竹、麻、バガス、ケナフ、コットンリンター、サイザル、ワラ等)から得られる非木材パルプ、動物(例えばホヤ類)や藻類、微生物(例えば酢酸菌)、が産生するセルロース繊維集合体を使用できる。再生セルロースとしては、再生セルロース繊維(ビスコース、キュプラ、テンセル等)、セルロース誘導体繊維、エレクトロスピニング法により得られた再生セルロース又はセルロース誘導体の極細糸等を使用できる。これらの原料は、必要に応じて、グラインダー、リファイナー等の機械力による叩解、フィブリル化、微細化等によって、繊維径、繊維長、フィブリル化度等を調整したり、薬品を用いて漂白、精製し、セルロース以外の成分(リグニン等の酸不溶成分、ヘミセルロース等のアルカリ可溶多糖類、等)の含有率を調整したりすることができる。
一態様において、セルロース繊維原料は化学修飾されてよく、硝酸エステル、硫酸エステル、リン酸エステル、ケイ酸エステル等の無機エステル化物、メチルエーテル、ヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキシプロピルエーテル、ヒドロキシブチルエーテル、カルボキシメチルエーテル、シアノエチルエーテル等のエーテル化物、セルロースの一級水酸基を酸化してなるTEMPO酸化処理パルプ等をセルロース繊維原料として使用できる。
セルロース繊維の数平均繊維径の下限は、好ましくは2nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは30nm以上、さらに好ましくは100nm以上、特に好ましくは300nm以上である。一方、上限は、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは1000nm未満、さらに好ましくは800nm以下、特に好ましくは500nm以下である。数平均繊維径が2nm以上であると、セルロースの結晶性が良好に保持され好ましい。数平均繊維径が100μm以下であると、樹脂組成物のフィラーとして用いたときのセルロース繊維の繊維径が大きすぎず、樹脂組成物の性能向上に良好に寄与するため好ましい。
一態様において、セルロース繊維はセルロースナノファイバーである。セルロースナノファイバーは、パルプ等を100℃以上の熱水等で処理し、ヘミセルロースを加水分解して脆弱化したのち、高圧ホモジナイザー、マイクロフリュイダイザー、ボールミル、ディスクミル、ミキサー(例えばホモミキサー)等の粉砕法により解繊した微細なセルロースである。一態様において、セルロースナノファイバーは数平均繊維径2nm以上1000nm以下である。セルロース繊維は後述のように化学修飾されたものであってもよい。
一態様において、セルロースナノファイバーを得る方法としては、セルロース繊維原料を微細化処理する方法を例示できる。微細化処理は公知の微細化処理方法により実施することができる。例えば、数平均繊維径が1000nm超の繊維から数平均繊維径1000nm以下(例えば2nm以上1000nm以下)のセルロースナノファイバーを得る場合は、水又は有機溶媒中で、例えば、マスコロイダー等の磨砕機、又は高圧ホモジナイザーを用いた処理を行うことで微細化を行うことができる。
微細化処理に用いられる有機溶媒としては、特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1~6、好ましくは炭素数1~3のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の炭素数3~6のケトン;直鎖又は分岐状の炭素数1~6の飽和炭化水素又は不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;炭素数2~5の低級アルキルエーテル;DMSO、DMF、DMAc、NMP、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル等の極性溶媒等が例示される。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、微細化処理の操作性の観点から、炭素数1~6のアルコール、炭素数3~6のケトン、炭素数2~5の低級アルキルエーテル、DMSO、DMF、DMAc、NMP、コハク酸メチルトリグリコールジエステル、トルエン等が好ましい。
微細化処理における水又は有機溶媒の使用量は、微細化前の繊維を分散できる有効量であればよく、特に制限はないが、微細化前の繊維に対して、好ましくは1質量倍以上、より好ましくは10質量倍以上、さらに好ましくは50質量倍以上であり、好ましくは2000質量倍以下、より好ましくは1000質量倍以下である。
また、微細化処理で使用する装置としては、公知の分散機が好適に使用される。例えば、離解機、叩解機、リファイナー、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ホモミキサー、グラインダー、マスコロイダー、カッターミル、ボールミル、ジェットミル、単軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等を用いることができる。セルロースナノファイバーは、液体媒体中の分散体、又は乾燥体の形態で回収できる。分散体中の液体媒体は、水に加えて、任意に1種単独又は2種以上の組合せで他の液体媒体(例えば上記で例示した有機溶媒の1種以上)を更に含み得る。
本開示で、セルロース繊維の各々の長さ、径、及びL/D比は、セルロース繊維の水分散液を水溶性溶媒(例えば、水、エタノール、tert-ブタノール等)で0.01~0.1質量%まで希釈し、高剪断ホモジナイザー(例えばIKA製、商品名「ウルトラタラックスT18」)を用い、処理条件:回転数25,000rpm×5分間で分散させ、マイカ上にキャストし、風乾したものを測定サンプルとし、高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)又は原子間力顕微鏡(AFM)で計測して求める。具体的には、少なくとも100本の繊維状物質が観測されるように倍率が調整された観察視野にて、無作為に選んだ100本の繊維状物質の長さ(L)及び径(D)を計測し、比(L/D)を算出する。セルロース繊維について、長さ(L)の数平均値、径(D)の数平均値、及び比(L/D)の数平均値を算出する。
なお、後述の樹脂組成物中のセルロース繊維の長さ、径、及びL/D比は、固体である樹脂組成物を測定サンプルとして、上述の測定方法により測定することで確認することができる。又は、樹脂組成物中のセルロース繊維の長さ、径、及びL/D比は、樹脂組成物の樹脂成分を溶解できる有機又は無機の溶媒に樹脂組成物中の樹脂成分を溶解させ、セルロース繊維を分離し、前記溶媒で充分に洗浄した後、水溶性溶媒(例えば、水、エタノール、tert-ブタノール等)で置換し、0.01~0.1質量%分散液を調製し、高剪断ホモジナイザー(例えばIKA製、商品名「ウルトラタラックスT18」)で再分散する。再分散液をマイカ上にキャストし、風乾したものを測定サンプルとして上述の測定方法により測定することで確認することができる。この際、測定するセルロース繊維は無作為に選んだ100本以上での測定を行う。
典型的な態様において、セルロース繊維の結晶構造は、セルロースI型及び/又はII型を有する。セルロースの結晶形としては、I型、II型、III型、IV型等が知られている。I型及びII型のセルロースは汎用されている一方、III型及びIV型のセルロースは実験室スケールでは得られているものの工業スケールでは汎用されていない。
結晶構造は、グラファイトで単色化したCuKα(λ=0.15418nm)を用いた広角X線回折より得られる回折プロファイルより同定することが可能である。セルロースI型は2θ=14°~17°付近と2θ=22°~23°付近の2箇所の位置にピークを有する。セルロースII型は2θ=10°~19°に1つのピークと、2θ=19°~25°に2つのピークとを有する。セルロースI型及びセルロースII型が混在する場合、2θ=10°~25°の範囲で最大6本のピークが観測される。
本実施形態のセルロース繊維の結晶化度は、好ましくは50%以上である。結晶化度がこの範囲にあると、セルロース繊維の力学物性(特に強度及び寸法安定性)が高まるため、セルロース繊維を樹脂に分散してなる樹脂組成物の強度及び寸法安定性が高くなる傾向にある。本実施形態のセルロース繊維の結晶化度は、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは65%以上であり、最も好ましくは70%以上である。セルロース繊維の結晶化度は高いほど好ましい傾向にあるので、上限は特に限定されないが、生産上の観点から99%が好ましい上限である。
結晶化度は、セルロース繊維がセルロースI型結晶(天然セルロース由来)である場合には、サンプルを広角X線回折により測定した際の回折パターン(2θ/deg.が10~30)からSegal法により、以下の式で求められる。
結晶化度(%)=[I(200)-I(amorphous)]/I(200)×100
(200):セルロースI型結晶における200面(2θ=22.5°)による回折ピーク強度
(amorphous):セルロースI型結晶におけるアモルファスによるハローピーク強度であって、200面の回折角度より4.5°低角度側(2θ=18.0°)のピーク強度
また結晶化度は、セルロース繊維がセルロースII型結晶(再生セルロース由来)である場合には、広角X線回折において、セルロースII型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=12.6°における絶対ピーク強度h0 とこの面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1 とから、下記式によって求められる。
結晶化度(%)=h1/h0×100
セルロース繊維の重合度(DP)は、100以上12000以下であることが好ましい。重合度はセルロース分子鎖を形成する無水グルコース単位の繰返し数である。セルロース繊維の重合度が100以上であることで、繊維自体の引張破断強度及び弾性率が向上し、セルロース繊維を含む樹脂組成物の高い引張破断強度及び熱安定性が発現するため好ましい。セルロース繊維の重合度に特に上限はないが、12000を超える重合度のセルロースは実質的に入手が困難であり、工業的な利用が難しい傾向がある。取扱性及び工業的実施の観点から、セルロース繊維の重合度は、150~8000が好ましい。
セルロース繊維の重合度は、「第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)」の確認試験(3)に記載の銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法に従って測定される平均重合度を意味する。
セルロース繊維の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100000以上であり、より好ましくは200000以上である。セルロース繊維の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは6以下であり、好ましくは5.4以下である。重量平均分子量が大きいほどセルロース分子の末端基の数は少ないことを意味する。また、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は分子量分布の幅を表すものであることから、Mw/Mnが小さいほどセルロース分子の末端の数は少ないことを意味する。セルロース分子の末端は熱分解の起点となるため、セルロース繊維のセルロース分子の重量平均分子量が大きいのみでなく重量平均分子量が大きいと同時に分子量分布の幅が狭い場合、特に高耐熱性のセルロース繊維、及びセルロース繊維と樹脂とを含む樹脂組成物が得られる。セルロース繊維の重量平均分子量(Mw)は、セルロース原料の入手容易性の観点から、例えば600000以下、又は500000以下であってよい。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、セルロース繊維の製造容易性の観点から、例えば1.5以上、又は2以上であってよい。Mwは、目的に応じたMwを有するセルロース原料を選択すること、セルロース原料に対して物理的処理及び/又は化学的処理を適度な範囲で適切に行うこと、等によって上記範囲に制御できる。Mw/Mnもまた、目的に応じたMw/Mnを有するセルロース原料を選択すること、セルロース原料に対して物理的処理及び/又は化学的処理を適度な範囲で適切に行うこと、等によって上記範囲に制御できる。Mwの制御、及びMw/Mnの制御の両者において、上記物理的処理としては、マイクロフリュイダイザー、ボールミル、ディスクミル等の乾式粉砕若しくは湿式粉砕、擂潰機、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波装置等による衝撃、せん断、ずり、摩擦等の機械的な力を加える物理的処理を例示でき、上記化学的処理としては、蒸解、漂白、酸処理、再生セルロース化等を例示できる。
ここで、セルロース繊維の重量平均分子量及び数平均分子量とは、セルロース繊維を塩化リチウムが添加されたN,N-ジメチルアセトアミドに溶解させたうえで、N,N-ジメチルアセトアミドを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィによって求めた値である。
セルロース繊維の重合度(すなわち平均重合度)又は分子量を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース繊維内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースやリグニン等の不純物も取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。
加水分解の方法は、特に制限されないが、酸加水分解、アルカリ加水分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン、マイクロ波分解等が挙げられる。これらの方法は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。酸加水分解の方法では、例えば、繊維性植物からパルプとして得たα-セルロースをセルロース原料とし、これを水系媒体に分散させた状態で、プロトン酸、カルボン酸、ルイス酸、ヘテロポリ酸等を適量加え、攪拌しながら加温することにより、容易に平均重合度を制御できる。この際の温度、圧力、時間等の反応条件は、セルロース種、セルロース濃度、酸種、酸濃度等により異なるが、目的とする平均重合度が達成されるよう適宜調製されるものである。例えば、2質量%以下の鉱酸水溶液を使用し、100℃以上、加圧下で、10分間以上セルロースを処理するという条件が挙げられる。この条件のとき、酸等の触媒成分がセルロース繊維内部まで浸透し、加水分解が促進され、使用する触媒成分量が少なくなり、その後の精製も容易になる。なお、加水分解時のセルロース原料の分散液は、水の他、本発明の効果を損なわない範囲において有機溶媒を少量含んでいてもよい。
セルロース繊維が含み得るアルカリ可溶多糖類は、ヘミセルロースのほか、β-セルロース及びγ-セルロースも包含する。アルカリ可溶多糖類とは、植物(例えば木材)を溶媒抽出及び塩素処理して得られるホロセルロースのうちのアルカリ可溶部として得られる成分(すなわちホロセルロースからα-セルロースを除いた成分)として当業者に理解される。アルカリ可溶多糖類は、水酸基を含む多糖であり耐熱性が悪く、熱がかかった場合に分解すること、熱エージング時に黄変を引き起こすこと、セルロース繊維の強度低下の原因になること等の不都合を招来し得ることから、セルロース繊維中のアルカリ可溶多糖類含有量は少ない方が好ましい。
一態様において、セルロース繊維中のアルカリ可溶多糖類平均含有率は、セルロース繊維の良好な分散性を得る観点から、セルロース繊維100質量%に対して、好ましくは、20質量%以下、又は18質量%以下、又は15質量%以下、又は12質量%以下である。上記含有率は、セルロース繊維の製造容易性の観点から、1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上であってもよい。
アルカリ可溶多糖類平均含有率は、非特許文献(木質科学実験マニュアル、日本木材学会編、92~97頁、2000年)に記載の手法より求めることができ、ホロセルロース含有率(Wise法)からαセルロース含有率を差し引くことで求められる。なおこの方法は当業界においてヘミセルロース量の測定方法として理解されている。1つのサンプルにつき3回アルカリ可溶多糖類含有率を算出し、算出したアルカリ可溶多糖類含有率の数平均をアルカリ可溶多糖類平均含有率とする。
一態様において、セルロース繊維中の酸不溶成分平均含有率は、セルロース繊維の耐熱性低下及びそれに伴う変色を回避する観点から、セルロース繊維100質量%に対して、好ましくは、10質量%以下、又は5質量%以下、又は3質量%以下である。上記含有率は、セルロース繊維の製造容易性の観点から、0.1質量%以上、又は0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってもよい。
酸不溶成分平均含有率は、非特許文献(木質科学実験マニュアル、日本木材学会編、92~97頁、2000年)に記載のクラーソン法を用いた酸不溶成分の定量として行う。なおこの方法は当業界においてリグニン量の測定方法として理解されている。硫酸溶液中でサンプルを撹拌してセルロース及びヘミセルロース等を溶解させた後、ガラスファイバーろ紙で濾過し、得られた残渣が酸不溶成分に該当する。この酸不溶成分重量より酸不溶成分含有率を算出し、そして、3サンプルについて算出した酸不溶成分含有率の数平均を酸不溶成分平均含有率とする。
セルロース繊維の熱分解開始温度(TD)は、車載用途等で望まれる耐熱性及び機械強度を発揮できるという観点から、一態様において270℃以上であり、好ましくは275℃以上、より好ましくは280℃以上、さらに好ましくは285℃以上である。熱分解開始温度は高いほど好ましいが、セルロース繊維の製造容易性の観点から、例えば、320℃以下、又は300℃以下であってもよい。
本開示で、TDとは、図3の説明図に示すように、熱重量(TG)分析における、横軸が温度、縦軸が重量残存率%のグラフから求めた値である(尚、図3(B)は図3(A)の拡大図である。)。セルロース繊維の150℃(水分がほぼ除去された状態)での重量(重量減少量0wt%)を起点としてさらに昇温を続け、1wt%重量減少時の温度(T1%)と2wt%重量減少時の温度(T2%)とを通る直線を得る。この直線と、重量減少量0wt%の起点を通る水平線(ベースライン)とが交わる点の温度をTDと定義する。
1%重量減少温度(T1%)は、上記TDの手法で昇温を続けた際の、150℃の重量を起点とした1重量%重量減少時の温度である。
樹脂組成物中のセルロース繊維の250℃重量減少率(T250℃)は、TG分析において、セルロース繊維を250℃、窒素フロー下で2時間保持した時の重量減少率である。
セルロース繊維は、化学処理(例えば酸化、又は修飾化剤を用いた化学修飾)がされていてもよい。一例として、Cellulose(1998)5,153-164に示されているような2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカルによってセルロース繊維を酸化させた後に、洗浄、機械解繊を経ることにより得られる、微細化セルロース繊維を使用してもよい。
セルロースの修飾化剤としては、セルロースの水酸基と反応する化合物を使用でき、エステル化剤、エーテル化剤、及びシリル化剤が挙げられる。好ましい態様において、化学修飾は、エステル化剤を用いたアシル化である。エステル化剤としては、酸ハロゲン化物、酸無水物、及びカルボン酸ビニルエステルが好ましい。
酸ハロゲン化物は、下記式(1)で表される化合物からなる群から選択された少なくとも1種であってよい。
1-C(=O)-X (1)
(式中、R1は炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数3~24のシクロアルキル基、又は炭素数6~24のアリール基を表し、XはCl、Br又はIである。)
酸ハロゲン化物の具体例としては、塩化アセチル、臭化アセチル、ヨウ化アセチル、塩化プロピオニル、臭化プロピオニル、ヨウ化プロピオニル、塩化ブチリル、臭化ブチリル、ヨウ化ブチリル、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、ヨウ化ベンゾイル等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、酸塩化物は反応性と取り扱い性の点から好適に採用できる。尚、酸ハロゲン化物の反応においては、触媒として働くと同時に副生物である酸性物質を中和する目的で、アルカリ性化合物を1種又は2種以上添加してもよい。アルカリ性化合物としては、具体的には:トリエチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン化合物;及びピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物;が挙げられるが、これに限定されない。
酸無水物としては、任意の適切な酸無水物類を用いることができる。例えば、
酢酸、プロピオン酸、(イソ)酪酸、吉草酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸無水物;(メタ)アクリル酸、オレイン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸無水物;
シクロヘキサンカルボン酸、テトラヒドロ安息香酸等の脂環族モノカルボン酸無水物;
安息香酸、4-メチル安息香酸等の芳香族モノカルボン酸無水物;
二塩基カルボン酸無水物として、例えば、無水コハク酸、アジピン酸等の無水飽和脂肪族ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、無水1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸等の無水脂環族ジカルボン酸、及び、無水フタル酸、無水ナフタル酸等の無水芳香族ジカルボン酸無水物等;
3塩基以上の多塩基カルボン酸無水物類として、例えば、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の(無水)ポリカルボン酸等が挙げられる。
尚、酸無水物の反応においては、触媒として、硫酸、塩酸、燐酸等の酸性化合物、又は金属塩化物、金属トリフラート等のルイス酸、又はトリエチルアミン、ピリジン等のアルカリ性化合物を1種又は2種以上添加してもよい。
カルボン酸ビニルエステルとしては、下記式(1):
R-COO-CH=CH2 …式(1)
{式中、Rは、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数3~16のシクロアルキル基、又は炭素数6~24のアリール基のいずれかである。}で表されるカルボン酸ビニルエステルが好ましい。カルボン酸ビニルエステルは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニルアジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、安息香酸ビニル、及び桂皮酸ビニルからなる群から選択された少なくとも1種であることがより好ましい。カルボン酸ビニルエステルによるエステル化反応のとき、触媒として、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、1~3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、並びにアルコキシドからなる群から選択される1種又は2種以上を添加しても良い。
アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。 アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等が挙げられる。
1~3級アミンとは、1級アミン、2級アミン、及び3級アミンのことであり、具体例としては、エチレンジアミン、ジエチルアミン、プロリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
イミダゾール及びその誘導体としては、1-メチルイミダゾール、3-アミノプロピルイミダゾール、カルボニルジイミダゾール等が挙げられる。
ピリジン及びその誘導体としては、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、ピコリン等が挙げられる。
アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-t-ブトキシド等が挙げられる。
これらエステル化反応剤の中でも、特に、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及び酪酸ビニルからなる群から選択された少なくとも一種、中でも無水酢酸及び酢酸ビニルが、反応効率の観点から好ましい。
エステル化は、撹拌下で行うことが好ましい。撹拌の方法は特に限定されないが、各種撹拌機(せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波式等のもの)、溶解機、乳化機、分散機、混錬機、ホモジナイザー等を用いて実施することができる。反応終了後のエステル化セルロース繊維は、必要に応じて濃縮、洗浄等を経て、分散体又は乾燥体として回収できる。
セルロース繊維がエステル化セルロース繊維である場合、アシル置換度(DS)は、一態様において1.0以下であり、好ましくは0.1以上1.0以下である。DSが0.1以上であれば、熱分解開始温度が高い、エステル化セルロース繊維及びこれを含む樹脂組成物を得ることができる。一方、DSが1.0以下であると、エステル化セルロース繊維中に未修飾のセルロース骨格が残存するため、セルロース由来の高い引張強度及び寸法安定性と化学修飾由来の高い熱分解開始温度を兼ね備えた、エステル化セルロース繊維及びこれを含む樹脂組成物を得ることができる。DSはより好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.25以上、特に好ましくは0.3以上、最も好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.6以下、最も好ましくは0.5以下である。
エステル化セルロース繊維の上記アシル置換度(DS)は、エステル化セルロース繊維の反射型赤外吸収スペクトルから、アシル基由来のピークとセルロース骨格由来のピークとのピーク強度比に基づいて算出することができる。アシル基に基づくC=Oの吸収バンドのピークは1730cm-1に出現し、セルロース骨格鎖に基づくC-Oの吸収バンドのピークは1030cm-1に出現する(図1及び2参照)。エステル化セルロース繊維のDSは、後述するエステル化セルロース繊維の固体NMR測定から得られるDSと、セルロース骨格鎖C-Oの吸収バンドのピーク強度に対するアシル基に基づくC=Oの吸収バンドのピーク強度の比率で定義される修飾化率(IRインデックス1030)との相関グラフを作製し、相関グラフから算出された検量線
置換度DS = 4.13 × IRインデックス(1030)
を使用することで求めることができる。
固体NMRによるエステル化セルロース繊維のDSの算出方法は、凍結粉砕したエステル化セルロース繊維について13C固体NMR測定を行い、50ppmから110ppmの範囲に現れるセルロースのピラノース環由来の炭素C1-C6に帰属されるシグナルの合計面積強度(Inp)に対する修飾基由来の1つの炭素原子に帰属されるシグナルの面積強度(Inf)より下記式で求めることができる。
DS=(Inf)×6/(Inp)
たとえば、修飾基がアセチル基の場合、-CH3に帰属される23ppmのシグナルを用いれば良い。
用いる13C固体NMR測定の条件は例えば以下の通りである。
装置 :Bruker Biospin Avance500WB
周波数 :125.77MHz
測定方法 :DD/MAS法
待ち時間 :75sec
NMR試料管 :4mmφ
積算回数 :640回(約14Hr)
MAS :14,500Hz
化学シフト基準:グリシン(外部基準:176.03ppm)
エステル化セルロース繊維において、繊維全体の修飾度(DSt)(これは上記のアシル置換度(DS)と同義である。)に対する繊維表面の修飾度(DSs)の比率で定義されるDS不均一比(DSs/DSt)は1.05以上が好ましい。DS不均一比は値が大きいほど、鞘芯構造様の不均一構造(すなわち、繊維表層が高度に化学修飾される一方で繊維中心部が元の未修飾に近いセルロースの構造を保持している構造)が顕著であり、セルロース由来の高い引張強度及び寸法安定性を有しつつ、樹脂組成物の製造時の樹脂との親和性の向上、樹脂組成物の寸法安定性の向上につながる。DS不均一比はより好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.3以上、特に好ましくは1.5以上、最も好ましくは2.0以上であり、エステル化セルロース繊維の製造容易性の観点から、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。
DSsの値は、エステル化セルロース繊維の修飾度に応じて変わるが、一例として、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上であり、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下、最も好ましくは1.0以下である。DStの好ましい範囲は、アシル置換基(DS)について前述したとおりである。
エステル化セルロース繊維においては、DS不均一比の変動係数(CV)が小さいほど、樹脂組成物の各種物性のバラつきが小さくなるため好ましい。上記変動係数は、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、最も好ましくは20%以下である。
DS不均一比の変動係数(CV)は、エステル化セルロース繊維の水分散体(固形分率10質量%以上)を100g採取し、10gずつ凍結粉砕したものを測定サンプルとし、10サンプルのDS及びDSsからDS不均一比を算出した後、得られた10個のサンプル間でのDS不均一比の標準偏差(σ)及び算術平均(μ)より変動係数を算出する。
DS不均一比 = DSs/DS
変動係数(%)= 標準偏差σ / 算術平均μ × 100
DSsの算出方法は以下のとおりである。すなわち、凍結粉砕により粉末化したエステル化セルロース繊維を2.5mmφの皿状試料台に載せ、表面を抑えて平らにし、X線光電子分光法(XPS)による測定を行う。XPSスペクトルは、サンプルの表層のみ(典型的には数nm程度)の構成元素及び化学結合状態を反映する。得られたC1sスペクトルについてピーク分離を行い、セルロースのピラノース環由来の炭素C2-C6帰属されるピーク(289eV、C-C結合)の面積強度(Ixp)に対する修飾基由来の1つの炭素原子に帰属されるピークの面積強度(Ixf)より下記式で求めることができる。
DSs=(Ixf)×5/(Ixp)
たとえば、修飾基がアセチル基の場合、C1sスペクトルを285eV、286eV,288eV,289eVでピーク分離を行った後、Ixpには289evのピークを、Ixfにはアセチル基のO-C=O結合由来のピーク(286eV)を用いれば良い。
用いるXPS測定の条件は例えば以下の通りである。
使用機器 :アルバックファイVersaProbeII
励起源 :mono.AlKα 15kV×3.33mA
分析サイズ :約200μmφ
光電子取出角 :45°
取込領域
Narrow scan:C 1s、O 1s
Pass Energy:23.5eV
樹脂組成物中の、樹脂100質量部に対するセルロース繊維の量は、樹脂組成物の物性向上効果を良好に得る観点から、好ましくは、0.1質量部以上、又は1質量部以上、又は2質量部以上、又は3質量部以上、又は5質量部以上であり、樹脂組成物の製造時及び使用時の流動性の観点から、好ましくは、50質量部以下、又は40質量部以下、又は30質量部以下、又は20質量部以下、又は10質量部以下である。一態様においては、ハロゲン含有化合物の存在によって、セルロース繊維が樹脂に混入された後に高度に再分散するため、樹脂に対するセルロース繊維の量が比較的少なくても十分な力学的特性を実現することができる。
樹脂組成物の総質量に対するセルロース繊維の質量比率は、下限が、樹脂組成物の機械特性及び熱安定性の向上効果を良好に得る観点から、好ましくは、0.05質量%以上、又は0.1質量%以上、又は1質量%以上であり、上限が、樹脂組成物中の樹脂の所望の特性を良好に維持する観点から、好ましくは、50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は20質量%以下である。
<樹脂>
樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、ゴム等を用いることができる。
[熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂の具体例としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂;ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール等のビニル系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-イソプレンブロック共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリアクリロニトリル、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂等のニトリル系樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリアミド;ポリウレタン;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸等のアクリル樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルフォン;ポリエーテルスルフォン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;液晶ポリマー;シリコーン樹脂;アイオノマー;セルロース(木材パルプ、綿等の天然セルロース;ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン及びテンセル等の再生セルロース);ニトロセルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、2種類以上をブレンドして用いてもよい。ブレンドする場合のブレンド比は各種用途に応じて適宜選択されればよい。
熱可塑性樹脂の中でも、100℃~350℃の範囲内に融点を有する結晶性樹脂、又は、100℃~250℃の範囲内にガラス転移温度を有する非晶性樹脂、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂及びこれらの2種以上の混合物が好ましく挙げられ、取り扱い性及びコストの観点からより好ましくはポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂(特に結晶性樹脂)の融点は、樹脂組成物の耐熱性を高める観点から、好ましくは、140℃以上、又は150℃以上、又は160℃以上、又は170℃以上、又は180℃以上、又は190℃以上、又は200℃以上、又は210℃以上、220℃以上、又は230℃以上、又は240℃以上、又は245℃以上、又は250℃以上である。
熱可塑性樹脂の融点としては、例えば比較的低融点の樹脂(例えばポリオレフィン系樹脂)について、150℃~190℃、又は160℃~180℃、また例えば比較的高融点の樹脂(例えばポリアミド系樹脂)について、220℃~350℃、又は230℃~320℃、を例示できる。
ここでいう結晶性樹脂の融点とは、示差走査熱量分析装置(DSC)を用いて、23℃から10℃/分の昇温速度で昇温していった際に現れる吸熱ピークのピークトップ温度を指し、吸熱ピークが2つ以上現れる場合は、最も高温側の吸熱ピークのピークトップ温度を指す。この時の吸熱ピークのエンタルピーは、10J/g以上であることが望ましく、より望ましくは20J/g以上である。また測定に際しては、サンプルを一度融点+20℃以上の温度条件まで加温し、樹脂を溶融させたのち、10℃/分の降温速度で23℃まで冷却したサンプルを用いることが望ましい。
ここでいう非晶性樹脂のガラス転移温度とは、動的粘弾性測定装置を用いて、23℃から2℃/分の昇温速度で昇温しながら、印加周波数10Hzで測定した際に、貯蔵弾性率が大きく低下し、損失弾性率が最大となるピークのピークトップの温度をいう。損失弾性率のピークが2つ以上現れる場合は、最も高温側のピークのピークトップ温度を指す。この際の測定頻度は、測定精度を高めるため、少なくとも20秒に1回以上の測定とすることが望ましい。また、測定用サンプルの調製方法については特に制限はないが、成形歪の影響をなくす観点から、熱プレス成形品の切り出し片を用いることが望ましく、切り出し片の大きさ(幅及び厚み)はできるだけ小さい方が熱伝導の観点より望ましい。
熱可塑性樹脂として好ましいポリオレフィン系樹脂は、オレフィン類(例えばα-オレフィン類)やアルケン類をモノマー単位として重合して得られる高分子である。ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(例えば線状低密度ポリエチレン)、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等に例示されるエチレン系(共)重合体、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体等に例示されるポリプロピレン系(共)重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体等に代表されるエチレン等α-オレフィンの共重合体等が挙げられる。
ここで最も好ましいポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレンが挙げられる。特に、ISO1133に準拠して230℃、荷重21.2Nで測定されたメルトマスフローレイト(MFR)が、3g/10分以上30g/10分以下であるポリプロピレンが好ましい。MFRの下限値は、より好ましくは5g/10分であり、さらにより好ましくは6g/10分であり、最も好ましくは8g/10分である。また、上限値は、より好ましくは25g/10分であり、さらにより好ましくは20g/10分であり、最も好ましくは18g/10分である。MFRは、組成物の靱性向上の観点から上記上限値を超えないことが望ましく、組成物の流動性の観点から上記下限値を下回らないことが望ましい。
また、セルロースとの親和性を高めるため、酸変性されたポリオレフィン系樹脂も好適に使用可能である。この際の酸としては、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、フタル酸及び、これらの無水物、並びにクエン酸等のポリカルボン酸から、適宜選択可能である。これらの中でも好ましいのは、変性率の高めやすさから、マレイン酸又はその無水物である。変性方法については特に制限はないが、過酸化物の存在下又は非存在下で融点以上に加熱して溶融混練する方法が一般的である。酸変性するポリオレフィン樹脂としては前出のポリオレフィン系樹脂はすべて使用可能であるが、ポリプロピレンが中でも好適に使用可能である。酸変性されたポリプロピレンは、単独で用いても構わないが、樹脂全体としての変性率を調整するため、変性されていないポリプロピレンと混合して使用することがより好ましい。この際のすべてのポリプロピレンに対する酸変性されたポリプロピレンの割合は、0.5質量%~50質量%である。より好ましい下限は、1質量%であり、更に好ましくは2質量%、更により好ましくは3質量%、特に好ましくは4質量%、最も好ましくは5質量%である。また、より好ましい上限は、45質量%であり、更に好ましくは40質量%、更により好ましくは35質量%、特に好ましくは30質量%、最も好ましくは20質量%である。樹脂とセルロースとの界面強度を維持するためには、下限以上が好ましく、樹脂としての延性を維持するためには、上限以下が好ましい。
酸変性されたポリプロピレンのISO1133に準拠して230℃、荷重21.2Nで測定されたメルトマスフローレイト(MFR)は、セルロース界面との親和性を高めるため、50g/10分以上であることが好ましい。より好ましい下限は100g/10分であり、更により好ましくは150g/10分、最も好ましくは200g/10分である。上限は特にないが、機械的強度の維持から500g/10分である。MFRをこの範囲内とすることにより、セルロースと樹脂との界面に存在しやすくなるという利点を享受できる。
熱可塑性樹脂として好ましいポリアミド系樹脂の例示としては、ラクタム類の重縮合反応により得られるポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12や、1,6-ヘキサンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、2-メチル-1-6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、2-メチル-1,7-ヘプタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、m-キシリレンジアミン等のジアミン類と、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ベンゼン-1,2-ジカルボン酸、ベンゼン-1,3-ジカルボン酸、ベンゼン-1,4ジカルボン酸等、シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸等のジカルボン酸類との共重合体として得られるポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,11、ポリアミド6,12、ポリアミド6,T、ポリアミド6,I、ポリアミド9,T、ポリアミド10,T、ポリアミド2M5,T、ポリアミドMXD,6、ポリアミド6、C、ポリアミド2M5,C及び、これらがそれぞれ共重合された共重合体、一例としてポリアミド6,T/6,I等の共重合体が挙げられる。
これらポリアミド系樹脂の中でも、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,11、ポリアミド6,12といった脂肪族ポリアミドや、ポリアミド6,C、ポリアミド2M5,Cといった脂環式ポリアミドがより好ましい。
ポリアミド系樹脂の末端カルボキシル基濃度には特に制限はないが、下限値は、20μモル/gであると好ましく、より好ましくは30μモル/gである。また、その末端カルボキシル基濃度の上限値は、150μモル/gであると好ましく、より好ましくは100μモル/gであり、更に好ましくは80μモル/gである。
ポリアミド系樹脂において、全末端基に対するカルボキシル末端基比率([COOH]/[全末端基])は、0.30~0.95であることがより好ましい。カルボキシル末端基比率下限は、より好ましくは0.35であり、さらにより好ましくは0.40であり、最も好ましくは0.45である。またカルボキシル末端基比率上限は、より好ましくは0.90であり、さらにより好ましくは0.85であり、最も好ましくは0.80である。上記カルボキシル末端基比率は、セルロース繊維の組成物中への分散性の観点から0.30以上とすることが望ましく、得られる組成物の色調の観点から0.95以下とすることが望ましい。
ポリアミド系樹脂の末端基濃度の調整方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、ポリアミドの重合時に所定の末端基濃度となるように、ジアミン化合物、モノアミン化合物、ジカルボン酸化合物、モノカルボン酸化合物、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル、モノアルコール等の末端基と反応する末端調整剤を重合液に添加する方法が挙げられる。
末端アミノ基と反応する末端調整剤としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;及びこれらから任意に選ばれる複数の混合物が挙げられる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格等の点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及び安息香酸からなる群から選択される1種以上の末端調整剤が好ましく、酢酸が最も好ましい。
末端カルボキシル基と反応する末端調整剤としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン及びこれらの任意の混合物が挙げられる。これらの中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性、価格等の点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン及びアニリンからなる群から選択される1種以上の末端調整剤が好ましい。
これら、アミノ末端基及びカルボキシル末端基の濃度は、1H-NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値から求めるのが精度、簡便さの点で好ましい。それらの末端基の濃度を求める方法として、具体的に、特開平7-228775号公報に記載された方法が推奨される。この方法を用いる場合、測定溶媒としては、重トリフルオロ酢酸が有用である。また、1H-NMRの積算回数は、十分な分解能を有する機器で測定した際においても、少なくとも300スキャンは必要である。そのほか、特開2003-055549号公報に記載されているような滴定による測定方法によっても末端基の濃度を測定できる。ただし、混在する添加剤、潤滑剤等の影響をなるべく少なくするためには、1H-NMRによる定量がより好ましい。
ポリアミド系樹脂は、濃硫酸中30℃の条件下で測定した固有粘度[η]が、0.6~2.0dL/gであることが好ましく、0.7~1.4dL/gであることがより好ましく、0.7~1.2dL/gであることが更に好ましく、0.7~1.0dL/gであることが特に好ましい。好ましい範囲、その中でも特に好ましい範囲の固有粘度を有する上記ポリアミドを使用すると、樹脂組成物の射出成形時の金型内流動性を大幅に高め、成形片の外観を向上させるという効用を与えることができる。
本開示において、「固有粘度」とは、一般的に極限粘度と呼ばれている粘度と同義である。この粘度を求める具体的な方法は、96%濃硫酸中、30℃の温度条件下で、濃度の異なるいくつかの測定溶媒のηsp/cを測定し、そのそれぞれのηsp/cと濃度(c)との関係式を導き出し、濃度をゼロに外挿する方法である。このゼロに外挿した値が固有粘度である。
これらの詳細は、例えば、Polymer Process Engineering(Prentice-Hall,Inc 1994)の291ページ~294ページ等に記載されている。
このとき濃度の異なるいくつかの測定溶媒の点数は、少なくとも4点とすることが精度の観点より望ましい。このとき、推奨される異なる粘度測定溶液の濃度は、好ましくは、0.05g/dL、0.1g/dL、0.2g/dL、0.4g/dLの少なくとも4点である。
熱可塑性樹脂として好ましいポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、単にPETと称することもある)、ポリブチレンサクシネート(脂肪族多価カルボン酸と脂肪族ポリオールとからなるポリエステル樹脂(以下、単位PBSと称することもある)、ポリブチレンサクシネートアジペート(以下、単にPBSAと称することもある)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(以下、単にPBATと称することもある)、ポリヒドロキシアルカン酸(3-ヒドロキシアルカン酸からなるポリエステル樹脂。以下、単にPHAと称することもある)、ポリ乳酸(以下、単にPLAと称することもある)、ポリブチレンテレフタレート(以下、単にPBTと称することもある)、ポリエチレンナフタレート(以下、単にPENと称することもある)、ポリアリレート(以下、単にPARと称することもある)、ポリカーボネート(以下、単にPCと称することもある)等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でより好ましいポリエステル系樹脂は、PET、PBS、PBSA、PBT、PENが挙げられ、更に好ましくは、PBS、PBSA、PBTが挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂は、重合時のモノマー比率や末端安定化剤の添加の有無や量によって、末端基を自由に変えることが可能であるが、該ポリエステル系樹脂の全末端基に対するカルボキシル末端基比率([COOH]/[全末端基])が、0.30~0.95であることがより好ましい。カルボキシル末端基比率下限は、より好ましくは0.35であり、さらにより好ましくは、0.40であり、最も好ましくは0.45である。また、カルボキシル末端基比率上限は、より好ましくは0.90であり、さらにより好ましくは、0.85であり、最も好ましくは0.80である。上記カルボキシル末端基比率は、セルロース繊維の組成物中への分散性の観点から0.30以上とすることが望ましく、得られる組成物の色調の観点から0.95以下とすることが望ましい。
熱可塑性樹脂として好ましいポリアセタール系樹脂には、ホルムアルデヒドを原料とするホモポリアセタールと、トリオキサンを主モノマーとし、1,3-ジオキソランをコモノマー成分として含むコポリアセタールが一般的であり、両者とも使用可能であるが、加工時の熱安定性の観点から、コポリアセタールが好ましく使用できる。特に、コモノマー成分(例えば1,3-ジオキソラン)由来構造の量としては0.01~4モル%の範囲内がより好ましい。コモノマー成分由来構造の量の好ましい下限量は、0.05モル%であり、より好ましくは0.1モル%であり、さらにより好ましくは0.2モル%である。また好ましい上限量は、3.5モル%であり、さらに好ましくは3.0モル%であり、さらにより好ましくは2.5モル%、最も好ましくは2.3モル%である。
押出加工や成形加工時の熱安定性の観点から、下限は上述の範囲内とすることが望ましく、機械的強度の観点より、上限は上述の範囲内とすることが望ましい。
熱可塑性樹脂としては、ハロゲン含有化合物が樹脂中に溶解又は分散できる点で、親水性基(例えば、水酸基、アミノ基及びカルボキシ基から選ばれる1種以上)を有する樹脂が特に好ましい。親水性基を有する熱可塑性樹脂の好適例は、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群から選択される1種以上である。中でもポリアミド系樹脂及びマレイン化ポリプロピレンが好ましい。
[熱硬化性樹脂]
熱硬化性樹脂の具体例としては、特に制限されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル-1,3-ジグリシジルエーテル、ビフェニル-4,4’-ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールまたはプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、尿素(ユリア)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環含有樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、ノルボルネン系樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。
これらの熱硬化性樹脂は、単独で使用してもよく、2種類以上をブレンドして用いてもよい。ブレンドする場合のブレンド比は各種用途に応じて適宜選択されればよい。
[光硬化性樹脂]
光硬化性樹脂の具体例としては、特に制限されるものではないが、公知一般の(メタ)アクリレート樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、反応機構により、概ね光により発生したラジカルによりモノマーが反応するラジカル反応型と、モノマーがカチオン重合するカチオン反応型とに分類される。ラジカル反応型のモノマーには、(メタ)アクリレート化合物、ビニル化合物(例えばある種のビニルエーテル)等が該当する。カチオン反応型としては、エポキシ化合物、ある種のビニルエーテル等が該当する。なお、例えば、カチオン反応型として用いることができるエポキシ化合物は、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂の両者のモノマーとなり得る。
(メタ)アクリレート化合物とは、(メタ)アクリレート基を分子内に一つ以上有する化合物を指す。(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。
ビニル化合物としては、ビニルエーテル、スチレン及びスチレン誘導体、ビニル化合物等が挙げられる。ビニルエーテルとしては、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。スチレン誘導体としては、メチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。ビニル化合物としては、トリアリルイソイシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
さらに、光硬化性樹脂の原料として、いわゆる反応性オリゴマーを用いてもよい。反応性オリゴマーとしては、(メタ)アクリレート基、エポキシ基、ウレタン結合、及びエステル結合から選ばれる任意の組合せを同一分子内に併せ持つオリゴマー、例えば、(メタ)アクリレート基とウレタン結合とを同一分子内に併せ持つウレタンアクリレート、(メタ)アクリレート基とエステル結合とを同一分子内に併せ持つポリエステルアクリレート、エポキシ樹脂から誘導され、エポキシ基と(メタ)アクリレート基とを同一分子内に併せ持つエポキシアクリレート、等が挙げられる。
光硬化性樹脂は、単独で使用してもよく、2種類以上をブレンドして用いてもよい。ブレンドする場合のブレンド比は各種用途に応じて適宜選択されればよい。
[エラストマー(ゴム)]
エラストマー(すなわちゴム)の具体例としては、特に制限されるものではないが、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、改質天然ゴム(エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム、脱タンパク天然ゴム等)、エチレン-プロピレン共重合体ゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらのゴムは、単独で使用してもよく、2種類以上をブレンドして用いてもよい。ブレンドする場合のブレンド比は各種用途に応じて適宜選択されればよい。
[ベース樹脂及び追加樹脂]
本実施形態の樹脂組成物において、樹脂は、実用特性、特に金型離形性を向上させるために、樹脂総量の50質量%超を占めるベース樹脂と、当該ベース樹脂とは異なる追加樹脂とで構成されてよい。従来、セルロース繊維含有樹脂組成物を金型成形する際には、金型からの離形不良、スプルーの固定側金型への残留等の成形トラブルが頻発し、これら成形トラブルの都度成形機を停止してメンテナンスをしなければならないという課題があった。ベース樹脂と、これと異なる追加樹脂とを組合せる場合、樹脂組成物の成形性を所望に応じて調整できるため、良好な物性に加えて良好な金型離形性をも有する樹脂組成物を得ることができる。ベース樹脂と追加樹脂との組合せは、樹脂組成物の金型離形性を向上できる組合せであれば特に制限されるものではないが、例えば、ベース樹脂としてポリアミドを選択した場合の追加樹脂としては:ベース樹脂と種類、末端比率及び/又は分子量が異なるポリアミド;ポリプロピレン(酸変性ポリプロピレンであってもよい、以下同じ。)等のポリオレフィン;ポリアセタール等が挙げられる。追加樹脂としてのポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6,I、ポリアミド610、ポリアミド66/I等が挙げられる。追加樹脂は、1種類の樹脂であってよく、又は2種類以上のブレンド物であってもよい。ブレンド物のブレンド比は各種用途に応じて適宜選択されればよい。
本実施形態の樹脂組成物におけるベース樹脂と追加樹脂との組み合わせは、一態様としてベース樹脂と追加樹脂とのSP値比などによって選択することができる。本実施形態の樹脂組成物においては、セルロース繊維とハロゲン化物イオンとベース樹脂との相互作用、すなわち、セルロース繊維によるベース樹脂の結晶化加速効果と、ハロゲン化物イオンによるベース樹脂の結晶化遅延及び/又は結晶型の転移が共に発生しており、非常に複雑な結晶化挙動をとっていると推察される。ベース樹脂に対するSP値比が大きすぎず、小さすぎない範囲に適切に選択された追加樹脂は、ベース樹脂の結晶化挙動を適切に制御し、材料系を安定化させることにより実用特性、特に金型離形性の向上に寄与しているものと推察される。追加樹脂/ベース樹脂のSP値比は、好ましくは、0.4以上、又は0.5以上、又は0.6以上であり、好ましくは、2.5以下、又は2.0以下、又は1.8以下である。各樹脂のSP値は、文献値(具体的には、井出文雄著「実用ポリマーアロイ設計)に記載される値)であってよい。
好ましい一態様においては、ベース樹脂がポリアミド6であり、追加樹脂が、ポリアミド6(ベース樹脂と異なるもの)、ポリアミド66、ポリアミド6,I、ポリアミド610、ポリアミド66/I、ポリプロピレン、及びポリアセタールからなる群から選択される1種以上である。また、好ましい一態様においては、ベース樹脂がポリアミド66であり、追加樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド66(ベース樹脂と異なるもの)、ポリアミド6,I、ポリアミド610、ポリアミド66/I、ポリプロピレン、及びポリアセタールからなる群から選択される1種以上である。
樹脂100質量部(すなわちベース樹脂と追加樹脂との合計100質量部)に対する追加樹脂の量は、一態様において、0.01質量部以上、又は0.05質量部以上、又は0.1質量部以上であってよく、一態様において、25質量部以下、又は20質量部以下、又は10質量部以下であってよい。
樹脂組成物の総質量に対する追加樹脂の含有量は特に制限されるものではないが、一態様において、0.1質量%以上、又は1質量%以上、又は5質量%以上、又は10質量%以上、又は20質量%以上であり、一態様において、40質量%以下、又は30質量%以下である。
樹脂組成物の総質量に対する樹脂の質量比率は、熱安定性(線熱膨張率の低減、及び高温時の弾性保持)を発揮する観点から、好ましくは、50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上であり、樹脂組成物に対して高弾性率化、熱膨張率の低減等の機能を付与する観点から、好ましくは、99.5質量%以下、又は90質量%以下である。
<追加の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、その性能を向上させるために、必要に応じて追加の成分をさらに含んでも良い。追加の成分としては特に限定されないが、例えば、分散剤;セルロース繊維以外の高耐熱性の有機ポリマーからなる微細繊維フィラー成分(例えば、アラミド繊維のフィブリル化繊維又は微細繊維);相溶化剤;可塑剤;でんぷん類、アルギン酸等の多糖類;ゼラチン、ニカワ、カゼイン等の天然たんぱく質;ゼオライト、セラミックス、タルク、シリカ、金属酸化物、金属粉末等の無機化合物;着色剤;香料;顔料;流動調整剤;レベリング剤;導電剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;紫外線分散剤;消臭剤等が挙げられる。任意の追加の成分の樹脂組成物中の含有割合は、本発明の所望の効果が損なわれない範囲で適宜選択されるが、例えば0.01~50質量%、又は0.1~30質量%であってよい。
(分散剤)
好ましい態様において、樹脂組成物は分散剤を更に含んでよい。分散剤は、セルロース繊維を樹脂組成物中で安定に分散させる機能を有する。分散剤は、樹脂組成物中でのセルロース繊維の分散状態を向上、制御することによって、樹脂組成物の力学物性を向上させることができる。一態様において、分散剤は、界面活性剤、沸点160℃以上の有機化合物、及びセルロース繊維を高度に分散可能な化学構造を有する樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である。一態様において、分散剤は、界面活性剤、及び沸点160℃以上の有機化合物からなる群から選択される1種以上である。
樹脂組成物の総質量に対する分散剤の質量比率は、下限が、樹脂組成物の機械特性及び熱安定性の向上効果を良好に得る観点から、好ましくは、0.01質量%以上、又は0.05質量%以上、又は0.1質量%以上、又は0.5質量%以上、又は1質量%以上であり、上限が、樹脂組成物中の樹脂の所望の特性を良好に維持する観点から、好ましくは、20質量%以下、又は10質量%以下、又は5質量%以下、又は3質量%以下である。
界面活性剤は、親水性の置換基を有する部位と疎水性の置換基を有する部位とが共有結合した化学構造を有していればよく、食用、工業用等様々な用途で利用されているものを用いることができる。例えば、以下のものを1種又は2種以上併用できる。
界面活性剤は、陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、及び陽イオン系界面活性剤のいずれも使用することができるが、セルロースとの親和性の点で、陰イオン系界面活性剤、及び非イオン系界面活性剤が好ましく、非イオン系界面活性剤がより好ましい。
上述の中でも、セルロースとの親和性の点で、親水基としてポリオキシエチレン鎖、カルボン酸基、又は水酸基を有する界面活性剤が好ましく、親水基としてポリオキシエチレン鎖を有するポリオキシエチレン系界面活性剤(ポリオキシエチレン誘導体)がより好ましく、非イオン系のポリオキシエチレン誘導体がさらに好ましい。ポリオキシエチレン誘導体のポリオキシエチレン鎖長としては、3以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、15以上が特に好ましい。鎖長は長ければ長いほど、セルロースとの親和性が高まるが、コーティング性とのバランスにおいて、上限としては60以下が好ましく、50以下がより好ましく、40以下がさらに好ましく、30以下が特に好ましく、20以下が最も好ましい。
上述の界面活性剤でも、特に、疎水基としては、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型、ロジンエステル型、ビスフェノールA型、βナフチル型、スチレン化フェニル型、及び硬化ひまし油型が、樹脂との親和性が高いため、好適に使用できる。好ましいアルキル鎖長(アルキルフェニルの場合はフェニル基を除いた炭素数)としては、炭素鎖が5以上であることが好ましく、10以上がより好ましく、12以上がさらに好ましく、16以上が特に好ましい。樹脂がポリオレフィンの場合、炭素数が多いほど、樹脂との親和性が高まるため上限はないが、上限は30以下が好ましく、25以下がより好ましい。
これらの疎水基の中でも、環状構造を有するもの、又は嵩高く多官能構造を有するものが好ましい。環状構造を有するものとしては、アルキルフェニルエーテル型、ロジンエステル型、ビスフェノールA型、βナフチル型、及びスチレン化フェニル型が好ましく、多官能構造を有するものとしては、硬化ひまし油型が好ましい。
これらの中でも、特にロジンエステル型、及び硬化ひまし油型がより好ましい。
また、樹脂の種類に依存するが、非界面活性剤系の分散媒体として、沸点160℃以上の有機化合物が有効であることがある。このような有機化合物の具体例として、例えば樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、流動パラフィン、デカリン等の高沸点有機溶媒が有効である。また、樹脂がナイロン系樹脂及びポリアセタール系樹脂のような極性樹脂の場合には、セルロース繊維を製造する際に使用できる非プロトン性溶媒と同様の溶媒、例えば、DMSOを使用することが有効な場合がある。一態様において、沸点160℃以上の有機化合物は、炭素数10以上の鎖状又は環状の炭化水素、及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択される1種以上である。
本実施形態の樹脂組成物は、ハロゲン含有化合物を含むことによって引張降伏強度が改善されていることができる。一態様において、樹脂組成物の引張降伏強度の、ハロゲン含有化合物を用いない(具体的には、樹脂組成物の調製時にハロゲン塩を添加しない)他は当該樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張降伏強度に対する比率は、1.05以上、又は1.1以上、又は1.2以上であってよい。上記比率は、樹脂組成物の製造容易性の観点から、5.0以下、又は3.0以下、又は2.0以下であってよい。
本実施形態の樹脂組成物は、ハロゲン含有化合物を含むことによって引張弾性率が改善されていることができる。一態様において、樹脂組成物の引張弾性率の、ハロゲン含有化合物を用いない(具体的には、樹脂組成物の調製時にハロゲン塩を添加しない)他は当該樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張弾性率に対する比率は、1.02以上、又は1.03以上、又は1.04以上であってよい。上記比率は、樹脂組成物の製造容易性の観点から、2.0以下、又は1.8以下、又は1.5以下であってよい。
≪樹脂組成物の製造方法≫
本発明の一態様は、本開示の樹脂組成物の製造方法を提供する。
一態様において、樹脂組成物の製造方法は、セルロース繊維とハロゲン塩とを混合してマスターバッチを調製する工程(第一工程)、及び該マスターバッチと樹脂とを混合する工程(第二工程)を含む。この態様においては、セルロース繊維及びハロゲン塩のそれぞれについて、全部を第一工程で添加してもよいし、一部を第一工程、残部を第二工程で添加してもよく、樹脂について、全部を第二工程で添加してもよいし、一部を第一工程、残部を第二工程で添加してもよい。
別の一態様において、樹脂組成物の製造方法は、樹脂とハロゲン塩とを混合してマスターバッチを調製する工程(第一工程)、及び該マスターバッチとセルロース繊維とを混合する工程(第二工程)を含む。この態様においては、樹脂及びハロゲン塩のそれぞれについて、全部を第一工程で添加してもよいし、一部を第一工程、残部を第二工程で添加してもよく、セルロース繊維について、全部を第二工程で添加してもよいし、一部を第一工程、残部を第二工程で添加してもよい。
別の一態様において、樹脂組成物の製造方法は、セルロース繊維と、ハロゲン塩と、樹脂とを同時に混合することを含む。この態様においては、セルロース繊維、ハロゲン塩及び樹脂のそれぞれについて、全部を上記同時での混合に供してもよいし、一部を上記同時での混合に供し、残部を任意のタイミングで別途添加してもよい。
セルロース繊維を樹脂組成物製造において添加する際の形態は、特に限定されず、乾燥粉体だけでなく水を含む分散体(スラリー)状であっても良い。水を含むスラリーは、上述したセルロース繊維の製造方法の乾燥過程の途中で乾燥を中止する方法、一度乾燥させた後、水を添加する方法等によって調製できる。
一態様において、樹脂組成物の製造方法は、セルロース繊維を、乾燥粉末又は水分散体の形態で、熱可塑性樹脂と溶融混練成型機の内部で混練し、次いで成形する工程を含む。
別の一態様において、樹脂組成物の製造方法は、セルロース繊維を熱硬化性樹脂と混合し、次いで成形し、次いで熱硬化処理を行う工程、又はセルロース繊維を光硬化性樹脂と混合し、次いで成形し、次いで光硬化処理を行う工程、を含む。
別の一態様において、樹脂組成物の製造方法は、セルロース繊維をゴムと混合し、次いで成形し、次いで加硫を行う工程を含む。
樹脂が熱可塑性樹脂である場合の樹脂組成物の製法としては、特に制限はないが、例えば、
1.単軸又は二軸押出機を用いて、セルロース繊維(乾燥粉末又は水分散体)と熱可塑性樹脂との混合物を溶融混練した後、
(1)ストランド状に押出し、水浴中で冷却固化させ、樹脂組成物のペレット状成形体を得る方法、
(2)棒状又は筒状に押出し冷却して、樹脂組成物の押出成形体を得る方法、若しくは
(3)Tダイより押出し、樹脂組成物のシート状又はフィルム状成形体を得る方法、
2.セルロース繊維(乾燥粉末又は水分散体)と熱可塑性樹脂モノマーとを混合し、重合反応(具体的には固相重合、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等)を行い、得られた生成物を、上記(1)~(3)のいずれかの方法で押出して、樹脂組成物の成形体を得る方法、
3.熱可塑性樹脂モノマー及びセルロース繊維の水分散液を混合し、重合反応を行い、得られた生成物を、上記(1)~(3)のいずれかの方法で押出して、樹脂組成物の成形体を得る方法、
等が挙げられる。
別の一態様において、より具体的な樹脂組成物の製造方法としては、
1.樹脂、セルロース繊維(乾燥粉末又は水分散体)、必要により分散剤を所望の比率で混合した後、一括溶融混練する方法、
2.樹脂及び必要により分散剤を溶融混練した後、セルロース繊維(乾燥粉末又は水分散体)を添加して、更に溶融混練する方法、
等が挙げられる。
溶融混練には、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用できるが、二軸押出機がセルロースの分散性を制御する上で好ましい。押出機のシリンダー長(L)をスクリュー径(D)で除したL/Dは、40以上が好ましく、特に好ましくは50以上である。また、混練時のスクリュー回転数は、100~800rpmの範囲が好ましく、より好ましくは150~600rpmの範囲内である。これらはスクリューのデザインにより、変化する。
押出機のシリンダー内の各スクリューは、楕円形の二翼のねじ形状のフルフライトスクリュー、ニーディングディスクと呼ばれる混練エレメント、等を組み合わせて最適化される。
樹脂が熱可塑性樹脂である場合、セルロース繊維と樹脂との混合物を溶融混練する際の加熱温度は、使用する樹脂に合わせて調整することができる。熱可塑性樹脂供給業者が推奨する最低加工温度は、ナイロン66では255~270℃、ナイロン6では225~240℃、ポリアセタール樹脂では170℃~190℃、ポリプロピレンでは160~180℃である。加熱設定温度は、これらの推奨最低加工温度より20℃高い温度の範囲が好ましい。混合温度をこの温度範囲とすることにより、混合成分を均一に混合することができる。
樹脂組成物の水分率は特に制限はないが、例えばポリアミドの場合、溶融時のポリアミドの分子量上昇を抑えるために、10ppm以上であることが好ましく、溶融時のポリアミドの加水分解を抑えるために1200ppm以下であることが好ましく、900ppm以下であることが更に好ましく、700ppm以下であることが最も好ましい。水分率は、ISO 15512に準拠した方法でカールフィッシャー水分計を用いて測定される値である。
本実施形態の樹脂組成物は、種々の形状での提供が可能である。具体的には、樹脂ペレット状、シート状、繊維状、板状、棒状等が挙げられる。中でも、樹脂ペレット形状が、後加工の容易性や運搬の容易性からより好ましい。この際の好ましいペレット形状としては、丸型、楕円型、円柱型等が挙げられ、これらは押出加工時のカット方式により異なる。アンダーウォーターカットと呼ばれるカット方法で切断されたペレットは、丸型になることが多く、ホットカットと呼ばれるカット方法で切断されたペレットは丸型又は楕円型になることが多く、ストランドカットと呼ばれるカット方法で切断されたペレットは円柱状になることが多い。丸型ペレットの場合、その好ましい大きさは、ペレット直径として1mm以上、3mm以下である。また、円柱状ペレットの場合の好ましい直径は、1mm以上3mm以下であり、好ましい長さは、2mm以上10mm以下である。上記の直径及び長さは、押出時の運転安定性の観点から、下限以上とすることが望ましく、後加工での成形機への噛み込み性の観点から、上限以下とすることが望ましい。
熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物は、種々の形状(例えば、フィルム状、シート状、繊維状、板状、ペレット状、粉末状、立体構造等)の樹脂成形体に成形できる。樹脂成形体の製造方法に特に制限はないが、射出成形(例えば射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、及び超高速射出成形)、各種押出成形(コールドランナー方式又はホットランナー方式)、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、各種異形押出成形(例えば二色成形及びサンドイッチ成形)等を例示できる。例えば、シート、フィルム、繊維等の成形には種々の押出成形が好適である。シート又はフィルムの成形にはインフレーション法、カレンダー法、キャスティング法等も用いることができる。さらに、特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また、回転成形又はブロー成形等により中空成形品とすることも可能である。これらの中では射出成形法がデザイン性とコストの観点より、特に好ましい。
熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を含む樹脂組成物の製法としては、特に制限はないが、例えば、樹脂溶液又は樹脂粉末分散体中にセルロース繊維を十分に分散させて乾燥する方法、樹脂モノマー液中にセルロース繊維を十分に分散させて熱、UV照射、重合開始剤等によって重合する方法、セルロース繊維からなる成形体(例えば、シート、粉末粒子成形体等)に樹脂溶液又は樹脂粉末分散体を十分に含浸させて乾燥する方法、セルロース繊維からなる成形体に樹脂モノマー液を十分に含浸させて熱、UV照射、重合開始剤等によって重合する方法等が挙げられる。硬化に際し、種々の重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、重合禁止剤等を配合することができる。
熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂を含む樹脂組成物は、種々の樹脂成形体として利用が可能である。樹脂成形体の製造方法に特に制限はない。
熱硬化性樹脂の場合、板状の製品を製造するのであれば、押出成形法が一般的であるが、平面プレスによっても可能である。この他、異形押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等を用いることが可能である。またフィルム状の製品を製造するのであれば、溶融押出法の他、溶液キャスト法を用いることができ、溶融成形方法を用いる場合、インフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形等が挙げられる。
また、未硬化又は半硬化のプリプレグと呼ばれるシートを作製した後、プリプレグを単層又は積層にして、加圧及び加熱して樹脂を硬化及び成形させる方法を用いてもよい。熱及び圧力を付与する方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法等が挙げられるが、これらの成形方法に限定されない。
さらに、炭素繊維等の強化繊維のフィラメント又はプリフォームに樹脂硬化前の樹脂組成物を含浸させた後、当該樹脂を硬化させて成形物を得る方法(例えば、RTM、VaRTM、フィラメントワインディング、RFI等の成形方法)が挙げられるが、これら成形方法に限定されない。
樹脂が光硬化性樹脂である場合、活性エネルギー線を用いた各種硬化方法を用いて成形体を製造する事ができる。
樹脂がゴムである場合の樹脂組成物の製法としては、特に制限はないが、例えば、セルロース繊維とゴムとを乾式で混練する方法、セルロース繊維とゴムとを分散媒中に分散又は溶解させた後、乾燥させて混練する方法等が挙げられる。混合方法としては、高い剪断力と圧力とをかけ、分散を促進できる点で、ホモジナイザーによる混合方法が好ましいが、その他、プロペラ式攪拌装置、ロータリー攪拌装置、電磁攪拌装置、手動による攪拌、等の方法を用いることもできる。得られた樹脂組成物は所望の形状(例えば、シート、ペレット、粉末等)の成形材料に成形できる。
ゴムを含む樹脂組成物は、種々の樹脂成形体として利用が可能である。樹脂成形体の製造方法に特に制限はなく、成形材料を、例えば金型成形、射出成形、押出成形、中空成形、発泡成形等の所望の成形方法を用いて成形し、所望の形状の未加硫の成形体を得ることができる。未加硫の成形体は、必要に応じて熱処理等で加硫することができる。
≪樹脂組成物の物性を向上させる方法≫
本発明の一態様はまた、セルロース繊維と樹脂とを含む樹脂組成物の製造において、樹脂組成物材料にハロゲン塩を添加することを含む、樹脂組成物の物性を向上させる方法を提供する。当該物性が向上された樹脂組成物は本開示の樹脂組成物であってよく、ハロゲン塩の添加態様の好適例は≪樹脂組成物の製造方法≫の項で前述したのと同様であってよい。一態様において、当該樹脂組成物の引張降伏強度は、ハロゲン塩を用いない他は樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張降伏強度の1.05倍以上、又は1.1倍以上、又は1.2倍以上であることができ、及び/又は、当該樹脂組成物の引張弾性率は、ハロゲン塩を用いない他は樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張弾性率の1.02倍以上、又は1.03倍以上、又は1.04倍以上であることができる。樹脂組成物の製造容易性の観点から、樹脂組成物の引張降伏強度は、ハロゲン塩を用いない他は樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張降伏強度の、5.0倍以下、又は3.0倍以下、又は2.0倍以下であってもよく、樹脂組成物の引張弾性率は、ハロゲン塩を用いない他は樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張弾性率の、2.0倍以下、又は1.8倍以下、又は1.5倍以下であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、ハロゲン含有化合物を含むことで引張強度が向上されている。一態様において、樹脂組成物は、以下の関係:
5MPa≦(SA-SB)/A≦100MPa
(式中、Aは樹脂組成物中のハロゲン含有化合物の含有率(単位:質量%)であり、SAは前記樹脂組成物の引張降伏強度(単位:MPa)であり、SBはハロゲン含有化合物を含まない他は前記樹脂組成物と同組成である比較樹脂組成物の引張降伏強度(単位:MPa)である。)
を満たす。(SA-SB)/Aは、ハロゲン含有化合物による引張強度向上効果に優れる点で、好ましくは、5MPa以上、又は10MPa以上、又は15MPa以上であり、樹脂組成物の製造容易性の観点から、好ましくは、100MPa以下、又は85MPa以下、又は70MPa以下である。
≪樹脂成形体≫
本発明の一態様は、樹脂組成物を用いて形成されてなる樹脂成形体も提供する。樹脂成形体の形状は、三次元の立体形状でも、シート状、フィルム状又は繊維状でも構わない。例えば、樹脂成形体の一部(例えば数箇所)を加熱処理する事により溶融させ、例えば樹脂又は金属の基板に接着して用いても構わない。樹脂成形体は、樹脂又は金属の基板に塗布された塗膜であってもよく、基板との積層体を形成してもよい。また、シート状、フィルム状又は繊維状の樹脂成形体につき、アニール処理、エッチング処理、コロナ処理、プラズマ処理、シボ転写、切削、表面研磨等の二次加工を行っても構わない。
本実施形態の樹脂組成物は、高耐熱かつ軽量であることから、鋼板の代替、又は炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック等の繊維強化プラスチック、無機フィラーを含む樹脂コンポジット等の代替ができる。例えば、産業用機械部品(例えば、電磁機器筐体、ロール材、搬送用アーム、医療機器部材等)、一般機械部品、自動車・鉄道・車両等部品(例えば外板、シャーシ、空力部材、座席、トランスミッション内部の摩擦材等)、船舶部材(例えば船体、座席等)、航空関連部品(例えば、胴体、主翼、尾翼、動翼、フェアリング、カウル、ドア、座席、内装材等)、宇宙機、人工衛星部材(モーターケース、主翼、構体、アンテナ等)、電子・電気部品(例えばパーソナルコンピュータ筐体、携帯電話筐体、OA機器、AV機器、電話機、ファクシミリ、家電製品、玩具用品等)、建築・土木材料(例えば、鉄筋代替材料、トラス構造体、つり橋用ケーブル等)、生活用品、スポーツ・レジャー用品(例えば、ゴルフクラブシャフト、釣り竿、テニス又はバトミントンのラケット等)、風力発電用筐体部材等、また容器・包装部材となり得る。
以下、本発明の例示の態様について実施例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
≪評価項目≫
各実施例及び比較例で得た樹脂組成物について、下記評価を行った。なお、ポリアミド系材料は、吸湿による変化が起きるため、成形直後にアルミ防湿袋に保管し、吸湿を抑制した。
<セルロース繊維>
[多孔質シートの作製]
まず、ウェットケーキをtert-ブタノール中に添加し、さらにミキサー等で凝集物が無い状態まで分散処理を行った。セルロース繊維固形分重量0.5gに対し、濃度が0.5質量%となるように調整した。得られたtert-ブタノール分散液100gをろ紙上で濾過し、150℃にて乾燥させた後、ろ紙を剥離してシートを得た。このシートの透気抵抗度がシート目付10g/m2あたり100sec/100ml以下のものを多孔質シートとし、測定サンプルとして使用した。
23℃、50%RHの環境で1日静置したサンプルの目付W(g/m2)を測定した後、王研式透気抵抗試験機(旭精工(株)製、型式EG01)を用いて透気抵抗度R(sec/100ml)を測定した。この時、下記式に従い、10g/m2目付あたりの値を算出した。
目付10g/m2あたり透気抵抗度(sec/100ml)=R/W×10
[平均繊維径]
ウェットケーキをtert-ブタノールで0.01質量%まで希釈し、高剪断ホモジナイザー(IKA製、商品名「ウルトラタラックスT18」)を用い、処理条件:回転数25,000rpm×5分間で分散させ、マイカ上にキャストし、風乾したものを、高分解能走査型電子顕微鏡で測定した。測定は、少なくとも100本のセルロース繊維が観測されるように倍率を調整して行い、無作為に選んだ100本のセルロース繊維の長径(L)を測定し、100本のセルロース繊維の加算平均を算出した。
[比表面積]
比表面積・細孔分布測定装置(Nova-4200e,カンタクローム・インスツルメンツ社製)にて、多孔質シート試料約0.2gを真空下で120℃、2時間乾燥させた後、液体窒素の沸点における窒素ガスの吸着量を相対蒸気圧(P/P0)が0.05以上0.2以下の範囲にて5点測定した後(多点法)、同装置プログラムによりBET比表面積(m2/g)を算出した。
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)]
多孔質シートを0.88g秤量し、ハサミで小片に切り刻んだ後、軽く攪拌したうえで、純水20mLを加え1日放置した。次に遠心分離によって水と固形分を分離した。続いてアセトン20mLを加え、軽く攪拌したうえで1日放置した。次に遠心分離によってアセトンと固形分を分離した。続いてN、N-ジメチルアセトアミド20mLを加え、軽く攪拌したうえで1日放置した。再度、遠心分離によってN、N-ジメチルアセトアミドと固形分を分離したのち、N,N-ジメチルアセトアミド20mLを加え、軽く攪拌したうえで1日放置した。遠心分離によってN,N-ジメチルアセトアミドと固形分を分離し、固形分に塩化リチウムが8質量パーセントになるように調液したN,N-ジメチルアセトアミド溶液を19.2g加え、スターラーで攪拌し、目視で溶解するのを確認した。セルロースを溶解させた溶液を0.45μmフィルターでろ過し、ろ液をゲルパーミエーションクロマトグラフィ用の試料として供した。用いた装置と測定条件は下記である。
装置 :東ソー社 HLC-8120
カラム:TSKgel SuperAWM-H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
検出器:RI検出器
溶離液:N、N-ジメチルアセトアミド(塩化リチウム0.2%)
流速:0.6mL/分
検量線:プルラン換算
[結晶化度]
多孔質シートのX線回折測定を行い、下記式より結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=[I(200)-I(amorphous)]/I(200)×100
(200):セルロースI型結晶における200面(2θ=22.5°)による回折ピーク強度
(amorphous):セルロースI型結晶におけるアモルファスによるハローピーク強度であって、200面の回折角度より4.5°低角度側(2θ=18.0°)のピーク強度
(X線回折測定条件)
装置 MiniFlex(株式会社リガク製)
操作軸 2θ/θ
線源 CuKα
測定方法 連続式
電圧 40kV
電流 15mA
開始角度 2θ=5°
終了角度 2θ=30°
サンプリング幅 0.020°
スキャン速度 2.0°/min
サンプル:試料ホルダー上に多孔質シートを貼り付け
[DS]
多孔質シートの5か所のATR-IR法による赤外分光スペクトルを、フーリエ変換赤外分光光度計(JASCO社製 FT/IR-6200)で測定した。赤外分光スペクトル測定は以下の条件で行った。
積算回数:64回、
波数分解能:4cm-1
測定波数範囲:4000~600cm-1
ATR結晶:ダイヤモンド、
入射角度:45°
得られたIRスペクトルよりIRインデックスを、下記式(1):
IRインデックス= H1730/H1030・・・(1)
に従って算出した。式中、H1730及びH1030は1730cm-1、1030cm-1(セルロース骨格鎖C-O伸縮振動の吸収バンド)における吸光度である。ただし、それぞれ1900cm-1と1500cm-1を結ぶ線と800cm-1と1500cm-1を結ぶ線をベースラインとして、このベースラインを吸光度0とした時の吸光度を意味する。
そして、各測定場所の平均置換度をIRインデックスより下記式(2)に従って算出し、その平均値をDSとした。
DS=4.13×IRインデックス・・・(2)
[アルカリ可溶多糖類平均含有率]
アルカリ可溶多糖類含有率はセルロース繊維について非特許文献(木質科学実験マニュアル、日本木材学会編、92~97頁、2000年)に記載の手法より、ホロセルロース含有率(Wise法)からαセルロース含有率を差し引くことで求めた。1つのサンプルにつき3回アルカリ可溶多糖類含有率を算出し、算出したアルカリ可溶多糖類含有率の数平均をセルロース繊維のアルカリ可溶多糖類平均含有率とした。
<樹脂組成物>
[引張強度(引張降伏強度)]
最大型締圧力75トンの射出成形機を用いて、ISO294-3に準拠した多目的試験片を成形し、JIS K6920-2に準拠した条件でn=10で実施した。なお、ポリアミド樹脂は、吸湿による変化が起きるため、成形直後にアルミ防湿袋に保管し、吸湿を抑制した。また、各実施例の引張強度について、ハロゲン含有化合物を含まない他は同組成の樹脂組成物に係る対応の比較例の引張強度に対する比を、引張強度向上率として求めた。
[引張弾性率]
JIS K6920-2に準拠した条件で測定した。また、各実施例の引張弾性率について、ハロゲン含有化合物を含まない他は同組成の樹脂組成物に係る対応の比較例の引張弾性率に対する比を、引張弾性率向上率として求めた。
[金型離形性]
最大型締圧力75トンの射出成形機を用いて、冷却時間10秒、金型温度120℃、シリンダー温度250℃の条件で多目的試験片を成形し、金型離形性を以下の5段階で評価した。ここで、金型離形不良は、固定側金型へのスプルー取られ若しくは可動側金型からの成形片落下不良と定義した。
A・・・100ショット中、金型離形不良が0回であった
B・・・100ショット中、1~3回金型離形不良が生じた
C・・・100ショット中、4~30回金型離形不良が生じた
D・・・100ショット中、31~50回金型離形不良が生じた
E・・・100ショット中、51~100回金型離形不良が生じた
≪用いた材料≫
各実施例及び比較例に係る樹脂組成物の製造に用いた材料は以下のとおりである。
<ハロゲン含有化合物>
ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム(いずれも東京化成工業製)、エチレンビスペンタブロモフェニル(商品名:サイニックス8010:アルベマール日本製)を用いた。
<セルロース繊維>
CNF-A
コットンリンターパルプを1質量部、一軸撹拌機(アイメックス社製 DKV-1 φ125mmディゾルバー)を用いジメチルスルホキサイド(DMSO)30質量部中で500rpmにて1時間、常温で攪拌した。続いて、ホースポンプでビーズミル(アイメックス社製 NVM-1.5)にフィードし、DMSOのみで180分間循環運転させ、微細セルロース繊維スラリーとして、固形分率3.2質量%のスラリーS1(DMSO溶媒)を31質量部得た。
循環運転の際、ビーズミルの回転数は2500rpm、周速12m/sとし、用いたビーズはジルコニア製で、φ2.0mm、充填率70%とした(ビーズミルのスリット隙間は0.6mmとした)。また、循環運転の際は、摩擦による発熱を吸収するためにチラーによりスラリー温度を40℃に温度管理した。
スラリーS1を防爆型ディスパーザータンクに投入した後、酢酸ビニル3.2質量部、炭酸水素ナトリウム0.49質量部を加え、タンク内温度を50℃とし、120分間撹拌を行い、固形分率2.9質量%のスラリー(DMSO溶媒)を35質量部を得た。
反応を停止するため、純水30質量部を加えて十分に撹拌した後、脱水機に入れて濃縮した。得られたウェットケーキを再度30質量部の純水に分散、撹拌、濃縮する洗浄操作を合計5回繰り返すことで、未反応試薬及び溶媒等を除去し、固形分率10質量%のアセチル化された微細セルロース繊維ケーキ(CNF-Aケーキ)(水溶媒)を10質量部得た。このケーキから多孔質シートを作製してアシル置換度(DS)を求めたところ、DS=1.0であった。
CNF-B
コットンリンターパルプ3質量部を水27質量部に浸漬させてオートクレーブ内で130℃、4時間の熱処理を行った。得られた膨潤パルプは水洗し、水を含む精製パルプ(30質量部)を得た。つづいて、水を含む精製パルプ30質量部に水を170質量部入れて水中に分散させて(固形分率1.5質量%)、ディスクリファイナー装置として相川鉄工(株)製SDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用い、ディスク間のクリアランスを1mmで該水分散体を20分間叩解処理した。そして、脱水機により固形分率10質量%まで濃縮し、CNF-Bケーキ(水溶媒)30質量部を得た。
CNF-C
市販のセリッシュKY100G(ダイセルファインケム製)をCNF-Cケーキとして使用した。
CNF-D
(CNF-Bを更に高圧ホモジナイザーで解繊処理したもの)
CNF-Bケーキを、クリアランスをほとんどゼロに近いレベルにまで低減させた条件下で徹底的に叩解を行い、叩解水分散体(固形分濃度:1.5質量%)を得た。得られた叩解水分散体を、そのまま高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社(伊)製NSO15H)を用いて操作圧力100MPa下で15回の微細化処理し、セルロース繊維スラリー(固形分濃度:1.5質量%)を得た。そして、脱水機により固形分率10質量%まで濃縮し、CNF-Dケーキ(水溶媒)30質量部を得た。
<樹脂>
ポリアミド6(宇部興産製:1013A)
ポリアミド6(宇部興産製:1013B)
ポリアミド6(宇部興産製:1022B)
ポリアミド66(旭化成製:LEONA1300S)
ポリアミド66/6I(特開2014-37481号公報に記載の方法にて製造)
ポリアミド610(アルケマ製:Hiprolon 70NN)
ポリプロピレン(PP)(プライムポリマー製:J105G)
マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)(三洋化成製:ユーメックス1010)
ポリアセタール(POM)(旭化成製:TENAC HC450)
<分散剤>
ポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシド共重合体(PEG-PPG)(三洋化成製:PE-74)
硬化ひまし油エーテル(青木油脂製:RCW-20)
≪樹脂組成物の調製≫
[実施例1~18,21~46]
上記材料を表1~4に示す配合で用い、下記手順で樹脂組成物を調製した。
[製造例1]
セルロースケーキと分散剤とを、表1~4に示す配合で、プラネタリーミキサーを用いて減圧乾燥し、セルロース乾燥体を得た。
樹脂100質量部にハロゲン塩10質量部を配合し、二軸押出機で混練し、ハロゲン含有樹脂ペレットを得た。
上記、セルロース乾燥体と、ハロゲン塩複合樹脂含有ペレットと、樹脂とを表1~4に示す割合で配合し、二軸押出機で混練し、セルロース含有樹脂ペレットを得た。
[実施例19]
下記手順で樹脂組成物を調製した。
[製造例2]
セルロースケーキと分散剤とハロゲン塩とを、表3に示す配合で、プラネタリーミキサーを用いて減圧乾燥し、セルロース乾燥体を得た。
セルロース乾燥体と、樹脂とを表3に示す割合で配合し、二軸押出機で混練し、セルロース含有樹脂ペレットを得た。
[実施例20]
下記手順で樹脂組成物を調製した。
[製造例3]
セルロースケーキと分散剤とを、表3に示す配合で、プラネタリーミキサーを用いて減圧乾燥し、セルロース乾燥体を得た。
セルロース乾燥体と、樹脂と、ハロゲン塩とを表3に示す割合で配合し、二軸押出機で混練し、セルロース含有樹脂ペレットを得た。
[比較例1~33]
表5及び6に示す組成で、実施例1と同様にして、樹脂組成物を得た。
評価結果を表1~6に示す。
Figure 0007342142000001
Figure 0007342142000002
Figure 0007342142000003
Figure 0007342142000004
Figure 0007342142000005
Figure 0007342142000006
表1~6に示す結果から、各実施例に係る樹脂組成物においては、セルロース繊維とハロゲン含有化合物とを共存させることで、強度、弾性率といった機械物性が飛躍的に向上していることが分かる。
本開示の樹脂組成物は、比較的少ないセルロース繊維使用量であっても優れた物性を有し得ることから、各種成形体用途、特に、高度な物性が要求される用途に好適に適用され得る。

Claims (27)

  1. セルロース繊維と、ポリアミド系樹脂を含む樹脂と、少なくとも一部をハロゲン化物イオンとして含むハロゲン含有化合物とを含む、樹脂組成物であって、
    前記セルロース繊維が、重量平均分子量(Mw)100000以上、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)6以下を有する、樹脂組成物
  2. セルロース繊維と、ポリアミド系樹脂を含む樹脂と、少なくとも一部をハロゲン化物イオンとして含むハロゲン含有化合物と、分散剤とを含む、樹脂組成物。
  3. セルロース繊維と、ポリアミド系樹脂を含む樹脂と、少なくとも一部をハロゲン化物イオンとして含むハロゲン含有化合物とを含む、樹脂組成物であって、
    以下の関係:
    5MPa≦(S A -S B )/A≦100MPa
    (式中、Aは前記樹脂組成物中のハロゲン含有化合物の含有率(単位:質量%)であり、S A は前記樹脂組成物の引張降伏強度(単位:MPa)であり、S B はハロゲン含有化合物を含まない他は前記樹脂組成物と同組成である比較樹脂組成物の引張降伏強度(単位:MPa)である。)
    を満たす、樹脂組成物
  4. 前記セルロース繊維の量が、前記樹脂100質量部に対して5質量部~50質量部であり、
    前記ハロゲン含有化合物のハロゲンの量が、前記セルロース繊維100質量部に対して0.01質量部~1000質量部である、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ハロゲン含有化合物のハロゲンが、ヨウ素及び臭素からなる群から選択される1種以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ハロゲン含有化合物の少なくとも一部がアルカリ金属を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記アルカリ金属の少なくとも一部がアルカリ金属イオンである、請求項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記アルカリ金属が、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択される1種以上である、請求項又はに記載の樹脂組成物。
  9. 前記ハロゲン含有化合物が、ハロゲン含有無機塩及びその電離生成物からなる群から選択される1種以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  10. 前記セルロース繊維の数平均繊維径が、2nm~1000nmである、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  11. 前記セルロース繊維が、アルカリ可溶多糖類平均含有率12質量%以下、及び結晶化度60%以上を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  12. 前記セルロース繊維が、化学修飾されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  13. 前記化学修飾がアシル化であり、前記セルロース繊維のアシル置換度(DS)が0.1~1.0である、請求項12に記載の樹脂組成物。
  14. 前記樹脂が、前記ポリアミド系樹脂と、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群から選択される1種以上との組合せである、請求項1~13のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  15. 前記樹脂が、前記樹脂総量の50質量%超を占めるベース樹脂と、前記ベース樹脂とは異なる追加樹脂とで構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  16. 前記樹脂100質量部に対する前記追加樹脂の量が、0.01~25質量部である、請求項15に記載の樹脂組成物。
  17. 前記追加樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6,I、ポリアミド610、ポリアミド66/6I、ポリプロピレン、及びポリアセタールからなる群から選択される1種以上である、請求項15又は16に記載の樹脂組成物。
  18. セルロース繊維と、ポリアミド系樹脂を含む樹脂と、少なくとも一部をハロゲン化物イオンとして含むハロゲン含有化合物とを含む、樹脂組成物の製造方法であって、
    セルロース繊維とハロゲン塩とを混合してマスターバッチを調製する工程、及び
    前記マスターバッチと樹脂とを混合する工程
    を含む、方法。
  19. セルロース繊維と、ポリアミド系樹脂を含む樹脂と、少なくとも一部をハロゲン化物イオンとして含むハロゲン含有化合物とを含む、樹脂組成物の製造方法であって、
    樹脂とハロゲン塩とを混合してマスターバッチを調製する工程、及び
    前記マスターバッチとセルロース繊維とを混合する工程
    を含む、方法。
  20. セルロース繊維と、ポリアミド系樹脂を含む樹脂と、少なくとも一部をハロゲン化物イオンとして含むハロゲン含有化合物とを含む、樹脂組成物の製造方法であって、
    セルロース繊維と、ハロゲン塩と、樹脂とを混合する工程を含む、方法。
  21. 前記樹脂が熱可塑性樹脂であり、前記混合が溶融混練である、請求項1820のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記樹脂組成物の引張降伏強度が、ハロゲン塩を用いない他は前記樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張降伏強度の1.05倍以上である、請求項1821のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記樹脂組成物の引張弾性率が、ハロゲン塩を用いない他は前記樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張弾性率の1.02倍以上である、請求項1822のいずれか一項に記載の方法。
  24. セルロース繊維と樹脂とを含む樹脂組成物の製造において、樹脂組成物材料にハロゲン塩を添加することを含む、樹脂組成物の物性を向上させる方法であって、
    前記物性が向上された樹脂組成物が、セルロース繊維と、ポリアミド系樹脂を含む樹脂と、少なくとも一部をハロゲン化物イオンとして含むハロゲン含有化合物とを含む樹脂組成物であり、
    前記物性が向上された樹脂組成物の引張降伏強度が、ハロゲン塩を用いない他は前記樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張降伏強度の1.05倍以上である、方法。
  25. セルロース繊維と樹脂とを含む樹脂組成物の製造において、樹脂組成物材料にハロゲン塩を添加することを含む、樹脂組成物の物性を向上させる方法であって、
    前記物性が向上された樹脂組成物が、セルロース繊維と、ポリアミド系樹脂を含む樹脂と、少なくとも一部をハロゲン化物イオンとして含むハロゲン含有化合物とを含む樹脂組成物であり、
    前記物性が向上された樹脂組成物の引張弾性率が、ハロゲン塩を用いない他は前記樹脂組成物と同一である比較樹脂組成物の引張弾性率の1.02倍以上である、方法。
  26. 請求項1~17のいずれか一項に記載の樹脂組成物より形成される、樹脂ペレット。
  27. 請求項1~17のいずれか一項に記載の樹脂組成物より形成される、樹脂成形体。
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