JP2019006875A - 化学修飾されたセルロース微細繊維を含有する高耐熱性樹脂複合体 - Google Patents
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Abstract
Description
以下の特許文献1には、セルロース微細繊維の樹脂への親和性を向上させるために、セルロース微細繊維を誘導体化させることで疎水性を付与し、疎水性樹脂との相溶性を向上させ、プラスチックとの混合時の水分の影響や輸送コストを削減する技術が開示されている。
また、イオン液体を用いる場合、イオン液体はセルロースに含まれる水との親和性が高く、除去するための負荷が大きいため高コストであり、また、高純度セルロースを得にくいという問題がある。
特許文献1や2の技術では、樹脂に一定の物理特性を付与する効果がある程度期待できるものの、車載用途や電材用途への使用に耐え得る耐熱性向上等の観点から、依然として、より高耐性の樹脂複合体を提供する必要性がある。より高い耐熱性の樹脂複合体を得るためには、66ナイロンやアクリロニトリル系樹脂などの比較的高い溶融温度を有する樹脂と相溶し、かつ、高融点のペレットを用いて部材を成形する際の高温に耐える、熱分解開始温度の高いセルロース微細繊維を所定量配合する必要があるが、かかる要求を満たす熱分解開始温度の高いセルロース微細繊維を安定して低コストで提供する技術は未だ提供されていない。また、ポリオレフィンなどの比較的融点の低い樹脂との複合体の成型においては、成型時に、高温で一定時間溶融状態での分散混練が必要であるため、高温での履歴によりセルロース微細繊維が成型の過程で熱劣化し、物性低下が避けられない。これを防止するためにも、樹脂複合体を構成するセルロース微細繊維には高い耐熱性が求められている。さらに、こうした樹脂補強材としての性能を樹脂複合体にて発現させるためには、樹脂の中にセルロース微細繊維を高度に均一に分散させることにより樹脂の中で補強材による微細ネットワークの構造化を促進させる必要もある。
すなわち、広範囲の樹脂に対し、セルロース微細繊維からなる力学物性に優れる樹脂複合体を得るためには、耐熱性向上と分散性向上の両立を達成する必要がある。
かかる従来技術の状況に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、車載用途や電材用途の部材の成形や使用に耐え得る、熱分解開始温度が高く表面に化学修飾を施したセルロース微細繊維を所定量含有することにより、高い力学物性を有する樹脂複合体を、高耐熱フィラーを含有させることなく、提供することである。
[1]熱分解開始温度(TD)が260℃以上であり、数平均繊維径が10nm以上1μm未満であり、かつ、化学修飾されたセルロース微細繊維を0.5〜40wt%含有する樹脂複合体。
[2]分散安定剤中に前記セルロース微細繊維が含有率10〜90重量%で分散されたセルロース微細繊維の分散体が、樹脂中に分散されている、前記[1]に記載の樹脂複合体。
[3]前記分散安定剤は、界面活性剤、及び沸点160℃以上の有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]又は[2]に記載の樹脂複合体。
[4]前記化学修飾がエステル化である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂複合体。
[5]前記セルロース微細繊維の、透過型IRスペクトルで測定におけるセルロース骨格鎖C−Hの吸収バンドのピーク強度に対するエステル基に基づくC=Oの吸収バンドのピーク強度の比率で定義される修飾度(IRインデックス)が0.8以上である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂複合体。
[6]前記セルロース微細繊維の数平均繊維径が20nm以上300nm以下である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂複合体。
[7]前記樹脂が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び光硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂複合体。
[8]前記樹脂が、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル、及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[7]に記載の樹脂複合体。
[9]前記樹脂の融点が245℃以上である、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂複合体。
[10]前記[1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂複合体を含む自動車用部材。
[11]前記[1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂複合体を含む電子製品用部材。
[12]純度85wt%以上のセルロースを、非プロトン性溶媒及びセルロース微細繊維の修飾化剤を含む溶液中に分散させ、解繊と修飾を同時に行って、熱分解開始温度(TD)が260℃以上であり、数平均繊維径が10nm以上1μm未満であり、かつ、化学修飾されたセルロース微細繊維を得る工程、及び得られたセルロース微細繊維を樹脂と混合する工程、
を含む、前記[1]〜[11]のいずれかに記載の樹脂複合体の製造方法。
[13]純度85wt%以上のセルロースを、非プロトン性溶媒中で解繊した後、セルロース微細繊維の修飾化剤を含む溶液を加えて修飾することにより、熱分解開始温度(TD)が260℃以上であり、数平均繊維径が10nm以上1μm未満であり、かつ、化学修飾されたセルロース微細繊維を得る工程、及び
得られたセルロース微細繊維を樹脂と混合する工程、を含む、前記[1]〜[11]のいずれかに記載の樹脂複合体の製造方法。
[14]前記非プロトン溶媒がジメチルスルホキシドであり、かつ、前記修飾化剤が酢酸ビニルは無水酢酸である、前記[12]又は[13]に記載の方法。
本実施形態に係る樹脂複合体は、化学修飾されたセルロース微細繊維及び樹脂を含有する。樹脂複合体は、無機充填材その他の成分を含んでよい。
本実施形態の樹脂複合体中のその表面が化学修飾されたセルロース微細繊維含有量は、耐熱性に優れる樹脂組成物を得るという観点から、0.5〜40wt%、好ましくは2〜30wt%であり、より好ましくは3〜20wt%である。
化学修飾されたセルロース微細繊維の数平均繊維径は以下のように測定する。
まず、後述の作製法で得られたセルロース微細繊維シートの表面に対して、無作為に3箇所、走査型電子顕微鏡(SEM)にり、微細繊維の繊維径に応じて10000〜100000倍相当の倍率で観察する。得られたSEM画像に対し、画面に対しヨコ方向とタテ方向にラインを引き、ラインに交差する繊維の繊維径を拡大画像から実測し、交差する繊維の個数と各繊維の繊維径を数える。こうして一つの画像につきタテヨコ2系列の測定結果を用いて数平均繊維径を算出する。さらに抽出した他の2つのSEM画像についても同じように数平均繊維径を算出し、合計3画像分の結果を平均化し、対象とする試料の平均繊維径とする。
SEM観察用の微細セルロース繊維シートの作製は、次の通り行う。
まず、セルロース微細繊維の水分散体を遠心分離により固形分率5重量%以上の濃度に濃縮する。該セルロース微細繊維濃縮物を、tert−ブタノール中に、セルロース微細繊維の濃度が0.2重量%となるように分散させ、さらに超音波分散等で分散処理を行う。その後、ガラスフィルター上で得られた分散液の濾過を行い、フィルター上に形成された湿紙を60℃にて乾燥させ、微細セルロース繊維シートとする。
本明細書中、熱分解開始温度(TD)とは、図1の説明図に示すように、熱重量分析(TG)測定(室温より昇温速度:10℃/minで昇温)により得られる横軸に温度、縦軸に重量減少率%のグラフにおいて、表面が化学修飾されたセルロース微細繊維の、水分がほぼ除去された150℃の重量(重量減少量0wt%)を起点としてさらに昇温を続けた際の、1wt%重量減少時の温度と2wt%重量減少時の測定点に対し、2点を通る直線を引き、重量減少量0wt%である起点を通る水平線(ベースライン)と交わる点に該当する温度を熱分解開始温度(TD)と定義する。
本発明の樹脂複合体では、所望により、化学修飾されたセルロース微細繊維以外の高耐熱性の有機ポリマーからなる微細繊維成分、例えば、アラミド繊維のフィブリル化繊維や微細繊維を含んでもよい。
ここで、セルロース微細繊維に含まれる1μm以上の繊維径のセルロース繊維の重量相当含有率Fの求め方は、セルロース微細繊維を含むセルロース繊維シート表面の任意の10箇所について、1万倍相当の倍率にて電子顕微鏡(SEM)観察を行う以外は、セルロース微細繊維の数平均繊維径の求め方と同様、まず、繊維径(Di(ここで、1≦i≦n(抽出個数))に関する集計を行う。ここで、全抽出個数をn、このうちi番目の繊維の繊維径をDiとし、このうち、繊維径が1μm以上の繊維径をD’j(ここで、1≦j≦n(抽出個数)、j番目の繊維の繊維径が1μmを超えるとする)とすると、重量相当含有率Fは、以下の式:
F=Σ(D’j)2/Σ(Di)2
{式中、Σは、構成要素i,j各々に関する1からnまでの総和を意味する。}で定義される。但し、画像において数本の繊維が多束化して1μm以上の繊維径となっていることが明確に確認できる繊維(束)は1μm以上の繊維径をもつ繊維とはしないものとする。
セルロース微細繊維の原料となるセルロースとしては、天然セルロース及び再生セルロースが挙げられる。
天然セルロースとしては、広葉樹又は針葉樹から得られる木材パルプ、精製リンターあるいは非木材種(竹、麻系繊維、バガス、ケナフ、リンター等)からの精製パルプ等、いわゆる木材パルプと非木材パルプなどが使用できる。非木材パルプとしては、コットンリンターパルプを含むコットン由来パルプ、麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ、竹由来パルプ、ワラ由来パルプなども使用できる。コットン由来パルプ、麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ、竹由来パルプ、ワラ由来パルプは各々、コットンリントやコットンリンター、麻系のアバカ(例えば、エクアドル産又はフィリピン産のものが多い)、ザイサルや、バガス、ケナフ、竹、ワラ等の原料を蒸解処理による脱リグニン等の精製工程や漂白工程を経て得られる精製パルプを意味する。この他、海藻由来のセルロースやホヤセルロースの精製物も使用できる。さらに、セルロース生産菌(バクテリア)の作るバクテリアセルロース(BC)のようなネバードライで微細繊維の集合体が挙げられる。ここで、パルプに残存するセルロース以外の成分としてリグニンやヘミセルロースを挙げることができるが、これらの成分はいずれも樹脂複合化において耐熱性低下やそれに伴う変色を誘起するため、セルロース原料中に含まれる含有量は少ない方がよい。具体的には、セルロース原料に含まれるリグニン含有率は2重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.6重量%以下である。ヘミセルロースは水酸基を含む多糖であり、表面修飾剤が副反応として消費され、副反応物が反応後のセルロース微細繊維中に残存することもあるため、その含有量は低い方がよい。セルロース原料に含まれるヘミセルロースの含有量は13重量%、好ましくは8重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
セルロース修飾化剤としては、セルロースの水酸基と反応するものであれば問わないが、エステル化反応剤、エーテル化反応剤、シリル化剤が挙げられるが、この中で特にエステル化剤であることが好ましい。
エステル化反応剤としては、酸塩化物、酸無水物、カルボン酸ビニルエステルが好ましい。酸塩化剤としては、例えば、塩化プロピオニル、塩化ブチリル、塩化オクタノイル、塩化ステアロイル、塩化ベンゾイル、パラトルエンスルホン酸クロライド等が挙げられる。尚、酸塩化物の反応においては、触媒として働くと同時に、副生物である酸性物質を中和する目的でアルカリ性化合物を添加してもよく、具体的には、トリエチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン化合物やピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物が挙げられるが、これに限定されない。
R−COO−CH=CH2 …式(1)
{式中、Rは、炭素数1〜16のアルキル基、アルキレン基シクロアルキル基又はアリール基のいずれかである。}で表されるカルボン酸ビニルエステルであることが好ましい。前記カルボン酸ビニルエステルは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニルアジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルの群より選択された少なくとも1種であることがより好ましい。カルボン酸ビニルエステルによるエステル化反応のとき、触媒として、塩基性又は弱塩基性の無機塩又は有機化合物を添加すると反応が効率的に進行する場合がある。このような触媒の例として、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムやアミン系有機化合物を挙げることができる。
これらエステル化反応剤の中でも、特に、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルの中から選択された少なくとも一種であることが反応効率の観点からも好ましい。
樹脂複合体中から化学修飾されたセルロース微細繊維を取り出す方法としては、樹脂溶解剤(例えば、ダイナソルブ711 DYNAROY LCC社製)を用いることで、化学修飾されたセルロース微細繊維の特性を損なうことなく、取り出す方法が挙げられる。 天然セルロース及び再生セルロース原料をセルロース微細繊維とするための最大繊維径を小さくする方法としては、特に制限はないが、解繊の処理条件(剪断場を与える方法や剪断場の大きさ)をより高効率的に行うことが好ましい。特に、非プロトン性溶媒及びセルロース修飾化剤を含む解繊溶液を、純度が85%以上のセルロースに含浸させることで、セルロースの解繊を進めるだけでなく、解繊と同時に又は解繊直後に同一溶媒下で化学修飾させることにより化学修飾微細繊維を得る方法が、生成効率及び精製効率(化学修飾されたセルロース微細繊維の高純度化)、並びに樹脂複合化時の物理特性の観点から好ましい。
アルキルスルホキシド類としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルエチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのジC1−4アルキルスルホキシドなどが挙げられる。
アルキルアミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミドなどのN,N−ジC1−4アルキルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミドなどのN,N−ジC1−4アルキルアセトアミドなどが挙げられる。
ピロリドン類としては、例えば、2−ピロリドン、3−ピロリドンなどのピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのN−C1−4アルキルピロリドンなどが挙げられる。
これらの非プロトン性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの非プロトン性溶媒(括弧内の数字はドナー数)のうち、DMSO(29.8)、DMF(26.6)、DMAc(27.8)、NMP(27.3)など、特に、DMSOを用いれば、熱分解開始温度が高いセルロース微細繊維をより効率的に製造することができる。
このとき、撹拌子及びスターラーに強磁力タイプを用いることが、セルロースに高い剪断力を掛けることができ、微細化を容易に進めることができるため好ましい。
撹拌速度に制約はないが、極力早い回転数で撹拌することが解繊の観点から好ましい。また、このとき、バイアル瓶の側面に撹拌子を擦り当てて撹拌することが、微細化の観点から好ましい。工業的には、遊星ボールミルやビーズミルのような衝突剪断が加わる装置、ディスクリファイナーやグラインダーのようなセルロースのフィブリル化を誘因する回転剪断場が加わる装置、あるいは各種ニーダーやプラネタリーミキサーのような混練や撹拌、分散機能を高効率で実施可能な装置を用いることができる。
化学修飾基の種類により吸収バンドのピーク位置は変化するが、ピーク位置の変化によっても、そのピークが何の吸収バンドに基づくものかは確定でき、修飾化率の指標とすることができるため、化学修飾により発生するピーク位置のずれは許容した上、IRインデックスを算出することができる。
例えば、修飾基がエステル基であれば、エステル基に基づくC=Oの吸収バンドのピークは1730cm−1に出現し、C−Hの吸収バンドのピークが1370cm−1に出現する(図2参照)。
原料として、純度(α−セルロース含有量)85wt%以上であるセルロースを用いることが、化学修飾されたセルロース微細繊維の生産効率及び精製効率(化学修飾されたセルロース微細繊維の高純度化)、並びに樹脂複合化時の物理特性の観点から好ましい。純度は、より好ましくは90wt%以上、更に好ましくは95wt%以上である。
化学修飾されたセルロース微細繊維と共に、該セルロース微細繊維を安定に分散させる機能を有する分散安定剤を混合し、樹脂中でのセルロース微細繊維の分散状態を向上、制御することによって、樹脂複合体の力学物性を向上させることも有効である。本実施形態の樹脂複合体は、好ましくは分散安定剤中に前記セルロース繊維が含有率10〜90重量%で分散されたセルロース分散体が、樹脂中に分散されているものである。分散安定剤としては、界面活性剤、沸点160℃以上の有機化合物、及び化学修飾されたセルロース微細繊維を高度に分散可能な化学構造を有する樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることができる。
界面活性剤は、陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤のいずれも使用することができるが、セルロースとの親和性の点で、陰イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤が好ましく、非イオン系界面活性剤がより好ましい。
陰イオン系界面活性剤としては、脂肪酸系(陰イオン)として、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム,アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム等が挙げられ、直鎖アルキルベンゼン系として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、高級アルコール系(陰イオン)系として、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム等が挙げられ、アルファオレフィン系としてアルファオレフィンスルホン酸ナトリウム等、ノルマルパラフィン系としてアルキルスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、それらを1種又は2種以上を混合して使用することも可能である。
非イオン系界面活性剤としては、脂肪酸系(非イオン)として、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の糖脂質、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられ、高級アルコール系(非イオン)としてポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられ、アルキルフェノール系としてポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられ、それらを1種又は2種以上を混合して使用することもできる。
両性イオン系界面活性剤としては、アミノ酸系として、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム等が挙げられ、ベタイン系としてアルキルベタイン等が挙げられ、アミンオキシド系としてアルキルアミンオキシド等が挙げられ、それらを1種又は2種以上を混合して使用することもできる。
陽イオン系界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩系として、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩等が挙げられ、それらを1種又は2種以上を混合して使用することもできる。
上述の界面活性剤でも、特に、疎水基としては、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型、ロジンエステル型、ビスフェノールA型、βナフチル型、スチレン化フェニル型、硬化ひまし油型が、樹脂との親和性が高いため、好適に使用できる。好ましいアルキル鎖長(アルキルフェニルの場合はフェニル基を除いた炭素数)としては、炭素鎖が5以上であるこことが好ましく、10以上がより好ましく、12以上がさらに好ましく、16以上が特に好ましい。樹脂がポリオレフィンの場合、炭素数が多いほど、樹脂との親和性が高まるため上限はないが、上限は30以下が好ましく、25以下がより好ましい。
これらの疎水基の中でも、環状構造を有するもの、又は嵩高く多官能構造を有するものが好ましく、環状構造を有するものとしては、アルキルフェニルエーテル型、ロジンエステル型、ビスフェノールA型、βナフチル型、スチレン化フェニル型が好ましく、多官能構造を有するものとしては、硬化ひまし油型が好ましい。
これらの中でも、特にロジンエステル型、硬化ひまし油型がより好ましい。
また、樹脂の種類に依存するが非界面活性剤系の分散媒体として、沸点160℃以上の有機化合物が有効であることがある。このような具体例として、ポリオレフィン系樹脂との複合体を作製する場合には、流動パラフィンやデカリンなどの高沸点有機溶媒が有効である。また、ナイロン系樹脂やポリアセテート系樹脂のような極性樹脂の場合には、本発明のセルロース微細繊維を製造する際の非プロトン性溶媒と同等の溶媒、例えば、シメチルスルホキシドを使用しても有効な場合がある。
また、化学修飾されたセルロース微細繊維を高度に分散可能な化学構造を有する樹脂としては、セルロースアセテートやセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース、シアノエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの中から選ばれる少なくとも1種である。該樹脂を分散安定剤として選択する場合には本発明の化学修飾されたセルロース微細繊維が保有する高い耐熱性を損なわない範囲(樹脂の置換度や添加量等)で使用するのが好ましい。
本実施形態の化学修飾されたセルロース微細繊維を含有する樹脂複合体は、力学的特性において、曲げ試験等の静的特性、衝撃試験等の動的特性がバランス良く向上されたものである。
本実施形態の樹脂複合体中の樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂を用いることができる。前記樹脂は、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル、及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることができる。
熱硬化性樹脂には、耐熱性を始めとする機械物性の向上や、屈折率の向上、硬化性の向上、密着性の向上、硬化成形物の柔軟性の向上及び、熱硬化性樹脂組成物の低粘度化によるハンドリング性向上に優れた特性を有する熱硬化性樹脂組成物を提供する目的で、それぞれの目的に適した熱硬化性化合物を添加することが好ましい。これらの使用にあたっては、単独でも2種以上の混合物でも構わない。
樹脂複合体中の樹脂含有量は、60〜99.5wt%であることができ、80〜90wt%がより好ましい。添加量が60wt%以上であれば、熱安定性(線熱膨張率の低減、高温時の弾性保持)を発揮するのに有効であり、99.5wt%であれば、樹脂複合体へ高弾性率化や熱膨張率の低減化などの機能を付与させることが可能である。
熱硬化性樹脂としては、例えば、高温時に熱安定性を有する芳香族基を含有したエポキシ化合物である。例えば、2官能以上のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ヒドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、トリス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートが挙げられる。また、Tgの著しい低下を引き起こさない範囲で脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂を配合することもできる。
また、樹脂複合体の耐熱性を高めるため、用いる樹脂の融点は245℃以上であることが好ましい。
また、好適に使用することができるポリアミド系樹脂の例示としては、ラクタム類の重縮合反応により得られるポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12や、1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1−6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、2−メチル−1,7−ヘプタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、m−キシリレンジアミンなどのジアミン類と、ブタン二酸 、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ベンゼン−1,2−ジカルボン酸、ベンゼン−1,3−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4ジカルボン酸等、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などのジカルボン酸類との共重合体として得られるポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,11、ポリアミド6,12、ポリアミド6,T、ポリアミド6,I、ポリアミド9,T、ポリアミド10,T、ポリアミド2M5,T、ポリアミドMXD,6、ポリアミド6、C、ポリアミド2M5,C及び、これらがそれぞれ共重合された共重合体、一例としてポリアミド6,T/6,I等の共重合体が挙げられる。
これらポリアミド系樹脂の中でも、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10、ポリアミド6,11、ポリアミド6,12といった脂肪族ポリアミドや、ポリアミド6,C、ポリアミド2M5,Cといった脂環式ポリアミドがより好ましい。
更により好ましくは、ポリアミド6、ポリアミド6,6が挙げられ、ポリアミド6,6が最も好ましい。
本実施形態のポリアミドにおいて、好ましい全末端基に対するカルボキシル末端基比率([COOH]/[全末端基])が、0.30〜0.95であることがより好ましい。カルボキシル末端基比率下限は、より好ましくは0.35であり、さらに好ましくは0.40であり、最も好ましくは0.45である。またカルボキシル末端基比率上限は、より好ましくは0.90であり、さらに好ましくは0.85であり、最も好ましくは0.80である。上記カルボキシル末端基比率は、セルロースの組成物中への分散性の観点から0.30以上とすることが望ましく、得られる組成物の色調の観点から0.95以下とすることが望ましい。
ポリアミド系樹脂の末端基濃度の調整方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、ポリアミドの重合時に所定の末端基濃度となるように、ジアミン化合物、モノアミン化合物、ジカルボン酸化合物、モノカルボン酸化合物、酸無水物、モノイソシアネート、モノ 酸ハロゲン化物、モノエステル、モノアルコールなどの末端基と反応する末端調整剤を重合液に添加する方法が挙げられる。
末端アミノ基と反応する末端調整剤としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;及びこれらから任意に選ばれる複数の混合物が挙げられる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格などの点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、 カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及び安息香酸からなる群より選ばれる1種以上の末端調整剤が好ましく、酢酸が最も好ましい。
末端カルボキシル基と反応する末端調整剤としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルア ミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン及びこれらの任意の混合物が挙げられる。これらの中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性、価格などの点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシル アミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン及びアニリンからなる群より選ばれる1種以上の末端調整剤が好ましい。
使用可能なポリアミド系樹脂は、濃硫酸中30℃の条件下で測定した固有粘度[η]が、0.6〜2.0dL/gであることが好ましく、0.7〜1.4dL/gであることがより好ましく、0.7〜1.2dL/gであることが更に好ましく、0.7〜1.0dL/gであることが特に好ましい。好ましい範囲、その中でも特に好ましい範囲の固有粘度を有する上記ポリアミドを使用すると、樹脂組成物の射出成形時の金型内流動性を大幅に高め、成形片の外観を向上させるという効用を与えることができる。
本明細書中、用語「固有粘度」とは、一般的に極限粘度と呼ばれている粘度と同義である。この粘度を求める具体的な方法は、96%濃硫酸中、30℃の温度条件下で、濃度の異なるいくつかの測定溶媒のηsp/cを測定し、そのそれぞれのηsp/cと濃度(c)との関係式を導き出し、濃度をゼロに外挿する方法である。このゼロに外挿した値が固有粘度である。これらの詳細は、例えば、Polymer Process Engineering(Prentice-Hall,Inc 1994)の291ページ〜294ページ等に記載されているこのとき濃度の異なるいくつかの測定溶媒の点数は、少なくとも4点とすることが精度の観点より望ましい。このとき、推奨される異なる粘度測定溶液の濃度は、好ましくは、0.05g/dL、0.1g/dL、0.2g/dL、0.4g/dLの少なくとも4点である。
熱硬化性樹脂には、潜在性硬化剤を添加してもよい。潜在性硬化剤とは、室温ではエポキシ樹脂に不溶の固体で、加熱することにより可溶化し硬化促進剤として機能する化合物であり、常温で固体のイミダゾール化合物や、固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤、例えば、アミン化合物とエポキシ化合物との反応生成物(アミン−エポキシアダクト系)、アミン化合物とイソシアネート化合物又は尿素化合物との反応生成物(尿素型アダクト系)等が挙げられる。
常温で固体のイミダゾール化合物としては、例えば、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル−(1))−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2′−メチルイミダゾリル−(1)′)−エチル−S−トリアジン・イソシアヌール酸付加物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール−トリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール−トリメリテイト、N−(2−メチルイミダゾリル−1−エチル)−尿素、N,N′−(2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル)−アジボイルジアミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記固体分散型アミンアダクト系潜在性硬化促進剤のもう一つの製造原料として用いられるアミン化合物は、エポキシ基と付加反応しうる活性水素を分子内に1個以上有し、かつ1級アミノ基、2級アミノ基及び3級アミノ基の中から選ばれた官能基を少なくとも分子内に1個以上有するものであればよい。このような、アミン化合物の例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。すなわち、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n−プロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、4,4′−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンのような脂肪族アミン類;4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2−メチルアニリンなどの芳香族アミン化合物;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、ピペリジン、ピペラジンなどの窒素原子が含有された複素環化合物;等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂には、上記各成分に加え、必要に応じて他の添加剤を適宜配合することができる。例えば、硬化性を高める目的で、アントラセン等の光増感剤や酸増殖剤等を必要に応じて配合することができる。また、ガラス等の基材上に硬化物を作製する用途においては基材との接着性を高めるために、シラン系あるいはチタン系等のカップリング剤を添加してもよい。さらには、酸化防止剤、消泡剤等も適宜配合することができる。これらは単独で又は2種以上併せて用いられる。そして、これら他の添加剤は、硬化性樹脂組成物全体の5重量%以下の範囲内で用いることが、所望の作用効果を阻害しない観点から、好ましい。
化学修飾されたセルロース微細繊維と樹脂とを混合する場合、両成分を室温下で加熱せずに混合してからしてから加熱しても、加熱しながら混合してもよい。加熱する場合、混合する温度は、使用する樹脂に合わせて調整することができる。
熱可塑性樹脂供給業者が推奨する最低加工温度は、ナイロン66(ポリアミド「PA66」ともいう。)では255〜270℃、ナイロン6(ポリアミド「PA6」ともいう。)では225〜240℃、ポリアセタール樹脂(POMともいう。)では170℃〜190℃、ポリプロピレン(PPともいう。)では160〜180℃である。加熱設定温度は、これらの推奨最低加工温度より20℃高い温度の範囲が好ましい。混合温度をこの温度範囲とすることにより、表面が化学修飾されたセルロース微細繊維と樹脂とを均一に混合することができる。
化学修飾されたセルロース微細繊維は、化学修飾処理により、樹脂中での分散性が促進されている。
得られた樹脂複合体を用いて、成型(成形)材料及び成型体を製造することができる。成型体の形状としては、フィルム状、シート状、板状、ペレット状、粉末状、立体構造など各種形状等の各種形状の成形体が挙げられる。成型方法として、金型成型、射出成型、押出成型、中空成型、発泡成型等を用いることができる。
また、本実施形態の樹脂複合体が樹脂複合フィルムである場合、プリント配線板における積層板補強用に好適である。その他、例えば、発電機、変圧器、整流器、遮断器、制御器における絶縁筒、絶縁レバー、消弧板、操作ロッド、絶縁スペーサ、ケース、風胴、エンドベル、風ウケ、標準電気品におけるスイッチボックス、ケース、クロスバー、絶縁軸、ファンブレード、機構部品、透明樹脂基板、スピーカ振動板、イータダイヤフラム、テレビのスクリーン、蛍光灯カバー、通信機器・航空宇宙用におけるアンテナ、ホーンカバー、レードーム、ケース、機構部品、配線基板、航空機、ロケット、人工衛星用電子機器部品、鉄道用部品、船舶用部品、浴槽、浄化槽、耐食機器、いす、安全帽、パイプ、タンクローリ、冷却塔、浮消波堤、地下埋没タンク、コンテナ等の用途にも適用できる。
これらの中でも、既存の樹脂複合体と比べて高耐熱化されることで優位性を発揮できるのは、樹脂成型が必要な自動車用部材や電子製品用部材である。
ろ紙(ADVANTEC社製のFILTER PAPER)(リグニン含有率0.1%以下,ヘミセルロース含有率1.5%)210gを1軸撹拌機(アイメックス社製 DKV−1 φ125mmディゾルバー)を用いジメチルスルホキサイド(DMSO)5kg中で500rpmにて1時間、常温で攪拌した。得られたスラリー5.2kgに酢酸ビニル(VA)572g、炭酸水素ナトリウム85gを加え均一になるまで混合させた後、ホースポンプでビーズミル(アイメックス社製 NVM−1.5)にフィードし、60分間循環運転させ、解繊修飾スラリーを得た。循環運転の際、ビーズミルの回転数は2500rpm、周速12m/sとし、用いたビーズはジルコニア製で、Φ2.0mm、充填率70%とした(ビーズミルのスリット隙間は0.6mmとした)。
循環運転の際は、摩擦による発熱を吸収するためにチラーによりスラリー温度を30℃に温度管理した。得られた解繊修飾スラリーを脱水機により液体分を取り除いた後、純水10L加えて十分に撹拌し、脱水濃縮し、洗浄することで未反応試薬溶媒等を水中に溶出させ、残渣を濾液により回収、さらに水へ分散、濃縮する洗浄作業を計3回繰り返し、得られた化学修飾微細繊維1の水分散体(固形分率:10重量%)を約40℃で熱風乾燥させることにより、化学修飾微細繊維1を200g得た。化学修飾微細繊維1は、原料ろ紙と同様、セルロースI型の結晶構造を示すことをXRD画像より確認した。また、得られた化学修飾微細繊維1の乾燥前の水分散体(固形分率:10重量%)をtert-ブタノール中に固形分0.1重量%となるように希釈、分散させた後、ろ過によりウェット状のシートとし、60℃で乾燥させることにより得たシート状サンプルのSEM像を図3に示す。SEM像から前述の算出法により算出した化学修飾微細繊維1の数平均繊維径は180nmであった。該シートサンプルのIRスペクトルから前述の方法で見積もったアセチル化修飾度は1.08であり、熱分解開始温度は303℃であった。
製造例1のろ紙を同量の針葉樹由来漂白溶解パルプ(リグニン含有率0.5%,ヘミセルロース含有率4.7%)に変更した以外は、製造例1と同様に作製し、得られた化学修飾微細繊維2の水分散体(固形分率:10重量%)を約40℃で熱風乾燥させることにより、化学修飾微細繊維2を作製した。化学修飾微細繊維2の数平均繊維径は、前述の算出法により65nm、アセチル化修飾度は1.05であり、熱分解開始温度は270℃であった。
製造例1のろ紙を同量のリンターパルプに変更し、製造例1と同様に作製し、得られた化学修飾微細繊維3の水分散体(固形分率:9重量%)を約40℃で熱風乾燥させることにより、化学修飾微細繊維3を作製した。化学修飾微細繊維3の数平均繊維径は、前述の算出法により120nm、アセチル化修飾度は1.12であり、熱分解開始温度は294℃であった。
製造例3と同じリンターパルプ210gを製造例1と同じ1軸撹拌機を用いDMSO5kg中で500rpmにて1時間、常温で攪拌後、ホースポンプで参考例1と同じビーズミル装置にフィードし、40分間循環運転させ、解繊スラリーを得た。循環運転の際、ビーズミルの回転数は2500rpm、周速12m/sとし、用いたビーズはジルコニア製で、Φ2.0mm、充填率70%とした(ビーズミルのスリット隙間は0.6mmとした)。この後、VA572g中に炭酸水素ナトリウム85gを分散させた分散液をビーズミル装置内へ加え、回転数1000rpmの条件下でさらに30分間循環運転させた。循環運転の際は、スラリー温度を30℃に温度管理した。得られた解繊修飾スラリーに対して参考例1と同じ方法で精製を行い、得られた化学修飾微細繊維4の水分散体(固形分率:10重量%)を約40℃で熱風乾燥させることにより、202gの化学修飾微細繊維4を得た。化学修飾微細繊維4は、原料パルプと同様、セルロースI型の結晶構造を示すことをXRD画像より確認した。また、製造例1と同様にして得たシート状サンプルのSEM像から前述の算出法により算出した化学修飾微細繊維4の数平均繊維径は、125nmであった。該シートサンプルのIRスペクトルから前述の方法で見積もったアセチル化修飾度は1.15であり、熱分解開始温度は298℃であった。
製造例3と同じリンターパルプ4.5Kgを300Lの純水中に分散後、ディスパーザータンク中で約30分間撹拌し、その後ディスク刃間距離を1mm程度に設定したディスクリファイナーにてスラリーの叩解処理を30分間行い、さらにディスク刃間距離を0.1mmとしてさらに叩解処理を120分間行い、叩解スラリーを得た。次に得られた叩解スラリーに対し高圧ホモジナイザー装置での処理(操作圧100MPaで10Pass相当)を行い、数平均繊維径が約75nmのCNFスラリー(濃度1.5重量%)を得た。該CNFスラリーを脱水機により固形分が10重量%以上にまで濃縮後、防爆型ディスパーザータンクに投入したジメチルホルムアミドの300L中へ濃縮スラリーを投入、20分間撹拌後、固形分が10重量%以上にまで脱水機による濃縮を行い、再度防爆型ディスパーザータンクにてジメチルホルムアミドの300L中へ再濃縮スラリーを投入、30分間撹拌後、150Kgの無水酢酸と5Kgのピリジンを投入、タンク内温度を30℃とし、120分間撹拌を行った。得られたスラリーを大過剰の純水中に分散、撹拌、濃縮、という洗浄操作を3回繰り返し、得られた化学修飾微細繊維5の水分散体(固形分率:8重量%)を約40℃で熱風乾燥させることにより、化学修飾微細繊維5を作製した。さらに約40℃で熱風乾燥させることにより、化学修飾微細繊維5を4.4Kg得た。化学修飾微細繊維5のアセチル化修飾度は1.1であり、熱分解開始温度は258℃であった。
化学修飾していないセルロース微細繊維として、ダイセル社(株)製のセリッシュFG−100を40℃で熱風乾燥して微細繊維1を作製した。微細繊維1の数平均繊維径は290nmであった。微細繊維1の熱分解開始温度は242℃であった。
得られた化学修飾微細繊維1を2質量部、ナイロン66樹脂(以下、単に、PA66と称す)(ユニチカ社製 A226)98質量部加え、小型混練機(Xplore instruments社製、製品名「Xplore」)を用いて、260℃、100rpm(シアレート1570(1/s))で5分間循環混練後に、ダイスを経てφ1mmの複合樹脂組成物のストランドを得た。当該ストランドを常温で、1cm長さにカットして1gを量りとり、ホットプレス(260℃)にて厚み100μmの薄膜を得た。また、当該ストランドから得られた樹脂複合体ペレット(前記ストランドを1cm長さにカットしたもの)を、付属の射出成型機にて260℃で溶融し、JIS K7127規格のダンベル状試験片を作製し、評価に用いた。得られた薄膜、ペレット、ダンベル状試験片の各形体とした樹脂複合体1を用いて適宜各評価を行った。
化学修飾微細繊維1の量を4質量部、PA66の量を96質量部に変更した以外は、実施例1と同様に、樹脂複合体2を得た。
化学修飾微細繊維1の量を8質量部、PA66の量を92質量部に変更した以外は、実施例1と同様に、樹脂複合体3を得た。
微細繊維を化学修飾微細繊維2に変更した以外は、実施例2と同様に、樹脂複合体4を得た。
実施例2のPA66をアクリロニトリル・ブタジエンゴム(日本ゼオン社製 DN003)(以下、単にNBRと称す)に変更した以外は、実施例2と同様に、樹脂複合体5を得た。
製造例1で得られた化学修飾繊維1を4重量部、エポキシ樹脂(三菱化学社製 JER825)を96重量部、公転・自転方式の攪拌機(EME社製 V−mini300)を用い40℃で30分混練させた後、真空加熱プレス装置上(厚み50μmにスペーサーで制御)180℃で60分間熱硬化反応させ、フィルム状の樹脂複合体6を得た。
実施例2の化学修飾微細繊維1を化学修飾微細繊維3とし4重量部に変更、PA66をポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製 プライムポリプロ)(以下、単にPPと称す)とし96重量部に、更に溶融成型温度を160℃に変更した以外は、実施例1と同様に、薄膜、ペレット、ダンベル状試験片の各形体とした樹脂複合体7を得た。
製造例3において、化学修飾微細繊維3の乾燥前の水分散体(固形分率:9重量%)における化学修飾微細繊維3の4重量部相当量に対して、分散安定剤としてフッ素系界面活性剤(DIC社製 F444)(以下、単にF444と称す)の1重量部を加えて前述の公転・自転方式の攪拌機を用いて30℃で30分間混練した後に約40℃で熱風乾燥させることにより得られた化学修飾微細繊維3とフッ素系界面活性剤の混合固体(5重量部)とPPの95重量部に対し、実施例1と同様に、薄膜、ペレット、ダンベル状試験片の各形体とした樹脂複合体8を得た。
実施例8において、分散安定剤をDMSOの1重量部に変更した以外は、実施例8と同様に、樹脂複合体9を得た。
実施例7において、化学修飾微細繊維3の量を8重量部、PPの量を92重量部に変更した以外は、実施例7と同様に、樹脂複合体10を得た。
実施例8において、化学修飾微細繊維3の8重量部とフッ素系界面活性剤2重量部からなる混合固体(10重量部)とPPの90重量部とを混合し溶融混練した以外は、実施例8と同様に、樹脂複合体11を得た。
実施例9において、化学修飾微細繊維3の8重量部とDMSO2重量部からなる混合固体(10重量部)とPPの90重量部とを混合し溶融混練した以外は、実施例9と同様に、樹脂複合体12を得た。
製造例2において、化学修飾微細繊維2の乾燥前の水分散体(固形分率:10重量%)における化学修飾微細繊維2の2重量部相当量に対して、結晶セルロース(旭化成製,SC900)の4重量部及びF444の2重量部を加えて前述の公転・自転方式の攪拌機を用いて30℃で30分間混練した後に約40℃で熱風乾燥させることにより得られた混合固体(8重量部)と66PAの92重量部に対し実施例1と同様に、溶融混練して薄膜、ペレット、ダンベル状試験片の各形体とした樹脂複合体13を得た。
製造例2において、化学修飾微細繊維2の乾燥前の水分散体(固形分率:10重量%)における化学修飾微細繊維2の2重量部相当量に対して、結晶セルロース(旭化成製,SC900)の4重量部及び可塑剤(DIC社製,W−260)の4重量部を加えて前述の公転・自転方式の攪拌機を用いて30℃で30分間混練した後に約40℃で熱風乾燥させることにより得られた混合固体(10重量部)と66PAの90重量部に対し実施例1と同様に、溶融混練して薄膜、ペレット、ダンベル状試験片の各形体とした樹脂複合体14を得た。
製造例2において、化学修飾微細繊維2の乾燥前の水分散体(固形分率:10重量%)における化学修飾微細繊維2の4重量部相当量に対して、結晶セルロース(旭化成製,SC900)の4重量部及びF444の2重量部を加えて前述の公転・自転方式の攪拌機を用いて30℃で30分間混練した後に約40℃で熱風乾燥させることにより得られた混合固体(10重量部)とPPの90重量部に対し実施例1と同様に、溶融混練して薄膜、ペレット、ダンベル状試験片の各形体とした樹脂複合体15を得た。
製造例2において、化学修飾微細繊維2の乾燥前の水分散体(固形分率:10重量%)における化学修飾微細繊維2の4重量部相当量に対して、結晶セルロース(旭化成製,SC900)の4重量部及び可塑剤(DIC社製,W−260)の4重量部を加えて前述の公転・自転方式の攪拌機を用いて30℃で30分間混練した後に約40℃で熱風乾燥させることにより得られた混合固体(12重量部)と66PAの88重量部に対し実施例1と同様に、溶融混練して薄膜、ペレット、ダンベル状試験片の各形体とした樹脂複合体16を得た。
実施例2の化学修飾微細繊維1を化学修飾微細繊維4とし4重量部に変更、PA66をPPとし96重量部に変更した以外は、実施例1と同様に、薄膜、ペレット、ダンベル状試験片の各形体とした樹脂複合体17を得た。
製造例4において、化学修飾微細繊維4の乾燥前の水分散体(固形分率:10重量%)における化学修飾微細繊維4の4重量部相当量に対して、分散安定剤としてF444の1重量部を加えて前述の公転・自転方式の攪拌機を用いて30℃で30分間混練した後に約40℃で熱風乾燥させることにより得られた化学修飾微細繊維4とフッ素系界面活性剤の混合固体(5重量部)とPPの95重量部に対し実施例1と同様に、薄膜、ペレット、ダンベル状試験片の各形体とした樹脂複合体18を得た。
製造例4において、化学修飾微細繊維4の乾燥前の水分散体(固形分率:10重量%)における化学修飾微細繊維4の4重量部相当量に対して、分散安定剤としてDMSOの1重量部を加えて前述の公転・自転方式の攪拌機を用いて30℃で30分間混練した後に約40℃で熱風乾燥させることにより得られた化学修飾微細繊維4とDMSOの混合固体(5重量部)とPPの95重量部に対し実施例1と同様に、薄膜、ペレット、ダンベル状試験片の各形体とした樹脂複合体19を得た。
化学修飾微細繊維1を微細繊維1に変更した以外は、実施例1と同様に、褐色に変色した樹脂複合体Aを得た。
ブランクとして、PPのみを実施例7と同様の溶融成型の条件で成型を行い冷却することにより、樹脂1を得た。
PPの90重量部に対しタルクの10重量部を、フィラー成分として添加して溶融混練した以外は比較例2と同様に、樹脂複合体Bを得た。
PA66のみを公転・自転方式の攪拌機を用い260℃で3時間混練させた後、冷却し、樹脂2を得た。
PA66の90重量部に対しタルクの10重量部を、フィラー成分として添加して溶融混練した以外は比較例4と同様に、樹脂複合体Bを得た。
化学修飾微細繊維1を化学修飾微細繊維5に変更した以外は、実施例1と同様に、褐色に変色した樹脂複合体Dを得た。
化学修飾微細繊維1を化学修飾微細繊維5に変更した以外は、実施例2と同様に、褐色に変色した樹脂複合体Eを得た。
化学修飾微細繊維1を化学修飾微細繊維5に変更した以外は、実施例3と同様に、褐色に変色した樹脂複合体Fを得た。
製造例1〜6、実施例1〜実施例19、及び比較例1〜8について、下記(1)〜(7)の項目について評価した結果(製造例では、(1)と(2)のみ)を以下の表2に示す。
(1)熱分解開始温度(TD)
製造例1で得られた化学修飾微細繊維1と、実施例4で針葉樹由来漂白クラフトパルプを用いて得られた化学修飾微細繊維2(製造例2)と、実施例7でリンターパルプを用いて得られた化学修飾微細繊維3(製造例3)と、比較例1で用いたセリッシュ(微細繊維1)(製造例4)について、それぞれを含む樹脂複合体にダイナソルブ711を常温で浸して樹脂を溶かすことで化学修飾微細繊維1のみ、化学修飾微細繊維2のみ、化学修飾微細繊維3のみ、及び微細繊維1のみを得たうえ、以下の装置を用いて行い、前述の評価法にて評価した。
装置:SII社製 EXSTAR6000
分析条件:窒素雰囲気、昇温速度10℃/min
化学修飾微細繊維1、化学修飾微細繊維2、化学修飾微細繊維3、及び化学修飾微細繊維4のIRインデックスを、以下の装置を用い、前述の評価法にて評価した。この修飾度は、最大で3.0である。
装置:紫外分光光度計 JASCO社製 FT/IR−6200
得られた樹脂複合体1〜7のフィルムを4mm幅×30mm長に切断し、測定サンプルとした。これを粘弾性測定装置EXSTAR TMA6100(エスアイアイナノテクノロジー(株)を用いて、引っ張りモードでチャック間20mm、周波数:1Hz、窒素雰囲気下で貯蔵弾性率を測定した。この時、高温時の貯蔵弾性率を低温時の貯蔵弾性率で除した値を貯蔵弾性率変化率として比較した。
PA66、エポキシについては、高温/低温温度は、200℃/100℃とし、PP,NBRについては100℃/50℃での貯蔵弾性率変化率とした。また、測定に際しては、フィルム成形時の歪を緩和する目的で、室温から高温温度まで5℃/min.で昇温した後、25℃まで5℃/min.で降温し、再び25℃から高温温度まで5℃/min.で昇温する温度プロファイルとし、この2度目の昇温時における貯蔵弾性率変化率を測定した。
一般に貯蔵弾性率は高温になるほど小さくなるため、貯蔵弾性率変化率は1以上となる。この値が1に近いほど、高温での貯蔵弾性率変化が小さく、耐熱性が高いといえる。
混練後樹脂複合化後に得られたサンプルの外観について、明らかに焦げているものを×、変色が見られないものを○、やや焦げているものを△とした。
樹脂複合体1〜19、樹脂1、及び樹脂2を3mm幅×25mm長に切断し、測定サンプルとした。SII製TMA6100型装置を用いて、引っ張りモードでチャック間10mm、荷重5g、窒素雰囲気下、室温から120℃まで5℃/min.で昇温した後、25℃まで5℃/min.で降温し、再び25℃から120℃まで5℃/min.で昇温した。この際、2度目の昇温時における30℃〜100℃の間の平均の線熱膨張率を測定した。
射出成形機を用いて、80mm×10mm×4mmの試験片を成形し、ISO178に準拠して、それぞれの試験片について曲げ弾性率の測定を行った。得られた曲げ弾性率を、フィラー等を含まないベース樹脂の曲げ弾性率で除することで、曲げ弾性率上昇率を算出した。すなわち曲げ弾性率の上昇が見られない試験片の値は1.0となる。
射出成形機を用いて、80mm×10mm×4mmの試験片を成形し、ISO178に準拠して、それぞれの試験片について曲げ強度の測定を行った。得られた曲げ強度を、フィラー等を含まないベース樹脂の曲げ強度で除することで、曲げ強度上昇率を算出した。すなわち曲げ強度の上昇が見られない試験片の値は1.0となる。
Claims (14)
- 熱分解開始温度(TD)が260℃以上であり、数平均繊維径が10nm以上1μm未満であり、かつ、化学修飾されたセルロース微細繊維を0.5〜40wt%含有する樹脂複合体。
- 分散安定剤中に前記セルロース微細繊維が含有率10〜90重量%で分散されたセルロース微細繊維の分散体が、樹脂中に分散されている、請求項1に記載の樹脂複合体。
- 前記分散安定剤は、界面活性剤、及び沸点160℃以上の有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の樹脂複合体。
- 前記化学修飾がエステル化である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂複合体。
- 前記セルロース微細繊維の、透過型IRスペクトルで測定におけるセルロース骨格鎖C−Hの吸収バンドのピーク強度に対するエステル基に基づくC=Oの吸収バンドのピーク強度の比率で定義される修飾度(IRインデックス)が0.8以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂複合体。
- 前記セルロース微細繊維の数平均繊維径が20nm以上300nm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂複合体。
- 前記樹脂が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及び光硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂複合体。
- 前記樹脂が、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル、及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載の樹脂複合体。
- 前記樹脂の融点が245℃以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂複合体。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂複合体を含む自動車用部材。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂複合体を含む電子製品用部材。
- 純度85wt%以上のセルロースを、非プロトン性溶媒及びセルロース微細繊維の修飾化剤を含む溶液中に分散させ、解繊と修飾を同時に行って、熱分解開始温度(TD)が250℃以上であり、数平均繊維径が10nm以上1μm未満であり、かつ、化学修飾されたセルロース微細繊維を得る工程、及び
得られたセルロース微細繊維を樹脂と混合する工程、
を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂複合体の製造方法。 - 純度85wt%以上のセルロースを、非プロトン性溶媒中で解繊した後、セルロース微細繊維の修飾化剤を含む溶液を加えて、修飾することにより、熱分解開始温度(TD)が250℃以上であり、数平均繊維径が10nm以上1μm未満であり、かつ、化学修飾されたセルロース微細繊維を得る工程、及び
得られたセルロース微細繊維を樹脂と混合する工程、
を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂複合体の製造方法。 - 前記非プロトン溶媒がジメチルスルホキシドであり、かつ、前記修飾化剤が酢酸ビニル又は無水酢酸である、請求項12又は13に記載の方法。
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